きらきら☆ツインテール

作者:犬塚ひなこ

●襲撃
 或る日の午前。
 紅茶の香りが満ちる落ち着いた喫茶店。もとい、メイド喫茶の天井裏で二人組の螺旋忍軍、影羽衆は展開を行き交うメイドの少女達を見定めていた。
「決めたでござるよ、あの金髪ツインテールの娘を攫う!」
「ふむ、なかなかでござる。やはり萌えの王道はツインテール……。彼女を改造すれば、さぞ忠実な配下として何処の勢力へでも売り込めるでござろう」
 何やら怪しいことをひそひそと語りあう彼らが注視するのは、金の髪を二つに結った可愛らしい少女だ。他にもショートカットの少女や、三つ編みお下げの少女もいるが、ツインテールの彼女が動く度に髪がきらきらと輝くのが影羽衆をときめかせているらしい。
「では、仕事の時間でござる。他の人間どもは……」
「勝手に逃げるならそれもよし、邪魔しに来ようものならさくっと皆殺しでござるよ。わざわざ我らに美少女だけでなくグラビティ・チェインまで供給してくれるのなら、遠慮なくいただくべきでござる」
 そして、狙いを定めた影羽衆は頷き合う。
 次の瞬間、天井が派手に崩れ落ちたかと思うと螺旋忍軍が現れて――。

●きらっとカフェ
 喫茶店に訪れていた人々は虐殺され、ツインテールのメイド少女は攫われる。
 ある街のメイド喫茶『きらっとカフェ』という場所に影羽衆という螺旋忍軍が襲撃しようとしている未来が予知されたと話し、雨森・リルリカ(花雫のヘリオライダー・en0030)はちいさな溜息を吐いた。
「影羽衆の目的は、サブカル系の美少女や美少年を誘拐して洗脳と改造をしたあとに、他のデウスエクス勢力へ配下として売り渡すことみたいです」
 罪のない少年少女が襲撃されることも、どこかのデウスエクス勢力の手駒が増えることも見過ごすわけにはいかない。至急、予知のあった店に向かって影羽衆の企みを阻止して欲しいと願い、リルリカは詳しい説明を始めた。

「今回、難しいのは事前に避難活動をしてしまうと、影羽衆は別の場所で襲撃を起こしてしまうということなのです」
 そうなると事件の阻止ができなくなるため、少女達の避難などは影羽衆が出現してから行うようにしなければならない。
 また、影羽衆はその場にいる者の中で『最も外見が自分の趣味嗜好に合う者』を狙って誘拐しようとする。そのため、今回で言うと『金髪ツインテール』姿のケルベロスが現場にいれば囮となることが出来るようだ。
「敵がこちらを窺うのは天井裏の穴からなので、ウィッグで変装していてもきっとばれません。一応ですが、お店のメイド服も用意していますので良かったらお使いください!」
 そういってリルリカは様々なサイズのメイド服を並べた。
 どうやらその店はロングスカートタイプとミニスカートタイプの制服が用意されているらしく、どちらもシックな黒を基調とした色合いだ。
 メイドに変装する者以外はお客として席についていても良いし、何なら全員がメイドとして潜入しても構わない。誰が囮となり、誰が現れた影羽衆に対応し、誰か一般客や他のメイドを避難させるかは自由だ。
 皆のやりやすい形で挑んで欲しいと告げ、少女は説明を終えた。
「敵がターゲットを選ぶ基準は何だかおかしいですが……誘拐されてデウスエクスの手駒にされる人が出ないように確実な撃破をお願いします!」
 萌えを語ったりわざわざメイドを攫おうとしたりと何とも奇妙な相手だが、戦いとなれば油断の出来ない相手となる。
 どうか被害を食い止めて欲しいと願い、リルリカは番犬達を送り出した。


参加者
メイア・ヤレアッハ(空色・e00218)
リリウム・オルトレイン(星見る仔犬・e01775)
鎧塚・纏(アンフィットエモーション・e03001)
樒・レン(夜鳴鶯・e05621)
アイヴォリー・ロム(ミケ・e07918)
ウルストラ・ルールルゥ(闇這う翼・e10755)
金剛・小唄(ごく普通の女子大学生・e40197)
ココ・チロル(箒星・e41772)

■リプレイ

●美少女、選びます
 メイドカフェの天井からこんにちはでござる。
 今回、拙者こと影羽衆壱号が相棒の弐号と共に改造に相応しい美少女を探していく次第。それでは、早速この覗き穴から店内を窺うことにするでござるよ。

●メイドカフェの光景
 カフェが開店して間もなく、店に訪れたのは常連客が二人。
 そして、新規客に扮してテーブルに座る樒・レン(夜鳴鶯・e05621)だ。彼らを迎え入れたのはなんと、総勢十人のメイド達。
『なっ、多過ぎではないでござるか!?』
『しかも殆どが金髪ツインテールでござる。このカフェ、もしや専門店……?』
 天井でそんなやりとりが行われている中、レンは注文した紅茶が来るのを待っていた。表情には出さぬまま思うのは影羽衆のこと。
(「趣味趣向は人それぞれと言えどおかしな基準で選ぶものだな」)
 今回の敵は妙な基準で人選を行うらしい。だが、己らの奴隷とする人材の選択としてはあり得る話だと思い直したレンは仲間達の様子を見る。そのテーブルの下ではウルストラ・ルールルゥ(闇這う翼・e10755)のナノナノ、イーヴが大人しく控えていた。
 其処へココ・チロル(箒星・e41772)とウルストラが現れ、恭しく礼をする。
「少々、お待ちください。只今お茶の準備をしております、ので」
「ちゃんと待ってなさいよね。美味しく淹れてあげるから。……仕事だからであって、あなたの為じゃないんだから勘違いしないでね」
 少しばかりたどたどしく、けれど物静かなメイドを装ったココ。ツンデレ風な物言いでふいっとそっぽを向くウルストラ。彼女達を見た影羽衆はひそひそと囁き合う。
『ロングとミニ、大人しめとツンデレメイドの対比……』
『良きものでござる。しかし他のメイドもよく見てみたいでござるな』
 そして、影羽衆は別のテーブルを覗き始めた。
 常連客の注文を取っているのは、蝶ネクタイで執事風に決めた匣竜のコハブを連れたメイア・ヤレアッハ(空色・e00218)だ。新顔だね、と客に問われたメイアは柔らかく目を細め、自分の境遇を語る。
「元は別の洋館にお仕えしていましたが、縁あってこちらのお屋敷でお世話になることになりました。よろしくおねがいします」
 クラシカルな全円ロングスカートをひらりと翻したメイアはそっと微笑んだ。
 穏やかながらもしっかりとした受け答え、そしておっとりとした雰囲気のメイア。その隣のテーブルではアイヴォリー・ロム(ミケ・e07918)が紅茶を運んで来ていた。
 メイアと一緒で彼女もまた金髪にツインテールの装い。ちなみに元いたメイド店員はアイヴォリーの指示によって髪を解いているので、影羽衆の興味はすべてケルベロスメイド達に注がれている。
 そうしてアイヴォリーは客の前に紅茶のカップを置き、どうぞ、と告げた。ありがとう、と客が礼を言うとアイヴォリーは少しだけ視線を逸らす。
「お礼なんて……別に貴方のために一生懸命淹れたわけじゃ……美味しいですか? そ、そう、ならいいのです」
 そのツンとした態度の中に交ざるいじらしさは実に可愛らしい。
『可愛いでござるな』
『あの子はメイアちゃんとアイヴォリーちゃんという名前か。要チェックでござる』
 影羽衆達はうんうんと頷きを交わして『良い……』『尊い……』と呟いていた。しかし、彼らの視線はすぐに店の壁側にいた二人組のメイドに向けられる。
 その片方は鎧塚・纏(アンフィットエモーション・e03001)。ぼんやりとして儚げな雰囲気に加え、スタイルが良い姉系メイド。もう片方はモップを持って楽しそうにお掃除をする妹系メイドのリリウム・オルトレイン(星見る仔犬・e01775)だ。
 実は二人は姉妹揃って奉公に出されたという設定があったりなかったりする。
「リリちゃん、スカートの裾に気を付けて」
「はい、おねえさま。おそうじ楽しいのでだいじょうぶ……ぎゃわーー!」
 元気にモップ掛けをしている妹メイドに纏が声を掛けた次の瞬間、予想通りにリリウムが転んだ。ふええ、と泣きそうになるリリウムに纏が手を差し伸べようとする光景を見つめる影羽衆は何故だか優しい表情をしている。
『ドジっ娘な妹に魅力的なボディの姉メイドでござるか』
『ううむ、ポイントが高い! 高得点間違いなしでござるよ!!』
 次第に興奮してきたらしい影羽衆だったが、ふとバックヤードから出てきた黒い人影に気付いて首を傾げた。
 その正体は金剛・小唄(ごく普通の女子大学生・e40197)であり、とても可愛いゴリラだった。そう、マッチョ姐さんゴリラメイドである。
 リリウムをひょいっと小脇に抱き上げて起こしてやった小唄はその後にレンのテーブルへと向かい、運んできたパンケーキにチョコシロップで絵を描きはじめる。
「美味しくなぁ~れ♪ というかえーと……この制服、かなりきつくない?」
 似合ってるかな、とメイドっぽくご主人様に愛の凝視を送る小唄。だが元から強い目力によって威圧感増し増しで見下す形になってしまう。しかり、相手は仲間のレンなので気にすることはない。
「成程、猫か。可愛い絵が描けるのは良い事だ」
 小唄が描いたシロップの絵を見つめたレンは小さく頷く。その際に小唄の相棒猫である点心が残ったシロップを摘み食いしたのはご愛敬。
 穏やかな時間が流れる間もレンは番犬としての忍務を必ず成し遂げると心に決め、気付かれぬよう天井の気配を探り続けていた。
 そんなことは露知らず影羽衆はメイド選びの相談を続行している。
『驚いたが、これも多様性でござるか』
『なかなか侮れないカフェでござるな。むむっ、ゴリラメイドちゃんが奥に引っ込んだ代わりに新しいツインテールメイドが現れたでござる!』
『ああ~~、セクシーでござる~~』
 新たなメイドの登場に興奮する影羽衆だが、実は彼女は人間形態になった小唄だ。自分達がケルベロス達に翻弄されていることにも気付かず影羽衆は有頂天。
「おねえさま、次はこっちをおそうじしたいです」
「うん、いっしょに行こう。リリちゃんが転んだら今度は受け止めるから」
 その合間にも纏とリリウムが仲睦まじい姉妹メイドの雰囲気を見せつけるように仕事をしていく。ウルストラも危なっかしいリリウムを見守りつつ、アイヴォリーと一緒にツンデレメイド具合を発揮して接客を行う。
 更にココが穏やかに、メイアがしっかりと仕事をこなす姿もなかなかだ。
 ちなみにアイヴォリーは没落お嬢様がメイドに身を窶したという設定であったり、ウルストラや小唄、纏のスカートの中に武器が仕込まれていたりするのだが、影羽衆達はまったく気付いていない。
 そして、暫し魅惑のツインテールメイド達の光景を堪能した彼らは拳を握った。

●美少女、攫います
 そんなわけで決めたでござる。
 拙者と弐号の意見が最後まで合わなかったでござるが、攫うのは一人と決められているわけではなかったのだ。皆それぞれに良かった故に時間がかかったのでござるが、決め手はやはり正統派なメイドらしさでござった。
 ということで――狙うのはココちゃんとメイアちゃんでござる!

●飛んで火にいる影羽衆
「いざ、任務開始でござる!」
 そのような声がカフェ内に響き渡った刹那、天井が崩れた。そして影羽衆は其々ココとメイアの前に陣取る。
「何……?」
「や、やめてください」
 影羽衆に腕を掴まれたことでココは驚いた素振りを見せ、メイアは怯えた様子になる。しかし、敵の襲来を逸早く察知したレンは既に立ち上がって身構えていた。ウルストラもイーヴに合図を送り、出入り口に体当たりをさせて素早く扉をあける。
 すかさず纏が客と敵の間に立って太腿からナイフを取り出し、リリウムもモップの代わりに武器を構えた。
「お帰りなさいませ、ご主人様!」
「これから悪い螺旋忍者のお掃除をはじめますー!」
「なぬ。貴様ら、ただの客と店員ではないでござるか!?」
 ただ誘拐すれば終わると思っていた影羽衆は驚き戸惑う。その隙を見計らったアイヴォリーが一般人を誘導し、瞬く間に避難を終わらせる。
 そして、それまで外に駐輪されていたライドキャリバーのバレが勢いよく店に飛び込んで現れ、ココを守る形で布陣した。
 見事な連携によって戦いの場が整った。小唄は点心に仲間の援護と回復をするよう願い、自らも光輝く粒子を解き放つ。
「その企み、止めてみせます」
「遊び半分に人を浚い、その者から未来を奪おうとする非道を見過ごせるわけがない。――夜鳴鶯、只今推参」
 小唄の宣言に続き、レンが名乗りを上げた。すると影羽衆はやっと此方をケルベロスと認識したようだ。
 メイアが掴まれていた腕を振り払えばコハブが主に属性の癒しを施す。
「ご主人様、困ります……正当防衛、しなくちゃね」
 にこ、と微笑んだメイアはスカードを翻しながら敵と距離を取り、魔鎖を展開した。それに合わせてアイヴォリーが光の粒子を広げてゆく。
「わたくしたちを甘く見ないでくださいね」
「メイド服は可愛いけど、それを狙う忍者っていうのも……ねえ? あなた達はご主人様にはなれなそうね!」
 アイヴォリーが不敵な視線を向け、ウルストラも凛と告げる。イーヴが向かってくる影羽衆の攻撃を受け止める中、ウルストラは氷の枷を封じ込めた魔力を解き放った。
 錬鎖の氷が敵の足元へ這うように出現し、標的を縛り付ける。
 ココはバレに前衛の敵を狙うよう伝え、ルーンの力を仲間に付与していった。バレが炎を纏って突撃していく背を見つめたココは仲間に目配せを送る。
「今、です」
「はーい! おかえりなさいませでーす!」
 ココの声にリリウムが元気よく応え、メイド風の掛け声と共にぐるぐると回転してハンマーを振り回す。纏も妹メイドに機を合わせ、炎蹴で以て敵を穿った。
「くっ……こうなったら!」
「ケルベロスであっても攫うでござるよ!」
 攻撃に耐えた影羽衆はメイアに狙いを定める。螺旋の力が受け止めた腕に鋭い痛みを与えたが、唇を噛み締めたメイアは何とか堪えた。
 すぐさまレンが印を切り、渦巻く煙から御業を喚ぶ。大蝦蟇めいた御業は鎧に変形して仲間の傷を癒していく。
 メイアとココによる守り、レンやアイヴォリーによる援護。そして纏とリリウム、ウルストラと小唄達が次々と放つ攻撃が重なる。
 決して弱くはない相手だが、ケルベロス達の連携は敵を圧倒していた。
 巡る戦いの中、纏は敵が弱っていると察する。出でませ、と詠唱を紡いだ纏はしっかりと狙いを定め、別れの言葉を口にした。
「――逝ってらっしゃいませ、ご主人様! これが冥土の土産ってね!」
 刹那。銀刃が燦めき、唄の輪廻が影羽衆の身を飲み込む。
 泡沫か幻影か、妖精めいた笑い聲が響く中で一人目の敵が床に伏した。仲間が倒れたことで怯んだ様子を見せた影羽衆。その様子を見つめたアイヴォリーは指先を口許に当て、魔力を紡ぐ。
「萌えがご入用? ならば存分に喰らわせてあげます。はいあ~ん!!!」
 そして、勢いよく放たれたのは晦森へ迷い込ませるような昏き重力。キルシュの芳香が薫る毒は敵を蝕み、その力を奪い取る。
 間髪容れずにウルストラとメイアが追撃を入れ、影羽衆は苦しげな声を上げた。リリウムは軽い身のこなしでテーブルの間を潜り抜けて敵に近付き、槌を大きく振り被る。
「悪いご主人様はないないしましょうねー」
 真正面からの質量の暴力が影羽衆を穿ち、その身をよろめかせる。しかし相手も氷縛波を放ってココを執拗に攻撃していた。
「こんな攻撃で……負けません」
 ココが自ら治癒の丸薬を口に放り込めば刺激的な甘さが広がる。点心もすぐに翼を広げてココを癒して支え、小唄も更なる攻勢に出た。
「ひええ、容赦ないでござるな!」
「誘拐事件を企てた相手に言われたくありません」
 小唄は腕を獣化させて一気に敵を殴り抜く。すると影羽衆がはっとして、もしかしてあの可愛いゴリラちゃんかと呟いた。
 真相に気付いた様子の影羽衆にレンの眼差しが鋭く突き刺さる。
「邪悪な目的の為、命を蔑ろにするその性根は全う醜き也。直ぐに其方にも安寧を授けてやる。覚悟!」
 このまま押し切れると感じたレンは結印し、旋風を呼び起こす。
 葉と花弁が螺旋のように渦巻き、薫りを残しながら迸った。其処へバレとイーヴが攻撃を行い、メイアとコハブも続いてゆく。
「残念、あなたたちの企みはもうここで終わりなの」
 メイアは片目を瞑って告げ、掌に冷気を集める。凍てつく魔力は小瓶の形を成し、凝縮されたそれは魔弾となって迸った。
 金平糖にも似た小さな星の子が躍る最中、ウルストラは指先を敵に向ける。
「鎖とその氷だけじゃ縛られ足りない? それならっ!」
 次の瞬間、解き放たれた氷結の弾が敵を貫き、最期を与えた。
「おのれ……我等が倒れても、第二第三の影羽衆が……」
「雑魚の台詞ね。とっとと倒れなさい」
 今わの際に捨て台詞を吐いた影羽衆にウルストラは肩を竦め、そして――。

●メイド日和の団欒
 影羽衆は敗れ、レンは瞑目する。
「邪な欲望のまま散った哀れな輩よ。魂の安らぎと重力の祝福を祈る」
「これで、事件は解決ですね」
 敵が跡形もなく消えた様を見下ろし、ココは仲間に労いの言葉を送った。
 アイヴォリーは所々が壊れてしまった店内を見渡し、小唄は女子力をフルチャージして周囲を癒していく。
「机と椅子も壊れちゃってるから、こっちはこうして……」
「コハブは食器を運んでほしいの」
 点心は勿論、メイアとコハブも率先してヒールの手伝いを行い、カフェは来た時よりも可愛らしく幻想的な装いへと変わった。
「きれいになりましたー!」
「良い感じ。それにしても……冥土の土産ってギャグセンス、古かった?」
 ぴょこぴょこと跳ねて喜ぶリリウムの傍ら、纏は先程の自分の言動に首を傾げる。
 和やかになった雰囲気に双眸を細めたウルストラはイーヴを呼び、ティーセットを使って紅茶を入れる準備を始める。
「折角だから一息入れましょうか。店員が戻ってくるまで時間もあることだし、ね?」
 このまま店を放って帰るわけにもいかない。賛成です、とココが柔らく応え、リリウムも笑顔を返す。仲間達もウィッグを外して普段通りの髪型に戻り、テーブルを囲んでのちいさなお茶会が開催された。
 他愛ない談笑が交わされる中、アイヴォリーは皆に提案する。
「皆で記念写真でもどう?」
「わあ、素敵なの」
 メイアもそうしたいと思っていたと告げ、メイド姿の女子陣が並んだ。シャッター音が響いた後、画面に切り取られたのは少し特別な思い出。
 アイヴォリーは手早く画像を送信し、送った相手が画面の向こうで笑ってくれるのか、それとも萌えてくれるのかと考えてくすりと笑んだ。
 そうして暫し、メイドのお茶会は続く。
 不思議な経験とカフェの未来を救った今日という日を思い、少女達は微笑みあった。

作者:犬塚ひなこ 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年10月11日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 2/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 5
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