●滑りの力は我らの為?
鬱蒼と生い茂る森の中。
一人の少女と……多くのオーク達が、正対している。
『さあ、オークさん。これです。これが、私のスライムです!』
と差し出すのは、ぬるぬるっとした……不定形のもの、スライム。
意思を持っているのかどうかも分からないが、目の前の女……螺旋忍軍の一人『スライム忍者・雷霧』が自信を持って渡す、自慢のスライム。
そしてそれを受け取ったオークは、下品に鼻を鳴らしながら。
『グ、グフッ。面白え! コレで女を蹂躙し放題、ナンダロ!?』
明らかに興奮し、雷霧に近づくオーク。
唾と涎が、雷霧の顔に掛り、明らかに嫌そうな表情をする雷霧。
でも、オークはそれだけに留まらず、雷霧の尻に触ってきたり……と、セクハラ三昧。
「……お、お願いですから、私のスライムを一緒に連れて行って、活躍させて下さい!! お願いしますっ!!」
ぺこっ、と頭を下げるなり、脱兎の如くその場から逃げ去っていく雷霧。
『チッ。まぁ、イイダロ。それじゃ、若い娘の一杯イルトコロに行くゾ!』
オークの一人の言葉に周りのオークあは勢い付き、そして……オークが赴くは女川駅にほど近い温泉施設。
女川港を眺める事の出来る眺望が売りの温泉施設に現れると……安らぎを得ていた一般人達を、次々と触手で捕まえ、脱衣所に逃げた女性はスライムで服を溶かしつつ、蹂躙していくのであった。
「ケルベロスの皆、集まってくれたね? それじゃ、ねむから説明するねっ!」
と、笹島・ねむが、集まったケルベロスへ元気な挨拶をすると、早速。
「オーク達が女性を蹂躙、略奪する事件を予知したんだよ。彼らは、魔空回廊から多くの女性が居る場所に現れるんだ」
「今回は、宮城県の女川駅にほど近い、温泉施設に現れたみたいなんだ。ただ、今迄のオークとちょっと違うのは、ただ単純に凌辱するだけじゃなくって……何か服を溶かすスライム、ってのを持って居るらしいんだ」
「温泉に入っている女性が更衣室に逃げたところを、そのスライムで服を溶かして、全裸にした上で蹂躙する、っていう……非道い事をするオーク達を絶対に許しちゃダメだよね!」
「今回のオークはそういった所もあるから、脱衣所と、温泉の両面から姿を現わすみたい。つまり、挟撃してくるって事だね」
「先に女性達を逃せば良い、って思う所もあるんだけど、このオークは襲える女性が居ないと、別の場所に現れて被害を防ぐことが出来ないし……序盤は一般人を守りつつ、女性陣を逃がす退路を作り、逃がした後から本当の戦いが始まる、って事になりそうだね」
「ちなみに、オークの数は20匹。温泉に居合わせている一般人の方も、着替え中の人を含めれば20人位は居るし、ケルベロスのみんなを合わせると50人近くが一緒の場所に居る事になるね」
「女性の方達は、蹂躙されかけてて泣き喚いたりしてるから、そんな彼女達を宥めながら避難させる役割の人と、オークを足止めする人、の大きく二つが必要になるかな?」
「まあ、オーク達は女性を凌辱する事、そして手に入れたスライムを使って服を溶かして、恥ずかしがるのを期待している様だから、女性の皆には申し訳無いけど、身を呈すれば、多少は一般人への被害も防げるかもしれないね」
「ちなみにオーク達は、誰が頭、という事も無く、強さも一緒。全員が触手による拘束と、身を蹂躙しようとしてくるから、20匹を単純に倒すだけなら、そんなに難しく無い筈だよ!」
そして、最後にねむは。
「服を溶かすスライムはどうやら、服を溶かすと消えてしまうみたいだから、持ち帰りも出来ないみたい。だから、オークを倒すことだけに集中してきて欲しいんだ。宜しく頼むねっ!」
と、皆を元気付ける様に、拳を突き上げるのであった。
参加者 | |
---|---|
青葉・幽(ロットアウト・e00321) |
空鳴・無月(宵星の蒼・e04245) |
氷霄・かぐら(地球人の鎧装騎兵・e05716) |
阿倍・晴明(阿倍王子の玄武・e05878) |
アテナ・エウリュアレ(オリュンポスゴルゴン三姉妹・e16308) |
渡会・雪(さすらいびと・e44286) |
シャイン・セレスティア(光の勇者・e44504) |
ルストール・シブル(起動防壁という名の変態・e48021) |
●滑りの力
螺旋忍軍「スライム忍者・雷霧」。
彼女によってもたらされたスライムという力。
「……ったく、一体何なのよ! オークだけでも不愉快だってのに、そこに更に服を溶かすスライムもですって!?」
と、青葉・幽(ロットアウト・e00321)は開口一番、大いなる不快心を口にする。
このスライムの力がまだ、オークではない他の者に行っていれば、ほんの僅かでこそあれマシだったかもしれない。
しかし女性を蹂躙し、私欲を満たす事に躍起なオーク達と、そのスライムがくっついたとあれば……本当に頭が痛い。
「確かにオークにスライムの組み合わせとは……これほど破廉恥なコラボはありませんわね」
とアテナ・エウリュアレ(オリュンポスゴルゴン三姉妹・e16308)が溜息を吐くと、それに氷霄・かぐら(地球人の鎧装騎兵・e05716)と阿倍・晴明(阿倍王子の玄武・e05878)も。
「ほんと、オークは相変わらずね。それに変なものも手に入れてるみたいだし……」
「ええ。服だけを溶かすスライムまで加わってくるとは……で、でも、オークなんかに絶対負けたりしません!」
拳をぐっと握りしめて、気合いを入れる晴明……重力に逆らって、胸がぷるんと揺れる。
……そんな気合いの入れ方とは違うものの、もう一人。
「そうですね。ふふん、オークとスライムなんてRPGの世界では雑魚モンスターの代表格! それが一緒に現れたところで、勇者である私の敵ではありませんわ!」
と、シャイン・セレスティア(光の勇者・e44504)も妙な自信を見せる。
確かにRPGの世界で言えば、オークもスライムも序盤に現れてはレベル上げに繰り返し倒される訳で。
ただ、今回のオークはオークにスライムという……オークがスライムを利用するという点において、ちょっと違う……様な気がする。
ともあれ、オークがスライムの力を手に入れたと有れば、抵抗する力の無い一般人達にとっては、悪夢でしかない。
「怪しげなスライムを得た様子。その汚らわしい企みから女性を守らねば!」
「そうだね……オークの、やることは、許せない……確実に、殲滅しよう……」
渡会・雪(さすらいびと・e44286)と空鳴・無月(宵星の蒼・e04245)の言葉に幽とかぐらも。
「女の敵は悪・即・斬よ。絶対殺す、潰す。ミンチよりもバラバラにしてやるんだから!」
「なかなか幽さんもヒートアップしてるみたいね……勿論、私も同じ気持ちだし。大変な事になる前に、さっさと片付けちゃいましょう」
と、そんなケルベロス達の会話を聞きながら、ルストール・シブル(起動防壁という名の変態・e48021)は。
「それにしても、服だけを溶かすスライムとはのぅ……こういうのを、技術の無駄遣いというのかのぅ?」
肩を竦めるルストールに、アテナが。
「無駄遣い、とは言い得て妙ですね。まぁ、オーク達の単細胞な脳からは想像も付きませんが、服を溶かせば女は逃げられない。だから服を溶かせば万事解決、とかそんな考えなのでしょう」
「ふむ。確かにの。しかし、服だけじゃと、使用出来る状況が限定されすぎると思うのじゃがのぅ……?」
「ええ。そのスライム忍者・雷霧が、この先改良されたスライムを……という可能性もあり得るでしょう。ともあれ今回は服だけ溶かすスライム、と認識した上で確実に仕留めましょう」
「そうじゃな。妾の魅惑のボディでスライムを惹きつけてやるのじゃ!」
エイティーンを使いつつ、胸を突き出す様にするルストール。
……思えば、此処にいるケルベロスは皆、女性な訳で……女性の敵たるオークを倒すため、ケルベロス達は女川駅にほど近い温泉施設へと向かうのであった。
●溶解性を得て
そして……温泉施設に到着したケルベロスは、早速。
「管理人さんに、男湯を封鎖する様に伝えてくるわね。取りあえず、女湯に入る囮の人達は、先に行ってて」
と幽が仲間達を促すと、かぐら、晴明、シャインにルストールの四人は、先に女湯へと向かう。
そして管理人さんを経由して、男湯を封鎖する旨を伝えた上で、男湯の入浴客を早々に返させる。
……勿論、入浴していた男性客からすれば突然の事で、不平不満が出てくるのだが……。
「申し訳ありません……突然ボイラーが壊れてしまいまして……」
と、アテナが頭を下げながら、其の場から避難させる様に誘導。
……一通り、男性陣の避難誘導を終わった後で、幽、無月、アテナ、雪の四人が男湯に侵入。
大浴場へと向かい、壁に耳を当てると……。
「うーん……気持ちいい~。この温泉、すっごく気持ちいいですねー。どんな効能があるんですか?」
と、漏れ聞こえてくるシャインの言葉。
シャインは隣人力を使いつつ、周りの人達に声を掛ける。
その一方でルストールは、豊満な体つきを惜しげも無く披露しながら。
「くぅう~! いい湯でありんすな~!」
と女湯を思う存分満喫している。
……そして、かぐらはプラチナチケットを使用し、温泉施設のアルバイトのふりをして、床の清掃をしながら脱衣所に待機。
また、晴明は、かぐらや、回りの一般人に話をしたりしながら、オークの出現を待ち構える。
……つまり、女湯の温泉側にはシャインとルストール、男湯側には無月とアテナ。
逆に女湯の更衣室にはかぐらと晴明、そして男湯には幽と雪が配置につく。
当然ながら、現時点では、隣り合った男湯と女湯の間には壁があり、互いに見通すことは出来ない。
でも、微かに漏れ聞こえる声は明らかに、隣り合っている事を示している。
そして……オークの現れる時を、静かに待ち構える。
……数分後、当然ながらオークが出てくる事等を想像していない一般女性達の入浴する大浴場へ……魔空回廊が開き、そこから一匹、また一匹……とオーク達が出現。
そして出現するなり、オークは……。
『ヘヘ……イルゾイルゾ!』
『ホラホラ、オマエタチを凌辱シテヤル!』
汚らしい言葉で現れるなり、脱衣所とは逆側の方から現れる。
「きゃーっ!!」
と、女性の悲鳴が響き渡る浴場。
勿論、そんな混乱の中、オークの真っ正面に対峙するはシャインとルストール。
「現れましたね、オークたち! この勇者シャインが相手です!」
ぱっ、とタオルを身につけて、敢然と立ち塞がるシャイン。
そしてその横では真っ裸なルストールも。
「そうでありんす。ほら、妾なら、あちきなら、お前さんの相手をしてやるでありんすよ?」
豊満な胸を震わせながら、挑発するルストール……当然ながらオークは、そんなルストールに触手を伸ばし、胸を揉む。
「あひぃ!? そこは勘弁してくんなまし!」
『ゲヘヘ。ホラホラ、イイ声デナクジャネェカ!』
等と、涎を垂れ流しながら私欲を満たす。
その一方、シャインに対しては。
『サァ、ツカッテミルカ!』
と言いながら、手に入れたスライムを飛ばす。
「っ……きゃぁ!」
と、取り憑いてきたスライムに悲鳴を上げると、バスタオルをシュウシュウと溶かす。
だが、溶かした下には、水着。
「ふふん。スライムでバスタオルを溶かしたとしても無駄ですよ! こうして下には水着を着ていたんですからね!」
と自信満々なシャインの言葉。
だが、オークはニヤリと笑いながら、更にスライムを追加。
「ふえっ!? あ、あっ!?」
スライムが、更に肌を包む水着をも溶かして行くと……当然、肌は露わに。
「きゃ、きゃああっ!!」
と悲鳴を上げるシャインに、下衆に笑うオーク達。
『白イ肌、ソレガ色付クノガイイ!』
何だか良く分からない欲望を叫ぶオーク……それを脱衣所から見ていたかぐら。
「あ、やっぱり……」
とぽつり呟きつつも、ドアをガタンと開けて。
「皆さん、こっちです。こっちから逃げて下さい!」
と避難誘導を指示すると……その瞬間に、もう一方の、更衣室の入口側の方からオークが出現。
退路も塞がれた女性陣は泣き喚き、其の場に崩れ墜ちる。
が……その瞬間。
温泉と、更衣室それぞれの壁がドーン、と破壊。
そして破壊された所には、男湯で待ち構えていたケルベロス。
「皆さんを助けに来ました! さぁ、私達の後ろへ!」
「安心して。アタシたちはケルベロスよ。味方が敵の足止めをするから、今の内に避難して」
「こっちから、逃げて……大丈夫、男は、いない……」
と、女性陣に声を掛けつつ、男湯側の方へと避難させる。
勿論、オークは逃がさん、と言う具合に触手を次々と放ち、拘束しようとする。
「だめです、させませんよ!」
と、晴明が立ち塞がるのだが、勿論それも触手拘束しようと……。
「っ……こ、この程度……からださえ動いていれば、勝機は……!」
と凌辱に耐える。
そして男湯に逃げた人達には、バスタオルや浴衣などを置いておき、それに着替えて待つ様に指示。
対するオークには……最早容赦する事無く。
「……ここで……絶対に、倒す……」
と無月が言うと共に、同じクラッシャーに立つ雪が頷き。
「ええ……ここで必ずや倒しましょう」
と頷き合い、無月のゼログラビトンに併せて、雪が美貌の呪いで攻撃。
クラッシャー効果を併せ持った一撃は、大ダメージをたたき出す……そしてシャインも水着を灼くスライムに。
「さ、させませんっ……っ!」
甘美な疼きに耐えつつも、渾身の溜め斬りで一閃。
と、クラッシャー3人の集中攻撃を受けて、早々に一匹が倒れる。
『ナンダト!?』
と驚きの表情を浮かべるオークに対し、更にアテナが。
「皆様の癒しとなるべく、聖騎士アテナ参ります!」
と、正々堂々と言葉を発しつつ『勇士の極光』で仲間達を強化。
そして、幽がフレイムグリードで攻め、かぐらもロックオンレーザーで撃ち抜く。
攻撃を受けたオークは苦しむが、負けてられるか、とばかりに触手を更に震わせる。
……そんなオークの触手を、身を呈するは晴明、ルストール。
「お主らの攻撃は、みな受け止めんすよ!」
「触手!? この程度で……あっ、や、執拗に……ひいっ! そんなに揉まないで!」
と顔を赤らめる晴明に対し、ルストールは妖艶で、楽しんで居る様にも見える。
「くふふ。還暦を迎えたババァの抱き心地は如何でありんしたかぇ?」
寧ろ……更なる挑発を加えるルストール。
何度も何度も挑発され、オーク共は……当然、私欲を満たそうと、それぞれが触手を伸ばして凌辱。仲間が死のうと、全くもって関係無く。
そんなオークの凌辱を。
「だから……いや、やめっ、そこはだめ……ひぎぃっ!」
「っ!! ……で、でも負けませんっ!! ぜ、絶対にっ!!」
と、主に晴明、シャインの二人は恥辱に耐え、一方楽しんで居るのはルストール。
……むしろルストールは、攻撃が外れると。
「何故外したんでありんすか! しっかりと狙うでありんすよ!!」
と、逆に怒る。
……ともあれ、オーク一体一体に集中攻撃し、確実に仕留め、喰らったバッドステータスはアテナがウィッチオペレーションでの回復。
そして……一匹、また一匹……と確実に仕留め、残るは後一体。
「……さぁ、そろそろ終わり……」
と無月は短く紡ぎ。
「……行こう。華空……わたし達の力、刻んで果てて……!」
と『華空』の一撃を叩き込むと、それに併せて雪が血装刺突法。
その攻撃に、体勢を崩した所にシャインが。
「はぁ、はぁ……い、いきます。我が最強の必殺技を受けてください!光の勇者の力よ、我が剣に宿り敵を討ち滅ぼせ!」
と、恥辱を力に、『勇者斬』の一閃を叩き込むと……最後のオークは、絶叫とともに崩れ墜ちた。
●哀しみと共に
「……ふぅ……」
静かに息を吐き、武器を降ろすアテナ。
多くのスライムオークを倒したケルベロス達だが、当然のごとく、服はベトベト、そして……ボロボロ。
「うう……結局またこんなオチですか……しくしく……」
と、かなりはだけてしまっている晴明に、幽も、改めて自分の惨状を一瞥し。
「うっげぇ……ああ、気持ち悪かった……ったく、万が一にも利がないオークね」
と吐き捨てながら、ヒールグラビティを使い、周りの荒れてしまった場所、壊れてしまった施設を修復。
一方では、避難した女性陣の元へと向かい、女性陣にもう終わったことを告げながらも……号泣している人とかへの、心のフォロー。
……そうして、修理とケアが一通り終わる頃には、もう空が、夕焼けにそまる。
「さて、と……後かたづけも終わりましたし、温泉で一休みしてから行きましょうか……」
「うむ、そうじゃな! もう一風呂してくるのじゃ!!」
雪の言葉にぱぱっ、とエイティーンを解除しながら、ルストールが温泉へと走っていく。
そして他のケルベロス達も……身を汚したスライムの滑りを洗い流す様に、体を洗う。
……そして、体を洗い終わった後……。
「……あっ、ヤバッ!?」
と、突然声を上げる幽。
「……ん、どうしたの……?」
と、無月が小首を傾げると、幽は。
「……着替え、忘れた……」
そう言いつつ、携帯電話を取り出す。
「お、お姉ちゃん、助けて。着替え、持ってきて……」
いつもは気丈な幽だが、その声は頼りなく、その目には涙も滲む。
……と、そんなトラブルはありにせよ、無事にスライムとオークを倒したケルベロス達は……その場を後にするのであった。
作者:幾夜緋琉 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2018年5月31日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 6
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