夢色の渇望

作者:雷紋寺音弥

●夢の迷い子
 その日は、月の明かりも弱い夜だった。
 人々の寝静まった夜の街。未だ厳しい残暑から逃れるようにして、白銀・ミリア(白銀の鉄の塊・e11509)は屋上の上から、街の景色を見降ろしていた。
 夕暮れ時には数多く見られた人家の明かりも、今は殆ど見られない。この時分、人々の意識はきっと夢の中だろうと。ふと、そんなことを考えた時だった。
「……っ! 誰だ!?」
 突然、背後に忍び寄る気配を感じ、ミリアは思わず振り返った。だが、目の前に佇んでいる黒い影のような少女の姿を見て、思わず言葉を失った。
「なん……だと……?」
 そこにいたのは、胸元に大きなモザイクを抱いたドリームイーター。しかし、ミリアに気付かれたにも関わらず、彼女は逃げる素振りさえ見せず。
「お願い……」
 懇願するように手を伸ばしながらも、その指先から影のようなモザイクを染み出させ、懇願するようにしてミリアに迫る。
「あなたの夢で……私を染めて……」
 それはまるで、飢えた迷い猫が通りすがりの人間に餌をねだるが如く。
 内なる渇望を満たすべく、己が本能の命じるままに、少女はミリアへと襲い掛かって来た。

●飢えたる夢喰い
「召集に応じてくれ、感謝する。白銀・ミリアが、宿敵であるデウスエクスの襲撃を受けることが予知された。状況からして、恐らくは予期せぬ遭遇戦の類だが……それだけに、こちらから連絡を付けることができなかった」
 敵は夢に飢えたドリームイーター。対話のできるような相手ではなく、このままではミリアが危ないと、クロート・エステス(ドワーフのヘリオライダー・en0211)は集まったケルベロス達に告げた。
「出現するドリームイーターは、ディア・オニキス。黒い影が少女の形になったような姿をしていて、胸元にモザイクを抱いている」
 そんなディア・オニキスが求めているのは、人間の夢や感情そのものだ。故に、彼女は誰彼の見境なく人間を襲い、その犠牲者を加速度的に増して行く。
「今から向かえば、ミリアが彼女に襲撃される瞬間に介入することができる。場所は、住宅街にある団地ビルの屋上だ。住人は全て寝静まっている時間だから、邪魔が入ることはないはずだぜ」
 敵は夢に飢えたドリームイーターだけに、相手の体力を奪う能力に特化している。おまけに、見た目に寄らず攻撃力が高いため、その回復量も馬鹿にならない。
 ミリアと合流した後は、いかにして敵の攻撃を防ぐか、もしくは力を削ぐかが鍵になるだろう。あるいは、短期決戦を考えて、こちらも一気に力で押すか。どちらにせよ、中途半端なダメージを与えたところで、直ぐに体勢を立て直されてしまうのは厄介だが。
「敵がミリアに接触した目的は不明だが、それでも見過ごせる話ではないからな。夢に飢えた迷い子に、ここで引導を渡してやってくれ」
 このまま放っておけば、今にディア・オニキスは、街の人間の夢を全て喰らい尽くすかもしれない。そうなる前に、なんとしても彼女を撃破して欲しい。
 最後に、それだけ言って、クロートは改めてケルベロス達に依頼した。


参加者
ワルゼロム・ワルゼー(枢機卿・e00300)
アイリス・フィリス(アイリスシールド・e02148)
リコリス・ラジアータ(錆びた真鍮歯車・e02164)
アイビー・サオトメ(アグリッピナ・e03636)
風鈴・響(ウェアライダールーヴ・e07931)
白銀・ミリア(白銀の鉄の塊・e11509)
黒須・レイン(海賊少女・e15710)
セレッソ・オディビエント(葬儀屋狼・e17962)

■リプレイ

●夢追いの影人
 夜の街を一望できる屋上にて、闇に紛れて迫り来るドリームイーター。ゆらり、ゆらりと揺れながら、その瞳は焦点さえ定まらず。
「夢……あなたの夢を……私に頂戴……」
「ちっ……立て続けにドリームイーターか。全く厄介なやつらだ」
 間合いを測りながら、白銀・ミリア(白銀の鉄の塊・e11509)は思わず舌打ちをした。
 うわ言のように繰り返しながら、敵は徐々に距離を詰めて来る。本能に導かれての行動なのだろうが、相手の感情がまるで読めない分、仕掛けるタイミングが掴み難い。
「いいぜ……。吹っ切れて見つけたあたしの夢、叩きつけてやるよ!!」
 こういう時は、先手必勝。間合いに入った瞬間を狙い、ミリアは鋭い回し蹴りを影の少女に叩き込んだが。
「なっ……! こ、こいつ……!?」
「凄い……美味しそう……」
 直撃を受けたにも関わらず、少女は微動だにしていなかった。そればかりか、爪の先から染み出したモザイクを刃のようにして振るい、そのままミリアの胸元に突き立てた。
「……ぐっ!? な、なんだ、これは……」
 瞬間、全身の力が抜かれ、吸い取られるような感覚が走り、ミリアは思わず距離を取った。
 敵の少女は夢に飢えたる影法師。その能力は、貪欲なまでに相手の夢を喰らうこと。身体も心も、全て絞り尽くさんばかりの悪食な力。
 1対1の殴り合いでは、ミリアが確実に不利だった。ここは、一旦退いて体勢を整えるか。だが、果たして敵に背中を見せるというのは、自分のプライドとしてどうなのか。否、それ以前に目の前の少女が、すんなり逃がしてくれるとも思えない。そんな様々な葛藤が、ミリアの頭に浮かんだ時だった。
「詠唱不要! ワルゼッタァァァビィィィィム!!」
 突然、どこからともなく聞こえた叫び声。それと同時に赤い閃光が闇夜を切り裂き、影の少女を薙ぎ払い。
「そこまでだ! 我々が来たからには、大人しく消え果てるがよい!」
 いつの間に現れたのだろうか。貯水タンクの上に降り立ったワルゼロム・ワルゼー(枢機卿・e00300)が、ドヤ顔で敵を見降ろしていた。
「よっ。助けにきてやったぞ、ミリア」
「この間もそうだけど、めんどくさいのに好かれるねぇ」
 海賊旗を片手にした黒須・レイン(海賊少女・e15710)の隣で、セレッソ・オディビエント(葬儀屋狼・e17962)が苦笑している。どうやら、ギリギリのタイミングで救援には間に合ったようだが、しかし本番はこれからだ。
「それだと、セレッソも面倒くさくなっちまうな」
 苦笑に苦笑で返すミリアだったが、敵がこの程度で倒れないことは知っている。果たして、そんな彼女の見立ては正しく、煙と粉塵が立ち込める中、影の少女はふらりと起き上がりケルベロス達を見据えた。
「夢……たくさんの夢……」
 もっとも、そこにあるのは怒りでも憎しみでもなく純粋な本能。数の不利を強いられる状況になってもなお、彼女は夢を追い求め続ける。
「何かを求めること自体が夢なのではないかと思いますが……そういった夢を求めているのではないのでしょうね」
 一見して矛盾するドリームイーターの行動に顔を顰めながらも、リコリス・ラジアータ(錆びた真鍮歯車・e02164)は直ぐに気を取り直して身構えた。
 目の前の少女は他者の夢を欲する存在。それは己の見ていた『夢』を欠落したからではなく、『夢見る心』そのものを欠落しているから故に。
 要するに、単なる悪食でしかないのだ。そして、彼女の求める形での『夢見る心』や『夢の見方』が満たされぬ限り、彼女は人を襲い続けるのだろう。
「どちらにしろ、話して解り合える相手ではなさそうだね」
 混沌化した身体の一部で自らの腕を覆いつつ、アイビー・サオトメ(アグリッピナ・e03636)もまた影の少女と対峙した。
 あの少女と人間の関係は、言うなれば捕食者と被捕食者。夢を喰らわれ心を奪われるか、それとも命を喰らわれグラビティ・チェインを奪われるか。デウスエクスの被害に遭う者からすれば、どちらも大差のないことだろうと。
「ミリアちゃんはやらせないよ!」
 敵が再びミリアを狙って動き出したのを悟り、すかさずミリアへ緊急のショック療法を施すアイリス・フィリス(アイリスシールド・e02148)。そんな彼女達を庇うようにして前に出ると、風鈴・響(ウェアライダールーヴ・e07931)は高々と跳躍し、空中でポーズを決めて敵の懐へと蹴り込んだ。
「行くぞ、ヘルトブリーゼ! ……変身!!」
 月を背にして黒き装甲に身を包む狼の戦士。燃える愛機の突撃と共に炸裂した蹴りが、影の少女を屋上のフェンスまで吹き飛ばした。

●叶えたい願い
 夢を追い求め、夢を喰らう。夢喰いの名を冠するデウスエクスとして、これ以上になく体で名を表している影の少女。
 そんな彼女の攻撃は、どれも喰らい、奪うことに特化していた。それに加え、見た目に反した極めて高い攻撃力が、彼女の吸収能力に拍車をかける。
「正直、甘く見ていましたね……。まさか、ここまで強いなんて……」
 開戦から数分、早くもアイリスの息が上がり始めている。別に、彼女自身の体力に余裕がないわけではないのだが、問題なのは敵の使って来る技の威力。
 癒し手ではなく、防御に特化したアイリスでは、仲間の体力を一度に回復させられる量にも限界があった。だからこそ、少しでも回復量を増やせる応急処置を繰り返してはいたが、それだけでは敵の攻撃を防ぐための術を、味方に与えることはできなかった。
「無理はするでないぞ。負傷の激しい者は、我のタルタロン帝に任せておけ」
 シャーマンズゴーストのタルタロン帝にフォローを任せつつ、ワルゼロムが見えない爆弾で敵の視界を塞ぎ進行を阻む。だが、元より、相手は格上の存在。多少の重圧など気にも留めず、本能のままに夢を喰らおうと指先を伸ばす。
「させませんよ、それ以上は……」
 混沌の水で覆われた腕を刃のように振るい、アイビーがモザイクで形作られた少女の刃と斬り結んだ。もっとも、やはり相手の方が格上なのか、その効果を最大限に発揮させるためには、かなりの数を重ねなければならなかったが。
「防御の穴は、こちらで埋めましょう。……地獄を灯せ。群れなす魚群よ。我らの役目を此処に示せ」
 ならば、せめて守りを固めようと、リコリスが自らの体から地獄を纏った金属魚の群れを呼び出した。その魚達が向かうは響の装甲に生じた小さな亀裂。傷口に憑依し、一時的に地獄の力を与えることで、彼女の装甲を更に堅牢なものへと変えて行く。
 こちらの前衛は、4人と2体。広域防御の展開は、却って力の拡散を生む。だからこそ、1人ずつ確実に強化するという判断は正しかったが、守りに入るだけでは敵を止められない。
「このままゴリ押しでも、行けるっちゃ行けるんだろうけどさ……」
 消耗戦の泥試合になるのは得策ではないと、ミリアは帽子を片手で抑えつつ歯噛みした。
 現状、速攻で敵を倒すための効率的な術は限られている。敵の動きを止めることに特化し過ぎて、防御を削ぎ、火力を上げるための術を、大半の者が持ち合わせていない。
「悪ぃ、レイン! 先に行けるか? 一発でいい……あいつを全力でブン殴ってくれ」
「私が、か……? なるほど、そういうことか」
 持久戦から殲滅戦へと切り替えるための策。その手段を察したのだろう。
 生ける鋼で拳を覆い、レインは全力で影の少女を殴り飛ばす。その一撃は凄まじい衝撃波を生み、少女の纏う漆黒の着物に消えぬ傷跡を刻み込み。
「よっしゃぁっ! 一気に仕掛けるぜ!」
 活路は見えた。レインが残した傷跡を狙い、ミリアが斧を振り下ろす。それだけでなく、セレッソもまた相棒のオルトロス、タフトと共に敵の懐へ飛び込んで、その身体と着物を手にした刃で切り裂いた。
「……っ!?」
 さすがに、これには影の少女も危機感を抱いたのだろう。
 見れば、既に彼女の纏った着物はズタズタに引き裂かれて見る影もなく、その身体にさえ深々と傷跡が残されている。どれだけ体力を吸収しようと、防具の損傷までは補えない。そして、その裂け目を狙って攻撃すれば、こちらの攻撃が敵の吸収を大幅に上回る。
「皆の夢は、誰もが持ってる宝物なんだ! だから……奪ったものは、返してもらうぞ!」
 露わになった胸元のモザイク目掛け、響の拳が炸裂した。続けて、ライドキャリバーのヘルトブリーゼが激しく回転しながら突撃し、そのまま敵の身体を轢き潰した。
 このまま行けば、そう時間をかけずに押し切れる。誰もが確信はしていたが、しかしそれでも、リコリスやワルゼロムといった面々は、未だ油断はしておらず。
「攻守交代……と、いったところでしょうか?」
「気を抜くでないぞ。やつのような手合いは、どうにも底が知れぬ相手だ」
 果たして、そんな彼女達の懸念通り、影の少女は全身に傷跡を刻まれながらも、なんら退くような素振りを見せなかった。
「凄い……たくさんの夢……いっぱいの夢……。全部……全部、私に頂戴!!」
 もはや、己の内に秘めたる衝動を抑え切れないといったところか。
 閉じられていた少女の目がゆっくりと開き、その瞳に映るは恍惚の色。これだけ叩かれ、斬られ、その身を焼かれ傷つけられても、彼女は目の前の夢を、ただひたすらに食すことだけを望んでいる。
「誰のでもいい……どんなものでも構わない……。早く……早く、私を染めて……」
 そう、少女が口ずさんだ瞬間、彼女の胸元から今までにない量のモザイクが溢れ出した。
「くっ……! 皆、下がるんだ!」
「ミリアちゃんは、私が守る!!」
 咄嗟に味方の盾となる響きとアイリスだったが、彼女達だけでは防ぎ切れず。
 海嘯の如く、襲い掛かるモザイクの波。それは幾重にも重なって前衛の者達を飲み込むと、その内に秘めたる夢の欠片を、魂の力と共に奪い去って行った。

●夢と渇きと
 強大なモザイクの波が引いたところで、アイリスは静かに目を見開いて顔を上げた。
「ミリアちゃん、大丈夫?」
「ああ、なんとかな。しっかし……とんでもねぇやつだぜ。自分の身体なんかより、夢を食う方が大事ってか?」
 幸いにして怪我はなかったことを告げつつも、ミリアは辟易した様子で溜息を吐く。その隣では、同じくモザイクの波から仲間達を庇った響が、破損した金属の鱗を払っていた。
「危なかったな……。こいつがなかったら、やられていたかもしれない……」
 それだけ言って、しばしリコリスの方へと視線を向ける。彼女のフォローにより防御力を高めておかなければ、自分も狙われる状況の中で、他人の分まで攻撃を引き受け、致命傷を負わないはずがなかった。
「ふむ……なかなかしぶとい相手だな。しかし、ここが正念場よ」
 敵の身体に明らかに回復不能な傷が刻まれ始めたのを鋭く見抜き、ワルゼロムは後ろから仲間達へと告げた。
 先の応酬によって、突破の糸口は掴めたのだ。ならば、相手が再び体勢を整える前に、一気呵成にて静めるのみ。
「もう、回復は不要であるぞ。一気に仕掛ける!」
 それだけ言って、影の如き刃で敵を斬れば、それに続くはタルタロン帝を始めとしたサーヴァント達。
 タルタロン帝の原初の炎、タフトの念が巻き起こす自然発火、そして炎を纏ったヘルトブリーゼの突撃を受け、瞬く間に影の少女の身体が炎に包まれる。だが、それらはあくまで牽制に過ぎず。
「紅の身体を捨てた斬鉄鬼の戯れ、付き合ってもらいます。簡単に壊れちゃ、嫌ですよ?」
 足下に召喚した魔法陣より、不可視の刃を呼び出すアイリス。それはあらゆる角度から、何度も敵の傷口を抉り、蝕んで行く。
「あ……あぁ……。わ、私の……夢……」
 満身創痍になりながらも、指先を伸ばして求め続ける影の少女。そんな彼女に、リコリスは改めて問い掛けつつも、チェーンソー剣の刃で斬り付けるが。
「貴女が見たい夢はどのようなものですか?」
「なんでもいいの……。誰のでも……私は夢が……夢が欲しい……」
 返って来たのは、悪食さながらの欲望でしかなかった。そのことに、少しばかり虚しさを覚えつつ、攻撃の手を休めることはなく。
「夢、か……。私の夢、それはミリアを世界一幸せにすることだ。こうして付き合って一緒に暮らしてるだけでも十分だけどさ。色んな楽しみを、色んな幸せをこれでもかってくらいあげたいんだ」
 ありきたりなようだが、本気でそう思っている。そんな己の夢を語りつつセレッソが斬りつければ、レインもまた釘の生えたバールを構え。
「私の夢は、皆が何にも縛られず、自由に笑っていられる世界だ。『海賊船長』の夢は、それでいい。だから、夢の為にお前を倒す!」
 問答無用で、敵の脳天目掛けて振り下ろす。その衝撃で再び着物が激しく破れたところを、アイビーは見逃すことはなく。
「ボクは! いつまでも! いつまでも! 二葉の隣に居たい! ――いや、居続ける!」
 大切な人への想いこそが夢。そう語りつつ、猛毒の雨を敵の上空から叩き込んだ。
「あ……うぅ……」
 もはや、溶け掛けの泥人形のようになった影の少女は、既に抵抗する力さえなく。そんな彼女に永遠の眠りを与えるべく、響は自らの想いを光球に込めて。
「戦争がない平和な世界を作ること。すべての理不尽から力のない人を守れるヒーローになること。私の夢も、一緒に持って行ってくれ」
 そのままミリアに投げ付ければ、受け取ったミリアもまた、全ての力を己の瞳へと集中させた。
「夢で染めて欲しいっていってたよな。……これがあたし達の想いだ、盗れるもんならやってみなぁ!!」
 この一撃、見切れるものなら見切ってみろ。引き裂かれた着物の中に垣間見えた急所を狙い、ミリアは躊躇うことなく渾身の一撃を叩き込む。
「あたしは、絶対に、いいお嫁さんになるんだぁぁあああ!!」
 それは、己の羞恥を振り払い、新たに見つけた真の夢。想いと叫びが力を呼び、夢を欲する影の少女は、夜の闇に溶けて消えた。

●夢色ロード
 戦いの終わった屋上にて。ミリアの無事を確認し、セレッソは改めて彼女へと手を伸ばした。
「……帰ろっか、ミリア」
「んっ!? ……あ、ああ、そうだな!!」
 恐らく、照れ隠しなのだろう。差し出されたセレッソの手を取り、ミリアはそそくさと戦場を後にする。そんなミリアの後姿を眺めるレインの横で、リコリスとワルゼロムは共に夜空を見つめていた。
「結局は、何も知らないから悪食だったのか……」
「望み通り、ミリア殿の夢で染まるということだな……。さて、かのドリームイーターは、消えた先で何をみるやら」
 ディア・オニキス。夢を失った夢喰いの迷い子。他人の夢を奪ったところで、夢見る心までは取り戻せない。それに気が付かぬまま逝ったのは、果たして幸か、それとも不幸だったのだろうか。

作者:雷紋寺音弥 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年9月12日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 1
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