ケルベロス大運動会~ブラジルごはん

作者:志羽

●ケルベロス大運動会
 度重なる全世界決戦体制――ケルベロス・ウォーの発動。これによって世界経済は大きく疲弊してしまった。
 この経済状況を打破する為におもしろイベントで収益をあげようという事になる。
 つまり、ケルベロス大運動会の開催だ。
 ケルベロス達に通常のダメージは効かない。
 そこで世界中のプロモーター達が、危険すぎる故に使用できなかった「ハイパーエクストリームスポーツ・アトラクション」の数々を持ち寄り、巨大で危険なスポーツ要塞を造り上げたのだ。
 第3回ケルベロス大運動会の舞台に選ばれた国、それは『ブラジル』だ。
 そしてそれが行われる場所はアマゾン流域。
 広大なるアマゾン川と鬱蒼たるジャングルで様々な種目がケルベロス達を待っている。

●ブラジルごはん
「いろいろとお疲れ様ー。ということで、今年もケルベロス大運動会の季節です」
「察しが良い私は! お昼ご飯オススメの場所を教えてくれると思ってるのだけど!」
 うん、その通りと夜浪・イチ(蘇芳のヘリオライダー・en0047)は頷く。その言葉にわぁいとザザ・コドラ(鴇色・en0050)は楽しげに尻尾を跳ねさせた。
「ブラジル料理ってどんな感じなの? 私、シュラスコはわかるわ。焼いたパイナップルおいしい」
「あ、それも食べれるよー」
 ケルベロス大運動会の会場は南米のアマゾン。せっかくなら本場の南米料理をという事だ。
「ブラジルの料理はシュラスコが有名だよね。でも他にも美味しい物は色々あるみたい。ブラジル以外のアマゾン川流域の国の料理もいろいろあるからね。そういうのも探せばあると思うよ」
 例えばブラジルの国民食であるフェジョアーダ。豚肉などを黒豆と一緒に煮込んだ料理はご飯と一緒に食べるのがオススメ。
 ドブラジーニャは同じく煮込み料理。内臓系を白豆と煮こんでいるという。
 ムケッカは魚介のシチュー。水を加えず長時間煮込んで作られ、少なくとも300年以上前からある料理と言われている。
 その他にも、朝市などですぐにみつかるお手軽なものも色々あるのだとか。
「ランチのお店はシュラスコも食べれる郷土料理も色々あるところを見つけてきました。地元の人もよくいく人気のお店なんだよー」
「人気のお店! それは安定のお味の予感」
「うん、美味しいと思う。それからね、ブラジルの定番ランチはポルキロっていうんだ」
「ぽるきろ。なにそれ」
 ポルキロ――それは、簡単に言えばブッフェのように好きな物をとって、最後に計量しお会計。つまり、重さで金額が決まるという事なのだ。
「量り売りごはんってこと?」
「そういうこと」
 サラダやスープ、メインディッシュ、サイドディッシュ。飲物等も選んで会計をし、空いている席へという流れのようだ。
「ほほう。それで、どんなお店なの?」
「街の風景が眺められるテラスがあるお店だよ。近くで仕事してる人達も来るお店だから、もしかしたら地元の人と交流もできるかも」
 地元の人たちは相席などには快く応じてくれるようだとイチは言う。
「そうそう、それから嬉しいお知らせなんだけど、シュラスコが定額食べ放題になってる」
 シュラスコはいつもなら量り売り。しかしケルベロス大運動会もあり、人々でにぎわっているため定額で食べ放題にしてくれているのだとか。
 なので、そちらはそれぞれの席に回ってきてくれるそうだ。牛、豚、鳥などは色々な部位があるようだ。そしてパイナップルももちろんある。
「言葉とかは身振り手振りでも通じるから大丈夫だよ。シュラスコは、それが食べたいって指さして、欲しい量でストップかければいいと思うよ」
 ケルベロス大運動会の合間に、美味しいランチ。
 良ければ楽しんでねと、イチはその場所をケルベロス達に教えたのだった。


■リプレイ

●おひるごはん
 やってきましたアマゾン。待ってましたごはん。
 よろずや縁の面々は皆で一緒に。
 横文字でどんな料理か全くわからないと、美味しそうなのをアイカはとっていく。
 シュラスコも色々と。
 食べ放題、マジじゃねぇか……! と煉司は身ぶり手ぶり。
「……あ、これくらいの、量デ、頼ム」
 指差し、合掌というやりとりを何度かすれば通じて、思う通りの量を。
「んと、えと……これくらいの、量デ、頼ム、です!」
 それを見ていたかりんは煉司の真似をして、同じように身振り手振り。
 その様子をジェスチャーが美味いなと帷は感心していた。
 牛だけでも多種にわたるシュラスコ。
「豚に羊肉に……え、パイナップルは知ってましたけど海鮮もあるんですか?」
 それも美味しそうとアリシアは少しずつ。
 郷土料理も珍しく、初めての物が色々とある。
「オレのシチューもどうぞどうぞ。想像通り超美味しかったっす」
 と、佐助は皆にも。
「ムケッカ、オススメっすよ!」
 俺もそれ食べてみたい、と帷は分けてもらう。
「霧隠おススメのムケッカ、美味いな。それにどこか名前にも愛嬌がある」
 と、話していると。
「……! のど、に、詰まりました!」
 涼香が苦しそうな声を零しつつ佐助を見て。
「霧隠さん、ムケッカ、くだ、さい!」
「うわぁ! 涼香ちゃん大丈夫っすか? ムケッカより水、水!」
 水を飲んで一息ついたら、またシュラスコ。
 日本でもブラジルでも。一緒に食べるごはんは格別。

 南米料理を心ゆくまで。
 ノルンはメニューの端から端まで全て制覇する勢いで注文し食べまくる。
 お目当てのワニ料理もお行儀よく。
 日本じゃ食べられない物を食べてみたいと木蓮の前にはゲテモノっぽい物が。
「これって……ヤシの新芽ですか、サラダも日本とは違いますねー」
 日本と違う食文化に興味津々。

「食べ放題なんていうなら元取るまで食べないとね? ん? 元ってなんだろうか」
「食べ放題で元? を取るならば……牛丸ごと1匹食べろと言う事だろうか」
「いやいやシャルフィン牛一頭ぶんは無理だよ」
 そんな話をしつつあーんして、されて。
 しかしシャルフィンはほどほどに。
「俺の場合は内臓脂肪という肉のアーマーが出来そうだな」
「内臓脂肪? そんなもの運動して燃焼しちゃえ!」
 歳か、とちょっとショックを受けるシャルフィンに、マサムネは笑む。
 なんたって今日は大運動会、楽しんでいこうと。

 シュラスコ横目に悠はエスフィハに興味津々。
 その横にマンジョッカフリッタとサラダデパルミットを並べると。
「このファストフードぽさ。ハインツさんあーん」
「ん、ありがとな。これもなかなかおいしい!」
 ハインツの皿にはシュラスコ山盛り。それを見て悠は。
「無限に食べても構わないけど、お腹を壊さない程度でひとつー」
「はは、食べ過ぎには気をつけるぜ!」
 シュラスコが無限に食べられてしまうソースをお供にまだ昼食は始まったばかり。

 ブラジル料理は色々あって迷うところでオススメを色々と。
 ヴィクトリカはどれも美味と頬弛ませる。
「どんなお味なのでしょう……? 一口頂いても良いですか?」
 と、アリッサムが示したのはムケッカ。
 コシージャをぱくりと食べたアリッサムは瞳輝かせ。
「由佳さん由佳さん、これは絶品ですよ! オススメですっ」
「わあ……! そうなのね。アリッサムさん! ヴィクトリカさんのも、美味しそうね……!」
「ふむ由佳殿はこれが気になるかの? アリッサム殿はこっちじゃな?」
 じゃあ、と皆で少しずつ分けっこを。
 お裾分けすると、今度はそちらも気になって。
「む……我もそれとこれが気になるのう……由佳殿、アリッサム殿、一口よいかの?」
 もちろんと笑顔が返る。
 分け合って楽しい時間は最高のお土産。

 テラス席に座って無月とミントは一緒に昼食を。
「わ、すごい、美味しい……」
「無月の食べているものも美味しそうです、食べ比べして良いですか?」
「いいよ。ミントのも、美味しそうだし、わたしも貰っても、いいかな」
 と、少しずつ違う物を取っていたのでシェアを。
「ブラジルの街並みも、また素敵な雰囲気が出ていますね」
 色々と観光とか行きましょうかとミントが誘えば無月は笑み。
「うん、色々と見て回りたいね」
 でもその前にデザートタイム。

 ブラジル料理の事を少し勉強したのよと自慢げに胸張るメロゥが気になるのはパステル。
「ブラジル風の揚げ餃子なんですって」
 その具は豊富で美味しそうでしょうときらきら笑顔。
「俺はねー……タピオカクレープ食べたい。もちもち、らしいよ」
「タピオカクレープ……! そんなものが……」
 もちもち、とメロゥの呟きに梅太も、もちもちと重ねて頷く。
 それからと梅太が挙げていく料理の数々にメロゥは目をまん丸に。
 欲張りすぎたかなと笑うのだけどひとりよりふたりだから。
 話しながらいっぱいお腹いっぱいになろうと幸せのお約束。

 定番楽しんだ後で、喰ってみたいモンがあったんだよなとヒコが頼んだのはブリガデイロ。
「どうだい、駄菓子屋としてひとつ」
 市場調査も必要だろと言いながら口にしたら。
「―――あっま……ッ」
 形容し難い初めての甘さに苦笑。
 ヒコの様子にそんなに甘いのかいと一つ。
「んじゃ、オレも一つ貰おうかね」
 と、口に入れた瞬間、口元を覆う。
「甘い、甘すぎる、暑さにはこんな甘さがうけるんかね」
 そう言って市松はさっき食べた物を思い出す。
「こりゃあ口直しのパモーニャが良いなあ!」
 ちまきのような味で口直し。

「シュラスコって何だろうと思ってましたがなるほど、がっつり肉ですね」
「牛肉ってイメージが強いけど、豚も鶏もあるのよねー」
 焼き加減もオーダーできるとコマキは聞いて、豚以外をレアで。
「UCさんはどうするー?」
 そう聞かれたウルトレスは焼き方? と尋ね返す。
 運動会を控え活気あふれる。色々あったがこの中で美味しそうに頬張っているコマキを眺められ、無事運動会が開催されることをウルトレスは嬉しく思っていた。

「ペシュ殿は焼きパインどうですか? 金髪にはお似合いですボクもですが」
 口がスッキリして肉が美味しくなる。最高の肉時間と堪能する茜。
 座っていればどんどん肉が来る、それは茜にとって最高のシステム。
「ザザ殿ももっと食べてボクの様に大きな人物になろう」
「食べた分は消費されちゃうの! 焼きパインも美味しいしまだいけちゃいそう」
 ザザと茜の言葉に少し冒険とペシュメリアは思う。
「でもお二人とも好きなら金髪はともかく挑戦しないとですわね」
 お肉にシュラスコ、他にも色々。
 食べ過ぎではというペシュメリアにふふふと茜は笑い零す。一年ぶりの運動でたっぷり消費する完璧な作戦なのだと。
 動けば問題ないとザザも頷くが、お腹いっぱいで動けるかは別問題。

「この色や香りは日本にはなかなかないよなあ。羽丘さんもどうだ?」
 柚月がそう言うと、結衣菜はうんと頷く。
「私はムケッカにするよ。現地の魚介……確かピラルクとかが代表だっけ?」
 使われるかどうかはわからないけど、味に興味はありという結衣菜。
 するとイピナは聞いてみますかと紡ぐ。
「私はフェジョアーダが気になります」
 しょっぱい味付けなのでしょうか、とイピナは尋ねつつそれを。
「俺はこれ、エスフィーハだな」
 そう言って柚月は何種類かを一つずつ。
 どんな味か想像できないので一番人気を。
 これで間違いないはず、と思うレベッカの更にコシージャという揚げ物が。
 それから、シュラスコ。
 肉もだがパイナップルが一番のお楽しみ。

 郷土料理と共に楽しむのは会話だ。
「カトル。その空き皿下げておいて」
 そう言うと従者はそっと皿を片付けご褒美を強請るのだけれどオルテンシアはダメよとつつく。
「イチにねだってみたら?」
「おねだりされるといくつでもあげちゃいたいかわいさだよね、カトル」
 午後からの頑張りにもなるかなと言うイチに頑張るのは私よとオルテンシアは笑う。
 じゃあオルテンシアさんはどれがいいと、デザート示されれば、餌付けされてあげるわと笑いながらひとつまみ。

「メインの料理、選んでもらえるかな」
 と、メリルディは漆を見上げる。
 沢山あって迷うからだ。
 デザートはメリルディでプジンジレイチコンデンサードを。
 コンデンスミルクたっぷりですごく甘いものだ。
「んー……なんとなく聞き覚えがあるので、このシュラスコって料理にしますね」
 少し多めで食べきれるか不安だけれど本場の物を満喫。

「ほら、みんなこっちこっち!」
 と、まぐろは手をふって光画部の皆を呼ぶ。
 テラス席を前に、クロエは日焼け対策は? と問う。
 沙雪もハバーダ、ピカーニャなどを手にそこへ。
 異国の味に舌鼓打ちつつ美容トークに最近の事など話は色々。
「んー!! すっごくおいしー!」
 恍惚の笑み浮かべつつクリスは持ってきたカメラを手に料理や皆、それに風景もおさめ、それを見た瀬理は。
「写真? ええやん撮ろ撮ろ。ほい、チーズ!」
 皆でポーズを取ったり、一緒に写真をとって楽しい思い出も増やして。
 そんな様子をレーアはちょっと離れてのんびり見つつ。
「……うまく撮れた? ありがとう。あ、おにーさん! サーロイン! サーロイン、スリー!」
 まだ余裕のあるお腹の為に、シュラスコの追加。

 ムケッカやパステウを取って食べ比べも楽しく。
 あーんで食べさせっこは少し恥ずかしいけどとルリィはひとすくい。
 妹特権でユーロはカレンとルリィの間に座り、二人のものももらう。
 カレンには素直に、ルリィにはイタズラっぽく甘えつつ。
「シュラスコは骨周辺も美味しそうなのよね」
 そう言って口にしたものをルリィが欲しがってお裾分け。
 その様子をカレンは笑んで見守る。
 パイナップルを箸休めに、姉妹でのひと時はまだ続く。

 お腹具合と相談しつつ、野菜も。
 奏過とエレオスがこちらでは常であろう見慣れぬ野菜などを取りに。
 折角ですから、食べられるだけ食べましょうとラズリアは上品に皿の山を築いていく。
「あれ? ラズリアさん……? さっきまでお肉、沢山ありましたよね……?」
 帰ってきたエレオスがぱちくりと瞬くとラズリアはにこやかに。
「え、何でしょうか、ヴェレッド様?」
 そう言っていると、シュラスコがとまらず、惺月はストップストップと身振り手振り。
 自分では食べきれない量と救援要請をすると。
「大丈夫ですよ、星奈様」
 このおにくたちは全て私の胃に入る運命だったのです――そう、ラズリアは紡ぐ。
「目の前の実績があるだけに心強いわ」
 と、惺月は笑む。
 最後の〆は焼きパイナップル。お肉のあとの良い酸味。

 説明してもらった三種を少しずつ。ヒナキはその説明を皆へ。
 スバルの皿は肉料理色々。
 身振り手振りで意思疎通してもらってきたものだ。
「あ、ちゃんと野菜も食べるよ」
「そうそう、お野菜も……ってお母さんじゃないですからね」
 と、スバルにぺちん。
「ブラジル料理も日本料理と負けず劣らず素敵ですね」
 なんとなく甘いものばかり集めちゃったかなと口に運んだ揚げパイ。
 それはコロッケの様で香味が利いているとダリアは皆へお勧め。
「そっちのはなんていう料理だろ。これと少し交換しない?」
 と、ヒメはテーブルがちょっと手狭になっちゃうわねと言いながらシェアを。
「こうして皆さんとご一緒出来る機会ができてとても嬉しいです。旅団に来たばかりで、実は結構緊張してた部分もありまして」
 と、食事しながらリーアははにかむ。
 こんな素敵な料理を皆で食べれるのは幸せ。

「異国の地に来た気分は?」
「暑くてくったりしちゃうけど陽気な人が多くて。とても楽しくて、わくわくしちゃうの」
 ふわりと、その髪に手を置いて亮は笑む。
「俺も凄く楽しいよ。暑さも吹き飛びそう」
 撫でるテに嬉しそうに、気分もお揃いねとアウレリアは笑んで。
 家でパイナップルを焼けるか一緒に挑戦してみようかと笑いあう。
 それも思い出の一つになるから。

 串に刺さった肉は圧巻で。
「ここに、そう、これくらいの圧さで切ってくれ」
 瞳李は身ぶり手ぶりで。
「待て、トーリ。アッシュの皿にシュラスコ肉をステーキみたいな分厚さで切ってもらうの止めろ」
 と、店員困ってるだろうと留めたのはリェトだ。
「え、ダメなのか? じゃあレト、店員に男勢に分厚めに肉を切ってくれって通訳頼む」
 そしてリェトは皆の程よい感じを伝えていく。
「神父殿、我も食べるがゴロ太にも頼めるかのう?」
 と、レオンハルトからの声にゴロ太もいいの? と尻尾を振る。
「レトお前、一体何か国語喋れるんだか……ま、いいわ、任せた」
 その様子にアッシュはお任せ。
 皿の上には他にも郷土料理が色々並ぶ。
「焼きパイナップルもいいが、キンジンってココナッツのデザートもあるがルビー食べるか?」
「キンジン……? ココナッツは好きだから挑戦してみようっと……!」
 ルビーはそれを一口。甘くて美味しいと笑み、ダンボールちゃんも食べる? と足元へ声かける。
「レオンハルトの旦那もどうだ?」
 折角だしと本場のコーヒーでもとアッシュが誘えば。
「たらふく食ったのう。アッシュ殿、その言葉を待っておったぞ!」
 と、食後のコーヒータイム。

「如月ちゃん、これ、おいしいよ。はい、あーん」
 萌花はいつの間にか食べさせる方がメインに。
「もなちゃーん……そっちも食べないと、お腹空いちゃうわよ?」
「だって、美味しそうに食べる姿を見てるのが好きなの」
「私ばっかりは……ぁむっ……ぁ、おいし……」
 これでお裾分けと如月は頬にちゅっとキスを。
 それにごちそうさまと萌花は笑む。

「いっぱいあるからシェアして食べよ? 今なら、おまけに、あーんもつけちゃう!」
 そう言うと、それも気になるとアラドファルは口を開けて。
 春乃はそこにパステウを運ぶ。
 お腹いっぱいになったらうとうと。
「……いっぱい食べたら眠くなってきた。運動会の後半は昼寝にしないか?」
「も~、お昼寝してもいいけどわたし、ひとりで遊ぶからね!」
 起してあげないからね! という声に起きると一声。

 でかい肉の塊に目を盛大にきらきらと。
 エルスはわくわくとシュラスコを選んでいく。
「ふにゃああ、美味しいの……」
「うむ、これは美味しいですね」
 合間に焼きパイナップルやサラダで口直ししつつ、やっぱりお肉。
「ねえねえおじちゃん、ビッグホーンにも導入してみようか? たまにブラジル焼肉お祭りみたいなのも面白いよね?」
「うーん。店でこのシステムはもっと人を増やさないといけませんね」
 と、トリスタンは唸るが、ですがと続く。
 時々は良いかもしれません、と。

 はやくとはしゃぐミュゲに笑いつつ、レイヴンは地元の人にオススメ尋ねるつかさを見て用意周到だなと感心。
「こういうのは普段から利用してる人に聞くのが一番だろ?」
 と、そつなくつかさは答え、そのオススメ乗った皿を目の前に。
 それらを味わいながら食べるレイヴンの姿につかさは笑み零す。
 それに気付いてどうしたとレイヴンは首傾げる。
「いい食べっぷりだからさ……?」
 見つめられていた照れ隠ししても、尻尾はゆらゆら、嬉しさを隠せないまま。

 ほら一口とアンゼリカは天紅の口元へスプーンを。
「……味、わかんなくなっちゃう、からっ」
 恥ずかしがりながら天紅はあむっと。
「アンゼリカも、ちゃんと食べないと、だめだよ」
「お返しかい? ありがとう!」
 運ばれる一口。
 美味しい味と共に幸せが広がる。
 傍に居てくれるから尚料理も美味しいのだ。
 この味を覚えてもっと美味しく作ってみせるからと言う天紅。
 最愛の人が作ってくれるなら尚美味しいだろうなとアンゼリカは笑む。

 シュラスコはイルヴァが切り分けて。
 その間に纏がとってきた飲物は馴染みがあるものから初めて見るものまである。
 それから、コシージャも色々と。
 私のは豚肉とじゃがいもと、アウィスはまず一口。
「ボクが食べたのはお魚さんだったみたい」
「エトのはお魚? ちょっとわけっこ、しよ」
「わーい、じゃみんなでわけっこだー♪」
 エトワールは自分が食べた物を皆にも。
「わたしのは鶏肉。纏さんとおそろい」
 イルヴァが笑むと纏も笑って。
「コシージャにはマスタードとケチャップをたっぷりかけるのが通みたい!」
 と、近くのテーブルでの様子を纏は示す。
 それにデザートの甘い物も沢山。
「Que Fiquei feliz!」
 とても幸せな気分、と言葉合わせて。

 持ち寄った料理はシェアを。
 取り皿を律が持ってきて皆へ。
 雫型がとてもチャーミングだなと想って、とスプーキーはコシーニャをぱくり。
「大蒜と鷹の爪がきいていて美味いですよ」
 と、律はドブラジーニャを皆へ。
「はいはーい、こっちにもシュラスコぷりーず! ぷりーず肉!」
 シドは手を振ってシュラスコを貰いつつポンデケージョはもちもちと笑む。
「このお肉にかかったソース、モーリョって言うんだって」
 味もさっぱりで、暑い夏にもぴったりとクラリスは笑み、自分の前に焼きパイナップルを。
「あれ? 甘いのにお肉とよく合って……美味しい!」
 食わず嫌いしてたものも今なら。
「焼いたら甘味が増すって、本当だったんですね」
 記も頷いて、お肉の後の口直しにぴったりと笑み。
「嵌ってしまいそう!」
 皆で食事を楽しんでお腹いっぱいになる幸せな時間。
「あぁ、また明日……来年の大運動会も、是非皆で食事しよう」
 スプーキーは一年ごとの楽しみを思う。

 隼曰く少量。だが普段より多めのジョゼは目の前で山盛りが消えていくのを目に。
「――む、俺これ好き。フェジョアーダ、だっけ」
「アタシはムケッカが好みかな」
 一年で一番薄着になる日に脂肪を蓄えるわけには、と言っていたジョゼ。
 しかし甘味は別腹、というか別皿。
「あの、一つのお皿にデザートを幾つか取って、二人で一緒に食べない……?」
 その遠慮がちな申し出にふはっと隼は噴出した。
「可愛いこと言うなァ」
 そう言って、勿論喜んでと笑顔を向ける。
 全種制覇を目指して。

 キリリ真顔で夜が紡ぐのは。
「食べ放題で残す事は絶対のタブーです」
「我ら猟犬、断じてお残しは許しませんとも」
 その言葉にフォークとナイフ携えあかりは大きく頷く。
 王道の組み合わせ、レアな牛肉にビネガーソースを口にすれば。
「……嗚呼、筆舌に尽くしがたい美味って、こういうことを言うのでしょうか」
 しずくはうっとりと呟いて。
「はふ……おいしいよ、キキ」
 キカは傍の玩具、キキに話しかけほにゃりと笑む。
 色々美味しくてほっぺた落ちちゃうねと。
「これ美味いな、少し脂のたやつ」
 添えられたソースも良いと十郎は言っておかわり候補に入れる。
「あ、ヨエルのチーズも美味そう」
 十郎にはいとヨエルは笑む。
「チーズもパイナップルも、とってもおいしいです。パイナップル焼くは、ぼく、はじめてですよ」
 と、紡げば夜もそうだねと頷く。
 初シュラスコ故に部位を選ぶ事は難しく。
 ならば全種類制覇と少しずつ。
「皆はどれが美味かった? 俺は――決められなかったから、また全部食べよう」
 かわいい水着を着る為に美容には気を使ってきたけれど今日は自分にご褒美としずく。
「お代わり、取りに行ってきまーす!」
「僕もお代わり!」
 その声につられてあかりも一緒に。
 大運動会中だし、それに――明日から動けば問題なし。

作者:志羽 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年8月11日
難度:易しい
参加:85人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 5/キャラが大事にされていた 4
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