幼女のおへそは魅力的！

■リプレイ

●教会前
「今回の連中は……幼女絡みの変質者か。何というか……子供がいる親御さんが、心配になるような連中だな。まぁ、ビルシャナや信者連中の親御さんも嘆くだろうが……。変質者は一罰百戒で何とかするしかないか」
　四辻・樒（黒の背反・e03880）は仲間達と共に、ビルシャナが拠点にしている教会の前にやって来た。
　ビルシャナは信者達を前にして、幼女のおへそは魅力的であると考え、何やら如何わしい事をしようとしているようだ。
　そのせいか、教会の外観も妙にメルヘンチックであったが、中身は別物……もしくはケダモノだろう。
　それが分かってしまうほど、異様な気配が漂っているため、良い子は決して近づかない感じである。
「樒……ダメだ。実被害が及ぶ前に何とかしよう」
　月篠・灯音（緋ノ宵・e04557）が、そっと扉を開けて教会の中を覗き込み、全身に鳥肌を立たせてパタンと閉めた。
　後ろにいた樒も劇画タッチになるほどの危機感を覚え、灯音と顔を見合わせ、重々しくコクンと頷いた。
「幼女のおへそは魅力的だって言いますけど、その幼女は成長しちゃうと思うのですが……」
　高坂・綾音（小さな花嫁・e10792）がビキニ水着姿で、気まずく汗を流す。
　何やら嫌な予感しかしないのだが、おそらく……予感だけでは済まないだろう。
「え、えっと、おへそ以外にも素敵な所はあると思いますっ。た、例えば、そけいぶ……はもっとあぶなかったです！　な、なんでもありませんー！」
　翔羽・水咲（産土水に愛されしもの・e50602）がハッとした表情を浮かべ、慌てた様子でワタワタした。
　思わず口に出てしまったものの、とんでもない事を言ってしまった事に気づき、余計に恥ずかしくなってしまったようだ。
「お嬢様、激しい動きで、おなかを冷やしません様に♪」
　六道・蘭華（双霊秘詩の奉剣士・e02423）が腹部とへそを温めておいたブランケットを赤堀・いちご（ないしょのお嬢様・e00103）から受け取り、テキパキと畳んでいく。
　今回のメインは、へそ！
　それ故に、へそが重要なキーになる！
「それにしても、お嬢様のおへそ……、形がすごい綺麗だよね……」
　榊・凛那（神刀一閃・e00303）がいちごと蘭華を交互に見つつ、羨ましそうな表情を浮かべた。
　思わずメイド服の上をたくし上げそうになるほど、内心じぇらじぇらしているものの、それを表に出さないように、我慢、我慢……我慢である。
「皆さん、私のおへそのことはいいですから……。誉めてくれるのはうれしいですけど、それじゃ信者たちと一緒になってしまいますから……。そ、それに……なんていうか気恥ずかしいです……」
　いちごが困った様子で、恥ずかしそうに頬を染めた。
　何やら仲間達までへその暗黒面に囚われそうな勢いである。
「いやまぁ、アンタッチャブルなのは同意するけどね……。臍でもなんでも……誘われてる、そういう視線をする時点で乙女の……幼女の……？　……まぁ、ともあれ敵だろうけど……。とにかく、色んな意味でもストッパーになるべく頑張ろう、うん……」
　そう言ってピアディーナ・ポスポリア（ポスポリアキッド・e01919）が自分自身に言い聞かせつつ、仲間達と共に教会の中に入っていった。

●教会内
「いいか、お前等！　この世に幼女のへそより勝るモノ等、存在しない！　故に、幼女のへそ最高！　それを愛でるためなら、いくら金を積んでも惜しくないッ！　だからこそ、俺は言いたいッ！　幼女のへそこそ最高である、と！」
　教会の中にはビルシャナがおり、信者達を前にして、自らの教義を語っていた。
　信者達もそれを聞いて、興奮気味に『そうだ、そうだ！』と連呼しつつ、幼女を誘拐するため、如何わしい計画を頭の中で練っていた。
「……あら？　珍しくビルシャナの言葉に一理ありますわね」
　そんな中、蘭華が仲間達と共に現れ、感心した様子でビルシャナ達に視線を送る。
「そうだろ、そうだろ。いやー、分かってくれる人がいて俺も嬉しいよ？　だって、そうだろ？　何も間違った事を言っていないのに、みんなゴミを見るような目で俺を見るからさ。そんな時でも、俺は心の中で思っていたね。俺は絶対に間違っちゃいないって！」
　その途端、ビルシャナが少年の如く瞳をキラキラ輝かせ、自らの教義がいかに正しいモノなのかを語り始めた。
　それは独りよがりの教義であったが、まわりにいた信者達は感動しているのか、瞳から溢れ出した涙を抑える事が出来なかった。
「ただし……、お触りは許されません……が！」
　蘭華がビルシャナ達に釘を刺すようにして、彼らをジロリと睨みつけた。
「そりゃあ、もちろん！」
　ビルシャナがまったく迷いのない笑みを浮かべた。
　そこには欲望のカケラもなく、ただ純粋に幼女のへそだけを愛する紳士がいた。
　もちろん、それは紳士と言っても、変態紳士。
　変態界のエリート的な存在であるため、一般人に理解される部類ではないが……。
　それとは対照的に、信者達は二度見。
　『えっ？　マジ！？　本当に触らなくていいの！』と言わんばかりに戸惑いムード。
　なんだかんだ言っても、ビルシャナだって男なのだから、幼女にあんな事や、こんな事をしたいと思っているはず。
　そう確信していたため、まるで悪夢でも見ているような感覚になっていた。
「触れようとしたら、こんな感じで斬れるから。何が、とは言わないけどね」
　すぐさま、凛那が唐突に柱をぶった切り、指や股間に視線を向け、アルカイックスマイルを浮かべた。
「……ゴクッ！」
　それだけで信者達はすべてを理解し、内股になりつつ、コクコクと激しく頷いた。
　だが、ビルシャナだけは、キョトン顔。
　『……と言うか、触れないし……』と言わんばかりに、キョトンである。
「うひゃあ！　い、いきなり何を……するんですかっ！」
　そんな中、いちごが蘭華にへその辺りを撫でられ、間の抜けた声を上げた。
　それだけでビルシャナ達はガン見。
　一言で言えば……御馳走と言う名のオカズである。
「だってお嬢様、柔らかいですもの♪　ただし……あなた達は駄目です！　フリでも何でもなく、あなた達は幼女の臍に触れませんわ♪」
　蘭華がいちごに後ろからハグしつつ、ビルシャナ達に見せつけるようにして、へそのまわりを撫でていく。
　それはビルシャナ達にとって、最強のオカズ。
　ご飯的なモノが進み過ぎてしまったのか、両目がギラギラ……血走っていた。
「はいはい、ストップ、ストップ！　それ以上、弄ったらマスターが茹っちゃうから、そこまで……。でも、どうせ触れるなら、ほっぺの方がぷにぷにで可愛らしいと思うんだけどな」
　ピアディーナがいちごの腕をガシィッと掴み、ぽゆんと胸元に抱き寄せた。
　その間もビルシャナ達は、へそをガン見。
　へそだけを……ガン見である。
「と、と、ともあれ、ちっちゃい子のそれを狙っちゃうのは、あぶなすぎますので、もうちょっと年上でも……って、こっちもこっちでやっぱりあぶなかったですあわわわ……」
　水咲もいちごにギュッとしながら、ビルシャナ達に対して意見を述べた。
　だが、その言葉はビルシャナ達には届かない。
　ただ一心にへそだけを見つめ、何やら悟りのような表情を浮かべていた。
　しかし、ビルシャナ達のまわりに漂っているのは、重々しい空気。
　まるで黒くネットリと纏わりつくような空気が、重々しく辺りにどんよりと漂っていた。
「あ、あの……聞いてますか？　幼女といっても、いずれは大人になってしまうんですよ。　ドワーフといえどもこんなに胸が大きくって、さっきから何処を見ているんですか！？」
　その視線に気づいた綾音が、ビキニ水着から露出したへそを隠す。
「もちろん、へそだ。俺達にとって、見た目が幼女であれば、幼女以外の何物でもない。そこにへそがあるのであれば、それを見るのが道理ってモンだ！」
　ビルシャナがギリリとした表情を浮かべ、キッパリと言い放つ。
　それはある意味、哲学……哲学的なモノ。
　年齢や性別で判断するのではなく、見た目で判断する事……それはへそを愛するが故に達した境地！
　……つまり愛！
　愛故に行きついた先が、それだった。
　この時点で一般人からすれば『何を言っているんだ、コイツは』と思われてしまう程のモノだが、信者達は違う。
　まったく違う反応だった。
　彼らは泣いていた。心の底から泣いていた。
　それはビルシャナの言葉に感動し、魂を打たれ、魅了されたため……。
　それがすべて洗脳されているために、湧き上がった感情である事に気づかぬまま……！
「……と言うか、そこの鳥とお前ら、外側から見て完全に変質者だぞ。お前らの知り合いや両親もそんな所を見たら嘆くだろうに……。百歩譲っても、そういう性癖は表に晒すべきではないし……人前に出るべきでもない。それで警察のご厄介になっても文句は言えないしな。幼女のへそより灯の方が私には良いし、やはり触れるのは自分の最愛の人が一番だと思う」
　樒が愛しげに灯音の髪を撫でつつ、自分なりの考えを述べる。
「私も、樒が愛しいのだ。大好きなのだ、愛してるから触りたいのだっ」
　それに応えるようにして、灯音も樒にぎゅーっと抱き着くのであった。

●ビルシャナ
「だったら、俺も好きだ！　へそが大好きだ！　もちろん、眺めるのが好きだ！　触れるなんて以ての外だと思っていた。少なくとも、今までは……！　だが、それは大きな間違いであると確信した！　好きなモノを愛でて何が悪い！　俺が好きだから愛でる！　ただ、それだけの事なのに……！　それなのに、許可が必要か？　好きな事に許可などいるのか？　いる訳がないッ！　だって、俺が好きなんだから！　俺の好きは止められねぇ！」
　それと同時にビルシャナの中で何かが弾けた。
　瞳孔の開いた眼で叫ぶ姿は、まさに狂気の権化。
　おそらく、彼の中で何かが弾けてしまったのだろう。
　欲望の言う名の何かと共に……！
　それが黒い種をバラ撒き、信者達の心の中で芽生え、狂喜乱舞させる結果となった。
　『俺達は自由だ！　これで好きなだけ、ヘソを愛でて、舐め回す事が出来る！』……。
　そう確信させてしまったのか、信者達が何かに取り憑かれた様子で、一斉に襲い掛かってきた。
「やっぱり、最後は欲望の赴くまま……ですか！？」
　それに気づいた綾音が、反射的にその場から飛び退いた。
「何故、逃げるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ！」
　だが、ビルシャナ達はケモノ……血に飢えたケモノ。
　両目をギラギラさせて、襲い掛かってくる、その姿に……かつての面影は残っていない。
「はわわっ？！」
　その気迫に圧倒され、いちごが本能的に後ずさる。
　彼らはヤバイ、マジでヤバイ。
　そう耳元で誰かが警告しているくらいヤバかった。
「ひゃああっ！？　お、お嬢様にいけない事はさせませんっ……というか、それ以上近づくのもダメですぅー！」
　それに気づいた水咲がいちごの身代わりになって、ビルシャナ達の行く手を阻む。
　しかし、ビルシャナ達は既にケダモノ。
　本能に忠実なせいか、既にへそしか見えていない。
　そのため、水咲はビルシャナ達に襲われ、あっと言う間に、へそのまわりが涎まみれになった。
「まだだ、まだまだァ！」
　だが、それでもビルシャナ達の欲望は満たされていない。
　もっと貪欲に……さらに奥深く……。
　深い深いところに感情が沈んでいた。
「言って解らない場合は体で覚えるしかないな。さて……世界中の親御さんの脅威を排除するために頑張ろうか」
　すぐさま、樒が灯音にアイコンタクトを送り、ビルシャナに攻撃を仕掛けていく。
「……って、既に目が犯罪者そのものなのだ！　そこまで、おへそが好きなら、まずは自分から見せるのだ！」
　それに合わせて灯音がニッコリと笑い、ビルシャナの羽毛を刈り取っていった。
「うぎゃああああああああああああ、やめろおおおおおおおおおお！」
　ビルシャナが叫ぶ。
　身体をジタバタさせて……。
　それはまるで陸に出た魚。
　水……いや、へそを求めてジタバタしているものの……それが届きそうで、届かない場所にある感じであった。
　それを目の当たりにしたせいか、信者達はドン引き。
　『ああにはなりたくねぇ』と言わんばかりに身体を強張らせ、その場から動く事が出来なくなっていた。
「回り道しても、ゼロ秒だ。……悪いケド、見切らせないよ」
　その間にピアディーナがゼロタイム・リフレクトバレットを仕掛け、ビルシャナの眉間を貫いた。
「ん……ああ……」
　その一撃を食らっても、なお……ビルシャナは、へそをガン見。
　『お前のへそも道連れだァ！』と言わんばかりに、ガン見である。
　しかし、その気持ちに反して、命は終わりを告げた。
　まるで花が散るように……。
　誰も道連れにする事が出来ぬまま……。
「何とかビルシャナを倒す事が出来ましたけど……。今日の蘭華姉、お嬢様ばっかり……そんな蘭華姉には、こうだっ！」
　その途端、凛那の中でジェラシーが爆発し、蘭華の腹部をむにむに触る。
「ひゃうっ♪　……ごめんね、凛那っ」
　蘭華が甘い声を響かせつつ、凛那の腹部をむにっと揉み返した。
　それは実に微笑ましい光景であったが、信者達は未だにガタブル状態。
　迂闊な事をしたら殺られる。
　場合によっては、去勢されてしまう！
　いちごは、そんな信者達を見つけて、苦笑い。
　何もするつもりはないが、ここで声を掛ければ、信者達がストンと腰を抜かしてしまう勢いであった。
「おつかれさまなのだ」
　そんな中、灯音が樒に『おつかれさま』のキスをした。
「ん、灯もお疲れ様」
　そう言って樒も、灯音にキスを返すのであった。

作者：ゆうきつかさ	重傷：なし 死亡：なし 暴走：なし
種類： 公開：2018年7月16日 難度：普通 参加：8人 結果：成功！
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