●花言葉は『戦い』
大阪府大阪市。
この地は現在、幾度となく攻性植物の襲撃を受け続けている。
時折、街に飛ぶ謎の花粉。これが植物を攻性植物化させ、事件を起こしているのだ。
今回、それらが標的として選んだのは……、鋸草だ。
基本、日本の北側の山地に自生する植物なのだが、薬用に使われることもあるのでどこかで植えられていたのだろう。
4株が胞子の影響によって怪物化、巨大化し、身長3m程度の大きさとなって周囲の破壊を始めてしまう。
「デウスエクスが出よったで!」
「攻性植物や、はよ逃げえ!!」
人々は急いでそれらから離れるように逃げ出すが、敵の伸ばす蔓触手が人々を捕らえ、さらに発する光が走る人々を背中から貫いてしまう。
暴れる攻性植物は、人々を素早く襲っていく。
敢えて自ら『戦い』を求めるそれらは、多数のグラビティ・チェインを得るべくその命を奪おうとしていくのである……。
依頼を求め、ヘリポートへとやってきたケルベロス達。
炎天下で説明するわけにも行かぬと、リーゼリット・クローナ(ほんわかヘリオライダー・en0039)は一旦ビル内へと退避してから、依頼の説明を始めることにする。
「今日も暑いね……」
リーゼリットがこの場のケルベロス達を気遣う中、グラハ・ラジャシック(我濁濫悪・e50382)がこんな話を持ちかける。
「先日、散った胞子で鋸草が攻性植物化するんじゃねぇかと思ってな」
その話を元に、リーゼリットがヘリオンに戻って予知をすると、それらしき事件が確認された。
今回の事件は爆殖核爆砕戦の結果を受け、大阪城周辺に抑え込まれた攻性植物が動き出したことが一因となっている。
「先日、巨大攻性植物、サキュレント・エンブリオを討伐した際に飛び散った胞子が原因となっているようだね」
これが新たな攻性植物を生んでおり、大阪市内で事件を発生させているのだ。
大阪市内の攻撃を重点的に行う攻性植物達は、事件による一般人の避難を加速させること拠点の拡大を狙っているものと思われる。
「大規模な侵攻ではないけれどね。放置すれば、ゲート破壊成功率が『じわじわと下がって』しまうよ」
それを防ぐ為にも、敵の侵攻を完全に塞ぎ、さらに隙を突いて反攻に転じたい。
今回は、グラハが言っていたように鋸草が攻性植物化するようだ。
どこからか街に入ったこの攻性植物達は怪物化、巨大化し、街で暴れ、人々を襲う。
「敵の数も多い上、一般人を見つけると命を奪おうと動くから、非常に危険な状態だよ」
この攻性植物達は別行動することなく固まって動き、戦い始めれば逃走などの行動を行わない。
これらもあって対処は決して難しくはないが、数で押し寄せる敵は同じ植物から生まれた攻性植物ということもあり、互いに連携も行ってくる。油断は禁物だ。
「現れる鋸草の攻性植物は4体だね。リーダーは不在で全てが同程度の強さを持っているよ」
グラビティ編成は2タイプ、それぞれ2体ずついるようだが、戦闘でのポジションが確定できぬようだ。
「同じタイプでも、別ポジションを取ることもあるようだね」
敵がどういう編成で来ても対処できるよう、戦略を練っておくとスムーズに対処できるだろう。
出現場所は大阪市の市街地。
街に現われた攻性植物が暴れ出した直後に、現場に駆けつけることができる。
警察、消防もすぐに駆けつけるはずなので、避難誘導も比較的早いタイミングで引き継ぐことができる。
ケルベロスとしてはできる限り、攻性植物の抑え、討伐に専念したいところだ。
説明を終えたリーゼリットはすぐにでも、現場に向かいたいとケルベロス達へと話す。
「大阪市内の人々を守る為に。どうか、よろしく頼んだよ」
そうして彼女は自身のヘリオンへと、握手を求めるのだった。
参加者 | |
---|---|
霖道・悠(黒猫狂詩曲・e03089) |
ルース・ボルドウィン(クラスファイブ・e03829) |
彼方・悠乃(永遠のひとかけら・e07456) |
鋼・柳司(雷華戴天・e19340) |
萌葱・菖蒲(月光症候群・e44656) |
晦冥・弌(草枕・e45400) |
グラハ・ラジャシック(我濁濫悪・e50382) |
クロエ・ルフィール(けもみみ少女・e62957) |
●その植物は『戦い』を求めて
大阪府大阪市へと降り立つケルベロス達。
今年の夏の暑さを実感しながらも、メンバー達は周囲を見回す。
「……暑い……し……面倒……だけど、草刈りの時間……だわ……」
ぽつりぽつりと語る萌葱・菖蒲(月光症候群・e44656)。
光溢れる外の世界に飽きることがない彼女だが、さすがにこの暑さは応える様子。
「この暑い中で雑草取りか……、最悪なミッションだな」
普段、クールなルース・ボルドウィン(クラスファイブ・e03829)は汗が滲む暑さもあって、明らかに虫の居所が悪そうだ。
「こんなに暑い日でも、攻性植物は枯れずに暴れ回ってるんだなぁ」
ドワーフであり、チームに長身な男性ばかりとあって小柄さが目立つ晦冥・弌(草枕・e45400)。
暑さの中、彼は宇宙を思わせる青い瞳で大阪の街を見渡す。
突如、隣の街路で起こる轟音。それも1つではなさそうだ。
「クハッ、わざわざ『戦い』を求めてんのか、いいな」
「戦いを好むというのは、わからんでもない」
人相の悪い顔で、グラハ・ラジャシック(我濁濫悪・e50382)が楽しげに頬を緩めると、長身ばかりの男性陣の中でも最も背が高い、鋼・柳司(雷華戴天・e19340)が応じて。
「望み通り、戦場の流儀で葬ってやるまでだ」
すぐさま彼は仲間と共に、敵の出現地点目指して走り始めたのである。
巨大化し、攻性植物と成り果てた鋸草が4体、大阪の街で暴れている。
「逃げ、逃げえぇ!」
人々が叫び、逃げ惑う中、攻性植物は我が物顔で街を闊歩していた。
「ノア」
それを見た霖道・悠(黒猫狂詩曲・e03089)はボクスドラゴン、ノアールをカバーに向かわせ、悠自身もゆらりとその身を動かして敵陣に向けて急ぐ。
どうやら、まだ警察は駆けつけていない。
「みんな、こっちだよ! こっちに避難して下さい!」
けもの耳をぴょこぴょこと動かす、クロエ・ルフィール(けもみみ少女・e62957)は避難の手伝いに動き、警察が来るまでの場を繋ぐ。
同じく、柳司もその短い間に、一般人へと害がないよう指示を出しつつ、攻性植物の動きに備えていた。
「俺らケルベロスが処理するから、抑えてる間に逃げとけ!」
敵へと向かいながら、グラハが周囲へと叫びかける。
幸い、警察のサイレンの音が近づいて来ている為、指示に従えばなんとかなるだろうとグラハは続けて呼びかけていた。
さて、一直線に攻性植物を目指して近づくメンバーは、暴れる攻性植物を牽制しながら、応戦の構えを取り始める。
「鋸草って花は綺麗だけど、葉は近寄りがたいんですよね」
自身の身長の倍はある敵。それが暴れるとなると……。
さぞ寝覚めの悪い状況になるだろうと考え、弌はにっこりと微笑んでから一言。
「うん、駆除一択ですね!」
敵がケルベロスの姿を認めて近寄ってくる間に、普段は収納している銀の花を黒髪の上に現した彼方・悠乃(永遠のひとかけら・e07456)が白い翼を広げて。
「タイプは2種、2体ずつ。その片方が使う催眠攻撃は要注意ですね」
仲間達へと呼びかけながら、悠乃は相手の布陣を見定めようと敵を注視し続ける。
闇医者であるルースは攻撃役となるべく、前に出る。
武装を取り出した彼もまた、敵編成の把握に努めていた。
「よし……、避難はちゃんと引き継げたね」
クロエは本格的な戦いの前に、仲間達が警察へと避難の引継ぎをしているのを目にし、攻性植物へと言い放つ。
「ノコギリ草さんは『戦い』が好きなのかぁ~?」
しかし、敵はグラビティをもってその返答とし、咲かせた白い花から光線を放ち、さらに蔓触手を伸ばしてくる。
「わたしも『戦い』は好きだぞぉ~! 一緒に暴れようね!」
ややズレた考えを口にしていたクロエは、表情を引き締めて仲間と共に敵の抑えと討伐に当たっていくのだった。
●これぞ求める『戦い』
鋸草の攻性植物は、人々の命を奪うべく暴れていく。
とりわけ、グラビティ・チェイン豊富なケルベロスであれば、狙うには十分な理由があるのだろう。
放たれた光線や蔓触手は、前線に立つ柳司や悠が主となって受け止めていた。
そして、悠の箱竜ノアールは元気にその身を投げ出すように飛び、ケルベロス達を守ってくれる。
その上で、敵のグラビティが様々な影響を及ぼす為、ノアールは自らの闇属性を注入してケルベロス達に耐性を与えてくれた。
悠もまた蔓触手に絡まれながらも、紙兵を前方へと撒いていく。
「……You bastard!」
後方から相手を狙う菖蒲は、巨大な鎌とアンチマテリアルライフルが一体化した異形の武器を手にして立ち回る。
ただ、彼女は初手でそれを使わず、上げた右腕の指をワキワキと曲げて。
「……May the Lord smile、 and the Devil have mercy……」
菖蒲が呼び出した奇妙な笑い声を上げる怪物は、一直線に敵へと飛んでから自爆していった。
とはいえ、相手もデウスエクスと化した存在。一度の爆風で吹き飛ぶほど柔な相手ではない。
前線メンバーの援護には弌も当たり、エクトプラズムでつくった擬似肉体によって傷を塞いでいく。
「炎も毒も催眠も、どんな異常もお任せあれ」
全て綺麗に治すと豪語し、弌は仲間の治療の為に動いていた。
守りだけではなく、攻めに出るメンバーもいる。
「数がいるってのも好条件、多数対多数にも慣れて損はねぇ」
敵の布陣について、メンバー達は互いに声を掛け合う。グラハもその1人だ。
光花以外のグラビティの使用があれば、相手のタイプは確定。後は布陣を見定める。
仲間と連携はとるが、やはりグラハは単独で飛び出すのが性に合っているらしい。
「……と、あいつか!」
優先は、埋葬形態を使う敵。しかも、そいつがジャマーとして強く催眠をもたらしてくるのであらば、なおのこと。
竜鎚を振りかざすグラハは砲弾を発射し、そいつの太い茎へと撃ち込む。
苦しむ敵は悶え、足を……蠢かせる根を僅かに止めた。
敵の足並みが乱れているうちに、チームの回復役となる悠乃が仲間達の足元に黒い鎖を這わせ、魔法陣を描いていく。
さらに仲間達の状況を見て、彼女は素早く仲間達の患部を切り裂き、緊急手術も合わせて施していった。
仲間達の盾として立ち回る柳司も回復を重視して、魔法陣を展開させつつ電子書籍を思わせる紙兵を現して仲間の警護をさせる。
彼は攻撃も視野に入れてはいたが、序盤は敵の数もあってほぼほぼ回復に徹していたようだ。
こうして、攻性植物のグラビティが及ぼす悪影響を可能な限り排除しつつ、ケルベロス達はまず、阻害役となる敵を潰そうと尽力する。
なにせ、相手の催眠がこちらに及べば、一気に戦線を崩される恐れがあるのだ。
倒すべき阻害役が徐々に弱ってきていることを、ルースは察して。
「ここは、俺が行く」
仲間に一声かけたルースは、眼前の敵へと仕掛ける。
暑さに苦虫を噛み砕いた顔をしたままの彼は、黒色の魔力弾を発射した。
だが、敵にも盾役がいる。
疲弊した仲間を庇うように前に出て、ルースの一撃を受け止めて見せた。
「あたしも援護する」
その横で、ガトリングガンを撃つクロエがクールに告げる。
小さな体を活かす彼女は相手の光線をうまく避けつつ、前線に出て。
「ブリッツベイル!!」
すでに、雷撃呪文を付加した斧を振り上げたクロエ。
電光石火の動きで、彼女はその重たい刃を正確に叩きつける。
「叩き……潰すッ!」
太い茎が焼け焦げ、ジャマーとなる攻性植物の体が真っ二つに裂けていった。
当面の脅威は排除できたものの。
鋸草の攻性植物3体はなおも『戦い』を求め、身体を大きく変形させた口を開いてかぶりつき、あるいは地面に根を埋めて周囲の侵食をはかる。
倒れた阻害役と合わせて侵食による催眠を使うのは、盾となる1体だ。
コイツを潰したくはあるが、それ以上に火力として攻めくる1体をメンバー達は脅威として優先し、グラビティを集中して叩く。
菖蒲は手にする大鎌を投げ飛ばし、手前の2体を薙ぎ払う。
個別に叩くとなれば、どうしても盾役が火力役を庇うことも多いが、個別撃破がメンバーの作戦。
例え多少カバーされても、メンバー達は力技で相手を叩いていく。
それだけに、しばし、戦況は硬直することとなる。
柳司は伸びてくる蔓触手に縛りつけながらも、さらに地面からの侵食に気丈に耐えていた。
そんな前線メンバーを支える為に、弌は癒しの風を巻き起こして仲間達の傷を塞ぎ、仲間達を身体の不浄を振り払っていく。
回復ばかりで立ち回る弌だが、彼なりに戦いを楽しんでいたようだ。
悠乃もまた仲間の傷を塞ぐことに重点を置き、回復グラビティを行使する。
異常回復のカバーが間に合っていれば、悠乃は光の盾を展開し、防御を高めて敵の攻撃に耐えられるようにと配慮していたようだ。
箱竜ノアールの属性注入も合わせ、回復グラビティを受けていた悠。
「もう大丈夫だ」
ある程度傷が塞がり、攻撃に飛び出した悠は燃え上がるエアシューズで攻性植物へと蹴りかかっていく。
またも盾役が邪魔してくるが、そいつもまたかなりのダメージを受けており、全身が傷だらけとなっていた。
「ンー、菖蒲チャン」
「……Yes!」
悠の声に応じた菖蒲がすかさず、異形の武器「Philistine」のライフルから凍結光線を発射する。
「……Out of my way!」
グラビティ・チェインの枯渇もあって、身体の大部分を凍らせた攻性植物は身体に亀裂を走らせ、崩れ落ちていった。
残る鋸草の攻性植物は、2体。
鎖を這わせて魔法陣を描いた悠乃がさらに癒しの風を巻き起こして支援を続けている手前で、メンバー達は火力として蔓触手を振るう攻性植物の駆除へと全力で当たる。
「射出」
小柄なクロエは敵の攻撃をかいくぐり、ガトリングガンの弾丸を相手へと浴びせかけていく。
爆炎の魔力が籠められたクロエの弾丸を浴び、身体に炎を燻ぶらせる敵へ、グラハが飛び込んで。
「ドーシャ・アグニ・ヴァーユ。病素より、火大と風大をここに崩さん」
自身の身体へと黒い靄を纏うグラハは、徐々に右腕へと重点的にその靄を纏わらせる。
彼の姿はまるで、心身を悪霊化したようにも思わせて。
「――有難く、糧として、経験として喰ってやるよ」
散々暴れた敵目掛け、その右腕で強く殴り飛ばす。
その打撃箇所から機能不全を起こした攻性植物は、苦しみながら地面へと崩れ去っていく。
「勝てればいいんだよ、勝てればな」
グラハは倒れる敵へと、そう嘲笑してみせていた。
敵の数が減れば、必然的に回復の手も不要となっていく。
残る1体に、回復の手を止めた弌が攻め入る。
「枯らせないなら、凍らせてしまえばいい」
彼が伸ばす指は、さながら子供の遊び「氷鬼」のように相手を捉え、凍てつかせていく。
「ほぅら、冷たい」
ただ、遊びとは違い、それが融けることはない。
グラビティをもって触れたその指は氷を咲かせ、花を舞わせた。
続き、柳司もまた徒手空拳のままで相手へと仕掛ける。
「雷華戴天流、絶招が一つ……」
義手である左腕に内蔵された魔導回路にエネルギーを巡らせ、紫色の雷刃のように手刀を振るい、敵の根を、触手を切り裂いていく。
その一撃に煽られ、身体に痺れを走らせた敵へとルースが静かに言い放つ。
「植物とは実り、恵むものだ」
――他者との共存を必須とし、支え合う進化は美しく、強かだ。
「……そして、あまりにあんまりだと、こうして引っこ抜かれる」
ルースは「FTC-006 Daphne」の刃を操り、美しい軌跡を描いて攻性植物の体を捌いていく。
次の瞬間、巨大な鋸草の体は見事に寸断されて。
「お大事に」
道路へと落下したその残骸は、衝撃によって粉々に砕け散ったのだった。
●冷えたドリンクを飲みながら
攻性植物を倒しても、戦闘の余波を受けた街を修復することもケルベロスにとっては立派な仕事。
悠は箱竜ノアールと共に損壊部のヒールに当たり、紙兵を撒いていくと、菖蒲は自身の傷口から血を飛ばしてその力で破壊箇所を幻想で埋めていた。
クロエがステップを踏みつつ周囲へと花びらのオーラを舞わせてヒールを行う傍ら、ルースがそれを眺めながら手作業で修復の手伝いへと当たる。
歌や踊りの演出は難しいと考える悠乃は人々を励ます為、この場に一陣の風を吹かせていた。
起こした癒しの風は街だけでなく、人々の心までも癒していく。
(「迫るケルベロス・ウォーでは、一般人さんたちの協力も絶対に必要」)
――守るべき者というだけでなく、共に戦う仲間。
だから、その仲間の人達の心も支えたいと悠乃は考えている。
一方で、同じキュアウインドで癒しに当たる弌。
人を励ますのが不慣れな彼だったが、それでも目新しい都会への興味が勝ったらしく、地元民に大阪オススメの食事や観光場所を尋ね、教えてもらったことに目を輝かせていたようだ。
負傷と見なした箇所を癒しの拳で殴り飛ばし、街を補修するグラハは身体から汗を流して。
「しっかし、クソ暑ぃな」
すると、戦いに修復にと働くケルベロス達へと、大阪の人々から差し入れをと声が上がると、グラハがすまねぇなと返礼した。
「……暑気吹っ飛ぶぐらいキツイ炭酸飲料ねぇか?」
「俺は麦茶をもらおうか」
「冷えたオレンジジュースくださーいっ!」
柳司、クロエがそう主張すると、周囲の人々は合わせて飲み物を用意する。
なお、地元民はグラハに、炭酸の強いジンジャーエールを用意してくれていたようだ。
麦茶を頂きつつ、アルコールを恋しがる柳司は気力を発し、しっかりと街を直してから改めて呑みに出直そうと考える。
「ビー……いや、キンキンに冷えた水を頼む」
一通り修復を終えたルースは貰った水で喉を潤しながら日陰で一服していたが、彼も黄金色の炭酸飲料を呑みたいようだ。
菖蒲も希望していたラムネを貰い、ぼんやりと街を眺める。
すると、キンキンに冷えたオレンジジュースを飲み、キーンと頭を痛めていたクロエが叫ぶ。
「こう暑いと、冷たいものが美味しいね!」
そんなクロエが地元民と微笑むのを、ラムネを飲み干した菖蒲は目にして。
「……守れて……良かった……わ……」
タバコのようにラムネ菓子を口にくわえ、彼女はしばらく街中で黄昏れていたのだった。
作者:なちゅい |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2018年7月25日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 5/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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