魔竜王の遺産~九死嚆矢

作者:刑部

 九州地方、熊本県熊本市。
 突如開かれた魔空回廊から現れた竜牙兵達が、得物を振るって市民を虐殺し始めていた。
「グラビティ・チェインを……お前達のグラビティ・チェインを寄こセ……」
 返り血で己の体を染めた竜牙兵が、刃に付いた血脂を払って咆える。
 血の海に沈む同胞達を見殺しにし一心不乱に逃げた男が、別の方から走って来る集団を見つけて声を掛ける。
「たっ……助けてくれ、向こうに竜牙兵達が……」
「お前、何をしている早く逃げろ!」
 言い終わらぬ内に叱咤された男の耳朶を、彼らの来た方向から響く咆哮が震わせる。
「向こうにも居るのか……」
 力なく呟いた男が握っていたスマートフォンが、同じ市内の別の区に居る妹からの着信を告げて震え、直ぐに電話に出る男。
「大丈夫……」
「助けて兄さん、ドラグナーが……」
 安否を尋ねる声を遮った妹の声が、大きな音に掻き消され通話が途切れた。
「何処へ逃げれば……」
 絶望が支配する熊本市の中で、男は縋る様に天を見上げた。

「大変や。大侵略期のドラゴンを復活させとった黒幕が、動き出しよったで!」
 ドン! と机に手をついた杠・千尋(浪速のヘリオライダー・en0044)が口を開く。
「奴っこさんの目的は、魔竜王の遺産『ドラゴンオーブ』の探索みたいやねんけど、どうやらそのありかを見つけた様なんや」
 千尋の言葉に。ケルベロス達の間にざわめきが広がる。
「ドラゴンオーブの力は不明やけど、魔竜王の遺産ちゅーぐらいやから、最悪を考えたら魔竜王の再臨の可能性すらあるかもしれへん。せやから!」
 もう一度机を強く叩く千尋。
「奴さんらに、ドラゴンオーブを渡す事はでけへん。今ドラゴンオーブの封印場所である『熊本市』には、竜十字島より出撃したドラゴンの軍勢『アストライオス軍団』が向かっとる」
 広げられた日本地図を指して説明を続ける千尋。
「しかも、敵は奴さんらだけやあらへん。
 このアストライオス軍団の軍勢の嚆矢として、魔空回廊を利用し配下の軍勢を送り込み、ドラゴンオーブの復活の為のグラビティ・チェインを確保すべく、熊本市街の破壊と略奪を行おうとしとる」
 地図の熊本市をトントン! と千尋の指が叩く。
「敵配下の軍勢はドラグナー、竜牙兵、オーク、屍隷兵で構成されとって、九つの部隊に分かれ、熊本市街を蹂躙しようとしとる。
 この軍勢は竜十字島から出撃したアストライオス軍団が到着するまでに、『ドラゴンオーブ』封印解除に必要なグラビティ・チェインを略奪し確保しようっちゅー算段やと思うわ」
 と言葉を切り、ケルベロス達を見回す千尋。
「この戦いで、多くのグラビティ・チェインを略奪されるっちゅー事は、ドラゴン……『アストライオス軍団』の軍勢によるドラゴンオーブ奪取作戦を阻止できる可能性が、取られるだけ下がってまうっちゅー事やな」
 と、近い未来に起こる事情の説明を締め括る。

「中央区に中村裕美率いるケイオス・ウロボロスの軍勢。
 東区の北側に竜闘姫ファイナ・レンブランド率いる武術家の死体を利用した屍隷兵の軍勢。
 南側には竜闘姫リファイア・レンブランドが率いる軍勢で、こっちの配下は武術を使う竜牙兵や」
 熊本市の大きな地図に、しるしの為の10円玉を置きながら千尋が説明を続ける。
「西区の北側に黒鎖竜牙兵……これは剣と黒鎖を得物とする、アストライオス直属の軍団で、その団長が率いとる。
 南側はオークの嗜虐王エラガバルスがその一族を率いて雪崩れ込み、
 北区の北側から黒牙卿・ヴォーダンら黒鎧の騎士型竜牙兵で、ヴォーダンだけが騎乗しとる。
 その南側には斬り込み隊長イスパトル率いる竜牙兵。こっちは北側に比べると軽装の剣士って感じで、イスパトルは四つ腕しとるから直ぐ判る筈や」
 地図上に置かれる7枚の10円玉。
「南区の北に、飢餓状態のオーク達を率いる餓王ゲブル。こいつらは特に女性への拘りが強いタイプで、
 南区の南から触手大王っちゅー、突然変異で触手が異常増殖&異常発達した巨大なオークが、同じく触手が異常発達した配下達を率いて暴れ回っとる」
 と、9枚目の10円玉が地図上に置かれた。
「今回の奴さんらの行動は、直後の作戦に使用するグラビティ・チェインの確保が目的やから、とにかく熊本市民を殺しまくろうとする。
 この命令を徹底させとんのは当然ながら各部隊の指揮官な訳やから、この各指揮官を迅速に撃破したら命令が徹底されへんよーになる。オークやったら市民を殺すより女性を追い掛け始めるっちゅー訳や」
 早急な指揮官の撃破が被害を減らし、作戦の成功率を上げるポイントだと千尋が念を押す。

「大きな戦いの前哨戦や。小さな躓きが後に大きく影響するかもしれへん。熊本市民の被害を最小限に抑え、この尖兵達を撃破してや」
 と千尋は説明を締め括ったのである。


参加者
辰・麟太郎(臥煙斎・e02039)
小山内・真奈(おばちゃんドワーフ・e02080)
葉月・静夏(戦うことを楽しもう・e04116)
瀬戸口・灰(忘れじの・e04992)
デレク・ウォークラー(灼鋼のアリゲーター・e06689)
マーシャ・メルクロフ(月落ち烏啼いて霜天に満つ・e26659)
比良坂・陸也(化け狸・e28489)
長谷川・わかな(笑顔花まる・e31807)

■リプレイ

●南風
 熊本県熊本市南区。
 南区の中でも南側は市内とはいえ畑も多く、そこに触手大王と呼ばれるオークが、3人の王子と共に触手に特化したオークの群れを率い襲い掛かっていた。
「慌てないで、お子さんの避難を手伝ってあげて下さい」
 避難の方向を示しながら逃げ惑う人々に声を上げる長谷川・わかな(笑顔花まる・e31807)。
「避けろ、わかな!」
 その後ろからの聞き慣れた声に、確認するより速く横っ飛びに身を投げたわかなが一回転して身を起こすと、先程までわかなが立っていた場所の地面に突き刺さる触手が、振るわれた七星剣によって断たれ、体液を撒き散らしながらのたうち回っていた。
「ここにゃこれ以上お前らに渡すもんはなんもねーよ」
 一閃して刃についた体液を払った比良坂・陸也(化け狸・e28489)が、吹雪の姿をした精霊を喚び出し、オーク供に氷雪を叩き付ける。そこに振り飛車の如く大きく立ち位置を変えたマーシャ・メルクロフ(月落ち烏啼いて霜天に満つ・e26659)が、
「貴殿らには、手加減する必要も慈悲を掛ける必要も微塵もないのでござる」
 白い木馬の如きライドキャリバー、『まちゅかぜ』が掃射するガトリング砲の弾丸と共に突っ込み、オーク達を屠ってゆく。

「こんなもんかすり傷だ。次はどっちだ!?」
 回復しようとするわかなを手で制したデレク・ウォークラー(灼鋼のアリゲーター・e06689)が、苛立たしげに声と顔を上げると、
「他の部隊の進み方と今までの敵の分布を見れば、大王やら王子が居るのはあちらだろう」
 竜翼を畳みながら降りて来た辰・麟太郎(臥煙斎・e02039)が、1つの方向を指し示す。
 既に触手に塗れた30体近いオークを屠っているが、このエリアに展開する部隊の長である触手大王や触手王子には、まだ遭遇していなかった。
「じゃあ進もうぜ、幸いにもこっちは多くの休憩を必要としていない筈だ」
 言いながら歩き始めた瀬戸口・灰(忘れじの・e04992)に、彼のウイングキャットの『夜朱』が続くと、皆も彼に続きその足を速める。

「あそこっ!」
 最初にそれを見つけたのは葉月・静夏(戦うことを楽しもう・e04116)。
 家の扉を蹴破る様にして転がり出た中年男性が、戸口の方に向かって拒絶する様に腕を振りながら後ずさりしている。
「一般人には指一本、いや触手一本ふれさせんで」
 直ぐにオーラを纏った小山内・真奈(おばちゃんドワーフ・e02080)が駆け出し、デレクとマーシャが続くと、
「……ッ! 確保して下がれ!」
 後ろから駆け様として何かを察知した麟太郎が声を上げ、灰が鋼式をデレクがドラゴニックハンマーを砲撃形態に変え、逆撃体勢をとる。
「あんた、大丈夫か?」
 真奈が男性に手を差し伸べた瞬間、彼の出てきた家の壁を突き破り、幾つもの触手が襲い掛かって来る。
「出やがったな、大物。先ずはこいつを喰らいやがれ!」
「まるでホラー映画だな。最後はハッピーエンドにしたいものだ」
 直ぐにデレクが放った竜砲弾が爆ぜ、灰が具現化させた黒太陽が、触手の穂先を鈍らせる様に輝く。それらを喰らいながらも降り注ぐ触手に、
「くるくるくるくる回れ煌けねずみ花火ー! 真奈ちゃん早く!」
 スピンした静夏が焔を纏う拳で触手を払い除け、一般人を保護した真奈を下がらせる。
「ジャマヲスルナアァァ!」
 そして触手の主が姿を現す。
 他のオークより大きく、その姿は触手で作られた体に豚の顔が乗っているというおぞましい形状……おそらく王子の一人であろう。
「うわぁ、なかなかの気持ち悪さだね」
「王子はばらばらに動いているのか……これでは合図を送るのは……」
 わかなが心底イヤそうな顔をし、陸也が他の班と取り決めていた合図の想定外の状況に、思考を巡らせる間に、王子の左右から2体ずつ、計4体のオークも威嚇の声を上げにじり寄ってくる。
「考える必要はねぇ。全部だ、全部殺す。オーク供を狩り尽くしてやらぁ!」
 倒壊する家が巻きこす砂煙の中、触手王子率いる一隊とケルベロス達の戦いの火蓋が切って落とされる。

●蠢く者
 次々と伸びて来る触手を、ギリギリのところでかわし疾駆するまちゅかぜが、阻もうと前に来たオークの眼前で大きくスピンし車輪の一撃を見舞うと、それを足場に跳ぶはマーシャ。
「そこのデカブツへの道、こじ開けさせてもらうでござるよ!」
 だんだら模様の羽織を翻し、まちゅかぜに足を踏まれたオークに獣爪の一撃を見舞う。
「豚共が、堅気に迷惑掛けてんじゃねぇよ!」
 その後ろから一喝と共に吐かれた麟太郎のブレスが、マーシャが殴った者も含め、4体のオークを焼く。
「雑魚オーク4体が前衛。デカイのは中? 後ろ?」
 麟太郎のブレスの効果範囲から、敵の配置を確認した静夏が声を上げ、ポニーテールを躍らせて跳び、満身創痍のオークに『大戦斧【盛夏】』を振り下ろす。
「ガフッ……」
 その一撃に片膝をつくオークにトドメを刺そうとする静夏だったが、他のオークや触手王子から、次々と伸びた触手が襲い掛かり、マーシャと共にそれを捌きながら後退し、真奈と陸也の攻撃で触手が次々と裂かれ撒き散らされる体液。
「助かったと思ったか? 甘い甘い」
 仲間達の触手の向こうで体勢を立て直そうとするオーク目掛け、麟太郎が腕を伸ばすと、風を唸らせて伸びた如意棒がオークの喉に突き入れられる。
 更にデレクと灰が間断ない攻撃を浴びせる間に後退した前衛陣を、わかなと夜朱が回復させ戦線を再構築する。
「さぁ一匹倒れたよ。悔しかったら私達を倒してみなさい。もう一度、夏鼠花火どーん!」
 オーク供を挑発しつつ、スピンする静夏がまちゅがぜに気を取られるオークに踊り掛り、
「後ろのデカブツも牽制しとかないと、危険でござろう」
 マーシャが引き絞った弓『【麗器】三味線坊-雅-』から、触手王子目掛けてエネルギーの矢が放たれた。

「鍵の妖精は恋をした。それは王への叛逆の物語。これはただその残滓」
 陸也の紡がれる言の葉に従い喚び現れた妖精レイラスが金銀妖瞳で一瞥すると、オークの1体が雷撃に撃たれたかの如く動きを止め、デレクがその背から生える触手を撃ち落すと、麟太郎と真奈が攻撃目標を変え、その1体に左右から襲い掛る。
「サセンゾォォオォォ!」
 そこに上に向かって伸びた触手王子の触手が、鋭い刃の如く変化し、90度曲がり降り注ぐ様に2人に襲い掛る。静夏とマーシャ、まちゅかぜがカバーに入るも纏めて貫かれ、飛び散る鮮血が陸也の頬を彩る。
「今の攻撃はなかなか強烈ですね。全ての闇を打ち砕く希望の歌を、皆に!」
 わかながくるくるっと回した雷杖『秋桜』を掲げると、秋桜の花びらが舞い歌声に合わせた夜朱の羽ばたきで前衛陣を癒しに掛る。
「回復は足りるな……なら……」
 その様子を傍目に、陸也は氷河期の精霊を呼び追い打ちを掛けようとする3体のオークに嗾けた。その攻撃で先程真奈と麟太郎の攻撃を受けた一体の体が氷漬けになり、直後に放たれた灰の一撃で、氷片を撒き散らしながら崩れ落ちる。
「2匹目倒れたよ。この勢いのまま押せ押せだよね☆」
 笑顔のわかながスイッチを押すと、背後にカラフルな爆発が起こって味方を鼓舞する。
 威嚇する様に暴れる触手王子の触手が蠢く中、ケルベロス達は攻勢の度合いを強めていく。

 夜朱の羽ばたきが起す清浄の風が連戦の疲れを癒し、陸也の喚んだ妖精レイアスが触手王子を牽制する中、
「俺達は忙しいんでな、お前らばかりに構ってられないんだ」
 灰のオウガメタル『鋼式』の黒鉄の歯車がせわしなく回ると、具現化した現れた黒太陽がオーク達の意志を挫く様に輝き、足を止めたオークの内右側のオークに静夏が嗾けた『だんしんぐひまわり』と、
「そのまま崩れ落ちやがれ!」
 細めた右目から、地獄の炎の残照を棚引かせたデレクが撃ち放った竜砲弾が爆ぜ、左側のオークにはマーシャの放ったエネルギーの矢が突き刺さった所に、
「薄い本みたいなんは全部妄想や。世の中思い通りにいかへんっちゅー事がよー分かったやろ?」
 真奈が向けた掌から放たれたドラゴンの幻影が、容赦ない業火を浴びせる。
「グルアァァアア!」
 咆哮と共に触手王子が伸ばした触手の先から体液が撃ち放たれる。
「ふおーー、この攻撃はイヤ過ぎるやろ!」
 一瞬、ムンクの叫びの如き顔をした真奈が全力で回避し、麟太郎も如意棒を回転させながら回避行動に専念する。
「色が黒いのがせめてのも救い……なんだ夜朱」
 率直な感想を口にした灰は、夜朱の常盤緑色の瞳がジト目になって自分を見ているのに気付いて少し唇を尖らせ、
「口より先に手を動かせ!」
 同じく攻撃の範囲外であったデレクが放つリボルバー銃の弾丸が、後退する前衛陣の隙に乗じる形で前に出ようとするオークを牽制し、わかなの回復を後押しに前衛陣が盛り返す。

●触手王子
 残る2体のオークが、己の鮮血と体液に染められた千切れ触手に塗れて崩れ落ちる中、それを踏みつけて触手王子に迫るケルベロス達。
「さぁ取り巻き連中は全員ご退場だ。お高く止まったその鼻をへし折ってやるぜ」
「黄昏の彩が世界を映す中、鍵の妖精は恋をした。それは王への叛逆の物語。これはただその紡がれる物語の残滓……」
 迫る前衛陣を迎え撃とうと伸び始めた触手の先端を、デレクが的確な射撃で次々と撃ち落とし、陸也の邪視を持つ鍵の妖精レイラスの一瞥が、ならばと前に出ようとする触手王子の出足すら鈍らせると、
「マーシャちゃん、押さえ込むよ」
「応、共に押さえるでござるよ静夏殿」
 頷き合って距離を詰めた静夏とマーシャが、釣瓶の動きで左右から間断ない攻撃を見舞う。その攻撃に注意を2人に向けた触手王子が何かを感じて側背に視線を向ける。
「おっと気付かれたか、なかなかいいカンしているが、ちょっと手遅れだ」
 口角を上げた灰が叩き込んだ一撃が、触手王子に重ね塗られた各種バッドステータスを増大させ、襲い掛かる触手より跳び退く灰。今度はその側背を向く触手王子の正面側から一直線に飛び込む麟太郎。
「コイツはちょいとばかし長ぇぜ?」
 オーラを纏う如意棒を、刀剣の如く振るう麟太郎のその一閃に身を捩る触手王子に体を一回転させた麟太郎の間髪入れない二閃目が煌めく。その二閃に裂かれ大量の血液混じりの体液を垂れ流した触手王子が、
「イタイ……イタイイタイ……ユルサンゾ、キサマッ!」
 その体を構成する触手がよじれ絡まり、螺旋を描く一本の太い触手となって麟太郎を貫いた! ……と思われた瞬間。
「麟太郎殿ッ!」
 マーシャが麟太郎を突き飛ばし、触手は2人の脇腹を抉って鮮血を散らす。
「今のは絶妙やったよ、マーシャさん。誰か麟太郎さんの方を!」
 夜朱が風を送る中、目を見張ったわかなが回復の指示を飛ばしつつ、吹っ飛ばされて横たわるマーシャを癒しに掛る。
「やってくれるやんか。これはお返しや、おつりはいらへんで!」
 その主を守る為、焔を纏って疾駆するまちゅかぜを掴んだ真奈の長い黒髪が棚引き、エアシューズのローラーが激しく回転する。
 そのまま吶喊するまちゅかぜがぶつかる瞬間、
「刃の錆は刃より出でて刃を腐らす」
 自身の勢いもそのままに、ほんの数呼吸分だけ遅れて真奈が業炎纏う拳を叩き込んだ。
 触手で構成された体にめり込む紅の拳に、触手王子の体がビクンと震え、
「ア……アツイアツイ……体ノ中ガヤケル!!」
 体を解く様に触手が蠢きその先端から炎が漏れると、その炎が触手自身を焼き腐った肉を焼く様な臭いが広がる中、ケルベロス達の攻撃が次々と穿たれ、触手王子は燻る黒煙の中動かなくなる。
「よし! くたばったな、次に行くぞ!」
 動かなくなった事を確認したデレクが、言うが早いか駆け出した。
 彼の言う通り他にも敵はおり、仲間が苦戦しているかもしれないのだ。
(「後でお家はヒールするからね……」)
「行くよ、わかな」
 振り返ってペコリと、倒壊した家に頭を下げたわかなを陸也が促す。
 触手王子の一人を討滅したケルベロス達は、更にオーク供を駆逐し人々を助ける為、息を切らしながら熊本の町を掛け続けたのである。

作者:刑部 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年6月23日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 0
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