殺戮の原風景

作者:崎田航輝

 一面は深い翠色だった。
 地面は葉の絨毯で覆われ、見上げれば遥かな高さを誇る木々が枝を広げる。
 陽光を遮る葉の天井は、微かな木漏れ日の光線だけを落とし、濃い緑の闇を照らしていた。
 五月は緑が深く、鮮やかになる。
 森の女王ともよばれる樗は、一年であらゆる表情を見せる木だ。この季節では、春の芽吹きと夏の眩しさの間に挟まれた、静謐の自然風景を創り出していた。
 ここは高原の山中。清流沿いの道が近くに延びているため、明媚な森として知るものも多い場所だ。
 この日も涼やかな空気を求め、訪れている人の数も少なくない。緑の空気を吸い、自然に身を委ね、それぞれに非日常の時間を感じ取っていた。
 だが、そんなとき。
 足音を鳴らし、山中へと歩んできた1体の巨影がいた。
「おぉ、いたいた。ちょっと数は少なぇが、まあいい。とりあえず全員、餌になれよ」
 それは、鋭い笑みで剣を掲げる大男。鎧兜のデウスエクス、エインヘリアルであった。
 人々は悲鳴を上げ、混乱のうちに逃げ惑う。そんな中、エインヘリアルはひとり楽しげに殺戮を続けていった。
 緑の世界に赤が舞う。深緑の風に、血潮が乗って消えていった。

「集まっていただいて、ありがとうございます」
 イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)は、ケルベロス達に説明を始めていた。
「本日は、エインヘリアルの出現が予知されたことを伝えさせていただきますね」
 アスガルドで重罪を犯した犯罪者が、コギトエルゴスム化の刑罰から解き放たれ、地球に送り込まれている。以前から続くこの事件の新たな一件だとイマジネイターは語った。
 自由を得たエインヘリアルは、山に現れて虐殺を開始する。
 放置しておけば、多数の死者が出てしまうことだろう。
「皆さんには、このエインヘリアルの撃破をお願いします」

 作戦詳細を、とイマジネイターは続ける。
「敵は、エインヘリアル1体。出現場所は山中です」
 高原にある一角で、美しい森林がある一帯だ。当日も、訪れている人々がそれなりの数いるということだ。
 万全を期すために、これらの人々を事前に避難させておくといいと言った。
「今回は、敵の出現まである程度時間的猶予がある状態です。焦らず避難活動をしていただければ、その場の人を逃がすことは出来るでしょう」
 避難が済んだら、後は敵を待って迎え撃ってくださいと言った。
「では敵の戦闘力について説明を」
 エインヘリアルは、剣を一振り装備している。能力としてはゾディアックソードと同等のものだろう。遠近に渡ってその特性を生かしてくるはずだ。
 各能力に気をつけてください、と言った。
「綺麗な風景と、人々を守るために……是非、撃破を成功させてきてくださいね」
 イマジネイターはそう言って頭を下げた。


参加者
鳥羽・雅貴(ノラ・e01795)
羽鳥・紺(まだ見ぬ世界にあこがれて・e19339)
ウェイン・デッカード(鋼鉄殲機・e22756)
アビス・ゼリュティオ(輝盾の氷壁・e24467)
シトラス・エイルノート(碧空の裁定者・e25869)
和道院・柳帥(流浪の絵師・e44186)
終夜・帷(忍天狗・e46162)
夢月・焔華(焔の様に高く・e50952)

■リプレイ

●深緑
 高原の森林へとやってきたケルベロス達。
 涼やかな風に吹かれながら、人々は木々を眺めて時間を過ごしている。
 そんな中、羽鳥・紺(まだ見ぬ世界にあこがれて・e19339)は早々に避難を呼びかけ始めていた。
「私たちはケルベロスです。今からデウスエクスが出現しますので、こちらの指示した方へ逃げてください」
 響く声に、人々はざわめきつつも移動を始めていく。
 アビス・ゼリュティオ(輝盾の氷壁・e24467)も、人波を戦地から遠ざけるように誘導していた。
「……あんまりこういうの得意じゃないんだけどね。ほら、さっさと逃げて。邪魔だよ」
「時間はまだあるし、護衛に番犬もついてるから、慌てず避難を頼むな――すぐに元の空気を取り戻すんで、心配せず待っててくりゃ幸いだ」
 と、鳥羽・雅貴(ノラ・e01795)もざっくばらんな口調で人々を落ち着かせてゆく。そのうちに段々と、一帯から人が減り始めていた。
 老人や怪我人などがいれば、ウェイン・デッカード(鋼鉄殲機・e22756)が怪力無双を発揮して遠くまで運び出している。
 助けられた者達は口々にありがとう、と礼を言う。ウェインは素直に「どういたしまして」と応えつつも、あくまでも淡々と。顔も無表情に、すぐ次の作業へと向かっていた。
「他にも手助けが要りそうな人は、言ってね」
「私も、助力しますから。森の奥の方にだけは行かないでくださいね……!」
 と、夢月・焔華(焔の様に高く・e50952)も人々を手助けしつつ。呼びかけて回りながら、残る人々を逃していっていた。
 人々が逃げてゆく清流沿いの道では、和道院・柳帥(流浪の絵師・e44186)が声掛けを行っている。
「そのまま道に沿って退避してくれるか。迷ったりせんようにな」
 読経で鍛えた声量を披露するように、言葉は高らかに。逃げる全ての人々に届いていた。
 道の先の方まで避難状況を確認するのは、シトラス・エイルノート(碧空の裁定者・e25869)。逃げ終わった段階で皆の元へと合流してきた。
「道を逸れたり、逃げ遅れたりした人はいませんでしたよ。避難は問題ないでしょう」
「……此方も、無人を確認した」
 と、森の奥側から歩んでくるのは終夜・帷(忍天狗・e46162)。そちらも一通り見て回り、一帯の避難が完全に完了したことを確かめていた。
 雅貴や紺が殺界を形成し、人が逆流する心配もない。皆は静かな森の中、それぞれの位置について待ち伏せの態勢をとることにした。
 雅貴はその間、やってくるであろう敵を思いつつ、ふと呟く。
「しかし、ホント所構わず好き勝手してくれるもんだよな。奴ら、どんだけ罪人抱えてんだか……」
「高原の緑に癒しを求めて訪れる方も多かったでしょうに、そんな場所にまで血と悲鳴を求めてやってくる──本当に許せませんね」
 紺が声を継ぐと、皆も頷く。だからこそ一層負けられない、というように、皆は警戒心を高めて敵影を待ち受けていた。
 と、帷がそこで森の奥を見据える。
「……来た」
 皆も視線を向けた、その先。草を踏みつけて歩む巨躯がいた。
 剣を携えたエインヘリアル。獲物がないかと、目を左右に向けていた。
 雅貴は皆と見合うと、いの一番に日本刀を抜き放つ。
「さて──物騒且つ無粋な邪魔者は、さっさと排しちまおうか」
 そして言葉と同時。木陰から飛び出すと、低い姿勢で疾駆して不意打ち。雷撃を伴った刺突をエインヘリアルの脚部に叩き込んでいた。
 突然の衝撃に、巨躯はたたらを踏みつつ睨み返してくる。
「……何だてめぇ? 随分と、ご挨拶だな」
「このような清らかな場所で暴れようとしていた無粋者には、当然の仕打ちでしょう」
 と、まっすぐに見返したのは、シトラス。
 巨躯を見上げ、怯みも見せずに続けていた。
「いえ、エインヘリアルの中でも一際クズなようですし、無粋という言葉じゃ足りませんかね」
「……言ってくれるじゃねぇか」
 巨躯はにわかに怒りを浮かべ、剣を握り締める。
「まとめて死体になりてぇか?」
「その態度では、無粋な来客であると自身で証明するようなものだぞ」
 柳帥は言ってみせると、“霊符”を手にとっていた。
 エインヘリアルは剣を突きつける。
「だったらどうだってんだ?」
「……これもまた御仏の導き。十王の裁きに送ってやろう」
 瞬間、柳帥は符に式を書き込むと、氷結の槍騎兵を召喚。巨躯へ斬撃を叩き込ませていく。
 連続して、紺は大斧で脳天から斬打を、ウェインは体に纏うオーラ“Gemini”を拳に収束し、正拳突きを打ち込んでいった。
 敵が後退した隙に、アビスは「寂寞の調べ」を歌い上げ、後衛に破邪の力を宿す。さらに、焔華は蒼白く輝くエクトプラズムを顕現させていた。
「皆さんに、加護があります様に……」
 解放されたそれは、光りながら仲間の体に溶け込み、耐性を飛躍的に高めていく。
 エインヘリアルも反撃しようとした。が、帷はそれに先んじて『影縫』。巨躯の影に手裏剣を突き立て、その動きを縛っている。
 シトラスはそこへ『神の裁きたる破壊の鉄槌』。空から巨大な鉄槌を召喚して一撃、剛烈な殴打を加えて、巨躯に膝をつかせていた。

●剣戟
 エインヘリアルはよろめきつつも、すぐに立ち上がっていた。
「その強さ……納得がいったぜ。ケルベロスだな」
 得心して頷くと、表情はむしろ楽しげに。舌なめずりしながら剣を構え直している。
「面白ぇ。普通の人間なんかより、狩りがいがあるかもな」
「狩り、ね」
 と、ウェインは動じる様子もなく顔を上げていた。
「タダで食べられるつもりもないし……食べさせてあげる気も、ないよ」
「ええ。わざわざ山の中まで来ることにはお疲れ様としか言えませんが──人々に危害を加えるならば、許せないですよ」
 焔華も声を継ぐと、アビスも退屈そうに頷く。
「こっちは余分に疲れる気はないから。サクッと片付けて帰ろうか」
「……舐めてくれるじゃねぇか」
 エインヘリアルは剣を掲げて走り込んでくる。
「その言葉、後悔しろよ。全員餌にしてやる!」
「……餌はどっちだろうね。一度、狩られる側の気持ちも知るといい」
 と、ウェインはそこへエグゼキューターで射撃。巨体の複数箇所に、狙いとなる青白い十字を浮かび上がらせていた。
「尤も、一度目が最後だろうけど。さあ――懺悔の時間だ」
 瞬間、ウェインは超過駆動で一気に間合いを詰める。
 その能力は『射手の毒刑・連弾』。十字を追尾するように跳躍すると、凄まじい威力の蹴りを連打。衝撃の応酬で巨体を後退させていた。
 紺もそこへ、大槌を構えてグラビティを注入。爆発的な弾速で砲弾を撃ち出し、エインヘリアルの脚を穿って動きを止めていく。
「皆さん、今のうちです」
「ああ、活かさせてもらうぜ。存分にな」
 と、雅貴は一瞬だけ目を閉じ、そっと詠唱をしていた。
 刹那、巨躯の影から鋭刃が出現。回避を望む間もないまま、首元から鮮血を散らせていく。
 その力は『閃影』。影の刃は体内をも蝕み、巨体を麻痺に陥らせていった。
 動きを鈍らせながらも、エインヘリアルは斬撃を返してくる。が、そこには柳帥が滑り込み、“チャクラ”を集中させて腕で刃を受け止めていた。
「中々強力。だが、まだ倒れんぞ」
「今治療をします……! 私たちの命を繋ぐ大自然の護りで……どうか頑張って下さい!」
 直後には、焔華が大地から魔力を引き出して柳帥を回復。
 さらにアビスは、ボクスドラゴンのコキュートスとともに癒やしの氷気を発現。柳帥に与えることで体力を万全にしていた。
「反撃は任せるよ」
「では、一筆とらせてもらうとするか」
 アビスに応えた柳帥は、“画竜点睛”の銘を持つ筆を奔らせ、水墨の木々を描画。その間を飛翔する鳥獣の御業を顕現させ、巨躯を縛りつけていく。
「さあ、叩いてやれ」
「勿論。手加減する理由もありませんから。全力でいきますよ」
 声を返して飛翔するのはシトラスだ。
 高空で碧の光へと変貌しながら、想起するのは嘗てエインヘリアルに捕まっていた過去。それを思えばこそ、シトラスに慈悲はなく。冷酷な敵意があるばかりだった。
「大きなゴミは今すぐにでも塵と化してさしあげましょう」
 瞬間、光の槍となったように、豪速で突撃。巨躯の腹に風穴を開けていく。
 呻きながら後退するエインヘリアルに、帷も素早く疾駆していた。
 エインヘリアルは傷を押さえつつも、がむしゃらに剣を振るう。
 が、帷は微かに体をずらしてそれを回避。地を蹴って敵の背後へ跳ぶと、そのまま背中に一撃。氷結の螺旋を叩き込み、巨体を吹っ飛ばしていった。

●闘争
「ちっ……容赦のねぇことだな……」
 エインヘリアルは、血溜まりを踏みつけるように立ち上がる。その表情には、段々と苦悶の色が現れてきていた。
「たかだか森一つに、人間が少し。別に放っておいたって大差なさそうなもんだがな……」
「アンタにとってはな。オレ達は、違う」
 雅貴は鋭い目を向ける。
 エルフだからこそ、雅貴にも自然深い地を好む心がある。なれば、それを蹂躙する者を看過できるはずもなかった。
「静謐な緑の世界に、余計な喧騒や色散らす真似は認めねーよ」
「ええ。身勝手な欲望のために、悲しみや痛みを産み出すわけにはいきませんから」
 応えるように、紺も毅然と言ってみせた。
「私たちの手で、緑の美しさと人々の平和を守って見せます」
「その通り。此処は森の女王の御前――大人しく地に伏せな」
 瞬間、雅貴は踏み込んで、木漏れ日を反射させる流麗な斬撃。巨躯の足元を切り裂き、体勢を崩させる。
 エインヘリアルはよろめきつつも剣を握り直す、が、ウェインはそれよりも早く横合いから拳を打っていた。
「木々が多くて振りにくいんじゃない? その剣」
「……人を斬るには充分さ……ッ!」
 巨躯はあくまで反抗し、刃を振るう。が、その一撃を、帷の刀が正面から受け止めていた。
 敵と鍔迫り合う帷は、変わらず静かな表情。だが、確固として敵の刃を通さない。そこには人を傷つけることも、自然を踏みにじることも許さぬまっすぐな心が介在していた。
 刹那、帷は敵の剣を払いつつ、影縫で動作を止める。
 そこへシトラスは、再び破壊の鉄槌を召喚。重い衝撃で巨躯を殴り下ろしていた。
「……まだ倒れませんか。何時死んでも結構ですよ」
「うるせぇッ……死ぬのは、人間共だッ!」
 巨躯は唸りながら、氷波で反撃する。が、直後には柳帥がチャクラを錬成。傷の大きい攻撃役を即座に治癒していた。
「そっちも、回復に回れるかい」
「勿論です。癒しの風よ、皆さんを助けてあげて下さい!」
 次いで、焔華は清浄な風を顕現。葉を揺らしながら皆を癒やし、氷も融解させていく。
 さらにアビスも紙兵をばら撒き、防護を固めながら皆を回復しきっていた。
「威勢だけで大したことないね。もうちょっと頑張ったら?」
 アビスの辛辣な声に、エインヘリアルは激昂して連撃を狙ってくる。
 が、紺がそこへ手を伸ばし、『血染めの戦記』を行使していた。
「敵に刃を向ける前に、向き合うべきものがありますよ」
 同時、エインヘリアルを取り巻いたのは、戦いに散った者の怨嗟。
 悍ましい幻覚は、巨躯の正気を奪うように潜り込み、蝕んでいく。苦痛は実体を伴った傷を生み、全身に裂傷を刻ませていった。

●決着
 地に手をついたエインヘリアルは、暫し幻影に苦悶していた。
 それでも、剣の力で少しでも自己回復しようとする。
 が、紺はそれを放置するはずもなく。再び攻撃に移り、オーラを込めた打突で防護を砕いていった。
「このまま、削っていきましょうか」
「了解。長引いても退屈だ」
 応えるウェインは、再度エグゼキューターで狙いを定め、超過駆動。正面、横合い、頭上から神速の蹴りを叩き込み、巨躯を追い込んでいく。
 苦しげな声を漏らすエインヘリアルは、それでも殺意だけを頼りに剣を振り回してきた。
 が、雅貴はそれを刀で縦横にいなしてみせる。
「諦めの悪さだけは認めるケド──こっちも譲れねーもんがある。簡単に、やられるかよ」
 刹那、返す刀で懐に切り込み、連続斬撃。巨体の体力を一気に奪っていった。
「あと少し。次、頼めるか」
「……ああ」
 短く返したのは帷。氷結の螺旋を死角から直撃させ、エインヘリアルの半身を凍結させた。
 呻きながらも、巨躯は残る力を振り絞って剣を振り下ろす。が、標的となったアビスは眼前に氷気を集中させ、その威力を軽減させていた。
 直後には柳帥が筆を振るい、『快癒の白』を行使。白の染料で傷を染めることで、瞬間的にダメージを回復させている。
「これで心配はないだろう」
「ええ、最後まで、体力は保たせます」
 声を継ぐ焔華もまた、大自然から治癒の力を抽出し、アビスに注いで治癒しきってみせた。
 その間、シトラスは体を煌々と輝く粒子に変遷させている。
「そろそろ、終わりにしましょうか」
 刹那、眩い塊となって巨躯に飛来し、その胸部を貫いていった。
 倒れ込み、朦朧としながらも這いつくばるエインヘリアルを、アビスは見下ろす。
「……しつこいね。いい加減、消えなよ」
 そのまま手を伸ばすと、地面から氷の鎖を生み出していた。
 それは『氷縛結界・鎖牢封印』。雁字搦めにされたエインヘリアルは、冥府の冷気に耐えることも叶わず、氷結。霧散するように砕けて消えていった。

「終わりましたね」
 戦闘後、紺の言葉に皆は頷いていた。
 敵の亡骸は残っていない。それでも、エインヘリアルが散った場所を柳帥は見据える。
「あんな奴でも……いや、あんな奴だからこそ、か。道に迷わぬよう、十王の裁きを受けて真面な道に戻れるよう──供養してやらんとな」
 それから柳帥は暫し、消え去った巨躯へと般若心経を上げていた。
 それも終わると、帷は木々を見回す。
「後は、周囲の修復を」
 皆はそれぞれに頷き、自然の中へ。木や地面が傷ついていると見れば、出来る限りヒールして、その姿を保っていった。
 シトラスは息をついて視線を巡らせる。
「邪魔もいなくなって、明媚な森が帰ってきたという感じですね」
「一般の皆さんにも戻ってきてもらいましょうか」
 焔華が言うと、皆で安全を報告。人々を呼び、再び皆で自然を眺める空間を取り戻していた。
 ウェインは最後に見回す。
「これで、仕事は完了かな」
「じゃあ、解散しようか」
 アビスが言うのを機に、皆はそれぞれに歩を踏み出す。
 人々とともに、雅貴は暫し木々を見上げていた。
「良い空気だ――。一休みしてくかな」
 そうして、高原と森の爽やかな風を感じていく。
 帷もまた、折角の美しい自然を楽しもうと、緑の世界を散策した。
 木々の中に吹く風は、ひんやりとして心地いい。
 季節が移るに従って、これからますます自然は元気づいてゆくだろう。穏やかに香る新緑の匂いは、一足先にそれを感じさせてくれるようだった。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年5月23日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
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