病魔根絶計画~熱帯に潜む病

作者:洗井落雲

●黄色い・熱
 黄熱。オウネツ。重症患者に黄だんが見られることからその名がつけられた。
 熱帯雨林に生息するネッタイシマカなどにより媒介され、人と動物に、共通して感染する病である。
 ワクチン投与による予防接種にて予防が可能であるが、実際にかかった場合には特効薬などは存在しない。病状を抑える対症療法を行うしかない上に、重症化すれば死に至る病である。

 ロベルト・ノゲイラは裕福な家庭を持つ人間ではなかったが、善良な人間ではあった。熱帯雨林にて、木材の切り出しなどを仕事にし、妻と幼い娘を養っていた。
 そんなロベルトが黄熱病にかかったのはつい先日のことだった。治療のためのお金がなく、満足な治療も行えなかったためか、不幸にも、その症状は悪化。
 ロベルトは苦痛に耐えながら、自身の命が失われるのを待つことしかできなかったのだ。

●重症患者を救いだせ
「集まってもらって感謝する。今回は、病魔根絶計画の一環として、『黄熱病』と戦ってもらいたい」
 アーサー・カトール(ウェアライダーのヘリオライダー・en0240)は、集まったケルベロス達へ向けて、そう言った。
 病魔根絶計画とは、病院の医師達や、ウィッチドクター達の主導による、文字通り、この世から病魔を根絶するための計画だ。
 医師達の手により準備は整っており、集められた重病患者に潜む病魔を全て倒すことができれば、病気はこの世から根絶され、新たな患者が現れる事もなくなるという。
 ケルベロス達の仕事は、この『重病患者の病魔』と闘い、倒すことだ。万一敗北すれば、病気の根絶に失敗し、変わらず病魔は感染を続けるだろう。
「この病に苦しむ人々を助けるためにも、是非手を貸してもらいたい。それに、8月には『ケルベロス大運動会』もある。この地域の人々にも、安心して運動会を楽しんでもらうためにも、作戦を成功させてもらいたいな」
 そう言って、アーサーはヒゲを撫でた。
「そうそう、皆の仕事は、病魔を倒すことだけではない。皆が担当する重症患者、彼の看病もお願いしたいんだ」
 と、言うのも、適切な看病を行ったり、話し相手になってあげたり、元気づけたりすることで、一時的にだが、その病魔に対する『個別耐性』を得ることができるからだ。個別耐性を得られれば、「その病魔から受けるダメージが減少する」。戦闘を有利に進める事ができるだろう。
 もちろん、人々を勇気づけるのもケルベロスの役目だ。個別耐性のため、というだけではなく、病気に苦しむ患者の為にも、適切なケアをお願いしたい。
「黄熱病には特効薬がない。症状は、発熱や呼吸不全、脱水などだそうだ。そう言った苦痛を少しでも和らげられるような、対症療法的な看病や、或いは、ケルベロス達の頼もしさを見せて、勇気づけてあげたりするのがいいかもしれないな」
 アーサーはそう言って、ふむん、と唸った。
「今回のケルベロス大運動会の舞台となる、南米地域の人々を苦しめている病魔だ。地域の安全ためにも、そして人々を苦しみから救うためにも、頑張ってほしい。君達の無事と、作戦の成功を、祈っている」
 そう言って、アーサーは君達を送り出したのだった。


参加者
コマキ・シュヴァルツデーン(翠嵐の旋律・e09233)
暁・万里(迷猫・e15680)
バジル・サラザール(猛毒系女士・e24095)
ヴィクトリカ・ブランロワ(碧緑の竜姫・e32130)
橘・雄一(不器用なガジェット・e44268)
ステラ・フラグメント(天の光・e44779)
遠音宮・遥(サキュバスの土蔵篭り・e45090)
犬曇・猫晴(銀の弾丸・e62561)

■リプレイ

●熱帯の地で
 患者の住む家は、この国でも低所得者層が住む地域にある。
 活気にあふれた場所ではあったが、あまり衛生的とは言えない場所だっただろうか。
 熱帯の気候は、日本とはまた違った暑さで、ケルベロス達を出迎えた。慣れない暑さに少しばかりの戸惑いを感じながら、ケルベロス達は患者の住む家へと向かった。
 患者――ロベルト・ノゲイラの住む家は、この地域では標準的な平屋の建物だ。建物の入り口には、病魔根絶計画に参加する医師が待機しており、ケルベロス達の到着を迎えてくれた。
 医師と簡単な打ち合わせを済ませてから、患者の部屋へと入る。雑然とした部屋の中、ベッドにはぐったりとした男が寝かされていて、その傍らには、病魔根絶計画に参加する看護師が、患者の様子を見守っていた。
 看護師は、到着したケルベロス達に気付くと、深く頭を下げた。ケルベロス達が頷くと、看護師はケルベロス達の方へと向かってきた。
「ケルベロスの皆さんですね。今日はよろしくお願いします」
 看護師がそう言うのへ、
「こちらこそ。最善を尽くすわね」
 コマキ・シュヴァルツデーン(翠嵐の旋律・e09233)が、温和な笑顔を見せて答える。
「医療関係者の皆さんも、黄熱病の根絶までの準備、大変な苦労があった事と思います。その努力に負けぬように……病魔の根絶、必ず果たして見せます」
 橘・雄一(不器用なガジェット・e44268)の言葉に続いて、
「本当にお疲れ様です。後は私たちに任せてください」
 バジル・サラザール(猛毒系女士・e24095)がねぎらいの言葉をかける。ケルベロス達の言葉に、看護師は改めて、深く頭を下げた。
 さて、看護師から諸々の情報を引き継ぎ、今度はケルベロス達が、患者の看護を行う番だった。この後の病魔との戦いを有利に進めるため、という理由もあるが、ケルベロスと言うヒーローたちによる慰問は、患者に希望の光をもたらす。これもまた、病魔根絶計画においては欠かせない仕事であり、ケルベロスにしかできない仕事でもある。
 ロベルトは重症患者ではあったが、幸い、現在は各種の症状は安定しているため、簡単な会話などはおこなえるようだった。
「まずは、自己紹介から、でしょうか。私たちはケルベロスです。ロベルトさんの病気を治しにきました。無事に元の生活に戻れますよ」
 雄一の言葉に、ロベルトは、弱々しく頷いた。上体を起こそうとするロベルトへ、
「おっとと、無理しちゃだめだよ」
 暁・万里(迷猫・e15680)が慌てて、ロベルトの体を抱き留めた。
「大丈夫ですよ。楽な姿勢でいてくださいね」
 遠音宮・遥(サキュバスの土蔵篭り・e45090)が穏やかにそう言った。その言葉に、ロベルトが頷くのを確認すると、万里は優しく、ロベルトの体をベッドへ横たえた。
「今まで、よく頑張られましたね。痛みや熱、辛かったでしょう、あともう少しの辛抱ですよ」
 そう言って遥がロベルトを勇気づける。それから、ケルベロス達の看病が始まった。
 万里やステラ・フラグメント(天の光・e44779)がロベルトの病状を和らげるべく、問診を行った。熱や吐き気などが無いか。水分はしっかりと補給しているか。ステラのウイングキャット、『ノッテ』は、主の命に従い、ロベルトへ向かって羽をパタパタとはばたかせ、風をあててあげた。
 ステラとヴィクトリカ・ブランロワ(碧緑の竜姫・e32130)はロベルトの体を、清潔なタオルで拭いてあげる。遥はそう言った皆の為に、煮沸した清潔な水を用意したり、ロベルトの体を支えて作業を行いやすくするなどのサポートを行う。
 看病のかいあってか、ロベルトの表情も、少しばかり和らいだようだ。
「辛かったことや苦しかったこと、逆に楽しかったことや幸せだったこと……よかったら聞いてもいいかでしょうか」
 そんな看病もひと段落着いたところで、バジルがロベルトへ尋ねる。ロベルトは少し考えるそぶりをしたのちに、
「幸せと言えば……やっぱり、娘が生まれた時です」
 と、答えた。
「おお! 娘じゃな! どんな子なのじゃ?」
 ヴィクトリカの言葉に、ロベルトはベッドサイドへと視線を移した。写真立てに入れられた写真には、ロベルトと女性、そしてヴィクトリカよりも幼いであろう少女の姿がある。
「この子がそうか……ふふ、可愛らしいのじゃ」
 目を細めて言うヴィクトリカへ、ロベルトは頷いた。
「わあ、可愛い盛りじゃない? 娘さんの為にも病気に負けてられないよね!」
 万里の言葉に続いて、
「なあ、もう少ししたら楽しいイベントがあるんだ」
 ステラが言う。
「ケルベロス運動会……ご存知ですか?」
 バジルの言葉に、ロベルトが頷いた。
「なら話が早いや! 奥さん、娘さんとも一緒に、俺たちの活躍、見に来て欲しいんだ。家族を紹介してくれたんだ、お礼に……万里、万里は大切なあの子と水着でデート、するんだろ? 今度こそ、紹介してくれよな。俺と、ロベルトさんに」
 と、ステラ。万里は笑いながら、
「そうそう、僕も奥様に負けないくらいの素敵な彼女を紹介したいしさ」
「良い思い出になると思うのじゃ!」
 続けるヴィクトリカ。
「そのためにも、私達と一緒に、病魔と戦いましょう。ふふ、実は私は魔女で、占いもできるんです」
 そう言って、コマキは水晶玉――ネクロオーブ『Sylvan Lythalia』を取り出して、手をかざした。
「大丈夫。家族みんなで、大運動会を楽しむあなたの姿が見えました」
 にっこりと笑う。
「ロベルトさん、貴方は賞賛されるべき人であって、斃れるべき人じゃない。貴方が斃れる事を、ここに居る誰もが望んでいない。勿論、貴方の家族も、ね」
 犬曇・猫晴(銀の弾丸・e62561)はそう言って、ロベルトの手を握った。優しく。しかし、勇気づけるように、力と思いを込めて。
「僕1人じゃぁ心配されるかもしれないけど、ここには8人もケルベロスが居るんだ。絶対に治すから、ロベルトさんも生きる事を諦めないで。そして」
 猫晴はニッと笑って、
「大運動会で会おう」
 その言葉に、ロベルトは瞳を閉じ、深く頷いた。

●病魔との決戦
 ケルベロス達の間に緊張がはしる。
 看病と慰問を終えたケルベロス達の次なる仕事は、この病の元凶たる病魔との戦いだ。
 ロベルトが眠るベッドの前に、バジルが立つ。その手をかざし、意識を集中するように瞳を閉じた。
(「黄熱病……多くの無辜の人々を蝕み死に至らせし病か」)
 ヴィクトリカが胸中で呟く。その病と人類との戦いは長い。多くの犠牲と人々の努力の結果、ワクチンと言うひとまずの対抗手段を、人類は手に入れた。そして今、その根絶の準備が整い、病との、最後の戦いが始まろうとしている。
「じゃあ、はじめるわよ」
 バジルの言葉に、ケルベロス達は静かに頷いた。
 バジルが意識を集中すると、ロベルトの体より、何かが引きずり出されるように姿を見せ始めた。
 赤。そして緑。炎の様な、羽の様な、ゆらゆらとした形状。時折見える腕の様な器官は、死へと引きずり込もうとする病の性質の表れか。
 バジルが更に意識を集中させる。患者の肉体から、病魔を引きはがす。バジルが、ふっ、と腕を振るうと、病魔はロベルトの体より離れ、その身体をケルベロス達の目前へとさらけ出した。
「キハハハハ! キキキキ!」
 耳障りな笑い声が響く。口などはない。果たしてどこから発しているのか……それは不明ではある。これは、たまたまそう言ったイメージを持つ個体であったのかもしれない。
「……姿を現しましたね」
 遥が呟くように言った。
 病魔:黄熱病はふよふよと宙を漂い、耳障りな笑い声をあげる。ケルベロス達は病魔を睨みつけ、各々の武器を構え、戦闘態勢をとる。
「怪盗ステラ・フラグメント。今日は一世一代の大仕事だぜ」
 ステラはそう言いながら、笑うと、
「何せ、この世界から、全ての人々から、黄熱病と言う病を盗み出すんだから!」
「なるほど。じゃあ今日ばかりは、僕も怪盗になろうかな」
 万里が笑うと、ゾディアックソードを地に突き刺した。描かれる守護星座が輝く。
「占いの結果は、私達の勝利」
 『Sylvan Lythalia』の中に希望を見て、コマキが言う。
「患者さんのため、そしてすべての人々ため……ここで病魔は根絶するわ」
「捕まえて研究してみたい……と思ったけれど、必要ないかしらね」
 バジルが走った。エアシューズによる滑走。跳躍からの蹴りの一撃が、病魔の体に突き刺さる。
「ここで根絶されるなら……永遠に、この病に苦しむ人はいなくなるのだから」
 言いながら、蹴りの反動を利用して、バジルが跳躍、距離をとる。
「虫が媒介する病気も根絶出来るんですね……デング熱、ペスト、マラリア……色々応用が広がりそうですが……」
 眼鏡をかけ直し、雄一が病魔を見据えた。ふよふよと漂う病魔。耳障りな笑い声に、しかし雄一は淡々とゾディアックソードを掲げた。描かれる守護星座。
「今は、黄熱病。この根絶を最優先に」
「さぁ、怪盗ステラの登場だ!」
 ステラが言って、跳躍する。乗せるは流星の煌き。華麗さすら感じられる所作から放たれる、流星の蹴りが、病魔に突き刺さる。ノッテはそんな主を応援するように、パタパタと翼をはためかせ、清浄なる風を発生させてケルベロス達を援護。
「行くのじゃ、紙兵よ!」
 ヴィクトリカは紙兵をまき散らし、ケルベロス達を守らせる。
「さて、まずは様子見と行きましょう」
 遥は殺戮衝動を解き放ち、その狂気の一部を味方へと伝播させることで、仲間の身体能力を向上させる。
「そのふよふよした動き! 止めさせてもらうよ!」
 猫晴が叫び、跳躍。流星の如き飛び蹴りが病魔へと突き刺さり、その動きが鈍るのを確認する。
「キキキ! キャハハ!」
 しかし病魔はふわりと浮き上がり、腕のように見える器官を巨大化させた。指先には鋭い爪の様なものが見える。狂ったような笑い声と共に、病魔は巨大化した腕を振るう。その一撃はケルベロス達を薙ぎ払うように繰り出された。切り裂かれたような、殴られたような痛みがケルベロス達を襲う。だが、その痛みは、予想したほどのものではなかった。
「……! なるほど、個別耐性を得られている、という事ですね……!」
 遥が呟く。単純にダメージが減った、という事もあるが、このように病魔への耐性を得たという事は、患者への看病が上手くいったという事、患者が生きる希望を見出したという事でもある。それが、ケルベロス達にたまらない喜びを与えてくれた。
「ロベルトさんが僕達を信じてくれた、って事なんだ。答えないとね」
 猫晴の言葉に、雄一が頷き、
「病魔、黄熱病……その活動、ここまでだ」
 病魔へと告げる。
「なら、一気に決めよう。「Grizabella」、その牙で、爪で、病を切り裂け」
 万里の呼ぶ声に、グリザベラは現れる。影に潜み、影より現れる巨大な猫。病魔の影より現れ出でた、グリザベラの口が大きく開く。ギラギラと輝く鋭い歯。
「ついでに綺麗な流れ星は如何?」
 万里の『灰被り舞踏(ルナティック・シンデレラ)』に続くように、ステラは病魔へと駆けた。その足に魔力を纏わせ、輝く流れ星のごとく軌跡を描く。
 グリザベラはその牙で、病魔に噛みつき、その身体を引きちぎった。間髪入れず、ステラによる鮮やかな蹴りの一撃が突き刺さる。そしてそれは瞬く星々のように、華麗に、幾度も放たれる。
「ギギ? キキキ!」
 困惑ともとれる声と共に、病魔が逃げ惑う。
「あなたは逃がさない……!」
 コマキが言って、『Sylvan Lythalia』をかざした。途端、病魔の身体が、球形に抉れる。不可視の虚無球体による一撃が、病魔の体をえぐり取ったのだ。
 キィキィと言う悲鳴のような声をあげながら、病魔は逃げ場を求めてさまよう。
「残念。ここまでよ」
 バジルはそう言って、注射器を投げつけた。病魔に突き刺さったそれは、中の液体を病魔へと注射していく。
「ギギ! ギギギ! ギ……キィ」
 病魔の悲鳴が、徐々にか細いものになっていく。宙に浮いていた体は徐々に高度を下げて、ついには地に落ちた。
「甘露転じて毒となる。用法容量は正しく――まぁ、最初から毒なのだけれど。毒を盛って毒で制す、なんてね」
 そう言って、バジルが肩をすくめた。
 地に倒れ伏した病魔は、痙攣するようにびくびくと体を震わせた。やがてそれも弱々しくなり、完全に動かなくなると、その身体はうっすらと消滅していった。
「……先生、あなたが生涯を通じて研究してきたものは、無駄ではありませんでした。今、この瞬間。黄熱病はこの世から消え去りましたよ」
 猫晴が呟く。誰かへと送った言葉は、静かに、静かに、風に乗っていった。

●根絶の成功
 戦場となった家屋をヒールし、ケルベロス達は一息ついた。
 ロベルトは、病中に体力を消耗したせいか未だ目覚めないが、その顔色はよく、呼吸も穏やかだ。
 ロベルトを残して、ケルベロス達は家屋を出た。入り口では、医療関係者たちと、ロベルトの家族が出迎えてくれた。
「黄熱の根絶は成功です」
 力強く言う雄一の言葉に、医療関係者達と、ロベルトの家族たちは、喜びと、安堵の表情を見せた。
「ロベルトさんはまだ眠っていますが、直に目を覚ますと思います。体力の回復には時間がかかるでしょうが、もう安心です」
 そう言う雄一へ、ロベルトの妻がすがる様に雄一の手を握り、何度も感謝の言葉を告げた。
「家族……か。よいもの……なんじゃな」
 ヴィクトリカは、小さく呟いた。こほん、と小さく咳払いをしてから、
「そうそう、一家の大黒柱が倒れていては、生活もままならんじゃろう。というわけで、その間の生活費として使うとよいぞ!」
 ヴィクトリカはそう言って、ケルベロスカードを差し出す。それは、ヴィクトリカだけではない。遥と、猫晴も同様だ。
「計画に協力してくださったお礼でもあります……生活補助としてお使いください」
 遥の言葉を受け、ロベルトの妻はケルベロス達へ向けて、何度も頭を下げた。悪用はされないだろう、という確信があった。
「そうそう、これ、日本のお菓子で、羊羹、というの。ロベルトさんが目を覚ましたら、皆で食べてね」
 コマキはそう言って、羊羹の入ったケースを差し出した。ロベルトの娘は不思議そうにそれを見つめてから、ありがとう、と元気よく言って、笑った。
「それじゃ、名残惜しいけど……あ、ケルベロス大運動会、見に来てね?」
 万里の言葉に、
「待ってるぜ? 俺達の活躍、楽しみにな!」
 ステラが続け、ノッテはにゃあ、と鳴いた。
「それでは、お大事に。またお会いしましょう」
 バジルの言葉を最後に、ケルベロス達は帰途へとついた。
 そんなケルベロス達を、医師達とロベルトの家族は、いつまでも見送っていた。

作者:洗井落雲 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年7月25日
難度:やや易
参加:8人
結果:成功!
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