病魔根絶計画~甘く苦しい恋の味

作者:つじ

●恋するハート
 日は既に落ち、店じまいしたケーキ屋の中、店員の二人は、甘い匂いのする職場を片付けていた。
「そういえばあの子、今日も来てたな」
「……ああ」
「ずーっとお前の事見てたぜ、やっぱイケメンは得だよなー」
 やめろよ、と軽口に苦笑いを浮かべて返す。黒くて長い髪の彼女。いつもふわりとした長い服を着込んだ彼女。恐らく同年代であろうその少女は、この店の一番のお得意様でもあった。
「それじゃお先に」
「ああ、じゃあな」
 今日も美味しかった、と明らかな熱い視線と一緒に感想を伝えてくれる彼女。
 それが今。
「あの」
「――ッ!?」
 店内に、立っていた。
「……びっくりした、貴女でしたか」
「あっ、ごめんなさい、驚かせてしまって」
 帰る同僚と入れ替わりに入ってきたのだろうか。残った照明の中、少女の頬が赤く染まるのが見える。仕草は可愛らしいのだが、その大きなつくりの目と口は、どことなく見る者を不安にさせた。
「いつも美味しいケーキをありがとうございます。今日は、お渡ししたいものがあって――」
 ごそごそと、少女は掛けていたカバンを探り始める。そうして待っている間に、彼はそれに気が付いた。長い髪の間からちらちらと覗くもの。長いスカートを内側から押し広げるもの。真っ白なそれは――何本もの、腕。
「私、思うんですけど。あんなに美味しいケーキを作れるんだから、あなたは、きっとそれだけ素敵な人なんだって。だから、だからですね? どうか、これで、私のためだけにケーキを作ってください!」
 カバンの中から出てきた包丁を目にし、彼はついに、悲鳴を上げた。

「――はい、店に良く来てくれるお客さんなんですけど、何か勘違いされちゃってて……」
 警察署にて、ケーキ屋でアルバイトをしていた男性が調書のために話を続ける。その整った顔には、どこか憔悴した様子が見えた。
「俺はただのバイトなんで、レシピ通りに作ってるだけっていうか、チェーン店だしほとんど出来合いのものだって――」

「……よくよく考えたら、包丁はあんまり使わないわよね」
 一方、病院のベッドの上。体の各所から腕上の瘤を生やした彼女は、ぶつぶつと独り言をつぶやいていた。
「ボウルとか泡だて器の方が……ウッ」
 げほ、と吐き気に任せたような咳が喉から零れる。口元を押さえる動きに反して、頭部から生えた『腕』が、僅かに長さを増した。
「ッ……ああ、あの人に会いたい。それから、また、ケーキを……」
 
●視界の虫食い
「皆さん、お集まりいただきありがとうございます! 病院のお医者さまやウィッチドクターの皆さんの協力により、悲腕症候群の根絶準備が整いました!!」
 白鳥沢・慧斗(暁のヘリオライダー・en0250)が、ハンドスピーカーを手に呼びかける。
「現在、この病気の患者たちは大病院に集められ、病魔との戦闘準備が進められています! 皆さんには、その中でも大物、『重病患者の病魔』を撃破していただきたいのです!!」
 今、重病患者の病魔を一体残らず倒す事ができれば、この病気は根絶され、もう、新たな患者が現れる事も無くなるという。だが勿論、敗北すれば病気は根絶されず、今後も新たな患者が現れてしまうだろう。
 デウスエクスとの戦いに比べれば、決して緊急の依頼という訳ではないが、この病気に苦しむ人をなくすため、ぜひ、作戦を成功させて欲しい。そう言って慧斗は画面を切り替えた。
 悲腕症候群。それは病的な恋心をこじらせた女性が発症する病気だ。吐き気とともに身体の各所に「腕に似た形状の巨大な肉瘤」ができ、次第に痛みを伴って肥大していく様子は、「あなたが欲しい」という想いがいきすぎて具現化したかのようとも形容される。
「現れる病魔も、患者さんに似た姿をしているようですね」
 白い肌の各所から伸びる、大小様々な腕状のもの。それを実際に触腕として扱い、攻撃してくるだろう。また、場合によっては体の各所を赤熱させ、炎を放ってくることもある。
 そこまで説明を終えて、慧斗は画面に顔を向けたまま首を傾げた。その視線は、ある一点に集中している。
「……んん? 送られてきた文字データには載っていませんでしたが、この病魔の胴とか二の腕部分の裂け目……これは、口、ですかね」
 よくよく見れば、体の各所に、歯の生えた口が生じている。腕が抱擁を求めるなら、これらは接吻、だろうか。
「この辺も攻撃に使ってくるかも知れませんね、留意しておいてください」

 他の病魔討伐の例に漏れず、今回も『個別耐性』を得ることでこの病魔から受けるダメージを抑える事ができる。
「皆さんに担当してもらう女性……八神・くくりさんは、ケーキ屋のアルバイトの青年に恋をしているそうです」
 曰く、相手の事を「とても美味しいケーキを作る、心根の綺麗で素晴らしい男性」と見ているらしい。
「お菓子作りの上手さと男性としての魅力がどう繋がるのかはよく分かりません! でも多分、そういう独特の感性の方が発症しやすい病のようなので……」
 もごもご、と少年は言葉を濁した。
 とにかく、今回の場合は、彼女の勘違いを正して執着を薄めるか、より素晴らしい男性が居る事を証明するなどの方法で、個別耐性を得られるだろう。
「長くなりましたが、この病気で苦しんでいる人を救い、病自体を根絶する好機です! 確実な撃破をよろしくお願いしますよー!!」


参加者
シア・ベクルクス(花虎の尾・e10131)
江戸川・シャーロット(ぽんこつホームズ・e15892)
月井・未明(彼誰時・e30287)
空野・紀美(ソラノキミ・e35685)
鮫洲・紗羅沙(ふわふわ銀狐巫女さん・e40779)
ステラ・フラグメント(天の光・e44779)
ニコ・モートン(イルミネイト・e46175)
花津月・雨依(壊々癒々・e66142)

■リプレイ

●甘き恋の味
 病魔根絶のための一手として、重症患者の収められた病室に、ケルベロス達が歩みを進める。
「ケーキ作りですか……いいですね。病魔に侵されているとはいえまだ普通に意思疎通が出来ます。純粋に皆で楽しく盛り上がればきっと良くなりますよ」
 ニコ・モートン(イルミネイト・e46175)が首肯するように、耐性を得るべく、彼等はまず患者との交流を試みた。
「こんにちは、くくりさん」
「美味しいお菓子も持ってきました。少しお話ししませんか?」
 シア・ベクルクス(花虎の尾・e10131)と花津月・雨依(壊々癒々・e66142)の声に、ベッドの上の少女が、黒髪の隙間から視線を向ける。
「あなた達は……?」
 患者の問いに、空野・紀美(ソラノキミ・e35685)はケルベロスである事を伝えて。
「あのねあのね、今日はくくりさんの病気を治しに来たんだよ!」
「本当? 治れば、またあの人に会いに行けるかしら」
 体の各所に伸びた腕上の瘤。億劫そうにそれらを見やる少女に、紀美は勇気づけるように笑みを向けた。
 悲腕症候群。恋焦がれる気持ちを原因とし、腕上の瘤が生まれるこの病。その耐性を得るのなら、まずは彼女の想いの中の『勘違い』を解き、相手への執着を弱めてやれば良い。
 つまり――。
 江戸川・シャーロット(ぽんこつホームズ・e15892)が、咳ばらいを一つ。
「この大探偵が調査した真実をお伝えします! あの店員さんはお店のレシピ通りに作っているだけ! 美味しいのはお店のレシピ! それに買ったケーキが全部あの人の作った物なわけないですよ! 他の人が作ったのだって混ざってます! 故にあの人が特別美味しいケーキを作るわけではのぅ!」
 ――こういうことである。内容としては完璧。大正解だ。
 呆気に取られていた患者が我に返るのに数瞬を要したものの、その言葉は確実に彼女に届いただろう。
 つくりの大きな目が濡れて、「嘘よ」と押し殺した声が喉を揺らした。
「帰って」
「あーっと、待って待って! これはねぇ、お見舞い! あまいものって美味しいよねぇ」
「ほら、可愛らしいレディ。甘い物には飲み物が付き物だぜ。紅茶とコーヒー、どちらが良いかな?」
「より気持ちも落ち着いて良いかなと思いまして、今回は飲みやすいアールグレイを持ってきましたよ!」
 ぐす、と鼻を鳴らした少女に、アイシングクッキーを手にした紀美とステラ・フラグメント(天の光・e44779)、そしてニコが畳みかけるようにして落ち着かせる。
「そうだ、出来立てのケーキを御馳走することもできますよ」
「宜しければ今からご一緒に作りませんか?」
 泣き声が収まってきた頃を見計らい、雨依とシアが声をかける。
「ふむ、それならおれもご一緒しよう」
 月井・未明(彼誰時・e30287)もそう言って水を向けてみるが。
「……ごめんなさい、私……」
 四方に伸びる腕上の瘤が邪魔で、『並んで作業』、というわけにはいかないのだろう。申し訳なさそうに首を振るくくりに、それでもシアは微笑みを向けた。
「では今から作るので、召し上がって下さる?」
「う、うん。ありがとう」
 困ったようにうなずいた彼女の前で、シア達は用意してきた材料を取り出した。レシピはもちろん、件の店で情報提供を受けている。勝負はここからだ。
「あまいものって緊張とか、なんだかどこかにいっちゃう気がするんだよねぇ。ケーキまでにちょびっとつまんじゃお?」
「そうそう、この近くにも良いお店がありまして」
「え、本当に? 今度買ってきてもらおうかしら」
 その間に、紀美と鮫洲・紗羅沙(ふわふわ銀狐巫女さん・e40779)はおすすめスイーツ談義で患者との仲を深めていった。

 それからしばしの時が流れ――。
「完成です。皆さんも、召し上がってください」
「ありがとう! あれ、でも、これ……」
「はい、あのお店の方に、レシピと材料をわけてもらいました」
 雨依の配るケーキに、くくりが反応を見せる。シアの回答通り、二人が作ったのは『極力レシピ通りにした品』だ。戸惑いながらもそれを口にするくくりの横で、彼女らもそれを一口。
「これ……」
「うん、確かに美味しい! 誰でも同じ味になる様に考えられているのね」
「これもとっても美味しいけれど……どうです? くくりさんも、好きな味ですよね?」
「きみが何時も食べているケーキと、違うところはあるだろうか」
 シアと雨依の言葉に、未明が続ける。くくりは戸惑いながらも目を伏せた。
「そんな……うん、ほとんど、おんなじ……」
 そんな彼女に、ニコが言う。
「シアさんの言う通り、確かに男性の作るケーキの様にこれも同じくおいしいですね。でも同じ様に美味しいと感じたのなら、多分これまでの気持ちは彼ではなくケーキに対してではないのでしょうか」
「あぁいったお店では実は業務用のケーキなるものをお取り寄せしていたりして効率的にやっているんですよ~」
「彼自身も職人さんではなくバイトさんですし、ね」
「お店の味が定まっている、誰が作っても美味しいのは良い事だ」
 さらに紗羅沙と雨依、未明にかけられた言葉に、少女は気まずそうにシャーロットの方へ視線を向けた。
「さっきは疑って、ごめんなさい」
「良いの、大探偵の華麗なる推理ショーは、まだこれからよ!」
 シャーロットがうなずくのを見て、シアが言葉を継ぐ。ここまで理解が及べば、次のステップに移っても良いだろう。
「味と人格は必ずしも同じではない、というのは伝わったと思うのだけれど……ね、貴方は彼自身の何処に惹かれましたの?」
「そうですね、改めて何故惹かれたのか思い返してみませんか」
 ニコの言葉にも、少女は俯いたままだ。ケーキの味は否定されてしまった。だから、あの胸のときめきに、理由をつけるとするならば。
「……、…………か、顔が好みで」
「なるほど、顔」
 未明が首肯する。言葉にすると身も蓋もないが、それはそれで厳然たる事実である。
「彼の外見が素敵なところに惚れ込むのも、美味しいケーキに魅了されるのだって当たり前だ。でも、きちんと相手を見つめないと、お互い不幸になってしまう」
「うう……そ、そうかしら」
「ああ。その恋が本物なら、まずは彼を知るところからではないかな」
「そうでなければ、これからはもっとくくりさんが望むような方を探してみて欲しいです」
「それがどんなきっかけでも、貴女の為にケーキを作ってあげたいと想ってくれるように、くくりさんも努力する事で、きっともっと素敵な出会いがあるはずです~」
 雨依と紗羅沙も言葉を続け、少女を説得。効果は確かに、表れているようだが。
「安心して、美味しいものを食べる君は、とても可愛いと思うよ」
 まだ不安気な少女に、ステラが右手を差し出す。握手を求めるような空の手には、次の瞬間コスモスの花束が。
「これをどうぞ。『乙女の愛情』なんて、君にぴったりだと思うよ」
 花言葉と共に、それは少女に贈られる。
「……すごい、こんなの、ドラマでしか見たことないです」
「ふふ、誉め言葉と受け取っておくよ」
 少女の顔が綻んで、笑みの花が咲いた。

●焦がれる想いをここに
 患者と十分打ち解けられたところで、最後の仕上げを。
「お願いします……」
「大丈夫ですよ、八神さん。それでは、施術を始めます」
 シアの手で、病室に病魔が召喚される。色こそ抜けるように真っ白だが、その姿は患者によく似たものだった。
 大きなつくりの瞳が、ぎょろりと動いて一同を睨む。
「さあ、急いでここから離れて。後はお任せ下さいな」
「くくりさん! あとはねぇ、私たちの出番だからね! すぐに安全なとこに移動しちゃおうねーっ」
 車椅子を押して走り去る紀美と入れ替わるように、シャーロットが前へ。ボディヒーリングで敵の攻撃に備える。
「は、ァ……」
 ゆっくりと前傾姿勢を取った病魔は、細く甘い、切なげな吐息を漏らす。途端、伸ばした腕の指先が赤熱、辺りに炎を撒き始めた。
 梅太郎と共にそれを抑えにかかる未明。そんな彼女を援護するように、ニコの散布した紙兵が盾を形成していく。
「カバーは任せてください」
「ノッテも、頼んだよ」
 ウイングキャットに声をかけてステラが跳躍。上方からの仕掛けで病魔に挑む。叩き込まれる靴裏を、敵は腕を幾重にも重ねるようにして防御した。
「しぶとそう、かな?」
「まずは動きを鈍らせますね」
 飛び退くステラを雨依がプラズムキャノンで援護。敵を釘付けにかかる。
「では、こちらも……!」
 シアの手にした杖、青苑から稲妻が迸り、病魔の身を打ち据えた。
「さぁいらっしゃい、魔を咬み、祓いましょう」
 銀狐巫女の秘術【魔咬みの霊獣】、さらに紗羅沙の呼んだ狼の幻影がその腕を食らい、押しとどめていく。
 行動阻害を期するケルベロス等に対し、病魔は炎のほか、縋り付くように腕を伸ばして攻撃してくる。
「でも、これくらいなら……」
「ああ、大したことはない」
 ディフェンダーを務めるシャーロットの言葉に、同じく守備役の未明が頷く。患者との交流により得られた耐性効果が、ここで十二分に力を発揮していた。
 そうこうしているうちに。
「避難完了だよーっ! わたしもわたしも! 退治頑張っちゃうねーっ」
 戻ってきた紀美が、部屋の中央の病魔に向けて人差し指を立てる。そう、人の恋路を蝕む病魔に。
「ばきゅーん!」
 ネイルに描かれた射手座が輝き、『無邪気な射手座』による魔弾が飛翔する。
「良いね、それじゃこちらも。流れ星がみえるかな?」
 それに合わせてステラが跳躍、流れ星が、跳ね回るように。伸ばされる腕達を踏み台にしてステップを踏んだ。
「さあ、今のうちにどうぞ?」
「了解です」
「いいわ、ジャーック……ポット♪」
 紗羅沙の【氷結の槍騎兵】に続き、ミミックであるワトソンくんに腕を突っ込み、シャーロットが金棒じみた武器を引きずり出す。『証明終了!!』、強力な一撃が病魔の身に見舞われた。
 見事な連携によるものだろう、悲鳴か嘆きか、苦し気な声を上げた病魔は、しがみつくようにして近くの未明に狙いを定めた。
 複数の腕が彼女の手足を掴み、病魔の顔が近づく。そこに庇いに入ったのは、梅太郎だった。代わりに捕まったウイングキャットに、今度こそ病魔はその唇を寄せた。
 熱いベーゼ。そっと近づく唇は、裂けて予想の三倍近いサイズの口が開く。
「梅太郎……あっ」
「いただき、ます……」
 言葉にならない悲鳴を残し、梅太郎は頭からがぶっといかれた。
「こ、こら、離せっ」
「えっ、ちょ、ちょっと怖いよ!? 大丈夫!?」
 『薄月』。じたばたと暴れる相棒を助けるべく放られた薬瓶から白煙が沸き、その間に紀美がドラゴニックスマッシュの一撃を加える。
 重量級の一撃にもんどりうって倒れ、獲物を吐き出してしまった病魔を、さらにニコが巨大な五指で捕まえる。
「ちょっと、大人しくしていてね……!」
 そうして押さえ込まれた病魔の前に、シアが進み出た。
 求め、縋り、抱きしめる、そんな意思を表したように伸ばされる腕達に、抜刀。
「あなたのその手は何も掴めないわ。どれだけ手を伸ばしても、けして掴ませない」
 突き、放たれるは『撞花』。鋭い一刺しにあやまたず喉を貫かれ、ひゅる、と長く高い悲鳴を上げて、病魔は消滅した。

●茜色
「みなさん、ありがとうございました!」
「うん、お役に立ててよかった!」
 すっかり症状の収まったくくりに、紀美が応じる。こうして無事治った姿を見るのが、この場合は何よりの成果と言えるだろう。
「気分はどうでしょうか、まだ恋しい気持ちも……?」
 今回の件が、後の良い出会いに繋がると良いと願いつつ、紗羅沙が問う。
「ええと、それは……」
 よくわからない、というように悩まし気な様子を見せる彼女を、勇気づけるようにステラが微笑む。
「今日のケーキも、とっても美味しかったと思うけど……いつもと比べて、どうだったかな?」
「同じ材料を使って、同じように作ったはずだ。何かが違ったなら、それが恋の味というものだと思う」
「そ、そういうもの?」
 思い出は何よりも甘いもの。頷く未明に、少女は赤く顔を火照らせた。
 それは本当に幸せな恋なのか、ニコの疑問に答えはない。
 きっかけも、好きになった部分も、思い込みも、否定できたものではない。それはまた病魔とは違う、『恋の病』。医者に治せるものじゃない、と若干の自覚を含めて未明は頷いた。
 そして、それは時に力を与えるものでもある。
「ちゃんと退院できたら、また美味しいものを食べましょう」
 そう言った雨依に、少女はまばゆい笑顔で答えた。
 ケルベロス達の活躍により、病魔は去った。そしてきっと、彼女はもう間違えないだろう。
 恋心を映すように、空は茜に染まる。

作者:つじ 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年10月10日
難度:やや易
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 8
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