浴衣美人に迫るオークとスライム

作者:遠藤にんし


「私のスライムも一緒に連れて行ってください!」
 スライム忍者・雷霧からスライムを受け取り、オークはニヤリと笑う。
 スライムはオークの手の中で自在に形を変える――オークは片手でそれを弄びながら、もう片方の手で無遠慮に雷霧の胸を掴む。
「ひゃっ!? ……お、お願いします!」
 突然のことに悲鳴を上げながらも、雷霧はオークらへそう懇願する――。

 有名な神社の近くにある広い公園では、ささやかながら夏祭りが催されていた。
 レンタルの、あるいは自分で買った浴衣を纏い、女性たちは小さな祭りを楽しんでいる。
 ――出店の途切れた先に、魔空回廊は出現する。
 オークの存在に気付いた女性は悲鳴を上げ、逃げようとする。
 しかしオークはその背中へとスライムを投げつけ、触手で捕らえるのだった……。

 とある公園で行われている祭の会場にオークが現れることを、高田・冴(シャドウエルフのヘリオライダー・en0048)は告げる。
「小さいお祭りで、そこまで人がいないのは幸いだが……このままでは、彼女たちは大変な目に遭ってしまいそうだ。そうなる前に、こちらで出来ることはしておきたいね」
 冴の予知によると、女性は10名程度に対してオークは15体ほど現れる。
 彼女たちを護り通すためには、避難誘導をしたり、こちら側から囮を出したりしなければならないだろう。
「オークは女好きだからね、挑発や誘惑をすれば、その方に気持ちが向くだろう」
 服を溶かすスライムも持っているので、その点も注意が必要だ、と冴。
 スライムは服を溶かすだけでダメージとはならない。投擲したり服の胸元から押し込んできたりすることが考えられるだろう。
「そうなんですね、スライム……服が、溶けてしまうんですね」
 冴の言葉を反芻するのはクノーヴレット・メーベルナッハ(知の病・e01052)。
 眼鏡の奥の瞳には、妖しい輝きが秘められていた。


参加者
赤堀・いちご(ないしょのお嬢様・e00103)
シィカ・セィカ(デッドオアライブ・e00612)
ラインハルト・リッチモンド(紅の餓狼・e00956)
ルリィ・シャルラッハロート(スカーレットデスティニー・e21360)
巫・結弦(射貫きの弓手・e31686)
アルーシャ・ファリクルス(ドワーフのガジェッティア・e32409)
根住・透子(炎熱の禍太刀の担い手・e44088)

■リプレイ


「ロックなケルベロスが来たからにはもう安心デス! 慌てず騒がず、安全第一の避難をよろしくお願いしますデース!」
 オークの出現を見るや否や、シィカ・セィカ(デッドオアライブ・e00612)は声を上げる。
 避難を勧める言葉の後に歌を唇に載せるシィカ。黒いリボンを揺らしながら歌われる曲調はアップテンポな歌声につられるように、人々の歩みも早くなる。
 それでも人々が押し合いにならずに済んでいるのは、凛とした風が彼女たちの頬を撫でるから。
 クノーヴレット・メーベルナッハ(知の病・e01052)は風に浴衣をはだけさせ、乱れた姿をさらす。
 サキュバスの力を秘めた黒い球の攻撃を受けてクノーヴレットの方を向いたオークは、その極上の肢体にオークはニタリを笑みを浮かべて、避難する女性たちからクノーヴレットへと狙いを変える。
 クノーヴレットの元へ迫るオークの触手が衝撃波に歪む。その直後、オークへと突撃を仕掛けたのはルリィ・シャルラッハロート(スカーレットデスティニー・e21360)だ。
「お前には分かるまい! 私の身体を通して出る力が! 滅殺!!」
 まさに猛撃。放たれた攻撃は苛烈で、そのあまりに浴衣の首元が緩む。着慣れない浴衣で着付けに甘い部分でもあったのだろうか。少しのほころびから浴衣の乱れは激しくなり、直そうにも直せない乱れが広がっていく。
 早々に乱れる二人の姿を見て、ラインハルト・リッチモンド(紅の餓狼・e00956)は思わず遠い目。
「うん、この時期だからね。浴衣とか水着とか…オークやビルシャナが盛んな時期だからね、仕方ないね!」
 どことなく捨て鉢感のある呟きを漏らしてから、ラインハルトは人々へ向けて声を上げる。
「皆さん、僕達はケルベロスです! 僕達が誘導しますのでエロイ目にあいたくない人は早く避難してください!」
 実際に目の前でえっちな感じになっている二人がいる状況での言葉だから説得力があったのだろうか、人々はオークから目を背け、足をさらに急がせる。
 急ぐ彼女たちの手助けをするのは赤堀・いちご(ないしょのお嬢様・e00103)。いざとなればフェロモンで彼女たちに言うことを聞いてもらおうといちごは思っていたが、どうやらその必要もなさそうだ。
「気を付けてくださいね」
 言いながら優しい色合いの霧を広げ、オークの攻撃に受けた仲間のダメージへの癒しを与えるいちご。
「色々な意味で危険なので離れてくださいねー」
 アルーシャ・ファリクルス(ドワーフのガジェッティア・e32409)は声をかけつつ足をもつれさせた女性を支え、時には手を取って誘導。
 戦場を背に向ける形なので状況は見えてはいなかったが……攻撃の応酬の合間に触手とスライムが飛び交っていることはなんとなく感じられた。
(「前回みたいな目に遭わないように気をつけないと……」)
 そんな風に覚悟を決める根住・透子(炎熱の禍太刀の担い手・e44088)も避難を行い、合間には舞うことで花びらのオーラを戦場へと降り注がせる。
 ここのところオークとの戦闘が続いている透子だが、そのせいか妙に恥ずかしい目に遭うことも増えてしまっている。これ以上の痴態を晒すわけにはいかない……そう心に決めながら、透子は避難の呼びかけを続ける。
 避難に人員を割いたおかげで、間もなく全員の避難が完了しようとしていた。
 ケルベロスたちにとっては良いことだったが、現場にいる女が減るということはオークにとっては好ましくないのだろう。オークは不機嫌そうに顔を歪めると、当たり散らすかのようにスライムを投擲しだす。
「させませんよ」
 スライムへと敢えて向かって行ったのは巫・結弦(射貫きの弓手・e31686)。
 藍色の浴衣はこの時のために緩く着付けていた。無作法を居心地悪く感じていた結弦だったが、今この時においてその姿は効力を発揮する。
 広げられた胸元へとスライムが滑り込み、深い谷間に挟まれて潰れると、浴衣の胸元がいびつに溶ける。
 大きな胸をあらわにする結弦へと迫るオーク――結弦はその視線を受け止めて、ゲシュタルトグレイブを握る手に力を籠めるのだった。


「あっちは大丈夫だよね?」
 避難誘導を完了させたアルーシャが不安に思うのは、もちろん戦場の肌色具合。
 大丈夫だといいなあ、などと考えながら戦場へと戻れば――。

「ん、はぁっ……こんな格好に、なってしまいましたね……♪」
 クノーヴレットの浴衣はほとんど溶けて、かろうじて残った布地も半分は脱がされて肌を隠す役には立っていない。
 身をよじるたび、体を締め上げる触手は柔らかな肉を押し上げて豊満さを強調するばかり。ほとんど身動きの取れなくなっているクノーヴレットの元へいちごの歌が届いて傷は癒え、代わりに触手の締める赤い痕だけが残った。
「クノンさん、大丈夫ですかっ?!」
 ボクスドラゴンのアリカと共に癒しに注力するいちごはクノーヴレットを触手から助けようと手を伸ばし――むにゅん、と掌から溢れるたっぷりのおっぱいに手を埋めてしまう。
「あっ、ち、違うんです! これは!」
 慌てて手を放そうとするいちごだったが、身をよじるクノーヴレットの胸どころではない場所にまで触れてしまう羽目に。
 そしてスライムは、そんな二人を見ていたアルーシャへも。
「さすがにフィルムスーツは溶かせ……あ」
 呟きかけて、アルーシャは下に何も着けていないことを思い出す。
 Fadeリキッドスーツの肉体が覗く――女子率の高い現場だしまあいいか、と気にした様子も特にないアルーシャに、むしろいちごの方が焦って顔を背ける。
「み、見えてます! 見えてますっ……!」
「そうだねー。後で着替えないと」
 オークは未成熟なアルーシャの体よりもよりクノーヴレットの肉体に興味津々。
 そしてそれは、健全男子であるラインハルトも同じだった。
「うん、知ってた。こうゆう風景になるよね……!」
 痴態をガッツリ目に焼き付けてから、ラインハルトはクノーヴレットの救出へ。
(「クノーヴレットさん、毎度思うけどノリノリだな~……やっぱり好きなのかな?」)
 そんなことを思いつつ、ラインハルトはオークを持ち上げ肩車にしてから大事なところを掴んで握り潰し、首から地面へと叩きつける――未練ありげな表情のまま絶命するオークの屍を飛び越え、アルーシャは別のオークへ炎を叩き込む。
 炎上する体が崩れ落ちる。撃破の手ごたえに、ラインハルトとアルーシャは視線を交わしてうなずき合った。
 クノーヴレットは別のオークの触手を口に運んで、唇から喉奥まで使って受け入れると、滲み出る粘液までじっくりと吸い上げる。這いつくばるような格好でオークを見上げる表情は、何とも嗜虐心を煽られるものだった。
「ぁあっ!?」
 突然甲高い声を上げたのは、背中から触手に絡めとられた結弦。
 不意打ちに近い形での攻撃に次いで、浴衣をはぎ取ろうと蠢く触手が襲い掛かる。抵抗も間に合わずあられもない姿になると、結弦をサキュバスとしての本能に近いものが苛み始める。
「こんなことは……させませんっ」
 髪についた粘液が垂れて顔の半分を覆う。片目を閉じたまま、結弦は炎でオークに抵抗する。
「恥ずかしい目に遭う前に何とかしないと……!」
 広がる肉の宴に焦りを覚える透子は癒しで仲間を支援しながら触手から逃げ回っていたが、その背中にスライムを食らい、そして触手につかまってしまう。
 セーラー服は服じゃなくて防具、という思いもあったのだが、そもそも触手に脱がされてしまっては形無し。隠していた巨乳を暴かれ、サイハイソックスには触手から漏れ出る粘液がしたたり落ちた。
「やっ、だめ……!」
 触手の動きは獲物をいたぶるかのよう。じわじわとスライムで服が溶かされ、もったいぶるような動きで脱がされていく。
 半分ほどの衣服は脱がされも溶かされもせず残ったが、そうして残されていることがより透子の羞恥を煽った。
 この戦いのために集まったケルベロスたちのほとんどがスライムと触手に襲われ、オークのいいように弄ばれている――見渡す限りに満ちる女性たちの跳ねつく体、そして嬌声。
 その状況を許しがたく感じて、ルリィは赤い双眸に力を込めてオークを睨みつける。
「えっちぃ豚には、ミンチより酷いオシオキよ!」
 そんなルリィ自身も、着ていたピンクに紅色模様の浴衣はほぼすべてが溶け去っている――見えてはならない場所に絆創膏を貼っていたから良かったものの、そうでなければルリィは全てを晒す羽目になっていたことだろう。
 とはいえ、ルリィの貼った絆創膏が秘めるのは肝心の部分だけで、胸の丸みや後ろから見たお尻は見えてしまう。
 サキュバスの羽と尻尾でそれらを隠したルリィは気丈にもバスターライフルによる全力の一撃をお見舞いする。
「まったく、こんなことするなんて!」
 オークの前だからと、強気に言ってのけるルリィ。
 しかし顔は真っ赤になっており、脚も大切なものを隠そうと内股になってしまうところは隠しきれていなかった。
「大変デス! でも、もうちょっとデース! ボクも頑張るデスよ!」
 ぎゅいんぎゅいんとギターをかき鳴らすシィカは、オークの残存個体が減っていることを見て取ると攻撃に専念。
 ロック感を意識した歌声は残された数体のオークに圧力を加え、身動きすることも許さない。そのまま生命力を奪われ続けるオークの姿を見て、シィカは笑みを浮かべると一層激しくギターを奏で。
「さぁ! 今こそ、反撃の時デース!!」

 色んなことをされ続けた反撃、とばかりに総攻撃を仕掛けるケルベロスたち。
 残りわずかとなっていたオークたちは瞬く間に殲滅され、戦いはケルベロスたちの勝利に終わる。
 ……着替えて、後片付けをすれば、避難していた人々も戻ってくる。
 徐々に賑わいを取り戻す周囲の様子を見て、ケルベロスたちは安堵の表情を浮かべるのだった。

作者:遠藤にんし 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年7月22日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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