海底基地攻撃作戦~水底の秘密基地

作者:寅杜柳

●水底の機械鮫
 駿河湾。陽光と波に明るく白む海面とは異なり、光も限られた暗闇の海底は静寂に満たされている。
 そんな海底に一つの洞窟があった。その場所からは何故かその場にそぐわぬ光が漏れ出し、生物的でない耳障りな機械音が煩く響いている。
 幾つかの影が洞窟から現れる。数体の鮫を模した機械と、潜水艦のような兵装を身に付けた女性のような姿。深海を全く苦にせず鮫を引き連れて泳ぐダモクレス。
 驚く魚、深海にしか生きられない変わった形のそれらを見向きもせず、ダモクレス達は洞窟周辺を哨戒するように悠々と泳いでいく。

「みんな! 死神とダモクレスが協力する秘密基地の場所が分かったよ!」
 集まったケルベロス達に雨河・知香(白熊ヘリオライダー・en0259)が上気した声で切り出した。
「チーディ・ロックビル(天上天下唯我独走・e01385)が多くの賛同者と調査して、海底に死神とダモクレスが協力する秘密基地があるって突き止めてくれたんだ」
 その場所はフェルディス・プローレット(すっとこどっこいシスター・e39720)が予測していた駿河湾、日本で最も深い湾の、その底だ。
「この秘密基地ではディープディープブルーファングが量産されている。恐らくはダモクレスの作戦基地の一つなんだろう。皆には、この海底基地を破壊してきてほしいんだ」
 そう告げると知香は周辺状況の説明を始める。
「敵の基地があるのは駿河湾の海底にある洞窟の一つ、その内部だ。海上まではヘリオンで連れていけるが、そこからは潜って貰う事になる」
 海中での行動に不自由にしないようアクアラングや照明の準備はできる。ケルベロスだから息ができなくても死なないけども苦しいものは苦しいし、光の届かない深海で活動するにはいろいろ準備しておいた方がいいだろう、と白熊は言う。
「深海まで潜り、海底基地のある洞窟の至近距離まで近づいたらディープディープブルーファング、そして潜水艦型ダモクレス達が迎撃に出てくる。ディープディープブルーファングは死神の因子が植えつけられてなく、これまで地上に現れた個体と比べて戦闘能力は低いが数が多い。潜水艦型ダモクレスはミサイルと魚雷で迎撃してくるが、迎撃に出てきた個体の過半数を撃破することができれば海底基地は自爆するので作戦成功になる」
 基地が自爆したらダモクレス達は戦意を失うから安全に撤退できるが、そのまま殲滅してもいいかもしれない、と知香は敵の特徴を述べて説明を終える。
「最近事件を引き起こしていたディープディープブルーファングは、ダモクレスにこの場所で量産されて死神に引き渡されていたものだろう。何故協力してるかは分からないが大元を叩けば作戦も阻止することができるはずだ」
 だから、頼んだよ! そう締めくくると知香はケルベロス達をその海へと目指して行くのだった。


参加者
芥川・辰乃(終われない物語・e00816)
ヒマラヤン・サイアミーゼス(カオスウィザード・e16046)
エストレイア・ティアクライス(ファイティング野良メイド・e24843)
劉・沙門(激情の拳・e29501)
木恒・赤成(ヴォルペスパダッチーノ・e60902)
蟷螂・オガミ(ディアボリカマンティス・e63484)

■リプレイ

●海底へ
 駿河湾に到着したヘリオンからケルベロス達が降下する。
(「サメ……サメかぁ、サメなのねー」)
 アクアラングを装着したフィアールカ・ツヴェターエヴァ(赫星拳姫・e15338)が何か因縁でもあるのか、思案しながら紫の鞄のようなミミック、スームカを引っ張るようにして泳いでいく。
(「空や陸、海上に留まらず海中とは、敵も勤勉なもので。……それに付き合わされる私たちもまた、勤勉ですけれど」)
 夏の終わりにこんな形の海水浴をする羽目になるとは、と普段は書店に佇んでいる芥川・辰乃(終われない物語・e00816)は思いつつ、白竜の棗と共に深みへと潜って行く。棗の泳ぐ姿は初めて見るが、手足と羽を器用にぱたぱた動かし辰乃を追いかけている。
 視線を先にやると、灯りの強さを控えめに、豊かな黒狼の尾を細く水に靡かせヴォルフ・フェアレーター(闇狼・e00354)が静かに海底へと進んでいる。その横を泳ぐ劉・沙門(激情の拳・e29501)はヘッドランプに水着姿だ。
(「こ、この歳になってスクール水着を着る事になるなんて……ティアクライスのエストレイア、が、頑張ります!」)
 水中呼吸の恩恵を受ける為とは言え、エストレイア・ティアクライス(ファイティング野良メイド・e24843)にとってこの姿は少々気恥しいものがあるようだ。陽の光も随分と遠ざかり、時たま見かける魚も徐々に見慣れない姿の物が目につき始める。どこまでも落ちてしまいそうな錯覚を感じながら、彼女は警戒しつつ潜っていく。
(「海の中とかそんなに嫌いじゃないのですが、こんだけ深いと生き物も変なのばかりなのですよ」)
 年の割に小柄なヒマラヤン・サイアミーゼス(カオスウィザード・e16046)の服装は古い型のスクール水着。呼吸は問題なくすいすいと泳いでいる。その隣、暗闇に浮かぶ緑の瞳は翼猫のヴィー・エフトのもの。
(「いやはや海底探査とはまた面白い」)
 フィアールカと同じくアクアラングを装着した蟷螂・オガミ(ディアボリカマンティス・e63484)が呟く。もっとも彼の興味は珍しい深海魚の撮影とそれが金になるか、とやや別の方向性ではあるが。
(「まあそんなのんきな事を考えている場合ではありませんけどねぇ」)
 勿論、ダモクレスと死神の基地を破壊するという目的は忘れていない。
(「死神とダモクレスの共闘ね、何の繋がりで協力しあうんだか」)
 思案しつつ木恒・赤成(ヴォルペスパダッチーノ・e60902)も潜る。普段は濃い狐色の被毛の彼だが、今回は白と紫のヴァイスマハトで全身を覆っている。
(「……乾かすの面倒そうだな」)
 先行する白猫や黒狼の耳尻尾を見やり赤成は思う。水中は毛並を乾かすのが面倒だからあまり好きではないが、全身覆っていれば平気だ。
 やがて、底が見える。陽の光も届かず、光源は各自の持ち込んだ照明のみ。
 どこからか、不協和音が響く。ここに来るまでは耳にしなかった機械音。視界の悪い周囲に警戒していたヴォルフが光の強度を上げ、ヒマラヤン達もソナーと無線を起動。その機械音の主、ダモクレスの注意を惹こうとする。
(「……これを入れ食い、というのでしょうねぇ」)
 オガミが肩を竦める。向かってきたのは潜水艦、それと機械鮫――ディープディープブルーファングが六体の合わせて七体。光やソナー等の効果かやや数が多い。
 十分注意は惹いているのだろう、一直線に向かってくるダモクレス達にケルベロス達は戦闘態勢を整える。
(「皆様、派手に行きましょう! 一人もお寝坊させませんよ!」)
 そう言わんばかりの身振りでエストレイアが光の翼を展開、暴走させて全身を光の粒子に変え最も近くにいた鮫に突撃、
(「さあ、ダモクレス達をスクラップにしてやろう!」)
 気合十分な沙門とミミックのオウギ、そしてフィアールカがそれに続く。
 そして、光の届かぬ海底でのケルベロス達とダモクレスの死闘が開始された。

●ミサイル魚雷雨霰
(「馬鹿の寝言は聞き飽きた……」)
 詠唱を心に浮かべつつ、ヴォルフの放った魔法弾の群が機械の鮫達に直撃。残虐な猛威に冷静さを奪われたか、彼に魚雷とメカ触手が放たれる。
 伸ばされた触手を沙門が受け止め、魚雷は棗と赤成が中衛の半分を庇った。爆発に棗の小柄な体躯が水流に煽られるが羽で上手くバランスを取り急停止。ぶわっと毛並を水に広げつつ、その翠の瞳で見据えた鮫に紙吹雪のブレスで反撃、さらに赤成を覆うスライムが蠢き、
(「串刺シダ」)
 その思考に呼応し、白と紫の槍のようなスライムが変形した触手が彼の全周に延び、機械鮫達に突き刺さる。一部は回避されるが奪った体力は彼の負っていた傷の半分程を癒やす。
 その間に沙門は暴力的な笑みを浮かべつつ輝くマインドシールドを展開。
(「うおっ!? 自分でも驚くほどの眩しさだ!」)
 自分が展開した盾の輝きに驚いているのはうっかりの賜物か。
 辰乃が縛霊手の祭壇より紙の兵をばら撒き、フィアールカが口紅に偽装したスイッチを押し込むとカラフルな爆発がケルベロス達の背後に発生。水の底に展開されたそれらは妖精のように前衛の仲間達に加護を与え、さらに傷を癒やす。中衛に向けてはヴィーが羽搏くと彼らにまとわりついていた邪気が祓われる。
 しかし敵の数は多い。機械鮫の一体の鰭周りの装甲が展開、ロープのようなメカ触手がエストレイアへと伸びる。
(「触手は、触手は勘弁なのです!」)
 しかし狙いが甘い。彼女は必死に泳いで加速して躱し、逆に星形のオーラをシャイニングスターで蹴り込むと、それに連携してオガミが重力を宿した流星の飛び蹴りを見舞う。正確さ重視のその一撃は命中。水中という普段とは勝手の違う戦場だが、彼女が磨いてきた戦闘技術は発揮されている。さらにスームカが己の中に押し込むように齧り付く。
 仲間達の攻撃に合わせ、玩具のような見た目をしたヒマラヤンのハンマーが水の抵抗を受けつつ変形、潜水艦型ダモクレスへと砲弾を放つ。命中したそれに合わせ黒猫が尻尾の輪を飛ばすがそれは躱される。オウギも偽物の財宝をばら撒き潜水艦の精神を惑わそうとするが、催眠に落とし込むには至らなかった。潜水艦が迎撃の為の魚雷をヒマラヤンに放ち、沙門が庇うがその一撃は鮫の攻撃よりも強烈、辰乃が即座にオーラの塊を彼に飛ばし傷を癒やした。
 エストレイア達が攻撃し、弱った機体に攻撃を集中させようとヴォルフがハンドサインで示す。予め通信を介さない意志の伝達手段を共有していた為、致命的な意思疎通の齟齬は起きていない。
 それを理解したヒマラヤンのリボン付きのファミリアロッドが小動物の姿に変化、鮫に向けて射出される。それに合わせフィアールカがスイッチを押し込むと、不可視の爆弾が機雷のように一斉起爆、鮫達の動きを妨害、連携した沙門がリングより具現化した光の剣を下方から機械鮫に突き立て、続いてオウギがエクトプラズムで創り出した武器を叩きつける。
 反撃に機械鮫達の魚雷と触手の嵐、そして潜水艦型のミサイルが前中衛に殺到するが、護り手達は水中でも上手く連携し、耐えきる。負傷も辰乃が展開した紙兵と翼猫達の羽ばたきがケルベロス達の傷を癒やす。
(「戦場がどこであろうと、私の果たす役目にかわりはありません」)
 物静かな彼女だが、敵と相対した時は凛とした姿勢で立ち向かう。その為に戦況をその瞳でしっかりと見据え、的確なタイミングで回復を送っていた。
 オガミがその美貌から呪いを放つ。その標的となった鮫は呪いに縛られ動きを鈍らせ、間を置かず捕食形態に変形した赤成のスライムが機械鮫を飲み込むべく襲い掛かり、その機体の一部を食い千切る。
 さらに、エストレイアの第十三星厄剣に地獄の炎が纏わりつく。深海の水にも消えぬそれを彼女は鋭く鮫に叩きつける。沙門も合わせ、上方から流星の蹴りを見舞う。重力を宿したそれに鮫の機体は大きく弾かれる。さらに弱った隙を見逃さず、赤成がリョクリを刺し込み機械鮫を呪詛で汚染。
 呪詛に弱った機械鮫に、どうすれば上手く破壊できるか、その好奇心と興味に駆られた黒狼の嘆きが振るわれる。変形した刃が弱った鮫の装甲を斬り刻みその活動を停止させる。破壊したら次の対象、壊し終えたそれにはもう興味はない。
 着実にオガミとヒマラヤンが攻撃を命中させ、動きの鈍った機械鮫を確実に潰す。堅実にケルベロス達は攻撃を重ね、少しずつダモクレス達の力を殺いでいった。

●追撃戦
 8分が経過。
(「サメも一応お魚なのですが、これはあんまり食べたくないのですよ」)
 ヒマラヤンがグラビティから機械仕掛けの鮫を作り出すと、それは敵の機械鮫に噛みつき毒を注入、その機能を停止させる。これで四体目だ。
(「目には目を、サメにはサメをというのですよ。向こうがサメを引き連れてるのなら、こっちもサメで攻撃するのです」)
 誰かがそれを聞いていたなら聞いたことない、とツッコミを入れたのかもしれないが、生憎の海中。ちなみにヒマラヤンが今思いついた言葉らしい。
 攻撃面では広範囲を狙う攻撃でディープディープブルーファングを全体的に弱らせ、攻撃手が弱った個体に集中攻撃を仕掛け潰していく方針、守りでは怒りによる中衛への攻撃の分散をはじめ、各々の果たすべき役割を各自がこなしていることもあり、徐々に鮫の数は減ってきている。
 このまま進めば押し切れる。そうケルベロス達が思った時、爆音と衝撃が戦場の海域に響いた。
(「基地が、自爆した?」)
(「半数以上の潜水艦が撃破された、という事か」)
 その原因に辰乃とヴォルフが思い至った。
(「そうなると……」)
 ヒマラヤンが今まで戦っていたダモクレス達へと視線をやると、戦闘意欲を失くしたようにどこかへと撤退を始めている。
 逃れようとする鮫を見過ごす道理はない。ヴォルフが上方へと蹴り上げた奈落の名を冠する偃月刀が向きを変えて海底へと降り注ぐ。狙いは潜水艦、けれど悠々と槍の群の隙間を抜けて回避していく。敏捷さを追求した代わりに投擲と魔法弾の精度はそれほどではない上、いずれも単体を狙うようなグラビティではない。配下の機械鮫にはそれでも十分だったが、潜水艦にはその弱点が浮き彫りにされた形だ。
 弓を引き絞ったオガミの指が離れ、魅了の矢が潜水艦を追いかけ命中、さらにヒマラヤンのピコピコハンマーからの砲撃が続くが、其方は鮫に庇われる。それでも、潜水艦が此方に振り向く気配はない。
 置き土産の意図か、潜水艦から前衛に魚雷が放たれる。それを棗と赤成、そして沙門が受け止めると、赤成は一気に距離を詰め、鮫の機体を両手で掴み、尾部を縦に引き裂いた。棗は紙と草の属性を自身にインストール、辰乃はオーラの塊を赤成に飛ばし、癒し切れなかった傷と痺れを癒やす。
 フィアールカに向けられた魚雷を受け止めた沙門は、
(「大丈夫か? 庇うのは俺に任せてくれ!」)
 身振りでそう示しリングから輝く盾を展開。己の傷を癒やし、守りを固める。護り手として多くの攻撃を庇っているが、ドレインと盾の効果で負傷はある程度抑えられている。
(「いいの!? それじゃッ! 背中は任せたの!」)
 そう受け取ったフィアールカはテンションを上げつつダモクレス達へと加速、装飾に偽装していたオウガメタルを拳に纏わせ、金剛石の瞳が捕らえた鮫に金属の拳を叩きつける。それを狙われなかった側の機械鮫が庇うが、その装甲は凹んでいる。それをヴィーが鋭い爪で引っ掻き傷をつけ、構造的弱点を見切ったエストレイアの第二星厄剣の一撃も機械鮫の装甲に突き刺さる。攻撃に特化した彼女の一撃は重く、機械鮫の動きが異音と共におかしくなり、そこに赤成がすれ違いざまに呪われた斬撃。機能を停止させる。
 もう一方の機械鮫にはオウギが齧り付いてオガミの流星の蹴り、沙門の降魔の拳がそれに続く。回避を試みるも、重なった呪縛はそれを許さない。苦し紛れにボロボロになった装甲の下から反撃のメカ触手が伸ばされるが、沙門が受け止めきる。
 そこに矢が突き刺さる。辰乃の放ったそれはダモクレスの精神をかき乱す事こそなかったが、攻撃の起点。
(「そこです!」)
 そんな言葉が聞こえそうな動作でヒマラヤンから魔法の光線が放たれ鮫に命中、金属の装甲の一部が石化を始め、一拍置いて黒狼の雷の槍が電撃を纏い、銛のように機械鮫の装甲を貫く。
(「これなるは女神の舞、流れし脚はヴォルガの激流! サラスヴァティー・サーンクツィイ!」)
 流れるものを司る女神の制裁、その名を冠したフィアールカの蹴りが水中という環境もものともせず連続で叩き込まれる。締めの蹴りは機械鮫をケルベロス達へと吹き飛ばす。
 それを赤成のヘッジホッグ、白と紫の棘の群とオガミの伸ばした黄金の角が迎撃し、装甲を削り取ると、エストレイアが光の粒子と化し突撃。直撃を受けた機械の鮫は完全に砕け散った。

●そして陽の差す場所へ
(「これ以上の追撃は無理そうなのですよ」)
 しょんぼりとしたヒマラヤンが泳ぎを止める。鮫の相手をしている間に潜水艦型ダモクレスは深海の闇に姿を眩ませていた。見失ってしまった以上、闇雲に探しても見つからないだろう。
 潜水艦への攻撃を最低限に、機械鮫の各個撃破を優先させていた方針が、撤退開始時に十分余力を残させる結果となっていたのかもしれない。
 けれど、本来の目的である基地の破壊は成し遂げられた。
(「なんとか任務成功、なの……沙門さんも大丈夫?」)
 一息ついた様子の沙門に、ヒール要る? と気遣うように視線を送るフィアールカ。無事だと沙門は身振りで示す。
(「こんなことを言うのも俺らしくないが……」)
 お前さんが何事もなくて良かった、そうハンドサインで示した彼にフィアールカの表情が綻んだ。
(「全く海底漁というのも楽ではありませんね」)
 得難い経験ではございましたが、とオガミは疲労感と共に思う。それでもまだ海上に戻るだけの余力は十分あり、目的は果たせているのだから大勝利だ。
(「……この辺りには何もないようダナ」)
 死神とダモクレスの繋がりになるものはないか、周辺を探索していた赤成だが洞窟の外や残骸にはなかったようだ。
 さあ戻ろうか、とヴォルフがハンドサインも合わせ帰還を促す。
(「皆様お疲れ様でした! さあ帰りましょう」)
 明るい光射す地上へ。勝利を胸に、エストレイアもテンション高めな身振りで促す。
 浮上していく中で辰乃が一度海底へと振り返る。
(「野望よ、潰えなさい。夏の終わりと共に」)
 それからはもう振り返らなかった。多くのケルベロス達が各々の役割を果たした、そして得られた勝利の結果なのだから。
 後に残ったのは崩れ落ちた海底の洞窟と、静寂を取り戻した暗い深海の景色。
 行き先には夏の終わりの景色が待っていたのだった。

作者:寅杜柳 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年9月15日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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