●七年の孤独
――放課後、生徒会室。
西日の直射を防ぐために下ろしたブラインドの隙間から校庭を見下ろす影。
視線の先では、陸上部っぽい生徒たちの練習風景が見えた。
「ふっ……まぁ、精々頑張りたまえ。才能もない者が集まった姿は滑稽そのものだがね……」
続いて向かいの校舎にある図書館の窓に目をむけると、窓際で勉強に勤しむ生徒たち。
「そう、最後は自分自身の力が物を言う。勤勉さはこそは宝だよ♪」
そうしてブラインドから視線を外すと、机の脇に掛けた鏡を覗き込む。
「おっと、髪に埃が……もっとしっかり掃除するよう言っておかねば」
トントン!!
「会長、そろそろ各部の月次決算報告会議の時間です」
「あぁ、そんな時間か。副会長……すまないが今日はキミ達で片付けてくれないか?」
「かしこまりました。私たちで良しなに」
メタルフレームの眼鏡に長い黒髪の少女は、一礼して生徒会室を辞していく。
「さて、決算会議など時間の無駄……来月には入試もあることだし、帰るとするか」
そう。会長たる彼には、AOの推薦入試が来月に迫っていた。
「部活や勉強にあくせく努めるなど馬鹿馬鹿しい。推薦の方が楽に決まっているのに……」
頭脳明晰と言えど、それ以上のレベルの大学を狙うのであれば当然の選択。私立中学の受験に失敗したときに悟り、高校入学と同時に手を尽くして会長の座を勝ち取ったのだから。
パチパチパチ……。
部屋の隅から突然響く拍手。会長の他は誰もいなかった筈なのに。
「うーん、素晴らしいですよぉ。あなたのその心根……そうですよねぇ、ステキな未来は人を蹴落として掴むものなのに、貴重な時間を無駄にするなんて愚かしい限りです。そんな愚民たちには、あなたの崇高な精神の一端を垣間見せてあげましょう」
「ほう。それは面白い提案だ……どうすれば良い?」
少女の台詞は怪しいことこの上ないにも関わらず、何故か彼には非常に魅惑的に感じられたのだった。
「なに、簡単なこと……こうすれば良いのです」
と、彼の胸に鍵を差し込む少女。
「さぁ、あなたのその高潔な向上心を、ダメダメな人たちに見せてあげましょう〜」
●高校生活×夢喰い
「集まってくれてありがとう。さっそくだけど話を始めさせてもらうね。ここ最近、日本各地の高校にドリームイーターが出現し始めた件は知ってるでしょ? ドリームイーター達は、高校生が持つ強い『夢』を奪って強力なドリームイーターを生み出そうとしているらしいの」
話を聞きにきたケルベロスたちへの挨拶もそこそこに、赤井・陽乃鳥(オラトリオのヘリオライダー・en0110)は事件のことに触れた。
「今回狙われたのは、山梨にある高校の二年生で生徒会長も務めている、結城・連理さん(男子です)。どうやら彼の強い権力志向と自尊心から生まれた、歪んだ向上心に付け込まれたみたいなの」
――いわゆる、意識高い系?
「その意識の強さゆえかは分からないけど、どうやら産み出されたドリームイーターはかなり強力な力を持つ個体みたい。でも……」
彼の夢の源泉である『意識高い系の向上心』に反論して、意識を揺らがせるような説得ができれば、それに伴って弱体化させる事ができるはず、と続けた。
「説得なしに戦えば、皆の力を以てしても只では済まない。でも、きっちり伝えることができれば、弱体化もそう難しくはないと思うの。突っ込みどころ(?)も多いようだから」
そう言うと、敵となる夢喰いについて具体的に語り始める。
「連理さんから産み出されたドリームイーターは、生徒会室を出るとまず、校庭で練習している陸上部の面々を襲うはず。だから生徒会室のある棟から出てすぐの辺りが戦いやすいと思うの」
ケルベロスを優先的に狙う性質があるようなので、ほんの少しだけ引き付けることができれば、避難も難しくないはずだから、と。そして……、
「彼は相手の夢や欲望を喰らうだけじゃなく、自身を癒す術も持ってるみたいなの。と言っても相手は1人だし……、万能なことは決して強いことじゃないもの。大丈夫よね?」
陽乃鳥は、皆の反応を窺うように尋ねた。しかしその直後、
「ゴメンね。いいの、答えは聞かない。だって上手くやってくれるに決まってるもの。それよりも連理さんに他人を思いやる気持ちを思い出させてあげて。きっと、何処か途中で道を違えちゃっただけだと思うから」
参加者 | |
---|---|
シィカ・セィカ(デッドオアライブ・e00612) |
四乃森・沙雪(陰陽師・e00645) |
上月・紫緒(シングマイラブ・e01167) |
鈴木・犬太郎(超人・e05685) |
秦野・清嗣(白金之翼・e41590) |
九十九屋・幻(紅雷の戦鬼・e50360) |
柴田・鬼太郎(オウガの猪武者・e50471) |
茅宮・火奈(赤眼護剣・e56465) |
●生徒会室を出た意識高い系
「今頃になって頑張るなんて愚かしい」
成功したいのならもっと早くから意識していれば……。
呟きながら生徒会室を出るドリームイーター。生徒会長、結城・連理から生まれ出でたその姿は、端正な容姿の学生をイラストで描いたような異世界感。かつ、その胸にはモザイクに覆われた空虚な闇。
「……無論、努力は否定しないが、遅きに失したことこそが罪だからね」
幸い、決算会議が始まっているせいか誰にも遭遇することなく、部室棟の入り口にやってくると、校庭で練習に励む陸上部の面々に瞳を向ける。
その胸に広がるモザイクは、大きくなったり、小さくなったりと拍動を繰り返す――まるで彼の気分を映しているかのように。
そして、己の向上心を見せつけるための一歩を踏み出した。
「よぉ、生徒会長さん。あんた何か勘違いしていないかい?」
そんな夢喰いの前に立ちはだかったのは、野武士を思わせる風体の精悍なオウガ、柴田・鬼太郎(オウガの猪武者・e50471)。
「誰だ、君は。我が校の生徒には見えないが……そうか、不審者というヤツか!?」
どっちが不審だ、と言われかねない台詞だが、第三者からしたら似たようなものなので、そこは突っ込むまい。
「それに、勘違いとは聞き捨てならないね」
「だって……なぁ、学校ってのは勉強するだけの場所じゃねえぜ」
と、仲間に向かって促す鬼太郎。そこで連理は、初めて他にも『不審者』が居ることに気付く。
「あなたは、人は利用するもの……と考えているのではないですか?」
日本刀を携えたメイド、茅宮・火奈(赤眼護剣・e56465)が尋ねた。
答えを待つまでもなく、サキュバスの上月・紫緒(シングマイラブ・e01167)と正に陰陽師然とした格好の四乃森・沙雪(陰陽師・e00645)が台詞を継いだ。
「あなたがこのまま歩き続けるとして、大人になったときにアナタは何をするんですか」
「君はまだまだ色々と経験することで人生の引き出しも増えるのに……」
何も今から達観する必要などないんじゃないか、と。
そうやって彼らが説得する間に他の面々は一般生徒たちに避難を促してゆく。
「僕たちはケルベロスですよ~。デウスエクスが現れたので、みんな避難してね~」
ボクスドラゴンの響銅とともにパタパタ飛びながら、緩い感じでアピールする、秦野・清嗣(白金之翼・e41590)。
が、いくら悠然と伝えても、変わらぬ日常の中にある生徒たちにとってデウスエクスの存在は大きな非日常。
そこに力強く降り立ったのが、赤い瞳に白髪のオウガ、九十九屋・幻(紅雷の戦鬼・e50360)と夢喰いに内蔵を奪われた過去を持つ、鈴木・犬太郎(超人・e05685)。
「「大丈夫だ。害なす者は……」」
「私たちが止める!」「俺たちが斃す!」
――だから落ち着いて避難しろ、と。
それでも、自然にハモった声すら耳に届かず、他者を押しのけていく子らの姿が見える。
「落ち着くのデス!」
そんな子らの流れを止めるべく駆けつけたシィカ・セィカ(デッドオアライブ・e00612)。
彼女の声とともに、凛とした風が校庭を吹き抜けると、泰然自若としたその様子に気付いた者たちが落ち着きを取り戻し、誘導に従うようになった。
決着は此処で――端からそのつもりゆえ、生徒たちが校庭から離れさえすれば良い。同時に、図書館など向かいの校舎から校庭に入ってくる者がいないよう、キープアウトテープで封鎖する幻。
これで準備は整った。
「いっえっす! それではソウルに響くロックを御見せするのデス! ケルベロスライブ! スタートデース! イェイ!!」
天高く、竜姫が謳う。激しく速いビートを刻むギターを掻き鳴らし、聞く者皆に勇気を振りまくように。
●議論する意識高い系
生徒たちが避難している間、4人のケルベロスたちに引き留められた恰好の夢喰いは、その標的を彼らの方に切り替え、攻撃的な気配を滲ませていた。
――なら君たちは、学校をどういう場所だって言うんだい?
「学校ってのはなぁ……人との交流を学ぶ場所なんだぜ」
鬼太郎が改めて言い含めるように言う。
「交流? くだらないね……そんな事に時間を費やして何の意味が?」
蔑むような瞳を返す連理を、沙雪がむしろ穏やかな表情で受け止める。
「人と触れ合うことで、開く未来の選択肢が広がることもある。まだ分からないのかも知れないけど」
「あぁ、分からないね。僕にはもう未来が視えている――そして、そのために必要な事も」
「本当にそうでしょうか? 目を向けていないだけで、他にもあるのでは?」
間髪入れず答えた連理に、火奈が疑問を投げかける。
「ないさ。そんなもの……ある筈がない!」
「……失敗が怖いんだろう? それもわかるけど、まだまだ取り返すこともできるじゃないか。それなのに、このままで良いのか、本当に」
――沙雪の挑発。
「うるさい!」
叫んだ連理の胸のモザイクが盛り上がり、巨大な口となって沙雪に喰らいつく。
「離してください」
紫緒が喰霊刀・狂愛葬奏を以て、連理を貫いた。
ギリッ……刃が軋むような音とともに呪詛がこぼれ、モザイクを侵してゆく。
同時に、バスタードソード・桜牙をモザイクの口に叩き付ける鬼太郎。口が沙雪を離すと、火奈の太刀から放たれた斬撃が、美しい弧の軌跡を描いて追い縋り、断つ。
さらに解放されたばかりの沙雪自身による神速の突き。
――そこに、避難を終えた面々が参戦。
「人間一人で出来る事など、たかが知れているものさ」
流星の如き煌めきを放つ蹴りと共に飛び込んできたのは幻、続いてシィカ。
「確かに夢を掴むには時に人と競うことも必要デス!」
「デスが! ただ他人を利用して、蹴落とすだけでは独りぼっちになってしまうだけデス! 何も、何も残らないのデス!」
「構うもんか! 僕は、僕の望みのために他人を利用する……利用して成り上がるんだ!」
「どうやら君は、最終まですべて自己完結しているみたいだね。でも、君が今生きて生活していられるのは、果たして君自身の力なのかな?」
「…………」
そう。食事も住むところも。そして今いる学校でさえも。いずれも彼1人で手に入れた物ではない筈だから。清嗣の言葉をキッカケに、握ったナイフの刃に連理のトラウマを映しだす。
その間も、反撃を警戒する響銅が属性をインストール。
「ま、そりゃ何も苦労しないってのは良いことだが、その分達成感も薄れる。つまり、そんなことすら忘れちまったんだろ?」
犬太郎が、より強い調子で言い放ってみせた。
「っざけんな。お前が僕の何を知っている!?」
連理の口調があからさまに崩れ始めた。と同時に大きく広がってゆくモザイが犬太郎を包み込むと、失くしたはずの過去が悪夢となって彼の裡に呼び起こされる。
シャウト!
が、地獄と化した犬太郎の記憶が、絶叫を機に悪夢を振り払った。
主が反撃を喰らわずに済んだ事への礼か、代わって響銅が夢喰いにブレスの一撃を見舞う。さらに、
「アナタはそうやって人の言葉を聞かず、他人を利用し、蹴落として生きていくのですか? そんな風に自分しか見ないで、将来、恋ができますか?」
恋こそが人を救うと信じる紫緒ならではのアプローチ。同時に星型のオーラを蹴り込み、目覚めを促しながら、きっぱりと連理の姿勢を否定する。
「蹴落として、上り詰めた先で運命の人に出会えますか? 無理ですよ。だって、恋は対等ですもん」
答えはない。そんなこと思いもよらなかったと言うように。そこへ、畳み掛けるように、犬太郎が鉄塊剣ヒーロースレイヤーを抜く。
「さっきのは効いたぜ。俺はもう色んなもんを失くしたが、お前はまだこれからだろ」
そうやって言葉を掛けながら、降魔の一撃を叩き付ける。
「部活も勉強も、頑張ればそれだけ良い思い出になる! 意識高いのもいいが、他人を思いやる気持ちを忘れるなよ」
――再び夢喰いが沈黙に包まれた。
「もしかして自分には無理だとか思ってないかい? そんなことないさ。だって生徒会長に選ばれるってことは、他の者と交流する技術がないわけじゃあないってこったろ?」
彼の意識を呼び起こすべく、彼の近くで大太刀を力いっぱい振り下ろす鬼太郎。巻き起こる突風が、彼の意識ごと躯をよろめかせた。
そろそろだろ……と、シィカがウィルスカプセルを彼に射ち込む。と、その直後、傷を修復するように蠢くモザイクが、途中でエラーを起こして動きを止めた。
●うつろう意識高い系
夢喰いは着実に弱体化している。いまの様子から見てもそれは疑いようもない。
焦りを窺わせた夢喰いに、空の霊力を込めた一撃を叩き込む沙雪。さらに清嗣の刃が傷口を抉る。
「くひひ。そのまま少し大人しくしていてもらおう」
幻の太刀・紅光に紅い稲妻が宿る。神速で斬撃を二筋、クロスするように迸る稲妻が夢喰いを貫いた。
「人と正常に交流が出来るという事は社会に出てから必要な資質。それに、共に歩む仲間ができるというのはいいものだよ」
「よく思い出してみてください。あなたの周りには、あなたを支えてくれている人がいるのではありませんか?」
そう言うと共に大きく跳ぶ火奈。そして遥か頭上から太刀を斬り下ろす。
――星眼流壱ノ太刀、『流星』。
「もう一度、良く考えてみてください……お願いです」
夢喰いの躯に大きな傷を残すと共に、連理が本来持つべき想いを呼び醒ますために。
だが、夢喰いはまだ連理の意識の歪みを喰らいつくしてはいなかった。その上さらに貪欲に喰らおうとモザイクが膨れ上がる。
が、それが膨張し尽くす前に身を以てそれを取り込む火奈。
悪夢が、かつて彼女が主と仰いだ者の敗北というトラウマを掘り出して見せた。
「もう止めておくのデース!」
シィカが2人の間に割って入った。
「このまま突き進めば、あなたは独りぼっちになってしまうだけデス! それはとーっても寂しいことなのデス!」
――たとえ大きくなって、成功しても! 一人で居るだけなんて。
人を想う気持ちが生み出す言葉が生きる者たちの心を癒す。前衛に立つ面々の傷と共に。
その言葉でトラウマから解き放たれた火奈は、改めて防御を固めた。あらゆる攻撃を弾き、己の回復を優先。
それに代わるように連理の前に飛び出したのは、紫緒。
「人を蹴落として生きるあなたが釣り合うと思う相手って、結局同じように蹴落とす人かそれを見透かすぐらいの人じゃないですか? どっちにしても対等じゃない!!」
恋とはそういうものじゃないということを伝えるべく、夜の舞踊を奏でる。
一対の黒翼に魔力を込め、右足を軸に翼を振り抜くと、発する黒の奔流が夢喰いを飲み込んでゆく。
「アナタのは孤高じゃなくて、ただの孤独……だからダメ! です!!」
「分かったかい? さぁ、いい加減目を覚まし給え。何れ社会に出る時、多くの繋がりこそが宝だったと後悔する前にね」
清嗣の放った札が、鬼火となって夢喰いに纏わりつく。すべての不浄を焼き尽くすために。
そしてこれは夢喰いにとっては耐え難き苦痛。モザイクが纏わりつく鬼火を消して修復すべくテクスチャを編む。
が、敵にみすみす回復の余地など与えない、と幻が紅光に渾身の呪詛を込め、美しい斬撃の弧を描く――幻にとっての闘争は、苦しみを長引かせるものではないのだから。
これに続くは犬太郎。
「一撃だ、俺のたった一撃を全力で完璧にお前にブチ込む!」
そう言って放つは獄炎と降魔の力を乗せたストレート。渾身の力で放たれたそれは、会長から生まれた夢喰いを容易く壁に叩き付けた。
だが、その完璧にも見えた一撃ですら、トドメを刺すには至らない。再びモザイクが大きな口となって襲い掛かる。
「響銅!」
主の声に応えるように、ボクスドラゴンがその前に身を挺した。モザイクに飲み込まれながらも、飛び込んだ勢いを借りて全身でタックル。
既にかなり弱っていたと思しき夢喰いの躯が大きく傾いだ。
「俺の知る限りの偉人も、みな周囲に支えられて大事を成した。お前さんも、周りと協力して物事を成した方がでかい成果を上げられるんじゃねえか!?」
鬼太郎が、語りかけながらもボクスドラゴンの『負傷』を殴り飛ばしてのける。
「そうさ。君を慕う者も居る。その人たちとも壁を作ったままで良いのか。自分で自分の可能性を潰すなよ。そして高校生に憑りつく悪しき夢喰いは消えろ!」
沙雪が印を結び、天照大御神の名を奉唱。それと共に、神霊剣・空/神霊剣・天に宿りし破邪の力が光となりて降り注ぎ、夢喰いをモザイク一片すら残さず消し去った。
●支えられる意識高い系
「み、皆さん! お怪我はないでしょうか?」
それまで夢中で語りかけていたせいで隠れていた生来の気弱さが戻ってきた火奈。
「大丈夫そうだね、皆。では生徒会室に結城君を起こしにでも行こうかな」
清嗣は再びパタパタと10cmほどのところを浮かびながら部室棟の階段を上ってゆく。
――連理って名前の意味、考えた事有るかい? 一度、生徒会室の皆と話してみよう。
「……そう、ですね。なんだか僕は長い間悪夢に怯えていたみたいだ」
目を覚ますや、そんなことを告げる連理。
「どうやらもう、心配はなさそうだね」
安心したようにそう告げると、すべてが始まった生徒会室の不浄を払うように弾指を行う沙雪。
パチンという小気味良い音が響くや、部屋の淀みも次第に薄れゆくように感じられた。
「会長!」
「連理さん!!」
役員らしき生徒たちが何人か。決算会議のせいで一連の騒ぎには気付かなかったのだろう。
「いや、建物を出た辺りで倒れたから運んできたのデス! よほど疲れがたまってるようなのデース」
シィカが告げると、誰1人疑うことなく連理に駆け寄ってゆく。
「だ、大丈夫ですか?」
「もっと早く言ってくれれば……」
そんな面々に囲まれた連理の表情は、どこか狐につままれたよう。
その様子がおかしくて、紫緒はつい耳元で囁いてあげたくなった。
「……ほら、ね。これからは改めて夢を掴んで、そして良い『恋』をしてくださいね」
作者:千咲 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2018年7月2日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 3
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