混浴絶対許さない明王っ!

作者:小鳥遊ちどり

●群馬の某ワイルド秘湯にて
 猛暑だった今年の夏も終わろうとしている。
 そんな名残の夏を楽しもうと、大学生のグループが群馬県の山奥にある某温泉にやってきた。男女5人ずつのサークル仲間である。
 彼らがやってきたのは、河原のそこかしこから熱い湯が湧いており、そこに自力で穴を掘って石を積み、川の水を引き込んで湯温を調節し、自分好みの露天風呂を作って入るというワイルドな温泉だ。
 大学生グループも、女子にイイトコを見せたい男子を中心にせっせと穴を掘り、石を積み上げ、1時間ほどかけて2,3人ずつなら下半身浴ができそうなくらいの露天風呂を仕上げることができた。
「ふうー、疲れた。どう、こんなもんで?」
「うん、充分よ!」
「ありがと。やっぱりこういう時に男子は頼りになるわねー」
「湯加減もよさそうだよ、女の子から先に入れば?」
「そんなこと言わずに、せっかくだから混浴しましょうよ」
「えっ、いいの?」
「やあねえ、混浴ったって水着なんだし、そんなに喜ばないでよぅ」
「どうせならクジ引いてペア組んで入りましょうか」
「それいいー! 俺クジ作るよ、ちょっと待ってねッ」
 大学生たちは、仕上がった温泉を前に水着姿でキャッキャウフフ……と、そこに。
『混浴絶対許すまじィィィィ~~!』
 奇声を上げてバッサバッサと舞い降りてきたのは、1羽のビルシャナ。全身が灰色の地味くさい羽毛で覆われ、大きな嘴と鉤爪を持っている。
 大学生たちは悲鳴を上げて飛び退いた。
 すると。
『でえいっ、こんなものっ』
 ガッシャ、グワシャ!
 着地したビルシャナはその鉤爪の幾蹴りかで、作ったばかりの温泉を破壊してしまった。
「あああっ、何すんだよう!」
「作るの大変だったのに!」
「湯加減の調節だって難しかったんだぞ!」
 当然大学生たちは怒った……が、ビルシャナは、今度はそんな彼らの方に向き直ると、
『ふんっ、いちゃいちゃしよって胸くそ悪い……混浴なんてふしだらなことは、ワシは断じて許さんのだー!』
 ビーーーームッ!
 理不尽な主張をまくしたてながら、大学生たちも温泉も凍らせる魔法光線を放った。

●ヘリオンにて
「……というわけで、これから皆さんに行ってもらう温泉に、混浴絶対許さないビルシャナが現れるんですよ!」
 笹島・ねむ(ウェアライダーのヘリオライダー・en0003)が案内するのは、群馬県東部、山の中にある秘湯だ。
 今回のターゲットも元は人間で、個人的な主義主張によりビルシャナ化してしまったようだが、
「どういう理由で、混浴がそれほど許せなくなってしまったのでしょうかねえ?」
 混浴温泉で、よっぽど嫌な思いや悔しい思いをしたことがあるのだろうか?
「ま、それはともかく、皆さんは、ビルシャナが大学生たちの作った温泉を破壊しているタイミングで現場に到着できるはずです。ヘリオンを現場上空でホバリングさせますので、めいっぱい派手に降下してビルシャナの気を引き、一般人に被害が及ばないようにしてくださいね!」
 しっかりビルシャナの気を引ければ、頭の良さそうな敵でもないので、大学生が河原から逃げられるくらいの時間は稼げるだろう。更に、敵の気を引く者と、大学生を避難させる者とに手分けすれば効率的か。
 戦場となる河原は広く、大学生たちの他、一般人は近くにいない。
 ビルシャナ単独で暴れている今のうちに、サックリ倒してしまおう。
「ビルシャナとなってしまった人は救うことは出来ませんけれど、これ以上被害が大きくならないように、よろしくお願いしますね」
 ねむはぺこりと頭を下げてから、いたずらっぽくケルベロスたちを見回して。
「無事に事件を解決できたら、皆さんも、ワイルド混浴、楽しんできたらどうです? ケルベロスのパワーがあれば、手作り露天風呂もあっという間にできそうですしねー!」


参加者
天壌院・カノン(ペンタグラム・e00009)
上月・紫緒(シングマイラブ・e01167)
ミスティアン・マクローリン(レプリカントの鎧装騎兵・e05683)
エメラルド・アルカディア(雷鳴の戦士・e24441)
白焔・永代(今は気儘な自由人・e29586)
レーア・ステニウス(灰獅子・e61519)
槐・朱美(焔蝶・e66291)

■リプレイ


『でえいっ、こんなものっ』
 ガッシャ、グワシャ!
 ビルシャナは鬱憤を晴らすかのように、大学生たちが一生懸命作った露天風呂を蹴り壊し――ているところに。
 ヘリヘリヘリヘリ……軽快なプロペラ音が近づいてきて、大きな影が河原に落ちた、と思ったら。
 ひゅるるる~~……びったーん!
『なっ……!?』
「なんか落ちてきたよ!?」
 ビルシャナも大学生たちも驚いて落下物の方を向くと。
「いったあぁ……」
 鼻を押さえて起きあがったのは、一体の水着姿の女性型レプリカント……ミスティアン・マクローリン(レプリカントの鎧装騎兵・e05683)であった。せっかくのパーフェクトボディが台無しである。
 何事!? と人もデウスエクスも戸惑っていると、
 シュタ……シュタタッ!
 今度は格好よく、数人の男女が次々河原へと着地した。
「さあ、覚悟しなさいビルシャナ。ケルベロスの登壇です!」
 叫んだのは、くるくるっ、と宙返りを決めて降り立った槐・朱美(焔蝶・e66291)。
『何だとっ、ケルベロスッ!?』
 ビルシャナは小さな目を剥き、大学生たちは驚きつつも正義の味方の登場に喜ぶ。
「あなた、混浴が許せないんですって?」
 大胆な水着にパーフェクトボディを使い、迫力満点でビルシャナに近づいていくのはレーア・ステニウス(灰獅子・e61519)。
「というより、混浴に参加するのを許して貰えなかった、じゃなくて?」
 ミスティアンも、鼻を押さえたままの涙目ではあるが、せせら笑いを浮かべ、
「どーせ、水着忘れて自分の情け無い一物見られて赤っ恥、といったところだろ?!」
『ち、違わい!』
 水着美女にあからさまに挑発され、ビルシャナは壊しかけの露天風呂の傍らでじだんだを踏んだ。
『ワシはもっと、ホラ、あの……ええと、どっ、道義的な理由からっ』

 仲間たちがビルシャナをうまく引きつけはじめたところでエメラルド・アルカディア(雷鳴の戦士・e24441)と白焔・永代(今は気儘な自由人・e29586)は、そっと大学生たちの避難誘導を始めていた。
「さ、河原の外へ」
 旅館に隠れてもらうとかして、ビルシャナの目に入らないところに避難すれば大丈夫だろう。
 永代は、男子たちにそっとささやく。
「一人一人が女の子をキチンとエスコート出来れば、ポイント高いぜ?」
 なるほど、せっかく作った混浴風呂は台無しにされてしまったが、思わぬところでいいところを見せるチャンスが巡ってきた。
「よ、よければつかまって」
「ボクのパーカーでよければ羽織りなよ」
 男子たちは張り切って女子をエスコートし、2人のケルベロスは、仲間たちの引きつけっぷりをチラチラ確認しながら、彼らを静かに移動させはじめた。

 挑発の方も絶好調である。
 レオンハルト・ヴァレンシュタイン(医龍・e35059)は扇子でゆったりと煽ぎつつ。
「ずいぶんと混浴に偏見をもっておるようだのう。水着着用なら基本的にプールとそうは変わらぬレジャーとも言える」
『ぷ、プールと風呂は違うだろう!』
「さてはお主、キャッキャウフフにひがんでおるな?」
『だ、誰がじゃ! だいたい、風呂は静かに入るもの……』
「喝ッ!」
 年長者らしくしかりつけたが、次の瞬間でれっと表情を崩し、
「ふふふ実は我もキャッキャウフフする予定があっての……ただその前にクジの問題があるわけじゃが」
『な、なんだよ、ただのスケベジジイかよ!』
「あら、水着なら全然構わないわよ」
 と、事も無げにレーアは。
「そこら辺のプールやら健康ランドと同じじゃない。それともアレ? プールで悪さして出入り禁止にでもされた? それとも水着の異性すら見れないシャイボーイ(笑)なの?」
『しゃ……シャイボーイて……』
 立て続けに痛いツボを抉られるわ嘲弄されるわで、貧血を起こしそうになっているビルシャナに、
「混浴さんせーい! 紫緒はお風呂だって温泉だって旦那さまと一緒にいたいですもん!!」
 と、上月・紫緒(シングマイラブ・e01167)はお色気たっぷりに、
「てゆーかー、夫婦ですからむしろ水着無しでいいですよね? 文句を言われても夫婦のことですもん、愛する二人は止められないのですよ!」
『きいいー、こ、こんなところでノロケかあぁぁぁ~?』
 間違い無くノロケだ。
 羨望と嫉妬露わなビルシャナに、容赦なく朱美が追い打ちをかける。
「そもそもからして、貴方からは嫉妬の感情しか感じられませんね。気に入らないのは『イチャイチャ』のほうでは? さては混浴で手酷くフラれたか、キモイと敬遠されたりでもしましたか?」
 そして天壌院・カノン(ペンタグラム・e00009)がトドメとばかりに。
「もはやあなたの行動は非モテの僻みにしか見えませんわ。どうせ混浴する相手もおらず、逆恨みしているだけでしょう」
 その通りその通りと、なにげにビルシャナを囲んでいた仲間たちもこの時とばかりに囃し立てる。避難誘導を首尾良く終えて戻ってきたエメラルドと永代も、いつの間にか輪に加わっている。
 愛斧をビルシャナに突きつけ、
「大学生たちが力を合わせて作り上げた苦労の結晶、それを壊すだなんてとんでもありません――ここで成敗いたします!」
 決め台詞と同時に、カノンの翼から聖なる光が迸った。


 罪を打ち砕く光の放射を合図にして、ケルベロスたちは一斉に非モテこじらせビルシャナへと飛びかかった。
 続いて紫緒が。
「以前は愛と憎しみで狂っていた。そこから救ってくれた最愛の人がいて前を向いて戦える。恋に救われ今は明るく恋を語ることができる――上月あらため安曇・紫緒ですよ!」
 幸せを噛みしめながら恋獄ノ大太刀で月の弧を描き、鳥の足、いわゆるモミジのあたりを斬りつける。
 レオンハルトはパチンと格好よく扇子を鳴らすと、
「竜王の不撓不屈の戦い、括目して見よ!」
 愛犬・ゴロ太に炎の視線で攻撃させながら、自らは、オウガメタル・紅隈で全身を覆って鋼の鬼と化し、その堅い拳で分厚い羽毛を殴りつけた。
 ミスティアンは胸部の銃口を開くとエネルギー光線を発射し、エメラルドは最後方から、
『彼の者は来たれり! 見よ! 空を穿ち、大地を揺るがし、海を割りて、今ここに凱旋するべく奮い立つ! 我らが英雄の不敗たるを称えよ!』
 英雄凱旋歌を高らかに歌い上げ、仲間たちを鼓舞している。
 その歌に背中を押され、
「戦ってる方が深く考えなくて済むわね」
 水着で戦う恥ずかしさを一旦忘れることにしたレーアは、バトルガントレットに宿した炎を敵の羽毛の上で遠隔発火させた。
「とおっ!」
 妖精の靴で天空高く飛び上がったのは永代。虹を纏った急降下からの跳び蹴りで、序盤から敵を自分に引きつけようとしているのだ。
「混浴のために、全力でがんばっちゃうもんね!」
 すると、殴られっぱなしだったビルシャナが、力任せに永代を振り払い、
『さては、お前らも混浴する気満々だな!? 最初っから水着のヤツもいるし……許さんぞ!』
 怒りを発散するかのように、嘴を開いて氷の輪を発射した。
「しまった……っ!」
 敵の足下に叩き落とされていた永代は冷気につかまり氷漬けになってしまったが、
「そりゃ!」
 レオンハルトは踏み込みかけていた朱美を庇い、
「ありがとう!」
 朱美は降り注ぐ氷輪をかいくぐるようにして、
「さぁ、我が人機一体の妙技、ご覧あれ!!――てええいっ!」
 気合い一発、敵の急所を狙って鋭い蹴りを入れた。
『うおっととっ』
 間一髪ビルシャナが翼で庇ったので、狙い通りというわけにはいかなかったが、体勢を崩させるには充分で……よろめいた先には、カノンの呪われた刃が待ち受けていた。
『ぐおっ』
 禍々しい刃が鳥モモを深くえぐり、そこにすかさず紫緒が簒奪者の鎌・八咫烏を回転させながら投げつける。
「ひとりで頑張り過ぎて倒れたら文字通り本末転倒じゃぞ!」
 レオンハルトは張り切る愛犬に注意喚起しつつ、治癒を阻害するウイルスカプセルを敵の大きな嘴に放り込み、朱美はドラゴン・テイルで魂を奪う一撃を見舞う。
 先ほど敵の魔法で凍り付いていた永代は、エメラルドが前衛に施した素早いヒールで立ち直り、
「ありがとうっ!」
 ついでに役得とばかりにぎゅっと彼女の手を握ってから、妖精の靴で走り出し、星形のオ-ラを蹴り込んだ。
『ぎゃっ』
 切り裂かれた羽毛が激しく舞い上がったが、ビルシャナは、
『混浴を殲滅するまでは、やられるわけにはいかぬのだ!』
 大技を狙って突っ込んできていたレーアに、孔雀の姿をした炎を迸らせた。
「……くっ!」
 押し戻されるほどの勢いの炎に、レーアは火だるまになったが、ミスティアンは仲間のピンチに、
「実戦はゲームとは違う……リセットできないんだよ……!」
 仲間を失うことを恐れる気持ちを奮い立たせ、氷結の螺旋を放って炎の孔雀を止め、エメラルドが即座にレーアの救援に走る。
 手当されながら、レーアは。
「……ぼっちなだけあって、その分単体攻撃は強力なようだな。うまく連携をとっていかなければ」
 そうだな、とエメラルドも頷き、戦線を絶対崩すまいと改めて気合いを入れる。
 確かにビルシャナの攻撃の威力は、その侘びしいポリシーの割には、強力であった。
 しかし手数と連携で圧倒的に勝るケルベロスたちは、数分のうちにビルシャナを追いつめ……。
『むにゃらもにょもにょ……きえーーーっ』
 半ばやけくそのように、ビルシャナは意味不明な経文に続いて奇声を上げ、催眠魔法を前衛に向けて放った。
 だが、その動きはケルベロスたちに読まれていて。
「勝利は近い、ここは気合いで護るんじゃ!」
「おうよ!」
 レオンハルトと永代は、クラッシャーの前に仁王立ちして防御壁となった。
 レオンハルトはついでとばかりに、
「たまにはちゃんと働かんかい……ゴロ太スマッシュ!」
 ゴロ太を敵向けて投げつけた。
 キャウーン……。
 それでもゴロ太は、けなげに口にくわえた剣で切りかかろうとしたが、
『犬コロなんかにやられるかいっ!』
 ビルシャナの翼ではたき落とされてしまった。
 だが、この隙を逃すケルベロスたちではない。
「お嬢さん方、怪我はないかの?」
 催眠魔法にふらふらしつつも愛想良く微笑むレオンハルトをスルーして、今度こそ、とばかりにレーアが、
「う、あ、ああーっ! 滅ぼしてやる、終わりを……くれてやる!」
 獣の敏捷さで敵の懐に入り込み、獣化した両腕の爪で斬撃を見舞った。
 その一撃で胸に大きく開いた爪跡を、朱美の渾身の回し蹴りと、
「星よ、切り裂け! スターショット!」
 ミスティアンが投げた、五芒星型の大きな光の手裏剣が抉る。勝負処と見て、ここまで回復に専念してきたエメラルドも稲妻を帯びた槍を電光石火の速さで突き入れると、
『ぐおぉ……』
 胸肉を露出させながら、とうとうビルシャナは膝をついた。
 今こそ引導を渡す時……と、同旅団員のカノンと紫緒は視線を一瞬絡み合わせ、同時に秘めた力を解放した。
「夢に還りなさい」
「今の私はいつかの『私』。愛と死を紡ぐ『狂気の翼』」
 強引に同調させた時空のズレがデウスエクスの全身を歪ませ、黒き魔が凄まじい斬撃を放って……。
 それでも。
『こっ……こんよくは……ゆるさん……』
 最後まで見苦しいポリシーを主張したまま、羽毛となったビルシャナは初秋の風に舞い散らされ、消えていったのであった。


 さあ、お待ちかねの温泉である。
「さて、ドンドン掘って、しっかり入ろう!」
「土木作業は流れが大事だな」
 朱美が怪力無双で大まかに掘った穴を、皆でせっせと整える。紫緒は大事な武器の八咫烏をツルハシよろしく地面に突き立てている。
 ついでに大学生の風呂や、荒れた河原もヒールしてやったが、さすがケルベロス、あっという間に立派な露天風呂ができあがった。
 とはいえ全員一度に入るのは無理なので、大学生を真似てペアを組んでみることにした。
 くじびき……という話だったのだが、
「女子とペアでないとやだやだやだー!」
 と河原に体を投げ出してじたばたする大人げないじーさんが出現したので、少々手心を加えて組分けをした。

 というわけで、まずはわがままじーさんとレーアの組からである。
「老人には効くわい。目の保養にもなるしのう。うほっ」
 レオンハルトは若い女性との混浴に大喜びである。
「あまりジロジロ見るのはどうかと思う」
 レーアは照れ隠しに視線に背を向けた。
「そんな、つれないのう……おほっ、ちょっと顔が赤いようじゃぞ?」
「それは……っ。ちょっと湯に当てられたかな……」

 ざぱっ、と元気な湯のしぶきが上がった。
「わーいわーい温泉だー!」
 次はミスティアンと朱美の番だ。
「おー、朱美さん素敵な水着ねえ」
「どうです、中々のものでしょう」
 と、朱美は堂々と蝶の柄が入った赤いバンドゥビキニを見せつける。
「スタイルいいから、すごく似合ってるよ!」
「そういうミスティアンさんも、素敵なスタイルだわ」
 女同士の温泉も気楽でイイ。

「んー、戦闘の疲れが抜け落ちていきますねぇ」
 お次はカノンと紫緒の仲良し旅団コンビである。
「馴染みの人と、一緒に温泉って、くつろげていいですねえ」
「全くですねえ……」
 と、うっとりくつろぐカノンの横顔を眺めているうちに、紫緒にむらむらといたずら心が。
 バシャー!
「きゃっ、何するんですか紫緒さん……やりかえしちゃいますっ」
 バシャー!
「きゃ~♪」
 正にキャッキャウフフである。

「おんにゃのこの水着をガン見するぞー!」
 そして不埒な目的を隠そうともしない永代の番になった。
「まぁ、頑張ってくれていたし、見る位なら問題あるまい……」
 一緒に入る羽目になったエメラルドは、ガン見されて恥ずかしそうにしつつも、一緒に避難誘導をした仲だし……と、懐深く構えている。
「そっすよ、水着は濡れているもの、それを見ても何もおかしくはない!! お湯に濡れて火照った肌は色気あるよねん、ナイス温泉!」
 遠慮のない視線がエメラルドの上半身をなめ回す。
「……だが真正面から、というのは流石に気になるな」
 エメラルドは永代の隣に移動、肩を並べる位置についた。
「うむ、これで問題あるまい」
 そう言って、ドヤ顔で再び腰を落ち着けようとした時、肩と肩が一瞬触れあって……。
「うひょっ」
 一瞬のすべっとした肌の感触に、スケベ心が更にムラッと燃え上がってしまい。
「む、胸の谷間っ、温かそうっ」
 あろうことか、エメラルドの胸の谷間に手を突っ込もうと!
「そ……それは流石にっ!」
 ドバシャアッ!
「ぐぼっ……!」
 永代は、スケベ心もろとも湯の底へと沈められたのであった。

作者:小鳥遊ちどり 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年9月10日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 4
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