あなたと私

作者:雨音瑛

●残滓
 繰り返し聞こえるは、波の音。静かに確かに、寄せては返す。
 星が飾る夜空は遠く、高い。手を伸ばして指先に星を灯しても、その温度は冷たいまま。
「あまり遠くに行ってはだめよ、パンドラ」
 浜辺を駆けるボクスドラゴンに声をかけ、歌枕・めろ(彷徨う羊・e28166)は波打ち際を見遣った。
 先ほど波が引いたばかりのところに、何かが落ちている。
 橙色の丸いものだ。
 しゃがみこんで拾い上げれば、少しばかり塗装のはげたカボチャのお化けだとわかる。
「あなたは置いていかれたの? それとも――」
 捨てられたの?
 言葉にならない言葉で、めろの喉がつかえる。そうして指先の力がゆるみ、カボチャお化けを取り落とす。いけない、と思う間もなく、カボチャお化けは波にさらわれていった。
 もう、色の欠片も見えない。
 すり寄るパンドラを撫でれば、砂を踏む音が後方に聞こえた。
 先ほどまで、確かに誰もいなかったはずだ。振り返っためろの目に映ったのは、豪奢なドレスを纏って仮面を手にした女だった。
 めろの胸が、不意にざわめく。
「……ハロウィンは終わった、のよ」
「存じ上げておりますわ。でも、そんなことはどうでも良いのです。ようやく、ああ、ようやく見つけましたわ」
 女の目元は、モザイクで覆われている。すなわち、ドリームイーター。認識しためろが警戒を強めるが、女はまるで意に介さず口角を上げた。
「あなたの思い描く私ならば、きっと――」
 手を伸ばした女の手に、紫色の光が灯った。

●ヘリポートにて
 歌枕・めろ(彷徨う羊・e28166)が、宿敵であるドリームイーターの襲撃を受けることが予知された。
 連絡を取ろうとしたのだが、と、ウィズ・ホライズン(レプリカントのヘリオライダー・en0158)が眉根を寄せた。
「連絡がつかないんだ。既に襲撃を受けている可能性もある……めろが無事であるうちに、君達には救援に向かって欲しい」
 めろが襲撃を受けると予知された場所は、夜の海辺。サーヴァントと共に散歩をしているところを襲撃される。
「周囲に一般人はいないため、避難誘導や人避けの工夫などは不要だ。現場まではヘリオンで案内できるから、めろを探す必要もない」
 めろを襲ったのはドリームイーター「ヴィオレッタ」。豪奢なドレスを着た女の姿をしており、命中と回避が高い。3つのグラビティを使い分け、それぞれ炎、氷、石化の状態異常が付与される危険性があるものだ。
 戦闘となるのは、ヴィオレッタ一人のみ。配下などは連れていないという。
「それと……めろとヴィオレッタの関係は不明だが、少なからぬ因縁があることは確かなのだろう。とはいえ、めろ一人で対処できるような相手ではない、君たちの力が必要なんだ」
 そう言って、ウィズはケルベロスたちに頭を下げた。


参加者
春日・いぶき(遊具箱・e00678)
シャーリィン・ウィスタリア(千夜のアルジャンナ・e02576)
サイファ・クロード(零・e06460)
遊戯宮・水流(水鏡・e07205)
暁・万里(迷猫・e15680)
咲宮・春乃(星芒・e22063)
比良坂・冥(カタリ匣・e27529)
歌枕・めろ(彷徨う羊・e28166)

■リプレイ

●迷子の羊の
 黒い水面は、風に揺れる草原のよう。月光に照らされる砂浜は、さながら牧草地から少し外れた場所。
 だとしたら、歌枕・めろ(彷徨う羊・e28166)は群れを外れた羊だろうか。
 そうなると、突如現れた女は果たして。豪奢なドレスを着て、仮面を手にした姿は海にも草原にも不釣り合いだ。
「あなたの思い描く私ならば、きっと――」
 女の指先から放たれた紫の光が、めろ(彷徨う羊・e28166)を包み込んだ。身体が石のように重くなるのを感じながら、めろは自身へと光の盾を纏わせた。足首まで伸ばしたシャンパンゴールドの髪が、光に輝く。警戒心を露わにするボクスドラゴン「パンドラ」のブレスを女が避ける。
「知らない人の事、どう思い描くと言うの」
 飴色の瞳に不快感を滲ませ、めろは女を睨んだ。
「何より不躾だわ。そういうの、お里が知れるって言うのよ。あなたは、誰。まずは名乗ったらどうかしら」
「私は、ヴィオレッタ。会いたかったわ、ラチェレ」
 鈴を転がすような声で笑いながら、女は薄刃のような氷をいくつも生成した。
 名を、音を聞いためろは息を呑んだ。
 止まった思考で、眼前に迫る氷を、ただ現象として認識するだけ。そこへ、パンドラが無理矢理に割り込んで氷を受け止める。
「パンドラ、ありがと」
 しゃがみこんでパンドラを撫でた後、めろは槍に雷光を纏わせて一直線に突く。が、ヴィオレッタは槍の穂先に仮面をかすめさせ、するりと躱す。
「何でその名を知ってるの。あなたはめろではない私を知ってるの?」
「私は、あなたの母親ですわ」
 そんな言葉は、波の音にかき消されれば良かったのに。
 めろの思いに反して、何度も何度も反響する。
 パンドラのタックルを、舞踏のような動きで回避したヴィオレッタ。彼女の手にする仮面に、赤色の炎が灯った。
 次いでめろの身体に移った炎が、彼女に熱と痛みを与える。
 めろは叫びを上げて痛みと炎を消し、パンドラは再びブレスを放つ。
「めろの家族はパンドラだけ」
「私、とても悲しくてよ」
 ヴィオレッタは仮面でブレスを弾き、芝居じみた仕草で悲しんでみせる。
「置いていかれるのは沢山」
 だから。
「今度はめろから捨ててあげる」
 けれど。
(「ねぇ、ずっと寂しかったんだよ」)
 飴色に映る漆黒が、ほんの少しだけ滲んだ。

●大切な
「強がらなくてもいいのよ。寂しくさせて本当にごめんなさいね」
「そんなこと、思ってもいないんじゃないかしら?」
「……それじゃあ、こうするしかありませんわね」
 薄刃の氷に、めろは身構える。だが、その音と温度はめろの数センチ先で止まった。
 めろの視界には、柔らかな藤色が溶ける夜纏う髪と望月の双眸。極光の如き煌めきを持つ翼は、シャーリィン・ウィスタリア(千夜のアルジャンナ・e02576)のものだ。
「お迎えにあがりましたわ、めろちゃん。さあ、夜がさざめく間に」
 柔らかな笑みの後ろを、ふたつの流星が抜けてゆく。ヴィオレッタは驚きつつも、ふたつを避け切った。
「何事ですの!」
 問いに答える者はいない。が、めろには解っている。
「必ず駆けつけると約束したでしょう」
 見慣れた暁・万里(迷猫・e15680)の力強い言葉に、めろはただ頷いた。
 万里の役目は、めろの望む場所に連れていくこと。めろの望む終幕がここではないのならば、道を作り続けるだけ。
「……なんだかあいつ、めろちゃんに似てない?」
 雰囲気や顔が似ている理由なんて、数えるほどしかない。予感が外れて欲しいと願う万里に、めろは困ったように笑った。
「めろを産んだひと、みたい。名前はヴィオレッタですって」
「ふーん……君が捨てたの。めろちゃんを」
 すぐさま、遊戯宮・水流(水鏡・e07205)がヴィオレッタを睨んだ。
「生まれたばかりの子なんて、何もできないのにね。そして今更出てきてどうとか随分ムシの良いことで。問答無用、責任取ってもらうよ」
 ミミック「びーちゃん」も敵意をむき出しに、エクトプラズムで作りだしたハンマー状の武器で殴りかかる。
「何を言われようが構わないけれど……野蛮でしてよ?」
 言いつつ避けるヴィオレッタに、比良坂・冥(カタリ匣・e27529)が迫った。
「野蛮で結構、寂しいからって今更欲しくなったの。残念ね、あなたに都合のいい娘さんは夢の中にしかいない……寝言は寝て言って。大切な人の傷を抉るあなたはずっと寝てなさい」
 右の手には煙草、左の手には鞘に収められたままの刀。
「危なくてよ……あなたも」
 ヴィオレッタは、冥だけでなく、フェアリーブーツ「saltator sacrificium」に虹を纏うシャーリィンをも回避する。
 オウガメタルの光を後衛に振りまく咲宮・春乃(星芒・e22063)は、めろに微笑みかけた。
「出会いはお座敷だったね。めろさんたちと過ごした数ヶ月、わたしには、かけがえのない日々よ。だから、君のためなら、いつだって駆けつける! 君がためなら、どこだって飛んでいくから! 迎えにきたよ、めろさん!」
 お座敷――『煌座敷』は、ここに集った仲間と過ごした大切な場所でもある。
 ウイングキャット「みーちゃん」、ジャッカルのような外見をしたボクスドラゴン「ネフェライラ」もヒールでめろを癒す。
 一方、サイファ・クロード(零・e06460)の手には竜の槌。
「しっかし、こりゃまた凄い美人さんだ。でも折角の顔がモザイクで見えない――よ!」
 最後の音と、砲弾が撃ち出されたのはほとんど同じタイミング。砲弾がヴィオレッタに着弾するのを見て、サイファは口角を上げた。
「何せ玄人のオレだ、同じ轍は踏まないよ」
 かつての戦いを思い浮かべながら、サイファはめろに手を振った。
「可哀想なラチェレ。その人たちは、家族ではないのでしょう?」
 言い返そうとするめろを春日・いぶき(遊具箱・e00678)が制し、緊急手術で癒す。
「可哀想の定義は、主観でしょう。貴方がそう思うならそう思えばいい。しあわせにいきる誰かを憐れむことしかできない貴方をこそ、かわいそうだと僕は思いますけどね――言ってやらないと気がすまないんですよ。これは、僕の我儘です」
 片目を閉じて笑みを見せるいぶきに、めろもくすりと笑った。
 来てくれた仲間の顔をひとりひとり見る。めろの顔に、笑顔が溢れる。
(「大丈夫。めろは一人じゃない」)
 再び槍を握る手が、どこか温かい。
 子どもの頃こそ、めろは夢見ていた。いつかいつかパパとママが迎えに来てくれる、と。
「けれど、置いてかれようが捨てられようが今のめろには関係ないわ。だって、めろには自分で進む足があるのだもの。めろは自分の力で生きていける。めろはもう可哀想な子ではないもの!」
「……!」
 槍の穂先が、ヴィオレッタを貫いた。

●とても大切な
 仲間の命中を確保すべく動くサイファであったが、ふと恩師の顔をした夢喰がヴィオレッタに重なる。同じく夢喰であるヴィオレッタの魂だけでも救いたい、と思うのは傲慢かもしれない。思いとは裏腹に、サイファの口から言葉が突いて出る。
「願うことは罪じゃないけど、自分の幸せだけを願うのは意外と空しいモンじゃないかな。オレはアンタの顔、奇麗だと思うよ……ま、オレに言われてもってカンジだろうけど……アンタがアンタだから好きだって言ってくれた人がいたんじゃねぇの?」
「そんなことも、あったかもしれませんわね」
 うそぶくヴィオレッタを横目に、いぶきは前衛へと「君一途」を展開した。癒しの水が注がれ、九重葛の花が咲く。
 めろは、一人で真っ直ぐ立つことが出来るからこそ、かけがえのない愛情を求めているひと。めろと似た価値観を持ついぶきの目には、そう見えている。
「めろさんに愛を与えてあげられる人は、貴方ではないようですよ。お引取りを願いましょう、これからますますの幸せを謳歌する友人の先行きを邪魔しないで頂きたい」
「そうよ。めろさんはかわいくて、優しくて。でも芯が強くて、格好よくて。一緒にショッピングにも行った、わたしの大切な友人なの」
 それに、と春乃は続ける。
「めろさんは『春乃ちゃんに助けてもらってばかり』と言うけど、わたしだってめろさんに助けてもらってばかりよ。だいじょうぶ。今回だって、なんとかしてみせるから! ひとつ、ふたつ――ほら、星が降ってくるよ」
 春乃がひとつ指を鳴らすと、薄青に包まれた箱が現れた。ふたつ指を鳴らすと夜空のような箱が開き、金色の星が溢れ出した。星は天高く昇り、輝きながらめろへと向かう。
 続いてみーちゃんのリングが飛び、箱に入ったパンドラが体当たりをする。
 かけがえのない仲間が、足首の鐘の歌声が、めろの存在を示す。
「私は――」
 息を呑む。もう狼狽えたりは、しない。
「めろ。ラチェレは、めろが殺した」
 砂地を蹴り、ヴィオレッタの頭上へと跳ぶ。ヴィオレッタの動きは相当に鈍っている。星屑と重力を足先に纏って、ヴィオレッタを弾き飛ばす。その先で、冥の放ったオーラの弾丸が迎え撃つ。
 冥とめろの関係は、歩んできた人生という『箱』を見せ合った大切な『友人』。
 外道な親であっても、子は慕うもの。今さら現れたことが、どれだけめろを傷つけていることだろう。それを口にできないからこそ、冥は怒りを滲ませる言葉を紡ぐ。
「子供産んだからって親になれるわけじゃあないもんねぇ。年だけとって身勝手なおこちゃまのまんま。……えぇ? 俺もおこちゃまよ? ……だから親になんなかったのー」
「なんて身勝手な親なんだろうね。でも、同じ誕生日に落としてくれた事だけは感謝しようじゃないか」
 水流は、年齢も誕生日もめろと同じだ。もっと心を知りたいと、これからも一緒に過ごしていきたいと思う理由の一つ、かもしれない。
 また、水流は閉鎖的な村で村長の長子として、村中の子の兄貴分として、捨て子を迎えて育ててきた。
 とはいえ、慣れるものではない。輝く果実を実らせて灯し、歯噛みする。
 噛みつくびーちゃんを払いのけるヴィオレッタは、今度はめろを狙えない。紫の光灯る指先は、シャーリィンを示してしまう。
「そん、な……!」
「思い描いて差し上げます。もっとも、あなたの望まない姿となるでしょうけれど」
 石化の魔法を受けてなお、シャーリィンは凛と立っている。彼女の横を抜けて飛来した弾丸は、万里によるものだ。容赦なく攻撃に専念できるのは、役割と背中を任せた仲間がいるからこそ。
「……ぶっ殺すぞ、てめぇ」
 『子供を捨てる親』に異常なまでに嫌悪感を示す万里は、それだけ言って無言になった。
 加えて、欲しいものも望むものもとてもよく似ている万里とめろである。怒りを示さない理由はむしろ無いくらいだ。
 星屑の煙漂うランプを手に、ネフェライラはシャーリィンへと属性を注入した。
 シャーリィンもめろの友人ではあるが、核心へと触れるほどの仲ではない。それでも、縁を手繰り寄せた大切な人だから、もっと触れたいと思うからこそこの場へと駆けつけたのだ。
 黒き鎖で加護を描き、シャーリィンはヴィオレッタを静かに見遣る。
「己の成す為に他者に縋る。その貪欲さ、わたくしは好きよ。けれどね、彼女は違うわ。……わかるでしょう?」
 シャーリィンはめろを、そして仲間をゆっくりと見渡した。

●名前
 呼ぶ。誰もが、めろを。
 それもそのはず、ヴィオレッタのドレスは破れ、仮面は割れている。
 終わりが近いのだ。
「めろちゃんの居場所はここだよ」
「めろちゃん、キミが幕を引いて」
 水流と冥が、道を空ける。
「――めろ、」
 万里も強く、呼ぶ。最愛の人がつけた名前と、めろが選んだ道を穢させまいと。
「めろちゃん、彼女へみせて、差し上げて。貴女だけの現が、確かに在ること」
「だな。これはキミがやるべきなんだろう。キミが終わらせてくれ」
 シャーリィンとサイファも、確かな言葉を送る。
「お別れを言うのは君の役目。わたしは、いまのめろさんが――」
 言いかけて、春乃は口をつぐんだ。
「それが貴方の出した答えなら。幸せになるための答えなら。僕は、それを肯定します」
 恭しく一礼するいぶきに、そしてここまで道を作ってくれた仲間に。めろはゆっくりとうなずいた。
「ラチェレ。私は、あなたの母でしてよ?」
 命乞いとも取れる言葉に、めろは首を振った。
「いいえ、私はめろ。……「鏡よ、鏡」唱えても鏡は応えてくれないでしょう? 見せてあげるわ。あなたの全てを、あなたの罪を」
 めろの影から、巨大な鏡が現れる。鏡に映るのは、ヴィオレッタの影、あるいはヴィオレッタが忘れた彼女の罪。
「お望み通り描いてあげる。道を踏み外した女、あなたにピッタリでしょう……さようならよ」
 鏡が砕け、無数の破片がヴィオレッタに降り注ぐ。
(「ママだなんて、絶対に呼んであげない」)
 悲鳴すら聞こえない雨の檻、その中でヴィオレッタの目元を覆うモザイクが全身へと広がってゆく。
「ラチェ……レ……」
 モザイクが弾けて消える。ひとつ、また一つ。それらはやがて砂のように変化して、夜の闇に溶けていった。波に濡れるファミリアロッドを拾い上げ、めろは仲間を見渡した。
 掴んでくれると信じて差し出された万里の手に、めろはそっと触れた。
「安らかにおやすみ、ラチェレ。そして……おはよ、めろ」
「今のめろには大好きな人達がいる。幸せよ。でも……どうしてめろは泣いているのかしら。皆の顔を見てたら止まらないの」
「そういうのが、……家族、みたい……なんだろ」
 困ったようにも泣きそうにも見える顔で、万里が告げる。
 もし「家族のように思ってる」と言い切ってしまえば、別れが辛くなる。それを、互いに理解している。
 それでも、と口にした言葉はかつてめろから貰った言葉だった。いつか痛むと解ってはいるけれど、今だけは。
 泣き始めためろを心配そうに見つつ、水流は大きくうなずく。
「おかえり、めろちゃん。君にはボク達がいるさ!」
 躊躇いなく今を掴めためろは、誰が何と言おうと、強い。
 いっそ心を無で塗りつぶした方が楽かもしれない。そんな選択をせずに泣いて、辛くて苦しい感情を現すめろに、冥はゆるやかな笑みを向ける。
「……俺も分けてもらって憶えてていーい?」
「もちろんよ。めろのでよかったら、だけれど」
「あのさ……めろ。お疲れさま。なんでかな、名前を呼ばなくちゃいけない気がしたんだ」
 サイファの言葉に同意を示し、春乃はめろの肩を抱いた。
「わたしは、いまのめろさんが、」
 ううん、と春乃は首を振った。
「わたしは、いまの――めろちゃんが、だいすきよ」
 そう言って、めろを抱きしめる。ひとりになんてしないよ、と。涙が溢れるなら止まるまで傍にいるから、と。
「……ごめん、今だけ泣かせてね」
 皆がいてくれるから、泣くことができる。
 だからいましばらく、泣こう。
 さよならと、ただいまの間で。

作者:雨音瑛 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年11月20日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 1/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 1
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