オウム返しする巨大鳥型玩具

作者:天木一

 街の片隅のちょっとした死角となる隙間に粗大ゴミが捨てられている。テーブルや椅子といった引っ越しの際に放棄された家具なども置かれている。そこに一匹の小さな機械の蜘蛛が現れる。ゴミの中を縫うように動き回り、とあるゴミの前で止まる。それは薄汚れた鳥のぬいぐるみのようだった。近くで見れば表面が破れ中が覗いている。そこには機械が埋め込まれているオウム型の玩具のようだった。蜘蛛はその中に入り込む。するとガガガッと中から叩くようにオウムの玩具が巨大化してゆき、5mにも達すると膨張が止まり中からモーター音が響き足が動く。カラフルでデフォルメされたオウムが不器用に歩き出す。
『クワックワワッ』
 鳥のような鳴き声の音声が流れる。
『オハコンバンニチハ! オハコンバンニチハ!』
 続けて捨てられる前に覚えていた言葉を繰り返す。
「ワンワンッ!」
 そこへ空き地の外にある一軒家の入り口で飼われている犬が威嚇するように吠えた。
『ワンワンッ! ワンワンッ!』
 それを真似てオウムが吠えると、犬は驚いて犬小屋へと慌てて戻る。
『オカエリ! オカエリ!』
 オウムは道路を歩き始める。邪魔な路上駐車を蹴り飛ばし真っ直ぐに向かうのは人の集まる駅前だった。

「にゃーにゃーかわいいロボがいたから、とりさんのロボもいないかなーってさがしたんだよ!」
 赤星・緋色(中学生ご当地ヒーロー・e03584)が新しいロボットを見つけたと、元気に身振りを加えながらケルベロス達に話す。
「捨てられた玩具にダモクレスが同化し、多くの人々を襲う事件が起きてしまいます。皆さんには犠牲が出る前に敵を迎撃し、人々を守ってもらいたいのです」
 詳しい説明をセリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)が引き継いで始める。
「ダモクレスはオウムのぬいぐるみのような姿をしています。デフォルメされ愛嬌のある姿をしていますが、相手の言葉をオウム返しして心を惑わしたり、その巨体で踏み潰したり嘴でつついたりといった攻撃をしてきます」
 元は玩具といえどもダモクレスとなってしまえば油断は出来ない。
「現れる場所は千葉県の町で、敵が到着する時点ではまだ避難が終わっていません。少しの間時間を稼ぐ事で安全に避難を終えられるでしょう」
 警察が避難誘導しているので任せる事ができる。
「オウム返しする玩具だったようで、ダモクレスとなってもオウム返しをするのが目的となっているようです。ですので話しかければ気を引くことが簡単にできるでしょう。皆さんの力で暴れるダモクレスを倒してください」
 一通りの説明を終えたセリカは一礼してヘリオンの準備に向かった。
「とりさんがあぶないことをしないように、みんなであそびあいてになってあげよーね!」
 大きな鳥の玩具と会えると緋色は楽しそうに笑い、それに釣られるようにケルベロス達の緊張もほぐれる。どうやって相手をしようかと相談が始まり、準備に動き出した。


参加者
テルル・ライト(クォーツシリーズ・e00524)
赤星・緋色(中学生ご当地ヒーロー・e03584)
分福・楽雲(笑うポンポコリン・e08036)
四方堂・幽梨(義狂剣鬼・e25168)
ノルン・ホルダー(若枝の戦士・e42445)
峰・譲葉(崖上羚羊・e44916)
ベルーカ・バケット(チョコレートの魔術師・e46515)
八尾・空子(吉備道中国の妖狐・e65999)

■リプレイ

●巨大オウム
 駅前は普段とは違う人の流れが出来ていた。一方の道路がガラガラになり、ケルベロス達だけが悠然とその場に残っている。
「本当にいたんだね元オウム返しのおもちゃなダモクレス! でも録音なのかな、それとも真似てしゃべるのかな。ためしてみよー」
 ワクワクした赤星・緋色(中学生ご当地ヒーロー・e03584)が背伸びして道の先を見ながら、敵のやってくるのを楽しみに待つ。
「なんかすごいのが出てきたような気がする。やっぱり、ネコ的にもサクッと狩るべきなのかな? ん、元は玩具なんだけど」
 鳥ならば猫の獲物だとノルン・ホルダー(若枝の戦士・e42445)は猫耳をピクピクと動かす。
「鸚鵡返し……和歌の読み方であれば中々趣向を凝らしてる感じがしますが、元が玩具ですしね。そこまでは望めませんか」
 テルル・ライト(クォーツシリーズ・e00524)は残念そうにしながらも、アイズフォンで周辺情報の確認を怠らない。
「童の玩具に大袈裟なことじゃ」
 呆れたように八尾・空子(吉備道中国の妖狐・e65999)は逃げる人々で騒々しい周囲を見やる。
「話しかけられたら、そっくりそのまま返すのが楽しいのか……?」
 それの何が楽しいのかと分福・楽雲(笑うポンポコリン・e08036)は首を傾げる。
「鸚鵡返しか……由来を聞くと同情もしたくはなるが、あまりにも大きすぎるし被害が大きすぎる。ましてデウスエクスとあっては、これはいかん。その役目を終えたものとして、休んで貰わないとな」
 元になった玩具の為にもベルーカ・バケット(チョコレートの魔術師・e46515)は被害は出させないと、強い意志を持って敵を待ち構える。その視線の先に巨大な物体が映る。それはぬいぐるみを大きくしたような玩具。5mのオウムの玩具だった。
『クワックワワッ』
 鳥のような音声を流しそれが不器用にドシンドシンと歩いてくる。
「何を言ってもオウム返しか、どこまで自分の根気が続くかの勝負だな」
 避難が終わるまでは持たせてくれと、峰・譲葉(崖上羚羊・e44916)はオウムの相手を仲間に任せ誘導を手伝う。
「オウムの玩具か。何にでもダモクレスは憑りつくなぁ」
 たとえ玩具が相手でも手加減は無しだと四方堂・幽梨(義狂剣鬼・e25168)は敵に堂々と近づいていく。

●オウム返し
『オハコンバンニチハ! オハコンバンニチハ!』
 家程もあるデフォルメされたオウムが目の前に迫る。
「ふははははー。見つけたよオウム返しなオウムのダモクレス! 何やかんやの記念に小江戸の緋色が退治してやるのだ」
 ご機嫌に緋色は突っ込んで、溢れる元気のままに勢いよく飛び蹴りを叩き込んだ。
『フハハハハー』
 その笑い声を真似したオウムが踏み潰さんと足を上げた。テレビウムの先生はそれから守ろうと、画面を眩く光らせて敵の気を引く。オウムは方向を変えて歩き出す。
「ふむ……私もガジェッティア故、機械モノが悪さするというのは、私の美学に反する事ではある。心して倒させていただこう」
 ベルーカは扇を敵に向けて振るう。すると人体自然発火装置が発動し敵が燃え始めた。布はよく燃え穴が開く。
「オウム返しってなんでも返すだけだろ? なんかバカっぽいよな」
 近づいた楽雲は声をかけながら妖気を放ち、仲間達を覆って内なる力を引き出す。
『バーカバァカ』
 すると言葉の一部分だけをオウム返しした。
「平常心……平常心……」
 イラッとしながらも楽雲は敵のペースには乗らないと耐えて言い返さない。
「今回の敵って、オウム返しするんだよね? それって、どんな言葉でもオウム返しするのかなぁ」
 ノルンは試してみようと言葉を考えて口にする。
「ノルンちゃん、かわいい」
 少し照れながらもそう自賛してみる。
『ノルンちゃん、かわいい。ノルンちゃん、かわいい!』
 するとオウムはすぐに言葉を返した。それを聞いてノルンの猫耳が大きくピクッと動き、尻尾がご機嫌に揺れた。
「マシーンってのは、猿真似が得意分野みたいなもんだもんなぁ。けど、そいつはどこまで正確なんだい?」
 まずは敵の土俵で勝負だと幽梨が早口言葉で挑む。
「マサチューセッツ州の旅客機100機の柿食う客各100人がガスバスバスでバスガス爆バク……タンマ、今のなし! マネしなくていい! いいから!」
 早口言葉に失敗した幽梨が慌てて手を振って取り消そうとする。だが無情にもオウムはそのまま繰り返した。
『マサチューセッツ州の旅客機100機の柿食う客各100人がガスバスバスでバスガス爆バク……タンマ、今のなし! マネしなくてイイ! イイカラ!』
 大きな声で完全に模倣されると、羞恥に幽梨は耳まで真っ赤にして顔を隠すように俯いて膝を折った。
「ふん、木霊の類の方がもっと上手うに言霊を真似様に。ま、妾の前に出てきた貴様の不運を呪うがよいわ」
 空子はオウガ粒子を展開し、仲間達の超感覚を呼び起こし心の負担を軽くする。
「安全な経路はこちらです。慌てずに移動してください」
 そうして決死の覚悟で仲間達が引き付けているうちにと、テルルは調べておいた逃走経路へと誘導を始める。
「大丈夫だ。ケルベロスが足止めをしているから、安心して避難すればいい」
 喧騒の中でも聞こえる声で譲葉は話しかけ、安心させるように人々に付き添う。
「オウム返しならこれを真似てみるがいい! 『新人シャンソン歌手新春シャンソンショー』」
 早口を言いながら緋色はライフルから光線を撃ち、敵の口を凍りつかせた。
『新人シャンソン歌手新春シャンソンショー』
 言い返すとその衝撃にオウムの氷が砕け嘴が破けて中の綿が覗く。
「じゃあ次はノルンちゃん、マジ天使!」
 調子に乗ってノルンが話しかけながら魔法光線を放ち、照射した敵の体を石へと変えてゆく。
「ノルンちゃん、マジ天使! ノルンちゃん、マジ天使!」
 褒められたノルンはもっともっとオウムと話したくなってくる。
「あんなのより俺とお喋りしてる方が絶対楽しいって!」
 そこへ楽雲は分身の幻影をノルンに纏わせて敵の精神攻撃から守る。
『あんなのより俺とお喋りしてる方が絶対楽しいって!』
 それを真似てオウムが言い返した。
「なんだと!!」
 その言葉にカチンと来た楽雲がキレて一歩踏み出すと、オウムにカウンターで突っつかれて吹き飛ばされた。
「やれやれ、猿真似の言霊でも人を惑わす程度はできるようじゃな」
 めんどうそうな顔を隠しもせずに空子は水晶玉から月の如き輝きを放ち、楽雲の体を癒し湧き上がる力を与える。
「なかなか愉快な機械のようだが、私は遠慮しておこう」
 会話を避けたベルーカは敵の口元にグラビティを集め、爆発を起こして嘴を破いた。衝撃に音声が乱れる。
「……許さない。次は喧嘩で勝負だ! 相手をボッコボコにした方が勝ちだから!」
 まだ顔に赤さを残したまま幽梨の目に殺気が浮かび、スズランが焼き絵された白鞘から刀を抜いて敵の足を斬り裂いた。
『ボッコボコ! ボッコボコー!』
 それを踏み潰そうとオウムが動き回るが、幽梨は飛び退いて避けた。
「待たせたな!」
 急ぎ戻った譲葉は剣を掲げ星座の輝きで仲間達を包み、その身を守護する力を与える。
「避難完了です。ここからは攻勢に移りましょう」
 同じく誘導を終えたテルルはアームドフォートを展開して砲撃を開始し、敵の体を爆破しよろめかせた。
「ふふふー。なかなかやるな! だがこれはオウム返しできるかな……『とうきょうとっきょきょきゃきょー』」
 東京特許許可局と言おうとして失敗しながら、緋色は元気に突っ走りドロップキックを腹に叩き込んだ。
『とうきょうとっきょきょきゃきょー』
 吹き飛ばされ地面を転がりながら正確にオウムは言葉を返す。
「やはりただ人の言葉を真似するだけですね、残念です」
 ライフルを構えたテルルは冷凍光線を放ち、敵の体を地面ごと凍りつかせた。
「オウム返ししてるだけだと分かってても腹が立つ!」
 楽雲が多節棍式のバールのようなものを振り回して加速をつけ、敵の腹に叩きつける。
『腹が立つ! 腹が立つ!』
 言葉を返しながらくっついた布を破ってオウムは起き上がった。
「うるさい! 一度聞けば分かってるんだよ!」
 イラッとした譲葉は後光から彗星の如く光を放って突っ込み、敵の体の布を引き裂くように大きく破いた。
「もう十分遊んだし、狩りの時間だよ」
 飛び掛かったノルンは腕を獣のように変化させて爪で引っ掻き、布に5本の爪痕を刻みつける。
「我が身、是空と也……色ぞ風花の如く舞い踊り……泡沫が如く空と為せ……」
 敵の言葉に惑わされる心を、自己暗示の祝詞により落ち着かせた幽梨は、裂帛の気合と共に霊気を乗せた刀を振るい、剣圧を放って敵を大きく斬りつけた。度重なる斬撃に布の裂け目から白い綿が飛び出る。
「紛い物ではない、妖狐の呪を見せてやろうかのぅ」
 水晶玉に手を当てた空子は、妖狐の呪力を放ち触れた敵の綿を腐らせ一瞬にして風化させていく。
「中身は機械だが、外は布ゆえよく燃えるな」
 ベルーカはまた人体自然発火装置を発動し、敵の背中に火を点けて炎上させた。

●壊れた玩具
『よく燃える! よく燃える!』
 火の手を上げながらオウムが嘴で突っついてくる。避けるとアスファルトにひびが入った。
「玩具でもこれだけ大きいと危ないですね、皆さん気を付けてください」
 テルルはカラフルな爆発を起こし、仲間達の士気を高めて傷を癒す。
『ノルンちゃん、かわいい! ノルンちゃん、マジ天使!』
「そんな事言っても手加減しないからね!」
 剣を抜いたノルンは剣の英霊をその身に降ろし、髪が伸び金色の輝きを纏って目にも留まらぬ速度で動き、敵の全身を斬り裂いた。
「そのとぼけた面で女の子の気を引いてると思うと余計に腹が立つな」
 飛びついた楽雲は苦無を逆手に持って突き立て、布を大きく引き裂いて飛びのいた。
「もうやめるんだ! 君は遊びのつもりだろうが、その力は人を容易く害してしまう!」
 そこへ入れ替わるようにベルーカがガトリングから無数の弾を発射し、敵の体を蜂の巣のように穴だらけにしていく。
『フハハハハーボッコボコー!』
 痛みを感じぬオウムは、攻撃を受けながらも適当に覚えた言葉を繰り返して突っ込んで来る。
「他にもなんか言え!」
 同じ言葉を繰り返す敵に、譲葉はそのイライラをぶつけるように雷を放ち内部の機械に伝えて感電させる。
「猿真似は上手くとも、喧嘩の方は下手なようだな」
 敵の足の横に踏み込んだ幽梨は刀を下から跳躍するように斬り上げ、脚から胴に掛けて刃を走らせる。するとオウムは方向を変えて機械がむき出しになった脚を動かして突っ込んで来た。
「やるな! ならこれはどうだ! 『なななまむぎなまごめ ななまごー!!』」
 正面から早口言葉を失敗しながら緋色が拳を打ち込み、突っ込んで来る敵を気合を入れて押し戻した。
『なななまむぎなまごめ ななまごー!!』
 間違った言葉をそのまま繰り返してオウムはもっと会話させようと、動き回って喋り続ける。
「言霊しか使えぬ玩具には想像もできぬ力を見るが良い」
 空子は水晶を媒体に大地の惨劇の記憶から魔力を吸い上げ、仲間達への治癒の力に変える。
 先生は本の角を足に叩きつけて怯ませ足を止める。するとオウムが上から急降下するように突っついて、先生の体が地面に釘打つようにめり込んだ。
「先生への乱暴は許しません」
 テルルはアームドフォートから砲撃を行い、敵の口を爆破し嘴を砕いた。
「玩具の鳥でも、猫はじゃれて壊しちゃうものだよ」
 跳躍したノルンは巨大な漆黒のハンマーにグラビティを込め、ドラゴニック・パワーを噴射して急降下すると重さを増したハンマーを頭頂部に叩き込んだ。
『あんなのより俺とお喋りしてる方が絶対楽しいって!』
 嘴が壊れてもオウムの中から音声が漏れ出る。
「会話になってないお喋りなんて楽しくないんだよ!」
 楽雲は攻撃をバールで受け止め、側面に移動して力を逸らしながら横っ面をフルスイングで殴りつけた。
「君の役目は終わった! 人に危害を与えるのは本意では無かろう! ここは大人しく部品に戻りなさい」
 続いて扇を手にしたベルーカは、要を外して空中に放り投げ、バラバラになった骨を降り注がせ敵を貫いていく。
『タンマ、今のなし! マネしなくていい! いいか――』
「お、同じ攻撃は喰らわない! 言葉で負けても、喧嘩で勝つ! 自分の土俵では負けられないからな」
 それ以上は喋らせないと横に一閃、刀を薙いだ幽梨は剣圧を飛ばし、胸を深く裂いて内部の機械に衝撃を通し音を狂わせた。
「喋るほど腹が立つヤツだ。壊れた玩具はぶっ壊してやる!」
 譲葉が視線を合わせて鋭く睨みつけると、敵はブルブルと震え壊れたように動きを停止した。
「もう子供騙しの玩具には飽きたわ。消えよ」
 空子は水晶から呪力を放ち、片足を腐らせて一瞬にして塵芥へと帰させた。バランスを失い敵の体が倒れる。
『オカエリ! オカエリ!』
 倒れたままオウムが登録されている音声を壊れたように喋り続ける。
「えーっとえーっと他の早口言葉……ええーい! もういいや!」
 言葉が思い浮かばなかった緋色は頭を振り、敵の体を駆け上がって川越市で抽出したグラビティチェインを棍に込めて叩きつけ、内部の機械に籠った力が爆発しオウムは爆散した。

●鳥の玩具
「ふははー勝利! あ、倒したって連絡してあげないと……」
 胸を張ってⅤサインを作っていた緋色が、思い出したように避難誘導していた警察に報せる。
「ダモクレスは倒したから、もう安全だよ」
 ノルンも避難した人々に直接声をかけて回ると、助かったありがとうと人々の感謝の言葉を受けとった。
「これで元通りです。お疲れ様でした」
 被害箇所の修復チェックを終えたテルルは先生を持ち上げて抱っこした。
「……はぁ、この様な下らぬことに妾を呼びおってからに。さっさと帰るとするかの」
 文句を言いながらもヒールを終えた空子は、さっさとその場を立ち去る。
「最後までペースを乱された気分だ……」
 話を聞かない相手は疲れると楽雲は深く溜息を吐いた。
「恐ろしい相手だった……」
 思い出すだけで顔が熱くなると、幽梨は表情を隠すように手で顔を撫でる。
「さらばオウムよ安らかに。でもなんかまだあの声が耳に残っている気がするぜ」
 暴れてすっきりした様子の譲葉は、耳に手を当ててオウムの残響を追い払う。
「鳥の玩具か……私も何か作って見たくはなったな」
 ベルーカが焼けた部品を手に取ると、それはポロリと手から崩れ落ちた。
 ケルベロス達は騒ぎの収まった街を後にする。もう捨てられた玩具が暴れるようなことがないことを願って。

作者:天木一 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年9月13日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 3/キャラが大事にされていた 0
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