男の娘、売ります

作者:中尾

●犯人は男の娘がお好き
 オシャレなカフェに、カラフルな綿あめ。インスタ映えの外壁に斬新なファッションブランド。刺激溢れる若者の街に、怪しい2つの影があった。
「ふぅむ、此度のターゲットは……あの少年などはいかがか?」
「むーん、拙者、もうすこし少女みのある方が好みでござるなぁ……あっちの子はどうでござるか?」
 指をさしたのは、茶色いボブの髪型にワンピースを着た――。
「フッ、少年に少女らしさを求めるとは、お主もなかなか業が深いな。しかし、あれは女の子ではないか?」
「ぐふふ、お主もまだまだでござるな! あれは女の子の格好をした男の子――つまり、男の娘! 拙者のアンテナにビンビン来てるでござるよ!」
「お主が気に入ったとなれば、仕事を始めよう。改造すれば、さぞ忠実な配下として、どこぞの勢力へ売り込めるだろう。他の人間どもは……」
「逃げるならそれもよし、邪魔するならサクッと皆殺しでござるよ。グラビティ・チェインまで供給してくれるのなら、遠慮なくいただくべきでござるよ」
 2つの影、影羽衆はクスリと笑うと、カフェの屋根上から飛び降り、男の娘へと手を伸ばす。
 辺りには、悲鳴が響き渡った。

●ヘリポートにて
「下北沢のショッピング街に、螺旋忍軍の襲撃が確認されました。『影羽衆』と名乗る彼らの目的は、サブカル系の美少女・美少年を誘拐し、洗脳・改造を施して他のデウスエクス勢力へ配下として売り渡すことのようです……」
 雨宮・シズ(オラトリオのヘリオライダー・en0197)は自身が予知で視たもの全てをケルベロス達へと伝えた。
「同年代の少年少女が誘拐される予知は堪えますね……、っ、失礼。他のデウスエクス勢力の手駒が増えない為にも、皆さんには、今すぐ現場に向かい影羽衆の企みを阻止して欲しいのです」
 シズは敵の性質と周囲の状況について説明し始める。
「この影羽衆は、ええと……男の娘? という、外面と内面共に女の子の姿をした男の子を1人狙って誘拐しようとするため、その趣味に合う姿のケルベロスが現場にいれば、影羽衆はケルベロスを狙って出現する可能性が高くなるでしょう。囮作戦、ということですね」
 尚、事前に避難活動をしてしまうと、影羽衆は別の場所で襲撃を起こしてしまうため、一般人の避難は影羽衆が出現してからの方が良いだろう。
「敵は影羽衆が2名。日本刀を持った者が前衛、螺旋手裏剣を持った者が後衛のようですね……」
 日本刀を持つ人物は、急所を切り裂く『月光斬』、対象を薙ぎ払う『流水斬』、対象を内部から破壊する『螺旋掌』。
 螺旋手裏剣を持つ人物は、手裏剣で対象の武装を破壊する『螺旋射ち』、毒に濡れた手裏剣を放つ『毒手裏剣』、幻影で仲間の被害を逸らす『分身の術』を扱うようだ。
「一般人を守るため、デウスエクスの手駒を増やさない為にも……よろしくお願いします」
 そう言って、シズはケルベロス達を見送ったのだった。


参加者
デジル・スカイフリート(欲望の解放者・e01203)
物部・帳(お騒がせ警官・e02957)
皇・絶華(影月・e04491)
ベルベット・フロー(フローリア孤児院永世名誉院長・e29652)
アシュリー・ハービンジャー(ヴァンガードメイデン・e33253)
蛭犂・詠巳(ヒドラ・e43382)
水森・玲音(白の剣・e59637)

■リプレイ

●若者の街
 ここは下北沢のショッピング街。街には目新しいものが溢れ、若者達が闊歩する。
 そんな綺麗に整えられた歩道に、可愛らしい男の娘達の姿があった。
 夜空を思わせる黒のロングドレスに揃いのボレロを銀の飾りで結ぶのは、皇・絶華(影月・e04491)。いつもは戦衣装の彼だが、今の装いはどう見ても冬山の城から抜け出してきたお嬢様であった。キラキラと光る銀色の長髪に、薔薇のコサージュがよく似合う。
「ふむ。ここなんてどうだろうか」
 絶華が立ち止まったのは、街中のとある女性向けブティックだ。ヨーロッパを思わせる外壁に、ショーウインドーにはマネキンが可愛らしい服を着ていた。
「可愛いですね、良いと思います」
 さらさらとした金髪に印象的な深青の瞳。清楚な白のワンピースにカーディガンを羽織る水森・玲音(白の剣・e59637)が頷く。
「そうと決まれば、入ってみましょう!」
 白のブラウスに紺のプリーツ・スカート。その肩に羽織るのは青と白のチェック柄のショール。金の三つ編みを黒いリボンで留めるいつもの装いの彼はアシュリー・ハービンジャー(ヴァンガードメイデン・e33253)。どこか儚さを感じさせる佇まいでありながら、その瞳には力が溢れていた。
「わ、見てあの服可愛い! 私買っちゃおうかなぁ~。アレも可愛くない!?」
 そう言って洋服に手を伸ばすのは蛭犂・詠巳(ヒドラ・e43382)。アイボリー色のボリュームニットにプリーツスカート。靴はヒール高めのショートブーツと秋の流行を捉えた今時のファッションだ。エクステで長さとボリュームを足したふわふわロングヘアに黒のベレーを乗せて、どこから見ても可愛い女子にしか見えない。普段から仕事で諜報活動を行っているだけあり慣れたものだ。
 詠巳は秋物を手に試着室に入る。鏡に映ったのは女装した自身の姿だ。
(「しかし、こういうのが好きだなんて、随分と業が深い敵さんだこと。ま、やる事はいつもと変わらへんけど」)
「わぁ……なかなか大胆、ですね」
 露出の高い服を着たマネキン1体を玲音が赤面しながら眺める。
「アシュリーなら着られるんじゃないか?」
 絶華に話を振られ、アシュリーはふるふると首を振る。
「た、確かにハロウィンや水着で露出の高い物を着た事はありますが、心の準備が」
 そんなキャッキャとショッピングを楽しむ男の娘達を見張る影があった。
「あぁ、魅力的な可愛い男の子ばかり……来て良かった♪」
 フリルのついた黒のワンピースを胸に宛てながら、棚の鏡を覗く。
 その鏡の背後に映るのは、男の娘達の姿だった。誰も彼もお持ち帰りしたいくらいに愛らしい。彼らの姿に惚れ惚れしながらショッピングの若者達に紛れるのはデジル・スカイフリート(欲望の解放者・e01203)だ。銀のツインテールに、くるりと丸まった白き角。健康的な肌にピンクのリボンを思わせる服。その妖艶さは先ほど、男の娘達が見ていた服が一番似合いそうだとも言えた。
「ああ、可愛らしい男の子が選り取り見取り……個人的に可愛がりたい……」
 若者の街には彼ら以外にも美少年の姿が多数見受けられた。ここはまるで天国だ。デジルはうっとりとその目を細めた。
「おっといけないいけない、お仕事お仕事」
 てへっと、笑って囮組を追うべくデジルはブティックを移動する。
「こんなところまで出張とは。螺旋忍軍も暇なのか、単に趣味なのか……」
 ここはキッチンカーの車内。そこに、斜めに切り揃えたショートボブの黒髪に榊を咲かせるカフェ店員、否、物部・帳(お騒がせ警官・e02957)の姿があった。
 いつもの警察官の制服は封印し、アルバイトの制服で透明のプラコップにレモネードを注ぐ。ポケットには無線機。敵が現れるまでの間は、目立たないようアルバイトのフリだ。帳はレモネードに赤いストローを挿し、鮮やかな花を添える。
「はい、どうぞ」
「サンキュー!」
 レモネードを受け取ったのは豊満な体にVoid Face visitと書かれた白いTシャツ。デニムジャージを羽織り、下には大胆なホットパンツを穿くベルベット・フロー(フローリア孤児院永世名誉院長・e29652)だ。目立たない様に偽骸装着も忘れない。
 ベルベットは帳にニカッと笑って見せるとすぐ、何もなかったかのように道沿いに配置された丸いテーブルにつく。
「女装した男の子だけが狙い、ですか……。よくは分かりませんが、可愛いものが好きということでしょうか?」
 艶やかな長い黒髪に碧海のような瞳。メイド服を着たシャーロット・シュピーゲル(淑剣・e46790)は首を傾げる。目の前のテーブルには、同じく花が添えられた紅茶が置かれていた。
「わかる。可愛い男の娘は最強だもんね。敵ながら、いい趣味してるわ」
「男の娘は最強……」
 ベルベットが小声でうんうんと頷き、シャーロットが瞬きをする。シャーロットにとって男の娘は知らない世界の言葉だが、『可愛い女装した男の子』という事ならば、その点、玲音は完璧だとシャーロットは信じていた。
(玲音さま……)
 シャーロットはチラリと玲音がいる店を見やる。
(お召し物を一緒に選んだり、女性らしい立ち居振る舞いをお伝えしました。だから、きっと、大丈夫……)
 シャーロットは親愛なる御曹司の無事を祈った。

●囮
 男の娘達が買い物を終え向かった先は歩道に面したイタリアンジェラートの店だった。それぞれ三角に盛られたアイスを手に歩き出す。そんな男の娘達へ熱い視線を向ける者がいた。
「むほー! 男の娘が大量でござる! 何かのイベントでござるか!? 拙者の誕生日!?」
 影羽衆は興奮しながら、もう1人を揺さぶる。
「待て、待て、落ち着け。攫えるのは1人のみ。わかっているのか?」
「ええ、こ、こんな一級品揃いに殺生な。こんなこと二度とないかもしれないのに」
 影羽衆はぷるぷるとしながら、男の娘の品定めを始める。
「あの黒いのはどうだ?」
「ボリュームのあるドレスがよく似合っているでござるな~! 男の子らしさの残った目元がグッと来るでござる! 高層ビルのレストランに予約を取って、一緒に食事をしたいところでござる~」
「あっちは」
「ぐふふ、あの柔らかな笑みに、佇まいは繊細な少女そのもの! ああ~、拙者、あの子に看病されたいでござる~! 温かなスープを用意していて欲しい! 結婚しよ」
「こっちは?」
「流行に敏感な今時の子って感じがしてイイでござるな! 一緒に映画を観たりなんかして、最終的にあのヒールでグリグリ頭を踏まれたいでござる~! キャッ」
「最後、あの金髪は?」
「あの顔立ち、良い所の血筋では? スイーツを少しづつ突っついてはむはむしているところが可愛ゆい! 保護欲を掻き立てる外見でござるよ! おうちでドールのように愛でたいでござるな~!」
「で、攫うのは?」
「うーん、本当は全員お持ち帰りしたいでござるが……決めたでござる!」
 影羽衆は今回は涙を飲んで、屋根から飛び降りる。その手を伸ばした先は―――玲音だ。
「キャッ、あ、あの……なにか、ご用ですか……?」
 玲音が怯えた表情で振り向く。
「水森さん!? やめ……やめてください! でないと……!」
「でないと?」
 ふるふると震えながらも仲間を守ろうとする男の娘、アシュリーに影羽衆は笑う。
「――僕の愛馬に轢き殺されますよ!」
 その言葉と共に駆けるは愛用の馬上槍を預けたライドキャリバー・ラムレイだ。ラムレイはそのまま影羽衆へと突撃する。
「がはぁッ!?」
「『さきがけの騎士』の名にかけて! 誰にも不埒な真似はさせません!」
 アシュリーは騎士らしき凛とした表情を取り戻し、砲槍ロンゴミニアドを構える。
「せ、拙者の男の娘達がケルベロス!?」
「誰が、アンタの男の娘や!」
 影羽衆が驚愕し、詠巳がツッコミを入れる。
 どこかから謎の視線を感じた頃から、男の娘達は戦闘の可能な広場へと移動していたのだ。一般人の避難指示も見張り組が始めている筈である。
「ケルベロスとなれば、残念だが始末せねばなるまい!」
 影羽衆が鞘から刀を抜く。戦闘の開始である。
 最初に動いたのは絶華だった。黒い衣服がふわりと舞う。流星の煌めきと重力を宿した蹴りが前方に居た影羽衆を襲う。
「仕込みナイフか」
 絶華の足元がキラリと光る。それは絶華お手製の仕込み靴だった。
 アシュリーが目を閉じ槍を構える。カッと見開いた瞬間、そこには紫髪の少女がいた。
「君となら、何が相手だって!」
 紫髪の少女はこくりと頷き槍を構える。2人が槍を放つ。それは、グラビティ放出による瞬間加速を繰り返し、敵の全方位から変幻自在の連続攻撃を叩き込む技、併奥・閃影万華。紫と金の光が、戦場を舞う。
 そこへ、詠巳が光を纏い現れた。影羽衆の視界が白い光に覆われる。明かな異常事態。だが避けることは間に合わない。
「――堕ちろ」
 詠巳の声が聞こえたと同時に、衝撃が来る。それは神の一撃。
 地に墜ちた瞬間、まるで体をバラされたかのような感覚。そこへ、玲音が弓矢を放ち、ハートを貫く。
 その時、援軍が現れた。急ぎ走る女性の影。ザッ、とブレーキをかけたのは。
「しまった! 先を越された! ……じゃなくて、可愛い男の娘を狙うなんて許せない!」
 避難誘導を終え、 ダッシュで現れたのはベルベットだ。その後ろを帳が続く。
「この世に許された唯一の正義、それ即ち『可愛い』! 可愛い男の娘を守るとき、アタシは真の正義の使者となるのだ!」
「さすがはベル殿、決まってますな」
 帳があははと笑い、黒革のホルスターに手を伸ばす。
「ああん、戦ってる姿も素敵! ねえ、1枚でもいいから男の娘達の写真を……あ、駄目?」
 次に現れたのはデジルだ。仲間にふるふると首を振られ写真撮影はお預けだ。
「こちらも、一般人の避難は完了いたしました」
 とシャーロットの連絡に、一同は安心する。と、なればあとは影羽衆を倒すのみである。日本刀を持った者は動くことができず、後ろに居た者が玲音へと毒手裏剣を放つ。
「っ……」
「玲音さま!」
 攻撃を受けた玲音を、すかさずシャーロットのオーラが包む。
 影羽衆は風を切る音を耳にし、すぐさま飛び退く。さっきまで居た場所に、デジルがDragonic Soulsを振っていた。無事避けたと安堵したのは束の間。
「避けられた、なんて思った? 魂の残滓、刹那の精霊を作り上げなさい」
 背後からの衝撃に振り向く。それは、デジルがかつて喰らった男の娘こそ至高と教義したビルシャナの魂の残滓。疑似ビハインドと言うべき中性的な外見をしたそれは、日本刀を持った敵の胸を貫く。
「貴方達にはこの魂がお似合いね。男の娘を売り払う行いにこちらもお怒りよ!」
「げはっ」
 男は地に倒れ、それを見送った疑似ビハインドは砂のように消える。
「さ、あとは貴方だけです!」
 帳にビシッと指をさされ、残りの1人がぐぬぬと呻いた。

●勝利へ
 帳は一丁のリボルバーを構える、放つは水銀の弾丸。それは黒き蛇の依り代となり、鎌首をもたげた蛇は影羽衆の体を締め付ける。同時に、ベルベットはケルベロスチェインを地に放つ。鎖は魔法陣を描き、仲間を守る魔法陣となる。
 次に玲音が物質の時間を凍結する弾丸を放ち、仲間の回復は不要と判断したシャーロットが美しい斬撃を繰り出した。アシュリーはラムレイに騎乗し戦場を駆ける。放たれた凍結光線は敵の体温を奪っていく。
「遅い」
 詠巳が笑った。敵はまるでノコギリの如き切り口に、傷口を押える。
「W-V-F! 2人のボディ&ソウルをひとつに!」
 ベルベットの叫びと共に、赤いドクロの覆面が現れる。
「さ、行くよ!」
 覆面の男がライターへと手をかける。刹那、全身、炎を纏ったケルベロス2人は雄叫びを上げ敵へと突進する。
「く、来るなッ!」
「やだね!」
 爆発。炎上。2人の自爆突進攻撃に敵は癒える事のない大火傷を負う。
「男の娘を改造して売ろうだなんていうのは言語道断ね 。愛でずにその愛らしさを愛してこそよ!」
 デジルは征服する戦車の蟹脚-Alcanam Ⅶ-を放つ。
「貴様らは少年少女を洗脳し、配下として売るそうだな。 そんな愚行に走るとは……それも貴様らが軟弱だからだ! 喜べ、今から貴様に圧倒的なパワーを与えてやろう。なに、代金は貴様らの歓喜の叫びで十分だ!」
 影羽衆が視線を絶華へと向けた、その時だ。視界に、ありえないものを捉えた。
 絶華の掌からチョコレートと漢方が零れ落ちる、しかしそれは体積を無視してぶくぶくと膨張し、あっという間に絶華の身長の何倍へと膨れ上がる。
「之は私が作ったチョコだ! 之を食し! その魂と肉体に圧倒的なパワーを宿すがいい!!」
 肉塊の如きチョコに、ギョロリと目玉が生える。
「ひっ!」
 目玉は影羽衆の姿を捉えると、触手を伸ばし、我先にと影羽衆の口をこじ開け中へと入り込もうとすr。大量のチョコは体内に収まると逃げ場を失い、穴という穴からチョコレートが流れ出す。
「さぁ! とくと味わい! 食し! 体と魂に溢れる圧倒的なパワーに歓喜の叫びを……あら? 」
「ごふっ、拙者、男の娘に倒されるなら悔いなし……」
 そう呟き、倒れる影羽衆。まさに合掌。
「趣味は良かったけど、方向が良くなかったわ。来世は可愛い男の娘になりなさいね」
 デジルが哀れみを込めて、影羽衆だったものへと声をかけた。

●帰路
「怪我人はいないな」
 絶華が辺りを確認する。周囲はケルベロス達によって修復され、SNS映えするファンタジックな広場となっていた。
「戦闘も終わったし、今度こそ! ねぇ、写真撮らせてちょうだい」
「しゃ、写真だと」
「はわわ」
 ピンクのハートを乱舞させ、カメラを構えるデジルにサッと抜けた詠巳を除く囮組はたじたじだ。その姿を、ベルベットが微笑ましく眺めていた。男の娘達がわいわいする姿は実家の営む孤児院を思い出し、胸が温かくなる。
「さ、撤退としますか。それではアシュリー殿はがんばって」
「帳さんの薄情者~!」
 帰ろうとする帳に、ベルベットが待ったをかける。
「せっかく来たんだし、ショッピングの続きと行こうか! 帳もバイトしてて楽しめてないんじゃない?」
「……警察らしくカラフルのドーナツでも買いますか」
 ベルベットの優しさに、帳がふふっと笑う。
「私達もお買い物の続きといたしましょうか」
「こ、このまま、ですか……」
 シャーロットの提案に、玲音は目線を泳がせる。
「ほら、道行く人が皆、玲音さまを女の子と思って憧れの目線を向けておりますし、窓に映った御姿はとても麗しいご令嬢そのものですよ?」
 玲音の赤くなった顔を見て、シャーロットが微笑む。
「ふふっ、そう恥ずかしがらずに」
 玲音の手をぎゅっと握る。
 ケルベロス達はそれぞれ買い物を楽しんで、沢山の思い出と共に帰路についたのだった。

作者:中尾 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年10月12日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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