暑さを凌いで~リーゼリットの誕生日

作者:なちゅい

●何気ない夏の一日
 2018年、関東などは驚くほどに梅雨明けが早かった。
 梅雨が明けたということは、本格的な夏の到来を意味する。
 依頼を終え、ヘリポートへと戻ってきたケルベロス達。
 ヘリオンから降りたメンバー達は、もわっとした外気の暑さに辟易としてしまう。
「今日も暑いね……」
 リーゼリット・クローナ(ほんわかヘリオライダー・en0039)は外に出るのを躊躇うケルベロス達へとそう告げる。
 丁度、お昼時ということもあり、太陽は空の真上で燦然と輝いている。
 できるのであれば、日が傾くまで暑さを凌いでから帰りたいところ。
「そういえば、皆はもう昼食は済ませたのかな?」
 リーゼリットもヘリオンの整備を後にして、先に昼食を食べに行くとのことだ。
 ビル内には様々な商業施設があるが、暑い中であれば定食屋などでスタミナの付く料理を食べたいところ。
 ケルベロスとて体が資本だ。
 精をつけて次なる依頼に、旅団活動に、闘技場での戦いと精力的に動いていきたいところ。
「あと、冷たいスイーツもちょっとだけ食べていきたいね」
 リーゼリットは食後に、かき氷やアイスクリームなどを食べて涼をとるのもいいと話す。
 暑い中で食べる氷菓子というのは、この上なく美味しく感じるものだ。
 冷たい食べ物を食べながら仲間内で語り合い、暑さを感じる時間が過ぎ行くのを待つのもいいだろう。
「それでは、また。どうか楽しい一時を」
 リーゼリットがビル内へと向かった後、ケルベロス達もまたこの後の予定について語り合うのである。


■リプレイ

●スタミナつけましょ!
 とある暑い日。
 ヘリポートが屋上にあるビル内。
 そこで営業する定食屋に、ケルベロス達が入っていく。
「リーゼ、これ」
 入り口そばのテーブルに座っていたリーゼリットへと声をかけたフィナンシェは、ある依頼で手がけた豆腐カステラの食レポを差し出す。
 内容は残念な出来だったものの、彼女が喜んで受け取ったのにフィナンシェは得意げな態度で一言。
「ご馳走する」
 そっけない態度だが、昨年よりは言葉数も増えた彼女。
 どうやら誕生日祝いをしたいとのことで、フィナンシェが頼んだのは……皿の上に乗った肉の塊。
 19歳の誕生日にちなんで、1900グラムのステーキである。
「「…………」」
 しばし、その大きさに驚愕してしまっていたが。
「二人で食べよう」
 そうして、2人はナイフとフォークを動かし始める。
「何を注文されたんですか?」
 そこで声をかけてきた律は、あまりに女性2人で食べるには似つかわしくない卓上のステーキに驚きを隠せない。
「今日の様に日差しが強い日には良いかもしれませんね」
 だが、彼はほとんど顔には出さない。
 地を駆けるケルベロスが身体を資本とするように、情報を精査集約して迅速に目的地に送り届けるヘリオライダーもその点ではほぼ同じだと律は語る。
「いつも有難う御座います。お身体を大切に、これからも宜しくお願いします」
「こちらこそ。……これは?」
 礼を告げた律は、彼女達の食べるステーキの代金を置いて。
「……ここは誕生日祝いに、奢りという事です」
 事も無げに、この場を立ち去っていくのだった。

 同じ店内には、旅団『坂の町の古民家』のメンバーも訪れる。
「スタミナ料理と言えば肉だろ?」
 予め決めていたようで、エリアスは精をつけるべくステーキ定食を注文する。
 そばで肉の塊を食べる女性2人に目がいった彼だが、そこは通常の3人前と1000グラムほどに留めた様子。
「……それで足りるの? スニェークさんは決まりましたか?」
「はい、決まりました。お肉が食べたいです」
「たまには、お店の味を知って勉強しなくては!」
 麗威の問いかけに、ヴラミディミールはハンバーグ(ソースのみ和風おろし)を頼むと、メニューをしばらく眺めて迷いに迷っていたみいも、ハンバーグ定食をオーダーする。
「わ、私も負けてられないわ……! 望むところッ!」
 ガッツリとした料理を注文する仲間達に驚くトーキィも張り合い、大盛りのオムライスを頼む。
 なお、普段から世界をモノトーンにと主張する彼女だが、オムライスがモノクロではないとツッコミは入らなかったらしい。
「メニュー、種類があって悩みますねぇ……」
 比較的、スムーズに注文を決める仲間達に対し、最後まで悩んでいた麗威もよさげな一品に目を留めて。
「あ、僕これがいいです。刺身の定食」
 イサキが旬だからと考えたのが決め手だったようだ。
 少しして運ばれてきた料理に、みいは思った以上のボリュームに圧倒されて。
「が、頑張って完食を目指すわ」
「余ったら僕へどうぞ」
 ヴラミディミールはみいにそう告げ、仲間達の料理によだれをすすりつつもハンバーグを口へと運び、その味に顔を綻ばせていた。

 卓についた沙門とフィアールカはメニューに目移りさせていた。
「よし、月見そばと生姜焼き定食にしようか!」
「私は唐揚げ定食で唐揚げ増量にするの!」
 沙門の勧めもあり、普段は節制しているフィアールカもたっぷり食べようと笑顔で注文する。
 程なく運ばれてきた料理を、早速食べ始める2人。
 美味しそうに唐揚げを食べるフィアールカ。
 しょうが焼きを口にしていた沙門は満足気に食べていたが、彼女の食べる様子を楽しそうに見つめて。
「ほれ。俺が食べてる料理の味も気になるだろう」
 飯は分かち合うとさらに美味しくなるものと沙門が差し出せば、フィアールカはお返しにと唐揚げを差し出してから、しょうが焼きを口にして。
「おー、これも食べやすくて、白いご飯に合うのね!」
 分け合いっこすることで、彼女は目の前の料理をより美味しく完食する。
「うむ! これでかなりのスタミナが付いた気がするのう」
「私もスタミナばっちり! おいしかったー!」
 お腹も気力も十分に満たし、2人は店を後にしていくのだった。

 あまりのステーキの量にフィナンシェが辟易としていたところへ、クララが本を片手にリーゼリットへと声をかける。
「……暑いですね」
「そうだね」
 互いに笑顔で挨拶を交わし、そばに座ったクララは小声で注文した。
 しばし、買った本を読み返すクララは、客に写真を撮られているのを意識しつつ。
 卓に運ばれてきたのは、本を買うお金を節約して少し奮発したチキンカツ定食だ。
「わ、すごいボリューム」
 隣のステーキには負けるものの、皿に盛られたシャキシャキとしたキャベツ。揚げたばかりでサクサク、それでいてふわふわ柔らかな鶏肉。
 その上からかけられた濃厚なソースが絡まり、熱々ふわふわのご飯と一緒に頂く。
 逸る気持ちを抑えつつ、ゆっくりと口に運ぶクララ。
 あっという間に食べ終えたクララは食べ過ぎたと感じたのか、ショッピングに出かけてカロリー消費することに決めたようだった。
「…………」
 一方で、ステーキと格闘し続けるフィナンシェはダウンしてしまい、机に突っ伏してしまっていた。

 旅団『坂の町の古民家』のメンバーは語らいながらも、徐々に完食者が出始めていて。
「やっぱ、物足りねぇなぁ……」
 隣の卓のように2000グラム頼めばよかったかと考えつつ、エリアスはメンバーの方を見る。
 少食のトーキィがオムライスを残していた為、悔しさを滲ませる彼から譲り受けてエリアスは口にしていく。
「ゼンタングルさんのオムライスも、美味しそうですねぇ」
 定命化してさほど日が経たない同族のトーキィがうまく箸を使うのに麗威は感嘆しつつ、刺身にワサビをつけ過ぎて強い刺激に顔をしかめる。
「……っ。でも、きっとこれが日本の食べ方」
 それでも、なおもワサビをつけまくった刺身を食し、麗威は涙を止められずにいた様子。
 その時、ヴラミディミールもハンバーグを完食……したと見せかけて、添えられたブロッコリーに気付く。
(「野菜はちょっと……」)
 そこで、エリアスが平らげようとするオムライスの皿に、そっとブロッコリーを移動させる。
(「成功した。やった」)
 空いた自身の皿に、ヴラミディミールは嬉しそうに笑う。
 しかし……。
 少し時間を置いて、エリアスがそのブロッコリーに気付いて。
「こんな事する奴は……麗威ィ、お前か!」
 すでに目を赤くしていた麗威の醤油皿へと、エリアスはワサビをてんこ盛りにしてしまう。
 それに気付かない麗威は、半分ほどハンバーグを残すみいへと話しかけていて。
「霜憑さん……お刺身一切れいかがですか……」
 鮮やかな緑の山がのった醤油皿と合わせ、みいへと差し出す。
「まぁエリアスさん、良い大人が食べ物で遊んじゃダメですよ!」
 連鎖する被害に、ヴラミディミールは大慌て。
「あっ……、被害が……ご、ごめんなさいみなさん……」
「……あ、でも麗威のお刺身くらいなら、一切れ分なら……!」
 ところが、そこでお腹一杯のはずのトーキィがワサビ盛り盛りの醤油皿に刺身を浸して一口。
「すごいわ、涼しい顔で召し上がってる……」
 そんなトーキィの様子に、みいは唖然としていたようだった。

「リーゼリット、誕生日おめでとう~」
 フィナンシェが顎を辛そうにしていたところへ、マフラーを揺らす白兎が声をかけてくる。
 なお、マフラーには保冷剤を仕込んでおり、夏でも結構涼しいのだとか。
「うん、ありがとう」
 意外と健啖家らしく、涼しげにステーキを食べ進めるリーゼリット。
 そのそばの卓に座り、白兎はサッと食べられてスタミナが付きそうだからと、冷やし担々麺を注文する。
「そういえば、今年の水着とか選んだの?」
 運ばれてきた皿の麺をすすりつつ、白兎はケルベロス運動会も思い出して問う。
「なんだったら、選んだげようか?」
「え、えっと……」
 肉も少しつまみつつ、彼は気恥ずかしそうなリーゼリットの反応を楽しんで。
「それじゃまた」
 食事を済ませた彼はお祝いとステーキの礼を合わせ、デザートの食券を2枚置いて去っていく。
 ほぼ同時に、なんとかステーキを完食したフィナンシェ。
「美味しかったよ、ごちそうさま」
 しばらく動けずにいた彼女に礼を告げ、リーゼリットは席を立っていた。
 また、『坂の町』メンバーが食後の語らいをする中、トーキィは黒ペンをサラサラッと動かし、カートゥーン調に皆の食事風景を描き上げていたのだった。

●ビル内でのんびり
 他にも、ビル内には通路を歩くケルベロスの姿がある。
 依頼後にカフェへと向かっていた晟とすれ違う、樹とヒメの2人。
 樹は先日貰ったお土産のお返しもあって、ヒメと一緒に服や小物の店巡りをしていた。
 楽しそうに語らう2人は、互いの好みについて知識を深める。
 菱形の白、青石が交互に並んだバレッタで髪を留めていたヒメ。
 そんな彼女の新たな魅力にイツキは気付きつつ、上機嫌で彼の手を引くヒメが眼鏡店に入るのを見て、彼女が時々眼鏡をかけていたことを思い出す。
「俺に似合う物を選んでくれないかな」
「ええ、樹が眼鏡をかけた所、是非見てみたいわ」
 早くかけてとヒメはせがみ、様々な眼鏡を試着させていく。
 楽しそうにしていたヒメはその度にスマホで写真を撮っていたが、それに付き合ってくれている樹の姿を意識して。
「いや、特別に眼鏡がと言うわけでは無くて、新鮮でつい……」
 こうやって、好きな物も苦手な物も、これからもずっと互いのことが知り合えたなら。
 頬を赤らめるヒメは少しだけ照れ隠ししつつも、次の眼鏡を差し出す。
「眼鏡初体験だけど、これでヒメとお揃いだね」
 細身のスクエアフレームの眼鏡に決めた樹は、そんなヒメの普段と違う姿に目を細めていた。

 猛暑を感じ、ビル内を歩く遥と千代。
「このような日は、とりあえず涼みたいですね」
 とはいえ、遥も定食屋のメニューのように、がっつりとした食べ物はやや敬遠してしまって。
「……さて、そうなるとアイスとかき氷、どちらへ行きましょうか」
 千代は遥の問いかけに、ビル外の天気を見て。
「今日の様な天候でしたら、軽く食べられて涼めるかき氷がよろしいでしょう」
「そうですね」
 そうして、2人はかき氷専門店へと足を運ぶことにしていた。

「突然ですが、今年は暑いですね」
 唐突に、ビル内上層のベンチで実況する弥奈。
 隣のベンチでは、ルイアークがうつ伏せの状態でとろけている。
 直前に2人はそれぞれミックスのソフトクリームと店売りのアイスクリームを食べたようだが、それらは一瞬で彼らの腹に収まっている。
 だが、そのくらいで、彼らは元には戻らない。
(「脳を動かすには糖分が必要です。そして、糖分を燃焼すると熱くなる。更に太陽さんさん蒸し暑さの追い打ちと来た」)
 もはや使い物にならなくなっているルイアーク。いわゆる夏バテというやつで、夏の暑さとその他諸々で思考までも溶けていたようである。
「溶けてやがる……遅すぎたんだ!」
 叫ぶ弥奈もまた、ちょっと妙なテンションになっていたらしい。
「色々もあるのでしょうが、この暑さでは碌な事にならんかと」
 考え事は秋にしろと弥奈が呼びかけるも、上の空になった彼はまるで反応なし。
「ええい、気合い入れろ! キンキンに冷えたスイーツを食べに行くぞ!!」
 弥奈の叫びに、ルイアークはようやく我に返って。
「そうです! 冷たいスイーツでひとつ活を入れましょう!」
 トレードマークの白衣に袖を通し、ルイアークは立ち上がる。なお、裏表が逆であることに本人は気づいていない。
「さぁ! 行きますよ、有枝ちゃん! ひんやりスイーツのお店へ!」
「いいから脳に糖分ぶっこんで、身体冷やして休め!! 後、白衣が裏表!」
 近場のゴミ箱に放り込まれたアイスの包み紙が、氷菓子とソフトで有名なスイーツのお店へと向かう2人を見送っていた。

●楽しくスイーツタイム!
 ビルの下層では、猛暑から涼しいビル内に入った人々を涼しげなのぼりを出した店が軒を連ねる。
「今日も暑い……疲れた……甘いモノほしい……」
 一仕事終えたミリムは、ふらふらとデザート店へと直行する。
「甘いモノ……冷たいモノ……!」
 よだれを垂れ流すミリムが着席して早速注文したのは、ビックサイズのパフェだ。
 上に盛られたソフトクリームにアイス、プリン生クリームフルーツ。
 そして、冷えた口をコーンフレークが一休みさせてくれる。
 ある程度パフェを食べ進めたミリムは食後のデザートにと訪れていたリーゼリットを見つけて。
「リーゼリットさーん! こっちに美味しいパフェあるよー! 一緒に食べない?」
「そうだね、パフェもいいかな」
 誘いに乗り、リーゼリットもパフェをオーダーしようとすると、ミリムは店員さんに頼み、花火つきのジャンボパフェを運んできてもらう。
「ついでだけれど、誕生日おめでとう!」
 飛び散る花火に驚いていたが、リーゼリットも嬉しそうにしていたようだ。

 それを横目に見つつやってきたのは、鶫と萌花だ。
 2人のお目当てはそのジャンボパフェだったのだ(花火はつけていないが)。
 ビッグサイズのさらに倍ある為、ボリュームは抜群だが……。
「つぐちゃん、気合入れていこ」
「2人でも食べきれるかどうか……、その前に記念撮影ね」
 スマホのレンズを向けて笑う2人はパフェを挟んで自撮り。すぐに、萌花が画像をSNSへとアップする。
 その後、早速2人はジャンボパフェにチャレンジ。
 ソフトクリームに可愛らしいクッキー、それに生クリーム。
 飽きさせない食感の変化もあって食べやすくはあるのだが、如何せん2人で食べるには多すぎた。
 それでも、鶫は一生懸命食べ続けていたのだが、いつの間にか、萌花は注文していた紅茶をすすっていて。
「……って、何か私ばっかり食べてない?」
「だってぇ、つぐちゃんのカッコイイとこ見たいじゃーん?」
 萌花は「ほらほら、いっぱい食べるつぐちゃんが好きだよ」と甘ったるく微笑んでみせて。
「むむむ、そうと言われてスプーンを置いては女が廃る!」
 一層頑張り、鶫はスプーンをカップと口の間で往復させる。
 身体が冷えて寒さを感じる鶫へ、萌花は手を差し伸べて。
「ほら、ぎゅーっ♪ なぁんてね?」
 そうして、彼女達はワイワイとデザートタイムを堪能していたようだ。

 その近場のアイスクリーム店傍の椅子では、ナクラがナノナノのニーカと共にアイスを堪能していた。
 四角いチョコレートチャンクに、オレンジソルベ。
 フレーバーは数あれど、最終的にはこれで収まるナクラ。
 チョコレートの魔力はそれだけ、彼の中では強いのだ。
 そこで、パフェを食べ終えたリーゼリットが通りかかると、ナクラが呼び止めて。
「おめでとう、よければ、歌でもおひとついかが?」
 そうして、ギターを手にしたナクラがふとリュエンのことを思い出し、彼の歌もいつか聞いてみたいと語った後で演奏を始める。
 誕生日を祝うその歌を、ニーカがダンスを踊って盛り上げていた。
「ハッピーバースディ、おめでとう!」
 ――リーゼリットとリーゼリットの大切な人達に、幸運を!
 集まる一般人に、彼女はやや気恥ずかしそうにしていたようだった。
 その人垣の横を、遥と千代が通り過ぎる。
 彼らは近場のかき氷専門店に入り、卓を挟む。
「かき氷を食べるのは久方ぶりです。楽しみですね」
 メニューを見ながら心躍らせる千代に遥がどれが好きかと問うと、千代はレモン味が好みと語る。
「……なるほど。酸味のあるさっぱりした味がお好きなのですね」
「ですが、今は少々疲れておりますし、甘さも欲しいですね」
 それもあって、千代は頷きながら蜂蜜レモン味をオーダーする。
「私は宇治金時のかき氷が好きですね」
「和風味もよろしいですね!」
 遥にとっては、かき氷といえばこれという味らしい。千代もなるほどと相槌を打っていた。
「……実は先日、友人と宇治金時を食べに行ったばかりなんですけどね」
 苦笑いする彼の元に、早速宇治金時のかかったかき氷が運ばれてくる。
 同時に並べられた蜂蜜レモン味のかき氷を、千代はスマホの画面に収めていく。
 遥はそんな彼女を微笑ましげに見つめつつ、ほんのり渋さも感じるかき氷で涼をとる。
「冷たくて美味しいです。これで汗も引きますね」
 千代もまた一通り写真を撮ると、スプーンですくった一口に満足そうな笑みを浮かべていた。

 すぐに溶けてしまいそうな夏の一時。
 ケルベロス達はその時間を心行くまで楽しみ、猛暑を凌ぐのだった。

作者:なちゅい 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年7月13日
難度:易しい
参加:22人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 3/キャラが大事にされていた 5
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