チャイナで中華料理を食べ歩け!

作者:中尾

●今日も中華街は賑やかで
 ここは横浜中華街。赤・青・金と色鮮やかな街並みはいつも通り活気づいていた。
 観光客はホカホカ肉まんを食べ歩き、飲食店では真っ赤な四川料理に舌鼓。カフェでは漢方の味がするスイーツに驚いて、スマートフォンで写真をパシャリ。
 路上ではトウガラシのお守りや、金魚の吊るし飾りなども売られている。
 そんな街で今、チャイナ服のレンタルが流行っていた。
 値段は安くないものの、SNSの口コミで話題となり、人気に火が着いたのだ。
 そんな中華街の屋根上に、怪しい影が2つ。
「いや~、いい時代になったものですなぁ。盗んだ月餅とお茶を飲みながら、チャイナ姿の美少年・美少女を眺めながら一休み。あの横にある大きなスリットはロマンでござる」
 パシン! そんな緩み切った仲間の頭を叩く。
「もう! さっさと仕事をするでござるよ! あの中から誘拐する者を選んで、洗脳・改造、他の勢力に売るという大仕事が待っているのでござるから~」
「ならあの子はどうでござるか? 中華街と言えば食べ歩き……いっぱい食べる元気な子はお主も好きでござろう?」
「辛いものを頑張って口にして、ヒリヒリする唇をたまにちろりと舐めるのえっちでござるよね」
「わかる」
 2人は互いに顔を見合わせグッと熱い握手をする。
「……では、決まったところで!」
「レッツ誘拐!」
 突如現れた影羽衆の姿に、人々は逃げ惑うのだった。

●ヘリポートにて
「おおー、すごい……!」
 白いチャイナ服を身に纏い、華麗に如意棒を操るアシュリー・ハービンジャー(ヴァンガードメイデン・e33253)の姿に、雨宮・シズ(オラトリオのヘリオライダー・en0197)が思わず拍手を送る。
「今、チャイナが熱いんです!」
 アシュリーはポーズを取ると、えへと笑ってみせた。
「そういえば、世間の流行に疎いので僕は知らなかったのですが、最近はチャイナ服が流行っているんですって……? 実は影羽衆もチャイナ服を狙って横浜中華街に現れるようなんです」
 影羽衆とは螺旋忍軍の一派で、サブカル系の美少女や美少年を誘拐し、洗脳・改造を施し他のデウスエクスへ配下として売り渡そうという悪巧みをしている連中である。
「奴らはどうやら美味しそうに何かを食べるチャイナ服の美少年・美少女を狙っているようでして……。そこで、皆さんにはチャイナ服を着た上で、中華街の観光を楽しむ一般客のフリをしながら食べ歩き、奴らを誘き出す囮となって、影羽衆を撃破して欲しいのです」
 尚、事前に避難活動をしてしまうと、影羽衆は別の場所で襲撃を起こしてしまうため、一般人の避難は影羽衆が出現してからの方が良いだろう。
 敵は影羽衆が2名。日本刀を持つ者は前衛で、ポジションはクラッシャー。
 扱うグラビティは急所を切り裂く『月光斬』、対象を薙ぎ払う『流水斬』、対象を内部から破壊する『螺旋掌』。
 螺旋手裏剣を持つ者は中衛でポジションはジャマー。
 扱うグラビティは手裏剣で対象の武装を破壊する『螺旋射ち』、毒に濡れた手裏剣を放つ『毒手裏剣』、幻影で仲間の被害を逸らす『分身の術』のようだ。
「せっかく楽しい思い出を作ろうと中華街に観光に来た人達の為にも……よろしくお願いします」
 シズはそう言ってケルベロス達を見送ったのだった。


参加者
露切・沙羅(赤錆の従者・e00921)
神城・瑞樹(廻る辰星・e01250)
燈家・彼方(星詠む剣・e23736)
アシュリー・ハービンジャー(ヴァンガードメイデン・e33253)
李・風美(胡乱でチャイナな瓶底眼鏡・e40773)
長久・千翠(泥中より空を望む者・e50574)
霏・小獅(カンフー零式忍者・e67468)

■リプレイ

●中華街へようこそ!
 中華街のシンボルとも言える巨大な門をくぐれば、そこは別世界。中国語の看板や雑貨が並び、観光地らしい賑やかな声が響く。焼き栗の甘い香りがケルベロス達を包み、店員が試食を勧める。
「チャイナ! スリット! 太もも!! チャイナが熱い、その言やよし!」
 ウマい料理を堪能して敵は撃破する! レオンハルト・ヴァレンシュタイン(医龍・e35059)は周囲のチャイナ服ブームに犬歯を覗かせて笑った。今回は影羽衆を誘き寄せる囮となるべく、黒地に金色の龍の刺繍が施された本格的なチャイナ服を着てその美少年っぷりをアピールする。
 そして、その隣の袖がゆったりとした唐草模様のチャイナ服を着た青年は長久・千翠(泥中より空を望む者・e50574)。千翠は行き交う女性らの大胆なスリットを見て、うん、うんと納得したように頷く。
「これなら、女子がハイキックしても布が邪魔にならないな!」
 色事に興味がない彼はチャイナ服の大胆な切り込みをそんな風に解釈をしたようだ。
「いたいけな美少年美少女を攫ってアレやコレやするやなんて……そんな外道共はウチがギタンギタンにしたる!! 世界の宝! 美少年美少女を汚させてなるものか!! むはむは!」
 そう憤りながら、己が店『混沌堂』の開店準備に勤しむのは李・風美(胡乱でチャイナな瓶底眼鏡・e40773)だ。彼女は瓶底眼鏡にシニヨンの三つ編みおさげ。大きな裾の赤いチャイナドレスと、いつも通りの装いで中華街に自然に溶け込んでいた。
 アシュリー・ハービンジャー(ヴァンガードメイデン・e33253)が敵好みの姿となるべくあれこれと悩んだ結果、選んだのは妙に深いスリットの入った白のチャイナドレスだった。
 流石にこれは……と躊躇しながら着てみるも、いざ身につければそれはアシュリーにぴったりで。『あれ? すごく可愛いのでは?』と彼女自身もお気に入りの様子だ。
「……ちょっと、くせになりそうです。なんて」
 頬を染めながら、ぽつりと呟いた言葉は風に攫われる。
「皆さんよくお似合いですね」
 燈家・彼方(星詠む剣・e23736)はチャイナ服を着こなした仲間達の姿に、思わず声を零した。
「……僕のは、男物のカンフー服系ですけど」
 彼方が選んだのは純真で真面目な性格の通り、本格的な漢服だ。慣れない服に、人差し指で頬を掻く。
(「影羽衆のチャイナ服への拘りはよく分かりませんけど、食べ歩きは楽しそうですよね」)
 そんな彼は中華街に入るなり焼き栗屋に呼び止められ、貰った甘栗を口に含んだ。ホクホクで、甘く、どこか心安らぐ味に、口元が綻ぶ。
「くんくん……はぁ~、うまそうな匂いがしてたまんねぇなぁ」
 いつも通りのカンフー服を着て現れたのは霏・小獅(カンフー零式忍者・e67468)だ。辺りを見れば、ガラス越しに北京ダックが並び、売店にはブタの耳や足まで売っている。道沿いにはラーメン、エビチリ、酢豚、角煮、フカヒレスープの看板が立ち並び、食の大洪水と言える光景に、小獅は期待に唾を飲み込んだ。
「中華街で食べ歩き、うん、いいねぇ!」
 いつもの黒いコートはしばし封印。赤錆色の長い髪を結い上げ、その身に纏うは瞳と同じ色のチャイナドレス。露切・沙羅(赤錆の従者・e00921)は賑やかな中華街を見回した。
「あ、唐辛子の魔除け飾りだ。やっぱりあるんだぁ」
 中華街ではよく見る飾りだな、と思いながら手に取ってしげしげと見る。
「そういえば、雨宮さんって魔除けやお守り集めが好きだったね」
 買って帰ったら雨宮さん喜ぶかな? そんな事を考えながら、沙羅は中華街を進む。
「チャイナ服、着たいなーと思ってたんだ。カンフー着もチャイナ服だよな!」
 白地に黄色の縁取りをされたロング丈の漢服に、黒い袖とズボンを覗かせるのは神城・瑞樹(廻る辰星・e01250)。衣装はハンドクラフトが趣味の彼自身のお手製だ。
「おっ、あの服いいな」
 彼は今後の手芸の参考にしようと、すれ違う人々の服を観察したり、チャイナ服屋に入り、どういう構造になっているのか、どんな布を使っているのかと覗いてみる。
「ここは、どうなっているんだ?」
 刺繍の細かさに感銘を受けたり、生地の種類に目が奪われたりと、その手の趣味の人間にはたまらない空間であろう。だがケルベロスとしての仕事も忘れない。少年・少女らの保護者として、常にいつ攻撃されてもいいように周囲の気配には気を付ける。
 瑞樹がさりげなく目線をそちらに移せば、アシュリーがガイドブックを片手に中華街を歩いていた。
「肉まんにー、小籠包にー、フカヒレスープ! 甘いものも欲しいな。ゴマ団子とか!」
 キラキラ輝く彼の瞳は中華街の食べ物に釘付けだ。
「……僕は真面目に働いているだけで、決して役得だなんて思ってはいませんよ?」
 ハッと正気に戻り否定するも、そのウキウキ姿までは隠せない。
 千翠が容器に入った小籠包を店員から受け取ると、レオンハルトもちょうど店員から何かを受け取った所だった。
「手始めはやはりこれじゃろう。千翠殿もいかがかな? 」
 レオンハルトが買い求めたのは肉まんだ。出てきたホカホカを半分に割り、千翠へと差し出した。
「お、レオンハルトのやつも旨そっ! 俺の小籠包とトレードしようぜ!」
 受け取った肉まんをニコニコしながら早速噛り付くも、千翠はあまりの熱さに目を白黒させる。
「熱っ!? 水、水―――!」
 レオンハルトはフフッと笑うと、涼し気な顔で己の分を頬張った。
 大きな肉まんを手に、はぐ、と一口。中にはしっとりとした豚肉の他にコリコリのタケノコや弾力のあるシイタケが入っていた。塩気のある具もジューシーだが、微かな甘みを含んだふんわりとした皮がまた、美味しい。
「んんー!! 美味しい!!!」
 沙羅のテンションの高い声が聞こえた。 美味しさを表現する為に、ちょっとオーバーに声を出してみる。影羽衆を意識して、口の周りをペロッと舐めるのも忘れない。途中、思わず一気に食べてしまったが為に、喉が苦しくなるも、共に買ったプラカップの烏龍茶を一口。日本茶とはまた違った苦みと香りが喉を潤し、ホッと息をつく。
「李さんの出店にも行ってみよーぜ!」
「そうですね、混沌堂にも行ってみましょうか」
「混沌堂の点心は“無難に美味しい”っつってたけど、肉まんとか色々置いてるから楽しみだな♪」
 大きな角煮の入ったハスの葉ちまきと具だくさんの春巻きをはむはむと食べながら、小獅の提案に彼方が頷いた。
 2人が風美が営む『混沌堂』へと向かうと、そこは観光客で賑わっていた。
 接客に大忙しな風美もひと時手を止め、2人の姿に目を輝かせる。
「アイヤー! 美少年の皆様いらっしゃい! 眼福ネ!」
「李さん肉まんちょうだい」
「僕は胡麻団子と杏仁豆腐で」
 すぐに出てきた肉まんは、ホッカホカで、アツツとなりながらも小獅は頬張る。
「はむはむ……お、無難な味っつってたけど、中々うめーじゃん!」
「うん、この優しい甘さが嬉しいですね」
 胡麻の風味と中の餡子のハーモニーがたまらない。杏仁豆腐もあの独特な風味とさっぱりとした甘さが中華料理を食べた後の口に嬉しい味だ。
 イエスびしょーねんノーたっちの精神で眼福する風美をよそに、2人は食事を楽しむ。
 そんな中華街で食べ歩きを楽しむケルベロス達を遠くから眺める影があった。

●チャイナ服は最高でござる!
「やって来ました中華街! むほー! チャイナ服の美男美女が勢揃い! これだけいれば選び放題でござるな!」
 手にした月餅と中国茶を急いで飲み込むと、影羽衆はウキウキで相談を始める。
 最初に目に止まったのは美味しそうにデザートを食す沙羅だった。
「パッチリとした瞳が可愛いおなごでござるなー! 可愛い子がチャイナドレスを着れば、それはまさに可愛いと美しいの融合! 美味しそうに肉まんを食べていた姿に胸キュンでござる! 彼女と食べる食事はさぞ楽しいでござろうな!」
 次に影羽衆の目を引いたのは布を物色していた瑞樹だ。
「あの男、チャイナ服をよく観察しているようだがもしや同士ではござらんか!? あの目、只者ではないと見た! 今すぐ握手をし、チャイナについて語りたい所でござるが、ここは仕事中。グッと堪えるでござる!」
「むむっ! あれは!」
 影羽衆が向いたその先には、深いスリットから出る白い生足。
 視線をあげれば、金髪を三つ編みにした青目の美少年、アシュリーが小籠包を楽しんでいた。
「中から出てきたスープにめっちゃ目を輝かしているでござる!」
「う~ん、あの美しい生足、地球人ながらあっぱれでござるな! 今すぐにでもお持ち帰りしたいでござるが……まだ候補が!」
 影羽衆は共に漢方ゼリーを楽しむレオンハルトと千翠へと視線を向ける。
「本格的な竜の金刺繍に、シックな黒のチャイナ服とは、センスのある美少年でござるな~! 拙者もああいう服好きでござる。めっちゃカッコイイでござるよな!」
「あの金色の瞳に、時折チラッと見える犬歯もグッと来るでござる」
 うんうんと頷く影羽衆。
「モスグリーンのチャイナっ子もいい食べっぷりでござるな! あの青年の胃袋は宇宙空間でござるか!?」
「どれだけ食べるのかウオッチしたいぐらいでござるな。彼を誘拐して大食い大会に出せば、賞金ガッポガッポ取れるのでは!?」
「あっ、待った、あれを見るでござる!」
「今度は何でござるか!?」
 そこに居たのは混沌堂の主である風美だ。
「絵に描いたようなチャイナっ子だ~ッ!」
「えっ、ちょっと待って。拙者テンションあがっちゃったんだけど。えっ、あのぐるぐるメガネにお団子! 三つ編み! 赤いチャイナドレス! 満点でござらぬか!?」
「まさか映画の撮影でもしてるでござるか!?」
「いや、まさかの、天然モノ!」
 ごくり、と唾を飲み込む。
「ああ、その側にいる少年2人も見るでござる!」
 杏仁豆腐をスプーンで掬う彼方と次々と点心を食す小獅の姿に、影羽衆が目を奪われる。
「あの中性的な顔立ちッ!」
「ああ~、お主が好きげな顔立ちでござるな~! あの大人しそうな漆黒のサラサラヘアーも良き!」
「隣のあどけなさが残るショタっ子もたまらないでござるッ! あの顔立ち、将来男の娘になりえる、原石ではなかろうか!?」
「幼い胸板がチラッと見えるのもたまらないでござるな!」
 興奮する影羽衆達はウンウンと頭を悩ませながらも誘拐する人間を絞り込む。
「待て待て。ここは悩む所だが、原点に戻って元気に食事を楽しむチャイナ服のスリットが素晴らしい美少年・美少女を選びだすんだ、そうなると」
 影羽衆は誘拐を決行するべく、屋根から飛び降りる。
「いざ!」
 影羽衆はその美しい後ろ姿に手を伸ばす。
「キャッ!」
 乙女の如き悲鳴に、影羽衆の胸が高鳴る。
「突然、なにを……」
 驚き振り向いた彼。選ばれたのはアシュリーだ。
「むほー! 近くで見れば見るほど好みでござる! さっそく、その脚を!」
「この変態!」
 アシュリーは思わず、隠し持っていた砲槍ロンゴミニアドで影羽衆をぶっ叩く。
「ぶへっ!? えっ、ケルベロス!?」
 思わず素に戻る影羽衆に、アシュリーは続けざまにゲシュタルトグレイブを振るう。
「俺はアシュリーの元へ向かう! 一般人の避難誘導は任せた!」
 瑞樹は風美達にそう言うと、逃げる人波を逆行し現場へと走った。

●天誅
「皆さん、デウスエクスが現れました! でも大丈夫、僕達はケルベロスです! ここは僕達に任せて、避難してください!」
「そうだ、そうだ、怪我しねぇうちに引っ込んでなッ!」
 彼方はパニックとなった一般人を落ち着かせながら避難を促し、小獅は割り込みヴォイスで叫びながら現場へと向かう。風美は避難誘導を終えると、キープアウトテープを張り広場の封鎖を行う。
 一方、前線では早くも戦闘が始まっていた。
「お主らの手に美少女たちを渡すわけにはいかぬ。我のファンが減るではないか」
 レオンハルトは扇子をパチンと鳴らす。
「竜王の不撓不屈の戦い、括目して見よ! 千翠、ゴロ太よ、合わせてゆくぞ!」
 そう言うと、レオンハルトは隠れていたオルトロスのゴロ太を呼びよせた。狙うは手裏剣を持つ男。レオンハルトと揃いの衣装を身に纏ったゴロ太は神器の瞳で敵を睨み付ける。千翠はすさかずレオンハルトへとメタリックバーストをかける。超感覚を覚醒させたレオンハルトはオウガメタル・紅隈を纏い、燃え上がる敵に拳を振るった。衝撃に、宙を飛ぶ体。
「なっ!?」
「オーライ、オーライ!」
 瑞樹が落ちてくる敵へと音速を超える拳を叩き込んだ。ケルベロス達に殴られ何度も宙に浮くその様は、まるでバレーボールの様。
 やっと攻撃が止み、地に落ちた敵に沙羅が問いかける。
「君は今、幸せかい?」
「えっ? あっ」
 可愛い顔に覗かれて、照れた瞬間、影羽衆の周囲が勢いよく爆発する。
 爆発に驚き倒れる影羽衆。もう動く気配はない。
「さぁ、残りは貴方1人です!」
 ライドキャリバー・ラムレイに乗ったアシュリーは、サイコフォースで敵の手元を爆破させる。
「くっ!」
 そこへ、風美達が合流する。
 彼方はその腰に帯びる二振りの斬霊刀、黒隼星、白狼星へと手を伸ばす。繰り出すは神速の突き。続けて、小獅は電光石火の蹴りで敵の急所を貫く。
 風美はチャイナドレスの裾から九蓮砲筒を取り出した。
「アンタはもう、おしまいや」
 メガネがキラリと光り、彼女の言葉遣いが変わった。
 青ざめる影羽衆。だが、逃げるには遅かった。哀れ影羽衆は風美のガトリングガンの連射で、蜂の巣となる。
「なんでも入る袖は……ロマンでござるよねぇ」
 バタリと倒れる影羽衆。
「一丁上がりネ」
 風美はメガネを上げる仕草をして笑った。

●中華街はいつも通りに
「ゴロ太よ、よくやったな」
 レオンハルトは勇猛果敢な勇者に労いの言葉をかける。
 千翠は周囲のヒールを終えると、疲れを解すように、ぐっと両腕を伸ばした。
「俺は食べ歩きを再開しようと思うけど、レオンハルトはどうする?」
「我は可愛いおなごと食事して帰るかのう」
 千翠の問いに、ちゃっかり居合わせたチャイナ美人と食事の約束を取り付けていたレオンハルトは、そう言うと中華街へと消えていった。
「人暴れしてヒール活動したら、また腹減ってきたなー。折角だし皆で飯食いに行こーぜ!」
 小獅がケルベロスの面々を見回す。
「それじゃぁ、ワタシも店仕舞いしてみんなと合流するネ」
「はいはい、私も! お土産屋さんも見て回りたいし!」
「俺も粗方観察は終わったし、そっちに合流するぜ」
「僕もご一緒します!」
「まだ中華街を食べ尽くしていませんものね!」
 平和を取り戻した中華街で、ケルベロス達は和気藹々と食べ歩きを続ける。
 胃袋を美味しい中華料理で満たし、彼らは楽しい時間を過ごすのだった。

作者:中尾 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年11月22日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 5
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