●製鉄工場襲撃
海沿いの街にある、とある製鉄工場での出来事である。
鉄鋼製品を生み出すその工場は、日常、煙突より白い煙を吐き出している。今日もいつもと同じように煙を登らせている――かに見えた。
だが、よく見れば、その煙は煙突とは異なる場所から上がっていることに気付いただろう。
もし近寄ってみることができたのならば、中から人の悲鳴が響き渡っていたことも聞こえたかもしれない。
さて、その工場の敷地内では、獲物を物色するように、青い二足歩行ロボットが徘徊していた。『作業用ライドロイド』と呼ばれるダモクレスだ。作業用ライドロイドが工場の一角にある建物、その壁を殴りつけると、大きく空いた壁の穴から、加工済みの鉄鋼の山が姿を現す。
作業用ライドロイドは鉄鋼を掴み上げると、その背のコンテナに次々と積載していく。しばしの後に積み込み作業を終えると、再び移動を開始した。
デウスエクス達の移動手段、魔空回廊の入口へとたどり着いた作業用ライドロイドを出迎えるように、同じく資材を満載した作業用ライドロイドが現れた。続いて、二体の黄色い人型ロボットがやってくる。『シモーベ』と呼ばれるそのダモクレスが持つ、つるはしのような武器と体は、赤い液体で濡れている。
ここが工場であり、作業員たちがいる事。そして先ほどまで響き渡っていた悲鳴が聞こえなくなっている事を考慮すれば、このシモーベたちがどこで何をしていたのか、うかがい知ることができるだろう。
さて、そこからさらに、シモーベを引き連れた、赤い二足歩行ロボット、『戦闘用ライドロイド』たちが現れた。その姿に汚れた様子はなく、恐らく、周囲の警戒を行っていたのだろう。
ダモクレスたちは自分達の戦果を確認すると、魔空回廊へとその身を消したのであった。
●工場救援
「集まってくれて感謝する。では、今回の作戦を説明しよう」
集まったケルベロス達へ、アーサー・カトール(ウェアライダーのヘリオライダー・en0240)はそう告げた。
先日実行されたダモクレス海底基地破壊作戦の結果、ディープディープブルーファング事件で使われるダモクレスの製造ラインについて、大打撃を与えることに成功した。
この結果により、おそらく、同事件で使われるダモクレスの製造は阻止できただろう。
「ダモクレスが行っていた研究、その全てを明らかにすることは出来なかった。だが、死神とダモクレスとの関係について、一方的な戦力提供というわけではなく、ダモクレス側にも何らかの目的があっての事だという事が推察できる情報を得ることができた。今後のダモクレスの動向にも注意するべきだろうな」
また、海底基地では、ダモクレスの資源採掘基地が海底に存在する可能性も示唆されていたという。資源採掘基地を発見して破壊することができれば、ダモクレスの大規模な作戦行動をけん制できるかもしれない。
「さて、本題に入ろう。海底基地が破壊された事で、ダモクレス達が動き出したようだ。どうやら資材を求めて工場を襲撃するらしい」
この襲撃に参加しているダモクレスは、工場建設に従事していたダモクレス達のようだ。
このダモクレス達は戦闘能力は高くないが、資材の強奪、ケルベロス達への警戒、そしてグラビティ・チェインの略奪を狙った作業員の襲撃を手分けして行うという、統制の取れた行動を行っている。その為、油断のできる相手と言うわけではない。
まずは、敵の配置について説明しよう。
まず、工場作業員の多くが配置されている詰め所、『A地点』。
ここには『シモーベ2体』が出現し、作業員への攻撃を行っている。
作業員の避難を完了させてしまうと、敵の襲撃自体が行われなくなってしまう可能性がある。その為、作業員たちを避難させることはできない。
仮にこの場所へケルベロス達を派遣しなかったとしても、大多数の作業員たちは、無事に逃げ出すことはできるだろう。
そして、一つ目の鉄鋼置き場である『B地点』。
ここには、『作業用ライドロイド1体』が、資源の強奪を行っている。
二つ目の鉄鋼置き場である『C地点』では、『作業用ライドロイド1体』が、同様に資源を回収しようとしている。
工場入り口付近にあたる『D地点』では、『戦闘用ライドロイド1体とシモーベ3体』が、周囲を警戒している。
「今回の作戦の目的は、大まかに二つ。敵の戦力を大きく削るか、資源の強奪を阻止する。このどちらかを達成してもらいたい」
敵は、工場の広範囲に分散して作業を行っている。敵の全てを倒しきるには、時間と戦力が足らないのだ。
資源を守り切るか、資源を捨てて多くの敵を叩くか、という選択になるだろう。
もちろん、全てを守る、という選択肢もないわけではない。だが、それは非常に困難な事になるだろう。
敵の戦闘能力だが、基本的には、さほど高いというわけではない。
シモーベ1体の戦闘力は、『ケルベロス1人よりも少し弱い』程度。
作業用ライドロイド1体は、『ケルベロス1人で戦うのは厳しいが、2人ならば互角以上に戦う事が出来る』程度の戦闘能力を持つ。
戦闘用ライドロイドは、その名の通り戦闘用となるので、他の敵ほど弱くはない。が、ケルベロスが4人同時に戦えば、充分に撃破可能となるだろう。
戦闘用ライドロイドの周囲にはシモーベが3体いるが、それを含めても、ケルベロスが6人もいれば、充分に対処は可能であると思われる。
「移動にかかる時間、敵を撃破する時間、敵の動き、戦力配分……様々な事を考慮して行動しなければならない。非常に困難な作戦だが、君達なら、最善の結果を得られると信じているよ。作戦の成功と、君達の無事を、祈っている」
そう言って、アーサーはケルベロス達を送り出した。
参加者 | |
---|---|
シィカ・セィカ(デッドオアライブ・e00612) |
バーヴェン・ルース(復讐者・e00819) |
立花・恵(翠の流星・e01060) |
木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・e02879) |
湯島・美緒(サキュバスのミュージックファイター・e06659) |
アレックス・アストライア(煌剣の爽騎士・e25497) |
フェルディス・プローレット(すっとこどっこいシスター・e39720) |
ブレイズ・オブジェクト(レプリカントのブレイズキャリバー・e39915) |
●ポイント・A
その日、海沿いの工場からは、常とは異なる噴煙が立ち上っていた。
ダモクレスによる工場襲撃。4か所への同時攻撃によるそれは、多くの作業員が作業・休憩中であったこの事務所棟にも及んだ。
シモーベと呼ばれる二体のダモクレスは、どこか愛嬌すら感じられる外見ではあるものの、その戦闘能力は一般人が太刀打ちできるものではない。
「ひっ! きっ、来たぞ!」
事務所棟の窓からダモクレスの姿を見つけ、悲鳴をあげる作業員。それを見やり、獲物と認めるように、シモーベのレンズが輝いた。
シモーベが手にした武器を振りかぶり、一歩一歩、事務所棟の建物へと迫る。すでに作業員たちは避難を開始しているものの、このまま放っておいては、人的な被害は免れないだろう。
――だが。救いの手は、彼らを決して見捨てはしない。
その時、地上にて、何かが輝いた。
煌いたのは、刃の一筋。なぞる軌跡に炎が走る。その様は、地上にて輝く太陽のよう。
作業員たちが見れば、シモーベの前に、刀を振り下ろした体勢の、人影があった。
「――ム」
人影――バーヴェン・ルース(復讐者・e00819)が唸る。途端、シモーベの片腕がするち、と斬れ、地に落ちた。
「!?!?!?」
電子音の様な悲鳴をあげるシモーベ。
「イェーイ!」
ノリのいい声と共に、新たなる人影が、シモーベへと飛び掛かった。空中より落下速度を乗せて浴びせられる流星の如き飛び蹴り。一撃を受けたシモーベが吹き飛ばされ、地に倒れ伏す。
「レッツ、ドラゴンライブ! ロックにオンステージなのデスよー!!」
手にしたギターをかき鳴らすその人影は、シィカ・セィカ(デッドオアライブ・e00612)だ。
「アレは……!」
その姿を見た、作業員たちが声をあげる。
「ケルベロスだ! 来てくれたのか……!?」
「そう! 助けに来たわ! もう大丈夫よ!」
その声に応じるように、湯島・美緒(サキュバスのミュージックファイター・e06659)が声をあげる。手にしたドラゴニックハンマーを変形させ、砲撃をシモーベへと叩き込んだ。爆発がシモーベを吹き飛ばす。
その爆発の隙間を縫うように、アレックス・アストライア(煌剣の爽騎士・e25497)は、自身のウイングキャット『ディケー』と共にシモーベへと駆け抜ける。手にした『星降の剣 -libra- ;Mode Judgment』を煌かせ、虚の力を纏わせた斬撃が、ディケーの爪が、シモーベを切り裂いた。
「もう大丈夫だよ、お嬢さん方……」
と、野郎ども。と小声で呟き、
「敵は俺達が抑えるから、レディ・ファーストで避難を開始してくれ」
ウインク一つ、アレックス。作業員たちは口々に礼の言葉をあげながら、避難を開始した。
「!!」
電子音をあげ、シモーベが立ち上がるのへ、
「おっと、まだやられてなかったか。脇役はさっさと退場する物だぜ?」
主の言葉に頷くように、ディケーがつまらなさそうに一鳴きする。
そんなシモーベへと、木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・e02879)がトドメとばかりに攻撃を見舞いする。
「地獄の炎を味わえ!」
言葉通り、地獄の炎を乗せた一撃がシモーベへと叩きつけられ、衝撃と獄炎がシモーベを破壊する。
「まだ他の地点に敵もいるんだ。さっさと片付けよう」
ウタの言葉に、
「ああ、今回は時間との戦いだ。急ごう!」
立花・恵(翠の流星・e01060)がこたえた。そのままバスターライフルを構えると、残るシモーベへと冷凍光線を発射。光線と冷気がシモーベの体を痛めつけ、
「ハハハハハ! 人間から略奪するダモクレスから略奪をするのは最高ですね! 死ね!」
笑い声をあげつつ、オウガメタルを身に纏ったフェルディス・プローレット(すっとこどっこいシスター・e39720)が、シモーベを殴りつける。装甲をぶち抜かれたシモーベは、それでもあがくように体を動かしていたが、
「目標のバイタル低下と判断」
機械の様に言葉をつぶやきながら、ブレイズ・オブジェクト(レプリカントのブレイズキャリバー・e39915)は摩擦熱の炎を纏った蹴りを繰り出した。切り裂くようなそれはシモーベの装甲を熱と共に溶断し、その活動を停止せしめる。
「敵対目標の沈黙を確認。小目標のクリア。第二フェーズへと移行する」
ブレイズの言葉通り、事務所棟を襲っていた二体のシモーベは、ケルベロス達の電撃的な攻撃により撃退された。
だが、ダモクレスの襲撃は別の地点でも行われている。そして、
「――ム。何かが近づいてくるな。どうやら――」
バーヴェンの言葉に、ケルベロス達は工場入り口方向へと視線をやる。猛スピードでこちらへと近づきつつあるのは、戦闘用ライドロイドだ。入り口でケルベロス達を警戒していた戦闘用ライドロイドだったが、戦闘の音を聞きつけてこちらへとやってきたのだろう。
戦闘用ライドロイドは速度を殺さず、ケルベロス達へ向けて突撃を仕掛けた。ケルベロス達が一斉にその場を飛びのく。一瞬の後に、ライドロイドがその場を猛スピードで駆け抜けた。そのまま急ブレーキをしつつ転進。ケルベロス達へとその身体を向け、威嚇するように武器を振るう。
「来たみたいだな、待ってたぜ?」
ライドロイドを警戒しつつ、ウタ。
「予知通り、援護に現れたみたいね……だったら!」
美緒が声をあげ、武器を構え直す。合わせるように、ケルベロス達も各々の武器を構えた。
「血祭りにあげた後、鉄くずの山に変えてやりましょう。あなた達の体、こちらが資材として使ってあげますよ」
フェルディスの宣言が、戦闘の口火を切った。戦闘用ライドロイドを迎え撃つケルベロス達は、激しく剣を交える――。
●中間ポイント
銃撃と剣戟。幾度の交差の果て、戦闘用ライドロイドの装甲には、いくつもの傷が刻まれていた。
だが、まだその機能を停止する様子は見られない。
「――そろそろ、リミットデスね?」
シィカが言う。作戦開始より五分経過後――もしこのライドロイドとの戦闘が続くようであったら、部隊を二つに分けて分散。二つの地点で戦う予定であった。
「ええ、皆は移動を始めて。ここは私達が――!」
美緒が言いながら、ライドロイドへと向けピックを投げつけた。勢いよく放たれたそれはライドロイドの腕へと突き刺さり、その周囲を瞬く間に凍り付かせる。ギリギリと腕をふるうライドロイド。
「悪いな、頼んだぜ……!」
恵が感謝の言葉をかけつつ、踵を返した。恵以下4人のケルベロス達は、別の戦場へと向かうべく、移動を開始する。そんな恵たちを、ライドロイドが視線で追うが、
「おっと、お前の相手はこっちだ」
剣を煌かせ、アレックスがライドロイドの前に立ちはだかる。ディケーの起こしたはばたきによる援護を受けながら、アレックスはその天秤剣を掲げた。
途端、剣に宿る星の重力が解放される。それは、犯した罪の重さに比例して重さを増すといわれる、罪の錘。解放された重力は、ライドロイドの体を縛り付ける。
「――――卑怯と言って呉れるなよ? 『峻厳なれ星降の剣(ブランディーティア)』……!」
そして放たれるは、断罪の一撃。神速から放たれるその一撃は、常であっても回避は難しいだろう。ましてや、己の罪にてがんじがらめとなった相手にとっては。
刃がライドロイドの装甲を切り裂き、その内部メカを露出させた。傷口からオイルとスパークを放ち、ライドロイドがけいれんのように体をうごめかせるのへ、
「てめぇの運命は此処で仕舞いだっ!」
ウタが星型のオーラを蹴り込んだ。傷口から内部へと入り込んだオーラは、さらに深く、深く、その内部メカを破壊していく。鮮血のように、オイルが吹きあがった。もはや虫の息と言った所へ、
「ハ――! スクラップになるがいいです!」
高く高く、フェルディスは飛んだ。空中落下しつつ放たれる、自身のグラビティを乗せた、巨大なハンマーによる一撃。それは戦闘用ライドロイドを上から叩き潰した。硬いはずの装甲は、その一撃の前では意味をなさず、文字通り、ぐちゃり、と破壊されていく。
「――あ? 資材として使ってやる、って言いましたよね。ハハハ! すみません、アレは嘘になりました! これじゃあ文字通りの鉄くず――ゴミでしかありません!」
残虐気な笑みを浮かべるフェルディス――言葉通り、鉄くずと化したライドロイドは、もう動く事はない。
「さて、ひとまずこっちは片付いたわね……」
ふう、と汗をぬぐいつつ、美緒。だが、全ての敵を倒しきったわけではない。作業用ライドロイドは仲間達が対応してくれているが、まだ3体のシモーベが残っているはずだ。
「やれやれ、まだ敵は残っているか……とは言え、工場にいるお嬢さん方は救出できた。ひとまずは成果をだせたといってもいいだろうね」
アレックスの言葉に、仲間達は頷いた。
「敵も必死みたいだが……俺達が負けるわけにはいかないな」
と、ウタ。
「シモーベ達がいるのは、あっちの方か。急ごう」
ウタのその言葉を合図に、ケルベロス達は走り出した。
「道なんて関係ありません。ぶっ壊して進みましょう」
フェルディスの言葉通り。真直ぐ。最短距離を駆け抜け。
一方、作業用ライドロイドを目指し、敵の撤退ポイントへと向かっていたケルベロス達は、その視界に、資材を魔空回廊へと搬入する作業用ライドロイドの姿をとらえていた。
「見つけまシタ! 作業中だったみたいデス……!」
シィカの声に、
「これ以上やらせるかよ! 人の命も、資源も守り切ってやる! 一気に決めるぞぉっ!」
恵が叫ぶ。走りながら武器を取り出し、作業用ライドロイド達へと狙いを定める。
「――ム。貴様らの悪行、ここまでだ」
バーヴェンが速度を落とさぬまま、ライドロイドへと迫る。勢いよく突き出された刃がライドロイドの腕へと突き刺さった。衝撃にライドロイドが機械音の悲鳴をあげ、手にしていた鋼材を取り落とす。
「もうお帰りデスか? ボク達のライヴは、まだまだこれからデスよー!」
シィカの蹴りの一撃が、追撃とばかりにライドロイドへと突き刺さる。ライドロイドが吹き飛ばされ、その様子に、もう一体のライドロイドが困惑気に顔面のライトを光らせた。
「おっと、よそ見してる余裕はないぜ?」
いつの間にか、ライドロイドの懐へと潜り込んでいた恵が声をあげた。ライドロイドのセンサーでも捉えられぬ、神速の移動。恵は手にした銃、『T&W-M5キャットウォーク』の銃口を装甲に押し付けると、
「ぶっ放す!!」
言葉と共に、引き金を引いた。ゼロ距離から放たれた弾丸は容易に装甲を貫通し、ライドロイドの内部まで到達。その銃弾が破裂する直前に、恵はその場から飛びずさった。激しい破裂音と共に、ライドロイドの装甲内部で銃弾が破裂する。隙間から黒煙を上げるライドロイドへ、
「目標確認。排除を開始する」
ブレイズの、銃弾の様な蹴りの一撃が突き刺さった。ライドロイドは黒煙をあげながら吹き飛ばされる。
ケルベロス達の襲撃により、搬入作業を妨害されたライドロイド達は、手痛いダメージを受けつつ、弱々しく立ち上がった。二体が通信するように顔面のレンズを光らせると、途端、踵を返し、魔空回廊へと向かい駆け出す。
「――ム。逃げる気か……!」
「逃がしてたまるか……っ!」
バーヴェンと恵が声をあげ、ケルベロス達も一斉に駆け出した。
繰り出されるケルベロス達の総攻撃をその身体に受け、虫の息と言う状態ではあったが、作業用ライドロイド達は、魔空回廊へと逃げ込む。
ライドロイド達が内部に侵入したと同時に、魔空回廊は消失した。
「むむ、逃げられてしまいまシタね……」
シィカの言葉に、
「――ム。だが、資材の搬入はあらかた阻止できたようだ」
「肯定する。敵の目的は挫けたと言っていいだろう」
バーヴェンの言葉に、ブレイズが頷いた。
「ちっ……少しばかり消化不良だが、まぁいいだろ。人命優先が基本方針だったしな」
恵は手にした銃をくるりと回し――、
「おっと、まだ武器を仕舞うには早いな。入り口側と合流しないと」
「ハイ! ボク達のアンコールライヴ、聞かせてあげまショウ!」
シィカが頷き、ケルベロス達は再び駆け出した。
●オール・クリア
仲間達と合流し、万全となったケルベロス達にとって、シモーベなどは物の数ではない。ケルベロス達は、最後に残ったシモーベ達を難なく下し、見事工場の解放を成功させたのであった。
そして、その後。
「うう、流石に疲れたデス……」
くすん、と声をあげるシィカ。
「奮起を期待する。損壊した建造物はまだ残存している」
と、ヒールドローンを操作しつつ、ブレイズが声をかけた。
ケルベロス達は戦闘後、破壊された工場のヒールを行っていた。
今回は広大な工場地帯、それも複数の場所を攻撃されており、損傷個所は多い。
ついでに、ケルベロス達が移動の際に破壊した建物も――これは作戦の為しょうがない事なのであるが――いくつかある。
「ちょっと、やり過ぎちゃったかもね」
苦笑しつつ、美緒。美緒は移動の際に、景気よく建物の壁をハンマーで破壊していたりもするのだ。
「仕方ない事ではありますね」
目をそらしつつ、フェルディス。フェルディスも結構、移動の際に壁を壊したりした。
「やれやれ、こういう裏方作業は俺の役目じゃないよなぁ……」
アレックスが作業を手伝いつつ言うのへ、ディケーは頷くように一鳴きするのである。
「しかし……工場全体を狙ってこれだけ大規模に行動してくるなんて、ダモクレスってやつは一体どれだけの組織なんだろうな……」
恵の言葉に、バーヴェンが頷いた。
「――ム。その組織力、そして技術力……やはりデウスエクス、底が知れないな」
「今回の資材も何に使うのやら。深海にも基地があったって言うし、連中も必死みたいだな」
ウタの言葉に、ケルベロス達は頷く。
「――ム。とは言え、俺達がやる事は決まっている。どんな策略を講じていようと、正面から打ち砕くのみ」
バーヴェンの言葉に、
「ははっ。そうだな。どんな敵でも、撃ち砕くだけ、ってな」
恵が頷く。
アレックスも微笑を浮かべつつ、頷いた。この場に集ったケルベロス達の、想いは一つだ。
「どんな敵でも、どーんと来い、デース! ボク達がロックに歓迎してあげマース!」
と、シィカは声をあげるが、
「あはは……じゃあ、まずはこの敵をやっつけないとね」
美緒の言葉に、シィカは再び、うえーん、と声をあげるのであった。
「作業を進めることを提案する。このままでは日が沈むと推測」
「仕方ありませんね、兎に角できる所までやりましょう」
ブレイズの言葉に、フェルディスが頷いた。
「……あばよ。蒼き地球で安らかにな」
ウタは鎮魂歌を口ずさみつつ――。
一つの事件は、こうして幕を下ろしたのである。
作者:洗井落雲 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
|
種類:
公開:2018年10月4日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
|
||
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
|
||
あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
|
||
シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。
|