ストロングなスイーツ?

作者:久澄零太

「ふんふふーんふーふーんふーん♪」
 鼻唄まじりにスキップして、甘菓子兎・フレジエはステージの花道を歩くようにあっちにフラフラこっちにフラフラしながら歩みを進める。本人的にはステージのウォーキングのつもりなのだろうが、色々ツッコミどころはあれど、生憎連れている三体のストロングベリーに発声能力はない。
「今日のお味はいかがでしょーかぁ?」
 甘ったるい声音と共に、彼女が足を止めたのはとあるイチゴ農家。農園の持ち主は隣接したカフェの方にいるのか、人の気配はない。邪魔者がいないのをいい事に、フレジエは勝手にビニールハウスに踏み込むと、イチゴを一つ頬張ってしまう。
「このイチゴはいまいちですぅ、私にふさわしくないですぅ。こんなイチゴは必要ないから、めちゃくちゃにしちゃってくださぁい」
 勝手に食った挙句、残念そうな顔で帰っていく彼女の後ろ、指示を受けたストロングベリー達は準備運動でもするようにマッスルポーズを決めた。

「みんな大変だよ!」
 大神・ユキ(鉄拳制裁のヘリオライダー・en0168)はコロコロと地図を広げて、とある苺農家を示す。
「ここにフレジエが現れて、農園をめちゃくちゃにしようとするの!」
 最近大阪市内で見られる攻性植物の動きの一環だろう。大規模な侵攻でこそないが、放置すればジワジワとゲートの破壊成功率が下がってしまう。
「フレジエはここの農家さんに現れたあと、配下のストロングベリー三体に農園をめちゃくちゃにするようにって命令して、帰っちゃうの。だからフレジエと戦う事は出来ないけど、ストロングベリーが暴れはじめる前には間に合うよ!」
 と、ここでユキは農園の横を示して。
「ここの農家さんは隣でカフェを開いてるんだけど、皆が現場に到着した時には農家の人は皆こっちにいるはずだから、先に一声かけてから戦場になる農園に向かえば人払いはいらないと思う!」
「よっしゃー! 仕事を口実に苺スイーツが楽しめるぜ!」
(つまり上手く戦えば被害者を出さずに済む……皆、頑張ろうぜ!)
「……」
 本音と建て前が逆になってる上里・もも(遍く照らせ・e08616) に、ユキは半眼でジトォ……。
「あ、ストロングベリーは三体いて、能力は同じなんだけど、三体ともムキムキ……って言っていいのかな……とりあえず、全身が蔓でできたマッチョな感じで、脚を開かせる形で関節技を極めて動きを封じてきたり、体をこすりつけて摩擦で攻め立ててきたり、甘い匂いを漂わせて自分達が苺スイーツに見える幻覚を仕掛けて戦えなくしたりしてくるよ!」
 割とろくでもない戦術をとってくる連中らしい。(メンタルに)重傷を負いたくなければ、いかにして相手からの状態異常を治すかが肝要だろう。
「それから、隣のカフェなんだけど、ちょうど苺スイーツのイベントをやってるみたいで、もし早く片付いたらそっちを楽しんでから帰って来てもいいかも……あくまでもお仕事で行くって忘れちゃダメなんだからね!!」


参加者
樫木・正彦(牡羊座の人間要塞・e00916)
フィスト・フィズム(白銀のドラゴンメイド・e02308)
シェリン・リトルモア(目指せ駄洒落アイドル・e02697)
アンジェラ・コルレアーニ(泉の奏者・e05715)
機理原・真理(フォートレスガール・e08508)
上里・もも(遍く照らせ・e08616)
白石・明日香(愛に飢え愛に狂い愛を貪る・e19516)
長久・千翠(泥中より空を望む者・e50574)

■リプレイ

●俺は苺依頼を出したはずがプロレス依頼になっていた。何を言っているのか分からないと思うが、俺にも分からない。OPミスとか参加者の勘違いなんてチャチなもんじゃねぇ。番犬の恐ろしさの片鱗を味わったぜ……
「タイトル長ぇよ!!」
 上里・もも(遍く照らせ・e08616)がツッコミを入れている間に、アンジェラ・コルレアーニ(泉の奏者・e05715)は苺農園に隣接するカフェに立ち寄り、農家の人々にぺこり。
「ええと、最近このあたりで苺農場を襲う人の話、聞いたことあります、です? あ、えっと、大丈夫です。わたしたちがなんとかします、ですから、しばらく農園には近づかないでほしい、です。よろしくおねがいします、です」
 事情をかいつまんで説明し、とてとてと駆けていくアンジェラを微笑ましい顔で見守る農家さんたち。
「この辺りに川や池なんかあったかしら……」
 アンジェラ! リングコスチュームを水着だと思われてる!!
「これストロングじゃなくてドラマチックな方だろ? マチャヒコは詳しいんだ」
 樫木・正彦(牡羊座の人間要塞・e00916)はビニールハウスの前でサイドチェストなポーズで三体並んでるストロングベリーを発見するなり、クラウチングスタートの構え。
「空間魔法陣――雷胴――展開!」
 おい、もうオチが見えたなんて苦笑するんじゃねぇよ。シェリン・リトルモア(目指せ駄洒落アイドル・e02697)はまだ何もしてないだろう? まぁ、恐らくアンタの予想は正しいけどな。
「まずは奴らを吹っ飛ばす!」
「さぁ、響かせますよ!」
 突進を仕掛ける正彦の背後、シェリンがやや短い避雷針を両手に振りかざして。
「ダン! ダカ! ダァン!!」
「「「!?」」」
「ぷぎゃーっ!?」
 飛来する雷弾が強苺を襲う! え? 強苺じゃない悲鳴が聞こえた? 君は疲れているんだよ。
「農家の方ががんばって作った農園を壊そうなんて言語道断! ベリーアングリーですよ、ベリーだけに!」
「巻き添え喰らってマチャヒコもベリベリ痺れてますお……!」
「あ、そういうネタもいいですね。じゃあもう一回いっときますか?」
「なんで!?」
 既にコンガリしてる正彦に、シェリンがドヤァ。
「二回目の行動ですっかりジューシーに!」
「あぁ、黄道十二騎士団にプラス二で……って、マチャヒコを調理しようってのか!?」
 マチャーシューが仕上がった頃、フィスト・フィズム(白銀のドラゴンメイド・e02308)は敵を見て震えていた。
「……どう見てもあれ、ただの蔓のより合わせだよな……?」
 フィストに応えるように、強苺達はアブドミナルアンドサイ。筋繊維っぽいモノを強調して見せつけてくるが、どう見ても並行して並んでいる蔓の群れである。
「マッスルというが筋肉じゃないよな!? そんなのマッスルじゃない、ただの蔓の塊じゃないかあっ!!」
 フィストの慟哭は大気を震わせて、頭を抱えた彼女は崩れ落ち、何かを悔やむように大地を連打する……いや待て、お前は何を悔しがっているんだ!?
「あのマッチョ苺の攻撃は喰らわないようにしないといけませんね~」
「あんなのマッチョじゃないッ!!」
 白石・明日香(愛に飢え愛に狂い愛を貪る・e19516)は号泣するフィストに苦笑を浮かべるしかなかった。気を取り直して。
「味方の盾の型の皆さんには頑張ってもらいましょうか……」
「作戦は聞いたなスサノオ」
 白焔っぽいワンコの頭を、ももがぽむん。
「お前も前衛で恥ずかし固めを受けるんだ」
 そんなッ!? って顔するスサノオはももに投げられ、最前線へ。

●盾の型は犠牲になったのだ……
「うぉおおお!」
 正彦が強苺の一体と組み合って互いの腕と後頭部を取る。力比べのように硬直する二人の横、アンジェラは軌跡が虹を描く蹴脚。
「ふふ、おにさんこちら、です♪」
 飛びかかり、踏みにじるようにして後方宙返り、バックステップするアンジェラをもう一体が追って、残る一体が部隊に突っ込んでくるが、砲撃に吹っ飛ばされ、落下寸前に炎を纏う黒い騎乗機に撥ねられてさらに遠方へ。
「単純に蹴ったり殴ったり頭突きしたり……そういう戦い方な外見ですが、一癖ありそうですね」
 機理原・真理(フォートレスガール・e08508)は砲塔から白煙を上げながら状況を把握する。
「敵は三、こちらの盾も三。何事もなければ抑えられるはず、です!」
「じゃあ私は遊んでても大丈夫だな!」
「えっ」
 ももは解説席と書かれたテーブルとイスを構え、白石・明日香(愛に飢え愛に狂い愛を貪る・e19516)が鎖を正彦と強苺の周りに展開してからももの隣の席につく。
「ガチムチストロベリーレスリングにマチャヒコさん参戦らしいからな!! こいつぁミューファイの名に懸けて実況するしかねぇ……!」
「そして私はいざという時に備えてここで解説しますね」
「ちょ、二人抜けたら……わ!?」
 強苺に体を掴まれないよう砲塔で防ぎつつ、ふんばる真理。おかしいな、部隊の人数は敵の倍以上いるのに事実上の一体一の構図ができあがってるんだが……長久・千翠(泥中より空を望む者・e50574)、後頼むわ。
「俺にブン投げるなよ!?」
 といいつつも、状況を鑑みる千翠。即席リングで試合する正彦、砲塔を掴まれた真理、タイマンを張るも、シェリンとフィストにフォローされるアンジェラ……。
「待ってろアンジェラ、すぐ助けに行くぞ!」
「普通マチャヒコか真理たんの方に行きませんかね!?」
「せ、せめて相棒くらいは欲しい、です!」
「あのガタイに挑む幼女を放っておけるか!?」
 成人男性と兵装ぶん回す姉ちゃんと幼女だったらどれ助けるかって言ったら、ねぇ?
「くっそぉおおお!!」
 半ばヤケを起こして奮起する正彦だが、ジワジワと押されつつある。まぁそうよね。デウスエクスの方が基本的に番犬より強いもん。同様に真理も追い詰められ、腕がプルプルしてきた。
「プライド・ワン、フォローする、です!」
 真理が愛機に呼びかけるのだが、「ごめん、俺は妨の型だからお前を助けられないんだ」って顔でそっと距離をとる。
「裏切ったです!?」
 真理が「ガーン」て擬音語が聞こえそうな雰囲気を醸し出した瞬間、砲塔が投げ飛ばされた。
「しびれていてください、です!」
 アンジェラは自分の二倍近い相手を掴み、空へ。
「ちょっぴりスリリングな散歩道にご招待、です♪」
 上空で上下を反転、今度は重力に身を任せながら羽ばたき急加速で地面に向かい、背中から叩き付ける。だが、組み付いたという事は敵の射程に潜り込むという事でもあり、離脱しようとするアンジェラは強苺に脚を掴まれ、膝を畳んで抱え込むようにロックされつつ、逆の脚は強苺の両脚で絡められて強引に股を開かれる形に。
「あぐっ、ああああっ!?」
 アンジェラの股関節が鈍い悲鳴を上げた瞬間。
「やめんかッ!」
 フィストがタンスでツッコミ……もとい、タンスを召喚して強苺の顔面に突っ込ませ、関節技が外れた所で千翠が飛び蹴りを叩きこみ、アンジェラから引っぺがす。二人の距離が離れた所でシェリンが雷杖を撃ち鳴らし。
「あなたが関節技で動きを封じるなら、僕は音楽で挑みましょう。あなたと僕の、ロック対決です!」
 と言いつつシェリンは太鼓のように敵を殴打するという暴挙。ロックは!?
「駄洒落の為に言っただけです。反省はしても後悔はしません!」
 何この芸人魂。

●見られる人と見られなかった人
「解説の明日香さん! この戦況をどう見ますか!?」
「そうですねぇ……正彦さんは自慢の腕力を押さえこまれて打つ手なし、といったところでしょうか……いつもとは違う正彦さんの戦法に期待ですね」
「なるほど! では正彦さんにはまずこの状況を打開して欲しいですね!!」
「二人とも遊んでる場合じゃないですお!?」
 実況モードに入ってきゃっきゃうふふしてるももと明日香に注意が逸れ、その隙に強苺が動いた。
「こ、これはなんということでしょうか!?」
「さすがはデウスエクス、といったところですね」
 横に回り込むようにして強苺が正彦の頭をサイドにロック。頬をすりおろすようにして正彦の体を上下に振り回しながらゴシゴシ……。
「うあああああっ!!」
 上下に揺らされる度に強苺の股間に顔が近づいたり離れたりする。ほら、人間の骨って腕とか脚とか、両端の所は噛み合わせる為に膨らんでるやろ? こいつらはアレを蔓でやるから、関節がほんのりモッコリするんだ。つまり、その、そういうトコロに押し付けられるんじゃないかって言う恐怖が正彦を襲う!
「誰か! 誰かマチャヒコとタッグ組みませんか!?」
 正彦がロープ代わりの鎖に縋ると、目が合ったのはスサノオ。そっと背を向けようとしたスサノオだったが、ももが抱き上げて。
「はい、正彦さんの相棒」
「!?」
 タッチした正彦がリングを降りようとすると、鎖が増えて壁のようになって逃がさない。
「明日香たん!?」
「敵前逃亡は重罪ですよぉ?」
 物凄いにこやかな笑顔は語っていた。面白いからそこで頑張れ、と。できる限り距離を取ろうとした正彦だったが、脚に肉球が触れる。見れば、スサノオが「ゴメン、無理」って顔してタッチ。見上げれば強苺がちょうど跳び上がってきたところで。
「ぎゃぁあああ!?」
「ぁ、や……っ!」
 その頃、武装を失った真理も強苺に組み付かれていた。地面に仰向けに転がされ、膝に脚を回されて無理やり開脚させられてしまい、更に両手首を掴まれて引き寄せられて身動きすら取れずにいる。何が問題って、いつもの黒いジャケットに赤チェックのミニスカで来ちゃったから……つまり、そういう事だ。
「こ、こんなの、何でもないのです!」
 誰もこちらを見ていない。だから、今の内に現状を打破さえできれば……。
「やっ!? やめっ、何ですかこの連携ぇ……!」
 真理の臀部に股関節を形成する突起部分が当てられて、その状態で体をこすりつけ始める強苺。
「あっ、あっ、あっ……!」
 真理の体を撫ぜるのは腰の突起だけではない。彼女に股を開かせている両脚による植物特有のガサツな感触が太腿を幾度となく往来し、しかし激しく擦られる尻と異なり、こちらは全身が揺らされる振動で揺れているだけで、痛みよりもこそばゆさの方が強い。
 体が揺れる度に背筋にゾクゾクと微弱な電流が走り、体内の駆動系がエラーを起こして脱力してしまい、気づけばされるがままに体を弄ばれていて。
「あっ、やめっ、やぁ……っ!」
 繰り返される刺激は感覚系を敏感にして、内臓を機械に換装していなければ濡れていたであろう真理の『中心』が揺れる。
「やめ……んぁ……くぅ……!」
 あくまでも、強苺の脚は揺れる体に合わせて擦れているだけで一定の場所から動かない。だからこそ、決してソコには届いてくれなくて。自分で脚を擦り合わせようにもその両脚は敵によって拘束されて動かす事すらできない。
「早く……終わって……です……」
 真理は潤んだ瞳で息を荒げて、切ない悲鳴を漏らしていた。

●皆心を病めばいいと思うよ!
「オラァ!」
 一度生み出した氷兵を自分で握り潰し、砕けた氷片で大気の水分を取り込んで大鎌を形成した千翠は強苺の胴体をぶち抜き、そのまま地面に縫いとめた。そこにアンジェラがドロップキックを落として刃を深々と刺し、シェリンがダンダカダァン! 雷弾を叩きこんで焼却するというフルボッコ具合。
「大丈夫か!?」
 フィストが駆け寄るのはトロンとした虚ろな眼差しで虚空を見上げるばかりの真理。彼女の体は腰に何かをぶつけられる度に上下に揺らされていて。
「何をやってるんだー!?」
 父が遺した剣をフルスウィング! 強苺の顔面をぶっ飛ばし、地面でヒクヒクと痙攣する真理にはテラがパタパタと羽ばたいて意識を回復させる。
「……はっ!」
 真理は途端に自分がどんな状態だったかを走馬灯のように理解し、真っ赤になって武装の陰に隠れてしまう。
「んっ……マルレーネさん……ふぁ……ぁん……」
 物陰からは何も聞こえなかった。いいね?
「この偽マッスルがー!!」
 フィストが続けざまに剣を振るうが、シャッと敵が躱してフィストを背後から抱きしめると、小刻みに振動し始める。
「や、やめ、いたっ、いたたたっ!! 蔓が、蔓が擦れて痛い!」
 ぶぃいいいんとか聞こえてきそうなくらい震える強苺にフィストは擦れた肌がひりひりし始めて涙目であるが。
「マッスルならお前、バランス良くむっちりした筋肉が命だろうがっ……!!」
 ビルシャナみたいな事言いながら背負い投げ、背中から叩きつけられた強苺の脚の小指っぽい場所にピンポイントでタンスを落とし、トドメを刺す。
「これであと一体か……」
 などと安堵した時だった。
「あーっ!! ご覧ください! リング上は花満開になっております!!」
「花一輪じゃねえですおー!」
 正彦が逆さまに強苺の腹に乗せられて、股間で頭を挟まれながら膝の内側に脚をかけられて無理やり股を開かれるという光景が!
「正彦さんはこのまま墜ちてしまうのかー!?」
「てめー、上里! 見てんな! 助けろ!!」
 正彦の絶叫が響き渡り、試合はクライマックスへ……。

「……うむ、頑張ったかいがあったな」
 無事に仕事を終えたフィストが苺のジェラートを頬張り、頬に手を添えて満足そうに微笑む。
 試合結果? 触れてやるなよ。
「帰り用に、テイクアウトもしなくては……」
 太陽機の中で食う気か?
「ふふ、いただきます、です♪」
 アンジェラがジェラートにスプーンを刺す横で。
「この為に働いたようなものですし、思いっ切り楽しみましょう……」
 と、苺、リンゴ、ブドウ、ミックスベリー、梅のジェラートを並べてホクホク顔の明日香に並び。
「地球の食文化って、やっぱいいよな……!」
 どうやって盛り付けたんだよそれ? って聞きたくなるレベルの特盛ジェラートな千翠。新手のスイーツ男子?
「違う! 地球の美味い物が好きなだけだ。そう、いわばデリシャス男子!!」
 取りあえず食べるのが好きっぽいって事は伝わったよ。
「えぇと、旅団でこう言うのを召し上がりそうな方は……」
「……酷い目にあったのです」
 必要なテイクアウト数を指折り数えるシェリンの隣で、ジェラートを頬張る真理の目がちょっと光を取り戻す。
「そうだ、あの人にも……んっ」
 恋人の事を思った途端に体が疼き、太腿をこすり合わせる真理。重傷ですね。
「苺がひとーつ、苺がふたーつ」
 正彦はジェラートを食べずに、スライスされた苺をスプーンで刺して遊んでいた。割らないように重ねたそれを、霊犬へ。
「スサノオー、苺うまいかー?」
「彼は心に傷を受けて、また一段階大人になったのだった……第一部、完! なんちゃって♪」
 ももが不吉なナレーションを残しつつ、頬杖をついて死んだ目の正彦を見ると、彼の口元へ苺を差し出すのだった。

作者:久澄零太 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年5月31日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 2/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 6
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