●
古き良き昭和の時代の面影を色濃く残したモール型の商店街。
巷で人気のハロウィンという商機に目を付けて、街の皆さんが夜なべして飾り付けた商店街は、今ちょっとした異界情緒に包まれていた。
「ハッピーハロウィーン!!」
天井には夜光塗料で輝く星々が瞬き、カボチャのランタンで灯された道が仮装した人々を映し出す。
子供たちは腕を飛行機の様に伸ばしながら、お菓子集めに奔走中だ。
「トリックオアトリート!」
だがしかし――。
そんな楽し気な雰囲気の裏で、未曾有の危機が商店街に訪れようとしているのだった。
「近い……感じるわ……敵の気配を」
赤ずきんっぽい仮装をした一人の少女が小さく呟く。
先程からお菓子に興味を示すことも無く、険しい目つきで街行く人々を睨みつけているこの奇妙な少女。
「……マントの下が全裸の変態が、近くに潜んでいる……!」
カッと眼を見開くこの謎の美少女の正体を、あえて速攻でネタバレさせていただくと、彼女の名はドリームイーター『レッドコーム』。
変態に対して並々ならぬ嗅覚と殺意を抱く新進気鋭のデウスエクスである。
特筆すべきは変態どもが放つ微量な『恍惚』のエネルギーを感知し、その大まかな位置を補足することができるという能力なのだがーー。
「ぐぬぬ! なんで今日に限ってマント姿の人間がこんなに多いのよッ!?」
苛立つように歯を噛むレッドコーム。さすがに、この人混みとマント人口の多さでは特定が難しいようだ。
「ええい! もう面倒だしまとめてぶっ殺してやるわ! ポンペリポッサ様から授かったこの力でねーー!」
カッと光に包まれるレッドコーム! 変身バンク!
「変態死すべし、慈悲は無ーい!」
姿を現したのは全長10mもの巨体を持つポンペリポッサ!
歴史を刻んできた商店街のモールの天井がバリーンと砕け割れる!
「う、うわあああ! デウスエクスだぁあああ!!」
突如として現れた巨大な鉤鼻の魔女に度肝を抜かす人々。
こうして平和だったハロウィンは、一瞬にして阿鼻叫喚の渦に飲まれるのだった。
●
とまぁ、そんな感じの予知を語り終えたセリカ・リュミエールが集まったケルベロス達に向き直る。
「ハロウィンの力を求め、ドリームイーターの魔女ポンペリポッサが動き出したようです」
寓話六塔戦争で受けた痛手を回復する為に、ハロウィンの魔力を狙ったという所だろうか。
今回発生する事件は、ハロウィンで賑わう商店街に現れたドリームイーターが、ハロウィンの魔力を利用して『ポンペリポッサの姿に変身して巨大化』するというものである。
「ポンペリポッサ化したドリームイーターの全長は10mで、その戦闘力は本物のポンペリポッサには及ばないものの、かなりの強敵となるはずです」
敵がポンペリポッサの姿に変身して戦闘をする為には、ハロウィンの魔力を消費してしまうため、変身していられる時間は5分程度。
それが過ぎれば、変身が溶けて元のドリームイーターに戻るので、その後ならば有利に戦う事が出来るだろう。
「また、戦闘時にハロウィンらしい演出を行う事ができれば、ドリームイーターからハロウィンの魔力を奪い取る事も可能です。
ハロウィンの魔力を奪い取る事が出来れば、5分よりも早く、ポンペリポッサ化が解除する事が可能になるはずです」
レッドコーム本体は大斧を使った強力な近接単体攻撃を得意としている。ポジションはクラッシャーであり、ポンペリポッサ化を解除したあとでも決して油断は出来ない相手である。
「敵は何故か変態に対して強い殺意を持っています。その性質を利用することが出来れば、上手く攻撃対象を誘導出来るかもしれませんね……」
チラッと視線を送るセリカ。
「あ、うん……」
全てを察するケルベロス達。
「とは言え、変態側に寄りすぎるとハロウィンの魔力を集めにくくなってしまいます。
反対に変態力が弱すぎると、最悪レッドコームは一般人の変態を狙ってしまう可能性があるでしょう……」
それはそれで、日本が少しだけ平和になるんじゃないかな、と思わなくもないケルベロス達だがーー。
「皆さんの力で平和なハロウィンの夜を守って下さい。危険な依頼ですが、どうかよろしくお願いします」
そう説明を締めくくり、セリカはケルベロス達に一礼するのだった。
参加者 | |
---|---|
村雨・ベル(エルフの錬金術師・e00811) |
錠前・エルマ(ハロウィン白にゃんこキング・e19271) |
マスクドニンジャ・オリュンポス(南瓜ストリーキングミッション・e19992) |
レミリア・インタルジア(蒼薔薇の蕾・e22518) |
セデル・ヴァルフリート(解放された束縛メイド・e24407) |
大道寺・悠斗(光と闇合わさりし超者・e44069) |
田中・レッドキャップ(美貌の食神妖花・e44402) |
ソールロッド・エギル(ハロウィン黒にゃんこキング・e45970) |
●1
「とりゃとりゃとりゃー! はっーはっはっはっ!」
巨大な魔女が斧を振るえば、立ち並ぶ商店が次々と破壊されてゆく。
「あー、愉快愉快。さーて、覚悟することね。人間共」
ギョロリとした魔女の瞳が一般市民へと向けられてゆく。
人々は逃げ惑い、楽しかったハロウィンの夜は一瞬にして打ち崩されてゆく!
だがその時――!
「そこまでにゃ! 正義に対するは悪の黒にゃんこキング! ソールにゃん!」
どーんと商店街に姿を現したのは、黒猫の着ぐるみソールロッド・エギル(ハロウィン黒にゃんこキング・e45970)。
星を散りばめたマントは紫から橙へのグラデーション。頭に乗せた小さな王冠が愛らしい。
「そしてこれは黒にゃんこキングからのプレゼントにゃ!」
パッとばら撒かれるのは色とりどりの飴玉。どさくさに紛れて所属旅団のチラシ入りテッシュも一緒にばら撒かれているぞ。
「え、えーと、悪に対するは正義の白猫キング? エルマにゃん!」
対となる白猫の着ぐるみで錠前・エルマ(ハロウィン白にゃんこキング・e19271)も名乗りを上げる。
黒にゃんこキングに比べると白猫キングの動作がやや遅れ気味。打ち合わせは万全なのか――!?
「ハッピーハロウィン! スイートインプ登場♪ トリートするからトリックしちゃうぞ♪」
可愛いらしい小悪魔系ファッションに身を包み、カゴからお菓子を振りまくレミリア・インタルジア(蒼薔薇の蕾・e22518)。
見えそうで見えない絶妙なミニスカート。
絶対領域の美しさを演出する縞のハイソックス。
そしてなにより、大胆に開かれた胸元――。
そんな服を清楚系美人さんが着てしまっているんだから堪らない。
「うぅん、ちょっと恥ずかしいですけどハロウィンですし、頑張らないと」
照れが残っているのもまたGoodと言えるだろう。
「トリックオアトリート♪ ケルベロスの登場だよ」
続いてモールの上、無駄に高い位置取りを意識した田中・レッドキャップ(美貌の食神妖花・e44402)が華麗に登場。
「さぁいくよ!」
レッドキャップが帽子を放り投げると、その中からゴーストのような幻影が溢れ出し、その身体に纏わりついてゆく!
「ダイナマイト変身☆」
来た、変身バンク!
カッとした光に包まれ、服が弾けるレッドキャップ!
光る裸体の背後から、みょいーんと蔦を伸ばしてゆくジャックオーランタン型の攻性植物!
クロスする目線カットインと共に、きゅっと柔肌に巻きついてゆく蔦!
そして、キラキラした光が魔女風の帽子とマントを形作り、そのまま物質化してゆく!
「チラリズムウィッチ☆レッドキャップ参上♪」
変身完了!
魔女コスのマントがはためくと、その下は裸体に蔦を巻いただけの姿である。
「お、おお!」
突如現れた目の保養に湧き立つ一般市民の方々。いやさっさと逃げろよ。
「新手……!?」
計画を邪魔されて、ぐぬぬ、と奥歯を噛むレッドコーム。
「く……目の前の変態を倒すべきか、それとも、この場所から避難してゆく変態を先に始末すべきか――」
迷いを見せる変態狩りのドリームイーター。
だがしかし、ケルベロス達の変態攻勢はこれで終わりではない。
「ヌハハハハ! 待たせたな!!」
高らかに声が響き渡る。
人々がハッとモールの天井を見上げると、空からライドキャリバーに跨った男が、流星のように落ちてくるではないか!
「トウッ!!」
ガシャーンとモールを突き破り、カボチャ仮面の男が商店街へと降り立つ!
「な、何者よ!?」
「新手のドリームイーターかッ!?」
「でもコイツ……モザイクがないぞ!?」
謎の怪人の登場にビビるレッドコームと一般市民――!
「怪人ではない! 我が名は正義の改造人間マスクドニンジャ改め、正義の南瓜ヒーロー、パンプキング!!」
熱き正義の怒りを燃やしながら、マスクドニンジャ・オリュンポス(南瓜ストリーキングミッション・e19992)が叫ぶ。
「ハロウィンの力を奪おうなどとは……許せん!!」
煌びやかなイルミネーションを施したニンジャキャリバーに跨りながら、パンプキングがキメポーズ。
もはやボディペイントしただけでほぼ全裸。テレビ中継だったらモザイクが追加されて、よりドリームイーターっぽくなっていたに違いない。
「ふふ――」
そして続くのは変態枠からの新たなる刺客、セデル・ヴァルフリート(解放された束縛メイド・e24407)。
「(ハロウィンを楽しみ、束縛と露出スリルを味わい、そして皆様の危機も守れる……これは、もしかしなくても一石三鳥というものなのでは!?)」
裸の上から包帯をボディラインが出るほどピッチリと巻き付け、その上からカボチャ攻性植物の蔦を全身に巻き付けたセデル。
一応コンセプトとしては『ミイラの仮装』とのことなのだが――。
ちょっとミイラを名乗るには布面積が少なすぎやしませんかねッ!?
「さ、行きますよサイレント……ハロウィンの夜を存分に楽しんじゃいましょう♪」
セデルの言葉に頷くビハインドの『イヤーサイレント』。
セデルとお揃いの仮装で、一言で表すととてもエロい。
「お、おお……」
思わず息を飲む商店街のおっさん達。ガン見してる場合かよ!?。
「ぬぬぬぬ! 変態ッ! 今まで見たことも無いほどのド変態だわ、貴方達!」
顔を真っ赤にしながら怒り狂うレッドコーム!
ずんずんと地響き立てて迫り来る巨大な魔女!
戦闘開始だ!
●2
「ふぁっはっはっはっはっ! トリックオアトリートである! お菓子をくれないとグラビティをお見舞いするぞ!」
この声は高らかにして尊大。黒衣を纏う青年、大道寺・悠斗(光と闇合わさりし超者・e44069)がその口元を邪悪に歪める。
(さて、まずは一般市民の避難が完了するまで、敵をしっかりと引きつけねばならぬか)
人数が多かったせいか、まだ一般市民の避難は完了していない。
すぐ後方に逃げ遅れた子供がいることを確認して悠斗。
彼が両腕を広げると、意志を持った漆黒の槍が扇子の骨組みを開くように背後に展開されてゆく。
「まぁ、お菓子をくれても貴様らデウスエクスにはお見舞いするがな」
腕が振るわれると同時に、混沌の毒槍が敵を刺し貫いてゆく。
闇に輝く赤眼と、冷たささえ感じさせる白き肌。
呪旋角と偽翼のクオリティもやけに高く、なんかもう魔王っぽさがハンパない。
「ひッ……魔王……」
案の定、子供の一人が怯え気味。
「あ、いや、我輩はケルベロスの紳士――、大道寺悠斗!!」
これはいかん、と察知して咄嗟にくるくるシュピンとおどけて見せる悠斗だったが、時すでに遅し。子供は「うわーん」と逃げ去ってゆくところだった。
「あぁぁぁぁ……」
またやってしまった、と頭を抱える悠斗。
「えと、この場合は避難してくれたから御の字と考えることもできるかも……ハロウィンにゃっ」
エルマが落ち込む悠斗にフォローを入れるものの、遠ざかる子供の背中を見送る悠斗の姿は、どこか寂し気である。
「さあ、よい子のみんなはこっちですよー!」
さて、そんな不憫な魔王とは対照的に、南瓜モチーフの魔女っ娘コスチュームを着た村雨・ベル(エルフの錬金術師・e00811)が逃げ遅れていた他の子供たちを誘導してゆく。
「大丈夫です。わる~い魔女は私達ケルベロスがやっつけちゃいますから」
怯える子供たちに小さくウィンクをするベル。
「だから、皆の為に戦うおにーさんとおねーさんを応援してあげてね。
キミたちの声が、きっと彼らの力になりますから」
まるで子供向けショーの司会のおねーさんのように優しく微笑むベルに、子供たちも頷きを返す。
「う、うん! おにーちゃん、おねーちゃん! 頑張ってね!」
その声援は、もちろん悠斗にも向けられたものであり――。
「!? ふぁっはっはっはっはっは、我輩に任せておけ!」
思わぬ応援にドンと胸を叩く悠斗。
人々の声援を受けながら、ケルベロス達は武器を構え直す。
一般市民の避難は、これで完了だ。
●3
「変態死すべし、慈悲は無―い!」
10mもの巨体が浮き上がり、そのまま尻から落ちてくる。
ボヨンと全てを押し潰したのち、巨大な斧による首狩り攻撃が続く。
至極単純だが、恐ろしく強力な敵の単体攻撃。
だが――。
「あん、それすごく気持ちい……じゃなくて、皆さんには指一本触れさせません!」
凛として被虐。ものすごく積極的に攻撃を受けてゆくセデルと、
「敵の引き付けつけは任せておけ……さあデウスエクスよ! 私がハロウィン(変態)だ!!」
威風堂々とした仁王立ちで守護神・マスクドニンジャ。
こいつら街中でほぼ全裸だけど、おまわりさんも避難しているからぜんぜん問題ないよね!
「くっ、この! 変態! 変態! 変態!」
レッドコームの性質を利用し、ディフェンダー陣に変態枠を据えるという神采配。
ケルベロス達が用いた戦術は、敵の単体攻撃対策としてはこの上ないものだと言えるだろう。
「あの3人、変態力の測定ゲージが振り切っている……」
親の仇のように狙われているセデルとマスクドニンジャ、レッドキャップを見てソールロッドが呟く。
「僕は周囲の変態ぶりに、ちょっと逃げたくなったにゃ……」
色んな意味で際どい攻防。
エルマもこの高次元な戦いに少々萎縮してしまっている様子。
「まあ、とりあえず守備は万全。ならば一気に攻めるのみにゃ! ハロウィンにゃっ!」
ソールロッドが即興で歌い上げるのは過去の追憶。ケルベロス達の英雄譚。
今宵歌うのは、昨年のハロウィンの思い出だ。
ソールロッドの歌声が仲間達を奮い立たせてゆく。
「魔女さんも悪戯ばかりではなく、お菓子はいかがですか?」
フォーク型の槍の先にエクレアを刺して、レミリアが距離を詰め寄る。
「はい、あーん」
エクレア・エクレール。雷光纏ったエクレアが魔女の口内で爆発する。
「ッ――!」
口の中から黒煙を噴き上げながらよろめく魔女。
続くように次々とケルベロス達のグラビティを叩きこまれてゆく。
●4
さて、戦闘開始から3分が経過したころ、戦況が大きく動くことになる。
「何か消える手品をお見せしますハロィンにゃ」
パチンと指を鳴らして、エルマが放つのは不可視の魔術『ディスインテグレート』。
触れたもの全てを消滅させる虚無球体が、魔女の脇腹に風穴を穿つ。
「うぐく――!」
たたらを踏んでこの一撃を耐えた魔女であったが――。
「ええ? あれれ!? 身体が、萎んでいくわ!」
プシューっと風船から空気が漏れ出すように、巨大な魔女の姿が小さくなってゆく。
「な、なして――!?」
ケルベロス達にハロウィンの魔力を奪われ、元の姿に戻るレッドコーム。
「ハロウィンのイタズラにゃっ」
悪戯を成功させた子供のようにくすくすと微笑むエルマ。
「ぬぐぐ、変態共にしてやられるなんて――! でも、まだ負けたわけじゃあないわ!」
勝負はこれからだとばかりに、ブンブンと斧を振り回すレッドコーム。
「なんと! 魔女の正体は赤い頭巾の女の子だったのです! でも悪い子ちゃんにはちゃーんとお仕置きしないとね」
実況しながら紙兵の束をフッと吹いて撒き散らすベル。傷ついた前衛に張り付いた紙兵がその癒しの力を行使してゆく。
「しかし、改めて考えると『ハロウィンの魔力』というパワーワードも不思議な響きであるな」
極めて限定期間すぎて魔力効率が悪すぎではないか、と悠斗。
「クク……まあ、貴様も真の姿を見せたのだ。我輩もとっておきの『秘密形態』をお見せしよう!」
ガジェットに裏コードが入力され、その形態を変化させてゆく。
「これが我輩のアルティメットモード! 最終決戦型大魔導士形態である!」
カボチャ色のローブを纏った悠斗が高笑いと共に宣言する。
背後に従えるのは浮遊砲台へと形態変化したガジェット。もはやラスボスか人間要塞かといった風貌で威圧感がハンパない。
「えと……物凄く鼻血が流れ落ちてるけど、大丈夫なの? そのアルティメットモードって……」
ちょっと心配になるレッドキャップ。
「大きなグラビティを行使するとこうなるのだ……今のところ命に別状はないので心配は無用である」
心配要素しかない気がする。
さて、ポンペリポッサ化が解除されても、決して侮れない攻撃力を持っていたレッドコームなのだが、変態を狙うのは相変わらずだったので前衛はひどく安定していた。
そんなこんなでケルベロス達からの集中砲火を受けて、やがてその膝を折ることになるレッドコーム。
「うう、この私が、変態共に屈するなど――!」
必死に根性をみせて立ち上がらんとするレッドコームであったが――。
「キミのその激情。ちょっと味見させて欲しいな」
どこか恍惚とした表情のレッドキャップがドリームイーターを後ろから包み込む。
ジャックオーランタンの攻性植物が陽気に踊りながら、レッドコームの肌に絡みついてゆく。
「や、ちょ、だめぇ――!」
葉っぱでこしょこしょと弄ばれ、未知なる感覚に顔を歪めるレッドコーム。
「あっ、そこは――いやぁああん!」
商店街に木霊する最後の悲鳴。
「ごちそうさま、美味しかったよ」
その残り香を愛おしむように唇を舐めて、レッドキャップは微笑むのだった。
●5
戦いは終わった。
「ある意味、強敵であったな……」
鼻血を拭きながら悠斗。
「えーと、それでデウスエクスを倒したあとは、マントの下が全裸の変態を探せばいいんでしたよね!」
ヘリオライダーの予知情報を思い出しながらベル。そういえばそんなのも居ましたね。
「ふふ、一般市民の変態さんでしたから、とりあえずデウスエクスからは守る必要がありましたが……全てが終わった後になら社会的に抹殺……ですよね」
据わった眼でレミリアさん。
「さぁ、全力で探して逮捕逮捕ですよー」
「まずは出入り口を封鎖して、マントや着ぐるみ系の検査……ですかね」
テキパキと動き始めるベルとレミリアに、一部のケルベロス達が明らかに狼狽。
「せっかくのハロウィンにゃ! 変態探しなんか、また今度でいいんじゃないですかにゃ!」
「そ、そうにゃ! ハロウィンにゃっ! ハロウィンにゃっ!」
なにかやましいことでもあるのか、すごく必死なエルマとソールロッド両名。
「変態は変態に惹かれ合う……まぁ、ここでわざわざ追わずとも、いつか相まみえることになるだろうさ」
夜空を見上げながらマスクドニンジャ。そんなライバルみたいに……。
「では、余った時間でハロウィンを楽しんじゃいましょうか」
「お祭りの夜はみじかいよ。さ、いこっ」
セデルとレッドキャップが悪戯に微笑んで、商店街へ歩き出す。
とある商店街の平和は、こうして守られた。
きっと商店街の人達も、ヒーロー達にたくさんのお菓子を持って行ってもらおうと、首を長くしているに違いない。
作者:河流まお |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2018年10月31日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 6
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