魔竜王の遺産~災い来たりて

作者:長谷部兼光

●狩りの時間
 そして阿鼻叫喚が吹き荒ぶ。
 長の号令に従って、竜牙兵達は一切の容赦なく黒鎖と剣を振るう。
 逃げ惑う男の背を貫き、
 子の命を乞う女を縊り、
 泣き叫ぶ子を斬獲し、
 身動きのとれぬ老人をすり潰した。
 男も女も、老いも若きも、善人も悪人も。
 竜牙兵は誰一人として見逃さない。皆平等に――とても貴重で、大切な資源だからだ。
 故に彼らは止まらない。
 全ての資源(いのち)を浚う、その時まで。

●遺産
 大侵略期のドラゴンを復活させていた中村・裕美の背後には、どうやら黒幕が居たらしい、と、ザイフリート王子(エインヘリアルのヘリオライダー)はケルベロス達に最新の予知を伝える。
「黒幕の名は覇空竜アストライオス。真の目的は魔竜王の遺産『ドラゴンオーブ』の発見と入手……まさか、本当にそんなモノが実在しているとはな」
 ドラゴンオーブ。その力をもってすれば、魔竜王の再臨の可能性すらあるという。
 無論、そんな物騒なモノをみすみすドラゴンたちに渡す訳には行かない。
 敵はオーブの在りかを探し当てたようだ。既に現在、竜十字島より出撃したアストライオス軍団が、ドラゴンオーブの封印場所である熊本市へ進軍を開始した。
「敵もかなり本気だ。本隊に先立ち、魔空回廊を最大限に利用して、露払いである配下の軍勢――ドラグナー、竜牙兵、オーク、屍隷兵で構成される九つの部隊を送り込み、ドラゴンオーブの復活の為のグラビティ・チェインを確保すべく、同時多発的に市街の破壊と略奪を行わせようとしている」
 敵九部隊は、指揮官の指示に従って、市民の虐殺を行う。
「市民を救出しつつ、指揮官……虐殺の命令を下す者を素早く排除出来れば敵部隊の統制は乱れ、戦況はこちらの有利に傾くはずだ」
 全チームが指揮官狙いだと、市民の犠牲が増えるので、市民を守りながら敵指揮官を出来るだけ早く撃破する作戦が有効だ。
 熊本市の人口は七十万以上。この戦いで、多くのグラビティ・チェインを略奪――市民を殺されればされるだけ、ドラゴンの軍勢によるドラゴンオーブ奪取を阻止できる可能性が下がってしまうだろう。
「例え相手の規模が大きかろうが、やるべきことは変わらない。多くの人々を救け、敵を打ち倒す。これこそが唯一、強大なドラゴン達に克つ術だろう。それが出来るのは、お前達しかいない……頼んだぞ!」


参加者
ルーク・アルカード(白麗・e04248)
コマキ・シュヴァルツデーン(翠嵐の旋律・e09233)
兎塚・月子(蜘蛛火・e19505)
ルルド・コルホル(廃教会に咲くイフェイオン・e20511)
ウルトレス・クレイドルキーパー(虚無の慟哭・e29591)
雨宮・利香(黒刀と黒雷の黒淫魔・e35140)
大神・小太郎(血に抗う者・e44605)
アメージング・ファンタスティック(測定不能のすごいやつ・e44964)

■リプレイ

●渦中へ
 障害物を除去し、悪路にヒールを施し道を整えていた最中。
 それまで忙しなく動いていたアルビノの耳がぴくりと震える。
 より高所に昇り、息を潜めて耳を澄ます。
 ルーク・アルカード(白麗・e04248)の鼓膜を揺らしたのは、助けを求める誰かの声。
 たった一つきりの、小さな小さなか細い悲鳴。
 ルーク達は頷き合い、即座街を駆け抜ける。
 絶対に救ってみせると、確固たる意志を携えて。

 ひび割れた路に足を取られ、転げた女性を覆う陰。恐る恐る見上げれば、そこにあったのは飢餓に濁ったオークの瞳。これが最期に見る光景なのかと絶望し、女性が目蓋を閉じたその刹那、
「ギ……、!!」
 何が起こったか、ぎゃあと喚いて苦しんだのはオークの方だった。
「そこまでだ。お前はここで倒れてもらう!」
 ビルの屋上からオークの脳天へ。螺旋の気流を振り払ったルークは、呪詛を疾らせたナイフでオークを斬穫し、
「凄いよねぇ。容赦する理由が一コも見当たらないの」
 黒色の魔力弾がオークの腹部にめり込む。トラウマに侵食されるオークの、その視線の先には、ルーク同様、隠密気流を解いた雨宮・利香(黒刀と黒雷の黒淫魔・e35140)の姿があった。
 オークが嘶き、それに呼応して触手が蠢く。獲物を定めず八方に拡散したそれは最早悪あがきの類だ。
「やらせるかよ!」
 白昼に煌く流星――大神・小太郎(血に抗う者・e44605)の蹴撃がオークを貫く。広げた触手諸共に、オークは千切れ消失した。
「間一髪。間に合ったぜ……!」
 先ずは一息。小太郎は勢い地面にめり込んだ右足を引き抜きながら周囲を確認するが、他の敵の気配はない。
 どうやら、隊を維持出来ないほど飢餓に狂った個体だったらしい。
「大丈夫かしら?」
 コマキ・シュヴァルツデーン(翠嵐の旋律・e09233)はオークに襲われていた女性を手当てする。軽傷だ。足を捻った様子も無い。これなら、一人で歩けるだろう。
「良し。このまま郊外の田園地帯まで逃げてくれたらええ。市内、特に中央区へは決して近づかんように」
 兎塚・月子(蜘蛛火・e19505)は女性に避難経路を伝える。
 ここに来るまで、幾度か敵の部隊は蹴散らした。ケルベロスが進軍してきた道をそのまま辿れば、比較的安全に避難地へと辿り着けるはずだ。
「……駄目ですね。やはりアイズフォンは使用できません」
 目蓋の裏に流れるのは、不確実なノイズばかり。これ以上の検証は不要と、ウルトレス・クレイドルキーパー(虚無の慟哭・e29591)は瞼を開く。元より敵の電波妨害は予測の範囲内だ。通信に頼った作戦を立てていたわけでもないから、然したる問題は無い。
「例によっていつもの如く、か。まぁいい」
 ルルド・コルホル(廃教会に咲くイフェイオン・e20511)は鉄製の手甲・青蓮華を鳴らす。
 相手がオークであるが故か、チームの消耗は現状少ない。侮るわけではないが、余裕はある。ならば、地に膝をつくまで救助と撃破、そして探索を続けるだけだ。
「アメージング、敵の大まかな位置はどうだ?」
「ううんとですねルルドおにさん……あれ? これは……?」
 アメージング・ファンタスティック(測定不能のすごいやつ・e44964)の予想に反して、光の翼は『死に瀕した人』を感知しない。
 既に一般人は死に絶えてしまったか、それとも、ケルベロス達が半径三百m以内の一般人を粗方助け出したか。
 どちらもあり得るが、恐らくは後者だ。少なくとも南区北側において、アメージング達はそこまでの阿鼻叫喚を目撃していない。嬉しい誤算ではあるか。
 無理の無い範囲で、と前置きし、月子は女性にケルベロス出動の周知と、動けない者を見かけた場合は、静かにその場へ隠れるように伝えて欲しいと頼む。
 コマキは再び闇を纏い、市街を見遣る。
 グラビティチェインの収集が目的なら、人が多い場所を襲撃した方が『実入り』は良い筈。
 敵が進行してくる方角も、恐らく。

●飢餓
 どすん、ばたんとビルの中。
「グ、ヒヒ。女。女だぁ!」
 各階層を蹂躙し、一般人を屋上まで追い詰めていたオーク達は、ケルベロスの到来を知るや否や反転し、歓喜を上げてこちらへ迫る。
 半壊しているが、それでもドア一枚の差だ。飢餓の状態に、女性のシルエットは強烈だったのだろう。既に三体の仲間が倒されても不利を悟ることなく触手を伸ばす。
「……こんな時になんだが、ある種の感動すら覚えるな」
 驚けばいいのか呆れればいいのか。今回初めてオークと相対したルルドは溜息を付きながらも女性陣に迫る触手を遮断し、
「ウルトレス、残りの触手は任せたぜ」
 斬霊刀・首狩りで乱れ舞う桜花と共に残り五体のオークを一気に薙ぎ払う。
「残念、あたいは食うトコねーよ」
 小柄な上に内臓が地獄化している……という理由を説いてもオーク達には届くまい。故に、月子はにやりと笑った。熱烈に自身を欲するなら、特別に一瞥程度はくれてやろう。
 瞳術・偽怪「百目鬼」。月子の一瞥を受けたオークは恐怖心や焦燥感、負の感情を無意識的に煽られ、飢餓よりさらに精神が狂い、狂った果てに柘榴の如く爆ぜた。
「どうあれ手は抜けない。この力は誰かを守る為にあるんだ」
 成すべき為に必要なのは『手』の数ではなく、意思の強さだ。
 ルークは氷結の螺旋を練り上げ、オークへと叩きつける。
 氷縛波は狭い通路ごとオークを固め凍らせ命を奪うが、残りのオーク達はそれでもめげず、試行錯誤を繰り返し、如何にか女性達を絡め取ろうと躍起になる。その触手の挙動を見たコマキの表情が、心なし引き攣るのも無理はない。
 そして遂に一本の触手が防御を掻い潜り、コマキへと迫った瞬間――。
「させん」
 ウルトレスが寸前、コマキの盾となって事無きを得た。
 室内に、激情が籠められたベースギターの重低音が強く響く。
 例え戦闘であっても、ウルトレスは平時と変わらず冷静沈着の態度を崩さない。が、コマキが狙われたとあっては話が別だ。
 響き渡るギターの音。がんばれ、と言う市民たちのエールと、性に逸るオーク達のブーイング。
「今すぐ焼き豚だッ!」
 ウルトレスが弦を一本爪弾けば、彼のアームドフォートは連動し、ありったけの焼夷弾をばら撒いた。
「UCさん……! 私も合わせるわ」
 虚空にちらと瞬くのは『火』のルーン。コマキのブレスはウルトレスのナパームと混ぜ合わさって業火に変じ、また一体、オークを焼き捨てる。
「いやほんと、アツアツだね。物理的に……なんて」
 利香は濃厚なラブフェロモンに生命力奪取の呪いを組み込み、オークへとぶつけた。
 強力なグラビティと化したそれは、相手に快楽を与えつつ生命エネルギーを根こそぎ奪い取る代物。濃厚なラブフェロモン――エナジードレインを受けたオークは破顔し、文字通り昇天する。全ての苦渋を塗りつぶすような快楽の代価は、命そのものだった。
「まだまだ油断は禁物です。回復しますよ。小太郎さん」
 敵の次手を見越したアメージングは、溜めた気力を小太郎へ譲渡する。
「りょーかい! 何だったら、俺もあにさん呼びしたくれたって良いんだぜ?」
「残念ながら、それは年上のひと限定なんです」
 それは残念、と快活に笑い、アメージングの治癒を受けた小太郎は触手を躱し切り、返す竜槌でオークを叩き潰す。これがビル内に存在する最後の一体だった。
 ケルベロス達が屋上へ向かうと、そこには九死に一生を得て興奮状態の会社員が十数名。
 取り敢えず落ち着くように、と、利香が説得すると、ラブフェロモンの効果もあってか、会社員たちは比較的短時間で冷静さを取り戻す。
「えっとね。現在地がここだから……うん?」
 地面に地図を広げた利香は目をぐるぐるさせる。先程とは地形が激変しているような、ないような。
「利香。地図、逆だぜ」
「おおう」
 小太郎は地図を正位置に戻すと、スーパーGPSは自班の現在位置を指し示す。ルークと小太郎により地図へ書き足された情報は、ランドマーク代わりのヒール箇所や道路情報など、避難を円滑にするためのしるしだ。
 コマキとアメージングがそれぞれ一人ずつ会社員を吊り上げ、屋上より飛翔する。
 目指す避難地はあそこだと、周囲に林立するビルより高く、俯瞰した風景を見せればわかりやすいだろう。
「それで……あんたたちはこれからどうするんだ?」
 こちらを心配してくれているのだろう。一人の会社員がそう尋ねてきた。
 まだ未探索の地域がある。そこで生存者が助けを待っているかもしれないし、ゲブルが撃破された様子も無い。
 となれば、無論。

●逆転
 オーク達の痕跡を追い、救助と探索を続けるケルベロス達が次に遭遇したのは、逃げ惑う数十人の一般人と、およそ十五体以上のオーク達。数が多い。ここより近い位置にゲブルが陣を構えているのだろうか、いずれにせよ、看過できるモノではない。
「此方へ! 私たちの後ろを目指してください! 全力で!」
 割り込みヴォイスを最大活用し、アメージングは避難を呼び掛ける。
 ……癒し手は自身のみ。仲間のため、市民のため、絶対に倒れはすまい。
「守ります。創ります。アメが貴方がたの平穏を!」
 確かな決意を籠めて、アメージングはケルベロスチェインで魔法陣を構築し、前衛の防御力を高めた。
 オークと言えど、敵は大群。ここに至るまでケルベロス達は連戦し、消耗している。押し留められないかもしれない。けれど。
「ここで踏ん張らねぇでいつ頑張るってんだ!」
 小太郎は左の親指を噛み、流れ出た血液を月喰と呼ぶ喰霊刀に這わせる。銀色だった刃は赤黒く陰り、凶つの太刀に変じた月喰は、オークの肉を断つと同時に、その魂を汚染した。
「やれやれ、ゆっくり休む暇も無し。頭に叩き込んだ地図の半分は、無駄になってしまったか」
 月子は呟く。あわよくば地下水道に隠れて回復を、と思ったが、それだけの時間を確保することは出来なかった。かと言って、試行は無意味ではない。今回はたまたま運が無かった。それだけだろう。
 オウガメタル・秘守はかんざしの擬態を解き、月子の全身を覆う。秘守が放出した粒子は火花の如く瞬いて、前衛達の超感覚を呼び覚ます。
 冴え冴えと、限界まで研ぎ澄まされたルルドの感覚は、眼前で今まさに起こるであろう悲劇を許容しない。
「御託は言わねぇ。消えろ」
 逃げ遅れた一般人に襲い掛かろうとするオーク目掛け、ルルドは獣化した拳で思い切り殴り抜く。体に大穴の開いたオークは、この世のものとは思えぬ絶叫と共に消滅した。
 オークに統率された行動を取る理性は無い。だが、自身に窮地が迫っていると認識する本能はあるのだろう。
 中衛と思しき集団が一斉に、ルークへと攻撃を集中する。
「……ッ!!」
 何十もの触手がルークに絡みつき、締め上げ、雨霰の如き殴打を浴びせる。
 一体の攻撃ならば微風のようなものだが、ここまで寄って集られると、一溜りもない。
 故に。仕損じた事を後悔するほどに。受けた痛みは倍にして返す。
 一瞬の隙をついて触手を脱したルークの足元。影が拡大し、敵中衛を全て捕捉する。
「……もう遅い。さぁ、斬り刻ませてもらおうか」
 影より現れ出でるのは数多のルーク『達』。本物と寸分違わぬ、正しく『分け身』の存在だ。
 白麗達は雨霰を凌駕する嵐となって縦横無尽に中衛達を斬り刻む。二体のオークは、嵐の終焉を迎える事無く、微塵になって消え失せた。
「これは……もはや戦争だ。一人でも多くの命を救うために、この命を使おう」
 嵐が過ぎた静寂に、鳴り響くのはウルトレスが弾くギターの音。
 演って殺る。そう難しいことでもない。
 紡ぎ、唱え、謳って呪うことも、また。
 ウルトレスとコマキは互いに頷き、そして奏でる。
「病んだ統制 死期に燃え尽き 蒼い堕天に千切るは 辛苦の声明――」
 眩耀ノ紅、瞑眩ノ蒼。
 それは希望と絶望を表裏に内包したツインボーカルのパワーバラード。
 ベースを演奏するウルトレスは、グロウルボイスで闇の側面を――絶望を謡い、聴く者の希望を粉砕し、
「……止んだ濤声 四季に萌月 仰いだ天に契るは 真紅の生命――」
 日長石をあしらったブローチ・焔耀にそっと指を置いたコマキはクリーンボイスで光の側面を――聴く者の絶望を打ち払い、敵すらも魅了する謳を歌う。
 闇に心を砕かれたオーク達は消し飛んで、光に心を奪われたオーク達はあべこべに同士討ちを始める。こうなってしまえば、最早烏合の衆だ。
 浮足立つオークを意にも介さず、利香は妖刀『供羅夢』を構える。
「いっ!」
 持ち主の魔力と負の感情を増幅し、唯一無二の斬れ味を発揮する黒い刀。
「せー!」
 それに奔らせるのは、オーク達への最大級の嫌悪感と、そこからくる興奮。
「のー!」
 刃は空の霊力を帯び、
「でー!!」
 そのまま一気に降り下ろす。
 上段から下段へ。地に触れる供羅夢の切っ先。
 一拍の間を置いて、オークの体は真二つに両断された。

 およそ半数程度のオークを撃破した辺りだろうか。最低限だったオーク達の統制が乱れ、崩れる。生残していたオークが逃走に転じたのだ。
 恐らく、どこかのチームがゲブルの撃破の成功したのだろう。南区北側は、およそ最小限度の被害でオーク達の略奪を退けた。
「いや。もうちょっとだけ戦おか」
 月子は爆破スイッチ・FL-M00Nを弄ぶ。
「そうですね。可能な限り倒さなくては行けません。これからの被害を防ぐためにも」
 アメージングと月子は爆破スイッチを同時に押し込むと、色取り取りの爆風が咲き乱れる。それはケルベロス達の士気を高める、反撃の烽火だ。
「余った煙幕、役に立つかな?」
 利香が発煙筒を投擲し、オーク達の視界を塞ぐ。どれほど効果があるか解らないが、使わずに腐らせておくよりは良いだろう。
「逃がさねぇよ。さんざ人の命を脅かしたんだ。その代償(ツケ)は払ってもらうぜ」
 暴れ狼を従えて、ルルドは遁走するオークの背を貫いた。
 躊躇はしない。情けは未来の命取りとなるだろう。

●そして
 ケルベロス達は追撃を重ね、ついに南区北側からオーク達を排除する。オークの姿は、最早何処にも存在しない。
「終わったのでしょうか……いえ……!」
『何か』を察したウルトレスは、反射的にコマキを抱き寄せ、東の空へ目を向けた。
「オーク達は露払い。ここまでは前哨戦……ね」
 コマキもまた東の空を見、そう零す。決して忘れていたわけではない。そこにはこれから立ち向かわなければいけない『現実』が、無数に飛翔していた。
「災い来たりて、か……」
 ルークは体の調子を確認する。幸いにも傷は浅い。このまま『彼ら』と戦っても問題はないだろう。
「子分を使って街をめちゃくちゃにして! ぜってぇ許さねぇからな!」
 刺し貫く勢いで月喰を東の空へ掲げ、小太郎が啖呵を切る。

 竜達との決戦が、間近まで迫っていた。

作者:長谷部兼光 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年6月23日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 7/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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