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地獄の釜の底――昏い深海は、人々にそんな印象を抱かせる。
そんな駿河湾の海底では、当然ながら人は生きてはいけない。呼吸ができないからだ。その事実は、人間達に本能的な恐怖を与えるに十分な闇を内包していた。
おまけに、そこかしこには、奇形と呼んで差し支えない目の退化した、エイリアンにも似た深海魚達が、我が物顔で泳いでいる。
だが……ふと、そんな闇の中に、一条の光が射した。目を凝らせば、気泡がブクブクと海上目掛けて浮かんでいくのを確認できる。さらに、ブーンという機械の重低音が海水を震わせていた。
「行くよ! 着いて来な!」
そのすべての先――海底洞窟から、物騒なミサイルを構えた人相の悪い女が姿を現す。明らかに人間とはかけ離れたその女は、数体のディープディープブルーファングを引き連れていた。出撃と同時に、女とディープディープブルーファングが海水を切り裂くように発進すると……。
我が物顔で悠々と泳いでいた然しもの深海魚たちも、女達に道を開けざるをえないのであった。
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「最近発生している鮫型のダモクレスを利用した死神事件『ディープディーブブルーファング事件』の存在は、皆さんもご存じの事と思います。しかしその件で、つい先日、進展がありました。主だって動いてくれたのは、チーディ・ロックビル(天上天下唯我独走・e01385)さんです」
山栄・桔梗(シャドウエルフのヘリオライダー・en0233)が、チーターのウェアライダーであるチーディを紹介すると、ケルベロスの間から拍手が上がった。
「チーディさんは、多くの賛同者と共に調査を行っていました。海底の調査を進めた結果、そこで死神とダモクレスが協力関係を結ぶ秘密基地のような場所の存在を突き止めてくれたのです」
秘密基地は、元々フェルディス・プローレット(すっとこどっこいシスター・e39720)が予測していた通りの場所にあった。それこそが、駿河湾海底だ。
「秘密基地では、どうもディープディープブルーファングの量産が行われているようですね。ダモクレスが有する作戦基地……その一つとみて間違いないと思われます」
当然、見過ごす訳には行かない。
「ここまで言えば、聡い皆さんならば承知の事と思いますが、海底基地の破壊に力を貸して下さい!」
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経緯を説明し終えた所で、早速作戦の詳細について話題が移る。
「戦場は、もちろん駿河湾の海底付近という事になります。海底と言っても、ケルベロスの皆さんならば、問題なく戦闘は行えるはずです」
呼吸が出来ない事に加え、強烈な水圧に関しても、ケルベロスは堪えられる。ただし、堪えられるからといって、苦しくないという訳ではないのが、少々厄介な所ではあるのだが……。
「研究所直上の海上まで、このまま皆さんをヘリオンで輸送します。その後は、ダイビングで海底を目指して下さい。また、海底で不自由しないように、アクアラングや照明などの装備で必要なものがあれば、各自ご準備をお願いします」
前述した通りに、素のままでも問題は無いが、あれば快適ではある。自他共に認めるようなドMでないのなら、何かしら装備しておいても邪魔にはならないだろう。
「海底付近には、海底洞窟が存在し、その内部に海底基地を死神とダモクレスは構えています。至近距離まで接近すれば、女性――潜水艦型ダモクレスが、ディープディープブルーファングを率いて迎撃に出てくると想定されます」
ディープディープブルーファングについては、どうも死神の因子は植え付けられていないようだ。戦闘能力は、恐らく低いだろう。ただし、数は複数体が予想されるので、油断はできない。
「迎撃に出てきた潜水艦型ダモクレスの内、過半数を撃破できた時点で、基地は自爆します。今作戦も、それをもって成功となります。基地爆破後は、その時点で生き残っているダモクレス達も戦意を喪失すると思われるので、安全に撤退できますし、余力があるなら殲滅してしまっても構いません」
説明を終えた桔梗が、ヘリオンから地上に視線を這わせる。
どこまでも青い海が広がっていた。
「『ディープディーブブルーファング事件』は、この工場で量産されたものが、死神の手に渡った結果起こったものだと思われます。どれだけの個体が渡ったかは不明のため、すぐに事件が終息するかは断言できません。ですが、この工場を自爆に導くことで、これ以上の事件の拡大はなくなるはずです。皆さん、どうかよろしくお願いします!」
参加者 | |
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リリィエル・クロノワール(夜纏う宝刃・e00028) |
写譜麗春・在宅聖生救世主(誰が為に麗春の花は歌を唄う・e00309) |
チーディ・ロックビル(天上天下唯我独走・e01385) |
シェイ・ルゥ(虚空を彷徨う拳・e01447) |
七種・徹也(玉鋼・e09487) |
ソル・ログナー(陽光煌星・e14612) |
リュリュ・リュリュ(仮初の騎士・e24445) |
プラン・クラリス(愛玩の紫水晶・e28432) |
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水深2500mの世界へと、ケルベロス達はひたすら下っていく。
(「昏い、な」)
深遠なる闇をソル・ログナー(陽光煌星・e14612)はLEDランプで照らした。
「めったに出来ない珍しい体験なのに、楽しむ余裕がないのが残念だわ」
地の利は敵にある。警戒しておいて損はないだろうと、酸素ボンベから気泡を上げるリュリュ・リュリュ(仮初の騎士・e24445)は考え、何の気なしに呟いた。
「仕事より、遊びで来たかったね」
そんなリュリュの呟きは水中用無線機に拾われていたのか、プラン・クラリス(愛玩の紫水晶・e28432)が反応を返す。
(「それに、惜しいやつを亡くしたしな……余計楽しむ気分には……うごっ……っ……ん!」)
拝むように手を合わせるのは、七種・徹也(玉鋼・e09487)。口からブクブクと泡を吐き出し、呼吸困難に陥りながらも、身振り手振りで言いたい事を伝えようとする徹也に、皆が苦笑する。
「その合掌は俺に向けたもんじゃねぇだろうな、徹也!? てか、てめぇの方が死にそうじゃねぇか!」
――と、こういった事には嗅覚の鋭いチーディ・ロックビル(天上天下唯我独走・e01385)が意図に気付かぬはずもなく、されど激昂だけでなく、心配混じりの声を上げた。
「写譜麗春もなんか眠たそうだし、個性的な人ばかり集まりすぎだね」
白く輝く長髪を水中に漂わせ、オレンジ色の極めて際どい水着の食い込みを直すプランは、リリィエル・クロノワール(夜纏う宝刃・e00028)、写譜麗春・在宅聖生救世主(誰が為に麗春の花は歌を唄う・e00309)と共に色気を拡散――ソルは露骨に目を逸らしている――しながら、指先である一点を示していた。
(「なんかここ落ち着くー! というわけで、ここを私の拠点とする! 見せてあげるんだよ、ガルド流拠点防衛術ー!!」)
そこでは、深海全域を勝手に自宅認定してしまった在宅聖生救世主が、寛ぐような仕草を見せ、深海魚をチラチラと眺めていた。
「それにしても……偶然って怖いわぁ……」
だがやはり、初体験の海底という未知さえも、チーディがもたらした衝撃には叶わないだろう。それが、リリィエルの呟きに集約されていた。
「てめぇまで蒸し返してんじゃねぇぞ、アァ?!」
ドラム缶コンクリ詰めという衝撃の姿を晒してから、少し経っているとはいえ、未だその光景は多くのケルベロスの脳裏に焼き付いてる。
(「そう凄まれても、あんなイカした水着でバカンスを満喫している猫君を見た後ではね」)
「やんのかァ、シェイ!? テメェを餌にしてブルーファング共を誘き寄せても良いんだぜ!?」
(「やめておくよ、私は動物愛護の精神に溢れているのでね」)
瞬時に沸点に達するチーディを、シェイ・ルゥ(虚空を彷徨う拳・e01447)は飄々と受け流す。無線やゴーグルを用意していないが、呼吸に問題がない分だけ、意思の疎通は取りやすい。が、ゴボゴボとほとんど聞き取れないため、各自翻訳しなければならず、付き合いが深くなければニュアンス程度しか理解できないが。
その時――。
「お喋りもそこまでよ、来たわ!」
リュリュが、海底洞窟入り口から迎撃に赴く潜水艦型ダモクレスと、彼女が率いるディープディープブルーファングを目視する。
「兎に角派手に、しかし無事にかっ飛ばしましょーや!」
だが、そう言うソル達の目的を果たすためには、ここからが勝負でもある。
「戦場で目立つなんて、私にもってこいの舞台じゃない」
「ええ、推して参るわ」
リリィエルとリュリュが、水を蹴る。ケルベロスの人並み外れた能力により、爆発的な推進力が生まれた。
リリィエルはライトを幾度もチカチカと点滅させると、意識を向けたブルーファングへと魔力の籠められた視線を投げるのであった。
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海底洞窟からは、続々と潜水艦型ダモクレスと、率いるブルーファングが飛び出してくる。
プランとシェイが、ライトで暗闇を絶えず照らし出した。
チーディの轟々と燃え盛る両脚も、目立つという観点に立てば、ライトに劣らない。
「そこかぁー!」
そのライトや炎の光に、真っ先に反応したのは、潜水艦型ダモクレスであり、複数の雷撃ミサイルが、前衛広範囲を爆撃してくる。
「輝け輝け、尊き日々よ。その煌きが照らすは遍く地平の彼方まで。高き天より聖王と見る夢は、何も傷つかない黄金の三百年」
そのミサイルへの対応と引きつけを兼ね、在宅聖生救世主が、十字架を成した黄金の盾を形成する。
シェイの描いた守護星座も防御に回る。ジャマーのBSを完全に防ぐ事はできないが、シェイに至ってはいきなり耐性が二つも付与されたとあり、上々の滑り出しだ。
「ブルーファングはどれくらい釣れるだろうね。まずは――」
目視できる範囲で、ダモクレスが率いるブルーファングは6体。
それでは足りぬと、プランが絶望の黒光を照射する。が、元々海底はご覧の漆黒、効果は薄いか。
ならばと。
「任せろ、輝いてやる、変身!」
――アルティメットモード!
ソルは輝きと共に黒装甲と黒仮面を纏う。蒸気式魔力鉄槌・業魔粉砕から黒煙と竜砲弾を放てば、ブルーファングがもう一体合流し、合計で7体となった。
(「閉ざせ、地獄の扉!」)
徹也がブルーファングの一斉放火に備え、チーディを中心に、防御を固める。
「見た限り、Df2体に、Crが2体……後はJm1体とSn2体ね。これなら予定通り、ジャマーへ優先的に集中砲火を浴びせられそうよ」
Dfも2体であれば許容範囲だ。リュリュがリリィエルへ、妖刀・小太刀で確保した魂を分け与える。
「そういう事なら問題ねぇな! まとめて一気にブチのめすッ!」
敵が出揃った辺りで、もう頭を使う必要ながくなったチーディが、牙を剥き出しに。海水の抵抗など問答無用とばかりに放たれた電光石火の蹴りが、Jmを庇うDfの装甲の一部を抉った。
「踏んであげる悦んでいいよ」
豊満な胸を海流に揺らしながら、プランの黒い革製のブーツが、狙いを邪魔するDfブルーファングを粉砕する。死神の因子が植え付けられていないからか、酷く脆い。プランとしては、ブルーファングの耐久性よりも、動物並みの知性しか有さないゆえ、蹴った際の反応が鈍いのが不満そうではあったが。
「おらおら休んでる暇はないよ、ブルーファング共! 一気に畳みかけな!」
ダモクレスが、ブルーファングに指示を出す。すると、6体のブルーファングが、一斉に魚雷を発射して、視界を埋め尽くした。
(「壮観だな、メカシャークVSケルベロスとかで映画化できないかな?」)
シェイが肩を竦める。
「東海の龍よ、大樹の加護で朋の身を癒せ」
そして、自分とチーディを除いてキュアを持たない前衛のために、龍のように変化した気で覆ってやると、大樹の加護を与えた。
ダモクレス側は、徹底的に同一カ所への集中攻撃で攻め立ててきている。
「危ねぇな!」
ソルが、魚雷の実に半数以上を回避する。ドラゴニックパワーで海水を掻き分けて接敵すれば、Jmブルーファングに叩き込み、激しく装甲を軋ませた。
また他の前衛陣も、全弾直撃を受ける程にノロマではない。まして、威力も大幅に軽減できている。
「水中だからって私の流麗な剣舞が鈍るとは思わない事ね。繊細に、けれど大胆に……。そこっ!」
リリィエルのステップは、舞うように、踊るように。加え、リュリュの付与した魂が騒ぐ。狙い澄ました突きが、Jmブルーファングのコアを貫き、海の底へと永遠に沈めた。
「チッ、役立たず共がッ!」
なかなか行動に制限がかけられない事に、ダモクレスは苛立ちを露わにする。だが潜水艦型ダモクレス……量産機であろうとも指揮官を任されているだけあり、彼女の戦闘力はブルーファングを凌駕する。
「オラァ!!」
「ちょっ――目が怖くない?! うきゃー!」
発射されたのは、対ケルベロス用誘導魚雷。機を見て耐性を重ねるシェイと在宅聖生救世主が、彼女には余程邪魔に思えたのだろう。チーディとシェイも間に合わず、騒ぐ在宅聖生救世主に魚雷が直撃。さらには即座に再行動して、
「クソが、てめぇ!」
リリィエルを庇うチーディを中心に、広範囲雷撃ミサイルで前衛に【パラライズ】を量産する。
一気呵成な連撃に、ケルベロスは態勢を整えることを余儀なくされる。たたら吹きがスピンで牽制をかけ、徹也が足止めとヒールで交互に仲間を援護する。
「チーディくん、そっちはお願いだよ! 私はさっき自宅で暴漢に襲われちゃったから、手が離せないのー!」
「こんな息苦しい自宅があってたまるかアア!! ああもうめんどくせぇ!! まとめて焼き払ってやんよ!!」
在宅聖生救世主が、自身にオーラを溜める。その時、チーディの怒りが頂点に達し、地獄の火の粉が撒き散らされた。前衛の身を犯す悪性が、多少緩和される。
「チーディと同じ感想を抱くのは癪だけれど、ミサイルだの魚雷だの鬱陶しいわね!」
「どういう意味だコラァ!?」
「もちろん、そのままの意味よ?」
さらに、リュリュも花びらのオーラを散らせた。
だが、耐性と合わせても、ダモクレスが存在する限り、すべてを駆逐するのは至難の業だろう。
加え、ケルベロス達の行動後、Crブルーファングが主体となって、メカ触手がプランと在宅聖生救世主に襲い掛かる。シェイが先程痛撃を受けた在宅聖生救世主に迫る一部の攻撃を請け負った。
「くぅっ……!」
だが、プランは触手によって全身を殴打され、玩具のように弄ばれてしまう。
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潜水艦型ダモクレス及びブルーファングと戦闘開始から、5分が経過しようとしていた。その過程で、残る一体のDfはソルの呪詛を載せた斬撃により、すでに撃破されている。
最早、ダモクレスへの攻撃を阻むものはなく。
「折角綺麗なんだから、怖い顔しないで欲しいな。可愛い顔見せて」
「おっ!?」
さっき貴女の部下にされたお返しよ。プランは怜悧な美貌に嗜虐という名の化粧を纏わせ、ダモクレスの背後を取った。巨乳と呼べる二つの乳房、肉感的な脚部……不意を突く口付けと同時に服の内側に細い指先を潜り込ませ、ピンッと弾くと――。
「――オ、オオオオォ!??? ア゛ア゛アアアアアアァァァッッッ??!!」
過去を瞬きの内に追体験したダモクレスの強気な表情が、途端に崩れる。獣のような咆哮を上げるダモクレス。
「お楽しみの所悪いが、失礼するぜ?」
黒煙を上げるソルの蒸気式魔力鉄槌・業魔粉砕が、ダモクレスの半身を拉げさせる。
(「これで終わっ……!?」)
歯を噛みしめた徹也が、ダモクレスが後退した先に設置してあった見えない地雷を起動させようとスイッチに指先を添える。だが、その指先は、ピクリとも動かない。
「あいつを喰い散らかしてやれ!」
瞬間、ダモクレスがニヤリと嗤い、残ったブルーファングを徹也に殺到させる。
「徹也!」
(「七種さん!」)
チーディとシェイがすかさず守りに入るが、すべては防げず、徹也は痛手を負う。Dfの二人も、軽い傷という訳ではない。
堪らずシェイが、花びらのオーラを降らせた。リュリュもそれに続く。
だが、反撃もそこまで。
前衛陣は最高火力かつ厄介なBSを持つ散弾魚雷に対応を絞っていたため、時折行動を阻害されながらも、個々の消耗は抑えられていたのだ。
「往生際の悪い女は嫌われるわよ? 女はいつだって魅せないと、ね。こんな風に――」
軽やかに、美しく、鮮やかに。リリィエルが握る夜を魅了する刃は、ダモクレスを貫いていた。やがて、遍く全てが汚染され尽くすと、ダモクレスは海に溶けるように消滅した。
●
「とー、隙ありー! もう魚雷なんて怖くないよーだ!」
在宅聖生救世主が、十字架を象った時空凍結弾を放つ。
「深海魚さん達も安心してね。なんか顔怖いから近づきたくないけどー!」
そして、しばらく眺めた結果、遠巻きに見ている事に決めた深海魚に在宅聖生救世主が手を振っていると。
「ハルちゃん、後ろ後ろ!」
「えー、うぎゃー!」
リリィエルの警告も間に合わず、在宅聖生救世主はSnブルーファングの魚雷の餌食となった。
悔しそうに地団駄を踏む在宅聖生救世主に変わり、徹也が絶望の黒光を照射。ソルがハンマーで攻め立てる。
潜水艦型ダモクレス撃破から、数分が経過していた。その間、序盤に付与しておいた複数の耐性が効力を発揮し、ケルベロス達はBSの脅威から、距離を置くことに成功していた。とはいえ、積み重なった回復不能ダメージは、決して看過できるものではないが。
「回れ、旅人の車輪」
リュリュが、ラドのルーン文字を虚空に描く。投影された車輪は、前衛に残る最後のCrを一蹴した。
「残るは、後衛の二体だね。海水ごと凍らせ――な、何!?」
プランが、『氷河期の精霊』を召還する。
その時、精霊の攻撃に混じって、まったく予期しない方向から、ブルーファングに翠石色の刀身が振り下ろされ、プランは目を見開いた。同時に、自分達のものではない照明が暗闇を照らす。
暗闇で感じる第三者の気配に、本能的な安堵を覚えるのも束の間、狸のウェアライダーが消えぬ炎の輪を投げ放つ。
(「大丈夫? 援護に来たよ」)
リュリュの背に、手が添えられた。ハッと、リュリュが振り返ると……。
そこには、オーロラピンクの髪色が特徴的な、スタイルのいい少女の姿が。
「ありがとう、援護感謝するわ!」
手の温もりと伝わる心に力をもらい、リュリュが微笑む。
微笑みに微笑みで返したくれた眼前の少女が、癒やしの風を巻き起こした。
「アァ゛、援護だァ!? んなもんいるか、俺がまとめてブチのめす!」
(「猫くんがすまないね。彼なりの愛情表現みたいなものだ。汚い言葉は、ニャーニャー鳴いているように変換して聞いてくれ。こう見えて、存外泣き虫なんだよ?」)
援軍から乱れ飛ぶグラビティーに、チーディが玩具を取られた子供のように口を窄め、シェイがフォローする。
実際はシェイが何を言っているのかなど援軍には伝わってはいないだろうが、その言い様に、チーディの顔が、怒りか羞恥か、どちらもか……真っ赤に染まる。握りしめた釘を生やすエクスカリバールを、ブルーファングに向ける程度の分別と理性はあったようで、「やれやれー!」在宅聖生救世主の冗談交じりの煽りが飛ぶ中、弱り切ったブルーファングを破壊した。
と、とてつもない爆音が海水を振動され、海底を揺るがせた。洞窟と海底基地が、崩落しようとしている。
「サメ共が撤退を始めたぞ! 逃がすかよっ!」
辛うじて生き延びていたブルーファングをソルが見つける。
「どこに行くつもりかしら?」
リリィエルは、逃げ惑うブルーファングの背に舞うように追い縋ると、狙いすました突きを繰り出した。
そしてケルベロス達は力を合わせ、怒濤の攻撃で最後の一体を仕留めるのであった。
作者:ハル |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2018年9月11日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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