ドゥ・ユー・シンク・バンブー・ファイト?

作者:鹿崎シーカー

 夜の街。道路の中央分離帯、立ち並ぶ街路樹の隙間を埋めるように作られたブッシュがガサガサと揺れる。木の葉を散らして顔を出したのは、ダミーの草を生やしたメットを着けた竹のカカシめいた姿の人影。ジャック・オー・ランタンじみて空虚な目で周囲を見回したそれは片手で素早くハンドサインを繰り出しアスファルトに躍り出た。続いて他のブッシュからも竹槍を持った個体が二体、離れた家屋から大型銃を構えた個体が三体現れ、周囲を警戒しながら市街地を進む。
 それぞれ違う方向を索敵しながら街を行く彼らは突如走り出し、建物と建物の隙間に滑り込む。乾いた葉擦れの音を立てながら路地を抜け、入り組んだ道を駆けて人気のないマンションの駐輪場に飛び込んだ。
 明滅する駐輪場の電灯に迎えられた竹人間達は奥へと走り、ビシリと横一列に並び立つ。彼らの前には、軍将校めいてマントを羽織り軍服を着た竹人間が、体の各所に大量の爆弾を巻いた個体を連れて立っていた。軍将校が端の竹槍兵を指差すと、竹槍兵はジェスチャーをし始める。そしてキビキビとした身振りが終わると同時に将校はうなずき、腕を横薙ぎに振るう。そして、駐輪場の出入り口を指差した。
 敬礼を決め、武器を構えて出口へ向かう竹の兵達。視線を向ける爆弾兵に目配せして頷き、将校は彼らに続いて歩き出した。


「さてさて……向こうもちょっと焦って来たみたいだね」
 両手をすり合わせながら、跳鹿・穫は資料に目を落として言った。
 先日の大阪城侵入作戦の成功に伴い、貴重な情報を持ち帰ったケルベロス。だが、それと同時に大阪城周辺の警戒区域に竹型の攻勢植物がいくつもの小隊を展開したようだ。
 恐らく、大阪城への再侵入の予防とともに支配エリアの拡大を目論んでいるとされている。今回皆にはこの竹の攻勢植物達の撃破をお願いしたい。
 このたび戦ってもらう竹の攻勢植物の小隊は、将軍一体、爆弾兵一体、槍兵三体、銃兵三体の計八体で構築されている。彼らは皆軍人のような姿をしており、連携もまた軍隊のように統率が為されたメンバーだ。
 彼らはまず、大阪の緩衝地帯にてケルベロスの侵入しているかを確認し、問題なしと判断すれば大阪市街地へ攻撃に出るらしい。よって、今回の戦場は大阪の緩衝地帯、無人の街ということになる。
 ただ、彼らはケルベロスを探し出すため、隠密行動をしつつ索敵を行っている。よって、こちらも隠れながらの索敵が基本となる上、先手を取れれば圧倒的に有利が取れる状況でもあるということだ。
 周辺は立ち並ぶマンションと大きめの車道があるベッドタウンとなっている。車道の中央分離帯には街路樹とブッシュもあるので、隠れる場所には事欠かないだろう。
「今度は八対八のかくれんぼだね。相手より先に見つけるのも重要だけど……色々試してみるのもいいかもしれない。しっかり作戦組んで挑んで」


参加者
ゼルガディス・グレイヴォード(白馬師団平団員・e02880)
彼方・悠乃(永遠のひとかけら・e07456)
クーゼ・ヴァリアス(竜狩り・e08881)
イリス・フルーリア(銀天の剣・e09423)
除・神月(猛拳・e16846)
葵原・風流(蒼翠の五祝刀・e28315)
ルゴール・ブラッドマン(熱輝求む戦人・e66139)
如月・沙耶(青薔薇の誓い・e67384)

■リプレイ

 夜。シンと静まった無人の街を飛行ドローンが飛んでいく。蛍光色に染まった機体の後方斜め上、ビルの影。黒いフーデッドコートを着たゼルガディス・グレイヴォード(白馬師団平団員・e02880)と一緒に飛ぶクーゼ・ヴァリアス(竜狩り・e08881)は小さく呟いた。
「……軍隊然とした敵か。昔のことを思い出すなぁ」
 ゼルガティスがクーゼの腕をつつき、小ぶりなホワイトボードを差し出した。もう片方の手、別のボードに流麗な明朝体。
『ふむ、友とな?』
 小さく笑ったクーゼはボードを受け取り、さらさらとペンを走らせた。
『前に色々あってさ。その時に聞いたんだ。確か部隊行動とは各個が自らの職務を理解し、それを十全に果たすことで遂行される、だったか』
『興味深い。では、我らもそれに則ろう』
『だな。俺も、俺の責務を果たさねば』
「……さて。敵さんはどちらかな、と」
 言って、暗視ゴーグル越しに地上を哨戒。他方、音も無くビルの屋上に降りたイリス・フルーリア(銀天の剣・e09423)は中央分離帯の植栽や木の根元を重点的に精査する。暗視ゴーグルのダイヤルを操作すると、緑のグリッド線で表示されたブッシュが透過。奥に何もないと確認したイリスは地上に向けて腕を振った。狭い路地から飛び出した二つの人影のうち、黒いマントを着た除・神月(猛拳・e16846)は横壁を見やる。描かれた、殴りかかる自分の絵の傍を低姿勢で駆け抜けつつ、神月は含み笑いを零した。
「ニヒヒッ! さっさと闘りてーとこだガ、たまにはこーゆー焦らしも新鮮で良いナ?」
 疾駆する彼女より三十メートル程前方、葵原・風流(蒼翠の五祝刀・e28315)が壁に筆を走らせその場を離れる。独りでに描かれていく黒い子竜の絵画を背に空を仰ぐと、滞空する彼方・悠乃(永遠のひとかけら・e07456)と如月・沙耶(青薔薇の誓い・e67384)が手話めいてハンドサインを交わしていたその時、ドローンが爆発!
『!』
 反射的に隠れる八人。同時に、小刻みな破裂音と各所で光る小さな火花! 風流はすぐ近くの爆裂に肩を竦め、影からわずかに顔を出した。あちこちに描かれた絵の傍に転がり、爆ぜる爆竹。風流は頭上の沙耶にハンドサイン。すぐに身を乗り出した沙耶はゴーグルを操作する。道路、路地に続く通路、ガラスの割れたマンションのフロントなどを視界の拡大・縮小を駆使して検め、反対車線にいる悠乃に合図。うなずいた悠乃がイリスにもサインを飛ばす。
 爆発も止み、静寂が満ちる。張り詰めた空気の中、中央分離帯のブッシュを注意深く見極めていたイリスがバッと手を挙げ、地上に向かってボディランゲージ。反対車線のビル影からそれを見たルゴール・ブラッドマン(熱輝求む戦人・e66139)はコントローラーを投げ捨て、イリスが指さすブッシュを注視。ゴーグルがブッシュを透過し、匍匐前進する竹の槍兵の姿を捉えた。
「見ーっけた。さて、脅かしてやるわな」
 ルゴールの黒コート袖口から黒い液体が牙の形に硬化! 素早く飛び出す彼に続き神月もビルから駆けだした瞬間、沙耶が片手を上げた。サインを見たクーゼの腕をつついたゼルガディスがホワイトボードを提示する。
『左側。前から三つ。四階のベランダ』
「ベランダ……おっ」
 彼らの視線の先、壊れかけたマンションのベランダに屈んだ小太り体型の影あり。房状になったダイナマイトを数本千切る爆弾兵めがけ、クーゼは抜刀して急降下! 彼を包んでいた気流がほどけ、青白い光を帯びた二刀を手に回転。気づいて顔を上げる爆弾兵!
「初手は頂いた。ここは戦場ゆえ、悪く思うなよ! 九重流双剣術六の型、『猟狼吼牙』!」
 二刀が放つ斬撃が二匹の狼となり、ベランダから飛び降りた爆弾兵を追尾。落下する迷彩服の右二の腕と脇腹に食らいついて爆発した。爆風になびくブッシュから頭を出して当たりを見回す槍兵にルゴールが飛びかかる!
「よお。かくれんぼは終いだ」
 ボディブローめいて顔面を狙う黒牙を、槍兵はとっさに掲げた竹槍で防ぐ。牙と槍がぶつかり合って火花を散らすも、ルゴールは力尽くで殴り飛ばした。空中後転からバク転をして着地した槍兵を照らす銀色の光。上空でイリスが掲げる青柄の刀に閃光が収束していく。
「銀天剣、イリス・フルーリア―――参りますっ! 光よ、かの敵を束縛する鎖と為れ!」
 即座に身をひるがえして走る槍兵の前に、滑り込む風流!
「その動き、見切っています」
 二刀流下段斬り上げが急ブレーキをかけた槍兵の鼻先をかすめ、一拍遅れて襟を裂く。一瞬硬直した槍兵に、イリスは輝く刀を打ち振る。
「銀天剣・玖の斬ッ!」
 流星めいて飛翔した剣閃が槍兵の背中に命中し、迷彩服に巻きつき締め上げた。風流の回転斬撃を受けてよろめいた槍兵が、突如大きく背中を反らす。サイドキックを叩き込んだ神月はマントを脱ぎ捨て、左手の平に右拳を打ちつける!
「前戯の時間は終わりだゼ! 我慢した分思いっきり気持ち良くしてやっかラ、覚悟しろヤァッ!」
 蹴り足を引っ込め、反った背中に渾身の右ストレートが直撃! メキメキと悲鳴を上げる槍兵の胸に笑みを浮かべ、神月は拳を振り切った!
「オオオオオオラァッ!」
 派手に吹き飛ぶ竹槍兵! 気流を解除し夜風に漆黒のワンピースをなびかせた悠乃は仲間達に声を張る。
「グレイヴォードさん、照明をお願いします!」
「心得た」
「フルーリアさん、如月さんはライティングボールを。暗視ゴーグルは外して大丈夫です!」
 ゼルガディスが懐から取り出したケミカルライト数本を握り折って周囲にばらまく。地面や横壁にボールを当て蛍光塗料をぶちまけ、沙耶は手にした『力』のタロットを高く掲げた。
「カードよ、皆さんの進む道に力の加護を!」
 カードに描かれた獅子と乙女の絵がホログラムじみて夜空に投影され、降り注ぐ光が仲間達を包む。だが沙耶の背後、音も無く忍び寄ったバンブージェネラルが竹刀を引き絞り、振り向く沙耶の胸に刺突!
「かはっ……!?」
 竹小隊長は肋骨の隙間を打ち抜かれた沙耶を押しのけ、脳天に竹刀を叩きつけて地面に突き落とした。アスファルトを砕いてめり込んだ沙耶めがけて竹刀を逆手に垂直降下するジェネラル! そこへ立ちはだかったルゴールが竹刀の先端をつかみ、一回転して投げ飛ばした。沙耶は背中をアスファルトから引きはがす。
「すみません……!」
「良いってことよ。今日のジブンは壁役……確り立っとらにゃあな。そら、来やがった」
 ジェネラルを見据えつつ、ルゴールが顎をしゃくる。クーゼの連続斬撃をバックステップで回避し続ける爆弾兵が、足元にダイナマイトを叩きつけた。閃光!
「うおっ!」
 目を腕で庇い、光をやり過ごしたクーゼの視界に二体の竹槍兵が飛び込んだ。左右から放たれるマシンガンじみた連続突きを、クーゼは泡を食いつつ二刀を高速で振るっていなす。逸らし損ねた槍の穂先が黒コートの腕や肩を浅く抉る中、大地に立ったゼルガディスが走る!
「跳べ、クーゼ!」
 クーゼがダブル突きを後方回転跳躍回避! つんのめる二体の前に、入れ替わりで滑り込んだゼルガディスは稲妻を宿した腕を振りかぶった。
「撃ッ!」
 横薙ぎの雷爪が二体をまとめて斬り裂き後ろに跳ね飛ばす! 反対の手に戦槌を握り、腰を限界までひねるゼルガディスの後頭部を、弾丸の如く飛来したタケノコが打ち据えた。
「ぐおッ……!」
 不意打ちを食い硬直するゼルガディス。爆弾兵が彼とすれ違いざまダイナマイトを投げ、駆け抜けて起爆! 一方、神月は三体のガンソルジャーが発射するタケノコ弾を次から次に蹴り砕く。飛散した欠片をぬぐった頬に好戦的な笑み!
「ヘッ! そんな生っちょろい弾でやられるかヨ! 大砲でも持ってきナ!」
 全身に漆黒のオーラを湛え、地面に両手を当てて獣の如く吠える! 暗黒色の突風に襲われ防御態勢を取る彼らを余所に、回転しながら飛び上がった風流は翡翠色の刀剣を周囲に生成。右手の刀を振り下ろした。
「はっ!」
 一斉に射出された剣の群れが着弾と同時にエメラルドグリーンの連鎖爆発を引き起こした。白翼を羽ばたかせて加速し、爆心地に突っ込んでいくイリス! 彼女の両腕を包んだ水銀がガントレットに変化する。いち早く爆発から抜け出したガンナーに急速接近右ストレート!
「せい!」
 竹の顔面に一撃! イリスは鋭い左ブローからの右アッパーでガンナーを跳ね上げる。浮き上がる胴体に直撃する黒い竜巻。ブレスを吐いた子竜のシュバルツは体を丸め、回転体当たりでブレスを胸に当てられたガンナーにダイブアタック! アスファルトに衝突したガンナーは真上にタケノコを射出する。イリスは空を突くタケノコを目で追った。
「な、どこを撃って……」
 その時、ビルの横壁を高速でクライミングしていた爆弾兵が壁を蹴って跳躍! 発射されたタケノコを蹴ってさらに高みまで飛ぶと、ダイナマイトの房を連続投下した! ダイナマイトの真下に割り込んだ悠乃は漆黒の指輪を瞬かせ、闇色の光を傘じみて頭上に展開。爆弾をひとつ残らず受け止め、地上の面々に声をかける。
「皆さん、今のうちに! 如月さんは援護をお願いします!」
「応ッ! やったろーじゃねえカ!」
「畳みかけます」
 ネジを巻かれた沙耶のオルゴール付き懐中時計が澄んだ音色を響かせる中、神月と風流が爆炎を抜けたガンナー達に走り出す。悠乃が指輪とは逆の手から放つ黒白のエクトプラズムに巻かれたゼルガディスは翼を広げ、爆弾兵めがけて飛翔。焦げ付き、千切れたコートの下から現れる青紫の中華服!
「ふむ、空中戦まで行おうとは。……厄介な」
 悠乃の黒いバリアを追い越して上空に躍り出た。手近なビル屋上に着地した爆弾兵に、戦槌を取り出して挑む!
「だが先の借りは返させてもらおう。行くぞ」
 後方、横一列に並んでチャージを仕掛ける竹槍兵三体の前に立ち、ルゴールは鉄塊剣の峰で肩を叩いた。無骨な大剣を無造作に振り被り、振り抜く。
「ふんッ!」
 押し寄せる剣圧に槍兵達の速度が僅かに緩む。それでも足を止めない槍兵達を飛び越えたジェネラルが竹刀を手に疾走、ルゴールを強襲!
「来るか。お前さんとはやり合ってみたかったんだよな。率いるという責任、誇りと誇示。それが植物にもあるのか。だが……叶いそうにはねえかい?」
 呟きながらルゴールは大剣を振り上げる。ジェネラルは既にワン・インチ距離!
「ま、やるべき事はきっちりやらねえとな」
 斬り下ろされた無骨な刃を竹刀が受け止め、打ち返す。弾かれた大剣が宙を舞い、ジェネラルはルゴールの首筋狙って竹刀を振るう。一方ルゴールは開いたコートの懐に突っ込んだ片手を居合い斬めいて振り上げた! ジェネラルの片腕が千切れ飛ぶ!
「……外したか」
 後ろに振り切られたルゴールの手にはルーンが彫られた黒鉄の斧。しかし、彼の首にジェネラルの竹刀が食い込んでいる。至近距離で睨み合いながら、ルゴールは地を踏みしめた。
 再び他方、ガンナー達がバックステップしながら撃ち出すタケノコを斬り、砕きながら肉迫していく神月、イリス、風流の三人。二丁拳銃をぶっ放しながら神月が距離を詰めていく!
「オラオラオラ! 軍隊だろーが竹如きがあたしに敵う訳ねーって教えてやんヨ!」
 その時、銃士三体が縦一列に並び、戦闘の一体が神月へ特攻! 迎撃のサイドキックをスライディングで潜る一体目の後ろにいた二体目が発砲したタケノコを、割り込んだシュバルツが尻尾で叩き落とした。その頭上高くを通過する三体目の銃をキャッチした一体目が、二丁拳銃スタイルで神月の背中にタケノコを発射! 彼女の腎臓部分と左肩甲骨にタケノコが突き刺さった。
「ッデェ!?」
 前によろめく神月の後頭部に放られた銃がぶつかる。宙に跳ね上がったそれに飛びつきリロードする二体目を見上げ、イリスは肩越しに振り返る。
「クーゼさん! 後ろお願いします!」
「おう!」
 返事したクーゼが低姿勢で一体目に走り、黒いレイピアに黒雷をまとわせた。下段から心臓を狙った突きを、一体目をは振り向きざまに銃を当てて逸らす。その勢いを利用して一回転したクーゼの剣に銀の閃光!
「猟狼吼牙ッ!」
 牙を剥く二刀の狼型斬撃がリロードする銃士の頭部を噛み潰す! 前方では、二刀流スタイルを取ったイリスと風流がタケノコ弾をさばきながら羽ばたいて加速。一歩抜きんでたイリスの刃に冷気が宿る!
「せあッ!」
 X字に振り下ろされた剣が氷めいた斬撃を飛ばし、ガンナー二体をまとめて氷像に変えた。そこへ飛び込んだ風流はハサミじみて二刀を振り抜き銃士二体の首を狩る! それと同時に、銃士を攻めた四人を爆撃が襲う。ビルから反対車線のビルに飛び移りつつ、爆弾をばらまく爆弾兵! 花弁の形を模る鎖を取り出した沙耶は落ちてくるダイナマイト群へと走った。
「悠乃さん!」
「はい」
 手裏剣の如く投げ放たれた鎖が空を裂き、花型の光を咲かせて爆弾をしのぐ。その隙に地に足を着けた悠乃の黒いワンピースがはためく。彼女から吹いた柔らかな風が爆炎と煙を吹き消し、仲間達の火傷を癒やした。それを横目に見たゼルガディスは爆弾兵を追って飛翔!
「ふむ。これ以上野放しには出来ないか。では、押し切らせてもらおう」
 呟くや、ゼルガディスの戦槌頭部が高速で回り始める。ベランダに着地した爆弾兵が投げナイフめいて投げつけてくる爆弾に向けてゼルガディスは戦槌頭部を射出! 頭部は爆弾を全て蹴散らして爆弾兵の腹部にめり込み、肥満体もろとも奥のビルを貫通、爆散せしめた。大穴の開いたビルから視線を外した悠乃が、ルゴールの方を振り返る。
「ヴェルマンさん!」
 首を鳴らしたルゴールが足場を踏み割ると同時、地面を砕いて無数の黒牙が剣山めいて出現! 彼の後方めがけ突撃を敢行した竹槍兵三体がタケノコめいて生えた牙に飲まれ、四肢や残骸が跳ね上がる。それらを中を抜けたジェネラルは隻腕でルゴールを強襲!
「来るか、ジェネラル」
 つぶやき、ルゴールは大上段からの斧斬撃で迎え撃つ! だがジェネラルは斧側面を竹刀で打って軌跡を逸らし、ルゴールの零距離に突入。顔面をしたたかに殴打した。よろめくルゴールの左目めがけて突き出される竹刀の突き! 眼球に竹刀の先端が命中するその寸前、ジェネラルの腹に神月の飛び蹴りが直撃した。
「ダラアアアアアアアッ!」
 続く高速の前蹴りラッシュが連続で突き刺さった。たたらを踏むジェネラル! 神月は蹴り足を力強く振り下ろし、左手に右拳を打ちつける!
「将軍つっても所詮は竹だゼ! ぶっ飛びナァッ!」
 全力の正拳がジェネラルの鼻面を圧壊! そのまま殴り飛ばされたジェネラルに、ルゴールは溜め息を吐きつつ両手を地面に打ちつける。振動した黒牙がトラバサミじみて閉じ、宙を舞う将軍を噛み潰した。

作者:鹿崎シーカー 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年11月19日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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