●魔竜のビジョン
「よし……また見つけることができたわ」
薄暗い空間に呟きが流れる。
ここは竜十字島のいずこかにある鍾乳洞。
声の主はグルグル眼鏡をかけた女。
ドラグナーの中村・裕美だ。
「さあ、おまえたち。この地に行き、ドラゴンを封印から解き放って――」
と、裕美は語りかけた。
周囲に控えていた異形の者たちに。
「――グラビティ・チェインを捧げなさい! ドラゴン種族の未来のために!」
その叫びの残響が消えるのに合わせるかのように異形の者たちも闇に同化して消え去った。
満月に淡く照らされた森の中に四つの人影ならぬ人影があった。
裕美の指示を受けた異形の者――ケイオス・ウロボロスだ。
彼ら(彼女ら?)は方形を描くように立ち並び、地面の一点を見据えて、呪文を詠唱していた。
呪文といっても、常人にとっては耳障りな超音波でしかない。だが、地の底で眠る常人ならざる者……いや、人ですらない者には働きかけることができたのだろう。何本もの触手が地面から飛び出してきた。
ケイオス・ウロボロスたちは詠唱をやめて、恭しく頭を垂れた。
だが、垂れるだけで終わらず、それらは体から離れて地に落ちた。
触手に刎ねられたのである。
そして、地面が盛り上がり、触手の主が現れた。
それはオークを思わせる醜怪なデウスエクス。
もちろん、『思わせる』だけであり、本物オークではない。五メートルもの体長を有し、口から触手を生やしているのだから。
「あばばばばばぁ!」
触手と唾液と奇声を口から垂れ流しながら、それは山を下り始めた。
飢えを満たすために。
●音々子かく語りき。
「もうご存知だとは思いますが――」
ヘリポートに召集されたケルベロスたちの前でヘリオライダーの根占・音々子が語り出した。
「――シルヴィア・アストレイア(祝福の歌姫・e24410)さんたちが危惧していたとおり、ドラゴンどもがまた活動を始めたんですよ。どうやら、大侵略期に封印されていたドラゴンを解き放って、戦力にしようと企んでいるみたいなんです。その封印ドラゴンのうちの一頭の動きを予知しました」
ドラゴンが封印されている地は青森県八戸市郊外の山中。封印を解くのは四体のケイオス・ウロボロスだが、彼ら(彼女ら?)は目覚めたドラゴンに始末されるので、ケルベロスが対処する必要はない。
「シィ・ブラントネール(ウイングにゃんこ・e03575)ちゃんの御先祖がそのドラゴンについての記録を残してくださっていました。それによりますと、ドラゴンの名は『冒涜竜オルクヌート』。なんらかの理由で正気を失って眷属のオークを次々と貪り食らい、でっかいオークみたいな姿になったそうです。よりにもよってオークを取り込むなんてダウングレードもいいところのような気がしますが、なかなかどうして侮れませんよ。ドラゴンであることにかわりはありませんから」
冒涜竜オルクヌートは飢餓状態に陥ってる上に定命化も始まっているため、完全に理性を失っている。本能に従って人里に降り、虐殺の限りを尽くすだろう。
「そういうわけなので、敵が市街地に行く前に息の根を止めちゃってください! ちなみに敵は――」
オルクヌートの戦闘能力について音々子は語り始めた。
「――動きを鈍らせる系統のグラビティをよく使うようです。それと見かけによらず、けっこう素早いです。たぶん、森の中を駆け回りながら戦うことになるでしょうね。あと、これは良いことなのか悪いことなのか判りませんが……オークどもを取り込んだエロドラゴンとはいえ、今は性欲よりも食欲に支配されていますので、露出度の高い女性を優先的に狙ったり、色仕掛けに引っ掛かったりすることはありません。それから、こっちは間違いなく良いことだと思いますが、戦闘が長引けば長引くほど敵は弱体化していくはずです」
オルクヌートが最大限の力を発揮できるのは約十分間。
その十分を耐え忍べば、勝機が見えてくるだろう。
「厳しい戦いになるとは思いますが……皆さんなら、できます!」
と、心から信頼する戦士たちに音々子はエールを送った。
「寝起きのドラゴンをもっかい眠らせちゃってください! 二度と目覚めないようなやりかたで!」
参加者 | |
---|---|
ミライ・トリカラード(夜明けを告げる色・e00193) |
伏見・万(万獣の檻・e02075) |
イピナ・ウィンテール(剣と歌に希望を乗せて・e03513) |
シィ・ブラントネール(ウイングにゃんこ・e03575) |
フィー・フリューア(赤い救急箱・e05301) |
南條・夢姫(朱雀炎舞・e11831) |
レオン・ヴァーミリオン(火の無い灰・e19411) |
プラン・クラリス(愛玩の紫水晶・e28432) |
●獲物の視点
オークと蛙を掛け合わせたかのような異形のドラゴン――冒涜竜オルクヌートが夜の森を疾走していた。
木々をすり抜け、時には飛び越え、時には薙ぎ倒し、目指すは麓の市街地。
その目的はシンプルだ。飢えを満たすこと。ただ、それだけ。
「あばばぁーっ!」
空腹の苛立ちが咆哮になって吐き出された。何本もの触手が口から生えているため、声がくぐもっている。
「冒涜竜オルクヌート!」
凛とした叫びが咆哮の残響に続いた。
オルクヌートは足を止めることなく、横手を見た。視界に入ったのは金髪のオラトリオの娘とシャーマンズゴースト。こちらに向かって駆けてくる。
「調停期にブラントネール家の侍女を何十人も、その……とても口では言えないような目に合わせてくれたそうじゃない! 曾々お祖父様に代わってリベンジしてあげる!」
近付いているのはリベンジャーたる彼女だけではない。他に七人分の気配をオルクヌートは感じ取った。
ケルベロスたちに捕捉されたのだ……と、普通のデウスエクスなら判断するところだろう。しかし、オルクヌートは飢餓感のために本来の思考力を失っていた。いや、そもそもケルベロスの存在を知らなかった。調停期に封印されたドラゴンなのだから。
故に彼は接近者たちを敵と見做さなかった。恐怖や絶望の匂いを発していないので、栄養(グラビティ・チェイン)たっぷりの食事とも見做さなかった。
ただの障害物だ。
「あばばっ!」
オルクヌートは腰を屈めると、突き出た腹で地面を擦りながら素早く反転し、振り向きざまに腕を跳ね上げた。
『ただの障害物』を排除するために。
「うっ……!?」
鋭い爪に斬り裂かれて身を仰け反らせたのは、後方にいた地球人の青年。
しかし、彼はすぐさま体勢を立て直すと、ケルベロスチェインで防御の魔法陣を描いた。数瞬前に苦鳴を漏らした口を不敵な笑みの形に歪めて。
「初っ端から全力かい? 余裕がないね、ロートルさん」
「……あば?」
オルクヌートは足を止め、首を傾げた。思っていたほどの手応えがないことを訝しんでいるのだ。青年の防具が斬撃耐性を有しているためにダメージが半減していることも、敏捷耐性を有しているために致命的な一撃を与えにくい(爪の攻撃は敏捷性に基づくものだった)ことも、今の彼には理解できない。
とはいえ、青年が受けたダメージは半減してもなお大きなものだった。
その幾許かを癒すべく――、
「大丈夫ですか、レオンさん?」
――銀髪のサキュバスが青年の前面にマインドシールドを展開した。
「今のところは大丈夫。だけど、僕は最後まで立ってはいられないだろうから、倒れた後はよろしくー」
「よろしくされた。でも、簡単には倒れさせないよ」
そう言いながら、赤い頭巾を被ったレプリカントの少女が二枚目のマインドシールドを生成した。
オルクヌートが鷹並みの視力を持っていれば、少女の腕時計の盤面で光点が瞬いていることに気付いたかもしれない。しかし、気付いたとしても、それがタイマーの作動を示す点滅であることまでは判らないだろう。タイマーの設定時間が十分間であることも。十分後になにが待っているのかも。
「あばばーっ!」
オルクヌートは気を取り直し、また振り返って走り出した。
バイオレンスギターを構えたオラトリオの娘(先程のオラトリオとは別人であり、髪は橙色だった)が行く手に立っていたが、彼女は横っ飛びに退避した。光輝くオウガ粒子を散布しながら。
それを浴びた者の一人――狼の耳と尻尾を生やしたウェアライダーの男がオルクヌートに指を突きつけた。
「食らってやるぜ! その魂!」
獣の形をした影が男の足元から湧き出し、地を這って進んでくる。
しかし、影が食らいく寸前、オルクヌートは跳躍して身を躱した。男の能力が低すぎたわけではない(ポジション効果によって、彼の命中率は倍増していた)。オルクヌートは敏捷性に優れており、男が放った影も敏捷系のグラビティであるため、相性が(男のほうからすれば)悪すぎるのだ。
「あっばぁ~ん!」
両腕を体の前で交差してキラキラと輝く唾液の飛沫を撒き散らしながら空中で何度もスピンした後、オルクヌートは華麗ならざるポーズを決めて着地(『スーパーオーク着地』とでも呼ぶべきか?)し、走り始めた。
だが、数メートルも進まぬうちに――、
「そのネチョネチョした触手でいろいろしちゃうのかな? えっちだねぇ」
――背後から声をかけられ、振り返った。
白髪のサキュバスの娘が距離を置いてついてくる。
彼女の放つ蠱惑的な視線のグラビティにオルクヌートは打ち据えられた。物理的なダメージを受けたが、被害はそれだけではない。飢餓感に場を譲っていたはずのオーク並みの劣情が一瞬だけ頭をもたげて(彼の名誉のために言っておくが、あくまでもグラビティがもたらした作用である)動きが鈍くなった。
「あば……あばばっ!」
絡みつく視線を振り解いて正面に向き直るオルクヌート。
新たな敵が見えた。
紅蓮のチョーカーを巻いた娘。
いや、チョーカーではない。
地獄の炎だ。
「……」
首が地獄化した娘は砲撃形態のドラゴニックハンマーを無言で構えた。
次の瞬間、オルクヌートの顔面に轟竜砲が命中し、視界が煙に包まれた。
「あっばばばー!」
オルクヌートは首を振って砲煙を払った。視界が塞がれている間も足を動かし続けていたが、進行方向は変わっていた。
もう麓は目指していない。
忌まわしき異形のドラゴンはケルベロスたちに突っ込み、触手を振り回して攻撃した。
ようやく、彼は悟ったのだ。
この八人と一体が『ただの障害物』ではないことを。
かつて自分に抵抗した者たち(その子孫らが『失伝者』と呼ばれていることを彼は知らない)と同様、定命者でありながらデウスエクスに挑んでくる戦士だということを。
●狩人の視点
「少しでも気を抜くと、ヒールが追いつかなくなりそうですね」
オウガ粒子を放出しながら、銀髪のサキュバスの南條・夢姫(朱雀炎舞・e11831)が疲労の汗を拭った。彼女は他のケルベロスたちとともにずっと走り続けていた。同じく走り続ける(麓を目指すことなく、不規則に蛇行していた)オルクヌートに時に肉迫し、時に間合いを広げながら。
ブレイズキャリバーのミライ・トリカラード(夜明けを告げる色・e00193)、ウェアライダーの伏見・万(万獣の檻・e02075)、白髪のサキュバスのプラン・クラリス(愛玩の紫水晶・e28432)。その三人がオルクヌートを積極的に攻撃していた。
他の面々の担当はヒールとエンチャントの付与。また、前衛である金髪のオラトリオのシィ・ブラントネール(ウイングにゃんこ・e03575)、地球人の青年のレオン・ヴァーミリオン(火の無い灰・e19411)、シャーマンズゴーストのレトラはヒールだけでなく、仲間たちの盾としての役割も担っていた。
三者が盾になる機会は多かった。オルクヌートの攻撃の大半は彼らよりも後衛陣に向けられたからだ。飢餓感に狂わされているために高度な戦術を組むことができず、自分を攻撃した者に対して反射的に敵意を向けてしまうのだろう。結果、強力な爪の近接攻撃がケルベロスを傷つける回数は減ったが、遠距離攻撃がすべて対複数用であるため、一度にダメージを受ける人数は増えた。しかも、対複数用のグラビティでありながら、ダメージは決して小さくなかった。
「これ、耐久ライブよりもキツいですね」
橙色の髪のオラトリオ――イピナ・ウィンテール(剣と歌に希望を乗せて・e03513)が『紅瞳覚醒』の演奏を始めた。対象は傷だらけの前衛陣。
「うん。穴の開いた船から延々と水を汲み出してる気分だよ」
青白い炎を宿したライトニングロッドで何枚目かのライトニングウォールを築きながら、レオンが軽口を叩いた。
「夢姫さんが言ったように――」
レプリカントのフィー・フリューア(赤い救急箱・e05301)が薬瓶を取り出し、『七色秘薬【蒼】(オーバードーズ・ブルー)』を後衛陣の周囲に振りまいて傷を癒すと同時に命中率を上昇させた。
「――汲み出す手を少しでも休めると、あっという間に船が沈んじゃうんだよね」
フィーは口許に微苦笑を刻んでいたが、心の中では笑ってはいなかった。『汲み出す手を少しでも休める』つもりもなかった。忘れていないからだ。城ヶ島の魔空回廊の戦いに加わった際、自分のヒールが及ばない場所に行く仲間たちを見送ることしかできなかった時のことを。
その仲間のうちの二人とはもう二度と会えない。
「あばばぁーっ!」
オルクヌートが触手を乱舞させた。狙いは今度も後衛陣。
だが、触手に鞭打たれても顔色一つ変えることなく、ミライがサイコフォースで反撃した。
顔色は変えていなくとも、首の周りの炎が雄弁に物語っているが。
彼女の中の怒りを。
「さっき、食らってやると言ったけどもよぉ」
触手に擦り付けられた粘液(動きを鈍らせる効果があった)の感触と悪臭に顔をしかめつつ、万が轟竜砲を発射した。
「ちょいと生臭せえな、おい」
「この臭いも妙にイヤらしい感じがする。やっぱり、えっちなんだねぇ」
プランもオーブ型のドラゴニックハンマー『アメジストスフィア』から轟竜砲を放った。
その砲声を伴奏にして、シィが仲間を癒すべく『スカイクリーパー』を歌い始めた。
「絶対、諦めはしない、忘れたりしない♪」
●勝者の視点
「あばっ!?」
激しい戦いのさ中、オルクヌートがよろけて片膝をついた。攻撃を受けたわけではない。いきなり力が抜けたらしい。
ほぼ同時に電子音が戦場に響き始めた。オルクヌートの醜態を嘲笑するかのように。
「お待ちかねの時間が来たよ」
フィーが腕時計を操作し、嘲笑めいたアラームを止めた。
「さあ、今度はこっちが奴の船を浸水させてやりましょう!」
イピナが『紅瞳覚醒』をまた弾き始める。戦闘が始まった時は中衛に位置取りしていた彼女ではあるが、少し前にレトラが倒れてからは前衛に移動し、新たな盾役となっていた。
「そうね! 日本に伝わるフナユーレイとかいうお化けみたいに!」
『紅瞳覚醒』で傷を癒されたシィが腕を突き出し、仕掛け花火型の武器から時空凍結弾を撃ち出した。
素早く身を捻り、それを躱すオルクヌート。『素早く』と言っても、弱体化が始まった上に状態異常が蓄積しているので、動きに当初の切れはない。
「船幽霊は柄杓だが、俺らは――」
万がスキットルを取り出してぐびりと呷り、バスターライフルの銃身に酒しぶきをかけた。
その間にミライがオルクヌートの懐に飛び込み、地に落ちていないほうの膝に戦術超鋼拳を叩き込んだ。
「――でっかい樽でいくぜぇ!」
酒しぶきのせいで中断した言葉の後半部を叫びながら、万がバスターライフルのトリガーを引いた。
ミライが残像を置き土産にして後退し、代わってゼログラビトンのエネルギー光弾がオルクヌートに挨拶した。オルクヌートからすれば、実に相性の良い敏捷系のグラビティ。にもかかわらず、回避できなかった。この10分の間に万は何度もメタリックバーストの恩恵を受けたのだから。
その功労者の一人である夢姫(もう一人の功労者はイピナだ)が険しい顔をして呟いた。
「とはいえ、まだまだ厳しい戦いが続きそうですね……」
そう、確かに戦局は大きく動いたが、ケルベロスの勝利が確実になったわけではない。ヒールを重視して行動してきたためにサーヴァント以外は誰一人として沈んではいないものの、それは攻撃の手数が犠牲になったということでもある(もっとも、攻撃の手数を優先しても、避けられてばかりいただろうが)。そのため、オルクヌートは瀕死には程遠い状態にあった。
「やれやれ。長丁場になりそうね」
無数のオウガ粒子に彩られた魅惑的な肢体を揺らしつつ、プランがオルクヌートに突き進んだ。祓串の形をしたエクスカリバールを振り下ろし、神聖な見た目に似合わぬ凶悪なジグザグ効果で状態異常を悪化させていく。
「あばばぁーっ!」
オルクヌートは血塗れになりながらも触手群を伸ばし、プランを含む後衛陣に反撃を試みた。だが、何本かの触手は標的に届く前に遮られた。レオンが盾となったために。
「でも、どんなに長く厳しい戦いになろうと――」
夢姫が淡紅色の蝶の群れを召喚し、レオンの周囲を舞わせて傷を癒した。
「――負けられません。あいつを市街地に行かせるわけにはいきませんから」
「ええ、絶対に負けられませんよね!」
イピナがギターを置いて踏み込み、オルクヌートに斬りつけた。腰に携えたゾディアックソードではなく、手に纏わせた『闘気の刃』で。
数分後、ついにケルベロスの一人が倒れた。
ヒール不能ダメージが累積していたところに爪の一太刀を受けた地球人の青年だ。
もっとも、彼は悲鳴も苦鳴も発しなかった。それどころか、ニヤリと笑ってみせた。
「最後まで立っていられないとは思ってたけど、ここまで保つとは思わなかったよ」
倒れる寸前、彼は指を銃の形にして、オルクヌートに突きつけた。
炎撃が飛んだ。もちろん、青年の指から発射されたのではない。タイミングを合わせるようにして白髪のサキュバスがドラゴニックミラージュを放ったのだ。
オルクヌートは知らないことだが、二人目の前衛が戦闘不能になった場合、後衛陣の何人かは前衛に移動するつもりでいた。しかし、誰も移動しなかった。このまま押し切れると判断したのである。
それほどまでにオルクヌートは弱っていた。
だが、退くつもりはなかった。
死を前にして、甦ったのだ。最強種族としての矜持が。オークたちを食らう前――まだ冒涜竜という二つ名で呼ばれていなかった頃に抱いていた誇りが。
ドラゴニックミラージュの炎に焼かれながら、誇り高きドラゴンは吠えた。
「あっぶぅあぁぁぁーっ!」
猛々しい咆哮とともに繰り出された爪の一薙ぎはありえざる軌道を描き、すべてのケルベロスの首を跳ね飛ばした。
オルクヌートの目にはそう見えた。
「あっぶぅあぁぁぁーっ!」
猛々しい咆哮とともに繰り出された一薙ぎを華麗に躱して、シィが『rupture(ルプチーア)』を発動させた。
「アタシ、知ってる! こういうのを日本ではネングノオサメドキって言うんでしょ!」
無数のシャボン玉がオルクヌートを覆い、次々と破裂し、衝撃波で傷つけていく。
続いて、万がゼログラビトンで、イピナが時空凍結弾で、そして、友から託されたブラッドストーンのお守りを握りしめながら、フィーがドラゴニックミラージュで追撃した。
それでもまだ冒涜竜はかろうじて息をしていたが――、
「地獄で思い知るといいよ! 自分が犯してきた罪の重さを!」
――ミライがとどめを刺した。
今日、初めて怒りの声を発して。
作者:土師三良 |
重傷:レオン・ヴァーミリオン(火の無い灰・e19411) 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2018年6月13日
難度:難しい
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 11/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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