病魔根絶計画~急行せよ、熱帯雨林

作者:質種剰


 南米大陸はブラジル連邦共和国。
 アマゾン熱帯雨林にて木材の切り出しで生計を立てていた青年がいた。
 日がな真面目に働いて日銭を稼いでいたものの、ある日、彼を不幸が襲う。
 黄熱病ウィルスを媒介するヤブ蚊に刺されていたのだろう。突如高熱を発して床に臥せってしまったのだ。
 それでも、現代の黄熱病は決して治らない病気ではない。青年とて適切な処置を受ければ時間はかかっても回復する筈だった。
 だが、青年の蓄えは黄熱病の治療を受けるに足りず、恋人の看病を受けながら熱に喘ぐより他、何もできない。
 哀れ、木こりの青年ミウは重症化した黄熱病に苦しみ、日に日に体が衰弱するのへ任せるしかなかった。
「ミウ……どうしてこんな事に……」
 無論、恋人アガッタの悲しみようもひとかたでは無く、彼女まで看病疲れで憔悴していくのが痛々しい。


「此度も皆さんにお願いしたいのは、病魔の討伐であります」
 小檻・かけら(麺ヘリオライダー・en0031)が説明を始める。
「それと申しますのも、病魔『黄熱病』を根絶する準備が整ったのでありますよ」
 中でも特に強い、『重病患者の病魔』を倒して頂きたいのです——と続けた。
「今、重病患者さんの病魔を一体残らず倒す事ができれば、黄熱病は根絶され、もう新たな患者が現れる事も無くなるでありますから」
 勿論、敗北すれば病気は根絶されず、今後も新たな患者が現れてしまう。
「今回黄熱病を発症したのは、まさに地球の反対側、ブラジルにお住まいの方であります。運悪く症状が重篤化したのがお気の毒で……」
 言い澱むかけら。
「ともあれ、皆さんには患者さんが養生なさっている自宅へ直接向かって、そちらで病魔との戦闘を行っていただきますね」
 デウスエクスとの戦いに比べれば、決して緊急性の高い依頼ではない。
「ですが、黄熱病に苦しむ人をなくすため、必ずや作戦を成功させてくださいましね」
 かけらはぺこりと頭を下げた。
「さて、皆さんに討伐して頂く『黄熱病』についてでありますが……」
 かけらの説明によると、黄熱病とは様々な色の発光体が寄り集まった姿をしていて、毒々しい緑色の不定形な塊の奥では、赤や黄色、橙などの光が蠢いている。
 黄熱病は、『出血誘発』なる攻撃で遠くまでウィルスを撒き散らし、敵複数人へ理力に満ちた破壊をもたらす。
 しかも喰らった側は、なかなか血が止まらず、自然治癒力まで阻害されるそうな。
 加えて、頑健性に満ちた『黒色嘔吐』を広範囲にぶちまけてその破壊力を見せつけ、敵複数人を毒に冒す事もあるという。
「もし、戦闘前に黄熱病への『個別耐性』を得られたなら、戦闘を有利に運べるでありますよ」
 個別耐性とは、黄熱病患者へ話しかけてあげるなど元気づける慰問によって、一時的に得られるようだ。
「黄熱病にはこれといった特効薬がなく、発熱や呼吸不全、脱水に対する対症療法がメインの治療なのであります」
 お金が無くて治療を受けられなかった重症患者に対し、少しでも苦痛を和らげるような励ましや看病、対症療法をしてあげると良いだろう。
「個別耐性を得ると『この病魔から受けるダメージが減少する』ので、どうぞ積極的に狙っていってくださいね」
 かけらはそう補足して説明を締め括り、ケルベロス達を激励した。
「来たるケルベロス大運動会の舞台、南米地域の人々を苦しめている病魔であります。お祭り前に、しっかり根絶なさってくださいましね♪」


参加者
ラズ・ルビス(祈り夢見た・e02565)
七道・壮輔(端歩飛・e05797)
ヴォイド・フェイス(ボトムスアウトロー・e05857)
ドットール・ムジカ(変態紳士・e12238)
白銀・夕璃(白銀山神社の討魔巫女・e21055)
ニャルラ・ホテプ(彷徨う魂の宿る煙・e44290)
トート・アメン(神王・e44510)
アンネ・フィル(つかむ手・e45304)

■リプレイ


 ミウの自宅。
「ここで早速のネタバレだ。『派手な色してる奴がウィナー』。よく覚えとけ?」
 ヴォイド・フェイス(ボトムスアウトロー・e05857)は、アガッタに通された寝室に入るや、挨拶もそこそこに謎の口上を始めた。
「よっし、行くゼ戦友諸君! 黄熱病だかなんだか知らネェけっども、俺様達のやることはただ一つ! ハッピーエンドを掴み取れってナァ!」
 病魔『黄熱病』に対して何やら無関係ではない彼の事、根絶に力が入るのも尤もな話である。
 何より患者の幸せを第一に掲げている辺り、ミウやアガッタが知れば頼もしく映るだろう。
「おー!」
 ドットール・ムジカ(変態紳士・e12238)は、ヴォイドの号令に合わせて拳を突き上げつつ、マスクの下の瞳はミウの症状の把握に努めていた。
 本来は外科と心療内科が専門の医者らしいが、この依頼の為に軍用の緊急医療ポーチを携え、点滴キットの準備も万端。
 今は、苦しそうに横たわるミウの様子を診て、彼の体力がこれ以上失われぬよう巣作りに励んでいた。
 現場へ来るまで、ミウの症状次第では飲食物の経口摂取自体が危険、嘔吐等を誘発しまいか、と危惧していたドットール。
 その傍ら、彼は巣作りや水垢離が有効な事に気づいていた。
 これらを組み合わせれば『巣作りでミウの体力が保たれると同時に水垢離の効果で病魔が少し弱体化する』為、ミウが苦しまずに飲食物を口から摂れる——その可能性があった。
 だが、残念ながら七道・壮輔(端歩飛・e05797)が水垢離の準備を忘れてしまったようだ。
「こんにちは、ミウさん。もうどれくらいになるのだろうか」
 ともあれ、落ち着いた声音で語りかける壮輔。
「こんにちは……かれこれ一週間、否もっと」
 ミウが息も絶え絶えに応えた。
「ミウさんが頑張っているということは聞いた。アガッタさんにもすまないって思っているんだよな?」
 尋ねる内容は、いつもに比べれば明快で察し易い。
「え? ええ。彼女自身も仕事があるのに、毎日看病や家事をしてくれて……」
 アガッタを見やるミウ。彼女の負担を軽くする為に早く治さなければ——そんな思いやりが強迫観念になっているのかもしれない。
「だったら、ほら。まずは治さないとな。そうじゃないと稼ぐこともできないしな」
 そんな彼の気持ちを後押ししたいのか壮輔は言う。
「え、いえ、治療を受ける為に、今までもっと稼げていたなら、って」
「もっと稼ぐことでアガッタさんとのこれからをいいものにしたいなら」
「そう……ですね」
 ミウは頷いた。
「ミウ……私は貴方さえいてくれたら余分なお金なんて要らない。ミウが稼ぎがあれば、と後悔してるのだって、今この時病院に行けないからなんですよ。黄熱病にさえならなければ、私達は貧しくても幸せだった……」
 アガッタはぽろぽろと涙を零した。
「また、これまでも幾度となく繰り返してきたのだと思うが、改めて伝えてみてはどうだろうか」
 そんな彼女へ壮輔は、
「きっと治るから」
 と励ました上で更なる助言を試みたが、肝心なところで言葉足らずになり、真意はアガッタへ届かなかった。
「黄熱病は私達が戦闘に勝利すれば治るし、私達は絶対に勝利する。それは信じてほしい」
 不安そうなアガッタへケルベロスカードを渡して、ミウに向き直るのはドットール。
「清貧な生活も良いだろうが、もし彼女との未来を大切にしたいなら、万一また厄介な病気にかかった時は遠慮なくこのカードで支払うと良い」
 丁寧に金銭面のサポートを言い出て、2人を安心させた。
「恋人に苦労をかけて申し訳ネェ? 違うだろ、それでも寄り添ってくれるのが恋人ってモンだろ?」
 次いで、ミウへ明るく言い募るのはヴォイドだ。
(「俺様がやれることはそう多くネェ。専門知識もネェしな。だもんで、精々、前向きになれよーって声かけてやるぐらいなモンだな」)
 いつもおちゃらけた態度の彼だが、その内面は真面目な部分もあるのか、個別耐性の獲得についても謙虚に、それでいてミウを親身に案じている模様。
「お返しは元気になってから存分にしてやりな。俺様達は……そのお手伝いをしにきたキューピッドってとこか? HAHAHA!」
 だから、ミウへの励ましは実に衒いなく素直で、医師へ抱く安心感とまではいかなくても、病魔を倒してくれるケルベロスとしての頼もしさなら充分伝わった。
「自分は大丈夫だって信じてみナ。意外となんとかなるモンだ。俺様だってホラ、『死ぬまで不死身!』なんて言ってっからまだ死んでナイ!」
 病は気から——自己暗示の有用性を笑いを交えて説くヴォイド。
 笑いは万病の薬、これも対症療法の一つといえよう。


 さて。執事服によるクリーニングでミウの着衣を清潔にしてあげるのは、アンネ・フィル(つかむ手・e45304)。
(「ドットールさんの巣作りが終わるまでの間だけでも……」)
 彼女はミウの呼吸不全を気遣って、酸素を吸わせてあげる為に酸素マスクと酸素ボンベを持参していた。
 慎重にマスクを着けてあげて、アンネは静かに告げる。
「I like you」
 たったこれだけの言葉、ミウが英語を解るかどうかも定かではない。
(「でもこれがわたしのせいいっぱい」)
 一言にアンネが込めた意味は深くて広い。
(「地球のひとたちはわたしたち、もともとはデウスエクスだったヴァルキュリアをうけいれてくれました」)
 エインヘリアルに支配されシャイターンに操られていたわたしたちをザイフリートさまはたすけてくれました——アンネは忘れられない過去を思い返す。
(「でもザイフリートさまは鎌倉を襲った指揮官で、だから、ご自身の命をあきらめてまで、わたしたちを守ってくれました」)
 そのザイフリートをも地球に暮らす人々が受け入れたのは周知の事実。
(「わたしは優しい地球のひとたちがすきです。心からそうおもいます」)
 わたしはあなたたちがすきです——偽りない想いを込めてアンネは言った。
「I like you」
 と。
 ミウが横たわったままアンネを見上げる。
 その瞳には微かな生気が戻っていた。
 一方。
「今何が辛い? お腹が痛かったり気持ち悪かったりはあるか?」
 トート・アメン(神王・e44510)は、主な症状や胃腸の具合を念入りにミウやアガッタから聞き取っていた。
「気持ち悪さは食事の時に……腹痛は時々」
「熱いか?」
「はい」
 用意していた氷枕を、ミウの首筋へ当てるように敷く手つきはこの上なく優しい。
「今までどす黒い血を吐いたりはしていないか?」
「いいえ……」
「食事は摂れているか? 摂って急に苦しくはなっていないか?」
「碌に食べられなくて……苦しいのは食事に限らず」
 答えるミウの顔色が蒼白かも確認、内臓疾患の有無を気にかけるトート。
「安心せよ。彼の病魔は討ち払ってみせる。そなたは彼に声をかけよ」
 ひと通りの診療を終えて、トートはアガッタへ尋ねた。
「今この男はそなたに負担をかけている事を悔やんでおるが、その負担とやらはそなたにとって苦痛か?」
「とんでもない、彼の為なら看病など苦にも思いません。ただ、彼の病状が好転しないのが辛くて」
 即答へ満足してか、トートがにっと笑う。
「ならばそれをこの者に伝えよ。万の我らよりそなたの言葉が彼には響くだろう」
 文字通りそっと背中を押されて、アガッタはおずおずとミウの枕元へ寄った。
「ミウ、私に悪いと思わなくていいから、今は治す事だけ考えて、ね?」
 ミウは微かに頭を動かして、恋人の必死の訴えへうんうんと頷いている。
「治ったら、遊びに来て。皆で楽しんだ方が、ココロも元気になるから」
 白銀・夕璃(白銀山神社の討魔巫女・e21055)は、ドットールに指示を仰いで甲斐甲斐しくミウの看病をする合間にも、辿々しい物言いで彼を励ましていた。
 日頃は大人しい彼女だが、身振り手振りになると非常に感情豊かで、ミウを楽しませる。
 また、清潔な水の入ったポリタンクや、タオル、水枕と冷感シートを入れたクーラーボックスを用意していた夕璃。
「治った後でミウさんにも……今は貴方も力をつけて」
 アガッタの心身の疲労が色濃いのを案じて、封を開けたキャンディを一つ手渡す。
(「……少しでも元気の足しになるように」)
 キャンディを口に含み、アガッタが微笑む。
「……一緒に、治しましょう、必ず」
 彼女やミウを元気づけようと、夕璃はケルベロス大運動会のチラシへ交通費宿泊費の足しになるよう自分のケルベロスカードを添えて差し出すのだった。


「ミウ様、アガッタ様、初めまして。看護師のラズ・ルビスに、ミミックのエイドと申します」
 ラズ・ルビス(祈り夢見た・e02565)は、いつも通り丁寧な挨拶から交流を始める。
「……お辛い、ですよね」
 そして、すぐさまクーラーボックスから冷却シートを取り出し、ミウの額へピタっと貼っつけてあげた。
「どう、でしょう……? 貼り付く感じなど、ご不快でしたらお知らせくださいね」
 細やかな気遣いをみせるラズへ、ミウは自然と笑顔になって礼を述べる。
「いえ、気持ち良いです……有難うございます、本当に」
 エイドはラズや仲間の看病の邪魔にならない位置に陣取って、ミウの寝床へ寄り添っている。
(「ミウさんの悩み……お辛い中でも恋人に心を配るそのお気持ちは、本当に尊いもの」)
 ラズは、ミウとアガッタの顔を交互に見て、常の無表情の中にも和やかな雰囲気を滲ませ、語り出す。
(「医療の手が広がる限界は、まだどうにも狭いまま——それでも、それだからこそ、自分の手は精一杯伸ばしたい。自分の声も精一杯飛ばしたい」)
 今日、自分達が黄熱病根絶の為にここへ来た事こそが、2人の頑張りの賜物。
「ミウ様が懸命に、病と闘ってくださり、アガッタ様が懸命に、ミウ様を支えてくださった」
 苦しい日々を共に乗り越えた努力が実を結んだから、こうして黄熱病根絶のチャンスを得るまでに、ミウは持ち堪えられたのだ、と。
「お二人の力で迎えられた、今日という機会……絶対に、無駄にはいたしません」
 それは誇りこそすれ、落ち込む必要なんてない——本心からの気持ちを伝えたくて、言葉を尽くすラズ。
「必ず……病は必ず、私達が退治いたします」
 彼女の温かな性根がよく解る声音と献身的な看病が、ミウとアガッタの心を癒した。
「有難うございます……!」
 アガッタは再び泣き出していたが、ミウが治るかもしれないという希望が湧いてきた故の嬉し泣きである。
「大切な人が弱っていくのを見ているのはつらいと思う。だけど、彼からするとあなたが弱っていくのを見るのもつらいからね」
 ニャルラ・ホテプ(彷徨う魂の宿る煙・e44290)は、アガッタの心のケアを優先して、彼女を元気づけていた。
「だから、少しでも元の調子に戻ってね」
「はい……」
 それだけ、アガッタの精神状態がミウへ及ぼす影響を心配しているのだろう。
「ところで、何か果物はあるかしら?」
 と、簡単な水分補給用の飲み物を、彼女へ教えながら作るつもりのニャルラ。
(「彼女が自分で作ったもので彼が少しでも元気になれば、彼女自身も気が楽になると思うのよね」)
 ミウの胸中と共に戦う仲間の気持ちを優しく慮って、完璧な医療よりもミウの心に届く行動を——そんなニャルラの信念の表れが、この飲み物作りである。
「ココナッツなら……」
 ココナッツの栄養豊富な果汁へ、塩と水、少量の酢を混ぜ合わせれば、病人にも飲み易いドリンクの完成。
 巣作りが完成した為、ミウの病状は良くはならずとも落ち着いている。
「旨い……ココナッツジュースまんまより、飲み易い」
 少量しか飲めなくても、ミウは大層満足感を得たようだ。
「疲れにも効くから、アガッタさんもいかが?」
 アガッタがドリンクを飲んでひと息つくのを見やり、ニャルラはミウを諭す。
「私から言いたいことは、真面目だからがむしゃらに働いちゃってるんだと思うけど、一旦立ち止まるのも大事よってこと」
「え?」
「一旦落ち着いて、道具のお手入れとかしてみるといいと思う。それをやってなかったら、いい仕事もできなくなるからね」
 仕事人間と思しきミウに対して無理やり仕事を取り上げず、体に無理のない働き方を薦める辺り、人情の機微に通じているニャルラ。
「はい、有難うございます」
 なればこそ、ニャルラの心遣いはミウへ届いて、彼を素直に頷かせた。
 かくて、無事に黄熱病の個別耐性を得た一行。
 ちなみに、今回ハイパーリンガルを備えていた仲間3人が、ケルベロスらと患者達双方の通訳を代わる代わる頑張っていた。


「刃に宿りし魂に願う、悪しき病魔の正体を照らし出して……!」
 夕璃は、大天田元真をスラリと抜き払い、一心不乱に祈りを捧げる。
 すると、召喚された黄熱病がミウの体内からズルズルと引き摺り出され、その毒々しい姿を現した。
 即座にドットールが巣作りの巣でミウをくるみ、ラズはミウを巣ごと担架に乗せて、小屋の外へと運び出す。アガッタも付き添って避難した。
「病の影響は、私達で、抑える……!」
 大天田元真の刀身から破魔の力宿りし光の羽衣を生み出す夕璃。
 複数枚の守護刀衣は前衛陣へ均等に降り注ぎ、彼らの悪影響を退けた。
「……逃がしてあげません」
 ラズは、機械の体にすら作用する強力な麻酔薬の塗られたメスを、一気に何本も投擲。
 狙い澄ましたメスの群れは黄熱病にドスドスと突き刺さり、その度に昏倒しそうな程の大きな衝撃を与えた。
「出たな病魔。でもきっと退治してみせよう」
 雷の霊力帯びた斬霊刀を振るい、神速の突きを繰り出すのは壮輔。
「みんなで病魔をやっつけるために」
 アンネはドラゴニックハンマーを砲撃形態に変形。
 竜砲弾を勢いよく撃ち出して、黄熱病がグラビティを避けづらくした。
「くっ、こんなビシッと行くべき場面でなければ小檻ちゃんにアレやコレやするものを……!」
 ミウへ点滴を刺してきたドットールは、益体もない事を呟きながらもヴォイドの強化に尽力。
 香りの良い花束に癒しの力を込めて、彼へプレゼントしていた。
「其は我が寝所を冒せし不敬者に向ける断罪。死を弄ぶ不敬に対する罰は死病そのものと知れ」
 黄熱病の周囲を四角錐の結界で閉じ込め、グラビティによる熱病毒の呪詛を内部へ吹き込むのはトート。
 余談だが彼は降下前、躊躇いなく小檻の胸に顔を埋めて堪能していた。
「君はもう、動けない」
 ニャルラは独自に調合したお香を愛用の煙管からふかす。
 風向きを読み黄熱病だけに届くよう吐かれた香りは、針葉樹の爽やかでもって黄熱病の神経を麻痺させた。
「病原菌を手っ取り早く消去する方法って知ってる? とりあえず燃やし尽くしちまうことサ! 多分!」
 最後は、ヴォイドが携帯する爆薬を片っ端からぶっ叩きつつ特攻。
 盛大な自爆技で黄熱病を仕留めたのだった。

作者:質種剰 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年7月25日
難度:やや易
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 2
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