魔竜王の遺産~波源

作者:志羽

●波源
 熊本市、その市街は惨憺としていた。
 逃げ惑う人々の声の中、むせかえるような鉄錆の――血の、匂いだ。
 竜牙兵達は相手を選ばず襲いかかっている。
 守る者など誰もいない。
 悪辣な、残虐な、非道な。
 ただ人々に災厄が降りかかるだけの時が続く。
 九つの軍団が熊本市を我が物のように、蹂躙しつくしていた。
 グラビティ・チェインを得る為に。
●急転
 大侵略期のドラゴンを復活させていた黒幕がついに動き出したのだと夜浪・イチ(蘇芳のヘリオライダー・en0047)は集ったケルベロス達へと告げた。
 敵の目的は『魔竜王の遺産ドラゴンオーブ』の探索であり、そのありかを発見したようなのだ。
「ドラゴンオーブの力は不明だけれど、魔竜王の遺産ともいわれていて。その力は魔竜王の再臨の可能性もあるようなんだ」
 そんなものを、ドラゴン達に渡すことはできない。
 現在、ドラゴンオーブの封印場所である『熊本市』には、竜十字島より出撃したドラゴンの軍勢『アストライオス軍団』が向かっているという。
 しかし、敵はそれだけではないのだとイチは続ける。
「このドラゴンの軍勢に先立って、敵は魔空回廊を最大限に利用して配下の軍勢を送り込んでいるんだ」
 それはドラゴンオーブの復活の為のグラビティ・チェインの確保の為であり、市街の破壊と略奪が行われようとしている。
 それを行う配下の軍勢はドラグナー、竜牙兵、オーク、屍隷兵で、9つの部隊に分かれている。
 竜十字島から出撃したアストライオス軍団が到着するまでに、『ドラゴンオーブの封印解除に必要なグラビティ・チェインを略奪』しようとしているのだろう。
「多くのグラビティ・チェインを略奪されればされるだけ、ドラゴンの軍勢に有利になってしまうと思われるんだ。だから、皆にはこれは阻止してほしい」
 そう言って、イチはそれぞれの軍団について説明を始めた。
 まずドラグナーが率いる軍団が三つ。
 竜性破滅願望者・中村・裕美、竜闘姫ファイナ・レンブランド、竜闘姫リファイア・レンブランドが指揮官として動いている。
 中村・裕美は配下としてケイオス・ウロボロスを。竜闘姫ファイナは武術家の死体を利用した屍隷兵、竜闘姫リファイアは武術で戦う竜牙兵を率いている。
 次にオークが率いる軍団が三つ。
 嗜虐王エラガバルス、餓王ゲブル、触手大王だ。
 嗜虐王エラガバルスは自らの血を引く部族を。餓王ゲブルは飢餓状態のオーク、触手大王は触手が異常発達した配下達を、王子とよばれる3人の息子と共に率いている。
 そして竜牙兵の率いる軍団が三つ。
 黒牙卿・ヴォーダン、斬り込み隊長イスパトル、黒鎖竜牙兵団長。
 黒鎧の騎士型竜牙兵である黒牙卿・ヴォーダンは配下として己に似た、軽装の竜牙兵を。四腕の剣士型竜牙兵である斬り込み隊長イスパトルも己に似た鎧の、二本腕の竜牙兵。そして黒鎖竜牙兵団長は、覇空竜アストライオス直属の軍団長で剣と黒鎖を武器とする。配下も団長と同型だ。
 この九つの部隊は指揮官の指示に従って市民の虐殺を行っているのだ。
「市民を救出しつつ、指揮官を素早く撃破する事ができれば戦いは有利になるよ」
 敵の目的はグラビティ・チェインの略奪。できるだけ多くの市民を殺そうとしているのだ。
 しかし、指揮官を撃破すれば統率も取れなくなり、撃破もしやすくなるだろうとイチは言う。
「竜十字島を出撃したドラゴン軍団との戦いもこの前控えているから、無理せず」
 けれど、多くの人たちを救ってきてほしいとイチはケルベロス達を送り出した。


参加者
藤守・つかさ(月想夜・e00546)
疎影・ヒコ(吉兆の百花魁・e00998)
トエル・レッドシャトー(茨の器・e01524)
オルテンシア・マルブランシュ(ミストラル・e03232)
茶野・市松(ワズライ・e12278)
ラズリア・クレイン(黒蒼のメモリア・e19050)
薬師・怜奈(薬と魔法と呪符が融合・e23154)
遠野・篠葉(ヒトを呪わば穴二つ・e56796)

■リプレイ

●蹂躙の地
 熊本市北区の、ある駅前。そこは死が深くなる場所だった。
 降下した時より響く叫び声、そして血の匂い。
 だが人々にとってケルベロス達が現れたことは希望でもあった。
「こっちまで走れ!」
 藤守・つかさ(月想夜・e00546)の声が響く。
 追いかけて来る竜牙兵と人々の間に入るように、ケルベロス達はその場に割り込んだ。
「ドラゴンオーブってどんなお宝なのかしら。トレジャーハンターの血が騒ぐわね。っとその前にお仕事しなくっちゃ」
 興味はあるが、今は救出が先だ。遠野・篠葉(ヒトを呪わば穴二つ・e56796)は好奇心を抑えて、周囲にわかるように手を振る。
「私達が来たからにはもう安心です、泥舟に乗ったつもりで避難しちゃってくださいね!」
 明るい声で篠葉は声をかければケルベロスが来た事に安心したのか、泥舟じゃ危ないだろと返す余裕があるものも居るようだ。
 だが、決して楽観視できる場面ではない。
 周囲の敵を見回して薬師・怜奈(薬と魔法と呪符が融合・e23154)は、ミスは許されませんわねと、改めて気を引き締めた。
 ぱっと見た感じ、どうやら守りの堅そうな敵が多そうだと感じる。
 それを皆に伝え、人々との間に攻撃の斜線届かぬように立つ。
 逃げる女性に襲い掛かる牙がある。しかし、それは炎弾に飲み込まれた。
 限られた人数では敵のすべてを相手取る事はできない。絶対に助からない人間が出る――それならせめて、とトエル・レッドシャトー(茨の器・e01524)は思う。
 せめて、視界に入った敵は生かして帰さない。
 トエルはそれが自身の役割であり戦いだと知っている。
 トエルが敵の中に身を躍らせると同時に響いた歌声がある。
 ラズリア・クレイン(黒蒼のメモリア・e19050)の紡ぐ奇蹟を請願する外典の禁歌が敵を呪縛しその足を止める。
「今のうちに、こちらへ」
 その歌の合間にラズリアは声をかけ、人々を安全な場所へと非難させていた。
「この街の皆さま……私たちがお助け致します。必ず!」
 愛用の槍、星槍コル・レオニスを手に清廉なる歌声を響かせて。
 友人を先に逃がした青年へと迫る剣先。
 青年が死を覚悟した瞬間――その敵は爆ぜた。
「さあもう平気だ、此処は任せて避難しろ……とは云え不安の芽はしっかり刈取らなきゃいけねぇよな」
 疎影・ヒコ(吉兆の百花魁・e00998)はこっちだと己の背後、安全な場所を青年へと示した。
 通り過ぎる青年を肩越しに見遣り、さて、と仕切り直す。
「背中は任せたぜ」
 その声に応えたのは茶野・市松(ワズライ・e12278)――ではなく、ウイングキャットのつゆだ。
 自らの子分だと思っているヒコを守ってやらないわけないだろうと。
「つゆも守るが俺も守るぜ」
 任せとけと市松は紡ぎ、この場の空気を胸に吸い込んだ。
「この感覚、懐かしいなあ。腕の見せ所じゃあねぇの、気張ってくぜ!」
 その声につゆも一声鳴いて応え、人々を守る為に動く。
 逃げる人たちと敵の間に果敢に入るのはオルテンシア・マルブランシュ(ミストラル・e03232)の従者、ミミックのカトルだ。
 今しがたも、敵から守り主の近くでやる気を見せている。
「主同様、やる気満々だな」
「やる気がない時なんて無いわよ」
 ヒコの言葉に不敵に笑って見せてオルテンシアは答える。
 何せ敵は、待ち望んでいたドラゴン勢力なのだ。
 然れど、と足元でどこか心配そうなそぶりを見せるカトルに視線向ける。
「大丈夫よカトル。誰がための力であるか。少なくとも、いまのうちは――理解しているつもり」
 その言葉に何か感じてかカトルはふるりと身震いする。
 それを目にしたヒコはやりすぎなければ良いがと、少し心配そうな視線を向けていた。
 オルテンシアはその視線に気づいて、笑み向ける。
「心配性ね。まだ始まったばかりなのだから、心得ているわ」
 今はまだ、とオルテンシアは紡ぐ。
 今は、人々を助けるべき時間だとわかっていると。
「幼子のトラウマにならぬよう、老君の年輪を穢さぬよう。風のように彼らを包み、駆けてしっかり未来へ導きましょう」
 番犬たる矜持を、見せてやるのよとオルテンシアは敵を見据える。
 周囲から人々の姿は消えたが敵はまだ十体程度はいる。
 だが、長々と戦っているわけにはいかない。
 先頭が長引けば周囲から援軍が来るかもしれないからだ。
 それゆえ、とるべきは短期決戦であった。

●守るための戦い
 一体、二体と攻撃を集中させて倒していく。その傍ら、牽制も決して忘れない。
 中列に位置する敵を狙って、両手にあるバスターライフルよりつかさが放ったのは強力な魔力の奔流だ。
 すでに他者を回復する能力を持った敵は倒され、戦いやすくなっている。
 それにこの場にいる敵は連携して、というような事を考えるような相手ではなかったようだ。
 統率は確かに取れているが、それでも互いを支え合うようなそぶりはあまり見られない。
 他の敵はまた違うのかもしれないが、命令を受けて好きに動いている有象無象、といったところだろうか。
 それでも数が多く地力がある相手は厄介だった。
「こんなにいると、撃破目標もたやすく達成できそうだな」
 簡単に思い通りになると思われるのも癪に障る。できるかぎり、このたくらみを挫いてやろうとつかさは動く。
 そうして牽制を担っていてくれるからこそ、攻撃もまたしやすい。
 戦況判断が的確で助かると思いながらヒコもまた別の敵へと肉薄する。
「――……其の望み、抱いたまま零れろ」
 涅槃西風纏う一蹴が誘うは白昼夢の中だ。
 そこへふと、熱を感じる。
「灼けて、焼き付いて、燃え尽きて」
 トエルの身から溢れるは心臓の炎。解き放たれた炎は生い茂る茨の如く、その手を伸ばすように敵の上を絡み走る。
 その熱と裏腹に、トエルの頭も表情も冷静。まずは敵の数を減らすと戦況は見据えられている。
 けれど敵への暴虐への怒り、憎悪は静かに滾っている。
 その横を走る雷は怜奈が放ったものだ。雷杖から放たれたそれは地面を撃ち敵の動きを抑えこむ。
「あら? 丁度良い位置ですわね。行動阻害はサービスですわ」
 この位の歯応えいいわねと怜奈は思う。
 この戦いには己を満たす物がどうやらありそうだと。
 つゆが清浄の翼を送り、市松も己含め守りを硬く。そういった戦う準備は十分。
 市松は戦況を見つつ、縛霊手を敵集う場へと向けた。
 その掌から放たれた巨大光弾は敵を飲み込み、その身に痺れを与え、動きを阻害する。
 だが敵もやられてばかりではおらず、前列を巻き込むように攻撃をかけてくる。
「そう来るなら守るだけよ」
 敵の出方を見て、オルテンシアはケルベロスチェインを躍らせる。それは仲間を癒しつつ守り固める一手。
 主からの手向けも感じつつ、カトルは皆を守るように積極的に飛び出していた。
 その姿に頼もしいとラズリアは思いつつ、早めの殲滅の為に高威力のグラビティをもって敵に対する。
「ここで倒れなさい」
 ラズリアが生み出したのは触れたもの全てを消滅させる、不可視の『虚無球体』だ。
 それは敵の身を半分以上削り取るように走る。
 それに耐えることできず、また一体ぐしゃりと地に崩れた。
 だが敵数もまだ多く、攻撃を受ける局面はある。
 が、その傷は篠葉も癒し支えている。
「さぁ呪いをたっぷり召し上がれ」
 特技は呪い。だから攻撃も回復も呪い、というのは適当なところでもある。
 篠葉は手にしたケルベロスチェインを展開し地に走らせる。
 狙いを合わせ、牽制をし。
 敵の動きを鈍らせ、そしてこちらの回復は手厚く。
 油断するつもりはもちろんないが、戦況はケルベロス優位に傾いていく。
 そして確実に、狙い定めて敵を削って――残るはあと三体ほど。
 そのうちの一体はすでに追い込まれている。
 回復も兼ねて、そして戦う力の底上げもかねて。
 市松はヒコ! と名を呼ぶ。
「一口食ってみない!」
 そう言って投げ渡したのは修行の賜物、林檎飴だ。
 それは一口で傷を癒し、攻撃力を底上げする。
 ありがとよとヒコは林檎飴齧り、その指先に力集わせる。
「厄介事ばかり持ち込んでくるな、それも全部、挫いてやるが」
 ヒコの紡いだ物質を凍結させる弾丸が射抜く。
 その上に重ねるように、オルテンシアからも一撃。同じく凍結の弾丸が放たれ打ち砕く。
「回復支援じゃなかったのか?」
「ちょっと我慢できなかっただけよ」
 ヒコの声にいいじゃないとオルテンシアは紡ぐ。
「だって一人ではないのだし」
 ねぇとオルテンシアが視線向けると篠葉は大きく頷いた。
「残念、今日の貴方の運勢は大凶! 虚無の深淵にご用心。私が居る限り、誰も膝はつかせないわ」
 運勢は敵のもの。
 傷を受けている仲間には、篠葉は自らのオーラを溜めて手向けていた。
 この場での戦い、その終わりは見えてきた。
「死を司りし忘却の王よ、我が呼び声に応え給う。深淵より生まれし終焉の矢を持て、汝が敵を射抜け!」
 ラズリアはあと少しと己の手に古の剣姫が討伐したと云われている亡霊王の弓矢をエネルギー体として召喚する。
 弓に番え放たれた一矢は迷うことなく敵を刺し貫いた。
 半身、まだこの世に残し動くその敵へ向け、怜奈が紡ぐは攻撃の一声。
「あと一押しはお任せください――エルバイトシュトゥルム」
 電気石を秘薬用いて能力解放し、静電気を極限増幅させ突風に乗せて放つ。
 放たれたそれは、残る身を打ち砕いて滅ぼした。
 そして最後に残っていたのは射手たる敵だ。
 その力を籠め、近くにいたトエルへと攻撃向ける。
 それは思いのほか深い攻撃。
「雷を纏い咲け、蒼き華」
 自らのグラビティを蒼い花弁のような雷に変え、つかさはトエルへと手向ける。
 深い一撃に他にも癒しの力を受けて、トエルは目の前に敵に向かうのみだ。
「――好きには、させません」
 静かに、けれどその心内は零れる。
 最後に残った敵に向かって、その魂喰らう降魔の一撃を放つ。
 それに穿たれ、竜牙兵の身はざらりと、砂となるように崩れ落ちた。
 戦いの喧騒は薄れ、そして消える。
 この場での戦いは決したのだった。

●まだ、始まりにて
 駅前に敵の影はなく、戦いは一区切りし安堵の空気が流れる。
 大きな被害を出すこともなく、周囲に避難していた人たちもぱらぱらと姿を見せ始めていた。
 建物内に避難をしていたがまだ不安をぬぐえない様子は見て取れる。だが、ケルベロスの傍にいれば、と思っての事だろう。
 それにこれからどうすればいいのか、それが彼らにはわからないのだ。
「スマホが、使えない……! 熊本の有名なお土産が検索できない」
 他チームとの連絡もかねてスマホを弄っていた篠葉が声あげる。
 携帯電話など、電波を使用した機器はどうやら使い物にはならない様子。電話も繋がってもとぎれとぎれのようだ。
 敵の指揮官を撃ちに行ったのは2チーム。そして3チームは救援を主として動くことになっていた。
 必要な情報があればやり取りすると連絡は取っていた。だがそれらができない場合も想定してある。
 救援部隊は予め、巡回する経路を決めてあったのだ。決めていなければこの場で困っていただろうが、大きな問題は今の所無さそうだった。
 戦いも、此度の一度では決して終わらないことは目に見えてわかっている。
 まだ周囲に敵がいることは間違いのだから。
 だが人々をこのままにしてはおけない。怜奈は別の場所に移動していただきましょうと紡ぐ。その提案に反対する者はいなかあった。
 彼らをずっと連れ歩くことは難しい。遊撃を行い、救援をこれからもまだ行うのだから。
 きちんと安全を確保できている、もしくはできる場所に移動した方が良いのは明白。
 ヒコはすぐさま、近くにある大きな病院はどうだろうかと調べてきた周辺を描く。そこならば集中防衛エリア、安全地帯とし避難所とするには良いはずだ。
 おそらく向かう先にもまた大勢がおり、襲われているなら対処すべき場所でもある。
 そしてそこに向かうには、この場にいる人々を連れて進める安全なルートが必要だった。
「ヒコさん、索敵に行きましょう」
 トエルの声に、ヒコもそうだなと頷く。
 トエルはつかさと怜奈にいってきますと言葉向ける。
「つかささんも怜奈さんも、あとからちゃんとついてきてくださいよ」
「ああ」
 トエルのぶっきらぼうな、言い放つような物言いは慣れっこだ。それも親しいからこそといった所もある。
 行きましょうと飛び立つトエルを追いかけながら、ヒコは無理させないから大丈夫だとつかさに視線で伝えていく。
 二人は目立たぬように気を付けつつ、上空から敵がいないか見定めるのだ。
 心配はしていないことは無いが、色々と世話を焼きたいとわかってしまう言葉をつかさは飲み込んで見送った。
 そして二人が索敵に出ている間にもやること、やれることがある。
 それはこの周囲にいる人々のケアだ。
 幸いなことに恐慌状態には陥ってはいないが、その不安は見え隠れしている。
「ほら、林檎飴食うか?」
 と、子供たちを安心させるように、癒しもかねて市松はほっぺが落ちても知らねぇぜと笑いながら林檎飴をあげる。
「ここはまた危なくなるかもしれないからな、安全な場所まで送るぜ」
 つゆも一緒に守るぜと紡げば、市松の頭の上で任せろと一声。
「怪我をしていれば仰ってくださいね」
 ラズリアもまた、先程までと違って柔らかな笑顔を人々に向ける。
 不安そうな人には大丈夫と声をかけ、急かさず驚かさず。落ち着いてもらえるように心がけていた。
 人々と話をしつつ、ふと合間に零れる。
「まだ――始まったばかり」
 今、この場で相手取ったのは竜牙兵だ。
 オルテンシアはその背後にいるドラゴン勢力を思う。
 オルテンシアの、その心はさざめき立っていた。ドラゴン勢力と聞いて思う事は沢山ある。
 叶わなかった彼女等の分まで――心の内に高く掲げるは、竜十字の座標。
 まだ、そこより出でる者達との戦いはまだ前哨戦。
 これより現れるドラゴン勢力との戦いは一層、苛烈なものとなるのは想像に容易い。
 そして何より、この街に生きる人々を救出するための戦いは始まったばかりにすぎないのだから。

作者:志羽 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年6月23日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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