魔竜王の遺産~熊本市の悲劇を阻止せよ

作者:黄秦


 その日、熊本市のあるアーケード街を、竜牙兵の軍団が襲撃した。
 瘴気渦巻く魔空回廊から、山羊に似た角を持つ髑髏の兵が続々と現れ、買い物を楽しむ熊本市民に襲い掛かったのだ。
 突然の襲撃に驚き逃げ惑う人々へ、竜牙兵は何本もの黒鎖を投げる。それは人々を絡め取り、恐ろしい力で絞め殺し、あるいは肉体を引きちぎった。
 何体もの竜牙兵が店の中へなだれ込み、逃げ場を失くして恐怖に打ち震える店員や客達を、容赦なくその剣で切り刻む。
 アーケードに人々の悲鳴が反響し、血と死の匂いが充満した。

 どれほども経たぬうちに、アーケード街の床は人々の死体で埋まり、飛び散った血が天蓋を赤く染めていた。
 今や残響するのは、竜牙兵の纏う鎧がこすれ合う金属音のみだ。
 数多の遺体を踏みつけて歩くせいで、足音はむしろ小さかった。
 その場の命を啜り尽くした骨の兵士は、新たな標的を求めてさらなる進撃を開始するのだった。


「大変です! 大侵略期のドラゴンを復活させていた黒幕が、遂に動き出しました!」
 セリカ・リュミエールは、火急を告げる。
 敵の目的は『魔竜王の遺産ドラゴンオーブ』の探索であり、そのありかを発見したようだ。
 ドラゴンオーブの力は不明だが、魔竜王の遺産ともいわれており、その力は、魔竜王の再臨の可能性すらあると言う。
 だから、決して渡してはならないのだ、とセリカは語気を強めた。
「現在、ドラゴンオーブの封印場所である『熊本市』には、竜十字島より出撃したドラゴンの軍勢『アストライオス軍団』が向かって来ています。
 しかも、敵はそれだけではありません。
 このドラゴンの軍勢に先立ち、敵は魔空回廊を最大限に利用して、配下の軍勢を送り込み、ドラゴンオーブの復活の為のグラビティ・チェインを確保すべく、市街の破壊と略奪を行おうとしているのです。
 竜十字島から出撃したアストライオス軍団が到着するまでに、『ドラゴンオーブの封印解除に必要なグラビティ・チェインを略奪』しようとしているのでしょう。
 熊本市の戦いで、多くのグラビティ・チェインを略奪されればされるだけ、ドラゴンの軍勢によるドラゴンオーブ奪取を阻止できる可能性が下がってしまいます。
 何より、多くの命が奪われる事を、見過ごす事は出来ません」


 配下の軍勢はドラグナー、オーク、竜牙兵で、9つの軍団に別れる。
 敵部隊は、指揮官の指示に従って、熊本市のあちこちに攻め込み、市民の虐殺を行っているようだ。
 敵の目的はあくまで『グラビティ・チェインの略奪』であり、市民を出来るだけ多く殺そうと行動する。
 例えば、オークでも、指示がある限りは女性の拉致より殺戮を優先するようだ。
 各軍団の指揮官を撃破する事が出来れば、この命令は徹底されなくなり、好き勝手に行動し始めるだろう、とセリカは言う。
「だからと言って、参加した全員が指揮官の攻撃に殺到すれば、市民の犠牲が増えてしまいます。
 先ずは市民を救助しながら配下を撃破してください。
 指揮官に遭遇したなら、出来るだけ速やかにこれを倒し、その後は統率を失った敵を掃討する……これが理想しょう。

 熊本市民の被害が、ドラゴンとの決戦に、大きな影響を与えるのも事実です。どうか、最小限に抑えてください。

 これは、ドラゴンとの戦いの前哨戦とも言えるでしょう。
 皆さんは必ず勝利すると信じています。ですが、決して無理はなさいませんよう……ご武運を」
 深く一礼し、セリカは全ての説明を終える。
 そして皆をヘリオンへと誘うのだった。


参加者
幸・鳳琴(黄龍拳・e00039)
烏夜小路・華檻(一夜の夢・e00420)
エニーケ・スコルーク(黒馬の騎婦人・e00486)
ジョーイ・ガーシュイン(地球人の鎧装騎兵・e00706)
凪沢・悠李(想いと共に消えた泡沫の夢・e01425)
シェスティン・オーストレーム(無窮のアスクレピオス・e02527)
華輪・灯(幻灯の鳥・e04881)
大道寺・悠斗(光と闇合わさりし超者・e44069)

■リプレイ


 熊本市は混乱の極みにあった。
 ドラゴンの尖兵達が軍団を率いて攻め込み、人々を虐殺せんとしていたからだ。
 東地区には、竜闘姫率いる竜牙兵らが逃げ惑う人々を追いつめ、その凶悪な拳を振るおうとしていた。
 ケルベロスたちは、その人々を救い、ドラゴンの野望を打ち砕くためにかの地へ向かった。

 ジョーイ・ガーシュイン(地球人の鎧装騎兵・e00706)の銃弾が、竜牙兵の拳を砕いた。
「避難所があっからそこまで全力で逃げろ! 死にたくなきゃな! 礼とかいらねェから」
 ジョーイに言われた人々は、ただ言われた通りに走り出す。
「大丈夫です、私たちが守ります!」
 華輪・灯(幻灯の鳥・e04881)は時に空を飛び、人々を先導して避難所に導いた。
「……やはり、応答がありませんわね」
 エニーケ・スコルーク(黒馬の騎婦人・e00486)は反応の無い通信端末を睨む。
 いくつかの班が四方から敵を囲む作戦で、他にもケルベロスの仲間が市民を救助しつつこちらに向かっているはずだが、この調子では状況がわからない。
 やむなく、エニーケは自分たちの場所を知らせるために信号弾を打ち上げた。
 それに答えた光があった。
「っ、危ないっ!」
 シェスティン・オーストレーム(無窮のアスクレピオス・e02527)が叫ぶ。
 恐ろしいほどの質量を持った光弾は、天空ではなく、戦うケルベロスたちのど真ん中に向かって撃ち込まれた。
 ケルベロスたちが辛うじて躱したその場所に、炸裂し、閃光と轟音が響く。
 誰だ、などと誰何する必要もない。それを放った相手は分かり切っていた。
 幸・鳳琴(黄龍拳・e00039)の瞳に焔が点る。
「現れましたね……竜闘姫リファイア・レンブランド!」
 輝くような闘気を纏うドラグナー、竜闘姫リファイアは、竜牙兵を従えてその姿を現した。
「ああ、分かりやすく信号を送ってくれたからな!」
 肉体美と言ってよいプロポーションと闘争心に溢れるその表情とは裏腹に、口調はどこかか子供っぽい。
「お前らがどれくらいやれるか、わたしに見せて見ろ!」
 指をぽきぽきと鳴らし、リファイアはファイティングポーズを取った。
 同時に竜牙兵がケルベロスたちを取り囲んだ。
 戦いが始まったのだった。

●序
(「「リファイア……!今度は、負けません」)
 鳳琴の意地だけではない。今は仲間がいて、守るべき人々もいる。
 リファイアの拳を、鳳琴は電光石火の蹴りで迎え撃つ。
「熊本城は復興中ですのよ!」
 これ以上の破壊は許すまじ。エニーケは空気の読めない竜牙兵に、伝承器砲【ヒルフェンファイア】の主砲を見舞った。
 竜牙兵はこれをある程度は防いだが、威力により動きが封じられた。
「すぅ~っ………AAAAAAAAAAAAAAAGH!!!!!!!」
 ジョーイの悪魔の如き雄叫びがさらに竜牙兵を硬直させる。
「『アルゴノーツ・システム』起動……リンクスタートします」
 シェスティン・オーストレーム(無窮のアスクレピオス・e02527)の蜂型ドローンが起動する。シェスティンの拒絶の力によって、相手の加護を打ち砕く力がケルベロスたちに与えられた。
 リファイアの死角から凪沢・悠李(想いと共に消えた泡沫の夢・e01425)が忍び寄る。
「――隙あり、ってね」
 リファイアが気付くよりも一瞬早く、鋭い切先がその肉を切り刻んだ。
 硬直を免れた竜牙兵たちは、続けざまに、青黒いオーラの砲弾を華檻と大道寺・悠斗(光と闇合わさりし超者・e44069)めがけて撃ち込む。
「きゃっ! 痛いですわ! 骨に用はありませんのよ!」
「ふ、はははは! この程度! どうと言うこともない!」
 反応はそれぞれだが、ダメージは少なくなかった。
 灯は最後方にブレイブマインを炸裂させ、悠斗と華檻の傷を癒すと同時に士気を高める。
 そしてアナスタシア、と呼べば、彼女のウイングキャットが翼をはためかせ、穢れへの耐性を与えるのだった。
 かつて鳳琴が邂逅したと言う竜牙兵に戦い方が似るが、若干威力は劣るようだった。とは言え、数の多いこともあり、その脅威が減じるものでもない。
 悠斗は気力を奮い起こし、触れたもの全てを消滅させる、不可視の「虚無球体」を放つ。
「さあ……わたくしと楽しい事、致しましょう……♪」
 烏夜小路・華檻(一夜の夢・e00420)は華麗に跳躍する。目標は先ほどの竜牙兵……ではなく、リファイアだ。
 骨なんかより美少女である。華檻は両腕を広げ、豊満な胸をことさらに張り出し、リファイアへ押し付けようとする。
 リファイアは嫌悪感も露わに、拳でその巨乳をボムぼむぼむと殴りつけ、吹っ飛ばす。
「なんだお前、気持ち悪い!」
 リファイアに蔑みきった目で罵倒され、何故かときめく華檻だった。

「耐えて見せろ!」
 リファイアの纏うオーラが刹那、金色に光ってその右手に収束する。
 膨れ上がったエネルギーが気合と共に発射された。
 鳳琴の避けようとする動きに合わせたかのように、そのエネルギー弾は追って、激突した。
「なっ……」
 まともに食らって揺らいだ鳳琴へ、竜牙兵が追撃をかける。
「おらぁっ!」
 体ごと割り込んだジョーイが刀で受け止め、はじき返した。
「ありがとうございます!」
 鳳琴は立ち上がり、反撃の降魔真拳を竜牙兵に放った。
 エニーケはフォーチュンスターを竜牙兵に蹴り込んだ。硬い骨の兵士を少しでも脆くしておきたかった。
「とにかく私の勝ちですっ!」
 灯は幻惑の光を宿して走る。竜牙兵とすれ違いざまに一撃を叩き込んだ。全てを曖昧にするような光に幻惑される竜牙兵。
 (「ううん、やっぱり、敵も、強いですね~」)
 シェスティンは鳳琴の前にライトニングウォールを構築し守りを固める。
 悠李は斬霊刀『神気狼』を抜き、幻惑されている竜牙兵を斬り裂いた。折れた骨を刃がさらに削り取り、破壊する。
 もう一体は前衛に斬りかかり、四体目が追撃する。
 傷付いた竜牙兵を、別の一体がオーラで回復させた。

 その間にもリファイアの猛攻は続いている。
 音速を超えた拳が悠李を捉えた。防御は間に合わず、凄まじい速度の連打に打ち据えられる。
 鳳琴のフレイムグリードでリファイアの拳を貫き、その猛攻を止めた。
 ぐうるりと首をまわしたその横面へ、エニーケのエネルギー光弾が炸裂する。
「ぐ、ぁあ!」
 さしもの竜闘姫もその衝撃によろめき、苦悶に身を捩った。
「……いいな!」
 なおもリファイアはその面に狂喜を浮かべた。それはケルベロスたちをして、怖気を震わせる。
 飽くなき闘志に加えて、恐ろしい耐久力を見せつけられていた。
 跳びかかる竜牙兵たちには、ジョーイの悪魔の雄叫びで動きを封じる。
 灯のヤカンから蒸気が噴出し、前に立つ者を覆った。
 どこか歪んだ笑みを浮かべて、悠李はあえて竜牙兵の前に身を晒す。
 思わず掴みかかろうとした竜牙兵の巨腕をするりと躱し、軽くジャンプするとそのまま竜牙兵の背面へと飛び越える。
 相手を見失ってきょろきょろと首を振る竜牙兵のすぐ真後ろで『魔天狼』を抜き放った。刃が美しい軌跡を描く。呪詛を乗せた斬撃は躱す事を許さず、竜牙兵を斬り裂いた。
「裏コード入力。1000-10-0…これが我輩の最終兵器である!!」
 悠斗のガジェットが不思議な形態に変わる。浮遊砲台が現れたかと思うと、竜牙兵めがけて砲弾を発射した。
 轟音と共に、竜牙兵の一体がついに破壊された。
「はーはははは! ごふっがはっ!」
 うっかり吐血してしまい、慌てて拭う悠斗であった。

●途
「竜の格闘技……いざ勝負!」
 鳳琴のグラビティがその右手に収束する。龍気が輝き膨れ上がり、リファイアは喜色を浮かべた。
「そう、そう言うのを待ってたんだよ! さあやって見ろっ!」
「――勝負だっ!」
 大地も割れんばかりに踏み込み、渾身の力でグラビティを叩き込む。竜闘姫はただ踏ん張り、避けようともせず腹筋に力を籠めて、真っ向から受け止めた。
「うぉ……お、おお、うぁあああああああ!」
 だが、拳より放たれたグラビティは、リファイアの全身を蹂躙し、貫き、その体ごと吹き飛ばした。
「やったか!?」
 ジョーイが思わず叫ぶ。
 リファイアに与えたダメージは浅くはなかった。が、リファイアはよろめきながら立ち上がり、いっそう楽し気に拳を構えた。
「やるなっ! そうでなくては」
「……化け物ですわね」
 知ってはいたけれど。エニーケは、しみじみとつぶやいた。
 竜牙兵が隙の出来た鳳琴に掌底を浴びせようと踏み込む。突き出された掌が届くより早く、悠李は両手の刀で跳ね上げた。
 ジョーイは『魅剣働衡』を抜きはなち、ゆるりと弧を描く斬撃が、竜牙兵の胴を縦に薙いだ。
 思った以上の手ごたえがある。エニーケのフォーチュンスターが効いていた。
「……あー、クッソ面倒くせえ……」
 それでも、まだまだ動きを止めない竜牙兵に、うんざりする。
「――じゃあ、これなら?」
 どこからともなく悠李の声がする。竜牙兵が認識するよりも早く、魅入るような美しい輝線を引いて、悠李の刀が骨の手首を斬りおとした。
 乱戦になり、敵味方の間合いが至極近くなったそこへ、悠斗は絶対零度手榴弾を投げこんだ。
(「むさくるしい骨に用はありませんのに」)
 きゅっと眉根を寄せて膨れつつも、華檻は素早く竜牙兵を観察する。あれだけの攻撃を受けていれば、脆くなっている所もある。
 最も効率よく破壊出来る箇所へ、華檻は過たず痛烈な一撃を食らわせた。
 もう少し、と言うところで持ちこたえた竜牙兵は、自らに気を流して傷を塞ぐ。
 もう一体の竜牙兵は身を捩って弾みをつけ、コマのように回転して目前のケルベロスらにダメージを与えた。
 ジョーイはヒールドローンを展開し、灯とシェスティンもまた、癒しを重ねた。
 何度も重ねた守護と癒しで、致命傷には至るものはまだいないが、いつまで続くだろう。
(「撤退しましょう」)
 シェスティンは、そっと仲間に打診する。
 多くの人が死ぬのを止めたくてここに来た。その中には、自分の仲間たちも含まれるべきだ。
 竜牙兵もまだ数がいる。そして竜闘姫リファイアは言うまでもない強敵だ。
 ――撃破は難しい。
 他の班とは未だ合流できず、援護が望めない以上、それは認識せざるを得ない事実であった。

●終
「どうした! そんなものか」
 リファイアの闘気は衰えずケルベロスたちを追いつめていく。
 調子づいて前のめりになったリファイアの脇腹を、鳳琴のフレイムグリードが貫いた。
「ぐぎっ!?」
 肉体に穿った穴からじわりと毒が滲みこみ、竜闘姫は顔を歪めた。
「ははっ! 本当、お前たちは楽しいな!」
 戦いを楽しむ性質のこの竜人は、ケルベロスたちとの戦闘に高揚を覚えている。
 けれど、ケルベロスたちが戦うのは、ただ楽しむためだけではない。だから、余力のあるうちに撤退するべきだ。
 それでも。
(「救助に向かってる、他班のみんなが、一人でも、多く、救えるように。もう少しだけ、頑張りましょう」)
 灯はウィッチオペレーションで味方を癒す。
 エニーケの光弾はリファイアに重力となって伸し掛かり、その力を弱めた。
 ジョーイの冥刀の一撃が、竜牙兵を切り裂く。
 シェスティンの破鎧衝で竜牙兵の防御を砕き、悠李のサイコフォースが青黒いオーラを消し飛ばした。
 一体、また一体と竜牙兵が崩れ落ちる。

 リファイアは崩れた竜牙兵を踏みつけて、笑う。
「ああ、本当楽しい。だから、お前を見逃してやりたい。もっともっと楽しみたい」
「見逃されてやってもいいんだぞぅ!」
 悠斗が居丈高に返してみる。
「そうもいかない。だって、次はないからな」
「どういう意味です?」
 鳳琴の問いにリファイアは応えない。それ以上追及する余裕はケルベロスにはなかった。
「いいでしょう、これで最後です!」
 鳳琴は大技を撃つと見せかけ、旋回し、蹴りを放つ。機を外された体のリファイアから間合いを離し、急ぎ後退する。
 追い縋る竜牙兵に、エニーケは両腕を組んで、必殺のニコニ光線を撃ち込んだ。空想と妄想の熱量に竜牙兵が怯む隙に、ケルベロスたちは撤退を始めていた。


「待て! 逃げるなっ!」
 身を翻し撤退するケルベロスたちに、リファイアが怒り叫ぶ。
「この決着は、いずれの戦場で。次こそは……勝ちます!」
 悔しさを噛み潰し、鳳琴はそれだけを言い残した。竜牙兵らの追撃をいなし、ケルベロスたちは戦場から遠ざかる。
「逃すかっ!」
 放った光弾は、虚空に弾けた。なおも追い縋ろうとする、リファイアの足がふいに止まる。
「……ちぇっ」
 東の空を見上げ、舌打ちする。
 空の彼方より、黒雲のごとく、ドラゴン達が飛来していた。
 リファイアはとうとう追撃を諦め、竜牙兵を集合させた。
 ぬるりとした感覚が額に這って思わず手をやると、血が流れ落ちて来た。赤く塗れた指先をぺろりと舐めてみる。
(「もっと、楽しみたかったな」)
 ケルベロスたちの消えた方を、名残惜し気に一度だけ見遣った。
 ――次こそは、勝ちます。
 黒髪の猟犬を思い返して、おかしいような腹立たしいような複雑な感情が、竜闘姫に浮かんでいた。
「次など、ない」
 ひとりごちて、リファイアは踵を返す。
 この作戦が成功すれば、どうせあいつらみんな消えてなくなるのだ。
 それきり振り返ることなく、リファイアは竜牙兵と共に東へと消えたのだった。

作者:黄秦 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年6月23日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 6/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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