●独り蹲る
親も兄弟も居らず、彼は天涯孤独の身だった。
学校さえまともに出ていない青年が働けるところは少なく、日雇いの仕事で日々を生きる金を得ている生活がずっと続いていた。
仕事以外で誰かと言葉を交わしたことなどもう何年もない。
だが、本人としてはそれで良かった。学も取柄もない自分など人と関わる価値などないと彼は思い込んでいたからだ。
しかし近頃は疲れが溜まっているのか身体の奥が痛むことが多い。寝て休めばいつかは治ると考えて病院などには行っていなかった。だが、彼の身体は着実に蝕まれていた。
「うう、何だか身体が熱い……」
その日の仕事を終えた夕刻、青年は帰宅途中の路地裏で蹲った。
高熱が出ているのだと察した彼だったが激しい痛みと熱で動くことすら苦しい。誰か、とか細い声で助けを求めるが人通りの少ない路地では気付いてもらえない。
こんなとき、頼れる家族でもいれば連絡をして助けて貰うことも出来たのかもしれない。
「……俺は、こんなところで独りで死ぬのかな」
ブロック塀に寄りかかって荒い息を吐いた彼は空を見上げた。
夕焼けの彩は妙に鮮烈で悲しく狂おしいほどに赤く輝いて見える。それがまるで死の宣告のようにも思え、青年は痛む身体を押さえた。
●炮烙病の危機
「皆さまに今回倒して頂きたいのは、或る病魔です」
というのも、『炮烙病』という病気を根絶する準備が整ったからなのだと雨森・リルリカ(花雫のヘリオライダー・en0030)は話す。
炮烙病とは高熱を発すると共に皮膚の下の体組織が炭化したように黒変し、脆く、また動かしにくくなっていく奇病だ。症状は腕や足の筋肉からやがて内臓へと進行していき、末期症状になると患者の皮膚を残したまま内部の殆どを炭状の物体へ変えるほどだという。
特に強い重病患者の病魔を一体残らず倒すことができればこの病気は根絶され、もう新たな患者が現れることもなくなるそうだ。
この病気を発症するのは社会や他人との繋がりを殆ど持たずに孤独に暮らしていた人物で、それ故に病院にかかることもなかったらしい。
「症状が進んだいまだと、少し触れただけでも炭のようになった身体が崩れ落ちてしまうのです。だから病院へ移送することもできないのでございます……」
そのため青年が倒れている場所へ直接向かい、病魔との戦闘を行わなければならない。
デウスエクスとの戦いに比べれば決して緊急の依頼という訳ではないが、この病気に苦しむ人をなくすために作戦を成功させることが必要だ。
「それから今回は、病魔への『個別耐性』を得ると有利に戦えますです」
曰く、個別耐性とは患者の看病をしたり、話し相手になってあげたり、言葉や行動で元気付けることで一時的に得られる。この耐性を得ると敵から受けるダメージが減少するので、病魔を召喚する前に患者に声を掛けると良いだろう。
召喚した後の敵は炎を使った攻撃や攻撃力を高める回復の力を使うが、耐性さえ得られていれば怖い相手ではない。
「絶対にこの方を助けてあげてください。今までずっと一人きりで、優しい言葉を掛けて貰ったことのない人みたいなのです。だから……」
こんなところで独りで死なせたくはない。それにケルベロス達が彼に希望を与えることが出来れば、未来も明るいものへと変わっていくかもしれない。
どうか、と祈るように願ったリルリカは戦いに赴く番犬達をしっかりと見送った。
参加者 | |
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ウォーレン・ホリィウッド(ホーリーロック・e00813) |
星宮・莉央(星追う夢飼・e01286) |
エリオット・シャルトリュー(イカロス・e01740) |
葛篭・咲(珈琲ロマン・e12562) |
彩瑠・天音(スイッチ・e13039) |
クラレット・エミュー(君の世は冬・e27106) |
レスター・ストレイン(デッドエンドスナイパー・e28723) |
アレクシス・エクレフ(金細工の足枷・e39940) |
●緋色の景色
夕陽が青年を照らし、何処かへと連れ去る。
駆け付けて目にした光景は何故だかそんな風に思え、クラレット・エミュー(君の世は冬・e27106)は緩く首を振った。何処へも連れて行かせはしない。その為に自分達が来たのだと己に言い聞かせたクラレットは傍らのビハインドを呼ぶ。
「供をして呉れ、ノーレ」
こくんと首を縦に振った少女を連れ、クラレットは件の青年の傍に向かった。
彼女が翼で影を作り、夕陽を遮る中でウォーレン・ホリィウッド(ホーリーロック・e00813)がそっと膝を付き、彼に話しかける。
「助けに来たよ。一人にさせたりしない」
「頑張ったわね。でも、もう、大丈夫」
彩瑠・天音(スイッチ・e13039)も青年と目を合わせようと屈み込み、手を伸ばす。しかし天音はすぐに腕を引っ込めて頭を振った。せめて熱を冷やすタオルでも、と思ったが彼の身体は何が触れても崩れ落ちそうだ。
それならば、と葛篭・咲(珈琲ロマン・e12562)がそっと扇で青年を仰ぐ。
だが、彼は痛みに顔をしかめた。はっとした咲はすぐに手を止め、病が彼の身体を奥深くまで蝕んでいるのだと悟る。
これではヒールすら受け付けないだろう。星宮・莉央(星追う夢飼・e01286)も最低限の手当てが出来ぬことを心苦しく思いながら、彼に声を掛けた。
「安静に、動かなくて大丈夫」
「う……誰、だ……?」
苦しむ青年は途切れ途切れに問いかける。莉央とレスター・ストレイン(デッドエンドスナイパー・e28723)は自分達はケルベロスだと告げ、彼に問い返す。
「名前は? キミにも親からもらった名前があるんだろう」
愛されて生まれてきた証拠が、とレスターが付け加えると青年は表情を歪めた。そして苦しげに声を絞り出す。
「……タカヤ。でも、この名前は――」
荒い息を吐きながらタカヤと名乗った青年は、この名は施設で付けられたものだと話した。愛された証ではないのだと暗に示した彼からは深い孤独が見える。
「会ったばかりの俺達を今すぐ信用してくれ……なんて。無理な事は言わんがね」
それでも、とエリオット・シャルトリュー(イカロス・e01740)は告げる。
友人になりたい者としてタカヤのことを知りたい。自分達は彼が朽ちるのを放っておけない。何故なら――『助けて』と、確かに呼ばれたのだから。
「どうして、俺なんかを……」
意識が朦朧としている中、青年は番犬達に疑問を投げかけた。
アレクシス・エクレフ(金細工の足枷・e39940)は無理をしないよう伝えた後、淡く双眸を細めて微笑んだ。
「君の……タカヤの声を拾い上げた人が居る。僕らケルベロス達は、何かに苦しめられている誰かを、放っておけないんだ」
だから、絶対に見捨てたりはしない。
アレクシスの声に咲が同意を示し、クラレットとノーレも同時に頷く。そして、天音は独りでずっと頑張ってきたであろう彼に笑いかけた。
「アンタは独りじゃないわ。だって、アタシ達がここにいるもの」
救う為に伸ばした手が届くように。
此処に集った誰もがそう願い、青年の未来を思っていた。
●手繰る繋がり
夕焼けの彩が揺らぐ刻の中で番犬達は彼の心に語り掛けていく。
「あなたの声はちゃんと届いて、繋がった。だから、大丈夫」
ウォーレンは青年を少しでも安心させたいと考え、タカヤ、とその名を呼ぶ。
病気の時は、苦しくて、寂しい。心の中の怖いものまで浮かび上がってしまうものだということはアレクシスもよく分かっていた。
けれどそれに負けず、生きたいと願ってくれたことが嬉しく尊いとも思う。
「自分の価値を、決めてしまわないで」
アレクシスが祈るように告げると、莉央も言葉を続ける。
「学や取り柄が無くたって貴方は今迄生きてきたじゃないか。生きようって頑張って、それだけでも立派な価値だ」
人と関わる価値が無いなんて思い込みだ。こんなに苦しくなるまで見つけられなくてごめん、と莉央は青年を見つめる。
「でも……」
しかしタカヤは頭を振ろうとする。彼が自分を否定しているのだと感じたエリオットはレスターと視線を交わしあった。
「その声は無視されずに俺達へ届いた。届いたのなら、手を差し伸べて助けるが道理、ってな。かく言う俺も助けられた側だ」
「価値は最初からあるんじゃない。他人に与えられるのを待ってちゃだめだ」
人との関わりの中で作っていくものだとレスターが諭し、それはエリオットが教えてくれたのだと話す。
咲もまた、価値に拘る必要ないのだと語ってゆく。
「俺は、価値の有無ってとても曖昧な定義だと思うんです」
家や学歴より心の在り方の方が大切だと咲は説明した。青年はそういうものを振りかざして驕る人よりもよっぽど魅力的に映る。
クラレットも過去は過去だと断じ、これまで孤独だったとしても今回ばかりは放ってはおかないと宣言した。
「君を救いたい。そういう志のあるものばかりが、君を助けに来た」
「独りで頑張りすぎないでいいのよ。価値はね、これから作ればいい」
天音は微笑みを絶やさず、アタシ達と一緒に、と付け加える。天音に続き、ウォーレンも今から病魔を倒すからと話した。
何よりも、助けを求める手が取られずに朽ちて良い筈が無い。
エリオットとレスターはふと、自分達の話を聞いていた青年の表情が僅かに穏やかになったことに気付く。
熱や痛みは引いていない様子だが、彼は少しだけ心を許してくれたのだろう。咲は不思議な力が巡る感覚をおぼえ、莉央も後は病魔と対峙するだけだと察する。
アレクシスは戦いへの決意を抱き、心からの思いを言葉に変えた。
「僕らは、君の未来も、助けに来たんだよ」
――いつか、とびきりの笑顔の君に会えるように。
●未来をその手に
そして、救う為の戦いは幕明けた。
「さあ、行くわよ」
天音が青年の胸の前に手を翳し、その身体に巣食う病魔を召喚する。
一瞬後、紅い光が周囲に満ちたかと思うと其処に燻る炎を纏った牡牛のような黒灰色の獣が現れた。
「一秒でも早く、ぶっ潰しますよ!」
仲間と共に身構えた咲は敵を見据え、拳を握る。
宿主である青年を背にした魔牛は濛々と熱い煙を吐き出し、唸り声をあげた。光輝く粒子を舞わせた咲に合わせ、莉央も星の守護陣を描く。
「俺は貴方の強さを信じるから、貴方も俺達を信じて」
病魔は宿主を傷付けることはないが、今の状況はまるで青年が人質に囚われているかのようだ。絶対に治してみせると誓った莉央に続き、ウォーレンが地を蹴る。
「すぐに日が沈む前に終わらせるから。そしたら一緒に、夕陽を見ようね」
螺旋の一撃を牡牛に打ち込み、ウォーレンは苦しむ青年に呼び掛けた。
少しでも不安に思わせたくない。僕らは大丈夫だから、あなたも負けないで。そんな思いを胸に、ウォーレンは敵を見据える。
対する病魔は天音を狙って炎の息を吐き出した。
しかしすぐにクラレットが身を挺して焔を受け止め、仲間を守る。
「……成程」
痛みはあったが、大したことはない。耐性を得ていなかったらひとたまりもなかっただろうが、クラレット達は既に青年の信頼を得ている。
其処へレスターが自らに宿る刺青の鎖を具現化させ、敵へと解き放った。
「俺なんか生きてていいのか、って……思ったこともある」
戦場で多くを殺め、汚れ仕事をこなしてきた。殺された方がマシだったんじゃないかと何度も自問したこともある。
それでも、自分は生きて此処にいる。レスターがタカヤを放っておけないのは重なる部分があるからだ。地獄化した涙が迸り、鎖は敵を絡め取る。
その隙を突き、エリオットが破鎧衝を叩き込んだ。
「助けて、と願われたんだ。俺もあの人達のように……」
自分も救われたのだと語った言葉は嘘ではない。エリオットの一閃が敵を真正面から貫いた刹那、アレクシスの気咬弾が更なる衝撃を与えた。
「僕が病の時、挫けそうになる心を救ってくれたのは、家族や友達だったよ」
彼らから貰った思い出や言葉、温もりがアレクシスを今も支えてくれている。だからタカヤにも同じあたたかさをあげたい。
アレクシスの願いは強く、優しい気持ちを感じ取った莉央は目を細めた。
炮烙病はケルベロス達に容赦のない唸り声を向けて来る。咲が気を付けて、と告げる中でノールマンが敵の足止めを行う。
そしてクラレットは左手の傷痕を押さえ、その指先を天に向ける。
「ノーレ、其方は頼んだよ」
凍てつく魔法の糸が賦活へと変わり、花となって咲き誇った。それらはすぐに消え去ったが、仲間達に破剣の力を与えている。
天音も紙兵を散布して誰一人欠けることのないよう立ち回ってゆく。
「アタシもできる事を精一杯するわね」
「う、うぅ……」
そのとき、天音はタカヤが苦しむ声を聞いた。病魔が此処に存在する限り彼は痛みに苛まれ、孤独を感じ続けるのだろう。
「差し伸べられた手を取ることもできなくなるなんて、怖い病気だね」
その所為で心もきっと脆くなっているのだと察したウォーレンは手を掲げる。覚醒するまでは難病で床に臥しがちだった過去がある。自分も多くの人に助けてもらったから、今度は僕が――。
そう誓ったウォーレンは降り注ぐ雨を受け、敵へと駆けた。
雨粒が花のように散り、牡牛を穿つ。エリオットは敵が徐々に弱り始めていると気付き、更なる攻勢に出た。
「助けを求めて伸ばされた手は、誰でも案外取って貰えるもんだ。世の中捨てたもんじゃあなかろ?」
ふっと笑み、向こう側の青年に声を掛けたエリオットは炎を足に纏わせた。途端に漆黒の炎で出来た鳥が舞い、軌跡さえも見せずに高速で敵を貫く。
幻創の襲翼が病魔を揺らがせた瞬間、レスターが地獄の焔を重ねた。
「あのとき、天涯孤独になったと絶望した。けれど、リーオがそばにいてくれた」
俺の懺悔を受け止めてくれたから絶望は孤独に繋がらなかった。レスターはエリオットという頼もしい友人が居てくれたことに感謝を覚えながら、青年にも救いの道を与えたいと強く思った。
其処から戦いは巡り、病魔と番犬達は激しい攻防を繰り広げる。
しかし、誰も救うことを諦めなかった。
「あなたは少し……友人に、似ているから」
咲は青年を放っておけない理由を口にし、熾炎を放った。牡牛はそれに対して熱量を上昇させて癒しと強化をはかったがアレクシスがそうはさせない。
「僕は、想ってくれる皆の為に生きたい。その気持ちにしがみ付いて頑張れた」
だから、とアレクシスは高速の重拳撃を打ち込んだ。
最後まで癒しを続けると心に決めた天音は魔術による治療を仲間に施していく。
「あと少しよ、頑張って!」
「声が届いたから、あなたの……タカヤの未来のために今は戦うよ」
天音からの励ましの言葉を聞き、ウォーレンはしかと頷いた。其処へ敵からの炎が放たれたが、ノールマンが彼を庇う。
ありがとう、と告げたウォーレンが蹴撃で反撃に入る様を見つめ、莉央は仲間を支える癒しの力を顕現させた。
「もう独りにはさせない。……死なせるものか!」
耀う星火が猫の形を取り活力を分け与えていく。その光がこの戦いの最後の癒しになると察したクラレットは、ノーレ、とビハインドの名を呼んだ。
医者は目をかけたものの、葬儀屋の手配までするのも仕事のうちだ。見送る仕事もまた、孤独でないといえば嘘になる。だが――。
「私には、君がある。決して見送らなくてすむ相手が」
苦しみ続ける青年を瞳に映したクラレットは少女と共に牡牛を深く穿った。
それによって病魔が傾ぎ、苦悶の声を上げる。咲は次で終わりにすると決め、斬霊刀の切先を差し向けた。
「孤独に耐えて、これまで頑張ったのですから……この先はきっと――!」
そして、咲が解き放った斬撃は鋭い衝撃となって病魔を貫いた。
●あたたかな兆し
病魔は消滅し、青年の呼吸が穏やかになった。
炭化していた彼の身体も徐々に癒されているようだとクラレットは判断する。天音はすぐに冷えたタオルを彼にあて、アレクシスはそっと背を撫でる。
「もう触れても大丈夫みたいね」
「本当に、頑張ったね」
二人は彼の無事を喜び合い、ウォーレンも安堵を抱いた。するとタカヤは弱々しく、されど懸命に口をひらいた。
「ありがとう、ございました。皆さんの気持ちが、とても嬉しくて……」
「人は一人だけど、独りじゃない」
レスターは快く頷いてから握手を乞う。二人が手を重ねる様を見つめ、エリオットはロザリオをつつきながら笑んだ。
「人助けって連鎖するものなんだな。俺も爺さんみたいに出来たかねぇ」
エリオットが救った命を実感している最中、レスターは友人に感謝の視線を送った。そして、タカヤへと願う。
「俺はキミの友達になりたい。どうかな?」
「え?」
突然の申し出に戸惑う青年に対し、莉央も自分も友達になって欲しいと告げた。
「独りになる事は簡単。でも、独りにならない事も、案外簡単な時もある」
こんな風に、と自分達を示した莉央は明るい眼差しを向ける。
レスターもそうだと同意し、友達になる理由は独りぼっちで生きてきたキミの弱さと強さに惹かれたからだと話す。
もし、過去がキミを苛んで体と心を焼き尽くしてたとしても、その灰を掻き集めて必ず元に戻す。約束する、と真っ直ぐに向けられた言葉にタカヤは不意に俯いた。
ウォーレンは彼が涙を流しているのだと気付き、元気付けるように笑いかける。
「泣かなくてもいいよ」
「だって、こんな俺なんかに……」
「大丈夫ですよ、貴方ならすぐにいろんな方とつながりができます」
咲は涙を拭う青年に優しい言葉を掛けた。現に此処に少なくとも八人もいる。アレクシスも彼の背を撫で続け、ウォーレンが眺める夕陽に目を向けた。
「折角知り合えたのだもの、縁は大事にしないと」
いつか彼が、この人の為に生きたいと思えるような、安らかな温もりに出会えればいい。アレクシスはそっと祈った。
今はもう、あの夕焼けが身を焼く恐ろしいものだとは思えない。天音はほっとした表情を見せ、青年に自分の店の連絡先を渡した。
「もし、また孤独に押しつぶされそうになったらアタシのお店においで?」
「ぜひ、そうさせて貰いたいな」
タカヤは顔をあげ、番犬達に精一杯の笑顔を見せる。
ノールマンは良かったと示すように胸を撫で下ろし、クラレットも軽く息を吐いた。
「その身を蝕む病を退けるために、医者が……私達がいる」
孤独をもつものが病によってさらなる孤独を得る。そのような環境も、病も、己のちからではどうにもできないものが多い。
しかし、これからもそうであるわけではない。未来を切望し、望むことはできる。
そう、自分達が救ったこの青年のように――。
孤独が苛む痛みは消え去った。この先に待つ未来はきっと、あの夕陽のように目映く、やさしく巡ってゆくもののはずだ。
作者:犬塚ひなこ |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2018年6月19日
難度:やや易
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 2
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