海底基地攻撃作戦~水深2500mの攻防

作者:質種剰

●深海の異変
 駿河湾の海底。
 陽の光など到底届かぬ筈の暗い深海において、微かな光の漏れ出ている場所があった。
 海底洞窟である。
 だが、鍾乳洞のような神秘性はその洞窟から感じられない。
 人工物特有の無機質な冴えた光が、淡い筋を四方へ放っていた。
 どうやら内部で機械工場が稼働しているらしく、光のみならず騒音までもが深海の静謐を脅かしている。
 ふと、海底洞窟の中から水色の髪の少女が泳ぎ出てきた。
 黒いスリップドレスを着た姿は一見生身の人間に見えるものの、周囲に引き連れたミサイルや魚雷が異様である。
 そう、彼女こそがD級潜水艦型ダモクレスα。
 青い鮫の形をしたディープディープブルーファング数体を随伴させ、統率の取れた動きでどこかへ向かっていく。
 海底を悠々と泳いでいた深海魚達は、自分より巨大な人影や魚影に恐れをなして、蜘蛛の子を散らすように逃げ果せたのだった。

「最近発生し始めた、鮫型のダモクレスを利用した死神事件『ディープディーブブルーファング事件』に関して、新たな事実が判明いたしました」
 小檻・かけら(麺ヘリオライダー・en0031)が説明を始める。
「チーディ・ロックビル(天上天下唯我独走・e01385)殿が、多くの賛同者さん方と共に海底へ調査に向かわれ、死神とダモクレスが協力する秘密基地の存在を突き止めてくださったのであります」
 秘密基地の場所は、フェルディス・プローレット(すっとこどっこいシスター・e39720)の予測通り、駿河湾海底だったという。
「この秘密基地は、ディープディープブルーファングの量産が行われていまして、ダモクレスの作戦基地の一つであると考えられます」
 皆さんには、この海底基地の破壊をお願いしたいであります——頭を下げるかけら。
「さて、此度の戦場は駿河湾の海底となります」
 深海での戦闘だが、ケルベロスにとっては何の支障も無い。
「研究所を真下に臨める海上までは、もちろんヘリオンでお送りいたしますね」
 また、海底で不自由しないように、アクアラングや照明などの装備を用意しておくという。
「装備が無くても問題ありませんが、やはりあると快適でありますから、特に理由が無ければ装備なさってくださいましね」
 海底基地は深海の海底洞窟の内部にあり、至近距離まで近づくと、D級潜水艦型ダモクレスαやディープディープブルーファングが迎撃に出てくる。
 迎撃に来るディープディープブルーファングは死神の因子を植え付けられておらず、戦闘能力は低いが、数が多いので注意が必要だろう。
「迎撃に出てきたD級潜水艦型ダモクレスαの過半数を撃破すれば、基地が自爆いたしますので、作戦は成功となります」
 基地の自爆後は、敵が軒並み戦闘意欲を失うので安全に撤退できるが、そのまま殲滅しても構わないらしい。
「潜水艦型ダモクレスは、対地ミサイルと魚雷で攻撃してくるであります」
 対地ミサイルは、射程の長さと頑健性に優れて複数人へ威圧感を齎す破壊グラビティ。
 自動追尾魚雷は、敵1人をどこまでも追いかける理力重視型で、ダメージのみならず強い痺れを齎す魔法グラビティだ。
「ディープディープブルーファングは全長5mで、『メカ触手』と『サメ魚雷』を用いて攻撃してくるであります」
 メカ触手は敵複数人の捕縛を目的として、敏捷に長けた斬撃グラビティである。射程も長く、どこまでも伸びていく赤茶の触手は色んな意味で脅威だ。
 サメ魚雷は理力に秀でた魔法グラビティで、遠くの敵1人を負傷させるだけでなく大火傷まで負わせる。
「ディープディープブルーファングは、ダモクレスがこの工場で量産して死神へ引き渡していたのでありましょうね」
 かけらはそう言って説明を締め括り、皆を激励した。
「とはいえ、既に引き渡しされた個体もありますし、すぐに事件が終結とまではいかなくても、この作戦が成功すれば死神によるディープディープブルー事件の解決に大きく近づくであります。御武運を!」


参加者
久我・航(誓剣の紋章剣士・e00163)
不知火・梓(酔虎・e00528)
ペテス・アイティオ(誰も知らないブルーエンジェル・e01194)
燈家・陽葉(光響射て・e02459)
愛柳・ミライ(宇宙救済係・e02784)
円城・キアリ(傷だらけの仔猫・e09214)
ソフィア・フィアリス(傲慢なる紅き翼・e16957)
フェルディス・プローレット(すっとこどっこいシスター・e39720)

■リプレイ


 駿河湾。
「メカ鮫はダモクレスだが、たくらみ自体は死神か」
 不知火・梓(酔虎・e00528)は、煙草代わりに長楊枝を咥えて呟くと、ヘリオンに用意されていたウエイトを腰に着け浸水していく。
「やっと一つ、死神のたくらみを潰せるかも知んねぇなぁ。そぅ思うと、気が逸っていけねぇなぁ」
 普段は少々間延びした話し方をするおっさんだが、絶賛禁煙中で酒の量も減らし、休肝日も守っているだけに秘めた意志は強い。
「ただ沈んでくだけってのは入水みたいでぞっとしねぇが、敵の大まかな位置が判ってる分、気は楽かね」
 少しでも体力温存しようと錘の重さに任せていた梓だが、いよいよ視界が真っ暗になってくると、深海の底を目指してゆっくり泳ぎ始めた。
「よし、多めに照明も貰ったし、後は潜るだけだね」
 水中でディープディープブルーファングらを誘き寄せる為、防水加工された照明をたんまりぶら提げているのは、燈家・陽葉(光響射て・e02459)。
「電飾を身体へ巻きつける程では無いにしても、大荷物の潜行は大変だなぁ」
 水中呼吸の準備も万端な彼女は、鼻まで覆ったマスクでクスリと笑いを洩らすや、足に嵌めたフィンを懸命に動かして下へ下へ進んだ。
「本物の魚なら匂いで誘き寄せることも……ダモクレスにも、レプリカントの人達みたいに嗅覚があるならイケますかね?」
 ペテス・アイティオ(誰も知らないブルーエンジェル・e01194)はそんな風に自問自答しつつ、持参した水中用スピーカーと共に海へ入る。
(「とりあえずは、せっかくなので大音量で音楽を流して、サメ達を誘き出したいですね!」)
 ペテスの意気込みは、その服装からも見て取れた。
 トゲトゲの殻つき海栗を模した潜水服に身を包み、楽しそうにゴポゴポと沈んでいくのだ。
「行きましょう、ポンちゃん! 今日は忘れて置いてったりしませんから、ね☆」
 ボクスドラゴンのポンちゃんと仲良く手を繋いで、とぽーん、と元気に飛び込むのは、愛柳・ミライ(宇宙救済係・e02784)。
(「そのままでは自分の手すら見えない、深海を照らす星となろう」)
 例え照明を山ほど背負い、顔はスキューバ用フルフェイスマスク、腰には錘を提げ、海底についたら重武装になるつもり満々でも、やはりミライの胸中は変わらず詩的であった。
 一方。
「深海での戦闘なんて、50年前でも数えるくらいしかしたことないわね」
 ソフィア・フィアリス(傲慢なる紅き翼・e16957)は、ミミックのヒガシバの足を掴み、いつもながらやる気のない様子で海に浸かった。
(「そーいえば、水中呼吸って水中の会話とか大丈夫かしら?」)
 海中で果たしてどれだけ意思疎通できるのか、と口を開くソフィアだが。
 ——ごぽごぽごぽごぽ。
 ただ自分が苦しくないだけで、自分の声はそれこそミュージックファイターやパラディオンがグラビティを込めた歌声でも無ければ、空気の音で聞き取りづらそうだと思い知った。
 だが、たとえ会話が困難でも、元より作戦を練りに練っていた8人である。戦闘中の意思の疎通に関しては何ら問題ないだろう。
 他方。
「つい半年ちょい前に外宇宙行ったと思ったら、今度は深海だもんなぁ」
 久我・航(誓剣の紋章剣士・e00163)が感慨深そうに溜め息をつくのも尤もで、彼は以前ラクシュミの導きによって惑星プラブータへ赴いた事がある。
 短く整えた黒髪と理知的な光を湛えた赤い瞳がクールな雰囲気の、現役高校生刀剣士だ。
「次は異世界か、はたまた異次元か……なーんて、流石にそんなとこまでは行かないか。さ、集中集中」
 ついつい想像を逞しくする航だが、基本的には真面目なのもあってすぐに気持ちを切り替え、暗く遠い海の底目指してぐんぐん水を掻いた。
「いよいよね。うまく多くのメカ鮫を引きつけられるといいのだけど」
 円城・キアリ(傷だらけの仔猫・e09214)は、まんまるな眼で遠い海の底を見据えながら、照明が簡単に外れないよう腰へ括りつけていた。
 漆黒の髪と円らな金の瞳が印象的な黒猫のウェアライダーの女性。
(「水深2500mの海底……こんな時でなければ探索してみたいけど。……メガロドン、居ないかしら?」)
 動物変身の余地を残した為に仲間と違って水中呼吸のできないキアリは、少しでも息が楽になるようアクアラングを最大限活用して、すいすいと猫掻きで泳いでいく。
 しっかりフルフェイスマスクを着けて貰ったオルトロスのアロンも、犬掻きで主の後に続いた。
 さて。
「まさか本当に駿河湾にあるとは……このフェルディスの目をもってしても……見つけちゃったわけですけど」
 信じられない面持ちでいるのは、『死神の研究施設が駿河湾海底にある気がする』と見事言い当てたフェルディス・プローレット(すっとこどっこいシスター・e39720)。
 いざ戦闘ともなれば、内に秘めた冷静さや真剣味を活かしてデウスエクスへ銃を向けるが、普段は愛嬌溢れるおふざけシスター。
「どうせ緑は脇役でも、ボクだって海底工場を見つけた1人ですからねっ、それに恥じない働きをしてみせようじゃないか!」
 フェルディスはいささか不貞腐れた様子で、海の底へと静かに沈んでいく。


 海底洞窟から漏れる硬質な光が、うっすらと視認できるようになった頃。
(「そろそろですかね」)
 ペテスは満を持して水中用スピーカーのスイッチを入れる。
 流れ出たのは大音量のヘリオライト。当然ながらただの録音音源である為、グラビティによる威力は乗らない。
 それでもディープディープブルーファング達にしてみれば充分な騒音だったらしく、入り口からスッと現れた1体が、こちらを見上げた。
(「正直、もうまともに動ける気圧じゃないのですがKIAIで!」)
 ミライも合わせて自らヘリオライトの演奏を試みる。流石にスピーカーには負けるものの、音が重なって深みを増した。
(「ポンちゃんだって頑張……ああっ! 完全に潰れてるのです!」)
 ちなみに水圧で封印箱が潰れているように見えるが、中身は無事。
「あおー……ごぽごぽごぽ」
 海の底でミライが吼える傍ら、いつも通り冷静かつ穏やかに照明を点けるのは陽葉。
「確か、こういうのをコマセって言うんだっけ」
 まるで本物のコマセのように景気良く照明を——浮上していかないよう適度な錘をつけて——ばら撒けば、夜空を蛍の飛び交う如く幻想的な光景となった。
「綺麗なコマセだこと。それじゃおばちゃんも」
 ソフィアはシャイニングレイをぶっ放し、流れ星のような光の帯を深海に炸裂させる。
 周囲に響き渡るヘリオライトと相俟って、海を漂う光球や刹那に煌めく光芒の饗宴は、戦闘を控えたケルベロスらをも楽しませた。
「今こそどっかで見たようなバスターとかあればなぁ。当てる目的じゃないなら狙わなくていいし、超目立つし」
 音楽に合わせて自分の照明をぶんぶん振りながら、航は思う。
「ま、無いものねだりしてもしゃーなし、俺は自分の出来る事をするだけか」)
 オタ芸とかやった事ないから分からんし……っていうかふざけてる場合じゃないしなぁ。
 航が苦笑いする間にも、ディープディープブルーファングの何体かが、こちらの作戦通りに突撃する勢いで近寄ってきた。
 奴らの殿にはD級潜水艦型ダモクレスαの姿もある。
「にしても水中呼吸、こいつぁ有難ぇ。剣術にとって、呼吸は大事だかんなぁ」
 鼻まで覆ったマスクで器用に長楊枝を吐き捨て、戦闘へ気持ちを移行するのは梓。
「後は、俺らがどれだけやれるかっつーとこだなぁ」
 正眼の構えを取ったままひたすら精神を集中させて、
 ——ボンッ!
 ディープディープブルーファングが射程圏内まで寄ってきたのを見計らい、指一本触れずに腹部を爆破した。
「響け、大地の音色」
 陽葉は阿具仁弓に矢を番える事なく弦を鳴らす。
 所謂『鳴弦』の音波が海底より砂塵を激しく噴き上げ、思わず動きが止まるぐらいにブルーファングを戸惑わせた。
「あらら、大漁ね。潰し甲斐があるとはいえ、面倒ね~」
 遠隔操作型縛霊手『イノセント・プレイ』から紙兵を振り撒いて、ソフィアが笑う。
 雪のようにふわふわと降り注ぐ紙兵が、前衛陣の異常耐性を一気に高めた。
 ヒガシバも主の意思に忠実に、ブルーファングの背中にガブリと噛みついている。
「キシャァアアア!」
 ディープディープブルーファングは、メカ触手を四方八方へ伸ばして、梓や航、ペテス、ヒガシバの身体に絡みつき、ギチギチと胴回りを締め上げてきた。
 また、別の個体はサメ魚雷を口からこれでもかと吐き出し、ソフィアを庇ったヒガシバに火傷を負わせた。
 8人と交戦しているブルーファングは全部で5体。陽葉やキアリ、ミライといった後衛陣にも次々サメ魚雷が迫った。
 D級潜水艦型ダモクレスαもまた、対地ミサイルをソフィアとフェルディスに向けて容赦なく撃ち込んでくる。
(「神にネクタルあろうとも、地には人の叡智たるウーロンがあるです!」)
 ペテスは大地の精髄ウーロンをグラビティで霧状に変え、前衛陣へ向けて散布する。
 グラビティのお陰で水中でも損なわれぬお茶の香りは、前衛陣の遺伝子に刻まれた原初の脈動を呼び起こし、彼らの傷を塞いだ。
(「真空の宇宙(そら)にだって歌を届けるつもりなのに、深海ぐらいで歌うのをやめるわけにはいかないのです!」)
 水中呼吸のない苦しさや喉を塞ぐ海水にも負けず、Angel voiceによって歌声を拡大させるのはミライ。
(「………届いて、海の果てまで」)
 失われた愛しい想いを懸命に歌い上げて、中衛陣の体力を回復させた。
 ポンちゃんは彩り鮮やかな花吹雪を口から吐きつけて、ブルーファングの動きをますます鈍らせていた。
(「こんな風に触手が生えた鮫を、パニックホラー映画で見たことがあるわ……」)
 てらてらと赤茶色い触手に怖気をふるって、キアリは思わずそれらを蹴りそうになりながらも、
(「勢いを付け、スピードを乗せ、破壊力を補助する感じで……うんっ」)
 しっかとブルーファングの尾ビレの根元から少し離れたところへ狙いを定め、見事に金的蹴りを決めてみせた。
 途端にメカ鮫は腹を天に向けて、スーッと遥か海面目指し浮上していく。急所を潰された故のショック死とでも言えば良いものか。
 アロンもキアリのお手柄へ無邪気に喜んで、地獄の瘴気を別個体へ噴射している。
「……流石に黄色いのはいないな、うん」
 黄鮫師団員のサガか、航はディープディープブルーファングの群れへざっと視線を走らせて何やら確認してから。
「敵を引き付ける役じゃ大して役に立たなかったし、せめて火力で貢献しないとな!」
 空の霊力帯びた日本刀を振り下ろして、ブルーファングの切り傷を正確に斬り広げた。
「戦況確認……慌てずにいきましょう」
 自らに言い聞かせるかのように口の中で呟くのはフェルディス。
 縛霊手の祭壇から紙兵をふわふわと振り撒いて、後衛陣の異常耐性を大幅に高めた。


 8人は、より多くのディープディープブルーファングを引きつけるつもりで、元より長期戦に備えた戦術を組み立てていた。
 回復や補助に重きを置いた戦い方は派手さに欠けるも、そこは最初の水中ライブパフォーマンスが功を奏して、決して他班にも引けを取らぬ数と対峙している。
「斬り結ぶ 太刀の下こそ 地獄なれ 踏み込みゆかば 後は極楽、ってなぁ」
 まして、梓などは、ブルーファングや潜水艦型ダモクレスに魚雷を撃たれれば撃たれるほど、目に見えてテンションが上がっていった。
「敵が弱みを見せたなら、一気に喰い破る。それがクラッシャーってぇもんだろ」
 今も不規則を極めた歩法でブルーファングの虚を突き、意識が空白になる瞬間を狙い澄まして、バッサリと斬り捨てた。
 光の軌跡を視認したのが最後、事切れてぷかぁと浮かび上がっていくブルーファング。
「潜水艦型ダモクレスって言ってるけどさ……どこが潜水艦型なのか分からないよね、っていうツッコミは、野暮なのかな」
 陽葉は、潜水艦型ダモクレスの豊満な水着姿を不思議そうに見つつ、奴の頭上へと浮上。
 白翼の靴を穿き、流星の煌めきと重力宿した足先で、強烈な蹴りをお見舞いした。
 戦いは続く。
「ふふん、ふんふふふんふ、ふふんふ〜ふ〜♪」
 スピーカーから流れっ放しのヘリオライトの鼻歌のつもりが、どこか調子っ外れに響くのはペテス。
 トゲの先端から眩く輝く『ドラゴンの幻影』を照射して、3体目のブルーファングをこんがり通り越して真っ黒焦げに焼き捨てた。
「どんなに願っても 涙は枯れはしない ゼロを1に変える魔法が 生まれたときから君に掛かってる」
 ミライは、願望こそが人類の原動力である証だと声高らかに歌い上げて、ディフェンダーとして自然に他の仲間よりダメージが蓄積しているペテスを癒した。
 ぺしゃんこの封印箱に篭って、ブルーファングへ体当たりをぶちかますのはポンちゃんだ。
「バラまくのが効率悪いなら、絞っておけばいいわね」
 光条を収束した聖なる光——ジャッジメントレイを翼から放つソフィア。
「さあ、あなた達の罪を数えなさい。こんな悪巧みしてる時点で確定よん」
 シャイニングレイ同様、潜水艦型ダモクレスの『罪』へ直接攻撃し、四肢の挙動へ悪影響を齎した。
 ヒガシバは偽の財宝をキラキラと口から垂れ流し、ブルーファングの意識を我欲に惑わせている。
(「……潜水艦なら、提督指定のスク水で登場してほしかったわ」)
 潜水艦型ダモクレスのワンピース水着を眺めて、ぽつりと洩らすキアリ。
 数だけで大して強くないファングを前に、キアリは『同じメディックで攻撃不可な仲間へ過剰な回復を一任するしかなく』、不本意でも指揮官撃破の為金的蹴りで立ち回らざるを得ない。
 戦闘開始から数えて8分。
「ま、デウスエクス相手ともなれば、遠慮会釈なくプッツンしちゃうゼェー! てなモンですよね」
 フェルディスはアリアデバイスによってプロ級の歌声を増幅。
 卓越した歌唱力でD級潜水艦型ダモクレスαに背筋も凍る恐怖を植えつけるや、ついにそのまま息の根を止める事ができた。
 その時、大きな爆発音が耳を打って、8人は海底工場が自爆した事を悟る。
「さーて、ここからは殲滅戦か」
 航はさっぱりした顔で呟き、日本刀を構え直した。
「貫け! 流星牙!」
 そして、エンブレムミーティアからヒントを得たという、紋章の力を借りた神速の突きを、逃げるブルーファングへ全力で浴びせた。
 4体目が絶命してから数分と経たずに、ケルベロス達は逃げおおせんとした5体目へも追いついて、陽葉が矢の速射でトドメを刺した。
「やー、みんな強いわねー。おばちゃん楽できて嬉しいわぁ」
 ソフィアが軽口を叩く傍ら、さてどうやって浮上しようかと海栗服のペテスはもにもにとトゲを動かしもがいていた。

作者:質種剰 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年9月11日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 1
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