夏休み前に一暴れ

作者:あかつき


 夜より少し前、誰もいなくなった学校。木製のバットを担いで校門を這い登り、自分の教室の前までやってきた男子高校生。
「おらぁっ!!」
 皐月・健吾はバットを振り上げ、クラスの窓ガラスに向けて振り下ろす……途中で、向きを変えて空を切った。
「ああああ……ガラスばりっぱりに割ってやりてーのによ……、防犯装置が故障してる今がチャンスなのに……くっそ……弁償するときの金額が気になって割れねぇっ……!!」
 夕方からガソリンスタンドでほとんど毎日バイトをして、貯めた金の事を考える。見つかって弁償させられても、きっと足りるくらいにはなったはず。ガラスの値段だってインターネットでちゃんと調べたし。だけど、もし足らなかったら? 鬼のように怖い母親の顔が脳裏を過る。払いきれなかったら、どうしよう。
 健吾はバッドで地面を殴り付ける。その時。
「見つけたわよ、不良。私が更生させてあげる」
 振り返った先にいたのは、風紀委員のような格好をしたドリームイーター、イグザクトリィ。
「あなたは本当の不良ではないのね……だけど、あなたは本当は凄い不良になりたいと思っている。そう、弁償する時の事なんて気にせずにそのバットで学校中のガラスというガラスを割ってしまうような不良に」
 イグザクトリィの言葉に、健吾ははっとする。そして、バットを両手で握りしめた。
「そうだ……俺はあんたの言うような、すげー不良になってやる!!」
 やる気に満ちた健吾の瞳を見て、イグザクトリィはにやりと笑う。
「そういう事なら、あたしが手伝ってあげる」
 そう言って、イグザクトリィは健吾の胸にカギを突き刺した。


「日本各地の高校にドリームイーターが出現し始めたらしい。現れたドリームイーター達は、高校生が持つ強い夢を奪って強力なドリームイーターを生み出そうとしているようだ」
 雪村・葵は集まったケルベロス達に今回の依頼の説明を始めた。
「今回狙われたのは、皐月・健吾という学生で、不良への強い憧れを持っていたらしい。被害者から生み出されたドリームイーターは、強力な力を持つが、この夢の源泉である『不良への憧れ』を弱めるような説得ができれば、弱体化させる事が可能となる。不良になるのを諦めさせる説得でも良いし、不良そのものに嫌悪感を抱かせるようなものでも構わない。どうやら、この皐月という男子高校生は根は真面目なようだ。そこを上手く生かして説得したくれると上手くいくかもしれない」
 そして葵は、健吾がバイトに明け暮れていたらしい事を説明する。ガラスを割るためにバイト代を貯金していたとすれば、方向性は完全に間違っているが堅実で真面目な性格だと思って間違いではないだろう。説得で方向性を正してやればなんとかなるはずだ。
「説得をして、弱体化させる事ができれば、戦闘を有利に進められるだろう」
 時間は夕方、もう少しで夜になる時間。周りには誰もいない。学校によくある防犯装置だが、不具合が起きていてここ最近正常に作動していないので適当な所から侵入しても誰も来ない。
 ドリームイーターは一体、配下はいない。ケルベロスが現れるとケルベロスを優先して狙ってくるので、割ろうとしているガラスの事はあまり考慮しなくても良いだろう。また、ドリームイーターを生み出したイグザクトリィだが、到着した頃にはもういないので、健吾から生まれたドリームイーターとのみの戦闘となる。
「彼は不良になりたいと言っているが……俺はどうも不良に向いてないんじゃないかと思う。出来ればこれから先変に道を誤らないように説得してやってくれ」
 そう言って葵はケルベロス達を送り出した。


参加者
相馬・竜人(エッシャーの多爾袞・e01889)
シルフォード・フレスヴェルグ(風の刀剣士・e14924)
比嘉・アガサ(のらねこ・e16711)
葛城・かごめ(変種第一号・e26055)
天泣・雨弓(女子力は物理攻撃技・e32503)
カルマ・プレンダーガスト(ヴァルキュリアの降魔拳士・e35587)
貴龍・朔羅(虚ろなカサブランカ・e37997)
ミコト・クグリヤ(遠き声聞く濁闇紅の咎人・e41179)

■リプレイ


「オラァッ!!」
 健吾から生まれたドリームイーターは、健吾が望んだように木製バットという名の心を抉る鍵を振り上げる。狙う先は、教室のガラス。ガラスに照準を合わせ、ドリームイーターはにやりと口角を上げる。その時。
「イグザクトリィ……だったか? 風紀委員っぽい風貌っつー話だが、取り締まるために不良増やしてんのかね。なんつーマッチポンプだ」
 聞こえた声の主は、相馬・竜人(エッシャーの多爾袞・e01889)。ドリームイーターは動きを止める。
「誰もいねぇ筈だ……。俺以外……いなかった。なら、ケルベロス……か?」
 ぶつぶつと呟き、ドリームイーターは振り返る。そこにいたのは、駆け付けた八人のケルベロスと一体のサーヴァント。その姿を視界に納めた瞬間、ドリームイーターの瞳が殺気を帯びて、きらりと光る。
「ガラスを割る前で良かった……のかどうかは分かりませんが、一刻も早く彼を救出せねばなりませんね」
 シルフォード・フレスヴェルグ(風の刀剣士・e14924)がそう言い、自身の武器を構えたその時、ドリームイーターの口許が凶悪に歪む。
「ケルベロス……!!」
 そして次の瞬間、ドリームイーターはガラスの事など意識の外へと放り出し、木製バット型の鍵を手にしたまま、地を蹴りケルベロス達へ向け駆け出した。
「なるほどね」
 そう言えば出てくる時に、ドリームイーターはケルベロスとの戦闘を優先させると説明されたんだった。比嘉・アガサ(のらねこ・e16711)は側方へ飛び退きドリームイーターとの距離を取りつつ、一人呟く。
「なら、戦いながら説得、だね」
 頷き、アガサはバットを振り下ろしたドリームイーターへ、嘲りを込めた視線を向ける。
「避けんじゃねぇぞォッ!!」
 地面にめり込んだバットを再度振り上げたドリームイーターを見て、アガサは目を細める。
「……馬鹿なの?」
 古くは猩々の血の色とされた鮮やかな赤が、ドリームイーターを襲う。
「ぐがっ……このっ、馬鹿にしやがって!!」
 怒りの炎を瞳に宿すドリームイーター、その視線はアガサへと向けられる。
「うおおおっ!!」
 その怒りをそのまま込めた木製バットを握り締め、ドリームイーターは姿勢を低くしてアガサに肉薄する。そして、そのまま木製バットを振り切った。
「ぐっ!!」
 奥歯を食い縛り、アガサはその一撃を受け止めるが、その衝撃に数メートル吹き飛ばされた。
「羽目を外してみたい、悪いことをしてみたい憧れは真面目なあなただからこそあるのかもしれませんが……ですが、その努力の方向は間違っていると思います」
 そう声をかけながら、天泣・雨弓(女子力は物理攻撃技・e32503)はアガサへ追撃を試みるドリームイーターへ、横合いから重力を宿した飛び蹴りを叩き込む。間髪入れず、ナノナノのだいふくもしっぽで攻撃を仕掛けていく。
「ぐあっ!!」
 ふらっと姿勢を崩したドリームイーターは、恨みがましく雨弓を睨み付けた。ドリームイーターの注意が逸れたのを見て、カルマ・プレンダーガスト(ヴァルキュリアの降魔拳士・e35587)がアガサに駆け寄る。
「回復しますね。紡がれる運命は大アルカナ、節制の正位置!」
 節制を司るカードで発動した魔法は穏やかで温かい光に変じ、アガサの傷を癒していく。
「うん、助かった」
 頷き、アガサは立ち上がった。それから、アガサとカルマが視線を向けた先では、ドリームイーターが髑髏の仮面をつけた竜人の命抜で思いきりよく殴り付けられていた。殴打と共に、ドゴッ、と良い音がした所から考えるに、かなり良い当たりだったようだ。ぐらりと横に倒れかけたドリームイーターだが、すぐに姿勢を直して竜人を睨み付ける。
「何しやがんだよ、コラァッ!!」
 安っぽい威嚇をするドリームイーターに、竜人は訪ねる。
「一個だけ聞きたいんだがよ。お前さんガラス割りてえのか不良やりてえのかどっちだよ」
「はぁ?! んなの、不良やりてぇに決まってんだろうが。不良っつーのはガラスを割るもんだろ!!」
 とんだ偏見だが、まぁ本人は本気でそう思っているのだろう。竜人は無闇矢鱈に振り回す木製バットを避けつつ、溜め息を吐く。
「ガラス割りてぇだけなら一回思いきってやっちまえば良いと思ったが……不良になりてぇってのは、先公やってる身としちゃ、ちょっと看過できねえな。一回不良やっちまうと後が大変だからよ。マイナスからの再出発はめんどくせえぜ」
 元不良としてそう諭す竜人に、ドリームイーターは苛立たしげに吐き捨てる。
「うるせぇっ! 黙って、殴られてろっ!!」
 怒りに任せた一撃は、ドゴッとコンクリートの壁を凹ませた。
「きっとここでガラスを割ったら後悔すると思いますよ」
 そんなドリームイーターへ、シルフォードは迷い無く炎を纏った蹴りを叩き込む。
「ぐっ……鬱陶しいっ!」
 防御の為に動くドリームイーターを見詰めながら、葛城・かごめ(変種第一号・e26055)が口を開く。
「不良の証明としてガラスを割りたい、というのは解りました。しかし、ガラス1枚弁償できるかも怪しいのに、全部割ったりしたら到底足りないでしょう」
 オウガメタルからオウガ粒子を放出しつつ、かごめが冷静に告げれば、ドリームイーターが動きを止めた。
「え…………い、一枚……二枚……三枚で……」
 どこかの怪談のような呟きを聞き流しながら、かごめは続ける。
「それとガラスの値段しか調べていないようだけど、怪我人が出る可能性は考えているのかしら」
「けっ……怪我、人?!」
 ドリームイーターはぎょっとした顔で聞き返す。生来の真面目さはドリームイーターにも幾分かは反映されているらしく、誰かを怪我させる事に関しては躊躇いがあるのかもしれない。
「ええ。その可能性は否めません。割れた窓ガラスでけがをする人が出たとしたら、貴方の心は痛みませんか? あなた自身だってけがをするかもしれないし、弁償できても割れたガラスを作ることにかけた時間は戻らないのです」
 その僅かな躊躇いを見てとって、貴龍・朔羅(虚ろなカサブランカ・e37997)が言葉を連ねる。
「時間……?」
 怪訝そうに呟きに、ドリームイーターは、ふっと鼻で笑う。
「んなもんは知ったこっちゃねぇっ!」
 怪我人が出ることよりは動揺が少ない。しかし、きっと何処かに隙はあるし、そこまで想像が至らないだけかもしれない。
 朔羅は一度口噤み、刀身に薄く白百合の刻印のあるナイフを構えた。それから、問いかける。
「窓ガラスだけじゃなく、この世の中の者は全部誰かが作ったもの。それを安易に壊していい理由があるでしょうか?」
 そう訴えかければ、ドリームイーターの眉間に皺が寄る。
「そ……それは……」
 ぎり、と歯ぎしりするドリームイーターへ、朔羅は月下帰葬の鋒を向け、すうっと目を細める。
「太陽よ、輝きを持って世を照らすものよ。世界の秤よ、我が願いによって顕現せよ。一切の浄化を焼き尽くす御柱を立てたまえ」
「っ……!!」
 朔羅が太陽神の力を一時的に巫術に宿すと、敵を焼き尽くす光の柱がドリームイーターを襲う。
「白百合も言っているがその窓ガラスも、どこかの誰かが働いて作ったものだ。労働して賃金を得た君なら、労働というのが決して楽なものではないということはわかると思う。それを無にしていいのだろうか」
 ミコト・クグリヤ(遠き声聞く濁闇紅の咎人・e41179)は朔羅が発した言葉の中の、作ることにかかった時間、という箇所に、具体的な色をつけていく。きっと彼は労働の大変さを、誰よりも知っている筈だから。
「は、働いて……作った……」
 呟く単語に滲む葛藤。賃金を得るために費やした時間と、その間の苦労が、もしかしたら今彼の脳裏を過っているのかもしれない。そんなドリームイーターの様子を見て、ミコトは口下手と自覚してはいるが、あと一押しと言葉を続ける。
「それよりずっと有意義な使い道があると思うのだが、どうかこの中年の言葉を聞き届けてはくれないか?」
 そう続けながらミコトが放った炎弾をドリームイーターはギリギリで避けるが。
「……有意義な、使い道……そんな、だって、俺は……」
 ドリームイーターはぎゅ、と木製バットを握り締める。
「俺は……不良にっ!!」
 苛立たしげにバットを地面に叩き付けるが、しかし。
「……なる……なるんだよっ……でも、でもっ」
 地面は僅かにひび割れただけ。そこにドリームイーターの弱体化を見てとったケルベロス達は、互いに顔を見合わせ頷きあった。


 見事弱体化したドリームイーターの攻撃に威力も勢いもなく、形勢は完全にケルベロス達へと傾いた。
「はぁっ!!」
 デウスエクス殲滅を目的としてここに立つシルフォードの振った黒い刀身は、空の霊力を纏いドリームイーターの身体を切り裂く。
「くそおっ……弁償、なんてっ……そんなのっ!!」
 喚くドリームイーターは、モザイクを増殖させ、傷を癒していくが、それでも回復できないダメージが勝っているようだ。傷付いたままの身体へ向け、雨弓は両手に持った鉄塊剣を構える。
「悪い事を重ねる度に、先生からたっぷり怒られてしまいますね。……それと一緒に、お母さんからもたーっぷりとお説教でしょうか?」
「なっ……母さんは関係ねぇっ!!」
 ドリームイーターの動揺に追い討ちをかけるように、かごめがアイズフォンで電話をかける仕草をする。
「もしもし。皐月・健吾さんのお母様でしょうか。夜分に恐れ入ります。ケルベロスです。実は……」
「ああああああ!!!! 母さんは、母さんはやめろぉぉぉっ!!!」
 かごめの方へ意識が集中したドリームイーターを見て、雨弓は小さく肩を竦め。
「隙ありです。……この斬撃、あなたに見切ることができますか?」
 そして、優雅に舞うように二本の武骨な鉄塊剣を振るう。目にも止まらぬ斬撃は、ドリームイーターの身体を幾度も切り刻む。鉄塊剣を納める前にちらりと目を向ければ、だいふくは頷き畳み掛けるようにしっぽの先での攻撃を加えていく。
「ぐっ!!」
 顔を覆うように一歩退くドリームイーターへ、かごめは二本のチェーンソー剣を交差するように振るう。摩擦で生まれた炎は、斬撃と共にドリームイーターを襲う。
「てめぇっ……電話っ、は?!」
 炎に包まれながらも問いかけるドリームイーターへ、かごめは小さく息を吐く。
「気になるなら、最初からやらなければいいのです」
「良い不良も悪い不良もあると思うけどさ、どっちにしても力で解決する場面が必要があるだろう? こう言っちゃなんだけど、お金が足りない場合弁償するようなことを考えてるあまちゃんじゃ務まらないよ」
 けしてけなしている訳ではないけど、と続けつつ、カルマが拳を握る。
「なん、だと……!!」
 そう唸るように喉の奥から振り絞るドリームイーターへ、カルマの拳とそれに絡み付く攻性植物が横っ面に入った。
「ぐはっ!!」
 ぐらりと頭を傾けたドリームイーターに、カルマは目を細め、ふっと口角を上げる。
「俺も殴り合いはきらいじゃないんでね」
 姿勢を崩すドリームイーターへ、朔羅の蹴りが入る。吹き飛ぶドリームイーターの向かう先には、ミコトが構えをとっていた。
「貴き龍の方……お願い致します!」
 朔羅の言葉に、ミコトは僅かに目を細める。
「白百合は相も変わらず、無茶をする……」
 小さく呟いたミコトはドリームイーターへと向けて、御業から炎を放った。
「ぐあ……っ!!」
 ドリームイーターの攻撃から健吾を庇うようにポジションを取っていたアガサが、地面を蹴る。
「なんで不良になりたいのか知らないけど……どんな理由があるにせよ、アンタはアンタだろう? 無理にカタチを変えても意味ないよ。今のままで十分いいヤツに思えるけどね」
「いい、ヤツ……そっか……」
 妙にすっきりした顔で呟くドリームイーターの身体を、アガサのゲシュタルトグレイブが稲妻を纏い、貫いた。
「竜人!」
「おう!!」
 竜人は答えるよりも早く、動き出していた。仮面に込めたグラビティを全身へと巡らせて、竜人はドリームイーターに肉薄する。
「仮面は全てを覆い隠すーー……」
 焔色の仮面の奥から覗くのは、紛れもない闘志。僅かに息を飲んだドリームイーターへ、竜人は拳を振り抜く。
「いいからさっさと死んどけや、なぁッ!」
「ぐあっ……!!」
 苛烈な一撃を受け止め、ドリームイーターは壁に激突し、消滅したのだった。


「きれいになりましたね。……健吾さんは無事でしょうか?」
 校舎や地面をヒールで直した後、シルフォードは汗を拭いながら視線を巡らせる。ぴこっ、と尻尾が揺れたのはご愛嬌だ。
「建造物を破壊してもヒールで治るから無意味なのに、変わったことが好きなのね」
 そう呟きつつ、かごめは健吾を抱き起こし、肩を揺する。
「起きてください」
 声をかける雨弓と、頬を軽く叩くだいふく。
「う……ううん……」
 ややあって、健吾は難儀そうに瞼を開く。
「俺……」
 首を傾げる健吾の顔を、アガサが覗き込む。
「起きた? 痛いところとかは?」
「ええっと……だい、じょうぶ」
 目を瞬かせながら、健吾はかくかくと頷いた。そんな健吾に、アガサを押し退けながら竜人が問う。
「おい、まだガラス割りてぇか?」
 健吾は少し考えるように瞼を伏せてから、首を横に振った。
「いや、もういいや。俺、多分……不良とか、向いてないんだと思う。よく考えたら、普通不良って弁償とか考えないもんな。昔っから自分自身ちょっと弱気で、そんな自分が嫌いだったけど……それでも、まぁ良いのかなって……思えるようになった。なんでか知んないけど」
「……そうか」
 もしガラスが割りたいなら、ホームセンターにでも行って水槽を買ってきてやろうかと思ってたが、その必要は無さそうだ。肩を竦めた竜人に、健吾は不思議そうに再度首を傾げる。そんな健吾と視線を合わせるようにしゃがみこみ、朔羅が問いかける。
「気晴らしをするなら読書がいいですよ。私達、二人で古本屋をやっているんですが……もし来ていただけるようでしたら、貴方に似合いの一冊をお探しします。どうでしょう?」
 ちらりと朔羅が視線を向けるのは、後ろでその様子を見守っていたミコト。突飛な事を言い出すから、と心配していたミコトだが、そういう事ならとふわりと笑う。
「もし良ければ、だが。手製の金属製の栞もある。壊すのはたやすいが生み出すのは大変だが楽しいぞ。せっかくなら働いた賃金で何か作ることを学ぶといい」
 そう提案するミコトに、健吾は目を瞬き、それから笑って頷いたのだった。

作者:あかつき 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年7月24日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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