熊本城ドラゴン決戦~銀杏城を臨む戦い

作者:なちゅい

●熊本城ドラゴン決戦
 空は明るみ、徐々に夜の帳が下りていく。
 いつもであれば、それは何気ない1日の終わりであり、特別な感情を抱くことはなかっただろう。
 しかしながら、この日は違う。
 巨大な生物が硬いものに次々とぶつかり、その度に空気が震える。
 前者は侵空竜エオスポロスと呼ばれるドラゴン。そして、後者は銀杏城とも呼ばれる熊本城だ。
 幾度目かの衝突。それによってついに城が破壊されてしまう。
 瓦礫となった城の内部から現われたのは、恐ろしい力を秘めた何か。
 それは、薄暗くなってきた熊本の地で、怪しく煌いていたのだった……。

 ヘリポートに集まるケルベロス達。
 彼らへと、リーゼリット・クローナ(ほんわかヘリオライダー・en0039)が挨拶を交わし、早速説明を始める。
「熊本市全域で行われたドラゴン勢力との戦い……。最小限の被害で敵を撃退できたようだね」
 ただ、竜十字島から出撃したドラゴンの軍団がすぐそこまで迫って来ているという。
 敵の目的は、『熊本城』に封じられた『魔竜王を復活させる事すらできる魔竜王の遺産の奪取』に間違いない。
 ケルベロスの活躍によりグラビティ・チェインの略奪を阻止できた為、魔竜王の遺産の封印は未だ破られてはいない。
 しかし、敵はこの封印を強引にこじ開けようとしている。
「ドラゴンの軍団は熊本城に特攻、自爆することで自分達のグラビティ・チェインを捧げて封印を解放しようとしているようだね」
 今すぐ熊本城へと向かい、熊本の戦いに参加したケルベロスと合流した上で、熊本城の防衛に参加してほしいとリーゼリットは話す。
「敵の狙いは、2つあるようだね」
 1つは『侵空竜エオスポロス』の軍団を熊本城に突撃させて自爆させ、魔竜王の遺産の封印を解除する事。
 そして、もう1つは、覇空竜アストライオスと配下の四竜、廻天竜ゼピュロス、喪亡竜エウロス、赫熱竜ノトス、貪食竜ボレアースの儀式により、封印を解除された魔竜王の遺産を、竜十字島に転移させる事だ。
 魔竜王の遺産が、竜十字島に転移させられてしまえば、こちらから手出しする事は至難となり、ドラゴン勢力の野望を食い止める事は不可能となるだろう。
「それを防ぐ為には、侵空竜エオスポロスを迎撃すると同時に、儀式を行う覇空竜アストライオスと四竜への攻撃を敢行する必要があるよ」
 強大なドラゴンとの戦いとなるが、ここで敗北するわけにはいかない。
 まず、熊本城に突撃してくる『侵空竜エオスポロス』1体と戦うことになる。
「侵空竜エオスポロスは覇空竜アストライオス配下のドラゴンで、素早い機動と鋭い斬撃、電撃のブレスなどを得意としているよ」
 侵空竜エオスポロスは熊本城突入の12分後に自爆し、コギトエルゴスムとなる事で封印の解除の為のグラビティ・チェインを放出する。
 これを完全に阻止する為には、12分が経過する前に撃破する必要がある。
 撃破ができなかった場合も、大きなダメージを与える事ができれば、自爆の効果が弱まり、封印を解除するグラビティ・チェインも減少する。可能な限りダメージを与え続けたい。
「この戦いと同時に、儀式を行なう覇空竜アストライオスと四竜への対策も必要になるね」
 覇空竜アストライオスは自爆による封印の解除に失敗した場合、儀式を終了させた配下の四竜を犠牲に捧げてでも、魔竜王の遺産を手に入れ竜十字島に送り届けようとする。
 これを阻止する為には儀式が完成する前に、覇空竜アストライオス或いは四竜の一体でも撃破する必要がある。
「とはいえ、覇空竜アストライオスと四竜は侵空竜エオスポロスの軍団の背後にいるからね。侵空竜エオスポロスを突破しなければ戦いを挑む事は出来ないよ」
 検証の結果、侵空竜エオスポロスと戦いつつ、少数の飛行可能なケルベロスを突破させて、覇空竜アストライオスと四竜を奇襲する作戦が成功の可能性が最も高い事がわかった。
「非常に危険な作戦となるけれど……、全てはケルベロスの皆の勇気と力にかかっているよ」
 覇空竜アストライオスと配下の四竜は、互いに連携して戦う事ができる。
 突破した全戦力を一体の目標に集中させた場合、他の四竜が連携して妨害してくる為、確実に撃退されてしまう。
 それを阻止する為には、本命の攻撃の他、残りの4体に対しても少数での攻撃を仕掛けて、連携を妨害する必要があるだろう。
「四竜は覇空竜アストライオス防衛を最優先に動くから、ある程度の戦力でアストライオスを攻撃しつつ、本命の攻撃を集中させる作戦は有効かもしれないね」
 ――繰り返しにはなるが、皆の勇気と力がこの状況を打破できるはず。
「どうか、この戦いに……ケルベロスに勝利を」
 リーゼリットは戦いに向かうケルベロス達を激励し、説明を終えたのだった。


参加者
ラトゥーニ・ベルフロー(至福の夢・e00214)
テンペスタ・シェイクスピア(究極レプリカントキック・e00991)
アバン・バナーブ(過去から繋ぐ絆・e04036)
ミレイ・シュバルツ(風姫・e09359)
ソフィア・フィアリス(傲慢なる紅き翼・e16957)
ファルゼン・ヴァルキュリア(輝盾のビトレイアー・e24308)
アビス・ゼリュティオ(輝盾の氷壁・e24467)
雑賀・真也(不滅の英雄守護者・e36613)

■リプレイ

●銀杏城を防衛せよ!
 熊本城――。
 この築城は加藤清正が場内に銀杏を植えたことから、別名銀杏城と呼ばれる。

 当チームの目標は、熊本城に突撃する侵空竜軍団のうちの1体を止めること。
 そして、2人を突破させて軍団背後にいる四竜との戦いに向かわせることだ。
 突破には少数の翼を持つ者が適任とあって、ヴァルキュリアであるファルゼン・ヴァルキュリア(輝盾のビトレイアー・e24308)と、アビス・ゼリュティオ(輝盾の氷壁・e24467)が立候補する形で突破役となる。
 クールな態度のテンペスタ・シェイクスピア(究極レプリカントキック・e00991)もまた、彼女達の突破の支援に当たる所存だ。
(「ここで突破させないと、大変なことになる」)
 ――どんな手を使っても、彼女達を突破させる。
 突破班2人を見ながら、ミレイ・シュバルツ(風姫・e09359)は自身の使命を果たそうと誓う。
「ドラゴンねえ。この前の戦いで頑張った子達の為にも、おばちゃんも頑張るとしますかね」
 さすがに今回は本気を出さねばならないと、ソフィア・フィアリス(傲慢なる紅き翼・e16957)が呟くも、アンニュイな雰囲気は変わらないままだ。
 ヘリオンから降下するメンバー達は、ソフィアが言うこの前の戦いの参戦者と合流する。
 自分の下でじっと指示を待つミミックのリリに、ラトゥーニ・ベルフロー(至福の夢・e00214)は「偉ぃ」とマイペースに労って。
「連続とか追加でだらだらできなぃ? 暑ぃし眠ぃしぉ腹空ぃたし、補給してから動こぅ?」
 ただ、雑賀・真也(不滅の英雄守護者・e36613)がそこで頭を振る。
「先に様子を見ていたが……、状況はあまり良くない」
 メンバー達は簡単ではあるが、作戦の打ち合わせを行う。
 相手は巨大なドラゴンだ。もしかしたら、命の危険もあるかもしれない。
「……それでもやるか?」
 メンバー達からは誰一人、自身の言葉に反論が出ないことを真也は確認して。
「ふっ、聞くまでもなかったか。ならば、勝ちに行くぞ」
 この場に飛来してくるいくつもの巨影。
 突っ込んできたその1体に対し、メンバー達は早速立ち向かっていくのである。

 熊本城に突撃してくる『侵空竜エオスポロス』。
 全長12mもある巨大竜は、長い尻尾を叩きつけてくる。
 アバン・バナーブ(過去から繋ぐ絆・e04036)は強烈な一撃に歯を食いしばりながら跳び上がり、重力を宿す蹴りを食らわせた。
 ともあれ、突破を気取られぬように。
 ソフィアは自身や仲間達の言動に、十分気をつけながら立ち回る。
 前線へと向かわせたミミックのヒガシバが、エクトプラズムで作り出した武器で殴りかかっていく。
 その後ろで、ソフィア本人は遠隔操作型縛霊手『イノセント・プレイ』をつけた拳を振るい、相手の時を凍りつかせる弾丸を飛ばす。
 ともあれ、相手の動きは少しでも止めておきたい。
 真也は夫婦双剣【干将】の刀身に雷を纏わせ、相手に鋭い突きを繰り出す。
 ラトゥーニは普段どおりに、ミミックのリリをジャマーすべくほん投げた。
 メインに動いてもらうリリを相手目掛けて喰らいつかせる後ろで、ラトゥーニはぼんやりと考える。
(「最初に人数、はぃるけど抜けたら減るし」)
 ここは最低限の仕事をとラトゥーニも暗黒魔法を詠唱し、敵の周囲にエゴを具現化した黒鎖を出現させ、巨竜の体を縛りつけていく。
 そこに、テンペスタが跳びこみ、激しい蹴りを浴びせかける。
 痺れを与えるほどの鮮烈なる一撃だったが、さすがに4階建てにも相当する大きさの敵。そうそう簡単には、怯んですらくれない。
「あなたの相手はわたし達。……逃がさない」
 距離を置いて相手へと仕掛けるミレイも、アルミニウムメタル製の鋼糸を操る。
「裂け、彼岸花」
 一度触れれば、相手の魂と肉体を切り刻む奥義「彼岸花」。
 ミレイはそれを侵空竜の周囲へと展開して、相手を雁字搦めにしていく。
 そして、突破の為のタイミングをはかるファルゼン。
(「まずは、アビスを無事に突破させないと」)
 ボクスドラゴンのフレイヤを仲間の護りへと当たらせ、ファルゼンは攻撃を受けた仲間の為にと光の盾を展開していった。
 ボクスドラゴンのコキュートスに、アビスは属性注入での回復を任せる。
 アビスはオウガ粒子をこの場のメンバー達と振り撒いて支援しつつ、突破の機を窺うのだった。

●竜を突破できるか……?
 ケルベロス達は向かい来る侵空竜エオスポロスに応戦する。
 ドラゴンは素早く腕を振り払い、衝撃波を飛ばす。
 前線でそれを受け止めるのはアバンは防御体勢をとり、可能な限り突破班2人を護る。
 同時に、攻撃もしっかりと叩き込むべく、アバンは構えたバスターライフルから凍結光線を発射して敵の体力を削っていく。
 続き、ミミック、ヒガシバが前線で身を張り、偽物の黄金をバラ撒いてくれていた。
 相手の体が一部捕縛されているのを確認したソフィアは、背中の赤い翼を広げて。
「さあ、あなたの罪を数えなさい」
 その翼より、彼女は聖なる光を撃ち放つ。
 収束させた光はエオスポロスの罪を直接撃ち抜くが、その罪とは……。
「罪の重さなんてものは、裁く側が決めるものなのよ」
 ソフィアは小さく、口元を吊り上げた。
 空を飛ぶ突破班2人を、この先に向かわせる為。
 真也は両手に握る双剣の刃より相手の霊体のみを切り裂く衝撃波を飛ばし、竜の霊体を切り裂いた。
 続き、ミミック、リリがエクトプラズムで作った武器で斬りかかり、敵の身体の一部を石と化していく。
 その後ろ、ラトゥーニも少しでも相手を叩いておこうと、電子魔導書籍を手に悪霊の群れを解き放つ。
 食らい付いてくる悪霊をものともせず、侵空竜は一声嘶いてから全身の爪と尻尾、さらに踏みつけ、その上で鋭い牙で食らいついてくる。
 狙うは、前線にいたテンペスタだ。
「やらせはせん、やらせはせんぞぉ!!」
 両手のパイルトンファーの螺旋力をジェット噴射させた彼女は、錐揉み回転しながら戦場を飛び、相手へと突撃していく。
 そんな仲間達の戦いを見守りつつ、ファルゼンは後方から光の盾の展開を続けてサポートしていく。
 箱竜フレイヤが属性ブレスを吐き掛ける後方では、同じ箱竜コキュートスが属性注入での回復に当たってくれる。
 その主であるアビスが砲撃形態とした竜鎚より、砲弾を叩き込んで相手をできる限り怯ませようとする。
「もう時間がない」
 覇空竜、四竜を止めるなら、そろそろ突破せねば討伐は苦しい。
 高く跳躍したミレイは相手に重力を宿す一蹴を浴びせかけつつ、突破の隙を作ろうと画策する。
 刻々と過ぎ行く時間。
 侵空竜をこの場で倒すと意気込むメンバーは、ここぞとタイミングを合わせて渾身のグラビティを繰り出す。
「この空の向こうに、こいつ等よりヤバい奴等が居る……そっちに殴りこみに行く人達が居る……」
 アバンは斬霊刀を手にする。そのグラビティは用意してはいないが、彼独自の技であれば話は別。
 闘志を高めた彼は青いバトルオーラを吹き上げつつ疾走し、霊力密度の高まった刀身を抜き放つ。
「……きっちり庇って送ってやるから、ぜってぇ生きて帰って来いよなぁ!!」
 鞘に満たされた霊力はアバンの握る刃へと充満し、襲い来る竜へと蒼き一閃を刻み込む。
 真也もまた自らの最強技を行使すべく、周囲に自らの空間を転化していく。
 月夜の荒野に突き刺さる無限の刀剣は、皆彼が複製したもの。
 それらを真也は飛ばすと同時に自らもその刀剣を両手に握り、エオスポロス目掛けて斬りかかっていく。
 前線メンバーを攻撃に尽力させる為に、魔力の水を浴びせかけて体力の活性化を図る。
「プラズマドライバー・アクティブ!!」
 支援を受けたテンペスタは両拳、脚部を覆うように緑のエネルギーを解放し、プラズマ化した杭を仮想力場にて生成した。
 それを纏った拳で、テンペスタはまず攻め込んでいく。
「肘打ち、裏拳、正拳、連打連打ぁ!!」
 左右の拳の連打、連続膝蹴り、さらに回し蹴りで相手の体を僅かに上方へと打ち上げる。
 そのわずかなタイミング。テンペスタはエネルギーをさらに追加して。
「ひぃぃいっ殺っ!! レプリカント・ファントム!!」
 それを集めた右拳で、彼女はアッパーを叩き込んだ。
 僅かに相手は怯む。見れば、敵陣を突破するケルベロスがちらほらと出始めている。
 しかし、アビスもファルゼンも動かない。いや、動けない。
 なぜなら、竜は瞳を輝かせ、両腕で真空波を飛ばしてきたからだ。
 その一撃は、相手に食らい付いていたヒガシバを捉え、消し飛ばすことになる。
「ん、お疲れ。ちょっとの間休んでなさい」
 素っ気無くも、自身のミミックを労ったソフィアは再度、広げた翼より収束させた光を発射する。
「続けて、いきます」
 間髪入れず、肉薄してきたミレイが脚を振り上げた。
「劈け、八咫烏」
 巨大な竜目掛け、彼女は弱点属性と見定めた三連続の蹴りを浴びせかける。
 さらに、眼前の相手へと雷を纏わせた刃を突き立てた真也は、突破役2人に向けてグッドサインを送る。
 仲間達が作ってくれた隙。
 態度には示さぬが、アビスは交戦を続ける仲間達を見下ろしつつ、光の翼を羽ばたかせて喪亡竜エウロスの元へと飛び去っていく。
 アビスがこの場を抜けたのを確認したファルゼンもまた光の翼を瞬かせる。
 エオスポロスの真横を飛び抜けたファルゼンは、多数のケルベロスが向かう廻天竜ゼピュロスへと向かうのだった。

●自爆を食い止めろ!
 光の翼で舞う2人を突破させたからといって、全く安心できる状況にはない。
「ここからが本番」
 ミレイは侵空竜エオスポロスを倒すべく素早く敵へと近づき、電光石火の蹴りを浴びせかけてから離脱する。
 この場で、交戦を続ける6名とサーヴァント2体。
 その目的は、侵空竜エオスポロスの自爆を食い止めることにある。
 対する、竜はケルベロス達を地へと這わせるべく、炎を吐き掛けてくる。
 ソフィアはすぐさま仲間の体力の減少を察し、撒いた紙兵に仲間の守護に当たらせる。その一部はメンバーに力を与え、ただの紙切れと成り果てていた。
 侵空竜が自爆すると、魔竜王の遺産の封印を解除の為にグラビティ・チェインを放出してしまう。
 こちらの1体だけと侮るわけにはいかない。周囲では同じ竜が数多くのケルベロスと交戦している。
 ゲシュタルトグレイブを手にしたアバンは、その尖端に稲妻を舞わせて一閃させる。
 ラトゥーニは相変わらず、ミミックのリリに任せ気味ではあったが。
「どぅしよ」
 刻々と過ぎ行く時間に、彼女は嘆息する。
 残り数分で、相手は自爆するのは間違いない。
「……面倒だけど」
 このまま倒すことを考え、力を解放するのが一番かもしれない。
 自爆した後の方がもっと面倒な事になりそうだと、ラトゥーニも魔法で具現化した黒鎖を放って竜の捕縛へと動く。
「全軍抜刀、全軍突撃!!」
 テンペスタは前のめりに竜を攻め立てる。
 必殺のレプリカント・ファントムももう3度目。
 しかしながら、相手はまるで倒れる素振りを感じさせず、素早く長い尻尾をしならせてケルベロス達へと叩きつけてくる。
 真也は鞭打ちになりつつも両手に夫婦双剣【干将】、【莫耶】をそれぞれ手にし、巨竜の霊体のみを切り裂く衝撃波を連続して放っていく。
 現状、仲間達は皆倒れずに立っている。真也も攻撃の手を止めることなく攻め行く。
 だが、この場のケルベロス達は突破班のことに気を回しすぎていた。
 その後の戦いに関しては、前のめりに攻撃をぶつけようと考えていた者も多い。
 そこを、敵に足元をすくわれる形となってしまう。
 テンペスタは左右のパイルトンファーの螺旋力をジェット噴射させて錐揉み回転しながらの突撃直後、再度レプリカント・ファントムを叩き込もうとしたが……。
 侵空竜は彼女目掛けて全身全霊で両腕の爪と蹴りを浴びせかけ、さらに鋭い牙でその身体を噛み砕こうとする。
「まだ、ま、だ……」
 攻撃偏重で動いていたテンペスタは気を強く持とうとするが、耐えることが出来ずにその場へと崩れ落ちてしまった。
 しかしながら、メンバーの数が揃っていた時に張っていた強化と相手の弱体化まで無駄になっていたわけではない。
 縛霊手を振るうソフィアの撃ち込む時空凍結弾。それが敵のわき腹付近を凍りつかせる。
 敵の体全体に、ケルベロス達がつけた傷が増えてきている。
 ただ、時間内に倒さねば、封印解除の為の力を与えてしまう。
 ラトゥーニもミミックのリリと共に、竜の爆破を阻止すべくグラビティを発する。
 チームの回復役とあって、危険と察知すればラトゥーニも回復の為に魔力の水を精製して仲間達へと振り撒いていた。
 相手の状態を確認しながら攻撃を続けていたミレイも、素早く風の術式を刻んだエアシューズ「風切」で相手の腹へと蹴りかかる。
 目の前の竜は止まらない。
 むしろ侵空竜は翼を羽ばたかせ、城を見据えて突撃しようと態勢を整えているではないか。
 それをさせるわけにはいかないと、アバンは自身の最大火力をぶつけていく。
「蒼き燐光解き放ち、暗雲を斬り裂け、疾風の斬撃!」
 再度、彼は斬霊刀の刀身を霊化し、目の前の巨竜へとその刀身を抜き、斬りかかる。
 だが、相手は僅かに身体を浮遊させ、加速の為のエネルギーを蓄えていく。
 倒れるならば、いっそ自身の役目を果たすと主張するようだ。
「我が魂は鋼鉄なり。無限の剣戟が存在する我が世界、今、ここに顕現せよ。無限の剣戟世界!」
 仲間達が攻撃を続ける最中、真也が諦めずに自身の空間を展開していく。
 ここで仕留めねば、相手が自爆するのは間違いない。
 ――この世界が維持できれば、少なくとも周囲の破壊は防げないだろうか。
 真也は周囲に突き刺さる自らが複製した刀剣を空間内に飛ばしつつ、自身も刀剣を手に竜に迫って連続切りを見舞う。
 トドメにと、相手の喉元まで駆け上がった真也は×の字を刻み込む。
 直後、閉じる空間。
 皆がその巨体を仰ぎ見ると、意識を失ったエオスポロスは轟音を立てて地面へと落ち、その身を塵と化していったのだった。

●城の防衛は……?
 この場の侵空竜を撃破したケルベロス達は、熊本城の様子を確認する。
「城が……」
 ミレイは目の前の光景に愕然とする。
 他戦闘場所の侵空竜が次々に城に向けて突撃し、自爆していたのだ。
 破壊され、砂煙に包まれる城を、ソフィアも見つめていた。
「なんだ、あれは……」
 アバンは倒れるテンペスタを気遣いつつ、晴れ行く砂煙の中から現われた何かに気付く。
 天守閣があった場所に浮かぶ怪しく輝く球体。
 さらに、周囲の空間が振動するのを感じた一行は危険を感じ、この場から後退して行くのだった。

作者:なちゅい 重傷:テンペスタ・シェイクスピア(究極レプリカントキック・e00991) 
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年7月7日
難度:難しい
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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