滴る汗と欲望の手

作者:幾夜緋琉

●滴る汗と欲望の手
 薄暗闇に包まれた、ある深い森の中。
『ヘヘヘヘ……』
 汚い顔を欲望のままに歪めている、オーク達。
 そのオーク達が囲うど真ん中の辺りには……『スライム忍者・雷霧』の姿。
『うう……』
 その言葉には、嫌悪感は明らかに滲み出ている。
 が……決してそれを口に出すことなく、彼女は。
『お、お願いです。私のスライムを、是非一緒につれて逝って上げてください! き、きっとオークさん達の役に立ちますから!』
 ぐっと握りしめた拳……だが、オーク達はそんな雷霧の言葉に。
『スライムダア? ホントウニ役ニタツノカヨ!』
『ソウダソウダ。ソレヨリオマエノホウガ、俺達ニ役立ツンジャネエ?』
『ダナァ……ヘヘヘ』
 そして欲望のままに、雷霧の尻に手を伸ばすオーク。
 スライムの為、スライムを活躍させる為……と。
『お、お願いです……っ!! ゴメンナサイッ!!』
 顔を真っ赤にしながら、其の場からドロンと姿を消す雷霧。
『チッ……シャーネェナ』
『マ、ツカッテクレッテイウナラツカオウゼ? ソシテ、マタヨビダセバヨ!』
 下衆な笑みを浮かべるオーク。
 そして彼らは……街中に在る、フィットネススタジオに狙いを定め……魔空回廊から、姿を現わす。
『キャアアア!!』
 レオタードに身を包む女性達へ、次々とそのスライムを嗾け、服を溶かす。
『ゲヘヘヘ、ホントウダ! イイゾイイゾ!!』
 女性達の叫び声に満面の笑みを浮かべながら、オーク達は周りの女性陣を次々と、思うが儘に凌辱していくのであった。
「ケルベロスの皆さん、集まって頂けましたね。それでは……説明致します」
 と、セリカ・リュミエールは、集まったケルベロスに軽く一礼すると。
「どうやら、またもオークが現れてしまった様なのです。それも、女性達の多い、街中のフィットネススタジオに」
「彼らは魔空回廊から、そのフィットネススタジオへと狙いを定め、次々と姿を現わします。ただ、普通のオークとは、ちょっと違う物を持っている様なのです」
「彼らは、服を溶かすという……非道いアイテムを手に入れ、女性達へ凌辱の限りを尽くそうとします。皆さんには、この凌辱を止めてきて頂きたい……という事になります」
「ただ、襲われる女性を事前に避難させてしまうと、オーク共は別の場所へ狙いを変えてしまいます。そうなると、被害を防ぐことは出来なくなってしまいますので、女性達の避難はオークが現れるのと同じ位で、同時に進めなければなりません」
「勿論オーク達は、女性達が居れば、優先的に悪戯をしようとします。一般人の方々を優先的に避難させた上で、オークに正義の鉄槌を喰らわせて頂きたいと思います」
 そしてセリカは。
「フィットネススタジオには、インストラクターの先生と、汗を流す女性が15人程居る様です。結構その時点で人口密度が高い様な状況なのですが、それに加えて20名のオークが魔空回廊から現れます。皆さんを含めれば、通常20人で一杯なフィットネススタジオに50人が居る、という状態になりますので、人口密度はかなり高いと言えるでしょう」
「一応更衣室もありますが、そこに一般人の方々を押し込んでも10名位のキャパシティしかありませんので、一般人を逃がすには一度外に……という事になるかもしれません」
「尚、オーク達ですが、個々についてはそんなに強い相手ではない様です。ただ先ほども言った様に、服を溶かすスライムを持ち、最初から勝った気で、仲間達と女性凌辱を大きな目標で一緒に活動している様な輩ですので……油断は出来ません。スライムだけでなく、背中の触手で体をまさぐってきたり……そういった事もあり得る、と考えねばなりません」
 そして、最後にセリカは。
「オーク達の欲望は底なしで、スライムを手に入れた今、士気も十分上がっている様な状態です。ですが、そんなオークの凌辱行為を許す事など万が一にも出来ません。皆さんの力で、早急に仕留めて頂ける様、お願いします」
 と、頭を下げた。


参加者
燈家・陽葉(光響射て・e02459)
空鳴・無月(宵星の蒼・e04245)
峰谷・恵(暴力的発育淫魔少女・e04366)
リリー・リーゼンフェルト(耀星爛舞・e11348)
志場・空(シュリケンオオカミ・e13991)
水町・サテラ(サキュバスのブラックウィザード・e44573)
小野・雪乃(光と共に歩む者・e61713)
マリリーズ・ミュエル(ヴァルキュリアのゴッドペインター・e62671)

■リプレイ

●滑り手に
 スライムの力を手に入れたオーク達。
 しかし、考える事は全く一緒で……女性凌辱の事ばかり。
「……何だか新しい玩具を手に入れてはしゃいでいる様ね。そんな汚豚の群れって、口にするだけでも悍ましいわね……」
 と、肩を竦めるリリー・リーゼンフェルト(耀星爛舞・e11348)に、マリリーズ・ミュエル(ヴァルキュリアのゴッドペインター・e62671)も。
「そうですね。服を溶かすスライムって言うのは、漫画では良く見た事もありますが、それがまさか実在するとは……これは一般人の皆さんをオークの魔の手から守らなくてはいけませんね!」
 ぐっと拳を握りしめるマリリーズ。
 そして何処か苦笑している燈家・陽葉(光響射て・e02459)も。
「まぁ、本当オークも尽きないね。ああ、今回のオークって、熊本蹴撃からあぶれやったりしている組だったりするのかな?」
 と言うと、峰谷・恵(暴力的発育淫魔少女・e04366)と水町・サテラ(サキュバスのブラックウィザード・e44573)が。
「そうだね。強く無いから、おまえたちは要らん、とでも言われたのかな? むしろ私利私欲を満たす為にあえてこの道をえらんだのかもしれないね……欲望に忠実なのは、やっぱりオークの本性なのかもしれないね」
「ええ。フィットネス……確かに彼らを刺激するのかも。最近報告に上がっている服を溶かすスライムを使っているから、敢て薄い服を着ているのを狙うのかしら? ……いやらしい……オークに女性体が居れば変ったのかしら?」
「例え女性体がいたとしても、拒否られるんじゃないかな? ま、私が同じような立場であったとしたら絶対に嫌だもの」
 ……と、そこまでの言葉に志場・空(シュリケンオオカミ・e13991)が。
「そうか? ……まぁ、そうだな。オークにぬちょぬちょされるのは気持ちいいが楽しく無さそうだし、さくっとぶっ飛ばしてしまおうか。まあ、久々の戦闘だし、気を抜かないでやらないといけないかな?」
 と言うと、小野・雪乃(光と共に歩む者・e61713)と空鳴・無月(宵星の蒼・e04245)が。
「ええ。これ以上、性へのトラウマを増やさせる訳にはいきません!」
「女の人達を襲うオークを、許してはおけない……絶対に、女の人を、守ろう……」
 そして、頷き合いながら。
「そうですね。一般人の皆さんをオークの魔の手から守らなくては! リリーさん、宜しくお願いしますね!」
「ええ。囮か……前のオークの時は緊張しっぱなしだったもの。今度は上手くやってみせるわ。あまり気は進まないけれど」
 溜息を吐きつつも、鞄の中から取り出したるはフィットネス用のスポーツウェア。
 ……オークの好みそうな、ちょっと薄めの生地の服装に……不安はありつつも、やらねばならないのであった。

●欲塗れに
 そして、ケルベロス達はフィットネススタジオへと到着。
 服を溶かすという酷いアイテムを持ったオーク達……という事。
 勿論、迅速に対応するには、フィットネススタジオに潜り込んで、囮にならねばならない。
「という訳で、余り気は進まないけど、行ってくるわね。更衣室の方には誰が待っていてくれるのかしら?」
 とリリーの問いに、陽葉から。
「私と、無月さん、だったかしら? その他だと空さんとサテラさんが出入り口と非常口。恵さんと雪乃さんは一般人避難に動くのよね?」
「ああ、私は一応中のどっかに隠れるよ。それこそロッカーの中とか、探せば隠れるところはあるだろうしな」
「あ、なら私もスタジオに会員として入るねー」
 空に対し、手を挙げてアピールするマリリーズ。
「了解だよ。取りあえず、一番危険なのはリリーさんかな? ……注意する様にね?」
「分かったわ。それじゃ、行ってくるわね」
 と言いつつ、既に作っておいた会員カードを手にし、フィットネススタジオの中へ。
 ……フィットネスウェアに着替え、スタジオの中へ……全員が着替え終わったタイミングで、陽葉、無月が隠密気流を纏いつつ、ささっと更衣室の中へと隠れる。
 他の仲間達も、闇纏いや螺旋隠れを活用し、気配を消し去った上で入口と非常口へ待機。
 ……そして、インストラクターの先生が入ってくる。
 アップテンポなダンスミュージックがスタジオ内に流れると共に、レッスンスタート。
 中々アクティブなフィットネスダンスを踊れば、汗が滴り、床を塗らす。
 でも、迸る汗と共に、動く体からは、不思議な爽快感。
『ふぅ……うん、みんないいわね。それじゃ、もうちょっと激しく行くわよ!』
 と手を叩きながら、インストラクターは更に手を叩いて追い込んでいく。
 そして、部屋の中に溢れる熱気と……滴る涎。
『……グフゥ……』
 魔空回廊の裂け目からにょきっ、と身を乗り出してきたオークが一匹。
 警戒していたリリーが早々に気づき。
「……! 先生、空から豚が……!」
 と声を上げるも、オーク達はみるみる内に魔空回廊から押出されるように、フィットネススタジオに乱入。
『キ、キャアアアア!!』
 気づいた一般女性が悲鳴を上げると、連鎖的に周りの女性達も悲鳴を上げる。
 ……そして、下品に涎を垂れ流すオーク達……その手には、うぞぞぞ、と蠢くスライム。
「や、やめなさいよ……!」
 と、気丈に振る舞いながら、リリーは不可抗力を装い、肩紐を抜き、半胸と共にはだけさせる。
『グフ……イイ、ネェ……!!』
『モットダ、モットダセ!!』
 と言いながら、オーク共は触手を伸ばし、もう片方の肩紐へ蒔き付け、引き下ろす。
「って、な、何でこっち見てるのよ……やめて!」
 悲鳴を上げるリリー、それを切っ掛けにし、待ち構えていた他のケルベロス達は一斉に侵入。
 ……凌辱され始めている光景に、雪乃は。
「な、なんて酷いことを……」
 と軽くショックを覚えるが……直ぐにマリリーズが、ケルベロスカードを掲げながら大声で。
「私達はケルベロスです! 皆さんはスタジオの外に避難して下さい! こっちです!」
 と一般女性達に強い口調で呼びかける。そして入口側の方で手を振りながら雪乃と恵も。
「ここは危険です、ヒールで服は復元出来ますから、皆さん安心して外へ避難して下さい」
「うん! 大丈夫だから、安心して!」
 と力強い言葉を掛けて、安心させるようにする。
 そして、次々と避難していく一般女性……それを追いかけようとするオーク。
 触手を伸ばし、拘束しようとしてくるのを。
「……その手、というか触手、力ずくでも、放させてもらう……」
 と、無月が星天鎗アザヤを振りかざし、触手を一刀両断すると、同時に陽葉も襲いかかる触手を『奏氷の薙刀』で一閃。
 ……幸い出入り口と、非常口の二手しかないので、逃げるスピードは遅いものの、そこを塞げばオーク共も追い縋ることは出来ない。
 そして……最初はオークの攻撃を引き付ける様にしていたリリーも、くすっと笑い。
「……はい、ここまで。それじゃあお掃除の時間よ汚豚さん達」
 とバトルオーラを強め、オークを威圧。
 ……そのオーラに多少狼狽し始めるオークだが……その内の誰かが。
『オイ、ワスレタカ! オレタチニハスライムのチカラガアルンダ!! コレサエアレバ、ゼッタイマケネエ!!』
『オウ、ソウダソウダ!!』
 スライムの力に士気を高め、そしてスライムを次々と解き放つ。
 ……防具は溶かさないものの、各々の上着などは白煙を上げて解けていく。
 そして、その破片が飛び散り、一般女性の一部のトレーニングウェアも白煙を上げてしまうが……すぐに雪乃、恵がヒールグラビティを掛けて修復し、安心させる。
 どうにか一通りの一般人が逃げたところで……恵と雪乃も合流。
「ここはオークお断り。帰らないと酷いよ!」
 と恵が辛辣な言葉を言い放つも、オークは最早聞く耳を持たない。
 そして、そんなオーク達に早速空が。
「それじゃ、始めるよっ!」
 と紅蓮大車輪で一気に薙ぎ倒し攻撃。
 同時にマリリーズも、フォーチュンスターを。
「当たれー!」
 と放つ。
 スナイパーの効果もあり、確実に命中させる……ただ、オーク達は怯む事は無い。
 怒濤の如くスライムを投げ放ち、更に触手で縛り付け攻撃。
 でも、その攻撃を通さない様に。
「此処を通す訳にはいかないのです」
 と雪乃は真横に腕を拡げ、手を思い切り広げて封鎖し、そして清浄結界を展開。
 そして、同時に無月も身を呈しながら、稲妻突きを一閃する。
 ……その攻撃に、オーク一体は崩壊。
「ナン、ダト……!?」
 驚愕の声を上げるオーク、でも一切手を緩める事は無く。
「全く、本当懲りない奴らね。さっさとこれでも喰らって倒れなさい」
 と催眠魔眼で、催眠効果を付与し、陽葉が。
「陽の光を以て、断ち斬れ!」
 と『陽光の剣』、リリーも稲妻突きと続けて行く。
 そして、最後に恵は仲間達の状況を見極めた上で、ペトリフィケイションを穿つ。
 ……そしてケルベロスの攻撃は一巡し、次の刻。
 とは言えども、オークの攻撃手段に変わりは無い。
 むしろ、目の前の女性を凌辱しようと……何度も何度も。
「や、いやあぁぁぁぁっ、こっちに来ないでー!!」
 と雪乃は悲鳴を上げながら、受けた攻撃をシャウトで回復。
 そして、空が縛り付ける触手を。
「我は牙、突き立て抉り、喰らい尽くす!」
 と『空牙』を穿ち、マリリーズも。
「ネージュ、力を貸して!」
 とファミリアロッドを掲げ、ファミリアシュート。
 そしてサテラも。
「その恐怖をずっと抱えて消滅しなさい。豚に触手なんて冗談みたいな存在だしね」
 と言い捨てながら惨劇の鏡像。
 そして、無月のフロストレーザーに、陽葉も稲妻突き、そしてリリーが。
「応じ来られよ、外なる螺旋と内なる神歌に導かれ、その威光を以て破壊と焦燥を与えん」
 と『耀星伝承・第三節【天柱】』を、狙い澄まして一撃、仕留める。
 ……立て続けに2体が死して、段々と混乱が伝搬し始めるオーク。
 でも、そんなオークの混乱に常時。
「そんなに触手が好きなら、勝手に組んず解れずやってなさい!」
 とリリーがゲイボルグ投擲法で更なる催眠を付与為、仲間同士の同士討ちを誘い込んでいく。
 ……そして同士討ちに更に混乱するオークは、統率を失った部隊の如く……加速度的に敵数は減っていく。
 十数分の戦闘の後……残るはオーク一体。
 そんなオークの周囲を完全に包囲すると……。
「さってと……それじゃ最後だね。本当塵も残らず消え去りなよ」
 と恵の辛辣の言葉と共に、ペトリフィケイション。
 そして、陽葉が。
「そうですね。この剣の一閃に、消え去りなさい」
 と陽葉が陽光の剣を穿つと……最後のオークは、消滅するのであった。

●破壊するのは恥じる心
 そして、破廉恥オークをどうにかこうにか倒したケルベロス達。
 ……勿論、スッキリ勝てた、という訳も無く、服はオークの涎やら触手の粘液、そしてスライムの粘度に濡れに濡れている。
 そして、フィットネススタジオの至る所にも、大量の粘着質な液体が飛び散ってしまっている。
「あぁもうベットベト……これは掃除しかないわよね……」
 と、深い溜息を吐くリリーにサテラも。
「そうね……正直な所、あんまり触りたくないんだけど……仕方ないわよね」
 と瞑目。
 ……ともあれ、オーク達に怒りこそすれ、ここの使用者からすれば、災難以外の何者でも無い。
「それじゃボクは、みんなを元気付けてくるよっ」
 と恵は早々にフィットネススタジオを後にし、避難先の影の下へ。
「みんな、あいつらはやっつけたからもう大丈夫だよっ。これからも、なにがあっても絶対ボクらケルベロスが守るからねっ!」
 と、ラブフェロモンを纏い、女性達を魅了しながら元気付ける。
 その一方で、他のケルベロス達はオークが色々と壊してくれた所をヒールグラビティを活用し修復、更にモップ掛けなどをして、滑りも拭う。
 ……ちょっとフィットネススタジオという事からすると、ちょっとファンシー過ぎる雰囲気はあるものの……今後のレッスンをする分には問題無い位までに回復する。
 そして……インストラクターの先生、というよりか、このフィットネススタジオの代表からは、感謝の言葉。
『本当、ありがとうございました。皆さんのおかげで、これからもやっていけます……ありがとうございます』
 と、ぺこりぺこりと頭を下げてくる彼女に微笑み、そして。
「その……もし良かったら、ちょっと体験させて貰っても良いかしら? ちょっと興味あるのよね」
 とサテラが頬をぽりぽりと掻きながら頭を下げると……勿論です、と、インストラクターの先生は手を引き、助けた生徒達と共に、レッスンを再開するのであった。

作者:幾夜緋琉 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年6月27日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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