胸のうちに秘めた願いは

作者:あかつき


「勉強まじダリィよね〜。ほんと、歴史とか計算とかどーでもよくね?」
 放課後の教室で、女子高生三人が机に座ってけらけらと笑っている。
「ま、先生も怒らないし、黒板だけ書き写しときゃ問題ないっしょ」
「黒板すら写してないのによく言うよ」
 そんな三人を横目で見みつつ、黒板の板書を消していく一人の女子高生。
「ハル。あんたもそう思うでしょ」
 そう声を掛けられた女子高生、ハルは振り返り、曖昧に笑う。
「ね。こんなに沢山書いてさ〜……、正直真面目に書いてる人もあんまりいないし、手間が増えるだけ、っていうか」
 黒板を消して、黒板消しからチョークの粉を払う。日直のハルは、これから担任の所へ行かなければならない。
「あ、じゃあ、あたしら先行ってんね。昇降口で待ってっから!」
 三人が教室から去った後、ハルは大きく溜め息を吐く。
「……本当は、しっかり勉強したいのにな」
 ぽつりとハルが呟いたその時。
「前の本当の心は、どこにあるんだ? 他人に合わせて、自分の心を見失っていないか? お前はお前で価値があるんだ、他人に合わせてしまえば、その価値が無くなってしまう!」
 何処からともなく現れたスケバンのような外見のドリームイーター、フレンドリィの言葉に、ハルは頷く。
「うん、そうだよね! ちゃんと、勉強したいって言わなきゃ!」
 その瞬間、ハルの心臓をフレンドリィの鍵が貫く。
「勉強……したい……!」
 崩れ落ちたハルから生まれたドリームイーターは、ハルとそっくりな外見で、ハチマキをしている。そして、ドリームイーターは、呟きながら昇降口へと向かっていく。
「あ、ハル……?」
 三人の女子高生がドリームイーターに気付き、不思議そうに首を傾げた瞬間。
「勉強したい!!!」
 ドリームイーターは三人の女子高生に襲いかかった。


「日本各地の高校にドリームイーターが出現し始めたようだ。ドリームイーター達は、高校生が持つ強い夢を奪って強力なドリームイーターを生み出そうとしているらしい」
 集まったケルベロス達に、雪村・葵は今回の依頼の説明を始めた。
「今回みんなに行って貰いたいのは東京と千葉の間にあるとある高校だ。狙われたのは、そこに通う高木・ハルという女子高生で、空気を読んでまわりに合わせる事に疑問を持っている所を狙われたらしい。被害者から生み出されたドリームイーターは、強力な力を持つが、この夢の源泉である『空気を読むことへの疑問』を弱めるような説得ができれば、弱体化させる事が可能となる」
 そこまで言って、葵は肩を竦め、溜め息を吐いた。
「自分の意見をしっかり言う、嫌な事ははっきり嫌というというのは良いことにのようにも思うんだが……日本人にとっては、空気を読む事も重要だ。周りの空気を読まずに、自己主張を繰り返す人は、人の和を乱すといって嫌われる事も多い。もしそれを主張するのなら、その場に即したように言い換えて伝えるとか……、将来性を説くとか、親の所為にするとか、そういう工夫が必要なんじゃないかと思うんだ。そのあたりをうまく説得できれば、弱体化させる事が出来、戦闘を有利に進められる筈だ」
 ドリームイーターは一体のみ、武器はシャープペンシルのような形をした巨大な鍵。胸の辺りがモザイクになっており、鍵とモザイクで攻撃をしてくる。襲撃場時は昇降口。狙われているのはハルの友人である女子高生三人組だ。
「この女子高生達の安全には留意してもらいたいところだが……ケルベロスが来るとこのドリームイーターはケルベロスを優先して狙ってくる。そこまで救出は難しくないだろう」
 葵はそう言って、ケルベロス達の顔を順番に見つめる。
「勉学に励む必要のある高校生が相手だ。説得は難しいかもしれないが……みんなならきっと良い説得が出来ると信じている。よろしく頼む」
 葵はそう言って、ケルベロス達を送り出した。


参加者
リナリア・リーヴィス(クラウンウィッチ・e01958)
阿木島・龍城(錬成せし鉄槌と碧刃の主・e03309)
服部・無明丸(オラトリオの鹵獲術士・e30027)
フェルディス・プローレット(すっとこどっこいシスター・e39720)
中村・憐(生きてるだけで丸儲け・e42329)
鵤・道弘(チョークブレイカー・e45254)
アメリー・ノイアルベール(本家からの使い・e45765)
寺内・美月(地球人の刀剣士・e58487)

■リプレイ


「勉強……したいっ!!」
 シャープペンシルの形の鍵を持ち、ハルそっくりの外見をしたドリームイーターが、女子高生三人組へ向けて突進していく。
「やだ、何……どうなってるの?!」
 慌てる女子高生三人組へ向け、ドリームイーターが鍵を振り下ろそうとした、その時。
「悪いが、やらせる訳にはいかねぇな!!」
 鵤・道弘(チョークブレイカー・e45254)が女子高生とドリームイーターの間に割って入った。
「ケルベロス……」
 振り上げた鍵は下ろし、ドリームイーターは呟く。ドリームイーターの注意がケルベロスへと移ったのを見て、アメリー・ノイアルベール(本家からの使い・e45765)は素早く女子高生三人組へ駆け寄る。
「危ないので避難してください」
 先ほどドリームイーターの呟いたケルベロスという単語と、それから先ほど振り上げられた鍵。そこから身の危険を感じたのであろう女子高生三人組は、頷きながら校舎の外へと駆けていく。彼女たちが逃げたのを見届けた後、フェルディス・プローレット(すっとこどっこいシスター・e39720)は他の生徒達が入ってこないよう、昇降口を塞ぐように立ち、ドリームイーターを見据える。
「あなたたちも私の勉強の邪魔をするの? 私はこんなにも、勉強したいのに。私は意見を言ってはいけないの? やりたいことをやって、やりたいことをやりたいと言って、何が悪いの?」
 そう言って、ドリームイーターは目の前にいる道弘を睨み付けた。
「ほお! 勉強をしたいとのう! 立派な心がけでないか!」
 うんうん、と頷くのは服部・無明丸(オラトリオの鹵獲術士・e30027)。しかしその実、勉強とはどのようなものか、無明丸はわかっていなかった。多分、修行みたいなもんだろう。そんな風に思っており、半分くらいは、正解……かもしれない。
「そうでしょう? だから私は勉強するの。邪魔なものは排除するの。そうしないと、私は私のやりたいことが出来ないの」
 無明丸のそんな心の内を知る由も無いドリームイーターは、我が意を得たりとばかりに大きく頷く。
「別に主張してはいけないとはいわない、TPOを弁えれば相手は自分が何を思っているかを余程の者でなければ分かってもらえるはずだ」
 そんなドリームイーターに、寺内・美月(地球人の刀剣士・e58487)は薄暮丸の柄を触れながら静かに語りかける。
「そうやって状況を弁えれば少しくらい主張しても構わないって? 言えるような状況にすらならない、それが空気っていうものの力でしょ」
 はん、と鼻で笑い、ドリームイーターは吐き捨てる。
「まぁ、空気というのは中々に厄介っすよねえ。上手く使えれば良いけれど、自分の意の沿わない事でも従わないといけなくなる場合もあるし。今回はどっちかっていうと、そういう……意に沿わない事に従わなきゃいけなくなったパターン、っすかね」
 そう言って、中村・憐(生きてるだけで丸儲け・e42329)はうんうんと頷いた。
「だったら私の好きにさせてよ」
 憐を鋭く睨み付けるドリームイーターに、憐は肩を竦める。
「確かに空気に従うだけなのは自分の意思が無くてダメっすけど、空気を全く読まずに自分の事だけ言うのは我儘な子供と同じっす」
 それを聞いたドリームイーターは、むっとして眉間に皺を寄せる。
「……じゃあ、どうしろっていうの」
 不快感を露にするドリームイーターに、憐はぐっと拳を握り、笑顔を向けた。
「空気が変な方向に向かった時は、常識や事実を端的に述べて『水を差す』事で止める事ができるっす。その上で空気が良い方向にするやり方があるっす。これは相手の気持ちを考えて、空気を読む人間ならできるっす。どうせなら空気を読んで良い方向に進むようにしましょうっす!」
「空気を読んで……良い方向に?」
 首を傾げるドリームイーターに、フェルディスは頷く。
「学校って集団生活の場所ですからね。一人じゃ何もできないよ。きっと、貴女の方がよくわかってると思うけれど」
 フェルディスはドリームイーターが話を聞いていることを確認しながら、続ける。
「人間はいつだって一人じゃない、周りと協調が出来なければ孤立して最後には孤独を迎えてしまう。相手に合わせるのは相手を傷つけないことにも自分を守ることにも必要なんだ。だから、自分のやりたい事が出来るよう、周りの空気を読んで、流れを変える……みんなで勉強出来るようになれば、それが一番良いんじゃいかな?」
「それは……そうかも……しれない、けど……」
 迷いをみせるドリームイーターに、リナリア・リーヴィス(クラウンウィッチ・e01958)はメガネの奥の瞳を細めた。
「真面目ちゃんなんだねぇ。私とは大違いの。空気を読むことが出来ない私には羨ましいことだよ」
「真面目ちゃん……? 私は真面目じゃない……。空気だって読んで読んで、その挙げ句……やりたいことが出来なくて……こうやって……」
 首を横に振るドリームイーターに、リナリアは微笑む。
「私は私の思うことしか主張できないけど、空気が読めるってことは周囲の意見を広く聞き入れる心があるってことじゃない。それはそれでとても素敵なことだよ。意見を合わせるだけじゃない。いろんな意見を自分の中で取捨選択できるってことだし、選択しなくても統合するってことだってできる」
 そこまで言って、リナリアは仲間たちの方へと目を向ける。
「さっき言ってたみたいに、空気を読んで、友達に不快感を与えないように自分の意見を言ったり、空気自体を良い方へ変えたり……難しいかもしれないけど、キミみたいにみんなの意見を聞き入れられる人なら、きっと大丈夫だと思うよ」
 ふ、と微笑みながら、リナリアは言う。それを聞いたドリームイーターは、僅かに瞼を伏せる。
「でも……でも、そんなの……」
 ドリームイーターが鍵を握る手に、最初の頃程の力強さは無い。確実に弱体化している。きっと、あと一押し。
「河原の石は穏やかな川の流れで少しずつ形を整えていく。協調性も同じで穏やかに会話に溶け込み少しずつ変えていくものだ。そうだろう?」
 優しく諭す美月に、ドリームイーターは困ったような視線を向ける。そんなドリームイーターに、阿木島・龍城(錬成せし鉄槌と碧刃の主・e03309)は右手の紙飛行機を指し示す。
「紙飛行機……それが何?」
 首を傾げるドリームイーターに、龍城は言う。
「これを遠くに飛ばすには力ずくで叩き付けてもいいんですが、このように空気の流れを読んで静かに投げます」
 斜め上目掛け、ゆっくりと放られた紙飛行機は、風に乗ってすいすい飛んでいく。
「空気を読むという事はこういう事なんですよね。その為にもっと知らなくてはいけません……勉強というはそういう事なんです。勉強をしたいというあなたの思いと、空気を読んで流れを変えるという事、全く関係が無い訳ではないんですよ」
 本当は読める空気というものは、排斥しようとする空気よりも温かい。そして、空気を読むことと空気と向き合うのは違う。龍城がそれを伝えるために飛ばした紙飛行機は、徐々に高度を落として静かに床に着地した。
「他人に合わせられるその優しさ自体が、お前さんの価値の表れだ。不満とかは誰かに相談できりゃベストだし、さっきこいつらが言ってたように空気を変えて勉強できる環境を作る努力をするってのも良い方法だろうな。でも、それができねぇんなら……悪態とセットで親や先公に押し付けちまえばちっとは楽になんだろ。周りの大人に頼るってのも、案外悪かねぇぜ?」
 ひょい、と肩を竦めた道弘の言葉に、ドリームイーターの表情が歪む。辛さを耐えて、今にも泣き出しそうな。勿論、それは気のせいかもしれないけれど。
「空気を読むといっても、周りに合わせて無理矢理自分の意思を殺すのは違うって思うです。相手の方を傷つけないように気遣うこと……それくらいで充分、空気は読めていると思うですよ。勉強するのは、将来の夢があるからですよね? わたしもそうです、だから一生懸命勉強しているのです。夢に向かって頑張る眩しい姿を、皆さんに見せるですよ。そうすればきっと、わかってくれるのです」
 にっこりと笑うアメリーに、ドリームイーターは眉間に皺を寄せ、ぎゅっと瞼を閉じる。
「…………私……、私は……っ!!」
 そして、ドリームイーターは、頭を大きく横に振る。そして何かを振り払うように、その手の鍵を振り上げた。


「うわあああああ!!!」
 やたらに振り下ろした鍵は、床を僅かに抉る。しかしその威力は軽微で、かなり力が弱まっている事は明白だった。
「黙れ! 黙れ黙れ黙れっ!! そうやって……都合の良い事を言って!!!!」
 迷いを振り切るように頭を振るドリームイーターは、きっと顔を上げてケルベロス達を見据える。そして、叫んだドリームイーターは、モザイクを増殖させていく。
「そもそも、言うべき相手が間違ってんだよ。学習環境が確保できねぇのは、管理する先公側の責任だ。ま、今は俺が代わりに受け止めてやっから、かかってこいよ……!!」
 そう言う道弘は、助走をつけ天井近くまで飛び上がり、そして。
「うおおおおおお!!!!」
 気合いと共に、虹を纏う急降下蹴りをドリームイーターへと叩き込む。
「邪魔しないでよっ!!」
 ドリームイーターが叫びながら、口の形となったモザイクは道弘へと襲いかかる。
「さぁ! わしとも……勝負いたせ!!」
 道弘をモザイクで飲み込んだドリームイーターへと、飛びかかる無明丸。無明丸は勢いそのままに、パイルバンカーを装備した腕で殴り付けた。
「うぐっ!!」
 呻き声をあげるドリームイーターへ、無明丸は再度拳を振りかぶる。
「もういっぱぁつっっ!!!」
 そして、突き出される拳。ドリームイーターは、咄嗟に道弘を吐き出した後飛び退き、無明丸の一撃を回避する。
「流石に二発は当たらんかの」
 ぽつりと呟く無明丸。その間に、フェルディスは吐き出された道弘に向けて火炎瓶を構える。膝をつく道弘は、振り向いて若干ぎょっとした顔をした。しかし、フェルディスはそれを気にせず、火炎瓶を振りかぶる。
「燃えるけど火事にはなりませんのでご安心を!」
 そして道弘の背中に火炎瓶を投げつけた。ヒールグラビティを含んだ浄化の炎は、道弘の傷を癒していく。
「……ありがとな」
 殆どの傷が癒えた道弘は身体の具合を確かめ、フェルディスに礼を述べた。
「椅子、行くよ」
 自身の相棒であるミミックの椅子に声をかけ、リナリアは108円ライターを取り出す。エクトプラズムを縦横無尽に動かしドリームイーターへ向かっていく椅子の背を見つつ、ライターのレバーを押し込む。すると、ケルベロス達の比較的前方にドゴォォンという爆破音と共に爆煙が巻き起こる。
「邪魔っ!!」
 それを隙と見たドリームイーターだが、攻撃に転じる前に椅子の振り回すエクトプラズムに阻まれ、不愉快そうに吐き捨てる。
「わたしも……!!」
 アメリーが押し込んだ爆破スイッチにより、ケルベロス達の後方で爆煙が巻き起こる。その爆煙を剣の鋒が切り裂き、ドリームイーターへと向かっていくのは龍城。
「なかなかに厳しい状況ですが、これだけ弱体化できていれば……!!」
 それから、召喚した無数の剣と共に、その手に握られる黄金の刺突剣をドリームイーターへと突き刺す。
 ぐらりと身体を揺らすドリームイーター。そこへ距離を詰める美月。構えた拳を真っ直ぐに突き出すが。
「そんなもの……!!」
 身を捩ってその一撃を辛うじて避けたドリームイーターは、美月へ反撃すべく足を踏ん張って鍵を振り上げる。
「しまった……!!」
 舌打ちをする防御の構えを取る美月。ぐっと奥歯を噛み締めた、その時。
「避けるっすよ!!」
 憐の声を聞き、美月が咄嗟に右へと飛び退く。それを追いかけるように右へ向きを変えたドリームイーターを憐は真っ直ぐに見据え、そして。
「これがケルベロスの真の力っす! くらえケルベロスビィィィーム!!!!」
 両目から放たれた青白いケルベロスビームがドリームイーターを直撃する。
「目が、目がぁぁぁぁ!!!」
 目をおさえ転げ回る憐の前で、ドリームイーターは爆発四散した。
「わははははっ! この戦い、わしらケルベロスの勝ちじゃ! 鬨を上げい!」
 ぱらぱらと燃え残りが床に落ちる中、無明丸の笑い声が高らかに廊下に響いた。


 廊下と昇降口にヒールを施し、殆ど元通りにした後、ケルベロス達はハルが倒れている筈の教室へと向かう。
「うぅん……」
 黒板の前で倒れたままのハルを見つけ、駆け寄っていくケルベロス達。
「大丈夫、ですか?」
 僅かに唸り声を上げるハルに、アメリーがたずねた。
「私……何か、変な人に……?」
 首を傾げるハル。
「もう大丈夫ですよ」
 龍城はハルに怪我の無い事を確認し、頷く。
「私……ああ、勉強がしたいって思って、それで……空気を読んで……それが、嫌だったんだ」
 起き上がり、頭をおさえて記憶を辿るハルに、リナリアは首を横に振る。
「私は空気が読めないから、空気が読めるだけでも凄いと思うけどね」
 目を細めるリナリアに、ハルは目を瞬く。
「でも勉強したいって気持ちも少し分かる。ボク学校行けなかったし」
 フェルディスに、憐も大きく頷く。
「そうっすよ。学生の内は『良く学び良く遊べ』っす。世の中、学びたくても学べない人もいるっす! 友達と一緒に学ぶのも楽しいと思うっす。君たちも、そう思うっすよね!」
 にっこりと笑う憐の視線は、教室の出入り口へと向けられる。そこには。
「ハル!」
 ハルの友人の三人が、心配そうな顔で教室を覗き込んでいた。
「みんな!!」
 しかし、ハルの表情に僅かに迷いが過る。そんなハルに、美月は小さく頷いてみせた。
「見たところ貴様の友人共は貴様と仲が良い風に思える。ならば大丈夫だ。相手を信頼して会話すれば自ずと空気の読み方がわかってくる」
「……うん」
 まだ不安そうなハルを、アメリーは見上げる。
「わたし、家ではお勉強ばかりの毎日でした。でもそれがあったから、今ケルベロスとして戦えているのです。世界を救う夢はまだまだ遠いですけど……、だから……お互い頑張りましょう、です」
 そう言うアメリーに、ハルは目を細めて頷く。それから、ケルベロス達に頭を下げてから、ハルは友人達の元へと走っていく。その背中を見送って、道弘は大きく息を吐いた。
「俺は教師陣に事情を説明してくるぜ」
 そう言って扉へ向かう道弘。それを追いかけるように、ケルベロス達は教室を後にする。
 帰り際、昇降口で見かけたハルの笑顔に、友人達とこれからも良い関係を築きつつ、やりたい事が出来るようになってくるだろうと確信し、それぞれ帰路に着くのだった。

作者:あかつき 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年5月29日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 2
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