
●某教会
「俺は常々思うんだ! 女子の胸にブラは不要、サラシを使うべき、であると! だって、そうだろ! ブラなんて、異国のモノ。日本人だったら、サラシだろ! 故に、ブラをつけているのであれば、剥ぎ取っても構わない! 何故なら、正義は我らにあるッ!」
羽毛の生えた異形の姿のビルシャナが、10名程度の信者を前に、自分の教義を力説した。
ビルシャナ大菩薩の影響なのか、まわりにいた信者達は、ビルシャナの異形をまったく気にしていない。
それどころか、信者達は興奮した様子で、両手をワシャワシャさせていた。
●都内某所
「蒼樹・凛子(無敵のメイド長・e01227)さんが危惧していた通り、ビルシャナ大菩薩から飛び去った光の影響で、悟りを開きビルシャナになってしまう人間が出ているようです。悟りを開いてビルシャナ化した人間とその配下と戦って、ビルシャナ化した人間を撃破する事が今回の目的です。このビルシャナ化した人間が、周囲の人間に自分の考えを布教して、信者を増やそうとしている所に乗り込む事になります。ビルシャナ化している人間の言葉には強い説得力がある為、放っておくと一般人は信者になってしまいます。ここで、ビルシャナ化した人間の主張を覆すようなインパクトのある主張を行えば、周囲の人間が信者になる事を防ぐことができるかもしれません。ビルシャナの信者となった人間は、ビルシャナが撃破されるまでの間、ビルシャナのサーヴァントのような扱いとなり、戦闘に参加します。ビルシャナさえ倒せば、元に戻るので、救出は可能ですが、信者が多くなれば、それだけ戦闘で不利になるでしょう」
セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)が、教室ほどの大きさがある部屋にケルベロス達を集め、今回の依頼を説明し始めた。
「ビルシャナは破壊の光を放ったり、孔雀の形の炎を放ったりして攻撃してくる以外にも、鐘の音を鳴り響かせ、敵のトラウマを具現化させたりするようです。また信者達はブラを奪うため、襲い掛かって来るかも知れません」
そう言ってセリカがケルベロス達に資料を配っていく。
「また、信者達はビルシャナの影響を受けているため、理屈だけでは説得することは出来ないでしょう。重要なのは、インパクトになるので、そのための演出を考えてみるのが良いかもしれない。また、ビルシャナとなってしまった人間は救うことは出来ませんが、これ以上被害が大きくならないように、撃破してください。それでは、よろしくお願いします」
そして、セリカはケルベロス達に対して、深々と頭を下げるのであった。
参加者 | |
---|---|
![]() 若生・めぐみ(めぐみんカワイイ・e04506) |
![]() シフカ・ヴェルランド(血濡れの白鳥・e11532) |
![]() 細咲・つらら(煌剣の氷柱・e24964) |
![]() リチャード・ツァオ(異端英国紳士・e32732) |
![]() 草薙・美珠(退魔巫女・e33570) |
![]() カレン・シャルラッハロート(シュトゥルムフロイライン・e44350) |
![]() 不動峰・くくる(零の極地・e58420) |
![]() 外村・瑠璃(地球人の妖剣士・e67063) |
●教会前
「女子の胸にブラは不要……ですか。まあ、和装であれば、状況次第でサラシを使うそうですけど、洋装では使わないみたいですね……。そういった意味でも、訳が分からない教義だと思うのですが……」
若生・めぐみ(めぐみんカワイイ・e04506)は『女性下着の今昔』という本を読みながら、仲間達を連れてビルシャナが拠点にしている教会にやって来た。
ビルシャナは女子の胸にブラは不要、サラシを使うべきと訴えているようだが、あからさまに欲望が見え隠れしているような教義であった。
そのためか、教会の外観も和風ではあるものの、意地でも寺にはしないという意志の強さが伝わってきた。
「たしかに、サムライやニンジャは、サラシのイメージがあるけど……。これって、ブラジャーを取りたいだけなんじゃないのかな?」
カレン・シャルラッハロート(シュトゥルムフロイライン・e44350)が、思わずツッコミを入れる。
そう確信してしまう程、ビルシャナ達は欲望に忠実。
少なくとも、教義を聞く限りは、そんな感じであった。
「しかも、無理矢理剥ぎ取るなんて駄目ですね。そういうのは合意の上でないと……」
シフカ・ヴェルランド(血濡れの白鳥・e11532)が、何処か遠くを見つめる。
だからと言って、合意があればイイという訳ではないのだが、ビルシャナ達がやろうとしている事よりは格段に上だろう。
「じ、女性の下着を奪おうとするなんて破廉恥な教義は、草薙神社の退魔師である私が許しませんっ!」
草薙・美珠(退魔巫女・e33570)が、恥ずかしそうに頬を染める。
どちらにしても、イケナイ教義。
このまま放っておいてイイ訳がない!
「その上、この信者共……サラシも持たずに手をワキワキとは……不埒な奴らでござるな! さっさと鳥頭を片付けて気合いを入れてやらなければいかんのではござらんか?」
不動峰・くくる(零の極地・e58420)が、殺気立った様子で叫ぶ。
とりあえず、殴って目を覚まさせるのが、一番の薬。
例え、打ち所が悪かったとしても、今よりマシになるはずだ。
「きっと、あれですね。多分、服を脱がしたら『お前女だったのか』的なラブコメを読みすぎて色々こじらせてしまった皆様方が信者になっちゃったんですかね、これ。まあ取り敢えず、さらしは呼吸しにくいし、形も悪くなるので止めさせましょう」
リチャード・ツァオ(異端英国紳士・e32732)が、色々と察した様子で口を開く。
実際に信者の大半がチェリーなボーイのようなので、この考えは間違っているとも言えないだろう。
「それ以前に、操られているとは言え、こんな女の敵を説得するほうが手間だと思うんですけど……」
外村・瑠璃(地球人の妖剣士・e67063)が、嫌悪感をあらわにする。
いっそ滅ぼしてしまった方が、世のため、人のため。
何やら救う価値がないようにも思えた。
「確かにそんな気もしますけど……。とりあえず、話だけでも聞いてみましょうか」
そう言って細咲・つらら(煌剣の氷柱・e24964)不安な気持ちになりつつ、仲間達と教会の中に入っていった。
●教会内
「いいか、お前等! 女子の胸にブラは不要! 身に着けるのであれば、サラシのみ。この教義を守らせるためであれば手段を択ぶな! 正義は我らにあるのだから……!」
教会の中にはビルシャナがおり、信者達を前にして、自らの教義を語っている最中だった。
しかも、信者達はニンマリとした笑みを浮かべており、何やらイケナイ妄想をしながら、両手をワシャワシャとさせていた。
「ところで、ドイツ人の私は、ブラジャーつけていいのよね? だいたい、サラシってデザインいまいちだし。胸がしめつけられて窮屈だよね。私ぐらいの大きさだと、ブラジャー必須だけど、日本だと合うサイズが無いから、オーダーメイドしてるんだよね」
そんな中、カレンが持ってきたブラジャーを見せながら、ラブフェロモンを使って胸をはだけさせ、思わせぶりな態度でサラシを見せた。
そのため、ビルシャナ達は生唾ゴックン!
「い、いや、ドイツ人だろうと、ロシア人だろうと例外はない」
それでも、ビルシャナは自らの教義を守るため、喉まで出かかっていた本音をゴクンと飲み干した。
(「マ、マジか!?」)
信者達はその答えに衝撃を受けたものの、ビルシャナを裏切ってもイイ事が無いと判断したのか、今にも消え去りそうな声で『そ、その通り』と呟いた。
「……と言うか、貴方達はブラを剥ぎたいだけだよね? まあ、一応言っとくけど、貴方達の好きな女の子の胸はブラをすることで胸が大きくなって……、その綺麗な形になるんだよ? それに、男の子が女の子の胸を見るのは恋人の特権じゃないかな? そんな大事な場面を、さらしにすると男の人がめんどくさいんじゃない?ブラのほうが、男の子は興奮するって聞いたよ?」
瑠璃が呆れた様子で、ビルシャナ達に生暖かい視線を送る。
一応、まわりにいた信者達は『た、確かに……』と言わんばかりに納得しているものの、ビルシャナが怖いせいか揃って無言。
「いや、俺は断然サラシだな! それに、別にブラを剥ぎたい訳ではないッ!」
ビルシャナが負け犬の遠吠えの如く、必要以上に強がった。
この様子では、引くに引けなくなってしまったのだろう。
見るからに、悔しそうな表情を浮かべていた。
「お主ら、まず、サラシが至高というなら、脱がす前にサラシを用意するでござる! そして、大事なことでござるが、お主ら、本当にサラシの事、分かってるでござるか? サラシというのは幅30cm以上、長さ数mになる幅広く長い布の事でござるぞ? まさかフィクションの包帯の様なやつの事を思い浮かべてはござらんか? 夢見ちゃってるのでござらんか? 今一度、現実を直視するでござる!」
それでも、くくるは怯む事無く、ビルシャナ達にツッコミを入れていく。
「サラシなら……ある!」
ビルシャナがクワッと表情を険しくさせ、サラシをバサッと取り出した。
一体、何処に隠していたのか分からないが、まるで手品の如く羽からヒョイッと出た感じである。
そういった意味で、昔話に出てくる鶴のような感じであったが、それと比べ物にならないほどビルシャナは醜かった。
「ほら、皆さん正直になりましょうよ。自分はブラを外した事がなくて外し方もわからないから、もしかしたら外そうとする時、わたわたまごついて恥をかくかも知れないけど、その点さらしだけならほどきやすいし、万が一ほどけなかった時でも『結び目が堅かったから仕方ない』って言い訳が出来るから、さらしの方がいいんでしょ? 大丈夫、今の世の中動画でちゃんと外し方解説してる人も居ますから慣れましょう。怖くないですから」
リチャードが色々と察した様子で、ビルシャナ達を煽る。
「うぐ……」
ビルシャナ達は、何も言い返してこなかった。
おそらく、図星なのだろう。
みんな伏し目がちになっており、何の言葉も出てこない。
「ところで、皆さん、さらしは男性もつけるって知ってます? 知らないみたいなので、めぐみが巻いてあげますね」
すぐさま、めぐみがビルシャナの身体に、濡れたサラシを巻いていく。
しかも、このサラシ。
乾くと、かなり縮むらしく、ビルシャナがゼエゼエ声を上げていた。
それでも、サラシを否定する訳には行かないと、イイ笑顔。
ただし、涙目。
色々な意味で限界だった。
「ところで皆さん、私は和服の下には下着を着けません! 着物の下には襦袢だけというのが、伝統ある日本の文化なのです!」
美珠が恥ずかしそうにしながら、ビルシャナ達に言い放つ。
もっと言えば、ブラジャーだけでなく、パンティも穿いていない。
こんな大勢の前で下着を着けていない事を主張するとは夢にも思わなかったが、これも信者達を説得するため、仕方のない事である。
そのため、信者達は大興奮。
「だ、騙されるなッ! こ、これは罠だ!」
ビシルャナが声を絞り出すようにして、まわりにいた信者達に釘をさす。
本当なら、確認したい。
教義なんて関係なく、ふたつの谷間を拝みたい。
そんな気持ちで頭の中がいっぱいになっているものの、グッと我慢の子であった。
「……そも、胸を隠すモノは何もいらないのです。サラシをするという考えが生まれる以前、人は胸には何も着けていなかったのですから、ノーブラ、ノーサラシ、ノーニプレス……。何も着けていない状態でこそ、胸の本当の魅力がわかるのですよ。私も今、胸には何も着けていません。……気になりませんか?」
シフカも思わせぶりな態度で、ビルシャナ達の顔色を窺った。
「こ、これは……確認する必要がありそうだな。おそらく……いや、間違いなくハッタリ! 嘘だったら、すぐにサラシを巻いてやれ!」
ビルシャナがゲスな笑みを浮かべ、まわりにいた信者達を嗾けた。
しかし、信者達は誰ひとりとしてサラシを持っていない。
既に欲望を解き放つ事しか考えておらず、それ以上でも、それ以下でもないようだ。
「……この信者さん達、説得してあげる必要がないのでは……。なーんか、お手手がわしゃわしゃしてて、控え目に申し上げて気持ち悪いですっ! さくっと手加減攻撃いっちゃいますかっ!」
そう言って、つららが信者達に対して、手加減攻撃を仕掛けるのであった。
●ビルシャナ
「あ、あの……さすがに見せるのは、無理ですー! ほ、本当に無理なんで……きゃああああっ!」
美珠が恥ずかしさのあまり抵抗しつつ、必死になって抵抗する。
だが、信者達は欲望全開フルスロットル。
理性の留め金が外れたような勢いで、美珠の巫女装束を脱がせて、ゲスな笑みを浮かべた。
「やっぱり、こう言う事なのね」
カレンが呆れた様子で、信者達に手加減攻撃を放つ。
一応、サラシを巻いているおかげで、信者達のターゲットからは外れているものの、見学していられるような状況でもなかった。
「これは……少し痛い目に遭ってもらう必要があるでござるな」
すぐさま、くくるも間合いを詰め、信者達に手加減攻撃!
ただし、相手が相手なので、いつもより少し痛め。
例え、洗脳が解けても、痛みが残るレベルで攻撃した。
「ええ……、えっちっちーな信者さんにはお仕置きですっ!」
続いて、つららも手加減攻撃で、近くにいた信者の意識を奪う。
やはり、説得する必要などなかったと言わんばかりに、こちらも強め。
「うぐぐ……、まだだァ!」
ハゲ頭の男性信者が、最後の力を振り絞り、瑠璃に勢いよく飛び掛かった。
「ざ――んねんでした。貴方達の主張のさらしですよ。この下にブラをしてるけど、手は出せないでしょ?」
瑠璃が勝ち誇った様子で、えっへんと言わんばかりに胸を張る。
「その下にブラがあるのか。だったら、何の問題もない!」
ハゲ頭の男性信者が、ケモノの如く勢いで、瑠璃のサラシを引き千切る。
「ちょっと、ちょっと!? 教義違反だよ? その程度だったの、君達の主張は!」
その途端、瑠璃のたわわな胸があらわになり、ビルシャナ達が幸せな気持ちになった。
「よおおおおおおおおし! この調子で全員、剥ぐぞおおおおおおおお!」
ビルシャナが興奮した様子で、まわりにいた信者達を嗾けた。
信者達もハイテンションで、再び襲い掛かっていく。
既に、サラシは関係なし。
ふたつの谷間が見れれば、それでイイ。
そんな気持ちが伝わってくるほど、ビルシャナ達がニタリ顔。
「まだまだ巻き足りなかったようですね」
それを迎え撃つようにして、めぐみが信者の頭を踏み台にして飛び上がり、ビルシャナの身体にウール製のサラシを巻く。
「私の胸の柔らかさ……たっぷり堪能してから逝ってください」
次の瞬間、シフカがビルシャナの顔面を胸で塞ぎ、抱き締めるようにして拘束し、右胸・左胸の間、胸の谷間に『地獄門』と呼称される異空間への穴を発生させ、その穴から無数の鎖を出現させて、内部に引きずり込んだ。
「うわ……」
それを目の当たりにした信者達が、ドン引き。
完全に戦意を喪失させて、恐る恐る両手を上げた。
「まあ、これで分かったと思いますが、教義を信じたところで、不幸になるだけです。それを理解したら、二度とこんな事はしないようにしてください」
そう言ってリチャードが信者達を諭すようにして、語り掛けていくのであった。
作者:ゆうきつかさ |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
![]() 公開:2018年10月10日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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