病魔根絶計画~誰も助けてくれない孤独、忍び寄る炎

作者:質種剰

●死の淵を覗いて
「あー疲れた……」
 その日、男は日雇いの工事現場から帰ってきて、作業着を脱ぐなり万年床へ倒れ込んだ。
 慣れない土木工事は年齢的にもキツく、何より孤独だ——と男は思う。
 会社勤めを辞めて——正確には会社が潰れて1年。
 上司からの理不尽な要求に何年も耐え忍んでいた頃に比べて、確かにストレスは激減したが、他人との会話も同じぐらい減った。
 今となっては、上司もとい会社と客の板挟みのような状態に陥ってなお、ずっと会社にしがみついていたのが、果たして正しかったのか解らない。
 解る事は、生活の為にどんな指示でも文句を飲み込み、据えかねる腹を据えて従い続けて客からのクレームから目を背けるフリをして神経をすり減らした結果、会社が潰れたという事だ。
 会社が潰れた瞬間、自分の味方は誰一人としていなかった。否、友人は会社時代にイエスマンである自分の前から少しずつ消えて、今は誰もいなくなった。
 船の転覆を察知して逃げ出す鼠のように、先のない会社を見限って転職に踏み切った同僚達の方が賢明だったのではないか……男が今更考えても詮無い事を頭に巡らせていると、
「うっ……!?」
 突然呻き声を上げ、額に脂汗をかいて苦しみ始めた。
 吹けば飛びそうなボロアパートの三畳一間には、当然ながら男以外誰もいない。
 だから、一体誰が気づけただろうか。男がみるみるうちに高熱を発して枕も上がらぬ容態になってしまった事を。
 男自身、熱と全身を襲う痛みに悶えながらも、気づけなかった。
 布団へ投げ出した四肢の皮膚の内側が既に、脆い炭状に変化している事を。
 炮烙病。
 社会との繋がりが弱まり、日々を孤独に生きている人間に発症者が多いという。


「此度も皆さんにお願いしたいのは、病魔の討伐であります」
 小檻・かけら(麺ヘリオライダー・en0031)が説明を始める。
「それと申しますのも、病魔『炮烙病』を根絶する準備が整ったのでありますよ」
 中でも特に強い、『重病患者の病魔』を倒して頂きたいのです——と続けた。
「今、重病患者さんの病魔を一体残らず倒す事ができれば、炮烙病は根絶され、もう新たな患者が現れる事も無くなるでありますから」
 勿論、敗北すれば病気は根絶されず、今後も新たな患者が現れてしまう。
「焙烙病を発症するのは、社会や他人との繋がりを殆ど持たず、孤独に暮らしていた人物で、それ故に病院へかかることもなく……」
 言い澱むかけら。
「また、症状が進んだ現在では、少し触れただけでも炭のようになった身体部位が崩れ落ちてしまうため、病院へ移送することもできないのであります。
 という訳で、今回は患者が倒れている自宅へ直接向かい、そこで病魔との戦闘を行ってほしい。
「デウスエクスとの戦いに比べれば、決して緊急の依頼という訳ではありません。ですが、炮烙病に苦しむ人をなくすため、必ずや作戦を成功させてくださいましね」
 かけらはぺこりと頭を下げた。
「さて、皆さんに討伐して頂く『炮烙病』についてでありますが……」
 かけらの説明によると、炮烙病とは全身が真っ黒の炭で出来たかのような雄牛の姿をしていて、その目や鼻、空洞が剥き出しになった脇腹からは赤々とした炎が燃えている。
 炮烙病は、遠くまで『ファラリスグロウル』を響かせ、敵複数人へ理力に満ちた魔法によってダメージを与える。
 しかも喰らった側は、燃え盛る目と地の底から響くが如きがなり声によって、相当な威圧感を植えつけられるそうな。
 加えて、頑健性に満ちた『ファイアブレス』を広範囲に吐き出してその破壊力を見せつけ、敵複数人を炎に包む事もあるという。
「もし、戦闘前に炮烙病への『個別耐性』を得られたなら、戦闘を有利に運べるでありますよ」
 個別耐性とは、炮烙病患者へ話しかけてあげるなど元気づける慰問によって、一時的に得られるようだ。
 中でも、誰とも繋がらずに過ごしてきた患者の孤独を癒してあげるのが肝要である。
 患者本人に、『あなたは一人じゃない』と伝えて心の荒みを和らげ、何か社会復帰の希望を持たせる事ができれば、効果が見込めるだろう。
「個別耐性を得ると『この病魔から受けるダメージが減少する』ので、どうぞ積極的に狙っていってくださいね」
 かけらはそう補足して説明を締め括り、ケルベロス達を激励した。
「どうか、炮烙病で苦しんでいる患者さんを助けて差し上げてくださいましね。病魔を根絶するチャンスでもありますから……」


参加者
ラズ・ルビス(祈り夢見た・e02565)
レイリス・スカーレット(紫電の空想科学魔導師・e03163)
リュセフィー・オルソン(オラトリオのウィッチドクター・e08996)
善田・万造(命のもとから鉄拳治療・e11405)
オルファリア・ゲシュペンスト(ウェアライダーの巫術士・e23492)
マヒナ・マオリ(カミサマガタリ・e26402)
ルフ・ソヘイル(秘匿の赤兎・e37389)
牧野・友枝(抗いの拳・e56541)

■リプレイ


 ボロアパートの一室。
「天利さんは、前にいた会社で頑張って来たんじゃないんですか?」
 早速天利へ声をかけるのは、リュセフィー・オルソン(オラトリオのウィッチドクター・e08996)。
「以前の会社で頑張って来た事は、決して無駄な時間じゃありませんよ」
 そうリュセフィーは言うものの、現に以前の職を失ってその日暮らしな生活をしていた天利にとって、一体何が無駄じゃなかったのか、彼女の薄い言葉からはさっぱり解らない。
 病魔によって根こそぎ体力を奪われ苦しんでいる天利とて、中身のない励ましへ苦痛をおしてまで反応する義理はなく。
「…………」
 当然何の返事もなかった。
(「歳を重ねてくると、付き合わねばならない病もあるが……」)
 一方、善田・万造(命のもとから鉄拳治療・e11405)は、人生の痛痒を知る年齢だからか、奇病に苦しむ天利へ殊更同情的である。
「こんな病に付き合う必要は微塵も無いのぅ」
 いかにも好々爺然とした人派ドラゴニアンで、普段は自分の道場を拠点に地域活動へ貢献している良いお爺ちゃん。
 だが、ひとたび本気モードに入ると、正義の守り神・ゼンダマンZoに変身するとか——決して、お気に入りの白い手拭いでほっ被りしただけ、と言ってはいけない。
「遅くなって悪かったのぅ……独身生活60余年、一人暮らしで病になる辛さは、わしも身に染みて分かっておるのじゃ」
 ともあれ、万造は大層穏やかな声で、天利へ語りかけた。
「寂しい思いはここまでじゃよ♪ さぁ、わし等と一緒に病を追い出すのじゃ!」
「追い……出す?」
 天利が目線だけで万造を見上げる。
 万造は首を左右へ振って、
「うむ! 今日も絶好調じゃ♪」
 バキバキバキと音が鳴る凝り具合に満足して頷いた。
「必ずや病を追い出して、お前さんに健康体を取り戻してみせようぞ!」
「……よろしく」
 自分より余程元気そうな人生の先達に宣言されて、天利は不思議と安心感を覚えたようだ。
「愚痴やうっ憤がたまっておりゅなら吐き出せば楽になりゅぞ」
 オルファリア・ゲシュペンスト(ウェアライダーの巫術士・e23492)は、いつもの舌ったらずな口調ながら、大人びた物腰で天利へ心情の吐露を薦めた。
 まるで昔のお姫様みたいにやや古風な言い回しをする狐のウェアライダーの少女。
 黒い肌着の上に羽織った着物は、シンプルな中に可愛らしさもある現代的な誂えで、まだ年端もいかぬオルファリアをかなり大人びて見せている。
「……確かに全ての責任は私にある。しかし……責任と権限は違う。私には、取らされる責任はあれど社の動向を左右する権限など何も無かった……少しでも逆らえばクビだ」
 そのお陰だろうか、天利も幾許か心を開いたらしく、素直に前の会社の愚痴を始めた。
 天利の文句を辛抱強く聞いて、そのどれもにうんうんと頷くオルファリア。決して彼の話を否定すまいと心がけていたのだろう。
「職場の同僚を飯にでも誘ってみたらどうじゃ?」
 優しくアドバイスしたのは、天利の話がひと段落ついた時だ。
「あぁ……それも、良いかも……」
「いきなり声をかけりゅのが難しければ上司に相談してもよいと思うぞ」
「……」
「なんなら儂らと遊ぶか? ただ雑談してりゅだけでも良いし、ゲームでもどこか遊びに行ってもよい」
 次々繰り出されるオルファリアの提案に、天利は微かに視線を巡らせて、
「私にも……また出来る、でしょうか?」
 素直な期待の篭った声を発する。
「勿論じゃ。儂らが病魔を倒せば、しゅぐに快方に向かうのじゃから」
 オルファリアは力強く肯定して、天利を少しでも安心させようと気遣っていた。
「こんにちは、天利さん! 病気を治しに来たっすよ」
 さて。溌剌とした笑みを浮かべて挨拶するのはルフ・ソヘイル(秘匿の赤兎・e37389)。
 明るく元気で時折真面目さも覗かせる、垂れ耳ウサギなウェアライダーの青年だ。
 都会の荒波に揉まれても決して擦れてなさそうな純朴さや、人当たりと愛想の良さが彼の魅力である。
「ずっと溜め込んでること全部吐き出して欲しいっす。俺達は全部聞くっすよ!」
 ルフは気負いのない態度で天利へ陽気に話しかける。
(「一人になると色々不安になるもんっすからね。言いたいこと全部吐き出させて、一人じゃないことと、本当に天利さんのやりたいことを再確認させれば変わるかもしんねぇっす」)
 オルファリアやルフに促され、次第に口が滑らかになる天利。
「……私は……何の為に仕事をしているのか、解らなくなっていました。人から恨まれてまで続ける意味のある事か……精神を擦り減らしてまで続ける必要は……あるんですよね。自分が食べていかなければ、いけないから……」
 愚痴から職種が推し量れないのは、彼が根っからの会社人間であり、無意識の内に社外秘を洩らすまいと思っているせいに違いない。
「俺もずっとこんな場所にいたら駄目だ思うところにいたんだ。でも駄目だと分かってて踏み出すのが怖くてずっとそこにいた」
 ルフはぽつぽつと過去を振り返るにつれて、その声音が真剣味を帯びていく。
 螺旋忍軍の術を密かに受け継ぐ一族と信じ秘伝を習得して尚、自らの意思で出奔した彼だけに、長い間会社の言いなりになっていた天利に親近感を覚え、自分と重ねたのだろう。
「何かを変えようとする1歩は確かに怖いけど、思いきって踏み出せば結構なんとかなるもんだよ。ここにいる俺が証明!」
 だから、ルフは誇らしげに胸を張って言い切ってみせた。
 絶望の只中にいる天利の未来——不幸の霧から抜け出した未来を、自分が体現しているのだと。
「……ありがとう……本当に。私も新しい一歩を踏み出しているんですね……」
 そして、天利もルフの言葉に強く胸を打たれ、青黒い面に喜色を浮かべた。


「結局の所、誰もが皆孤独だ。そんな事は無い、と言う奴はまだ知らないだけだ」
 レイリス・スカーレット(紫電の空想科学魔導師・e03163)は、人生の真理を実に簡潔に示すところから話を切り出した。
 ブローディアの花を咲かせた紫の髪と、理知的な緑の瞳が華やかなオラトリオの女性。
 高貴な血を引くも私生児という出自から、本妻の娘に次期当主の座を奪われた過去を持つ。
 とはいえ、その異母妹を溺愛して共に育った辺り、本人は決して自身の境遇を苦にしてはいないようだ。
「孤独を知らない者は脆い。縁の価値を知らないからだ」
 それだけ血縁者との絆が深ければこそ、縁について一家言打つのも含蓄が宿るレイリス。
「反対に、孤独を知る者は縁の価値を理解できる」
 これも、一度は世間に対して背を向けた経験がある彼女だから言えるのかもしれない。
「そう、孤独である事を知った者だけが、真の孤独から救われるのだ」
 天利を勇気づけるべく、レイリスは短くも内容の濃い演説を締めた。
 一見落ち着いた言動に感じるが、その中身は過激な事も多いレイリス故に、天利へ与える印象も強い。
「成る程……孤独の辛さを知ったからこそ、微かな縁が切れぬように大切にできる……」
 天利がレイリスの言葉をしっかり噛み締める傍ら、その至言から別の救いも見出せる程に。
 人は孤独を感じている瞬間、数多の孤独な人々とその実感を無意識の内に分かち合っているのだ——と。
「病気の時に一人だと、心細いよね……」
 他方、天利の心情を深く慮った呟きを洩らすのは、マヒナ・マオリ(カミサマガタリ・e26402)。
 最近は、目の前にいる一人一人に心を尽くして手当てや治療をしたり話を聞いてあげたい——との真摯な想いから、病魔根絶に力を入れている。
 シャーマンズゴーストのアロアロは、マヒナの手前にちょこんと座って、心配そうに天利の顔を覗き込んでいた。
「ワタシ含め、医療の専門家のウィッチドクターがたくさん来てるから安心して、アマリさん。絶対治すからね!」
 天利を何とかして元気づけようと意気込むマヒナ自身、孤独を感じている人、孤独だと自認する人にはもどかしさを感じて、切なくなってしまう性質がある。
「アナタは自分を責めなくてもいいんだよ。むしろ、こんなになるまでよく頑張ったよ」
 それだけに、マヒナは天利の窮状をまるで我が事みたいに思って、
(「自分だって孤独を感じたことくらいある、そもそも皆孤独なのかもしれない……」)
 やるせなさの浮かんだ瞳を揺らし、天利をじっと見つめた。
「助けて欲しい、繋がりたいって伝えるのも勇気だから」
 誰かが孤独を感じる事に耐えられない、例え綺麗ごとに過ぎないとしても人は何かしら繋がっていて世界は一つなんだと信じたい——己が信念を貫き通すべく、天利へ言葉を尽くすマヒナ。
 何故なら、それは彼女の故郷、ハワイに根ざした考え方でもあったから。
「人を助けたいと思うのに理由はいらないから、手を伸ばせば掴んでくれる人は必ずいる、ワタシはそう信じてる」
「……そう、かな。いや……ありがとう」
 天利はマヒナの想いに触れて、懸命にお礼を述べる。
「よく頑張っただなんて言われたの……何年ぶりかな」
 ずっと苦痛に喘いでいた彼が、一瞬でも病気を忘れて気を緩められた瞬間である。
「初めまして、看護師のラズ・ルビスです。こちらは、ミミックのエイド」
 ラズ・ルビス(祈り夢見た・e02565)は、いつも通り丁寧な挨拶から入る。
 エイドをひょいと抱きかかえて、首すら満足に動かせない天利の視界に映るよう、持ち上げる心配りも忘れない。
 患者1人1人に触れ合い、話を聞いて人となりを知るのが根絶の糧となる事へやり甲斐を感じてか、多くの病魔討伐に尽力しているウィッチドクターだ。
「どうかお気を楽に……体もお辛いとは思いますが、少しだけお話を聞いていただけたら、嬉しいです」
 普段は乏しい表情を精一杯和らげるよう努めて、ラズはゆったりと語りかける。
「はい……初めまして、天利です」
 喋るだけでも苦しそうな天利へ、手を握ってあげられない、痛む部位をさすっても、ただ触れる事すらしてあげられないのをもどかしく思いながら。
「天利様。天利様は、一人ではないのです」
 それでも、少しでも安心して貰えるように、表情と言葉から伝わるように、真情を籠めて。
「私がいます——私たちが、ここにいます」
 ラズの胸に去来するのは、かつて病院を強襲した頃の自分。
「不安や寂しさも、誰かと一緒なら乗り越えてしまえるんです。これからのことだって、一緒に考えれば、きっと」
 そして、自らの模範とも目標とも言える看護師や、レプリカントとなってから出会った人々の事。
「……大丈夫。ダモクレスであった私を、地球の方々は温かく受け入れてくださいました」
 今自分が看護師として、またケルベロスとして生きている事実。それを受け入れてくれた人々への感謝を、一時たりとも忘れた事はない。
「ならば、同じ地球に生まれた貴方が受け入れられないなんて」
 ラズは、自分も一緒にいるよと言いたそうに口をパカパカ開閉するエイドを再び抱え上げて、ほんの僅かながらもにこりと微笑んでみせた。
「あるはすが、ないのです」
 レプリカントになるのは心を得るという事。
 即ち、初めて覚えた孤独に耐えつつも同胞のいない地球で頑張ってきた、そしてかけがえのない仲間を得られたラズだからこそ、天利へ笑顔で今の充実感を伝えられるのだ。
「ありがとう……そう、願います」
 天利も彼女の言葉の一つ一つに心を宥められたのか、緊張の解れた声になっていた。
「大丈夫、一人なんかじゃないよ」
 牧野・友枝(抗いの拳・e56541)も、気持ちを込めて話しかける。
 茶色のポニーテールと思慮深い光を湛えた青い瞳が可愛らしく、白いキャミソールやその上から羽織ったネイビーのパーカーもよく似合う、降魔拳士の少女。
 性格は明るくさっぱりしていて、他人を思いやる優しさも持ち合わせている。
「私も一人だよ、家族みんな死んじゃったから」
 それ故、天利を元気づける為なら、辛い過去を振り返る事すら厭わない友枝。
「そりゃあその時は悲しくて、辛くて、めっちゃ泣いた」
 言葉とは裏腹に、友枝の口調はどこかあっけらかんとして——それがより物寂しさを際立たせている。
「でも、このままじゃダメだって、少しずつ立ち直った。今は前と同じようにバイトしたり、こうしてケルベロスやってる」
 ぐっと握り締めた拳同士を胸の前で打ちつけ、自分がすっかり立ち直った事をアピールするのも忘れない。
「だから私は一人の時の辛い気持ち、判る。いい人ばかりじゃないかもしれないけど、でもそれだけじゃない」
 実際に絶望のどん底から這い上がった友枝が言うからこそ、説得力は充分だ。
「天利にも居るよ? こうして集まってくれる人がさ」
 友枝はにっこりと笑顔になって、開いた掌で仲間を指し示した。
「ええ……そう、ですね」
 頷く天利の声は笑っている。
 友枝の弁舌がスッと心に染み入った証拠だろう。


 焙烙病の召喚はレイリスが請け負った。
「たまにはウィッチドクターらしい事もしよう。普段から施術黒衣を使っているのに使った事が無いからな」
 すぐに天利の身体から燃え盛る炭の雄牛——焙烙病が引き摺り出された。
「病魔と病人を引き離した方が良いのじゃな? 取り敢えず蹴り飛ばしてみるのじゃ! マンゾー流星脚っ!!」
 機敏に飛び上がって、少しでも焙烙病を天利から遠ざけるべく、重力宿りし跳び蹴りを炸裂させるのは万造。
 蹴飛ばした焙烙病が、思惑通りに天利から少し遠ざかった。
「さて、お前の魂は救われるべきか……冥府の渡し守の名において命ずる。病魔よ、一時この者を忘れよ」
 レイリスは素早く外の廊下から飛び降り、1オボロス銅貨を指で弄びつつ挑発した。
「STGは孤独なゲーム。故に私は孤独の価値を知る……タイプBLACK。私はもう、引き返せない」
 対竜殲滅用神双槍杖 神威弐式から迸る雷が、レイリスを——恐らく引き摺り出された怒り故か——追って出てきた焙烙病を直撃する。
「っし、こっから遠慮ナシだ!」
 友枝も外へ飛び出し、グラビティ・チェインを両手に凝縮させる。
「アイツは一人じゃない! アイツは強い! お前なんかには負けない!」
 そして、深い踏み込みから渾身の力とグラビティの篭った掌底打ちを、焙烙病へ叩き込んだ。
「こっちだよ!」
 ふわりと白いスカートを風に遊ばせて、星型のオーラを蹴り込むのはマヒナ。アロアロの神霊撃が後に続く。
「油断せず行きましょう、エイド」
 ラズは三日月を思わせる一閃を見舞い、エイドも息を合わせて焙烙病の足へ噛みついた。
「さっさと片づけりゅに限りゅの」
 半透明の『御業』を嗾けて焙烙病を鷲掴みさせるのはオルファリアだ。
「そうだな! 早く元気になって欲しいしね」
 最後は、ルフが『砲撃形態』に変じたドラゴニックハンマーを振り下ろし、竜砲弾で焙烙病にトドメを刺した。

作者:質種剰 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年6月19日
難度:やや易
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 4/キャラが大事にされていた 1
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