ショタじゃねぇ、美少年執事だ!!

作者:木乃

●それは耽美にして繊細、硝子細工のように
 東京都立川市。執事喫茶は数あれど、やはり見目麗しい華に人は惹かれてしまう。
 それは螺旋忍軍も変わりないらしい。
「美少年喫茶、だと……な、なんと素晴らしい文化でござろうか!?」
「薔薇のように繊細で美しく、気高さを持ち合わせた若き執事……拙者、脱帽の極みにござる……」
 麗人と呼ぶに相応しく、けれど成熟しきっていない特有の美しさ。
 仮面の奥に貯まる涙をドバドバ流す相方の背をたたき、二人組の忍びは眼下の喫茶店を中止する。
「ターゲットはやはり『金髪碧眼の美少年』が鉄板でござるよな?」
「然り! そして『華があって気が強い』であろう美少年執事……ややっ、あの者はどうでござるか?」
「――――満点! あの者を改造し、配下として売り込めば、影羽衆の面目躍如は必定。評価も鰻登りに違いない!」
 螺旋忍軍を侮るデウスエクス共も少しは見直す、かもしれない。
 そんなの希望的観測に過ぎない? うるせぇこっちは必死なんだよ!!
「周りの連中は……ついでにグラビティ・チェインにすればよかろう――いざや参らん!!」
 突撃☆隣のなんとやら!
 硝子の砕け散る甲高い音を盛大に響かせ、螺旋忍軍は目当ての少年を求めて大騒動を巻き起こすのだった――。

「老紳士にイケメン、需要はたくさんありますが……美少年を選ぶとは、こだわりの強い螺旋忍軍ですわね」
 オリヴィア・シャゼル(貞淑なヘリオライダー・en0098)もやや呆れ気味に事件について話し始める。
「立川市にある執事喫茶を螺旋忍軍が襲撃しようとしていますわ。『影羽衆』という一派のようでしてよ。どうやらサブカル系の美少女、美少年を誘拐して洗脳や改造したのち、他のデウスエクス勢力へ売り渡すことが目的のようですわね」
 印象は見た目が10割。可愛いは正義!
 ――その手の美的感覚をもつデウスエクスなら、高く買い取る可能性があるだろう。
「少年少女や周りの市民が被害を受け、デウスエクス勢力の増長は阻止しなければなりませんわ。皆様にはこの執事喫茶で影羽衆の計画を止めてくださいませ」
 さて、影羽衆の狙う執事喫茶は当然、お客様も来店している。
「事前に避難させてしまうと、影羽衆は警戒して別の場所へ襲撃をかけるでしょう。そのため『避難誘導は、影羽衆が現れてから』を鉄則に作戦を行ってくださいませ」
 万が一、避難させてしまうと事件が阻止できなくなる。
 それだけは絶対に避けて欲しい、とオリヴィアは警告する。
「問題の執事喫茶なのですが……『美少年』を売りにしているようですわね、ショタではなく『美少年』です」
 なんで『美少年』を強調するんだ? ケルベロスの問いにオリヴィアも額に手を当てる。
「ショタはあくまで元気いっぱい、やんちゃで子供らしい男児としましょう。しかし、美少年は麗しく、植物じみた無機質さをもつ妖精のような少年……と、今回は定義します」
 女装男子とも、男の娘とも、ショタっ子とも違うジャンル――と見れば良い。
 うっかり解釈を間違えると影羽衆はスルーしかねないので要注意だ。
「どうやら今回は『金髪碧眼の、華があって気が強そうな美少年』をターゲットにするようですわ。髪や瞳は小道具でごまかせば遠目なら区別できないでしょう、好みに合う格好でケルベロスが現場に居合わせれば、影羽衆はケルベロスを狙うと思われましてよ」
 美少年マニアの影羽衆は二人。
「攻撃は雷遁による広範囲への放電、影遁による刺突、何故か美少年への愛を叫ぶと言霊で異常状態すら回復するようですわよ」
 なんで愛を叫ぶと回復するんだよ!!
 すでに訳が解らない相手に何人かのケルベロスは頭痛を覚えている。
「今回はドワーフの方でも美少年執事になりきれれば問題ないでしょうし、女性は来客として紛れ込んでおいたほうが動きやすいかと……ボディラインで見分けをつける可能性がありますので」
 いまだ隠れ潜み続ける螺旋忍軍……もはや手段は選ばず、他勢力への汚名返上に躍起になっているようだ。


参加者
クリュティア・ドロウエント(シュヴァルツヴァルト・e02036)
藤林・シェーラ(ご機嫌な詐欺師・e20440)
リュリュ・リュリュ(仮初の騎士・e24445)
トワ・トガサカ(スケアクロウ再び・e30469)
コメット・ニコラウス(ミュルッキュタハティ・e32690)
不入斗・葵(微風と黒兎・e41843)
村正・千鳥(剣華鏡乱・e44080)
ケースケ・シャイニング(自称小さな大芸術家・e45570)

■リプレイ

●美少年、とは?
 今回ばかりは関係者に紛れるのは難しい。
 店員同士、互いの顔を知らぬという可能性は限りなく低いからだ。……よって、今回は喫茶店側に協力要請を行っている。
 支度をしている囮、もとい美少年役を待とうと客席にまぎれていた女性陣は優雅なティータイムとしゃれこむ。
「確かにどの執事も綺麗な顔立ちで品がありますね。妖精のような、という例えも頷けます」
 店内に視線を巡らせたトワ・トガサカ(スケアクロウ再び・e30469)はさほど興味もなさそうに呟く。
 バトラー服に身を包む若き執事達は、女性特有の丸みおびたシルエットではない。
 細い指。長い脚。まつげで縁取られた宝石のような瞳――けれど凜々しい横顔は少年らしさを感じさせた。
 クリュティア・ドロウエント(シュヴァルツヴァルト・e02036)もメニューを手にしながら思案に耽る。
(「螺旋忍軍からHENTAIじみたアトモスフィアを感じるでござるな……デウスエクス殺すべし、HENTAIにも慈悲はないのでござる」)
「まあまあ堅苦しいことは抜きにして! 周りには執事、しかも美少年ですよ美少年!!」
 既に有頂天モードの村正・千鳥(剣華鏡乱・e44080)は『有料』だと判明してからも、薄氷を歩むように従事する美少年執事を捕まえては片っ端からカメラに収め続けていた。
 美少年が売りだからね。彼女の財布が底をつかないことだけ祈ろう。
(「んー、やっぱりうちの執事とはレベルが違うなぁ」)
 初めて来た執事喫茶。興味はあったものの、老執事を傍仕えにする不入斗・葵(微風と黒兎・e41843)はつい店員の所作をチェックしてしまう。
 その振る舞いは、熟練のプロフェッショナルとは雲泥の差――しかし葵のように執事がいる家庭はごく一部の富裕層。
 小市民にとって、メイドにしろ執事にしろ、普段から接点のない者達が上流階級の気分を味わう為の場所がここだ。
「……野暮は言いっこなしよね、紅茶もなかなか美味しいし」

「美味しい紅茶とお菓子で心地よい時間を提供する……執事のみとはいえ、お茶会の基本じゃないかな?」
 そこに割り込んできたのは囮役の一人、藤林・シェーラ(ご機嫌な詐欺師・e20440)だった。
 カラコンとウィッグで金髪碧眼に変身し、品の良い、けれど自信に満ちた笑顔を浮かべる。
 シェーラに続いて、他の囮役も次々とバックヤードから姿を現わした。
 常連客も初顔の登場にまじまじと値踏みするように視線を集めていく。
「あれ、新人さんよね?」「可愛い子も雇い始めたのかしら」
(「……やっぱりというか、それなりに注目はされるみたいね、私たちも」)
 好奇の視線とヒソヒソ話す客人の態度に、居心地の悪さを顔に出さぬようリュリュ・リュリュ(仮初の騎士・e24445)は努めて微笑をつくろい、店内を歩きだす。
 コメット・ニコラウス(ミュルッキュタハティ・e32690)は慣れないコンタクトの感触に瞳を潤ませながら、瞼をこすりたい衝動と格闘中。
「……目がごわごわする」
「後で目薬つけてこいよ、ちっとは治まるからさ」
 同じように目の色をごまかし、くせ毛を抑えて上品なヘアスタイルに仕上げたケースケ・シャイニング(自称小さな大芸術家・e45570)はこっそりアドバイスを送る。
 先にフロア内に立つリュリュ達と他の店員を見比べ、ケースケは内心ちいさくため息をこぼす。
(「やっぱ俺の想像通りだなぁ……あの、なんとかの一族?みたいな……」)
 ――なおケースケが裏でコメット達に聞いたところ、首を傾げられたとかなんとか。
 頑張れ38歳。今のキミは美少年になりきるしかない!!
 オムライスを頬張っていた千鳥はコメットらの姿を見つけると「んー!!」と歓声をあげ、懐に忍ばせたカメラに手を伸ばす。
「コメットさん、コメットさん! ポーズ取ってください、ポーズ!!」
「ちょ、ちょっと千鳥さん!? 撮っていいなんて言ってな……もう、撮らないでってばっ!」
「うへへへへへ!!」
 勘の良い挙動で嫌がるコメットにフラッシュを焚きまくる……やはり周囲の客と執事も困惑顔になる訳で。
(「これが演技なら名女優ですね……」)
(「挨拶はだいじ。古事記にも書いてござる」)
(「千鳥さんは執事が好みなのかな?」)
 珍騒動ぶりに葵達三人は度肝を抜かれてしまうが、ここからが肝心。
「他にも楽しんでいる方もいるのを忘れていないかな? お転婆が過ぎるのは良くない」
「はしたないお嬢様はキライだよ? 淑女たるもの、しとやかさは忘れないでよね」
 せっかく楽しんでいる雰囲気を乱してしまうのはマナー違反。
 冷ややかに微笑むシェーラとケースケはピシャリと窘め、元いた席へ丁重に引き戻す。
 借りてきた猫のように大人しく連行される千鳥も(「ちょっとやり過ぎちゃったかな?」)と頬を掻く。
「ちゃんと許可もらってからにしてよね、あんなに迫られたらびっくりでしょ……」
 乱れたストールを直しつつ、コメットはチラ、と窓際を一瞥する。
 監視しているであろう螺旋忍軍の侵入方法は解っているのだ。まだ来ないのかと八つ当たり気味に思案した。
(「少年扱いされるのはいいけど、体型で男女の区別がつくとか気持ち悪いし……あーもう!!」)
 ――――さっさと出てきてよ!!
 コメットが心の中で叫ぶと同時に、日の光を取り込んでいた窓が盛大に粉砕する。

●美少年とは!
「おお、まさにパラダイス……しかし全員を連れ帰ることは出来ぬ」
 現れた螺旋忍軍の二人はぶちまけられたガラス片の海に立ち、周囲に視線を巡らせる。
 仮面とサブカル系Tシャツを羽織った姿は非常にアンバランス。
「かなり悩ましいところでござるが…………やはり『あの者』が良い!」
 一瞬、コメットに視線をやったと思ったが――飛びかかったのはシェーラだった。
 振る舞い、言動、佇まい。どちらも甲乙つけがたいほど理想像に近かった……ただ『一点』を除けば。
「ホントにこっちに来たぁ!……まぁ、僕って美少年だから仕方ないかな!?」
 モデル、俳優、芸人。何故、一流の表現者は人目を惹きつけるのか?
 ――それは『自信が滲み出ている』からだ。人はそれを『華』と例える。
 その一点において、シェーラの醸しだす雰囲気は特に目を惹きやすかった。
「ドーモ。初めまして。影羽衆=サン。クリュティア・ドロウエントにござる」
 牽制をかけたシェーラの脇からクリュティアもボインッとしめやかにエントリー。
 ライドキャリバーの青矢号も追ってダイビング轢き逃げアタックし、その隙にガラス片で負傷する市民に向け、コメットが星座の光で応急処置を施す。
「従業員さん、ここはケルベロスが相手する。今はお客さん達と一緒に避難して!」
 悲鳴響く店内の中へ葵は割り込みヴォイスで呼びかけ、避難経路へ誘導していく。
「えぇい曲者でござるか!?」
「狼藉を働こうとしたのはそっちでしょ――失われし面影よ、力を貸して」
 リュリュが小太刀から魂魄の光をクリュティアに放ち、技の冴えを洗練させるとさらに爆煙による士気向上を図る。
「はいはい、なるべく壁際を伝ってくださいね」
 頭上から降り注ぐ破片にしゃがみ込む市民を促しつつ、トワはバトンのように如意棒を手繰る。
「……――さあ、さあ、さあ」
 戦い(あそび)ましょう、闘い(あそび)ましょう、斗い(あそび)ましょう!
 余波で吹っ飛んできたテーブルをふわりと捌き、返す刀で放ったトワの乱れ突きが螺旋忍軍を壁に激突させる。
「こっちはもう少し出口を死守する、そっちは頼んだぜ」
「お任せあれ!我こそは天才美少女妖剣士、千鳥ちゃん!! ――此処に剣・参!!!」
 市民への流れ弾を身の丈ほどある和筆ではじき落とし、ケースケは退路を確保しつつ、千鳥が気合のメタリックバーストで戦場を光る粒子で満たしていく。
「よもやケルベロスだったとは……小生、一生の不覚!」
「しかし、あのような逸材もそう居まい。なんとしても連れ帰るでござる!!」
 実らぬ想いほど燃え上がるものがあるのだろう。
 理想の美少年を連れ帰るべく、螺旋忍軍の二人も放電と影の針で応戦する。

「秘剣・シャドウ・キリにござる!」
「なんと視覚的にやかましい! 駄肉を無駄に揺らしおって!!」
 スゴイ=バストをダイナミックに上下させるクリュティアの手刀に、影羽衆も影遁による刺突攻撃で応戦する。
 しかし、継続的に強化されていくクリュティアの一手が次第に上回り、葵が周囲に黒百合の花を咲かせていく。
「舞うは黒百合……咲きて散りゆけ、紡げ……連綿たる呪いを――」
 葵を中心に渦巻いた黒い花嵐は速度を増していく。
 込められた呪詛に影羽衆は苦しげに咳き込み、もう一人の影羽衆が阻止すべく、リュリュごと巻き込もうと放つ雷撃にシェーラが飛び込む。
 髪型が崩れたケースケもクリュティアの押さえ込む忍びに、一発打ち込もうと筆を滑らせた。
「俺の渾身の赤!しっかり目に焼き付けやがれ!」
 血の池を思わせる、鮮やかな鉱石塗料が筆先を満たす。
 気をとられている一瞬を突き、宙に描いた唐獅子を傷口に食らいつかせた。
「く、ただショタ派でいられたなら三白眼ショタは響いた……しかし!! 真の『美』を知れば後戻りは出来ないでござる!!」
「大粒の宝石じみた瞳!磁器のようになめらかな肌!! 女の漂わす肉欲を一切感じさせぬ、花のごとき純粋な美ィィ!!」
 真実の美に近いほど儚く、短命――即ち『少年期』にこそ存在するのDA!!

 屋内を揺るがす二つの叫びが互いを一喝し、まとわりつく弱体効果を吹き飛ばす。
「ぎゃーーーー!!ほんとに吹っ飛ばされてるーーーーーーーー!?!?」
「美人薄命。ですが、繊細な相手に荒っぽいのはスマートじゃない――打ちて鳴らすは手古舞」
 訳が解らないと絶叫するコメットはクリュティアに気弾を放ち、トワも肩を竦ませる。
 二本の如意棒を百節に崩し、トワはフェイントを織り交ぜながら乱打で四方から仕掛け、リュリュが頭上からカカトを叩き落とす。
「その足、少し止めて――――刻む」
 ルーンの輝く右手で怯んだ影羽衆の腕を掴む。
 指先から突き刺さるように氷の棘が生え伸び、間合いに飛び込んだ千鳥も我流の構えをとり、
「我流村正……かごめかごめ」
 唄にあわせて予備動作を見せぬ、なます斬りの連続から残芯しつつ禁断の歌を歌う。
 千鳥が確実に体力を削り、影羽衆は再び弱体させられていく。
「性癖を押しつけようとは笑止千万でござる―――カイシャクしてやる、ハイクを詠めでござる」
 先に刃を交えていた影羽衆はすでにサブカルTシャツもボロきれ同然。クリュティアは分身を生じると一瞬で全方位を取り囲む。
「――分身殺法 斬影刃!!」
 多重攻撃が決まると血飛沫は花火のごとくはじけ、肉片ごと辺りに飛び散った。

 上品な絨毯を真っ赤に塗らし、残る影羽衆も青矢号とリュリュ、葵の猛攻に離脱する隙も謀れる状態ではない。
「男の子同士を脅かす不届き者、これにて成敗しちゃいます!!」
「出来れば一人でも助けてくれよな!?」
 鋭角に閃く剣で斬り込む千鳥に続き、ケースケが跳び蹴りで顎下から蹴り上げる。
「ぐぬぬ……美少年を執事に据えて商いを行う。我らが悪くて、地球では良いとは何事でござるか!?」
 抗議する影羽衆だが、それはそれ。その美少年を人身売買しようという点が違うんですよ奥さん(?)
 道理の通らぬ持論へのツッコミとばかりに、無言のトワが上腹部に掌打を叩き込む。
「少年扱いはナノ単位くらいは悪くないかなー……って思ったけど! そういう見方されたら僕だって嫌なんだよねっ!」
 一気呵成に押しきってしまえ!
 コメットの爆風がシェーラ達、前衛の士気を最高潮に押し上げる。
 クリュティアの一太刀が足の腱を絶ち、体勢を大きく崩した影羽衆にシェーラがバスターソードを最上段に振り上げる。
「見る目だけは認めてあげる、それだけだよ――――阿鼻叫喚を御覧じろ!」
 全身をバネにし、振り下ろした無銘の長剣が肩口から袈裟に斬り裂く。
 不安定な姿勢で両断され、体は剣筋に沿ってズルリとスライドする。
「美、びしょ、ねん……バンザ……――!!」
 死の間際まで己の愛好を叫び、影羽衆だったモノは事切れた。

●美少年とは――
「ふむ、所詮は下忍の実行部隊ですか。特に機密らしきものはなし、と」
 慣れた手つきで残骸を漁るトワだが、重要そうな物はないと解ると、真っ赤になった手を洗いに席を外す。
「いささか暴れすぎたでござるか?」
「雷遁だかなんだかで盛大にやっちゃってくれて、もう……」
 倒れた観葉植物を直しつつ唸るクリュティアに、リュリュも眉根を寄せてヒビ割れた壁に刃の光をあてがう。
 コメットとケースケもヒヤヒヤしながらインテリアや建材にヒールを施していくと――。
「……星座模様がついちゃったね、これはこれで雰囲気があって良いと思うけど」
 シェーラは床や天井に残った星座のテクスチャを見渡し、千鳥も何度もうなずく。
「星座の中で輝く男の子……千鳥ちゃん的にもいいと思いますよっ」
 かつてギリシャの大神が魅了された美少年は、大鷲に捕まり天界へ導かれてしまった逸話がある。
 もしかしたら、そんな奇縁がこの空間を呼び寄せたのかもしれない。
「お客様の様子も気になるからね、ここはこれでよしとしようか」
 もう少しアフターケアに勤しもう。シェーラの提案で葵達は残る仕事に着手する。

作者:木乃 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年10月12日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
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