海底基地攻撃作戦~深海洞窟に潜む敵

作者:澤見夜行

●深海の光
 何処までも深く深く、落ちた先。光も届かぬ海底。
 その海底――駿河湾は最大深度二千五百メートルに及ぶ、日本で最も深い湾だ。
 見慣れぬ深海魚たちが静かに泳ぎ生活していた。
 その光すら届かぬ海底に、人工の光が灯る。
 海底洞窟から漏れ出る光。その先には怪しげな機械工場が稼働しているような騒音が響き渡っていた。
 振動が海水を揺らす。驚いた深海魚たちが逃げていくと、そこを泳ぐように通り過ぎる連なる影。
 潜水艦型ダモクレス、そして複数体のディープディープブルーファング。
 ダモクレス達は海底洞窟から発進し、海を往く。
 行き着く先は、果たして――。


 集まった番犬達にクーリャ・リリルノア(銀曜のヘリオライダー・en0262)が資料を手に説明を始めた。
「最近発生し始めた、鮫型のダモクレスを利用した死神事件『ディープディープブルーファング事件』に関して、新たな事実が発見されたのです」
 クーリャによれば、チーディ・ロックビル(天上天下唯我独走・e01385)が、多くの賛同者と共に調査を行い、海底にて、死神とダモクレスが協力する秘密基地の存在を突き止めてくれたのだそうだ。
 秘密基地の場所は、フェルディス・プローレット(すっとこどっこいシスター・e39720)の予測通り、駿河湾海底にあった。
「この秘密基地では、ディープディープブルーファングの量産が行われており、ダモクレスの作戦基地の一つであると考えられるのです。
 皆さんには、この海底基地の破壊をお願いしたいと思うのです」
 続けて今回の戦闘に関する情報が伝えられる。
「戦闘は駿河湾海底になるのです。
 深海での戦闘となりますが、ケルベロスの皆さんの戦闘には支障はないのです」
 研究所直上の海上まではヘリオンで輸送される。
 ヘリオンから降りれば即海中だ。海底で不自由しないように、アクアラングや照明などの装備は用意したほうが良いだろう。なくても問題ないが、あれば快適に行動ができるはずだ。特に理由がなければ装備した方が良いだろう。
「海底基地は深海の海底洞窟の内部にあり、至近距離まで近づくと、潜水艦型ダモクレスとディープディープブルーファングが迎撃にでてくるのです」
 迎撃に来るディープディープブルーファングは死神の因子を植え付けられておらず、戦闘能力は低いが、数が多いので注意が必要だろう。
 迎撃に出てきた潜水艦型ダモクレスの過半数を撃破できれば、基地が自爆するので作戦は成功となる。
「基地自爆後は、敵の戦闘意欲が失われるので安全に撤退することが可能なのですが、そのまま殲滅しちゃってもオッケーなのです!」
 潜水艦ダモクレスは多数を巻き込むミサイルと単体攻撃である魚雷で攻撃してくる。
 ディープディープブルーファングもこれまでに現れたのと大きく差はなく、噛み付きやサメ魚雷、メカ触手による攻撃をしてくるだろう。
 クーリャは説明を終えると資料を置いて番犬達に向き直る。
「ディープディープブルーファングは、ダモクレスがこの工場で量産して死神に引き渡していたものだと思われるのです。
 既に引き渡していた個体もあるので、すぐに事件が終結する事はないと思われるのですが、この作戦が成功すれば、死神によるディープディープブルーファング事件の解決に大きく貢献できるはずなのです!
 ――ダモクレスが何故死神に協力しているのかは謎なのですが……大本の工場を叩けば作戦を阻止する事ができるはずなのです。
 敵の秘密基地破壊のため、どうか、皆さんのお力を貸してくださいっ!」
 クーリャはぺこりと頭を下げると、番犬達を送り出すのだった。


参加者
天崎・ケイ(地球人の光輪拳士・e00355)
シルディ・ガード(平和への祈り・e05020)
シュネカ・イルバルト(翔靴・e17907)
尾神・秋津彦(走狗・e18742)
グラハ・ラジャシック(我濁濫悪・e50382)
夜巫囃・玲(泡沫幻想奇譚・e55580)
村崎・優(未熟な妖刀使い・e61387)

■リプレイ

●潜行
 駿河湾海上。
 ヘリオンより出撃する直前の番犬達は装備の最終チェックを行った。
「む、結構重いのだな。まあ戦闘に支障はなさそうだが」
 潜水装備一式を背負ったシュネカ・イルバルト(翔靴・e17907)がぼやくように呟いた。
「ふふ、似合ってますぞ、シュネカ殿。
 水中で窒息してもダメージを受けないとはいえ、苦しいのはイヤですからな。装備を用意しておいて正解だと思いたいですな」
 シュネカと肉友な間柄である尾神・秋津彦(走狗・e18742)が笑いかけながら、自身も潜水装備を背負う。
 天崎・ケイ(地球人の光輪拳士・e00355)、ペスカトーレ・カレッティエッラ(一竿風月・e62528)の二名も、シュネカとほぼ同様の感想を持っただろうか。身体の動きを確認しながら準備を終えた。
「残暑とはいえまだ暑いですし、ダイビングはよい思い出になりそうですね。ふふふ」
「これで戦闘がなければ本当にバカンスだったけどネ。お仕事頑張りましょうネ!」
 ケイの少し暢気な言葉に頷いたペスカトーレが残念がりながらグッっと拳を握って活を入れる。
 四人が潜水装備を身につければ、いよいよ潜行が開始される。残り四人は水中呼吸ができるので潜水装備に関しては用意していない。
「それじゃ、みんな行こう! 潜行開始~!」
 どこか可愛らしさもある人魚の足ヒレ的な防具を装備するシルディ・ガード(平和への祈り・e05020)の合図で、小型の錨が付いたロープが下ろされる。ロープに捕まりながら番犬達が順次海面へと降り立つと、夜巫囃・玲(泡沫幻想奇譚・e55580)が用意した水中用LEDライトの状態を確認する。
「うん、動作は問題なさそうですね」
 事前に各色の意味合いは相談済みだ。これでハンドサインが見えなくとも明かりで判断することができるだろう。
 玲にとって不安といえば、愛用のお面がないことだが――。
(「大丈夫です、私はお面無くてもやれる……やれるのです」)
 自己暗示は見事にキマっていそうだった。
 番犬達は顔を見合わせ頷くと、ロープを伝い水中へと潜っていく。
 海面近くはまだ暖かさも感じられる水温だが、光が薄れていく海中へと進んで行くにつれ、肌寒さを感じるようになってくる。
 慣れない水中での動きを確かめながら、どんどんと深度を上げる。
『――無線はどうでしょう? 声聞こえますか?』
『今のところ、問題なさそうかな』
 用意した水中無線はひとまずの所動作はしているようだった。ただ、これまでの経験上、デウスエクスによる電波妨害は十分ありうる話だ。無線が常に使い続けられるとは思わない方がよいだろう。
(「こんな深海に基地を作って―― しかもデウスエクス同士の協力か……。
 不穏そうだからとりあえず止めよう」)
 仇たるエインヘリアルを追う村崎・優(未熟な妖刀使い・e61387)はエインヘリアルと協力関係にある死神を追えばなにか情報が得られるかもしれないと考え、今回の任務に参加してきた。
 現れるであろう敵を前に、油断なく周囲の様子を窺う。
(「身体が重てぇな。水の抵抗って奴か。身体にも圧がかかる。
 ……はん、悪くはねぇな」)
 どのようなことであれ、経験は何れ役に立つものだと言うのがグラハ・ラジャシック(我濁濫悪・e50382)の考えだ。
 どのような状況でも勝つ為に、得られる経験は吸収するのだと野獣のように口を歪めた。
 深度二千メートルを超えれば、そこは光届かぬ闇の世界。
 番犬達は用意した照明で辺りを照らしながら、深く、深く潜っていく。
 そうして海底が見えた頃、気配が変わった。
 水温による鳥肌ではない。ひしひしと感じるこの冷気のような気配は――ダモクレスの放つ冷たい殺気に他ならない。
 経験則から感じる気配に、番犬達は一斉に武器を構えた。
『――基地はあちらでしょうか?』
『となれば、そちらから現れそうだな』
 玲の言葉にシュネカが応える。照明で周囲を照らしながら警戒すれば、基地側よりやってくる影をシルディが見つけた。
『ターゲットのお魚さん接近中! みんな備えて!』
 シルディの言葉と同時に青のLEDライトを振るう。ライトの先に見える影。影の周囲が光った。潜水艦型ダモクレスによる先制攻撃だ。
 水泡を吹き上げながらミサイルと魚雷が飛来する。
 一斉に散開した番犬達は、飛来するミサイル群を紙一重で回避した。
『――現れたでありますね!』
 近づく影は五。潜水艦型ダモクレスを中心に、鮫型ダモクレスであるディープディープブルーファングが四体随伴していた。
『はん、上等だ。残らずぶちこわしてやるよ』
『この海にあなた方の居場所はありません。
 お引き取り願いますよ』
 光届かぬ深海で、秘密基地を守るダモクレス達との戦いが始まった――。

●海中戦闘
 海中を切り裂く轟音。水泡が無限に広がり尾を作る。
 飛び交うミサイル、付け狙う魚雷の数々が番犬達を巻き込み爆発し、深海を泳ぐ魚達は、我先にと逃げだした。
 潜水艦型と鮫型は地の利はこちらに有りと、縦横無尽に航行し番犬達に被害を与えていく。
 しかし、番犬達も不慣れな海中戦闘であるにも関わらず、用意した装備のおかげもあって徐々にその動きを良くしていった。
 唯一の問題といえば、用意した水中無線がダモクレス登場から使えなくなった点だろうか。敵の電波妨害は果たして使用され、声による意思疎通は困難となった。
 とはいえ、それを見越したハンドサインやLEDライトによる最低限の用意ができていた。事前の準備が役に立った形だ。
 番犬達の連携は地上でも海中でも変わらず、迅速な作戦は素早く鮫型の二体を撃破することに成功する。
 残る三体に向け、アクアウィング広げまるで魚のように水の中を走る玲。
(「水中戦って初めてですけど……」)
 まるで空を飛ぶように身体を錐揉みさせながらミサイルを躱し鮫型に近づくと、得物を抜き放ち一閃する。鮫型の機械の肌が大きく切り裂かれ水中に火花をあげる。
(「いやぁ、中々楽しいですねぇ……あっ……こっち見ないでください」)
 地上では取れない機動を行うのは楽しいものだが、仲間達の視線に慣れないのは地上と変わらない所か。
(「まさか海底で魚捕りをすることになるなんて思わなかったネ、
 けど大物釣りなら場所を選んじゃいられないネ!」)
 釣り好きなペスカトーレは水中でありながら手にしたロッドを巧みに操る。ルアーに掛かればそれは敵群を氷付かせる爆弾となる。食らいついた鮫型が氷に蝕まれるのを確認すれば、即座にグラビティを迸らせて、ロッドの先に巨大な錨を召喚する。
 巧みにロッドを操って、巨大な錨を直撃させれば、分厚い装甲を拉げて海底へと叩きつけた。
 優は光源となるライティングボールを追加し、視界を確保する。光届かない深海にあって、この光源はとても重要だ。
 敵を目視すれば、すぐさま目標に向かって突撃する。アクアウィングによる三百六十度全天周に及ぶ機動は地上ではなし得ない連撃を可能にする。
(「敵ディフェンダーが少なくなった今なら――! っ゛ら゛ぁん゛うぅけ゛えええええええっ!!!」)
 潜水艦型直下へと潜り込むと急速上昇。弧を描く斬撃を放ちながら直上を取る。優の右目から紫の炎をオーラが噴き出すと、直上から神速の一突きで潜水艦型の装甲を穿つ。暗雲海溝を裂く電煌は魂までをも痺れさせる強気呪詛を伴った。
 直後の反撃を転回しながら躱すと距離をとる。手にした両の刃を擦り合わせる。優のクセだ。
 番犬達を支える秋津彦は仲間達の状態に満足する。自身の回復は十全に果たされ、仲間達の活躍によって迅速に敵の数を減らせているからだ。
(「――これは、好機ですな!」)
(「――心得た。尾神、往くぞ」)
 秋津彦がハンドサインを送れば、シュネカが即座に反応する。
 その水着姿から競泳選手にも見えるシュネカが尾を撓らせながらアクアウィングで先行し、後を秋津彦が追いかける。
 潜水艦型の目前で二手に分かれた二人は直下左舷と直上右舷から挟み込む。
(「狼と竜の演舞、この世の名残りにご覧あれ!」)
(「行くぞっ!」)
 剣狼の一閃は迅業の抜き打ちなれば、絶殺の妖気が鞘走る。同時、強大な力もつ竜姿の幻影纏いし少女が、刹那の呼吸で幻影と共に力塊を叩きつけた。
 狼と竜の演舞にも似たその一撃は、絶大なグラビティを迸らせる。回避も叶わぬ潜水艦型ダモクレスは心臓部に重力の鎖を繋がれ、激しいスパークと共にその機能を停止した。戦闘開始から四分たった所だった。
 潜水艦型の仇を討とうと、鮫型二体が二人を狙って突撃を行う。
(「そうは、させないよ!」)
(「やらせません――!」)
 人魚の尾ひれを撓らせて、泳ぐように割って入るシルディに、合わせるように先回ったケイが秋津彦とシュネカを庇う。
 礼をする二人のハンドサインに頷いて、シルディとケイが手負いの鮫型一体を狙って距離を詰める。
(「海中に舞う花吹雪というのも、神秘的ですね」)
 海中にこの日幾度目かの深紅の薔薇吹雪が舞う。ケイのグラビティによるものだ。海中で鼻孔が機能するのであれば、それは薔薇の香気を感じることだろう。
 鮫型を包み込む花吹雪を装甲を斬り刻んでいく。
 その花吹雪に紛れ、肉薄したケイが手にした扇を鞭へと変えて打ち据える。
(「君達とも仲良くなれるはずだけど……ごめんね、今は地球の人優先だよ!」)
 オウガ粒子が周囲に散らばり、集中力を高めると、シルディは星形の鉄球の付いた愛用の武器を振るう。
 ドラゴニック・パワーが噴出し急速に加速すると勢いままに鮫型に叩きつける。装甲が拉げ、内部の機構がつぶれると、小爆発を繰り返した後、本体もろとも爆発四散した。
(「一人になっても逃げねぇのは上等だ。
 ――もう十分動いたか? 動いたよな? んじゃ、死ね」)
 残り一体目がけてグラハが疾泳する。その身体、特に右腕を黒い靄が包み込み剥き出しの歯が狂化したことを知らしめる。
 回避しようとする鮫型のヒレ(?)を掴むと逃がさない。動きを止めた鮫型の装甲にグラハの身体から幾重にも突き出した黄金の角が突き刺さっていく。
(「バラバラになりな!」)
 追撃による追撃。何重にも叩きつけられる破壊の力が、残る鮫型を完膚なきまでに破壊し尽くした。
 グラハは、もはやただの残骸となりはてたヒレを放り捨てると、次なる獲物を探すように辺りに視線を向けた。
 迎撃に来た敵集団は撃破した。戦闘開始から六分がすぎたところだが、未だ基地が爆発する気配はなかった。
(「それじゃ、他のチームの援護に向かおうネ!」)
 周囲には同じ作戦に参加する番犬達がいるはずだ。海中の動きづらさに辟易するペスカトーレのハンドサインを受け取って、番犬達は頷くと、戦域を移動する。
 追撃戦の始まりだ――。

●追撃
 番犬達が他のチームを発見したのは最初の戦闘開始から八分がたった頃だった。
 戦場には鮫型の残骸が広がり、多くの鮫型を相手していたのがわかる。
 戦闘はこちらの作戦同様、潜水艦型を押さえながら鮫型を撃破していくもののようだった。
 潜水装備を持たない水中呼吸組が先行し、すぐに援護にはいる。その後ろを緑のLEDライトを振りながら、残りの四人が追いかけた。
(「援護に入らせて頂きますぞ!」)
(「おっ! グッドタイミング! グッドタイミングですよ、秋津彦くん!」)
 秋津彦のハンドサインに、見覚えのある赤髪の少女が応える。別チームの村正・千鳥だ。嬉しそうに感謝の返礼を送る。二人は同じ旅団に所属する友人である。
(「援護、感謝する」)
 敵にバスターライフルを向けながら、別チームのヴィクトル・ヴェルマンが短く感謝を伝えてくる。気にするな、と番犬達は気を良く返事する。
 十六名の番犬達が縦横無尽に泳ぎ、敵ダモクレス五体を追い詰めていく。
(「フィッシュ・オン、ネ!」)
 ロッドを巧みに操るペスカトーレがこの日一番のアプローチを見せ、アキュラシーの高いアクションで鮫型を見事に凍結へと導いた。海中釣りを楽しんでいるのは間違いない。
(「多勢に無勢を卑怯だというなよ?
 戦いはどんな手を使っても勝ちゃいいんだよ――!」)
 グラハの強大な暴力が鮫型の一体を捉え破砕する。バラバラにしてしまえば、もう興味が尽きたように残骸を投げ捨てる。
 番犬達が加わったことで、戦いは番犬達の優位となり、加速度的に勢いづく。
 九分が経つ頃、共同戦線を張るチームの紗神・炯介の蒼い炎弾が鮫型の一体に直撃する。
(「君の弱点なんて、もうお見通しさ」)
 続けて狙い澄ましたヴィルフレッド・マルシェルベの攻撃によって、敢えなく鮫型は撃破されることになる。残り三体。全てを平らげるまでだ。
 勢いままに、攻撃を仕掛けようとしたその時、離れた海底から轟音とともに衝撃波が訪れ海中が震えた。
(「基地の爆発ですね」)
(「もう相手は残り少ないってことだね! このまま押しちゃおう!」)
 ケイとシルディは見合わせて健闘を称える。
 残っていたダモクレス三体が、反転するように撤退を開始した。逃がす手はない、一気に殲滅する。
 別チームは潜水艦型へと狙いを定めた。ならば、随伴機二体はこちらの獲物だ。
(「逃がしませんよ」)
(「逃がすものか!」)
 玲と優が鮫型の一体を追撃し、剣閃を走らせる。海中を切り裂く呪詛を孕んだ美しき斬撃の応酬が鮫型を切り裂いて破壊した。
(「残るはお前だけだ――!」)
(「シュネカ殿! 任せたであります!」)
 海中を引き裂いて、シュネカが疾駆する。秋津彦がシュネカに向けて光球を放てばグラビティの破壊力が増大する。
 残影を残すオーラの軌跡が幾重にも鮫型に叩きつけられて、渾身の一撃が装甲を貫き重力の楔を打ち込んだ。
 爆発を繰り返しながら海中へと沈んでいく鮫型を見送ると同時、別班のテレサ・コールの放った白いエネルギー光弾が潜水艦型に直撃し、ついに沈めることに成功したのだった。
 勝利に沸き立つ番犬達が、思い思いハンドサインで歓喜を伝え合う。
 周囲を見渡せば、同様に戦いに終わりが訪れたようだった。
 そんな中、シルディと玲は海底に立って深海を楽しんでいた。
(「面白そうなうにょうにょ発見~!」)
(「これで深海とはお別れですね……記念に写真でも……あ、カメラ忘れました」)
 二人の横ではペスカトーレが海底基地の方を見ながら、
(「それにしても海底に基地とはまるで竜宮城だ」)
 そんなことを思っていると、その方角から、他の番犬達がやってくるのが見えた。もしかしたら基地へと侵入することに成功し、なにか情報を持ち帰ってきたのかもしれない。
 ダモクレス、そして死神の策動を見破り、先手を打つことができるだろうか。
 番犬達は次なる戦いを予感しながら深海に別れを告げ、海上へと帰還するのだった――。

作者:澤見夜行 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年9月11日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 6/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 0
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