絶対領域フェティシズム

作者:天枷由良

●魅惑の隙間
「どうか、どうか私のスライムにも活躍の場を……!」
 人里離れた暗がりの中。螺旋忍軍の者らしき女が、必死に何度も頭を下げていた。
 相手は、背から触手を生やす豚人間のデウスエクス、オークの群れだ。
「デュフフ、そんなに頼むならしょうがないブヒ」
 明らかに上から目線で言って、オークは女からねっとりとした液状のものを受け取る。
 そして、ついでに女の太腿を触手でぺろんと撫でる。
「ひゃうっ!」
「デュフフ! ひゃうっ、だってヨ!」
「意外とかわいらしい声をだすブヒねぇ!」
 オーク達は下卑た笑い声を上げながら、無抵抗の女の両足を暫く撫で回した。
「……ふぅ、それじゃあ行くブヒ」
 やるだけやって満足すると、オーク達はもう用済みとばかりに女を突き飛ばして、魔空回廊に入っていく。

 やがて彼らが辿り着いたのは、まだ開店前のメイド喫茶。
「せっかくだから、こいつを使ってやるブヒ!」
 オーク達は女から渡されたスライムをぶちまける。それは正統派ヴィクトリアンメイドな女性店員らの足元にまとわりつき、スカートをミニ丈まで溶かした後、両足を包む白い布地の太腿部分だけを失くしてしまう。
「ほーん、意外と役に立つじゃねーカ」
 淡々と感想を述べて――そこで興奮を抑えられなくなったオーク達は、一斉に女性達の両足へ飛びかかると、スライムの貢献で産み出された絶対領域を触手で撫でたり舌で舐め回したりするのだった。

●ヘリポートにて
「服だけを溶かすスライム……?」
 予知を聞き終えたシシル・グランツ(爆裂疾走突貫娘・e38659)は、何とも都合いいアイテムの登場に首を傾げた。
「皆の装備なんかには影響しないようなのだけれど……困ったものよね」
 ミィル・ケントニス(採録羊のヘリオライダー・en0134)も眉をひそめながら言って、集ったケルベロス達へと向き直る。
「オークなんかにスライムを渡した螺旋忍軍のことも気になるけれど、まずは罪もない女性達に被害が及ばないよう、オークの群れをやっつけてしまいましょう」

 現場は、都内にあるメイド喫茶。
 裏路地寄りの立地や、まだ開店前であることもあって現場周辺には人気がない。しかし店内には十名ほどの女性店員がいて、開店準備に勤しんでいるようだ。
「オークの出現前にメイドさんたちを避難させてしまうと予知が変わってしまうわ。ちょっともどかしいけれど、外から様子を伺っているのが一番かしらね」
 オーク達は魔空回廊を通って、店内に湧く。数は十二と多いが、一匹一匹は大した強さでもないので、そう苦戦することもなく倒せるはずだ。
「問題はメイドさんたちね。お店に留まっていれば巻き込まれる危険があるから避難してもらいたいところだけど、出入り口は正面の一つしかないようなの」
 一分もあれば脱出できるだろうが、腰を抜かしたりする者がいないとも限らない。
 たとえ脱出できなくても命に別状はないが尊厳に関わる。女性店員達を無事に逃がすなら、ケルベロス達が犠牲となるのもやむを得ない……かもしれない。
「今回のオーク達は……ボトムスとニーソックスの間に出来る隙間、いわゆる絶対領域に尋常ならざる関心を持っているようだから。その辺りをアピールすれば、釣られてくれるかもしれないわね」
 ミィルはまた困ったような表情で言うと、説明を終えた。


参加者
ラインハルト・リッチモンド(紅の餓狼・e00956)
姫百合・ロビネッタ(自給自足型トラブルメーカー・e01974)
槙島・紫織(紫電の魔装機人・e02436)
ヴィクトリカ・ブランロワ(碧緑の竜姫・e32130)
シシル・グランツ(爆裂疾走突貫娘・e38659)
根住・透子(炎熱の禍太刀の担い手・e44088)
焚本・果菜(涙目のハテナ・e44172)
シャイン・セレスティア(光の勇者・e44504)

■リプレイ


「今度は本当にスライムだと思ったら……随分迷惑なやつだなー!」
 元からミニスカ絶対領域のメイドなんてそこら中にいるじゃん! と、姫百合・ロビネッタ(自給自足型トラブルメーカー・e01974)はご立腹。
 確かにメイド喫茶メイドカフェと言えば、淑やかさと無縁なフレンチメイドタイプやらゴスロリに寄せた奴やらが目立ち、下手すりゃ猫耳なんぞ付けて「萌え萌えきゅん♪」でケチャップどばぁである。
 そうじゃない。そうじゃないんだ。メイドってのはそんな飾らなくていいんだ……とまでロビネッタが熱心に思っていたかどうかはさておき、服を溶かすスライムなんてのが迷惑極まりないのも、それによって正統派ヴィクトリアンメイドが台無しになりそうなもの事実。
「あたしは許さないよ!」
「ええ。女の敵の豚共には、オークに生まれた事を後悔させてあげましょう」
 なおも憤慨するロビネッタに、槙島・紫織(紫電の魔装機人・e02436)が同意を示す。しかし此方はメイドどうこうの前に、オークという種族への怒りが強い様子。
「下衆な連中だというのは耳にするからのぅ。店の者が辱めを受ける前に、不埒者は排除するまでじゃ!」
 オークと初対戦になるヴィクトリカ・ブランロワ(碧緑の竜姫・e32130)も、その凶牙の対象外であるほど幼い身ながら戦意を滾らせて――ふと、何かを気にする素振りを見せた。
「それにしても、あれじゃのぅ。真昼に街中でこそこそと、我ら随分怪しくないかのぅ」
 まして我は義務教育中の年頃なのじゃが……と、ヴィクトリカはしきりに辺りを見回す。
 幸い人気はなく、間違っても巡回の警官やらに「ちょっと君達」なんて声かけられることはなさそうだ。もっとも声かけられたところで、ヴィクトリカが考えていた通りにケルベロスカードでも見せれば済むことではあるが。
 とはいえ、心配事は年齢ばかりでもない。焚本・果菜(涙目のハテナ・e44172)のヴィクトリアンメイド姿はまだしも、紫織などはミニ丈ぱっつぱつのナース服にガーターストッキングなんて、もはやいかがわしいに片足踏み込んだ装いでいるのだ。
「でも、罪も無い女性たちを被害者にしないためですからね!」
 服装こそ普段と変わらないものの、タイツをサイハイソックスに替えてきたシシル・グランツ(爆裂疾走突貫娘・e38659)が胸を張った。それを見やった根住・透子(炎熱の禍太刀の担い手・e44088)は、オーク的年齢制限にギリギリかかっているとはいえ、自身も丈の短めのプリーツスカートにサイハイソックスなんて危険な格好でいることに一抹の不安を覚える。
「……あとは上手いこと中に入れていればよかったのですが」
「まあ、それは仕方ないですね」
 シシルの呟きに、ラインハルト・リッチモンド(紅の餓狼・e00956)が苦笑交じりで答えた。
 二人が店に入れなかった理由は二つ。そもそもメイド喫茶が開店前で、店員しかいない(つまり顔見知りしかいるはずのない空間で“自分は知らないが誰かの関係者だろう”という誤認が起こりにくい)ことと、プラチナチケットによって思い込ませる内容までは指定できないこと。
 例えば調理スタッフだと思わせたいなら、それらしい格好をするとか。素知らぬ顔でヴィクトリアンメイドに着替えてしまうとか、少し工夫があれば思い込みを誘導してすり抜けられたかもしれない。
 だが、今回は内部に潜入しなければ大きな不利が生じるようなこともない。
 八人は揃って店の外で屈み込み、オークの出現を待った。


 そして、ラインハルトが今回のオークを「絶対領域を作って撫でたり舐めたりするだけなのである意味良心的」なんて評した頃。
 店内から聞こえた悲鳴に、ケルベロス達はすっくと立ち上がった。
「ふふん、オークやスライムなんて、所詮RPGではザコモンスター。勇者である私の敵ではありませんね!」
 戦いの時を目前に控えながら、シャイン・セレスティア(光の勇者・e44504)は既に勝利を得たかのような態度を示す。
 シャインのミニスカートから下に肌色はなく、ストッキングが完全ガード。
「これで絶対領域を触られる心配もありません!」
 あからさまなフラグを立てながら扉を押し開くシャインに続いて、ケルベロス達は店内に雪崩込んでいく。
「卑劣で萌えオタみたいな汚豚さんたち! 貴方達の悪事も此処までです!」
「ブヒッ!?」
 堂々と言い放つシシルの足を見て、オーク達はにわかに色めき立つ。
「我らが来たからには、ここで命運が尽きたと知れ!」
 続いてアルティメットモードを発動しながら昂然と言い放つヴィクトリカを一瞥すると――。
「なんだ、ガキかブヒ」
 驚くでも怖がるでもなく、ただただ萎えた反応を示す。
「おぉい! 我を小娘と侮るでないぞ!」
「僕達はケルベロスです、皆さんを助けに来ました! こちらに避難を!」
 憤るヴィクトリカを余所に、ラインハルトがメイド達へと呼びかければ、運良く出口に近かった何人かは勇気を振り絞って駆け出して、店から脱出を果たした。
 しかし肉の壁に阻まれた者達は動くに動けず。
「やはりこうするしかありませんね!」
 ずすいっと、シャインが進み出る。
 そしておもむろに、ミニスカートを捲り上げる。
「ふふん、これでも絶対領域を触れますか? いいえ触れないでしょう!」
 当然、そこにあるのは黒ストッキングに包まれたおみ足。というか下半身。
「ないものが触れるはずありませんからね!」
 立ったままで脚を組み替えるように見せつけて、シャインはさらに挑発を重ねる。
「ふふん、悔しかったら私の生足に触ってみるのですね。できるなら、ですけど?」
「うるさい女ブヒ。ほーれスライムよーい」
 ぱしゃり。
「……ふぇっ!?」
 そりゃそうなるよ、と誰もが思ったことであろう。
 自ら衣服をたくし上げて見せつけるなんて、痴女ばりの挑発を繰り出していたシャインの下半身は、みるみるうちに黒から肌色に変わっていく。
「え……あ……」
 シャインは恐る恐る下を見た。やたらにスースーしているなぁとは思ったが――それは勘違いでなく。もはや絶対領域どころか、シャイン曰く“絶対見せちゃいけない領域”までもが丸見えに。
「い、い、いやあああああっ!?」
 叫び、屈み込むシャイン。その無防備な姿を、オークは当然狙って――。
「……あ、あれ?」
「ちょっ、ムリムリ! 見える、私のも見えちゃうでしょ!?」
 狙ってくることなく、スライムをヴィクトリアンメイドな果菜に放っていた。
「なんで!?」
「いやだってそれじゃ意味ないブヒ……」
「オデらが好きなのは絶妙な隙間だブー」
「だからって……うぅっ……」
 これでは見せ損脱ぎ損だ。ガックリと膝を折ったシャインを何故か慰めるように、オークの何体かが「しょうがないから構ってやるゼ」などと偉そうな台詞を吐いた。
 そして果菜は、じわじわと壁際に追い詰められて。
「私の事は構ってくれなくていいんだけど!?」
「そうはいかないブヒ。ほーれスライムほーれ」
「いやー! この変態ブタ、女の敵!」
 涙目になりながらも何とか逃れようと、少しずつ丈が縮み始めていたスカートを摘んで右へ左へ。
 さらにはナース姿の紫織も、そう広くない店内で転びそうになりながら太腿をちらちらさせつつ、笑顔でオークを引き付ける。
 一方でシシルは不動の姿勢。何本もの触手に太ももを撫でられていても、じっと我慢の子。
「いいブヒねぇ。泣かせたくなるブヒ」
「や、やれるものならやってみなさいよ……!」
 反応は素か演技か。いずれにせよオークの興奮を煽ることに変わりはない。触手の動きはどんどんと早くなり、やがてぶるりと身震いしたオークはぬるぬるべとべとの熱い白濁液をシシルの絶対領域にぶちまけた。
「うわぁ……」
「な……何なのじゃ……何の意味があるというのじゃ……!?」
 たかが布地と布地の狭間、何がそこまで欲望を駆り立てるのか。
 透子とヴィクトリカが、げんなりした様子で囮役に釣られるオーク達を見やる。
 それから彼女らが身体を張っている理由を思い出して、透子は声を上げた。
「皆さん、今のうちに外へ!」
「メイドさん! 走って走って!」
「早く逃げるのじゃ!」
 ロビネッタも割り込みヴォイスで呼び掛けて、ヴィクトリカは入口の扉を押さえたままで言う。
 そのヴィクトリカの立ち居振る舞いで励まされ続けていたメイド達は、意を決して店内を走り抜けた。


「……げ、しまったブヒ!」
 対象外の女子達が何やら騒がしい、というところからようやく事態に気づくオーク達だが、もうどうしようもない。
「かくなるうえはお前とお前とお前と、あと丸出しのお前で勘弁してやるブヒー!」
「ま、丸出しじゃないですまだスカートが!」
「うるさいブヒー!」
 触手がするすると伸びてシャインを絡め取り、がばりと開脚させる。絶対領域が無いのは大変惜しいことだが、結局のところオークの最終目的は女性を攫って陵辱して、孕ませた子を殺すことだから太腿を舐めたり撫でたりだけで済むはずがない。
「み、見え、見え……!」
「大丈夫じゃ何も見えておらん!」
「しっかりガードしてますよ!」
 大急ぎでばら撒かれたヴィクトリカの紙兵とシシルのヒールドローンがシャインを覆った。
 そしてラインハルトが顔を背けつつ、オークの背後に回って拳で一撃。反撃の狼煙を上げると共にシャインを救い出す。
「あ、ありがとうございます! ……許しませんよオークのくせに!」
 悪戯から解放されたシャインは息巻いて、4尺3寸程もある太い両刃の両手剣を深く構えると――また触手に絡め取られる。
「なんでですかぁ!」
「寄って集って、この卑怯者!」
 透子が虹を纏っての飛び蹴りを食らわせて、再度シャインを解放すると同時にオークを引きつけようと動く。
 ひらりひらりと揺れるスカートからはバッチリ絶対領域が覗いていたが――。
「……はぁ、ダメブヒ。あと一年足りないブヒ」
 オークは興奮するどころかため息混じりで嘆いた後、陵辱でなく破壊と殺戮を行うために触手を振り乱す。
「い、嫌だけどやるしかないよね……ええい! 度胸見せてあげる!」
 触手の乱舞に若干腰が引けたものの、果菜は覚悟を決めて低い体勢から敵に組み付く。
 返ってくるのは、硬いのに柔らかくてぬめぬめした肉の感触。
「うぇぇ、臭いし汚いよぉ……泣きそう」
「ぐへへ、おでの胸で泣いていいブヒよ」
「っ、ちょっと、そういうんじゃ無いし!」
「遠慮しなくていいブヒ。お礼は太腿ぺろぺろでいいブヒよー」
 抗議も虚しく、オークは果菜が離れられないように触手で抱き竦める。
 すると美味しい思いをしたい仲間が二匹、近づいて絶対領域をぺろぺろさすさす。
「ううううぅぅぅ! もうやだぁぁ!」
「頑張って! 泣かないで!」
 ロビネッタが励ましつつ、ぴょんと店の中央に飛び込んでいく。
 その最中、絶対領域と対成す“シュヴァルツシルト領域”なるものを形成していた、スカートからはみ出す長さの黒スパッツが丸見えになった。
 が、オークはちらりと見るだけで「やっぱりこっちブヒー」と果菜へのさすさすを止めない。
「もー! そんなに絶対領域が好きなら、自分で履けばいいじゃん! ばかー!」
 果菜のメイド服がすっかり淫売じみた形に変わってしまったからか、ロビネッタは二丁のリボルバー銃で果菜が押さえるオークを含めた三匹に銃弾の嵐を浴びせかけた。
「ヒー!」
 辛うじて生き残ったオーク達が、癒やしを求めてシシルと紫織の元に逃げていく。
 だが恐ろしいほどの笑顔を貼り付けた紫織は、全方位に伸ばした“ご立派な触手”でオーク達を貫き、その命を終わらせてしまうと、倒れたオークの背から触手を引き千切った。

 そしてその触手は、オーク達にさらなる苦痛を与えるため使われた。
「ねえ、触手プレイ『される』のって、どんな気持ち?」
 ウィッチオペレーションの手順で背中を切り開き、その“穴”に一際太いヤツを出し入れしながら紫織は笑い続ける。
 どうやら余程の恨みがあるらしい。拷問という言葉でも足りないほど悍ましい触手プレイは、オークを死に至らしめるに十分。
「あ、ありえないブー」
 いくら絶対領域の持ち主でも、魅力より恐怖が上回る。オーク達は紫織に一切近寄らなくなり、その分をシシルや果菜に注いでみた。
 しかし果菜も、やられるばかりではない。近づく触手を掴み取り、二度と使い物にならないよう潰してしまう。
 シャインも大剣を勢いよく振って、芝でも刈るかのように触手を乱斬り。大事な器官を失ったオークは、激痛と喪失感でバタバタ倒れていく。
「どうしてこうなっタ!」
「変な趣味にこだわってこんなところに出てくるからですよ! ――術式解放! 全てを焼き尽くす、星の光を此処に!」
 ずびしっと指摘したシシルの背からは五対の光翼が広がって、輝きという形をした暴力をオークの群れに叩きつける。
 そこにロビネッタも翼から聖なる光を放てば、女性の尊厳を汚す罪深いオーク達は尽く焼き払われていく。
 そして焼いた後には、ヴィクトリカが氷河期の精霊を解き放ち、敵群を絶対零度の中に閉じ込めて。
「お願い、劫火……! 力を貸して!」
 透子は自らの精神力を元に、蒼炎纏う六尺もの長刀『火焔野太刀 劫火』から強烈な熱気と妖気を放ち、自らの幻影と共にオークを斬り捨てる。
 さらに瀕死の敵を目にしたラインハルトが、オークの膝裏を蹴って転ばせると右手で相手の心臓を貫いた。
 戦況は加速度的に片一方へと傾き、不埒なオークが全滅するまで然程時間はかからなかった。


 戦いが終わると、ケルベロス達は店内の清掃とヒールを行った。
「むむむ……」
 消滅寸前のスライムにぐぐっと近寄って、ロビネッタは思案顔を作る。
「服だけ溶かすってことは、着ぐるみは溶けるけどぬいぐるみは溶けないのかな……?」
 考えれば考える程、奇妙で都合のいいアイテムだ。事件を解決していけば、いずれこんなスライムが作られた理由も分かるのだろうか……と思っている内に、それは跡形もなく消えた。
「災難だったねぇ。でも挫けないで頑張って欲しいな、皆可愛いしね!」
「ありがとうございます……あの、お嬢様もどうかご自愛下さいませ」
 果菜はメイド達を気遣って、逆に心配されていた。
「お礼と言ってはなんですが、もし宜しければお茶でも如何でしょう」
「え、いいんですか?」
 ちょうど甘いものでも食べて一息つきたかった透子が反応すると、メイドは淑やかな笑顔で頷く。ならばと、ラインハルトが厨房で腕を振るおうとしたが、此処で持て成すのはメイドの役目だと止められた。
「ならばお言葉に甘えるとするのじゃ!」
 ヴィクトリカが席について、メニューを広げる。
 それからケルベロス達は、オークを忘れられる程度の接待を受けて、店を後にした。

作者:天枷由良 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年5月30日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 5
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