陽光より煌めく影力

作者:幾夜緋琉

●陽光より煌めく影力
 東京都府中市。
 東京都内の位置的には、丁度中央の辺りに立する市。
 空からは燦々とした日射しが降り注ぎ、汗ばむ陽気……そんな中、駅前広場などには、買い物に出かける人や、散歩を楽しむ人達が多い。
 ……そんな極々普通の光景が広がる所に、突如貫く、竜牙兵の牙。
 アスファルトを破壊し、白煙を上げたその牙は……間髪開けず、竜牙兵の姿へと変化する。
『グゥアアハハハハハア!!』
『サァ、グラビティ・チェインヲ奪オウゼェ!』
 獰猛、かつ荒々しく、漆黒のオーラを纏いし竜牙兵達は……立ちすくむ一般人達を、次々と討ち倒して行くのであった。

「ケルベロスの皆さん、集まってくれたッスね! それじゃ、早速ッスけど説明させて貰うッス!!」
 と、黒瀬・ダンテは、集まったケルベロスらに元気よく挨拶すると、早速。
「今回ケルベロスの皆さんには、竜牙兵による一般人殺戮事件を止めてきて欲しいんッスよ!」
「この竜牙兵の暴走を放置しておけば、多くの人々の命が無惨にも奪われるばかりでなく、グラビティ・チェインを奪われ、彼らが勢い付く事になりかねないッス」
「そこで、ケルベロスの皆さんの登場で、この竜牙兵をササッと退治して貰いたい所なんッスよ!」
「幸い、竜牙兵が戦場に到着した後なら、避難誘導を警察等に任せて戦いに集中する事は可能ッスから、一般人を避難させた上で仕留めて欲しいッス!」
 更にダンテは、詳しい戦況の説明を続ける。
「今回現れた竜牙兵は全部で5体。ただ、武器のような物を持っているのはおらず、恐らく全員がバトルオーラを手にした竜牙兵の様ッス」
「彼らは一人一人が個々に動き、相互に連携をする事が可能な竜牙兵の様ッス。一際連携に重きを置いた動きをする奴らの様ッスから、竜牙兵を確実に仕留める為に、それに撒けない連携でケルベロスの皆さんも対峙して欲しい所ッス」
「ちなみに単体の攻撃力はそこまで高く無いッスけど、バッドステータスを軸に下攻撃をしてくる様ッス。恐らく全員がジャマーポジションを取っている様ッスから、バッドステータス漬けになって、ジリ貧にならない様に注意して欲しいッス!」
 そして、最後にダンテが。
「竜牙兵の好きにさせる訳にはいかないッス! ケルベロスの皆さん、宜しく頼むッス!!」
 と、もう一度、拳を強く振り上げるのであった。


参加者
セフィ・フロウセル(灰染の竜翼騎士・e01220)
リュートニア・ファーレン(紅氷の一閃・e02550)
霖道・裁一(残機数無限で警備する羽サバト・e04479)
湯川・麻亜弥(大海原の守護者・e20324)
藤林・シェーラ(ご機嫌な詐欺師・e20440)
兎之原・十三(首狩り子兎・e45359)
穂村・花園(地獄の炉心・e56672)
風柳・煉(風柳堂・e56725)

■リプレイ

●陽の光と傷つき
 東京都府中市、丁度東京都内の中央辺りに位置する街。
 7月となり、空からは燦々とした日射しが降り注いでおり、人々は陽光に汗ばんでいる。
 ……そして、駅前広場においては、買い物や散歩を楽しむ人達の影があり、街は日常の光景。
「はぁ……まだ夏に入ったばかりだと言うのに、竜牙兵がやってくるとは……先が思いやられますね」
 と、湯川・麻亜弥(大海原の守護者・e20324)が肩を竦めると、同様にヤレヤレ、といった感じで藤林・シェーラ(ご機嫌な詐欺師・e20440)も。
「だよねぇ……暑い……冷房の効いた部屋で涼んでいたい……残念ながら外でお仕事だケド! ちょっと竜牙兵、空気読んで! もっと涼しい時にして!!」
 口を尖らせながら、憤るシェーラ。
 ……勿論、憤ったとしても、事態が変わることは無いのだけれど……でも、こんな暑い暑い日射しの中、暑苦しい竜牙兵が相手となると……それは苛立つのも仕方ない。
 そして、熊本の方では多くのドラゴン達が現れており、それも緊迫した状況であるのは間違い無い。
「ドラゴンが沢山出てるところで便乗してくるこの竜牙兵……そういうの要らない。本当、大人しくしててください」
 と霖道・裁一(残機数無限で警備する羽サバト・e04479)が吐き捨てると、こくん、と兎之原・十三(首狩り子兎・e45359)が頷いて。
「ん……今回は、骨頭が、五人……数が多い、けど、好きにさせる、訳には、いかない、ね。だから……その首、もらう、よ」
 との十三に麻亜弥とセフィ・フロウセル(灰染の竜翼騎士・e01220)、シェーラが。
「そうですね。目の前の事件を一つずつ、確実に解決しましょう」
「ああ。竜牙兵も連携というものを学んできた様だ。学ぶ知性があったというのでも感心する所だが、連携では此方が上だと証明させる為にも、油断せず参るとしよう」
「ん、そうそう。どれもこれも暑さの所為だから、とっとと終わらせようそうしよう!」
 ぐっ、と拳を握りしめるシェーラ。
 そして、穂村・花園(地獄の炉心・e56672)とリュートニア・ファーレン(紅氷の一閃・e02550)も。
「まぁ今回はちと周りを見ながら広い視点で戦うってのを試してみたいとこだな。俺に出来るかわかんねぇけど」
「きっと、大丈夫だよ。そう、ドラゴン本体が襲ってきている今だし、少しでも被害を減らしたい。だから頑張ろうね、クゥ」
 ボクスドラゴンのクゥを抱きしめるリュートニア、そしてクゥは小さく啼いて頷く。
 そして……風柳・煉(風柳堂・e56725)が。
「ま、何にせよここで始末をつけるとしよう……と、そろそろ時間だ」
 空を見上げ……遥か上空から落下しつつある竜牙兵の牙。
 そして、その牙が地面を穿とうとすると共に……ケルベロス達は、一斉に動き始めた。

●罪を重ねて
『な、何だあれ……!』
『お、落ちてくるぞ……こっちに……!』
 瞬く間に落下しつつあるその牙に、悲鳴を上げる人、逃げ惑う人。
 ……一般人への直撃はギリギリの所で避けられたものの、混乱した状況に変わりは無い。
 そして、牙達が次々と、竜牙兵の姿を象っていく……全員が、武器を持たず、漆黒の瘴気のようなものを纏い、好戦的な雰囲気。
『ハァハハハハ! サァ、雑魚ドモを殺戮ノウタゲヘゴ招待ダ!』
『死ニタクナカッタラ逃ゲテミロ! 逃サネエケドナア!』
 と、そんな竜牙兵達の言葉の前に……さっ、とケルベロス達が対峙し、武器を構える。
「相も変わらず、君たちは元気だねぇ。晴れの日も、雨の日も」
 と肩を竦めながら、煉が殺界形成を発動しながら退治すると、十三と花園も。
「そう、だよ。あなたたち、の、相手は、じゅーぞー達だ、よ」
「幸いにして俺、足止めは得意でね。こっちこそ逃がさねえよ」
 ニヤリ微笑む花園……その間に麻亜弥やシェーラが。
「みなさん、こっちです! 警察の方々の指示に従って、此処から急いで逃げて下さい!」
「大丈夫。私たちが必ず此処を守ってみせる。だから、ここから急いで逃げるんだよ」
 等と声を掛けつつ、其の場からの避難を促す。
 ……そして、少しずつ一般人が逃げていく……そんなケルベロス達の動きに。
『テメェラ、邪魔スルナ!』
『フザケヤガッテ……殺ス!』
 怒りに震え、バトルオーラを纏いケルベロスに接近。
 ……そして瘴気を拳に籠めた強烈な一閃を叩き込む。
 勿論、その一撃だけではない……五体の竜牙兵は。
『ホラ、ツヅケェ!』
『了解ダゼ!』
 声を掛け合い、連携していく竜牙兵。
 一撃、二撃、三撃……五体の竜牙兵は、一人に対して次々と攻撃を仕掛けていく。
 当然、体力も大幅に削られるが……構え立つセフィはどうにか構え続ける。
 そして、攻撃が一巡した所で、すぐに。
「大丈夫? 結構酷い傷だね。すぐ回復するヨ」
 回復役としてメディックに付いたシェーラが、速攻でセフィの体力を咎人の血で回復、同時にセフィのボクスドラゴン、シルトとクゥも、属性インストールで回復……ほぼ、体力全快。
「ありがとうございます」
 と感謝の言葉を伝えつつも、その顔は竜牙兵をじっと見据える。
 ……そして、五体の竜牙兵の攻撃が一巡し、対するケルベロスの行動。
「一体ずつ、確実に行く、よ」
 と十三の声。
 彼女が先手の一撃……憑霊弧月を放ち傷を付けると、更に裁一が連携し。
「肉はないですが骨を断つ! 的な!」
 と凶太刀の一閃を、同じ竜牙兵へと叩き込んで行く。
 ……クラッシャーの効果もあり、かなりのダメージ。
 でもまだ倒れない竜牙兵へ、更にスナイパーのリュートニアがアブソリュートボム、煉のスターゲイザー、そして麻亜弥は。
「これでも食らって、凍えてしまいなさい!」
 渾身の力で達人の一撃。
 更に花園がゲイボルグ投擲法を叩きつける。
 そして最後にセフィは、竜牙兵達の注意を惹きつける様、キャバリアランページで敵陣への一斉攻撃。
 ……共に行動一巡し、次の刻。
 一斉攻撃を受けた竜牙兵は、ケルベロスが意外に手強い相手だと認識した様で。
『チッ……ヤベエ』
『ドウシタ? ダイジョウブダ、俺達ガイル!』
『ソ、ソウダナ!』
 短い言葉を交わしながら、連携を確認。
 攻撃のターゲットは当然、セフィ……だが、その前に身を呈して行くシルトとクゥ。
 二撃を二体が庇い、残る三匹の攻撃を、敢然とした壁となりセフィが受け続ける。
 そして、ケルベロスらの行動。
「……バッサリ、いく、よ」
 とギロチンフィニッシュの一閃で、仲間達の与えたバッドステータスを積み重ねると、更に十三も。
「とう! デストローイ!!」
 ハイジャンプから仕掛ける喰霊斬り。
 ……と、その連携攻撃を受けた所で、一匹目の竜牙兵は崩れ去る。
『ナニィ……!』
 驚愕する竜牙兵。
 そして次の狙いを定めるは花園。
「今度はお前だ、余所見している暇は無いぜ!」
 と言い放ち、ゲイボルグ投擲法の一閃。
 更にリュートニアのルーンディバイドに、煉の【氷結の槍騎兵】、そして麻亜弥は。
「地獄の炎で、その身を焼き尽くしてあげます」
 とブレイズクラッシュ。
 ……そしてシェーラが。
「あめつちにやどりししんれいにねがいたてまつる。はらいたまえ、きよめたまえ、いやしたまえ」
 と【信じる者は報われる】を発動し、ディフェンダー陣に回復を施し、又シルトとクゥはセフィへと回復を継続。
 セフィ自身は、更なるキャバリアランページにより、敵陣全体へと攻撃し、ダメージを重ねていく。
 そして……三刻目。
 かなり弱りつつある竜牙兵……それをm腰最初に裁一が。
「石やぁ~きリア充~~リア充。さぁ!年中無休の石妬きリア充の材料になるべし!!」
 奇妙な戦慄と共に【嫉妬償却石】で、竜牙へ鼬を焚き付けていくと……二匹目は崩れ墜ちる。
 そして……残る3体も、中々体力が削れつつ有る状況。
「さあ、海の暴君よ、その牙で敵を食い散らせ……」
 と麻亜弥が『暗器【鮫の牙】』を展開し、竜牙兵一体を食い散らす。
 そして、リュートニアの時空凍結弾が傷穴を更に斬り裂き、煉が。
「これは痛いぞ、覚悟しろ……」
 と『黒雪』の一閃。
 ……その一閃に、竜牙兵は更に一体崩れ墜ち……残るは二体。
「……連携が、崩れると、脆い……ね」
 と言う言葉と共に、十三のドレインスラッシュ。
 ……そして、ケルベロス達の連携猛攻は留まらず……瞬く間にダメージを与え、残るは最早一体のみ。
 ……その一体を包囲しながら、十三が。
『……バッサリ、いく、よ……【月喰み】解放……呪怨の刃にて……その首……刎ねて、つかまつる」
 と『新月:逸兎・凌断』の一閃。
 その一閃の前に、竜牙兵は跡形も啼く、叩き潰されるのであった。

●黒影失いし跡
 そして、どうにか竜牙兵を無事に倒したケルベロス達。
 いつもとは違い、相互連携が得意な彼らは……中々の強敵だったと言えるだろう。
「……ふぅ……『月喰み』も、これで、しばらく、静かに、なるか、な」
 と妖刀に戻した月喰みを納刀しながら、十三が眼を閉じる。
 そしてその横で花園が。
「だな。これで露払いになりゃぁいいが……ま、ドラゴンの動向によるって所か」
 空を見上げる花園。
 ……そして、荒れた息を整えつつ、リュートニアが。
「……お疲れさま、ありがとう」
 傍らのクゥを抱き上げて、その体をそっと優しく撫でる。
 ……嬉しげに小声で啼くクゥ。
 そして、シェーラが。
「さーってと、それじゃあ後片付けを始めるとしようか。ま、壊した所をヒールして、怪我人が居ればそっちもヒールするだけだケド」
「そうですね。では私は破壊された所のヒールを集中的にしましょう」
「りょーかい。んじゃ、私は怪我人のヒール活動と行こうかね」
 それぞれがヒールグラビティを使い、周りの建物と怪我人のヒールを開始。
 勿論街の人達からは感謝され……それも一つの糧。
 ……そして一通り周りの回復を終えると共に。
「さて……と、それでは他には何もないですよね?」
 と周りを見渡す裁一……幸い周りに幸せなリア充は居ない様で。
「ん……みなさん、お疲れ……だよ」
 とこくりと頷く十三に、他の仲間達も頷き……そしてケルベロス達は、府中駅前を後にするのであった。

作者:幾夜緋琉 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年7月18日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 2
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