大阪戦線、竹の陣

作者:okina

●竹兵前進
 大阪、緩衝地帯・旧市街地――早朝。
 まるで人の全身に竹を生やしたような攻性植物が8体、迷彩服をまとい無人の市街地を音も無く進んで行く。3体の槍兵を先頭に、腰を落とし、あるいは地を這うような姿勢で、物陰から物陰へ。互いの間に言葉は無く、時折ハンドサインを交わしたり、耳を澄ませるような仕草を交え。
 ゆっくりと、しかし確実に。8体の攻性植物は大勢の人々が住む新市街地へ向けて、静かに歩を進めて行った。
●サーチ・アンド・デストロイ
「まずはお集まり頂き、感謝っす!」
 一同を前に、黒瀬・ダンテ(オラトリオのヘリオライダー・en0004)はそう言って、頭を下げた。
「先の大阪城への潜入作戦は無事成功し、貴重な情報を持ち帰る事ができたっす。これらの情報は、今後の大阪城の攻性植物との戦いに大いに生かされるっす!」
 さすがケルベロスの皆さんっすね! とダンテはキラキラした目を向けて来る。
「けど、大阪城への侵入を許した事で、攻性植物の警戒レベルも上がってしまったみたいっす。現在、大阪城周辺の警戒区域に、竹型の攻性植物の軍勢が確認されているっす。彼らは、大阪城へ接近するケルベロスを警戒すると共に、大阪市街地への攻撃を行い、支配エリアを拡大させる事を目的としているみたいっす」
 近隣住民の為にも、将来の大阪城攻略の為にも、放置するわけにはいかないっす、と彼は言う。
「敵の数は8体で、軍隊のような連携をとって、隠密行動をしつつ索敵を行っているみたいっす。多分、ケルベロスが居ないか探ってるんじゃないっすかね? けど、しばらく探して見つからないと、その足で近隣の市街地に攻撃を仕掛けに行っちゃうっすよ!」
 一般市民の被害を防ぐ為には、敵が緩衝地帯に居る間に迎撃する必要がある、と説明する。
「敵は隠密行動をしつつ、索敵によりケルベロスを発見しようとしてるっす。こうなったら、こっちも隠密行動をしつつ索敵して、攻性植物を発見してやるっすよ!」
 拳を握りしめ、どちらが先に相手を発見して、奇襲を仕掛けられるかが鍵になる、と力説するダンテ。
「互いの戦闘力は、ほぼ互角っす。つまり、先に発見して、奇襲を仕掛けた側が圧倒的に有利って事っす!」
 皆さんなら上手くやれっるっす、と信頼の眼差しを向けてくる。
「このまま攻性植物の勢力拡大を許したら、地球もオウガの故郷の二の舞になるかもしれないっす! 皆さん、どうかよろしく頼むっすよ!」
 一同に向かって、再び頭を下げるダンテに、ケルベロス達が力強く応えを返した。


参加者
藤守・景臣(ウィスタリア・e00069)
ディークス・カフェイン(月影宿す白狼・e01544)
葛城・唯奈(銃弾と共に舞う・e02093)
ピジョン・ブラッド(銀糸の鹵獲術士・e02542)
浦葉・響花(未完の歌姫・e03196)
空国・モカ(街を吹き抜ける風・e07709)
モヱ・スラッシュシップ(機腐人・e36624)
椚・暁人(吃驚仰天・e41542)

■リプレイ

●索敵警戒
 良く晴れた、ある日の早朝。大阪の緩衝地帯には静かに索敵を行う、ケルベロス達の姿があった。
(「そろそろ大阪城や大阪の街を明け渡して頂きたいもの……なのだがな、まったく」)
 漆黒の髪と瞳を持つレプリカントの女性、空国・モカ(街を吹き抜ける風・e07709)は低い姿勢で無人の市街を進みながら、内心でそう漏らす。先日、数名のケルベロスが大阪城への潜入に成功したものの、ゲート攻略の目途は全く立っていないのが現状だ。隠密気流をまとい、遮蔽物に身を潜めながら周囲の様子を伺い、他の仲間達へとハンドサインで合図を送る――『敵影ナシ』

(「迷彩服というのは……少々、慣れないデスネ」)
 普段のデコラティブな服装とのギャップに内心戸惑いながらも、そういった感情はおくびにも出さずに、無表情で索敵を進めるのは、モヱ・スラッシュシップ(機腐人・e36624)だ。傍らには打ち捨てられた家具に擬態しようとするミミック、『収納ケース』の姿がある。自身も隠密気流に加え、消音コンバットブーツや迷彩ポンチョを着込み、隠密行動に努める一方で、敵の痕跡や僅かな行動音を捕えようと意識を集中する――該当なし。他の仲間へ向けて『敵影ナシ』のサインを送り、彼女は静かに前進を再開した。

(「んー、向こうの方は『敵影ナシ』か……」)
 茶色の瞳で仲間に教えてもらったハンドサインを読み解きながら、葛城・唯奈(銃弾と共に舞う・e02093)もまた、『敵影ナシ』のサインを返す。そして、音を立てないように注意して物陰から身を起こすと、自分もまた移動を再開した。彼女を含め、参加した8名のケルベロスの内、6人が『隠密気流』、一人が『闇纏い』持ちという徹底ぶりだ。誰か一人でも先に発見されれば、仲間全員が危険に晒される……そんな重く冷たいプレッシャーを逆境を楽しむ気持ちでねじ伏せ、唯奈は笑みを浮かべて前を見る。
(「ま、がんばろっか!」)
 まだ見ぬ敵を求めて、彼女は次の区画へと歩き出した。

(「良し、この区画は終了、っと」)
 仲間達から送られて来るハンドサインを元に、手元の地図と方眼紙へ印を書き添えてゆくのは、椚・暁人(吃驚仰天・e41542)だ。一般通信機器が使用不能な場所故に、彼の『スーパーGPS』が役に立つ。
(「大阪城から得た情報には目を通しましたが……竹、ですか」)
 暁人がマッピングを行う間、周囲の警戒を行っていた、藤守・景臣(ウィスタリア・e00069)は眼鏡の奥で紫の瞳を細めて、ふと思考を巡らせる。もしかしたら、今回の相手である竹の攻性植物は、元人間かもしれない、と。敵の手に落ちたばかりか、先兵にされる無念は如何程であろうか。だが、それでも……あるいは、なおの事……。
(「――平穏をもたらす為にも、残さず殲滅してさしあげましょう」)
 妻のような犠牲者を増やさない為に――心に静かな炎を宿し、敵が漏らす微かな違和感を捕らえようと、更に五感に意識を集中する。
 そこへ『闇纏い』で物陰に隠れながら、白髪の精悍なウェアライダーの青年、ディークス・カフェイン(月影宿す白狼・e01544)が帰って来た。
『北側、異常ナシ』――暁人の持つ地図の一点を指さしながら、ハンドサインを送るディークス。単身で近くの廃ビルに潜入し、高所からの広域偵察を終えて戻って来たところだった。
『お疲れ様』――ディークスへ向けて、ハンドサインで感謝を伝える、景臣と暁人。
(「声を出さずに潜むのって忍者っぽいけど、あんまり経験ないんだよね」)
 だから今回は仲間に頼ろう――『スーパーGPS』を使う為、自分では隠密系能力を用意出来なかった暁人は、信頼の眼差しで警戒に当たってくれている仲間達に視線を向ける。
(「……プラブータみたいな事になるのを防ぐ為にも、頑張らないとね」)
 気合を入れなおし、仲間達へ『マッピング終了』のサインを送ると、暁人はそっと立ち上がり、先行する仲間たちの後を追った。

(「この市街地は……随分、朽ち果てたわね」)
 人が住まなくなった街並みを見渡し、黒髪黒瞳のウェアライダーの女性、浦葉・響花(未完の歌姫・e03196)はひそかに心をいためた。
 人の住まなくなった建物は傷みやすい。建物としての外観は残っていても、そのままでは実用に堪えないだろう。ひび割れた外壁の隙間から雑草が伸びていたり、小さな虫が出入りしていたりするのを見ると、一層強く、そう感じた。
(「っと、いけない……感傷に浸ってる場合では無いわね」)
 頭を振って意識を切り替えると、手ごろな廃ビルを見つけて、先行する仲間にサインを送る。

 ――『了解、気を付けてね』
 高所からの広域偵察へ向かう響花をハンドサインで送り出し、ピジョン・ブラッド(銀糸の鹵獲術士・e02542)は赤い瞳を正面へ戻した。
(「作戦自体はサバゲーみたいで、ワクワクしないと言えば嘘になるが……敵も8体かぁ」)
 浮足立たないように慎重にいこう、と心に決め、ピジョンは次の曲がり角を目指す。敢えて壁際を離れ、大きく弧を描くように少しずつ視界を広げて行く――カットパイと呼ばれる索敵方法だ。窓や扉、植え込み等には特に注意して、一歩一歩、慎重に歩を進めて行く。幸い、手元にはディークスが用意してくれた、航空地図がある。多少の差異はあれど、ある程度地形が判っているなら、それに越した事は無い。
(「――――?」)
 耳を澄ませながら、周囲をうかがっていると、廃ビルの屋上で物陰に身を潜める響花と目が合った。何かあったのかと思い、サインを送ると……。
 ――――『敵、発見』
 普段は軽薄そうなピジョンの顔に、不敵な笑みが浮かんだ。

●突撃強襲!
 まるで人の全身に竹を生やしたような攻性植物が8体、迷彩服をまとい無人の市街地を音も無く進んで行く。先頭を進むのは3体の槍兵、正面と左右の三方に分かれて警戒しながら、静かにゆっくりと歩を進めて行く中……不意に、陽が陰った。
「躊躇わず……討つ」
 とっさに頭上を見上げた竹槍兵の目に映ったのは、黒髪をなびかせて落ちて来る響花の姿と鋭く伸ばされたブラックスライムの穂先。中央に陣取る竹槍兵が、見上げる姿勢のまま肩口を貫かれ、奇怪な声を上げる。
「まだまだいくよ!」
 続いて路地から飛び出した暁人が、響花の襲撃に気を取られた竹槍兵たちの足元に『見えない地雷』をばらまき、まとめて爆破。
「市街地には到達させないよ……さあ縫い止めろ、銀の針よ」
 更に物陰から身体を起こしたピジョンが銀色に光る針と糸を生み出し、最も深手を負った竹槍兵1体をい絡めとる。そこへ2人のサーヴァントである、ミミックの『はたろう』とテレビウムの『マギー』が襲い掛かり、更なる傷を与えてゆく。
「おっと、余所見は良くないぞ」
 前線へと注意の逸れた竹兵士たちの後方へ、牽制とばかりに襲撃を敢行するのは、ディークスだ。
「唄え。その想い示す儘に」
 意思が紡ぐ歓喜の唄が青い稲光となって、竹将軍たちを蹂躙し、その身を痺れさせてゆく。
「モヱさん、確認お願い!」
 二丁のリボルバー銃を構えた唯奈が、敵の退路を塞ぐように陣取り、声を上げる。
「ターゲット8体確認致しました、事前情報と一致デス!」
 戦場を見渡し、索敵漏れを防ぐ、モヱ。
「ふむ……様々な人型攻性植物が存在するものだな、興味深い」
 敵の陣容に視線を走らせ、モカがぽつりと呟く。
「よく訓練されているようだけど、武器のセンスはまんま植物だよね」
 その呟きに、ピジョンがニヤリを笑って相槌を打つ。そう言う彼の手にある武器はヤナギの枝のスリングショットだが――それはそれ、これはこれで、別物だ。
「……只、安らかに眠れ」
 眼鏡を外した景臣の瞳が藤色に灯る。奇襲を受け硬直する敵陣に肉薄し、その刃に己のグラビティ・チェインを乗せて、真っ直ぐに『舞藤』を振り抜いた。
「ギィイィィィ――――ッ!?」
 唯、斬る為だけに生み出された刃が、最も深手を負った竹槍兵を真っ二つに断ち割り、その存在を消滅させる。
「まずは、一体」
 残心を忘れず油断無く刀を引き戻し、景臣は静かにそう告げた。

●烈火のごとく
「ギィ……ッ」
 態勢を立て直した竹将軍が、不快そうにきしみを上げた。不意の雷撃に打ち据えられた竹銃兵たちを鼓舞すると、一斉攻撃の号令を下す。
「キァアァァァ!?」
「クゥウゥゥゥ……ッ!」
 2体目の竹槍兵を仕留めようと攻め寄せる、ケルベロス4人にサーヴァント2体、総勢6名へ向けて掃射の三重奏が放たれた。おまけとばかりに、爆竹兵が毒煙弾をばらまき、更に状況を悪化させる。
「っ、よくも……!」
 竹兵士たちの猛反撃に響花は怒りをあらわにする。減衰によって個々の負傷は、多少マシにはなっているが、前衛全体の損害は大きい。特に庇う事で二重に傷つくディフェンダー3名は体力の3割以上を失っている。メディックとはいえ、彼女一人ではとてもカバーしきれない。
「ギィッ……ギィッ……!」
 ここぞとばかりに残った2体の槍兵が、傷つき足止めされたモヱに激しく攻め掛かった。
「まだ……まだデス!」
 傷つき装甲を引き裂かれながらも、彼女はまだ倒れない。ディフェンダーとしての能力と防具耐性、二重の防御で耐え切り、敵の攻勢を押し留める。
「ひるまないで。押し返すわよ」
 仲間たちの背を押す、響花の声。縛霊手から飛び出す無数の紙兵が傷ついた前衛を守護し、メディックの力がその呪縛を打ち払う。
 敵は脱落1、味方はゼロ。被害が大きいからこそ、この利を失うわけにはいかない。
「グラビティ収集、コードベータでの再構築及び展開を実行シマス」
 続けてモヱが破軍の力を展開、仲間達へと付与してゆく。
「マギー、支援宜しく!」
 自分のサーヴァントに回復を任せ、ピジョンは極限まで集中させた精神の力を竹槍兵へと叩き込む。突如、爆発に晒され、矛先が鈍る竹槍兵。それが反撃の狼煙となった。
「――参る」
 仲間たちへ短く告げて、左右二刀の斬霊刀を振るう、景臣。『舞藤』と『此咲』から放たれた衝撃波が竹槍兵を貫き、その霊体を引き裂いてゆく。
「これでも喰らえっ!」
 唯奈の放つ銃弾が、壁や地面に跳ね返えり、傷ついた竹槍兵の死角から襲い掛かった。
「キィッ!」
 だがしかし、そこへもう一体の竹槍兵が割り込み、その身をもって盾となる。
「くっ……暁人、頼んだ!」
「わかった!」
 次撃を仲間に託し、道を空ける唯奈。そこを応えを返した暁人が駆け抜け、炎を纏ったエアシューズで強烈に蹴り上げた。更にミミックの『はたろう』が偽物の財宝をばらまき、敵の判断力を惑わしに掛かる。
「ギィイィィィ――ッ!?」
 身体を覆う竹が焼き切られ、激しく軋みを上げる、竹槍兵。だが、まだ……まだ倒れない――ディフェンダー故の防御能力に遮られ、倒しきれない。
「チィ……モカ、少しここを頼む」
 竹槍兵との苦戦を察して、ディークスは仲間に後を頼み、身をひるがえす。
「ああ、任せてもらおう」
 モカが力強く頷き、敵後衛の牽制の為、大量のミサイルを浴びせてゆく。更にモヱのサーヴァント『収納ケース』も偽物の財宝をばら撒き、敵後衛の自由を奪ってゆく。
「消えて……無くなれ」
 ディークスが放つ、不可視の虚無球体。それが竹槍兵の胸を背後から撃ち抜き、その本体――コギトエルゴスムを消滅させる。敵の守りを力づくで打ち砕く、クラッシャーの本領発揮だ。
「ギィ゛ィィィ――……!?」
 風穴を開けられた竹槍兵の身体が、萎び枯れ果て、崩れ去る。
「これで……2体目だ」
 鋭い視線で敵をにらみつけ、王の気配を帯びた声音で、ディークスはそう告げた。

●決着
 激しい弾雨を浴びて、防具耐性を持たないサーヴァント2体が遂に力尽きる。
「ありがとう、大いに助かった」
 傷つきながらも庇い続けた、仲間のサーヴァントたちに感謝を捧げ、景臣は藤色に灯る瞳を敵へと向ける。
「今度はこちらの番デス」
 ミミックの『収納ケース』を倒されたモヱが、反撃とばかりに立ち上がった。彼女を守護する響花の紙兵が、その身を苛む毒と炎を吹き飛ばしてゆく。
「貫け」
 鋭く響く、ディークスの声。武器にして相棒たる、ブラックスライムの『闇蜥蜴-with-』が身体を伸ばし、竹将軍に襲い掛かる。
「外来植物はここで退場願おうかねぇ?」
 ピジョンの狙い澄ました矢が竹将軍の急所を深く射貫き、その身を激しく軋ませた。
「地を這い、その足を砕け! 陰流縛鎖!」
 竹将軍の死角から襲い掛かる、無数の鎖。暁人の放ったグラビティの鎖が敵を締め上げ、その核――コギトエルゴスムを圧壊させる。
「後……4体!」
 竹将軍の残骸を振り払い告げる、暁人の声。
「ギィィィ……」
 指揮官を失い、妨害に勢いを削がれながらも、止むことのない敵の抵抗。弾丸の嵐が最も傷の深いモヱへと殺到する。
「ガァ……ッ!」
 衝撃に薙ぎ倒され、モヱの身体が地に投げ出される。
「モヱっ!?」
 仲間を案ずる響花の声が戦場に響く。
「ッ……、ま、まだデス……ッ!」
 限界を超えた打撃を受けてなお、歯を食いしばり、再び立ち上がるモヱ。止めの一撃を放つはずの竹将軍は、もはや居ない。
「よし、押し切るぜ!」
 唯奈のアームドフォートが一斉に火を噴き、最後の前衛たる竹槍兵を粉砕した。
「残り、3体!」
 少女の男勝りな声が、力強く戦場に響く。残るは多重妨害によって自由を奪われた竹銃兵のみ。もはや歴戦のケルベロス達の脅威とはなりえない。
「竹の攻性植物だけに、なかなか斬りやすく爆ぜやすいな」
『旋風』と『疾風』、二本の惨殺ナイフを手にモカが舞う。追撃に追撃を重ね、竹銃兵を解体してゆく。
「これで……終わり」
 響花の縛霊手が最後の竹銃兵を捕らえた。頭上から力一杯殴りつけ、粉砕する。
「ギィイ゛ィ゛ィ゛ィ゛――――……」
 断末魔の軋みを上げながら、枯れ果ててゆく竹銃兵。残敵無し、全目標撃破完了。市街地の脅威が取り除かれた瞬間だ。
「やったね、皆おつかれさま!」
 新しい飴を取り出し、唯奈が笑みをうかべる。
「この調子で少しでも早く、ここの住人が戻って来れると良いわね」
 住み慣れた町を追われた人々を想い、響花は心から願う。
「とはいえ……」
 勝利に沸く仲間たちの横で、ディークスは思案気に首を巡らす。
「竹は根を同じくして、また新たな芽が生える――まだ暫くは続くのかね……」
 赤い瞳を大阪城の方角へ向けて、誰にともなくそう呟いた。

作者:okina 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年10月21日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 5/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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