●部活もゲームも買い物も……
何気ない日常を過ごす中、とあるきっかけからデウスエクスによって日常を狂わせる人々。
その手は今、全国の高校に及ぶ。
静岡県某所の高校。
放課後になり、高校生達は部活へと向かったり、ソシャゲに夢中になったり、ショッピングに向かったりと、それぞれのときを過ごす。
そんなクラスメイトの姿に、深沢・康臣は鼻を鳴らして立ち上がる。
「やれやれ、部活だのゲームだの買い物だの、実にくだらない」
クラスメイト達の声が煩わしく感じたらしく、康臣はそのまま荷物を纏めて図書室に向かって移動していく。
「勉学こそ至高。それ以外は不必要だろう」
コミュニケーションを伴う行いよりも一人で物事は行う方がいいだの、お金を出してまでゲームをするのは馬鹿らしいだのと、半ば愚痴にも思える言葉を呟きつつ彼は別館の図書館に向かう。
そんな彼の背後に突然、1人の少女が現れる。
「あなたの向上心は、とても良いと思いますよぉ」
別の高校の制服らしきものを着用したその少女は、ダルマを手にしていた。
ダルマの片目は黒く、もう片方は白く……はなく、顔半分がモザイクに包まれている。
その正体はデウスエクス。学園ドリームイーターと呼ばれる1人、サクセスだ。
しかしながら、それを知らぬ康臣は振り返り、彼女の話に耳を傾ける。
「ほう、僕の気持ちを分かってくれるか」
「えぇ。自分勝手で、とても良い夢ですぅ」
微笑むサクセスが絶賛した言葉に、康臣は首を傾げるが。
サクセスはどこからか取り出したカギを、彼の胸部へと突き刺して。
「あなたの向上心で、ダメな人達なんて、やっつけてやってくださいねぇ」
「う……」
カギを引き抜くと、康臣は意識を失って前のめりに倒れる。
しかし、倒れた康臣のそばに彼と同じ姿をした新たなドリームイーターが誕生していて。
そいつはサクセスに対し小さく頷き、この場から歩き去って行くのだった。
新たなドリームイーターの活動が確認されている。
なんでも、日本各地の高校にドリームイーターが出現し始めているという。
「ドリームイーター達は高校生が持つ強い夢を奪って、強力なドリームイーターを生み出そうとしているようだね」
リーゼリット・クローナ(ほんわかヘリオライダー・en0039)は、この事件に関心を持ってヘリポートにやってきたケルベロス達へと説明を行う。
今回狙われたのは、静岡県在住の男子高校生、深沢・康臣。やや歪んだ強い向上心……意識高い系の少年である。
「被害者から産み出されたドリームイーターは、強力な力を持っているよ」
だが、この夢の源泉である『意識高い系の向上心』を弱めるような説得ができれば、弱体化させる事が可能だ。
突っ込みどころの多い主張なので、正面から論破してやれば、弱体化させるのは難しくないだろう。
「うまく相手を弱体化させる事ができれば、戦闘を有利に進められるはずだよ」
現れるドリームイーターは、1体。
被害者となる男子高校生、深沢・康臣とほぼ同じ姿をしているが、その力はデウスエクスと同様であり油断はならない。
「予知では、この夢喰いは部活の為に体育館へと向かう生徒数人を狙って襲撃してくるようだね」
スナイパーとして立ち回る敵は、『見下した相手を絶対殺す』為のグラビティを使用する。
多くはモザイクを伴ったセリフで相手の精神を追い詰め、死に至らしめてしまう。
また、この夢喰いは一般人よりもケルベロスを優先して狙うので、襲撃される生徒の救出は難しくはない。
夢喰いの襲撃からそのまま相手の説得、撃破に当たる形でよいだろう。
リーゼリットは最後に、相手の説得が重要なポイントだと告げる。
「夢喰いを弱体化できれば、被害者の偏った向上心も弱まるはずだよ」
それは、本人を戒めることにも繋がる。ただ、相手を貶めることのないよう、説得の仕方は考えたいところだ。
「それでは行こうか。被害者の救出、よろしく頼んだよ」
そうして、説明を終えた彼女はヘリオンへと乗り込んでいくのだった。
参加者 | |
---|---|
ティアン・バ(死のかたち・e00040) |
ペテス・アイティオ(ぺてぺて・e01194) |
難駄芭・ナナコ(爛熟バナナマイスター・e02032) |
ティーシャ・マグノリア(殲滅の末妹・e05827) |
ナクラ・ベリスペレンニス(オラトリオのミュージックファイター・e21714) |
レピーダ・アタラクニフタ(窮鼠舌を噛む・e24744) |
上里・藤(黎明の光を探せ・e27726) |
イ・ド(リヴォルター・e33381) |
●夢喰いと勉学
静岡県の某高校。
日が傾きかけてきた頃、この地に降り立ったケルベロス達は校門を潜り、現場を目指す。
(「定命の心は未だ介しきれない」)
赤い機体のレプリカント、イ・ド(リヴォルター・e33381)にとってまだ地球人の心は理解できない部分も多い。
「だが、見下す、という一時の優越感のために割く感情がいかに無駄で、非合理的か。……その程度は理解できる」
前を進む以上、下を向いている暇などない。イはそう考えている。
「命に貴賤はありませんけど、それでも若い子の多感な気持ちを狙い撃ちなんて許せないです!」
ふわぽなな雰囲気を発するペテス・アイティオ(ぺてぺて・e01194)だが、首謀となるドリームイーターに敵意を向ける。
とはいえ、今は現われるドリームイーターの対処が先だ。
「キュッキュリーン☆」
自称ヴァルキュリ星人のレピーダ・アタラクニフタ(窮鼠舌を噛む・e24744)はジャージ姿に傘を構え、周囲の高校生達に自らの存在をアピールする。
「勉学もまた研鑽! されど、手段と目的を取り違えてはいけません!」
これから現れるドリームイーターへと告げるようにレピーダは持論を語りつつ、光の翼を羽ばたかせてポージングを行う。
「うへぇ……、勉強とか苦手なんだけどなァ」
バナナをかじって歩いていた、難駄芭・ナナコ(爛熟バナナマイスター・e02032)は眉を顰める。
そこで、叫び声が聞こえてきたことで彼女はバナナを全て口の中へと放り込んで。
「だが、勉学以外で学べるって事を教えてやんよォ!」
仲間と共に、ナナコは体育館そばまで駆けていくのである。
●勉学の先に何がある?
部活へと向かう学生達が通りがかる体育館。
そこに、一人の学生がやってくる。
「勉学に励まぬ愚か者は、僕が成敗してやろう!」
モザイクを舞わせた高校生、深沢・康臣。……いや、彼の向上心より生み出されたドリームイーターだ。
ただ事ではない空気を感じ、この場の学生達は慌てて逃げ出す。
その人の流れに逆らうようにして、ケルベロス達がやってくる。
「若者の多感な心を狙う、卑怯なドリームイーターさん!」
太陽をバックに、空を飛ぶペテスが夢喰いへと指を突きつける。
「あなたの悪事、たとえ太陽が見逃そうともこのペテスが……きゃあっ!」
そこで、突然吹いてきた突風で彼女はバランスを崩し、頭から落下してしまう。
「何だ、あれは……」
「これこそ、合理的な一撃……!」
それに気を取られている夢喰いへ、イが自身独自のグラビティを展開していく。
「…………!」
己の頭に装備した刃にグラビティを込めてイは強襲していくが、夢喰いは大きな鍵でそれを受け止める。
さすがに、奇襲では苦しいか。しかし、相手の気を引くのは十分。
この場から逃げる生徒を巻き込まぬよう、イは彼らを背にしつつ相手と対する。
すでに、仲間達は学生達に対して、避難の呼びかけを始めていた。
帽子を被ったバクのウェアライダー、上里・藤(黎明の光を探せ・e27726)がケルベロスコートを着用して自らの素性をさらしつつ避難を促す。
そばでは、ティアン・バ(死のかたち・e00040)も割り込みヴォイスを使いつつ、学生達にこの場から離れるよう声がけをしていた。
そして、ペテス、レピーダ。相手を捕捉するメンバー達は夢喰いを包囲する形で相手の弱体化を目指して説得を始める。
「勉学だけでは人生はつまらないぞ。いろんなことに挑戦してみたらどうかな?」
全身白で統一された衣装のティーシャ・マグノリア(殲滅の末妹・e05827)が最初に夢喰いへと問いかける。
「そういった挑戦をしていくうちに、勉学で得たものが生かされるんだよ」
クールな態度のティーシャの意見を、夢喰いは毅然として否定する。
「そんな挑戦、僕には時間の無駄に思えるがね」
「なぁ、何でそんなに頑張るんだよ? 勉強が好きなのか?」
スタンスを崩さぬ相手に、日焼けした肌をしたオラトリオ、ナクラ・ベリスペレンニス(オラトリオのミュージックファイター・e21714)が問う。
「だったら、部活やソシャゲが好きな奴と一緒じゃないか? 違う?」
「勉学をくだらないものと一緒にするな!」
「そっかなぁ、好きにくだるもくだらないもないだろ」
声を荒げてナクラの言葉を否定する夢喰いに、ティアンも続けて尋ねる。
「……勉学をかさねて、それで、どうなりたいんだ」
――勉学は何かを成すための力になってくれはするが、おまえ自身は何の為に勉学を修めるんだ?
ティアンは魔術書を読むくらいしか、勉強らしい勉強をしてはいない。
(「強くなりたかった。だいすきな皆の役に立てるようになりたかった。並んで戦えるようになりたかった」)
残念ながら、その願いは間に合わなかったが、それでもティアンが再び夢見始めていたのは、出会った人達のおかげ。
周りに恵まれていたと、彼女はそう実感している。
「誰かにほめられるため? 自分以外を見下すため? 自分自身を認めるため?」
「そんなもの、自分の将来の為に決まっているだろう?」
ティアンの問いに対する夢喰いの反応に、なるほどとペテスは呟く。
確かに、夢喰い……康臣は頑張って勉強し、好成績を収めているのだろう。
「けど、あなたのしている勉強は楽しいですか?」
「うっ……」
ペテスの指摘に、夢喰いの表情が歪む。
楽しくて好きでしているのならば、皆応援するだろう。
しかし、もし康臣が誰かに言われるまま勉強し、その辛さをごまかす為に他人を見下すような生き方をしていたのなら。
「絶対にいつか後悔しますよ」
「辛いことは勉学に付きものだろう!?」
反論する夢喰いに、ナクラは問いかける。
「我慢して、嫌々やってるのか?」
ただ、人間は我慢してもとことん向かないことはできないもの。
だからこそ、勉強を頑張る康臣は凄いとナクラは絶賛した。
「お前自身が、その凄さを認めてやれよ」
「勉学が至高、それ以外不要。いやぁ、立派だねェ」
続き、ナナコもまた、他を馬鹿馬鹿しいと思えるほどにまで打ち込めることがあるのは結構だと語る。
「そうだろう」
褒められた夢喰いは、大きく胸を張っていた。
「勉強をずっと続けられるって偉いよな」
真面目な藤は、普通なりに意地を持ち、悩み、怒り、生きてきた。
だから、彼もまた康臣の姿勢を素直に評価する。
「けどさ、勉強一辺倒じゃ、刺激がなくて勉強へのモチベが落ちないか」
適度に休む方が物事の効率は上がる。
休み方は様々。例えば、趣味をやってもいい。趣味がないなら、作ればいい。
部活でもゲームでも買い物でも、立派な趣味になりうると、藤は主張した。
「お金に代えられない自分の人生、無駄なことなんてなにもないんです」
――世の中は楽しいことでいっぱいですよ。
自分自身をちゃんと見て少し素直にならないかと、ペテスも夢喰いへ促す。
そこで、そういうものを不要と切り捨てていたなら、クラスメイトとの話題がなくなってしまうと、藤はさらに訴えかけた。
「人と話が合わないから自分は勉強だけでいいって自分を狭めたら、勿体ないぜ」
仲良くなったなら、その人の勉強法を教えてもらうこともできるかもしれないのだ。
「ぐっ……」
「だな。独り占めで終わっちゃ、勿体無いんだぜ」
ナナコも同意し、自らの考えを口にする。
自分の好きなこと、得意なことを誰かと共有するのは刺激となり、新しい知識を得られる。
これもまた勉強。成果は倍ではなく、何十、何百倍にもなるのだ。
「好きを共有できる仲間ってのは、そういうモンだ。これは勉強だけじゃ身につかねぇんだよ!」
イも、コミュニケーションによって築かれる社会性の重要性に同意して。
それぞれの学をぶつけ合い、議論することで生まれる新たな学び。
過度な詰め込みの非効率、適度な休息による生産性の向上。
曾子日わく、「君子は文をもって友を会し、友をもって仁をたすく」との格言もある。友という存在は非常に大きい。
「……勉学に励み、知識を蓄えていればこそ。それらを知らないとは言うまい?」
イの言葉にも、夢喰いは口をつぐんで黙ったまま。
「たしかに、貴方の研鑽は誇るべきものです」
真面目な顔をしたレピーダは、別の観点から説得を試みる。
「ですが、切磋琢磨という言葉をご存知ですか?」
真に高みを目指すならば、友達と呼べる存在と競い合い、己を見つめ直すことが大切だと、レピーダは力説する。
「今の貴方は独り。そう、独りよがりです!」
――そんなことで、一体何になりたいって言うんですか!?
「ううっ……」
刹那、夢喰いの全身にモザイクがかかったように見えた。
「さぁて、ブチこんでいきますかァ!」
叫ぶナナコが前方へと飛び出す。
明らかにその力の弱まりを感じ、ケルベロス達は夢喰いの完全なる無力化を目指すのである。
●歪んだ向上心を正す為
ケルベロス達の説得の間、学生達も大分遠くへと離れている。
「勉学こそ、至高……」
かなり弱体化した状態ではあったが、夢喰いは内なるモザイクを飛ばし、ケルベロスを蹴散らそうとしてくる。
身を張って攻撃を防ぐのは、ナクラ、そして、ナノナノのニーカだ。
ニーカはそのままハート型のバリアを展開して回復へと当たり、ナクラも黄金の果実を煌かせて仲間の回復へと当たる。
仲間のサポートには、ティアンがナクラと手分けする形で対処していたようだ。
「オラオラァ! ブッ飛ばしてやんよォ!」
火力役として、テンション高く飛び出したナナコが降魔の拳を振りかざす。
「アイドルだって、高みを目指すために戦い続けるんです! そう、日々努力を重ねているのは貴方だけじゃありません」
続くレピーダは相手の動きを止める為、流星の蹴りを叩き込んでいく。
「コミュケーションを否定されているようですが……、ライバル達との競争の楽しさは、貴方にも教えてあげたいぐらいですよッ!!」
仲間達が相手を抑えていく中、ペテスも夢喰いが振るう大きな鍵を受け止めつつ、回復に当たる。
「神にネクタルあろうとも、地には人の叡智たるウーロンがあるです!」
ペテスは、大地の精髄……ウーロン茶をグラビティによって霧状にし、自身と同じ前線メンバーへと吹きかけていく。
応戦を続ける夢喰いだが、やはり精彩さが欠ける。
「違う、勉学以外は……不必要……」
うわ言のように、ケルベロスの主張を繰り返すだけ。
とはいえ、振り撒くモザイクはこちらの思考を見出してくる。
チームのメイン回復役となっていたティアンは、とりわけ催眠の効果が強い状態となったタイミングは気力を撃ち出し、正常な状態に戻すよう努めていた。
「生憎だが、キサマを見下している暇はない」
イはジークムントの楔……鎖鎌のような形状の刃を相手に投げつけて切り傷を負わせ、さらに再び頭部の刃を見舞う。
夢喰いをさらに弱体化させ、ケルベロス達は攻勢をより強める。
「その隙は逃さない」
相手がモザイクを投げ飛ばす隙を突き、クールに立ち振る舞うティーシャは構えた『バスターライフルMark9』より凍結光線を発射していく。
相手を確実に凍らせようとしたティーシャの一撃で敵の胸部に氷を張ると、レピーダが光の翼の輝きを手にする武器へと集めて。
「妖精八種族が光のヴァルキュリア……その輝きの真髄を、今!」
カサドボルグという名の傘を中心として、極大の光刃を形成した彼女は自身の身をも光に、そして刃へと変えていく。
刃を夢喰いの体へと浴びせかけたレピーダが元の姿に戻ると、敵の体についた切り傷からはモザイクが零れ落ちていた。
相手が動きを止めてきているのを見た藤は、自身独自のグラビティを行使する。
「畏れろ」
藤が展開するのは、落雷への畏怖。大雨と共にやってくる閃光と轟音への恐怖。古代より人類が神の力と侵攻してきた現象。原始的な信仰心の一つ。
それらを核として、彼は雷神に対する畏れをグラビティとして形成していく。
次の瞬間、激しい光と轟音を撒き散らしながら、形を成さぬ雷の槍が夢喰いの体へと落下する。
「勉学……至高……」
高出力の雷を浴び、夢喰いは息も絶え絶えの状態。
体はかなりの部分がモザイクに覆われ、体力がほとんど残っていないことが一目瞭然だ。
「アタイもバナナに関して、好きな情熱は誰にも負けねぇよ?」
ナナコはにやりと笑い、両手に持ったバナナを交差させる。
「右手にバナナ! 左手にもバナナ! 2本のバナナを合わせれば! 100倍以上の威力を生み出すぜぇ!」
彼女のバナナに対する愛が爆発的な威力を巻き起こし、その連撃、そしてトロピカルな香りが相手を攻め、惑わせる。
「こ、これ、は……」
衝撃に耐えられぬ夢喰いは全身をモザイクと化し、霧散してしまう。
それを確認することなく、ナナコは両手のバナナへと口をつけ始める。
藤は旅団の仲間である彼女のブレない姿に、思わず吹き出していたのだった。
●戒めを受けた被害者に……
ドリームイーターを討伐し、皆一息つく。
「はー、終わったァ。レピちゃんのファンやめます」
ナナコの言葉に、レピーダが「いやいや」とツッコミを入れつつ。
「救助者に声かけをしていきましょうか。未来のファンに!」
張り切って、倒れているはずの被害者の元へと向かっていく。
ケルベロスが駆けつけたところ、深沢・康臣は目を覚ましてぼんやりとしていた様子だった。
「誰かを見下してないと安心できないっていうのは、俺には余りよく解らないけど……。多分、安心感が欲しいんだと思う」
そこでまず、ナクラが康臣の心理をつく。
自分は誰よりもこんなに頑張っている、優秀だと、いわゆる承認欲求を……自分を認めて欲しいと叫んでいるような気がする、と。
「俺は認めるよ。でも、誰よりありのままの康臣を認めてやらなきゃならないのは、お前自身だよ」
康臣の両親だって、彼自身に幸せな人生を歩んでほしいはずだ。
「…………」
夢喰いを説き伏せた影響は本人にも現われており、ケルベロスの主張に反論しようともしない。
「俺も体弱かったとき、友達となかなか遊べなくて」
藤も以前は、ずっと1人で勉強やゲームをしていたと言うが、1人で続けてもいまいち力が入らなかったそうで。
「趣味を作って人と話そう。楽しいぜ」
さらに、ペテスが言うには、人間が10代で入手できなかったものに一生こだわるのだそうだ。
若い頃に真面目だった人ほど、将来タガが外れて身内を誤ることもあるとのこと。
「どうです、深沢くんはどんな大人になりたいですか?」
ペテスの問いかけに、康臣本人は色々と考え直すきっかけとなったようで、自分のやりたいことについて考える。
勉学一筋の彼が、凝り固まった考えを改めてくれたなら。
ケルベロス達はそう願って止まないのであった。
作者:なちゅい |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2018年5月24日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 6
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