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年に一度のハロウィン、とある地方都市に近いこの街では大々的な野外ハロウィンパーティを開催していた。
仮装をして街を歩く者やそれを楽しむ者、人通りの多さを見込んで出店されたハロウィン風に飾り付けられたフードカーなどがハロウィンを楽しむ街を彩っていた。
「ねぇ、あの子の仮装すっごく本格的じゃない?」
赤ずきんの仮装なのであろう、赤い頭巾にエプロンドレス、そして手には籠を持った少女の後ろ姿を歩いていたカップルの女が指さす。
「普通じゃないか?」
「よく見てよ、狼の尻尾と手、それに足も! さっきちらっと見えたけど、顔も可愛い狼だったんだから」
「マジで? ちょっと見せてもらおう……え?」
そんなによくできた仮装なら、ちゃんと見せてもらおうかと男が提案した瞬間、赤ずきんの仮装をした……いや、ハロウィンの魔力によって現れたドリームイーター、ジェディーの姿が見る間に膨れ上がり巨大で醜悪な魔女の姿に変化したのだ。
そして、それは恐怖を振り撒くかのように暴れ出し、人々は蜘蛛の子を散らすかのように逃げ出していく。
ポンペリポッサの姿へと変化したドリームイーターはハロウィンで賑わう街を恐怖へと突き落としたのだった。
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「集まってくれてありがとうな! 早速なんやけど、寓話六塔戦争のことは皆覚えてるやろか? そこで行方不明になっとった魔女ポンペリポッサがハロウィンの力を求めて動き出したみたいなんよ」
そう言うと、信濃・撫子(撫子繚乱のヘリオライダー・en0223)は集まったケルベロス達に事件を概要を説明する為に、手にした分厚い手帳を開いた。
「寓話六塔戦争で受けた痛手を回復するんに、ハロウィンの魔力を狙ったんやろね」
ハロウィンで賑わう街に現れたドリームイーターが、ハロウィンの魔力を利用してポンペリポッサの姿に変身して巨大化する事件が多発していると、撫子が眉間に皺を寄せる。
「何人かのケルベロスが予知してくれとったんやけど、事件になってしもたね。ポンペリポッサ化したドリームイーターは10mくらいの大きさでな、本物のポンペリポッサには及ばんけどかなりの強敵やと思ってもろてええよ」
それから、と撫子が手帳のページを捲る。
ポンペリポッサの偽物が現れるのは野外ハロウィンパーティーを行う会場で、ハロウィンの飾り付けがされた広い公園。周囲にキッチンカーが沢山出ているけれど、戦闘を行う場所には困らないようだと撫子が言う。
「偽物のポンペリポッサの攻撃方法としては、お菓子の匂いで眠らせたりウインナーソーセージをぶつけてきたり……聞いてるだけやと可愛らしい気もするけど、油断してたら痛い目見るよって気を付けてな」
それから、と撫子がケルベロス達と視線を合わせると特に注意する点を述べる。
「ポンペリポッサの姿に変身して戦うんはハロウィンの魔力を消費するよって、変身していられる時間は5分位やと思うんよ」
それが過ぎれば変身は解けて元のドリームイーターの姿に戻るだろう、そうなればケルベロス達が有利に戦闘を進められるはずだ。
「あ、そうそう! それとな、戦闘時にハロウィンらしい感じのことをするとドリームイーターからハロウィンの魔力を奪うことができるんやって! 上手いこと奪えたら、元のドリームイーターの姿に戻るんが通常より早くなるんよ」
ハロウィンらしいこと? と、首を傾げたケルベロス達に撫子が笑う。
「そうやねぇ、ハロウィンの仮装やったり攻撃する時にハロウィンっぽいことをしたりとか……その辺は皆で考えたり思い付いたことをしてみるんもええと思うよ」
ちなみに、変身が解除されたドリームイーターは手に持った籠からお菓子のような何かを投げつけたり、可愛らしい見た目からは思いもしないような鋭い蹴りなどで攻撃してくるようだ。
「ハロウィンの魔力は、もしかしたらドリームイーターにとって重要なもんなんかもしれへんね……。それはそれとして、ハロウィンを楽しみにしてる人らの為にも皆の力でドリームイーターを倒したってな!」
早く終わったら皆もハロウィンを楽しんでくるとええよ、と撫子が笑ってヘリオンへと乗り込んだ。
参加者 | |
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ロゼ・アウランジェ(七彩アウラアオイデー・e00275) |
アカツキ・イェーガー(木漏れ日を宿す黒狼・e02344) |
霧城・ちさ(夢見るお嬢様・e18388) |
宵華・季由(華猫協奏曲・e20803) |
北條・計都(凶兆の鋼鴉・e28570) |
レイラ・ゴルィニシチェ(双宵謡・e37747) |
ルナ・ゴルィニシチェ(双弓謡・e37748) |
朝比奈・昴(狂信のクワイア・e44320) |
●はじまり、はじまり
緑の巨大な魔女が現れ人々が逃げていく中、その波に逆らうかのようにハロウィンの仮装をした八人とサーヴァント達が緑の魔女……ポンペリポッサへと向かっていた。
「あれがポンペリポッサね」
寓話六塔戦争にて麻布市街に現れたドリームイーター、ポンペリポッサ。その姿は麻布市街を突き抜ける程だったのだが、今見えるその姿は10メートル程だ。
「ねールナルナ、ポンペリポッサの偽物だから本物よりも小さいのかな?」
「小さいって言っても、10メートルもあればジューブン大きいよ? リラ」
黒と赤をメインにしたワンピースから覗く白い足を惜しげもなく出したレイラ・ゴルィニシチェ(双宵謡・e37747)が首を傾げると、白いレースを重ねたワンピースに身を包んだルナ・ゴルィニシチェ(双弓謡・e37748)が背中に着けた純白の翼を揺らして答える。
それに同意するように、二人とお揃いの恰好をして添うように周囲を飛んでいたボクスドラゴンのチェニャとヴィズが鳴いた。
「ハロウィンの魔力にこんな効果があるなんてな」
魔法使いのローブに、シックながらも金色の刺繍が入ったマントを羽織ったアカツキ・イェーガー(木漏れ日を宿す黒狼・e02344)が緑の魔女を見上げれば、同じようなマントを羽織ったボクスドラゴンのアイヴィーが翡翠色の尻尾を揺らして同じように見上げる。
「元々、ハロウィンには悪意ある精霊や魔女が現れるって話もあるくらいですから」
執事服にカボチャの被り物をした北條・計都(凶兆の鋼鴉・e28570)が白手袋をはめた指をぴっと立てて言うと、ハロウィンらしく煌びやかに飾り付けられたライドキャリバーのこがらす丸がエンジン音を響かせた。
「それらから身を守る為に仮面を被ったり、魔除けを施したり……今は世の人々が楽しむお祭りになっていますけれど、古から続く儀式になんらかの魔力が宿っていてもおかしくはないでしょうね」
ジャック・オー・ランタンをモチーフとしたメイド服を纏った朝比奈・昴(狂信のクワイア・e44320)が、カボチャ色をしたスカートをひらりと翻して緑の魔女を見上げる。その視線は幾分か鋭さを増しているようにも見えた。
「楽しいハロウィンに随分と無粋な真似をするものです」
「このまま台無しになんてさせないさ、そうだろう?」
ロゼ・アウランジェ(七彩アウラアオイデー・e00275)の赤いベールから透ける力強い常磐の瞳を覗き込むように、黒と橙色の袴に猫耳と尻尾を身に付けた宵華・季由(華猫協奏曲・e20803)が微笑む。蝙蝠に仮装したウイングキャットのミコトも、季由の頭の上からロゼに向かって尻尾を振った。
「せっかくの楽しいハロウィンですもの、市民の皆様を守る為にも偽物のポンペリポッサを倒しますわっ」
吸血鬼をモチーフとした黒いドレスを着た霧城・ちさ(夢見るお嬢様・e18388)が、ぐっと拳を握ってみせると魔女の帽子とマントを身に付けたウイングキャットのエクレアが耳を僅かに動かして、ちさを守るように飛び回る。
ポンペリポッサ化したドリームイーターと戦闘可能な距離まで近付く頃には、周囲に人影はなくなっていた。
「市民の皆様の避難は済んだようですね」
「そのようです。それではお嬢様方に旦那様方、パーティの準備はよろしいですか?」
昴が念の為にと周囲を見回してそう言うと、片手を胸に当てた計都がハロウィンの仮装もばっちりな仲間達を見渡して、恭しくお辞儀をしてみせる。
「もちろん! うちらのカレーなコンビ見せたげる」
「息バッチリなとこ、キタイしてていーよ」
天使の可憐さと小悪魔な悪戯心を混ぜ合わせ、砂糖菓子で包んだような笑みを浮かべてルナとレイラが武器を構えた。
「いつでもいいぜ!」
ひと房だけある金髪を指で弾いて、アカツキがマントを翻す。
「こちらも準備万端ですわっ、いつでもいけますの!」
優雅な仕草でスカートを軽く持ち上げ、ちさが微笑む。
「それじゃあ、ハロウィンらしくいくとしようか」
「トリックオアトリート!」
季由が三味線を構えると、ケルベロス達の声が揃って無人となったハロウィン会場に響く。それを合図としたように、ロゼがふわりと金の翼を揺らして薔薇色の唇を震わせる。
「甘くて蕩ける、歌のお菓子はいかが?」
三味線の音色に載せて響くのはロゼの歌声。そしてその歌声に合わせるように、緑の魔女に向かってケルベロス達が躍り出た。
●トリックオアトリート
Allumette -Night☆Hour、ロゼがアイドル歌手としての自分の歌を高らかに歌うと、ボクスドラゴンやウイングキャット達が彩りを添えるように空を舞い、公園の中央へと緑の魔女を誘い出す。
「なるべく周囲のヒガイが少ないようにしなくてはいけませんものねっ」
ちさがプリンセスモードで衣装を煌びやかなものに変え、楽し気なステップで緑の魔女の注意を惹けば、醜悪な笑みを浮かべた魔女が誘われるようにケルベロス達の元へ歩を進めた。
しゃがれた老婆の声が響くと、身体に巻き付けていたウインナーソーセージをポンペリポッサがケルベロス達に向かって振り回す。
「ロゼ!」
前方で戦闘態勢を整えたロゼに巨大なウインナーソーセジが当たりそうになった寸前、姫を守るのは黒猫の騎士の役目とばかりに、季由が身を挺して庇う。続けざまに振り回されたウインナーソーセージがちさとエクレアを打ち、魔女の身体へと戻っていく。
「偽物とはいえ、ハロウィンの魔力によって強化されているのは伊達じゃないってことですか!」
執事としての仮装スタイルを崩さぬまま、計都が手にしたハンマーを砲撃形態に変形させると、仕込んだオレンジ色の花火を煌めかせながら竜砲弾をポンペリポッサへと打ち込んだ。ハロウィンらしい軌跡を描いたそれを追うように、こがらす丸が炎を纏って突撃していく。
「食べ物を粗末に扱うなんて、許せませんわっ!」
とても食べられたものではないだろうけれど、それでもちさはその可愛らしい頬を軽く膨らませながらきらきらと不思議な光を放つフェアリーシューズの爪先をとん、と鳴らすとポンペリポッサに向かって一気に距離を詰めて渾身の蹴りを放った。その隙にエクレアが翼を振るわせれば、ちさと季由の傷を癒す。
「It’s time for a coffin break!」
coffeeならばお茶の時間、けれどcoffinなら……にっこりと微笑み、高く舞い上がっただロゼが星屑を散りばめながらポンペリポッサに跳び蹴りを炸裂させた。
りん、りん、と涼やかな鈴の音が鳴り響く。
「宵の風鳴り、猫の声。狙った獲物は逃がさない……!」
季由の首元の鈴がひと際大きな音を立て宵色の猫の幻影が踊り出すと、合わせるようにミコトも翼を羽ばたかせて柔らかな癒しの風がちさと季由を包み込む。
「キレーな音! うちも負けないくらいキレーな音、響かせちゃうよ」
ルナから貰った靴でレイラがステップを踏めば、しゃんしゃんと銀鎖より鈴の音が響く。すらりと伸びた足が弧を描いて星型のオーラが緑の魔女に向かって放たれると、チェナが尻尾の輪を飛ばす。
「お嬢様や旦那様の手を煩わせるなんて、悪い魔女ですね」
悪い魔女ならば倒してしまいましょう、と冷たく微笑んだ昴がお化け柄のエプロンを翻し駆け抜ける。ポンペリポッサとすれ違いざまに蹴りを叩き付け、乱れた裾を片手で直した。
「うちもハロウィンっぽくいくよー、ヴィズもよろしくね!」
背中に着けた純白の翼が揺れると、ルナが描いた守護星座が色鮮やかに光り出す。魔女の前に立つケルベロス達へきらきらと輝く光が降り注ぐと、ヴィズがちさに自身の属性を与える。
「楽しいハロウィンを邪魔する魔女には悪戯よりもお仕置きってな!」
掌に螺旋の力を籠め、アカツキが軽やかにステップを踏む。同時にアイヴィーが吐き出したブレスに合わせ、撫でるように魔女に触れれば、まるで魔法に掛かったかのようにポンペリポッサがたたらを踏んだ。
眦を釣り上げたポンペリポッサの瞳が赤く輝くと辺りに香ばしいお菓子の香りが漂い、アカツキと昴が膝を突く。その横を計都が駆け抜け、豹と獅子をモチーフにしたエアシューズを煌かせて蹴りを放つと、こがらす丸も激しいスピンでそれを援護した。
ちさとエクレアが膝を突いたアカツキと昴へ回復を施すと、ロゼが炎を纏った蹴りを繰り出す。それに続いて季由とミコトが重ねて回復を施し、レイラが幻影をポンペリポッサに放つ間にチェナが僅かに残ったダメージを癒す為に翼を羽ばたかせた。
「悪い魔女は三枚におろしてさしあげましょうか」
立ち上がった昴が左腕を巨大な刀に変形させると、魔女に向かって振り下ろす。もう一度、とルナが地面に魔方陣を描くとヴィズが己の属性を与える為にアカツキの周囲を飛び回った。
「眠るのはこっちじゃなくてお前だ!」
アカツキが杖を振るい、氷結を魔女に向かって放つとポンペリポッサが再びウインナーソーセージを振り回す。その姿は最初に見た時よりも縮んでいるように見えた。
「ハロウィンの魔力、奪えちゃってるっぽい?」
「っぽいね! このまま畳み掛けちゃおう」
ルナとレイラが笑うと、計都が恭しく礼を取ってこがらす丸と走り出す。
計都がカボチャの被り物を脱ぎ魔女にぶつけると、こがらす丸にその身を重ね、青い炎の翼を纏う。
「見せてやる! 俺の! 俺達の! 精一杯をッ! 喰らえ、凶星の一撃をッ!!」
軸足にグラビティチェインを収束させ魔女の急所に蹴りを叩き込むその姿は、ハロウィンの仮装姿も相まって悪い魔女を懲らしめめるカボチャの王のようにも見えた。
「見てください、ポンペリポッサの姿が……!」
ロゼの声と共にハロウィンの魔力を失ったポンペリポッサの姿が、魔法が解けるように消えていく。ケルベロス達の目の前に現れたのは、可愛らしい狼の容姿に赤ずきんの衣装を纏ったドリームイーター、ジェディーであった。
●魔女の仮面を剥ぎ取って
きょとんとしたようなジェディーの表情が、すぐに獰猛な狼のものへと変わる。
「エクレア、油断しないで参りますわっ!」
ちさがきりっと表情を引き締め、鋭い蹴りでジェディーの急所を狙うと、エクレアが心得たとばかりに翼を羽ばたかせる。
「狼さん狼さん、ここは貴女が居ていい所ではないわ」
「迷い込んだなら、俺達が送り返してやろう」
ロゼが舞うように華麗な蹴りを放てば、季由の喉元の鈴が清廉な鈴の音を奏で、ミコトが風を送り傷付いたケルベロス達を癒した。
つぶらな瞳を怒りに染めたジェディーが手にした籠からモザイクを飛ばすと、ルナの身体を包み込む。小さい悲鳴を上げたルナに向かって、素早くレイラが動いた。
「うちのルナルナに何してくれてんの、ゼーッタイ許さないかんね!」
チェチャに回復の支持を飛ばし、レイラが一歩を踏む。それは祭壇座の序章、彼女が歩を進め、踊るようなステップを踏みながら指を鳴らせば、ジェディーの姿は炎に包まれた。
「祭壇座の一幕、感想は?」
唸るようなジェディーの威嚇に怯みもせずレイラが微笑むと、ルナがぱちんと指を鳴らす。炎に包まれたドラゴンの幻影が、更にジェディーを焼き尽くすように包み込んだ。
「うちらを甘く見てると火傷するっしょ。ヴィズもやっちゃってー!」
その声にヴィズもブレスを吐き出し、ルナの身を守るように飛び回る。
「悪い狼のお腹は……」
ね? と微笑んだ昴が祈りを捧げるように組んでいた手を解き、高らかに聖王女への賛美を謳い上げる。
「聖なるかな、聖なるかな。聖譚の王女を賛美せよ。その御名を讃えよ、その恩寵を讃えよ、その加護を讃えよ、その奇跡を讃えよ」
ワイルドスペースの浸食を全身に広げ、スライム状の半獣に姿を変えた昴がその爪と牙をもってジェディーを切り裂く。
「そうそう、悪い狼は絵本同様懲らしめないとな!」
マントに隠れた尻尾を大きく揺らし、アカツキが手にした杖を大きく振るう。それは魔力を秘めた色鮮やかな蝶を呼び出し、ジェディーに向かって舞うように飛んでいくと、夢現の中を彷徨わせた。
「綺麗なものには気をつけろってな」
その後、吠え猛るジェディーと数度刃と拳を交え、決定打を掴んだのはケルベロス達だった。
「flamme flamme あなたが欲しい trick flamme 心に火をつけて 決して消えない魔法の火を」
ロゼの歌声が響き、童話の少女のようにマッチを一本擦ると、魔法の炎が数多の幻想を映し出す。囁くように最後の一節を歌えば、ジェディーを取り囲んだ炎は幻想を映し出したままドリームイーターの身体を焼き尽くした。
「悪い夢の終わりには甘いお菓子、happy Halloween―おやすみなさい」
悪夢は終り、楽しい夢の時間が再び街を包み込もうとしていた。
●ハロウィンナイトは終わらない
「そちらはどうですか?」
巨大な魔女に壊された箇所をそれぞれて修復して回っていたロゼが、季由に声を掛ける。
「こっちは終わったぞ、他の皆は……終わったみたいだな」
「うちらの方もばっちりだよ」
「ちょっとハロウィンっぽくなっちゃったかもだけど、ちょーどいいっしょ」
手を振って戻って来たレイラとルナが、橙色に染まった公園の施設を見て笑う。少し遠い場所へヒールを掛けていたちさも、ピンク色の髪を揺らして戻ってくる。
「終わりましたわっ、それでは皆様……折角ですもの、ハロウィンの記念写真なんていかがでしょう?」
楽しみにしていたのですわっ! と、ちさが用意していたカメラを見せると、片付けを手伝っていたアカツキと昴が戻って来た。
「お、写真? いいじゃん、皆で撮ろうぜ!」
「素敵な案ですね、きっと良い思い出になります」
折角のハロウィンだし、楽しまなくては損だとアカツキが頷くと、昴も穏やかな笑みを浮かべて頷く。
「皆で撮るなら、誰かに頼んできましょう」
計都がちさからカメラを受け取り、近くにいた人に撮影を頼む。皆で並び、ポーズを決めればカメラのシャッター音が数度響いた。撮影が終わると、レイラとルナが用意していたお菓子を取り出して顔を見合わせてから仲間達に悪戯心たっぷりに微笑む。
「トリックオアトリート!」
「お菓子をくれなきゃイタズラしちゃうよ?」
楽しそうな二人の声にチェニャとヴィズ、それに他のサーヴァント達もお菓子を頂戴とばかりに自分達の主の近くを飛び回る。
ハロウィンの始まりを告げるように、遠くでオレンジ色の花火が打ち上る。ハロウィンの夜はまだまだこれからだと、誰ともなしに微笑んだ。
作者:波多蜜花 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2018年10月31日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
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