梨狩りなんてゆるさない!

作者:三ノ木咲紀

 とある観光農園は、梨狩りを楽しむ観光客で賑わっていた。
 秋の味覚を楽しめる季節は始まったばかり。たわわに実った梨を目当てに訪れた観光客は、ハサミを手に美味しそうな梨へと手を伸ばしていた。
「ストップ、ストーーーーーーーップ!」
 拡声器で掛けられる大声に、観光客達は一斉に声の方へと顔を向けた。
「秋の味覚は巨峰が一番! それ以外は認めない! なのに何故あんた達は梨へと手をのばすのか! アタシはそれが分からなーーーーーい!!!」
 自分勝手なことを叫びながら現れたビルシャナは、梨を手にした観光客に向けて水鉄砲を向けた。
「確かに! 巨峰の季節はまだ早い! だけどね、それも待てずに梨狩りをしようだなんて、そんな浮気症なこと、アタシは認めなーい! 食らえ、紫色ブドウ球弾!」
 水鉄砲から放たれる無数の巨峰が、観光客を襲う。
 次々倒れる観光客の体から巨峰の実を拾い上げた巨峰のビルシャナは、口に運ぶと美味しそうに食べる。
「安心なさい! 使った巨峰弾は、アタシ達が全ておいしくいただくわ! さああなた達!この農園を制圧するわよ!」
「了解!」
 配下を振り返った巨峰ビルシャナは、てきぱきと指示を飛ばすと梨を巨峰で撃ち抜いた。


「確かに巨峰は美味しいですが、ここまでゴリ押しされるのはちょっと……」
 苦笑いをこぼす朔望・月(桜月・e03199)に頷いたねむは、集まったケルベロス達を見渡した。
「梨狩りの農園に、ビルシャナが出たみたいなの。被害が広がる前に、この事件を解決してほしいの!」
 巨峰ビルシャナの周囲には、巨峰に魅せられた一般人が八人いる。
 それぞれ目が巨峰になっているが、彼らの主張を覆すようなインパクトのある説得ができれば、戦わずに無力化することができるだろう。
 目が巨峰の一般人は、説得が成功するまでは巨峰ビルシャナの配下として襲いかかってくる。
 ビルシャナを倒せば救出は可能だが、戦闘が不利になることは否めない。
 ビルシャナは水鉄砲に込めた巨峰弾の他、経文を唱えたり光ったりする。
 配下の一般人は普通に巨峰が大好物だっただけだが、今は巨峰に魅せられて巨峰以外はみえていない。
 巨峰以外にも美味しいものがあると思い出させれば、説得は可能だろう。
 無事に巨峰ビルシャナを倒すことができれば、梨狩りを楽しむことができる。
 生食だけではなく、付属のカフェで梨スイーツも堪能できる。
 お土産に持って帰るのもいいだろう。
「秋はまだ始まったばかり。美味しいものは巨峰だけじゃないって、皆に教えて挙げようよ!」
 ねむはぎゅっと手を握ると、ケルベロス達を見送った。


参加者
リィン・リーランス(はビルシャナが大好き・e00273)
朔望・月(桜月・e03199)
四方堂・幽梨(義狂剣鬼・e25168)
キャロライン・アイスドール(スティールメイデン・e27717)
ウエン・ローレンス(日向に咲く・e32716)
時崎・創英(は梨を愛してやまない・e39534)
アメージング・ファンタスティック(測定不能のすごいやつ・e44964)
モニ・ブランデッド(おばあちゃんを尋ねて三千里・e47974)

■リプレイ

「ちょっと待ったぁーっ!!!」
 農園に響き渡る時崎・創英(は梨を愛してやまない・e39534)の声に、全員が振り返った。拡声器を握り締めた創英は、集まる視線に更に続ける。
「まず一つ言わせろ! 食べ物を粗末に扱うな! 巨峰が泣いてるぞ! 勿論、ぶつけられた梨もな!!」
「ぶつけた巨峰は、後でおいしくいただいているわ! それに、梨がなければ巨峰を食べればいいのよ!」
 創英に負けじと拡声器で言い返すビルシャナに、キャロライン・アイスドール(スティールメイデン・e27717)は一歩前に進み出た。
「つまり、ブドウ狩りこそ至高で梨狩りはゆるせないと、こういう話ですね」
 梨味の氷菓を食べるキャロラインの言葉に、ビルシャナは胸を張って頷く。
「話が分かるわね! って、梨ガリ食べるのやめなさい!」
「そうだそうだ!」
「梨狩りなんて邪道よ!」
 巨峰コールが始まりそうな信者達を宥めるように、ウエン・ローレンス(日向に咲く・e32716)が大きく頷いた。
「巨峰もおいしいですよね、僕も大好きです」
「あらあなたは見どころあるわね。アタシの信者に……」
「ですが、待てないから梨を食べている訳ではありません」
 勧誘するビルシャナを無視したウエンは、目が巨峰の信者たちに改めて向き合った。
「皆さん。梨がそんなに悪いんでしょうか? 梨はみずみずしくておいしいですし、柿もそのままでも。渋柿もいいですよねぇ。栗はモンブランとか好きです。秋って、いいですよねぇ」
 うっとりと訴えるウエンに、信者達は思わず目を見交わす。やがて一人の女信者が声を上げた。
「だって、梨なんて食べたら巨峰が食べられなくなっちゃう……」
「でしたら、巨峰用のお腹をしっかり空けておけばいいんです……!」
 手をぐぐっと握り締めた朔望・月(桜月・e03199)は、両手で抱えた籠いっぱいの果物達を信者へと見せた。
 梨に栗にみかんにお芋に。色とりどりの食べ物を乗せた籠に、信者たちの間に一瞬動揺が走る。
「食欲の秋を彩る秋の味覚なのですから、一種類だけに固定するのはもったいないですよ? 巨峰もすごく美味しいですけど、種類は一つよりたくさんの方が幸せ気分は倍増なのですよ。信者の皆さんも一緒に秋の味覚と幸せ、堪能しましょう?」
 力説する月に、四方堂・幽梨(義狂剣鬼・e25168)は調理台をセッティングしながら頷いた。
「秋は食べ物が美味しいよね。よくわかるよ。だから、巨峰以外も楽しんでいこうや」
「モニ知ってるのよ。巨峰の本当の名前は石原センテニアルって言うのよ」
「え? どこ?」
 周囲を見渡す女性信者の服の裾を軽く引っ張ったモニ・ブランデッド(おばあちゃんを尋ねて三千里・e47974)は、女性信者の腰くらいの視線から見上げるとニッコリ微笑んだ。
「8字もあるのよ。文字数との戦いは負けられないのよ」
「な、何のことか分かんないんだけど……」
 戸惑う女性信者から離れたモニは、むきたての梨をリィン・リーランス(はビルシャナが大好き・e00273)へ差し出した。
「はい、あーん」
「あ~んです~♪」
 雛鳥のように口を開けるリィンの口に、モニは甘い梨を差し出して食べさせてあげる。
 口の中いっぱいに広がる優しい梨の甘さと歯ざわりに、リィンは手を当てて幸せそうに微笑んだ。
「美味しいのです~♪」
「えぇい、あんた達なんなのよ! 梨なんかより秋の味覚は巨峰よ巨峰!」
 地団駄を踏むビルシャナに、アメージング・ファンタスティック(測定不能のすごいやつ・e44964)は含み笑いをこぼした。
「梨に限らず、おいしいもの皆兄弟。アメです。巨峰もおいしいですが、他の食べ物を排除するなんて言語道断!」
 言い切ったアメージングは、支度の整った調理台と試食テーブルを振り返ると両腕を広げた。
「百聞は一見に如かず。おいしいものの実食パーティです!」
 秋の味覚が大集合したテーブルに、誰とはなく喉を鳴らした。


 おいしいものの実食パーティが始まった。
 蒸気を上げるせいろの蓋を取った月は、いい感じに蒸し上がる栗とサツマイモに微笑むと創英を振り返った。
「創英さん、栗とおいも、お願いしてもいいですか?」
「了解! 腕によりをかけて作らせてもらうぞっ!」
 嬉しそうに腕まくりをする創英は、栗とおいもを手早く手際よくスイーツに仕上げていく。
 その隣で、炊きたてごはんのいい香りが広がった。
 炊飯器の蓋を開けたモニは、炊きたて新米独特のふわふわ良い匂いを嗅ぐと頬を緩めた。
 新米ご飯をお茶碗とラップで衛生的におにぎりにしたモニは、握りたておにぎりに漬物を添えて試食テーブルに出した。
「梨と白菜のお漬物もあるのよ。梨には無限の可能性が秘められているのよ」
「梨はおつけものにもなるのですね~」
 梨の漬物を試食し、おにぎりを頬張ったリィンは、美味しそうに頬をほころばせる。
 おにぎりの側に、梨柄のエプロンを身に着けた創英が作った美味しく簡単に作れるスイーツ達が次々に並べられていく。
 長年の自炊生活で鍛えた腕を遺憾なく発揮する幽梨も、秋の味覚を美味しいスイーツに仕上げていく。
「美味しいですのー!」
 リィンは見ているこちらが幸せになる笑顔で次々に食べていく。
 おにぎりとスイーツを試食したキャロラインは、湧き上がる高揚感のままにバイオレンスギターを爪弾いた。
「秋の味覚頂上決戦でございます!」
 突然ライブボールとパフォーマンススモークが飛び出し、パーカッションボールがリズムを刻みだす。
 フェスティバルオーラを全開にしたキャロラインは、「オータム・デリシャス・トリップ」を歌い出した。
「♪真夏の暑さも彼岸まで
 森の木々が小金色の衣を纏う頃」
 梨を一口頬張ったウエンは、懐かしい甘さに目を細めた。
 秋にはお世話になっているおじいさまが、自宅の庭に生る柿や梨をくれたりした。
 大切に大事に育てられたり、誰かにおいしいって思ってもらえるよう思いも込められている恵みだ。
「これが好きだって気持ちは皆あると思います。ですが他のものが許せないからと、誰かが大切に育てたり好きなものを壊していいとは思いません」
 テーブルから目を離せない信者たちの元へと歩み寄ったウエンは、梨を信者へ差し出した。
「押し付けるのではなく、これもおいしいねっておいしいと思えるものを沢山皆で共有できたら幸せじゃありませんか? その為に用意したフルーツパーティです、皆さんも秋の味覚を楽しみましょう」
「♪ちまたにあふれる美味の数々
 一つだけでは満足できないの」
 歩み寄るウエンと信者たちの間に割って入ったビルシャナは、両手いっぱいに巨峰を出現させた。
「あなた達には巨峰という愛すべき味覚があるじゃないの!」
 ケルベロス達に負けじと信者たちに巨峰を差し出すビルシャナに、リィンは駆け寄った。
 思わず目を丸くするビルシャナの手から巨峰を受け取ったリィンは、瑞々しい巨峰を一口頬張った。
「こっちもおいしいのです~♪」
「でしょお! 巨峰は最高なのよ!」
「巨峰は確かに味が強くて美味しいよね。でも梨だって負けてないよ」
 三角巾とエプロンを身に着けた幽梨は、旬の梨と紅茶や炭酸水と合わせたフルーツポンチを仲間たちに振る舞った。
「この軽快な歯触りと独特の爽やかな香りは、巨峰には無い個性だ。巨峰の強烈な甘酸っぱさもいいけど、そればっかりじゃ舌が疲れちゃうよ」
「♪すいもあまいも つまった巨峰の粒と
 幸水梨の果肉が口の中を踊る」
 キャロラインの歌に合わせて、幽梨は梨を乗せた皿を差し出した。
「優しい甘さの梨も手にとってみちゃどうかな? 食欲消化促進、疲労回復に効果のあるおいしい梨はいらんかねー」
「浮気なんてダメよ、ダメダメ!」
 繰り広げられる秋の味覚パーティに、信者達は確実に心惹かれている。
 そんな信者たちを繋ぎ止めようと必死に羽を広げるビルシャナに、月は静かに首を横に振った。
「浮気、いいじゃないですか」
 テーブルに出揃う秋の味覚達に微笑んだ月は、フルーツポンチを味わうと創英が仕上げたスイートポテトを信者達に差し出した。
「秋の味覚は、たくさん味わってこそですよー。ですから皆さんも一緒にフルーツパーティーで浮気しちゃいましょう?」
 何気に爆弾発言と共に小首かしげて信者達を見やる月の微笑みに、信者たちはふらりと一歩踏み出す。
 そんな信者の背中を押すように、キャロラインの歌が響いた。
「♪嫁に食わせぬ 秋の茄子をむさぼり
 マロンクリームが心を躍らせる」
「栗とサツマイモのモンブランもあるよ!」
 幽梨が出すさつまいもクリームと蒸した栗のモンブランに、ケルベロス達は嬉しそうな歓声を上げる。
「梨だけじゃ飽き足らず、芋に栗ですって!?」
 気炎を上げるビルシャナに、アメージングはめっちゃ美味しそうにスイーツを頬張った。
 アメージングの周りは、笑顔で溢れている。
 匂い、音、食べた時の表情。
 そのどれもが「こーんなにおいしいものが沢山!」と信者達を誘惑して離さない。
 実際美味しい梨を手に取ったアメージングは、にっこり笑って信者達に差し出した。
「一緒に食べましょう! 何てったって、食べ物はみんなで食べるのが一番おいしいですからねっ!」
「♪オータム・デリシャス・トリップ
 誰も私を止められない」
 アメージングの説得とキャロラインの歌に喉を鳴らしてふらりと歩き出す信者達の前に、ビルシャナは立ちふさがった。
「待ちなさい! 梨のどこがいいのよ!」
 この期に及んで叫ぶビルシャナに、創英は大きく息を吸い込んだ。
「こちとら年中梨を味わってきてるんだ! 梨の良い所をよーく、よぉぉぉぉおく知ってる! 試しに食べてみると良い! あ、巨峰を使ったスイーツも用意したからな!」
 差し出される巨峰入りスイーツに、信者たちは目を見交わした。
「巨峰のスイーツなら……教義に反しないよな」
 頷き合った信者たちは、ビルシャナの声も聞かず我先にとテーブルへと駆け寄る。
「どれもうめー!」
「俺たち、何をあんなにこだわってたんだ?」
 洗脳が解け、目が巨峰から普通に戻る信者たちの姿に、ビルシャナは叫んだ。
「巨峰の魅力は……」
「ブドウ入りのおにぎりも作ったのよ。召し上がれなのよ」
 特製おにぎりをビルシャナにぎゅうぎゅう押し付けるモニに、ビルシャナは渋々受け取った。
「中身の巨峰に罪はな……って、巨峰じゃないじゃない!」
「デラウェアなの~」
「かあっ!」
 てへっと微笑むモニに、ビルシャナは全身を光らせた。
「教義を守っているのに酷いです~」
 後衛に向けて放たれる破壊の力をまともに受けたリィンは、涙目になるとビルシャナから離れた。
 全身の羽毛を逆立てたビルシャナは、わなわなと肩を震わせた。
「もう許さない! あんた達を倒して、あたしの信者達を取り返して見せるわ!」
 水鉄砲を構えたビルシャナは、ケルベロス達に銃口を向けた。


 食卓を守るように駆け出したウエンに、ビルシャナは無数の巨峰弾を発射した。
「食らえ! 紫色ブドウ球弾!」
 炎を帯びて発射された紫色ブドウ球弾の直撃を受けたウエンは、痛みに眉をしかめると解き辛いパズルのような箱をビルシャナの周囲に出現させた。
「遊ぶつもりはありませんので!」
 箱に包み込まれたビルシャナに、強力な電磁波が降り注ぐ。
 痺れを何とか振り払ったビルシャナは、怒りの地団駄を踏む。
「レーズンになっちゃうじゃない!」
「レーズンはパンに入れると旨いな! ……一歩性変。二歩見定。三歩招来――破剣、剛破衝刃ッ!!」
 雷を帯びた刀を構えた創英は、突きの構えを取る。次の瞬間繰り出される剣戟が、ビルシャナを穿つ。
 動きを止めた隙に、アメージングは手の骨を模した翼を掲げた。
「創造の泉湧く……手が止まりません!!」
 創作意欲のままに芸術作品を生み出すアメージングの作品達に、後衛の傷が癒やされていく。
「ビルシャナの撃破、忘れていませんよー」
 実は忘れかけていたのをごまかすように、月はさくらうたを歌い上げる。
「信者がいないあなたに、容赦はしません」
 キャロラインが放つコアブラスターが、ビルシャナに深く突き刺さる。
「こんな攻撃、なんでもな……」
 強がりのように言いかけたビルシャナの体が、ふいに傾いた。
 小さな体を活かして敵の死角に回り込んだモニは、エアシューズで電光のようにビルシャナの脛に蹴りを入れた。
「小さいけど……」
「ケルベロスなのです!」
 同時に駆け出したリィンの槍が、ビルシャナの太ももを貫く。
 ビルシャナの耳に、エプロンと三角巾姿の幽梨の声が響いた。
「取って置きを見せてやる。合わせるぞ、ルー!」
 残霊として現れたルベウスの宝石を触媒に生み出された無数の幻影が、ビルシャナにを襲う。
 叫びを上げたビルシャナは、羽毛となって消えた。


 ヒールを終えたケルベロス達は、梨狩りを楽しむべく梨園へ向かった。
 生み出された芸術作品を手にしたアメージングは、その作品に首を傾げた。
「何でアメこんなの創りましたかね?」
 気に入った様子で芸術作品をしまったアメージングは、梨に手を伸ばした。が、ギリギリ届かない。
「さぁ、お腹いっぱい食べるのです~♪」
 梨を見上げたリィンは、嬉しそうに手を伸ばす。が、届かない。
「モニも梨をもぐのですー!」
 モニもまた梨をもごうと手を伸ばす。だが届かない。
 小柄な三人に微笑んだキャロラインは、脚立を借りると三人に渡した。
「ありがとーキャロラインおねえさん!」
「あの梨が美味しそうなのよ」
「あっちの梨にするです~♪」
 皆で梨狩りを楽しんだケルベロス達は、改めて席についた。
 梨を中心にした秋の味覚が、テーブルの隅々まで並べられる。
 頬張る梨パフェの甘さにため息をついたウエンは、頬に手を当てた。
「はぁ……。僕すごくしあわせです……。農家さんありががとうございます……大地の恵みにも感謝致します……」
 美味しさを噛みしめながら堪能したウエンは、梨を見上げて呟いた。
「そうだ、皆さんにお土産買いましょう」
 おいしいをお裾分けするウエンに、新作の梨スイーツを楽しむ幽梨も頷いた。
「教義さえなければ、食に情熱を傾けるビルシャナと仲良くしてもいい気がするな」
「今日の目的が達成できて、僕は満足です」
 計画的に梨狩り用のおなかを空けていた月は、もぎたてむきたての梨に目を細めるとシャーマンズゴーストの夏雪の前に剥いた梨を置いた。
「やっぱり梨は最高だなっ!!!」
 ひとしきり食べ終えた創英は、秋の風にふと視線を落とした。
 心ゆくまで梨を食べて満足したのだろう。年少組のモニとリィンが眠っている。
 シャーマンズゴーストのマン号の背中で眠るリィンの隣で、モニもまた寝息を立てている。
「おばあちゃん……梨美味しいね」
 微笑みながら寝言を言うふたりに、幽梨は静かに毛布をかけた。

作者:三ノ木咲紀 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年9月22日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 5
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