製鉄所を襲撃する異形

作者:ユキ双葉


 下界が見えぬほどの高い空、『先見の死神』プロノエーが待つ雲の上に、ジルエストルが死に瀕した一体のドラゴンを連れて現れた。
「お待ちしていました……ジエストル殿。此度の贄となるのは、そのドラゴンでしょうか?」
 恭しく頭を下げたプロノエーはつい、とジルエストルの背後を見た。
「そうだ。お主の持つ魔杖と死神の力で、この者の定命化を消し去ってもらいたい」
 ジルエストルが背後を振り返ると、錆びた鋼鉄のような外皮を持つ竜は僅かに首を持ち上げた。死の淵にありながらもその目は勝利への渇望を失ってはいない。プロノエーは静かに頷く。
「分かりました。これより、定命化に侵されし肉体の強制的にサルベージを行います。あなたという存在は消え去り、残されるのは、ただの抜け殻にすぎません。……よろしいですね?」
 望むところだ、と言わんばかりにドラゴンは目をぎらつかせた。
 プロノエーは杖を掲げる。雲の上に魔方陣が現れ、やがてドラゴンは苦悶の声を上げながら溶け落ちた。その場には溶けた肉を纏い、骨身を剥き出しにした異形が残る。
「サルベージは成功です。この獄混死龍ノゥテウームに定命化部分は残っておりません。ですが……」
 プロノエーが含みを持たせてジルエストルを見た。ジルエストルは、分かっているとでも言いたげに頷いた。
「あぁ、この獄混死龍ノゥテウームはすぐに戦場へ送ろう。その代わり、完成体の研究は急いでもらうぞ」


 ケルベロスたちを前に、カリーノはやや緊迫した面持ちで口を開いた。
「北海道室蘭市の製鉄所付近で、ドラゴン『獄混死龍ノゥテウーム』の襲撃が予知されました。襲撃までの時間は少ないため市民の避難は間に合わず、このままでは多くの死傷者が出てしまいます」
 獄混死龍ノゥテウームは知性が無く、ドラゴンとしては戦闘力も低めだがドラゴンであるため間違いなく強敵だ。戦闘になった場合は全力で迎撃する必要がある。
「皆さんには、至急ヘリオンで迎撃地点へ向かい、獄混死龍ノゥテウームの撃破をお願いします」
 獄混死龍ノゥテウームは、戦闘開始後8分ほどで自壊して死亡する事がわかっている。 つまり、獄混死龍ノゥテウームを撃破するか、或いは、8ターン耐えきれば勝利となる。
 勿論、8ターンで自壊するからといって、その前にケルベロスが敗北してしまえば市民に多大な被害が出るので油断は禁物だ。なお、自壊する理由は不明だが、ドラゴン勢力の実験体である可能性が高いのかもしれない。
「敵は骨の尻尾や爪で攻撃を仕掛けてきます。また、瘴気を含んだブレスを吐き出す攻撃もしてくるようです」
 説明を終えたカリーノはケルベロスたちへ向き合った。
「皆さんが戦闘を仕掛けた場合、敵は皆さんとの戦闘を優先するようです。ですが、皆さんが脅威にならないと敵が感じた場合、敵は市街地を襲う危険性があります。8分間守るだけでなく、敵に脅威を与えるような攻撃も必要になるでしょう」
 大変な状況ですが、とカリーノは続けた。
「皆さん無事に帰還して下さい。そして出来ることなら、吉報を……」
 そのように締め括ったカリーノはゆっくりと目を伏せた。


参加者
月宮・朔耶(天狼の黒魔女・e00132)
赤星・緋色(中学生ご当地ヒーロー・e03584)
エリシエル・モノファイユ(銀閃華・e03672)
アゼル・グリゴール(アームドトルーパー・e06528)
クレーエ・スクラーヴェ(白く穢れる宵闇の・e11631)
月岡・ユア(孤月抱影・e33389)
ミミ・フリージア(ヴァルキュリアの鎧装騎兵・e34679)
ジュスティシア・ファーレル(エルフの砲撃騎士・e63719)

■リプレイ


 夜、本来なら人々は眠りにつく時間だ。だが製鉄所に現れた異形がそれを許さない。
 オオオオオオッ――!
 敵の咆哮を聞いた月宮・朔耶(天狼の黒魔女・e00132)は、腕時計の時計盤で方向を示して「あそこだ!」と叫んだ。敵は既に製鉄所へ進入している。
 事前に確認した衛星地図を頭に浮かべたアゼル・グリゴール(アームドトルーパー・e06528)は仲間たちへ進言する。
「あの場所なら上を行った方が早いですね。屋根伝いに走って一気に距離を詰めましょう」
 ヘリオンから降下したケルベロスたちは、着地と同時に屋根の上を駆け出した。
「死神とドラゴンが手を組むとは……。危険を指摘してた人達がいたけど、実現しては欲しくなかった」
 焦燥を浮かべたジュスティシア・ファーレル(エルフの砲撃騎士・e63719)に、クレーエ・スクラーヴェ(白く穢れる宵闇の・e11631)もまた頷いた。
「ホント、死神ってばろくなコトしないんだから……」
 程なくしてケルベロスたちは敵の全容を視界に捉えた。崩れ落ちる寸前の皮と骨ばかりの敵は、十メートル近くもある巨体で見境なく暴れていた。
 人々は、吹き飛んでくる瓦礫や火の粉に悲鳴をあげながら逃げ惑っている。だが幸い人々はまだ軽傷で済んでいるようだった。
 走りこんだ勢いそのまま、敵の死角から回りこんだケルベロスたちは、人々と敵を分断するように敵を囲い、さらに周囲の人々へ声を掛け始めた。
「ここは私たちケルベロスが抑えるから、安全な場所まで避難してー!」
「早く逃げてね~! 戦闘になるよ~!」
 手を拡声器代わりにした赤星・緋色(中学生ご当地ヒーロー・e03584)と、月岡・ユア(孤月抱影・e33389)が人々へ避難を促す。
「必ず敵は倒すから、安心して怪我の無いよう気をつけて逃げてね」
 人々が恐怖や混乱から少しでも気を逸らせるように、クレーエは魅力的な気配を振りまく。
「その通り! わらわ達が相手をするゆえ敵に無視はさせぬ。だから、安心して避難するのじゃ」
 敵を倒しこれ以上の被害が出ないように抑える。ミミ・フリージア(ヴァルキュリアの鎧装騎兵・e34679)も、懸命に人々へ声を届ける。
「落ち着いて怪我をしないように避難してください! ……オルコさん後はお願いします」
「承知した。こちらは任せてくれ」
 ジュスティシアの言葉に答えたオルコ・ディーオ(オウガの巫術士・en0286)は、人々へ避難経路を示し身振り手振りで誘導を始めた。
 ケルベロスたちが来たことで多少なりとも安堵したのか、人々は声を掛け合って本格的な避難を始めた。それを見たクレーエが、朔耶とエリシエル・モノファイユ(銀閃華・e03672)に声を掛ける。
「朔耶さん、エリシエルさん、頼むよ」
「あぁ!」
「よし、いくよ」
 研ぎ澄まされた殺気が周囲を包み込む。と、闇雲に暴れていた敵が緩慢な動作で振り向いた。知性は無いはずだが、敵は獲物を前に喜んでいるようにも見えた。
 フシュウゥゥゥゥ――。
 腐臭を含んだ呼気。アゼルは口元に手を当てながら言った。
「いやはや、ドラゴンゾンビ再びといったところですか。それも今度は完全にリビングデッドの体を成していますねぇ」
「すぐに自壊する実験体、か。大方目的は失敗作の廃棄処分にケルベロスへの嫌がらせ、あわよくば、被害の一つも出せりゃあ御の字というところだろうね」
 だが、人々へ被害を出すわけにはいかないから戦うしかない。理に適っている分、実に厭らしい手筋だが、やることはいつもと変わらない。何より、エリシエル個人としても地元の安全は守りたいのだ。
 ぼたり、と崩れ落ちる肉を見たユアはそっと首を横へ振った。
「可哀想な子……。命短いトコに、戦場に駆り出されるなんてねぇ。……同情はしてあげるけど、加減はしないよ。お前の命はココで終わらせる」
「……そうじゃな。今にも死にそうな感じじゃが、これ以上の被害が出ぬように、なによりこやつも苦しかろう。ここで楽にしてやるのもまた慈悲かのぅ」
 ミミは武器を構えた。敵の力は侮れない。他のケルベロスたちも武器を構える。
「では、迎撃戦とまいりましょうか」
 アゼルの言葉を皮切りに戦闘が始まった。


 足を一歩踏み出した敵は、ケルベロスたち目掛けて荒々しく尾を振り回した。
 ゴウッと音を立てて周囲の建屋へ直撃した尻尾は、建屋の天井を剥ぎケルベロスたちの足場を奪う。だが、怯むことなく敵の背中へ飛び乗ったクレーエは黒い刀を煌かせた。
「悪いけど、お前たちの好きにはさせないよ」
 骨身を削り取るように神速の突きを繰り出したのち、背中を蹴って無事だった建屋へ飛び移る。
 クレーエが引くと同時にミミの竜砲弾が着弾し、敵の背中ではもうもうと煙が立ち込めた。建屋の近くでは、菜の花姫が飛散したパイプ管や瓦礫から一般人を守っている。
「良いぞ菜の花姫! その調子で皆を守ったり仲間の怪我を治したりするのじゃ!」
 ミミの激励を聞いた菜の花姫はぴょんと飛び跳ねた。
 オルコの誘導によって一般人の避難が続く間にも、ケルベロスたちは息つく間もなく敵へ攻撃を仕掛ける。
「持久戦に回って脇をすり抜けられたなんて、本末転倒だからね。最初から全力でいかせてもらうよ!」
 屋根から屋根へ飛び移ったエリシエルが、足に流星の煌きを宿し敵の背中を狙った。飛び蹴りを喰らった敵は鈍い悲鳴を上げ、二、三歩とたたらを踏んだ。だが、敵もただやられてはいない。
「くっ……!」
 敵は激しく身を捩り、エリシエルを振り落とそうとする。と、そこへ雷の霊力を帯びた武器が敵目掛けて突き刺さった。
「今のうちに後ろの建物へ移ってください」
「悪い、助かったよ」
 ナインテールエッジのワイヤーを巧みに操り神速の速さで幾度も敵を攻撃したアゼルは、エリシエルが退避したのを確認してから素早く武器を手元へ戻した。
「廃品の有効活用のつもりか特攻攻撃ですか。ろくでもないことを考えるものです、全く……」
 冷静な面持ちで所見を述べるアゼルに、朔耶は険しい表情で頷いた。
「まったくだぜ。考えてる事がヤバイ死神と存在がヤバイドラゴンのコンビ作戦って……改めて考えたらかなり最悪だな」
 だが躊躇している暇はない。朔耶は植物を黄金の果実に変化させる。収穫形態になった果実は聖なる光を振りまき、味方に加護を授けた。さらにリキも神器の瞳で敵を睨み燃え上がらせる。
「工場の人たちには爪一本触れさせないんだからね!」
 強い想いを星型のオーラへ篭めた緋色は、後ろから敵を蹴りこんだ。グウゥゥ、と唸って緋色を振り返ろうとする敵だが、すかさずユアが声を上げた。
「ほら、余所見なんて許さないよ? ボクと戦えよ!」
 跳び上がったユアにつられて敵がぐるうと顔を動かした。虹を纏ったユアは敵の脳天目掛けて急降下する。
 ゴアアアアアアッ――!
 敵が体を震わせて吼えた。十メートルもある巨体から発せられた声は大地を震え上がらせる。ジュスティシアは武拳を握りこんだ。率直に怖いと思った。
「……でも引き下がるわけにはいかない。皆を、仲間を守らなければ……!」
 ジュスティシアの装甲が光り輝いた。強い決意と共に放出されたオウガ粒子は、仲間の傷を癒し超感覚を覚醒させた。
 自壊まで待たず決着を着ける。ケルベロスたちは強く敵を見据えた。


 最初の一、二分で敵の機動力を削ぎ、平行して自陣の守りを固めたケルベロスたちは、続く攻撃を確実に加えていった。
 さらに人々が戦域から離脱するまで敵の四方を囲み、絶えず意識をこちらへ向けさせた。敵もケルベロスたちは手強いと判断したらしく、戦況は苛烈を極めた。そして――。
「!」
 敵がユアを目掛けて襲い掛かってきた。ユアの立つ建物へ半ば倒れこむ形で近づいてきた敵は、むき出しの爪を振りかぶった。
「っあ!」
 攻撃を受けたユアは激しい勢いで地面へ叩きつけられる。
「ゆあさんっ! このっ……!」
 鋭く敵を見据えたクレーエは敵の体へ飛び移り、霊体を破壊汚染する斬撃を見舞う。続けて大きな猫のぬいぐるみを呼び出したミミが、敵へ向かってひとっ跳びした。
「わらわのぬいぐるみは特別製じゃ。遊んでくれると嬉しいのぅ」
 ミミは敵を押し潰さんばかりの勢いで突撃しダメージを与える。菜の花姫は応援動画でユアを回復していた。
 畳み掛けるような攻撃に敵は苦しげな呻き声を漏らした。敵の様子を逐一観察していた朔耶は、腕時計で敵が自壊するまでの時間を確認し仲間へ呼びかける。
「こいつ弱ってきてるぞ! 今なら一気に叩けるかもしれねぇ!」
「! 了解」
 短く返事をしたアゼルは勢いをつけて飛び上がった。さらに、空中で武器を下へ向けウェポンエンジンで加速する。その間にエリシエルが敵へ向かった。攻撃を加えるため、そして敵の気をアゼルから逸らすためである。
「山辺が神宮石上、神武の御代に給はりし、武御雷の下したる、甕布都神と発したり――万理断ち切れ、御霊布津主!」
 脱力していた腕が、次の瞬間には神武の剣となって敵へ襲い掛かる。一気に最高速度まで達した数多の剣戟が敵を捉えた。
「ユニット固定確認。炸薬装填……セーフティ解除、目標捕捉。これより突撃する!」
 のたうつ敵を目掛けてアゼルが勢いよく降りてくる。敵の体へ着地したのと同時に、ユニットから射出した戦闘用刀身が敵の体へ打ち込まれ激しく炸裂した。
「解放……ポテさん、お願いしますっ!」
 朔耶は腕に乗せた白いコキンメフクロウへ呼びかけた。朔耶のグラビティを自らに凝縮させたフクロウは、強力な魔法弾を放つ。神経回路をも麻痺させる魔法弾は敵へ命中し、細かな光の筋を残す。リキもまた口に咥えた神器の剣で敵を斬りつけた。
「まだまだ油断は禁物、っと!」
 両手を胸へ置いた緋色は仲間の傷を癒す歌を歌い上げる。最後の最後まで気を抜くわけにはいかない。僅かに傷の塞がったユアも刀を手に敵へ斬り掛かった。
「ユアさん……どうか倒れないで!」
 ジュスティシアはケルベロスとなる前に培った応急処置を思い出し、ヒールグラビティを練り上げる。知識は確かな力となってユアの傷を大きく回復した。既に戦列へ戻っていたオルコも半透明の御業で敵を焼き捨てる。
 グオオオオ――!
 ケルベロスたちの猛攻を前に、けれども敵は最後の足掻きを見せる。人を一人簡単に丸呑みできそうな大きさの口が上下に開き、毒のブレスを吐き出した。
「今日みたいな月夜に毒なんて似つかわしくないよ」
 周囲を取り巻く毒の残滓から飛び出したクレーエは、すっと手を前に掲げた。途端、白い霧のようなグラビティが立ち込め、攻撃のための舞台を整える。
「さぁ、明けること無き夜、沈むこと無き月の舞台を始めよう」
 蒼白い月の光を受け、少女の形をした影が躍り始めた。クレーエはすかさずユアに声を掛ける。
「ゆあさん、いける?」
「うん、任せてクレーエさん」
 小さく頷いたユアはそっと銀の靴に触れ前へ出た。高まる力は歌となって紡がれる。
「哀れなキミの為に、歌ってあげる……さぁ、命が果てるまでボクと踊ろう?」
 敵への攻撃を続けていた少女の影と同じようにステップを踏み始めたユアは、跳ねるように、滑るように敵の眼前で闇色の歌を歌い上げた。
 しっとりと、妖しく。旋律に導かれた敵の体はやがてゆっくりと動きを止め、夜へ溶け落ちていった。


 戦闘を終えたケルベロスたちは建屋から下へ降りた。皆ボロボロでくたくただったが、すべきことはまだあった。そのため、ジュスティシアと朔耶がすぐさま、仲間へヒールを施した。
 オウガ粒子と果実の聖なる光が消えるまで、ユアは敵の死を見送る鎮魂歌を小さく口ずさんだ。たとえ敵でも命が果てれば皆同じだ。ならばせめて、天には還してあげよう。歌にはそのような思いを込めていた。
 ユアの歌に合わせてささやかな黙祷を捧げていたアゼルは、歌が終わるのと同時にほぅっと息を吐いた。
「さて、今回の敵さん、何らかの陽動というのが妥当とも思えます。この後本命で何が出てくるのやら」
「この前は工場狙うダモクレス来たけど、今度はドラゴンなんだね。死神とドラゴン、面倒な相手、かなぁ」
 緋色の言葉を聞いた朔耶は眉を潜める。
「どう考えても最悪だよな」
「うむ。普通のドラゴンとは少し違うようじゃったからのぅ。今回の敵の動きは要注意じゃ。他所にも出るようじゃったら今回の事件は役に立つかもしれぬ」
 ミミの言葉に何人かが頷いた。
「さて、あとは戦場のヒールだね」
 今回の敵に関する話が一区切りついたところで、クレーエがぽんと手を叩いた。
「怪我人がいたらその人たちにもヒールじゃな」
「うん、工場の人たちも心配だからね」
 ミミと緋色の言葉に仲間たちは頷いた。ジュスティシアが話を纏める。
「ではヒールと片づけを終えたら、報告も兼ねてまた一度集まりましょう」
 ケルベロスたちは分担してヒールと後片付けを始めた。施設の損壊は激しかったが、それも程なくして修復される。工場の人々にも次々とヒールを施した。瓦礫も手際よく一箇所へ集めていった。
 片づけを終えケルベロスたちは再び集まる。簡潔な報告を交わす中、仲間を見たエリシエルは何となしに考えた。そういえば今回は自分が年長組だ。こうして集まったのも何かの縁かもしれない。タイミングを見計らってエリシエルは口を開く。
「あ、ちょっと提案なんだけれどね。せっかく室蘭まで来たし、戻る前になんか食べていかないかい? カレーラーメンとか名物でお勧めだけど」
「この辺りには詳しいのか?」
 オルコの言葉にエリシエルは少し笑って頷いた。
「ちょっとね」
「へぇ、じゃぁいい店を紹介してもらおうぜ」
 朔耶の言葉に仲間たちが賛成の手を挙げる。
 予定を決めた一行は移動を開始する。その途中、ユアがそっとミミの肩を叩いた。ミミはユアを振り返る。
「ねぇミミさん、戦闘の時に呼び出していたぬいぐるみって、名前はあるのかい?」
 猫のぬいぐるみについて尋ねられたミミは、嬉しそうに笑った。
「おぉ、まーちゃんのことか! まーちゃんはわらわの大事な友達じゃ」
「まーちゃんかぁ。いい名前だねぇ」
 そう言って猫のぬいぐるみを思い浮かべたユアは、やはり猫はいいなと思うのだった。

作者:ユキ双葉 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年10月10日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
 あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。