月見風呂で酒なんて絶対許さない!

作者:小鳥遊ちどり

●とある温泉宿の玄関先
「これでよし……っと」
 新潟県某所にある和風の温泉旅館の玄関先で、粋な作務衣姿の四十がらみの女将が、せっせと立ち働いている。
 綺麗に磨いたガラス戸に貼られているのは、絵手紙風に満月が描かれたポスターである。
 そこには、
『月見風呂で一杯いかがですか? 10月は26日。当日お泊まりの方には、混浴大露天風呂にて、350ml缶ビール1本か、地酒ワンカップ1杯を無料で提供致します』
 とある。
 9月末の本物の十五夜で同じイベントを開催し、大変好評だったので、10月にもやっちゃえー! ということらしい。
 女将は掃除の手を休め、ポスターを嬉しそうに眺めた。
「十五夜は満室だったからね、10月にもまたきっとお客さん大勢来てくれるだろうよ。紅葉ともかぶってるから、ネットでの予約も順調だし、張り切って準備しなくちゃ!」
 と、その時。
 バッサバッサバッサ。
 唐突に羽音がして、大きな影が黒々とさしたと思ったら。
 バリバリィ!
「ああっ、何すんだい!」
 せっかくのポスターが、鉤爪で乱暴に剥がされてしまったではないか!
 女将が怒って振り向くと。
「月見風呂で飲酒、許すまじいィィィ!」
 ちょっと鶏風な白いビルシャナが雄叫びを上げていた。
「風呂で飲酒は、健康によくない! 回りやすいし、血圧も上がる! そもそも月見か温泉か酒か、どれかにしろっちゅーんじゃ!」
「で……デウスエクス……!?」
 しっかり者の女将であるが、いきなりのビルシャナの登場に腰を抜かしてしまった。
「先月だけならば見逃してやったが、性懲りもなく今月もやろうとは、不届き千万。許すわけにはいかん! 面倒だ、旅館ごと焼き払ってくれるわー!」
 ゴオオオォォ……。
 孔雀の形をした炎が、木造旅館に襲いかかる……!

●ヘリオンにて
「混浴露天風呂で月見で酒、サイコーじゃないの! お湯に映った月に並べてお盆浮かべたりしてさ、ねえ? しかもこの時期だと紅葉まで見られるんじゃないの!?」
 と、いくらか興奮気味に仲間たちに訴えているのは、この事件を発見した白焔・永代(今は気儘な自由人・e29586) である。
 まあまあ、と笹島・ねむ(ウェアライダーのヘリオライダー・en0003)は彼を宥め、今回の作戦について説明を始めた。
「今回のターゲットは『月見風呂でお酒は許さない』ビルシャナなんですー」
 この風流を介さないビルシャナが現れるのは、新潟県にある某老舗温泉旅館だ。
 渓流沿いの混浴大露天風呂が売り物で、満月の夜に風呂でお酒を提供するイベントを開催しているのだが、不幸にもビルシャナに目をつけられてしまった。
「順調にいけば、ビルシャナが女将さんの前に現れたタイミングで介入できるはずですよ」
 現場に派手に登場し、ビルシャナをケルベロスに引き付けることができれば、女将を逃がし、旅館の建物からも気を逸らすことができるだろう。
 尚、平日日中の中途半端な時間なので、旅館内やその付近に客はおらず、従業員が数人いるだけだ。彼らの避難は女将に手伝ってもらって手早くやってしまおう。
「ビルシャナを引き付ける係と、避難誘導係に分担すると、効率がよさそーです」
 戦場は旅館の前にある駐車場なので、広さは充分だ。
「このビルシャナも元々は人間だったはずなんですけど、もはや救うことはできません。これ以上被害が大きくならないよう、心置きなく撃破しちゃってくださいねっ」
「ところで」
 と先ほどよりは落ち着いた様子の永代が。
「任務完了後は、その自慢の混浴大露天風呂ってヤツには入れてもらえるのかな?」
「女将さんに頼めば、きっと大丈夫だと思いますよー」
「月見酒は?」
「あー、それはまだ日程がまだ少し先ですしー、あ、そうか、個人的に予約してきたらいいんじゃないですかー?」


参加者
御神・白陽(死ヲ語ル無垢ノ月・e00327)
霧島・カイト(凍護機人と甘味な仔竜・e01725)
機理原・真理(フォートレスガール・e08508)
ディオニクス・ウィガルフ(否定の黒陽爪・e17530)
神宮寺・純恋(陽だまりに咲く柔らかな紫花・e22273)
マルレーネ・ユングフラオ(純真無表情・e26685)
御影・エイト(黒曜の瞬翼・e29577)
白焔・永代(今は気儘な自由人・e29586)

■リプレイ

●老舗旅館、危機一髪!
「先月だけならば見逃してやったが、性懲りもなく今月もやろうとは、不届き千万。許すわけにはいかん! 面倒だ、旅館ごと焼き払ってくれるわー!」
 横暴極まりないビルシャナが、怯える女将の背後、旅館の風情ある建物に向かって火を噴こうとした、その瞬間。
「――死にゆく者は無知であるべきだ。要らぬ煩悶は捨てて逝け」
 無から生じたかのように忽然と、御神・白陽(死ヲ語ル無垢ノ月・e00327)が怪鳥の至近に出現した。そして彼の存在を認識させる間も与えず、冷ややかにダメージを与える。
「!?」
 前触れなしに与えられた衝撃にビルシャナはよろめき、今こそ吹かれんとしていた炎は、ポスッとガス切れの100円ライターのような情けない音を立てただけで不発となった。
 先陣の仲間が作ってくれた隙を逃すまいと、ケルベロスたちは素早くビルシャナを囲み、自分たちに注意を引き付けようとする。
 まずは白焔・永代(今は気儘な自由人・e29586)が、
「アンタ、間違ってるよん! 月見と酒と風呂が一度に楽しめるから、贅沢で良いんじゃないか! それに、風呂上がりの牛乳や水の一杯が美味くなるし」
 と一気にまくしたてた。
 間を空けず、親友でバイト仲間の御影・エイト(黒曜の瞬翼・e29577)が、生真面目な様子を崩さずに、
「あんたの主張のようにどっちかにしろと言われたら、風呂はいるのも月見するのもどっちかにしなきゃいけないし、酒だけダメな理由にはならないと思うんだが、なぁ……」
 俺も思ったんだけど、とバイト長の霧島・カイト(凍護機人と甘味な仔竜・e01725)も、
「月見風呂で酒が許せねぇんなら、放火魔にならんでも、景色を隠しちまえば良いんじゃないか……?」
 それでもビルシャナである以上、どの道しばき倒すわけだが。
 月見はおいとくとしても! と永代はビルシャナに口を挟ませない勢いで、
「何より、色っぽかったり、水着のおんにゃのこ達を眺めて酒を飲むのは正義!! お前も男なら分かるだろうが!」
「あ~ら、女にとっても月見露天風呂にお酒は正義よ」
 人妻の貫禄を漂わせて神宮寺・純恋(陽だまりに咲く柔らかな紫花・e22273)が、ずいと男共を押しのけ、
「やっぱり日本酒をチビチビやりたいところよねー。紅葉がおちょこの中に入ったりするとより風流だし。これぞ大人の贅沢」
 うふふ、と嬉しそうに含み笑いし、
「あー……そんなん考えるとお酒飲みたくなってきたわー」
 と、彼女はくるりと旅館の方を振り向いて。
「ってことで、女将さん、一番美味しい地酒よろしくー。ビルシャナさっくりとやったら、一杯引っ掛けるから」
 振り向いたそこには、機理原・真理(フォートレスガール・e08508)とマルレーネ・ユングフラオ(純真無表情・e26685)に支えられ、また真理の愛機、プライド・ワンにカバーされながら、旅館の中へと避難していく女将の姿が。
 避難が順調に開始されたことを確認した純恋は。
「……ってことでアタシのお酒のために倒れるがいいわーふっふっふー」
 と、愛弓をビルシャナの鼻先に突きつけた。
「お、お前らさては、ケルベロスかっ!」
 やっと口を挟めたビルシャナは。
「何だよ現れた途端に人の主張にケチつけやがって! 入浴しての飲酒なんか体に悪いに決ま……」
「うるせえ」
 台詞途中でぞんざいに遮ったのは、ディオニクス・ウィガルフ(否定の黒陽爪・e17530)。
「ジャンクフードや食品添加物も健康に悪けりゃ、強制されるストレスが一番健康に悪いンだよチキン野郎がァァァァ!!」
 ゴングを鳴らすが如く、勢いよく拳を打ち鳴らし。
「さァ、狩の始まりだ!」

 仲間が敵を挑発し、引きつけてくれている一方で。
「信者がいないのは楽でいい。だけど、気をつけて」
 マルレーネと真理は、驚きと恐怖に打ちひしがれている女将を励ましながら、旅館の事務室へと駆け込んだ。
「女将さん、避難訓練は普段からしてる?」
「は、はい、それはもちろん」
「なら、館内放送で避難を呼びかけることはできる? お客さんはいないね? 従業員だけなら、裏から皆で逃げるのがいいだろう」
「わかりました……あ、でも外周りの作業をしている従業員2人には、放送が聞こえないかもしれません」
 真理は冷静に、壁にかけてある旅館の非常口等が記してある見取り図を一瞥し、
「ならば私が外の方に声をかけに行きましょう。マリーは女将さんのそばに」
 それ以上言わずとも、視線だけで2人は即座に互いの役割を理解し、頷きあった。
「わかった。真理、また後でね」
 早速真理はビルシャナの目の届かない窓から外に出て、私道や庭の手入れをしていた従業員たちに声をかけて回った。その間にマルレーネは女将に館内放送をしてもらい、館内の従業員たちを集め点呼をとった。そして2人は迅速に合流させた従業員たちを、そのまま裏の厨房の勝手口から外に出し、数十メートルほど離れたところにある隣のホテルへと避難させた。これならば、万が一被害が広がることがあっても、隣の車で避難してもらうことができる。
 それでも、絶対被害を出さずに解決してみせる……! その決意をもって2人は仲間の元ーー戦いの場へと急ぎ戻る。

●戦闘開始
 ディオニクスが鳴らしたゴングと同時に、カイトと純恋が、
「オウガメタルちゃん、よろしくー」
 前衛と後衛に向かって全身の装甲から光り輝くオウガ粒子を放出し、仲間の感覚を高めていた。
 その光を浴びながらディオニクスが、
「風呂で焼き鳥片手に酒を飲みゃァ寒い露天風呂でも芯から温まる。お前が焼き鳥役になるかァ? ぁあん?」
 力の限り咆吼して敵を怯ませ、すかさず永代が星型のオーラを蹴り込んで、趣味の悪い紫色の羽毛を飛び散らせる。
「とぅッ!」
 エイトは丸く弧を描く軌跡で手羽元に斬りつけたが、
「おのれら、なにすんじゃ!」
 ガバッと振り向いたビルシャナの嘴から孔雀型をした炎がほとばしり。
「……ぐっ」
 炎の奔流に吹き飛ばされてしまった……しかし。
「テレ蔵君、キャッチー」
 テレ蔵君が力強く受け止め、純恋が、
「お助けくださいなー」
 白蛇の守護をこめた由緒ある矢の一撃で、すぐさま癒してくれた。
 そこへ、避難誘導中の主より先に戻ってきたキャリバーがガトリング掃射で牽制を始めると、
「死を撒くモノは冥府にて閻魔が待つ。潔く逝って裁かれろ」
 すかさず白陽が氷の一撃をぶち込み、カイトは下げたバイザーに隠れた瞳を一瞬赤く光らせて、氷に包まれていた敵を一転、激しく燃え上がらせる。加えて、
「チビ、ブレス」
 ボクスドラゴンのたいやきの息がその炎を一層かきたてた……が、ビルシャナはわたわたと炎を叩き消すと、
「こっ……この鐘を鳴らすのは貴様らだ!」
 両の翼で梵鐘を鳴らすような動作をし。
 ……ゴーーーーン。
 重々しい鐘の音がどこからともかく響いてきて。
「う……?」
 後衛の者たちが鐘の音波に身を震わせ、怯えた目をして後退った。
「拙いよ、トラウマだッ」
 永代が慌てて妖精の靴で癒しのステップを踏み出した、その時。
「逃がさないのですよ……!」
「お待たせ、まだ私が殴る余裕ある?」
 突然大地から地下茎がにょきにょきと突き出し、ビルシャナに絡みついた。更に半透明の巨大な御業がゆらりと現れ、怪鳥を鷲掴みにすると、鐘の音がピタリと止んで。
「真理、マルレーネ!」
 避難誘導に当たっていた2人が戦線に加わったのだった……ということは、女将と従業員たちの避難が順調に済んだということで。
 そしてケルベロスが全員揃ったということでもある。
「よっしゃアァァ! こっからが本番だぜ!!」
 ディオニクスが爪をギラリと光らせ、
「過日の幻、薄暮の現、黄昏の夢、宵闇の真――、汝が脳裏に刻まれし、棄て去れぬ者の面影よ……。……今一度、会い見える時――……さァ……」
 トラウマ返しとばかりに襲いかかる。

●トラウマ合戦!?
 単体で行動しているだけあって、ビルシャナの攻撃力は侮れないものがあった。特にトラウマ攻撃には手こずらされ、ケルベロスたちは思い出したくもない過去の傷や黒歴史に苛まれる羽目になった。
 だが、手数とチームワークに勝るケルベロスには、信者も連れぬビルシャナは難しい敵ではない。数分の後には、かなりのダメージを与えることに成功していた。
「……もうひとがんばり、だな」
 またしても死角から切り込んだ白陽の愛刀、非物質化した七つ影がビルシャナの霊体をえぐると、カイトはオウガメタル・凍護銀涙の冷たい装甲で覆った拳を砂肝のあたりにめりこませた。
 同時に、
「たいやき、タックル!」
 ドラゴンにタックルをかまさせたところに、真理も、
「いきなさい、プライド・ワン!」
 炎をまとった愛機を突撃させ、自らは改造チェンソー剣を構えて飛び込んでいく。
 すかさず、
「くらいやがれ!」
 獣の素早さで旅館の庇に駆け上ったディオニクスが、高い位置からの全体重を拳に載せた一撃を見舞えば、永代のチェンソー剣のうなりが、その炎を更に勢いづける。
 後方からは、エイトがアームドフォートの砲台を全開して引き金を引き、マルレーネが、
「健康第一は結構だけど、風情を理解できないんじゃ、心が病気になるわよ」
 ハエトリグサのような貪欲な蔓をのばそうとした時。
「……こ、この鐘を……ッ」
 ビルシャナがよろめきつつも、またしても鐘を突いた。
 ……ゴーーーーン。
 戦闘開始時よりは鐘の音も大分弱ってはきている。しかしトラウマがやっかいであることは間違いないわけで……。
「前衛だ、たいやき、防ぐぞ! そう何回もやられてたまるかッ」
「プライド・ワン、出なさい!」
 カイトとサーヴァントたち、ディフェンダー陣が果敢に前へと出て壁となった。
 同時に、後方から純恋が前衛へとオウガメタルの光粒子を送る。
「ありがとう」
 護られたマルレーネは咄嗟に攻撃を切り替え、漆黒の魔法弾を、
「お返しだよ」
「ぐあ……っ」
 まともにトラウマボールを喰らったビルシャナは。
「う……や、やめてくれ……もう飲めない……き、気分が……湯あたりも……うえっ……げ……」
 よろよろと後ずさりながら呻いている。
 どうやら人間であった時の、飲酒からの入浴で悪酔いした際の苦い記憶が、トラウマとしてよみがえってしまったらしい。
 ちょっと気の毒ではあるが――ここで躊躇するケルベロスたちではない。
 前後から挟み撃ちにした真理のチェンソーと、永代の星を纏った蹴りが、紫色の羽毛を羽布団を引き裂いたかのように飛び散らせる。
 純恋もここは勝負処と判断し、チームのフォローをテレ蔵君に任せ、
「ほいさっさ!」
 縛霊手・護りの紫花でがっつり抑え込み、
「ナイスホールド!」
 エイトが鳥モモの根本あたりに日本刀を突き立てしっかりと動きを封じた。
「霧に焼かれて踊れ」
 漂う強酸性のピンク色の霧は、マルレーネの必殺技。すでにかなりボロボロの羽毛が、じゅわじゅわと溶け、鳥肌が透けてくる。
「もらった!」
 ディオニクスと白陽が同時に飛び込み、爪と、刀を、渾身の力と集中力で振り下ろしてトドメとするー――。
「……つ、月見風呂など……滅びてしまえ……っ」
 それでもしぶとく捨てぜりふを残し、不風流なビルシャナは、錦繍の秋山で滅んだのであった。
 落ち葉のように秋風に散りゆく紫の羽毛に向けて、
「その命、糧となれ」
 ディオニクスが精一杯渋く弔いの言葉を呟いたが……相手が相手なので、何とも微妙な表情であるのはやむを得まい。

●紅葉の風呂で
 そしていよいよお楽しみ! の混浴露天風呂、紅葉つきである。
「月見酒は後日の楽しみということでェ……」
 戦闘が終了し、女将さんたちが戻ってくるとすぐに月見酒イベントの予約を入れたディオニクスは、ご機嫌で温泉と大きな岩に身をゆだねている。
 白陽は少々痛んでしまった駐車場のヒールもサクサクこなし、サッパリした様子で温泉を楽しみ、
「上がったら、お酒いただこーっと」
 純恋ものびのびと心と体を大きな風呂の中にのばしている。
「なんたって、息子と旦那の面倒とご飯は姪っ子達に任せてきたから今日はフリーだもんねぇ」
 そりゃーもう最高の開放感であろう。
 マルレーネと真理のカップルは、下半身浴をしながら冷たいジュースを仲良く飲んでいる。月見風呂で酒、ならぬ、紅葉風呂でジュースも乙なもの。
「今度は依頼じゃなくて、観光で来ようね、真理」
「そうですね、マリー」
 そしてもちろん、幸せそうにいちゃいちゃしているわけだが……。
「……ま、まさかおにゃのこ同士であんなことまで!?」
「あんまりみるな、失礼だろ」
 そんな2人をガン見している永代を、カイトとエイトが死角になる岩場に引きずり込んだ。
「そ、そうだった、今日一緒な子たちは、恋人持ちと人妻だもんな……自制自制」
「それにしても、まさかこういう機会が来るとは思わなかったな」
 浮ついている友人とは違って、エイトは感慨深げである。
「定命化してからこういう所に来るのは初めてだったり……?」
「はあ……まさかこうやって、一緒の風呂に入って紅葉眺める時が来るとは思わなかったよねん」
 永代は友人たちを複雑な表情で見やったが、カイトは紅葉を眺めて。
「たいやきは月見でも団子だし、俺も酒はあんまり飲まないけど、風流くらいは介してるつもり……だから、いいよな、こういうの」
 お土産に日本酒を買って帰ろうと思っている。
「まあねぇ」
 永代は肩をすくめて、
「依頼受けた時には、水着うへへのつもりだったけど、これはこれでいっか」
 うむ、とエイトは真剣に頷いて、
「せっかくだから……のんびりしていきたいものだな……せめて、もう少し……くらいとか、ダメか?」
 すると、実は世話焼きのカイトは苦笑して。
「女将さんに聞いて、今からでもOKだったら、このまま泊まっちゃうか?」
 従業員の分まで含め、一泊分くらいの予算は用意してきたらしい。これぞバイト長の鏡!?

作者:小鳥遊ちどり 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年10月18日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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