オークは女子の発育に興味津々?

作者:なちゅい

●身体測定に乱入する豚ども
 徳島県のとある女子校。
 この日、午前中の授業と並行して身体測定が行われていた。
 一度に全校生徒で体育館で行う方が効率がよいのだが、デウスエクスが襲ってくるこのご時世だ。学校も対策を考えて、一度に行うことを避けたと思われる。
 学校はとある空き教室をパーテーションで半分に分け、片方を脱衣所として、もう片方のスペースで計測を行っていた……のだが。
 女子校という場所という場所だけで狙いを定め、女性の匂いを嗅ぎ付けたそいつらは床下を突き破って現れる。
「「「ブヒイイイイイイイイイイイィィィ!!!」」」
 背中から8本の触手を生やす豚人間、オークの群れだ。
「「「きゃあああああああああぁぁぁっ!!」」」
 次々に、教室内へと這い上がってくる醜悪な見た目のデウスエクス達。
 女性教諭達がなんとかなだめて避難させようとするが、身の危険を感じた女子生徒達は一斉にパニックになって入り口へと駆け込もうとする。
 だが、オーク達は構うことなく女子生徒達を次々に捕えていく。
 身を張る女性教諭もターゲットになってはいたが、露出の高い者が優先して狙われる傾向があったようだ。
「ブヒヒィィ……」
 舌なめずりするオークは、手繰り寄せた女子生徒の肌を触手で擦り始める。その発育具合に興味津々といったところだろうか。
「ちょっと、どこ触ってんの!?」
 最初は、抵抗していた女子高生達。
 だが、オークの触手には相手を恥ずかしくさせる成分が含まれており、徐々に顔を上気させてしまう。
「いやん、あぁ、そんな……」
「ぶ、豚のくせに……、ん、んふっ」
 オークどもは思った以上に女性を攻めるツボを心得ているらしい。
 その触手の動きに、徐々に女性達は抵抗を止め、なすがままになってしまう。
「「「ブヒヒヒ、ブヒヒヒヒヒヒヒ!!」」
 教室に響くオーク達の高笑い。
 この場から逃れられぬ女性達はオークの滑る触手に塗れ、甲高い声を上げるのである……。

 ヘリポートに集まるケルベロス。
 依頼の確認に訪れたケルベロスの中から、ユーシス・ボールドウィン(夜霧の竜語魔導士・e32288)がこんな推測を出していた。
「女子高の身体測定中に、オークが乱入してくると思うのよ」
 そんなユーシスの話を元に、予知を行っていたリーゼリット・クローナ(ほんわかヘリオライダー・en0039)が溜息交じりにヘリオンから降りてくる。
「春が終わろうとしているけれど、オークの脳内は常に春が来ている気がしてならないよ……」
 リーゼリットは頭を振りつつも、説明は行わねばと口を開く。
 オーク達は魔空回廊を使って多くの女性が集まる場所に現われ、女性達を略奪しようとしているという。
 体育館で行うと狙われやすくなると学校側も警戒したのか、少人数ごとに行うスタイルを取ったようなのだが、それでもオークに狙われるという状況になってしまったらしい。
「説明が終わり次第、ヘリオンで現地に向かおうと思っているけれど……」
 そこで、リーゼリットはケルベロス達へと注意を促す。
 なんでも、事前避難は控えて欲しいとのこと。これは、避難をしたことでオークが出現場所を変更する恐れがあるからだ。
「被害者を思えば心苦しいけれど……、被害をできるだけ抑えるよう立ち回ってほしい」
 また、女子大生の避難誘導はオークの出現後に始めることとなるが、場所の狭さと人数の多さもあって、オークが女子高生達へと触手で悪戯するのは避けられそうもない。
 この為、オークの抑えと避難誘導を同時に行う必要がある。
「オークの数は16体。8体ずつ、ジャマーとスナイパーに分かれるようだね」
 ジャマーとなるオークは幅広い攻めを得意とし、スナイパーとなるオークは距離を置いて相手をちくちくと攻めるのを楽しむタイプのようだ。
 リーダー格は不在。オークの能力はどんぐりの背比べといった状況だ。
「襲撃の時間は午前中。授業と並行して少人数ずつ行われるね」
 ほぼ絶え間なく、入れ代わり立ち代わり生徒が身体測定の行われる教室を訪れる。
 ただ、間違いないのは、多くの女子高生が下着姿となっているタイミングが狙われるということだ。
「教室の大きさはそれなりにあるけれど、半分は更衣室として使用していること、オーク、女子高生、ケルベロスの皆と人口密度が高くなることもあって、狭く感じるはずだよ」
 襲撃時、十数人の女子高生達がほぼ間違いなくオークに捕えられてしまう。
 だからこそ、混雑する室内で彼女達をオークから解放の上で室外へと逃がしつつ、オークの討伐を進めていきたい。
 説明を終え、リーゼリットは自身のヘリオンへと足をかける。
「卑劣なオーク達を、野放しにするわけにはいかないね」
 どのみち、放置していれば女性を襲い続ける連中だ。この場で確実に叩いておきたい。
 同意したケルベロス達はヘリオンへと乗り込み、現地に向けて移動を始めたのだった。


参加者
稲垣・晴香(伝説の後継者・e00734)
ラインハルト・リッチモンド(紅の餓狼・e00956)
ガド・モデスティア(隻角の金牛・e01142)
燈家・陽葉(光響射て・e02459)
志穂崎・藍(蒼穹の巫女・e11953)
ユーシス・ボールドウィン(夜霧の竜語魔導士・e32288)
高千穂・ましろ(白の魔法少女・e37948)
翔羽・水咲(産土水に愛されしもの・e50602)

■リプレイ

●女性を狙うオークに慈悲はない
 徳島県までやってきたケルベロス一行。
「さー、大掃除の時間だにゃ!」
 藍色のポニーテールを揺らし、志穂崎・藍(蒼穹の巫女・e11953)が叫ぶ。
 ただ、今から向かう女子校で行われているのは大掃除ではなく、身体測定だったりする。
「やれやれ、本当に女子校の身体測定に子豚ちゃん達が殺到するとはねえ」
 まるで教師を思わせる白衣姿をした、ユーシス・ボールドウィン(夜霧の竜語魔導士・e32288)。
 普段は狐の獣人姿の彼女だが、今回は目立たぬようにと人型となっている。
 コスプレみたいではないかとユーシスは感じていたが、その姿は本人が思った以上にかなりイケていたようだ。
「オークは本当に、尽きないよね……」
 笑顔を浮かべる事の多い燈家・陽葉(光響射て・e02459)だが、オークの所業にはさすがに辟易としていた。
「オークも出現場所が豊富というか……いや、ある意味限られているのか……」
 渋い顔をして校門でプラチナチケットを使いつつ校内に入る手続きを取っていたのは、今回のチーム唯一の男性、ラインハルト・リッチモンド(紅の餓狼・e00956)だ。
「どうしてこうコイツらは、女の子が無防備になるところを……」
 真っ赤なスーツ姿で現われた稲垣・晴香(伝説の後継者・e00734)はそこでふと思い直す。
「いや、そういうところだから現れるんだね」
「まあ、ここに集まるのはある意味食べ頃な子達でしょうから」
 嘆息する晴香に、ユーシスは妙に納得しつつ。
「でも、女子校の子達って、娘と同じくらいの年頃よね」
 やっぱり焼き豚確定ねと、ユーシスはオークの断罪方法を考えていた。
「そうだね。やることは変わらないよ」
 ――女性を守る為にも、現れるオークは倒すだけ。
 陽葉が淡々と意気込みを語ると、討伐意欲を燃え上がらせた藍が叫ぶ。
「ゴキブリのごとく湧くオークは即殲滅対象! いやらしいオークに天誅を!」
 メンバー達はそれに同意し、女子生徒を守る為、そして、オークの討伐する為に校舎の中へと入っていくのである。

●強襲、下着少女を襲うオーク!
 メンバー達はそれぞれの潜入方法に応じ、バラバラに現場の女子校へと入っていく。
 ラインハルトが関係者として職員室に通される他、晴香はメディア露出も多い有名女子プロレスラーとして、素顔を隠すことなく堂々と挨拶する。
「将来有望な若い子を発掘する為に、近隣の学校を巡回させてもらっているのよ」
 本日行われる身体測定こそ、生徒の素の姿を見られる貴重な機会。
 そう力説した彼女は、見学を申し込む。
 ユーシスも予め学校の理事長にのみ事情を話して了承を得てから、身体測定の為のスタッフとして潜入する。
 なお、大学の教育学部の研修といった体を装う陽葉がさりげなく現場周辺を見回り、状況の推移を待っていた。

 さて、測定場となる教室内にて。
 発育のいい女子高生達の姿に、ユーシスは自身の子供を重ねて。
「身体ばっかり大きくなっても、まだまだ中身は子どもなのよねえ」
 ただ、研修生として潜入していたガド・モデスティア(隻角の金牛・e01142)は、自らの担当するクラスの女子生徒のスタイルに羨望の眼差しを向けていて。
「ええなあ、近頃の女の子はみんな発育が良くて」
 転校生に扮した藍などは、制服の上からはっきり分かるほど胸が大きい。
 対して、パンツスーツ姿のガドは、服の上からでもはっきり分かる起伏の小さな自らの体型に嘆息していた。
 その後も、入れ代わりやってくる生徒に紛れ、ぼんやりとした印象を抱かせるオウガ、翔羽・水咲(産土水に愛されしもの・e50602)が入ってくる。
 高千穂・ましろ(白の魔法少女・e37948)もいつの間にか、脱衣スペースで待機していた。
「それにしても、なかなかオークが現れませんね……」
 魔法少女として、ましろは邪悪なオークの狼藉を見過ごせないとこの依頼に参加していたのだが。
「へっ?! わ、私の番ですかっ?!」
 転校生であれば、当然ながら他の女子高生と共に下着姿で身体測定に臨むこととなる。ましろとて例外ではない。
「け、計算外ですっ!」
 とはいえ、不審に思われるといけないと考えたのか、制服を脱いだ彼女が純白の下着姿となった瞬間。そいつらは、床下から床を突き破って現れる。
「「「ブヒイイイイイイィィ!!」」」
 嘶いて教室に這い上がってくる豚人間、オーク達。
「「「きゃああああああぁぁっ!!」」」
 下着姿の女子高生達は一斉に甲高い声で叫ぶ。
「きゃ、きゃあっ! 見ないでくださいっ!」
 顔を真っ赤にして、ましろは両手で身体を押さえていた。
「ひっ!? そ、そんな目で見ないで、ください……」
 こちらも清楚な印象を抱かせる下着姿で、水咲が頬を赤らめている。
「ブヒヒヒ……」
 その姿に興奮するオークどもは背中の触手を伸ばし、彼女達に狙いを定めてきた。
 オークどもは教室内のパーテーションを破壊し、測定場となる場所にも襲い来る。
 測定場にいた晴香は即座にスーツを脱ぎ、真っ赤なリングコスチューム姿へとダイナマイト変身してみせた。
 すでに、幾度もオークと交戦して汚された身。
 ならばこそ、うら若き乙女達の盾となる覚悟は十分と、晴香は涙をほろりと流しつつ気合を入れる。
「デウスエクスのオークだよ、皆逃げて!」
 そこで、教室の近場に控えていた陽葉が声を上げた。
 教室から飛び出す女子高生達に、彼女は外へと逃げるよう促す。
「皆さん、落ち着いてください。皆さんを助けに来ました!」
 大声で呼びかけるラインハルトもほぼ下着姿の生徒達へと身体を覆い隠すことができるバスタオルを渡しつつ、彼女達を外へと誘導して行く。
 ユーシスもオークの触手からうまく逃れていた生徒に毛布を差し出しつつ、入り口へと向かわせていた。
「入り口と逆方向に敵を誘うよう、頼むわ」
 そんなユーシスの要望に応えるように、水咲が相手の気を引く。
「こんな可愛い娘を、拉致監禁暴行とか諸々やろうっていうオークは許せんね」
 身を挺して女の子の将来を守ると意気込むガドも、それに倣う。
 起伏が非常に小さいガドの体を見たオーク数体。そいつらがこころなしかやる気のないように、ガドは感じて。
「ん? どうしたお前ら。なんだその目は。なんだお前。やるんか」
 理由は異なるが、怒りのままにオークへと向かうのは、藍も同じ。
「何しやがるかな! この豚ども! ボクが相手するニャ」
 身を張っていた制服姿の彼女は、生徒を捕えたオークの触手へと殴りかかりながら声を荒げて。
「ブヒヒヒッ」
 触手に女子高生を絡めたまま、そのオークは藍も我が物にしようと触手を伸ばすのである。

●オークによる測定は断固拒否!
 多数のオークが現れた、測定場となる教室。
 そこではすでに、数人の女子生徒がオークの触手に捕らわれていた。
「落ち着いて逃げれば、大丈夫。さ、あっちだよ」
 避難班となる陽葉が隣人力を活かし、教室外に逃げることができた女子生徒を安心させつつ現場から離れるよう誘導していく。
「諦めたらダメだよ、全力でこの場から逃げるんだよ!」
 教室内では晴香が捕まった女子生徒の解放の為、両腕のオープンフィンガーグローブから重力震動波を発してオークを牽制していく。
 ただ、彼女もまたオークの狙いの範疇。
 絡みつく触手の感触に、晴香は気持ち悪さを覚えて。
「オークとの戦いは、何度やっても『慣れ』ないね」
 しかしながら、相手の触手に何かを呼び起こされているようで、彼女は身体を火照らせてしまう。
 できるだけオークを教室奥側へと引き付けつつ、水咲もエクトプラズムで作った擬似肉体でオークの触手に対する防壁を張って行く。
 その水咲から支援を受ける藍が生徒を守ろうと身を張り、彼女達を捕らえる触手を殴りつける。
「女子高生の皆さんに手出しはさせませんっ!」
 戦う為に魔法少女に変身したいましろだったが、今なお、触手に絡めとられた下着姿の生徒達がいた。
 オークの気を引く為、下着姿のまま囮となる必要があると、ましろは素肌を晒して戦う。
 狙い通り、相手のぬめぬめした触手が彼女の身体……胸や腰、そして、お尻に絡んでくる。
「あっ、いやっ」
 まるで、触手はましろの3サイズを測ろうとしているようにも見えた。
「おい、遠慮すんなよ。来いよ」
 近場で相手の気を引くガドは、相手から雑な扱いを受けている気がしてならない。
 実際、オークの視線は時折、服を破かれたユーシスにも向いていたようだ。
「理に背く者共よ……大地より飛び立つ雷竜に穿たれるがよい!」
 ユーシスはオークの足元からドラゴンの幻影を放ち、天に昇る幻影と雷が相手の体を貫く。
 その所作を行うユーシスの破けた白衣やストッキングから、素肌が覗いていた。
 それらに、オークが鼻息を荒くしている様にガドには思えて。
「自分がやられて嫌なことを、憎い敵にはガンガンやれってのが、ウチの家訓やな」
 ガドは黄金の槍の力で金色の棘鞭に変化させたスライムで、敵陣のオーク達の体を縛りつけていく。
 その攻撃と態度に憤慨したのか、数体のオークが彼女に注意を向けていたようだ。
 程なくして、触手から逃れた女子生徒が全員室内へと逃れる。
「もし願うのなら 願うのなら 引き金を引いてみせてよ……♪」
 生徒の避難に当たっていた陽葉は回復役として参戦し、触手に苛まれる仲間の為に歌声を響かせていた。
 次に目指すは、捕まってしまった全生徒の解放。
 ラインハルトもそれは分かっているのだが、如何せんこの場の女性達は半裸に近い状態だ。
「ど……、Don't get so cocky!」
 顔を真っ赤にさせたラインハルト。
 彼はできるだけ自我を保とうとして悠然と振る舞おうとするが……、どう見ても困惑した様子で喰霊刀を抜き放つ。
 空間を飛ぶような斬撃は、オークの触手を斬り飛ばす。
 そうして、女子生徒を解放していくのだが、その間、ケルベロスも触手に耐えることになる。
「ブヒッ、ブヒヒッ」
「お、おねがいします。そこは……そこだけは、あ、あぅああぁぁ!!」
 パンツを触手に剥ぎ取られそうになる水咲は、太股に別の触手が忍び寄るのを感じて。
「ひぁ!? ち、ちがいます、感じてなんか……かん、んんんっ!?」
 触手に身体のあちこちを擦られ、水咲は思わずあえいでしまう。
 同じく、ブラジャーをずらそうとした触手にましろは艶かしい声を上げて。
「いやぁ、そんなとこ、だめぇっ……」
 別の触手がまるで聴診器のようにささやかな胸をまさぐってくるのに、ましろは恥ずかしさを覚えてしまう。
 そして、大きな胸にしっかりと触手を絡まれた藍。
「はぅぅ、そ、そこは、弱い、よ……。んぅぅ、が、がま、ん……」
 ボロボロになる制服からきわどい部分が露出しそうになるのを隠し、藍は恥辱に耐える。
 そこで、ガドが振るった槍の一撃が触手を斬り飛ばし、最後の女子生徒が逃れた。
 それと同時に、藍は縛霊手より巨大光弾を発していく。
「ここから先は、お仕置きタイムの時間にゃ」
 近場のオークの体に痺れを与え、藍は大きく胸を張って。
「女性に恥をかかした報いをたっぷり味わうニャ!」
 痺れを覚えて態勢を崩すオーク。ここからはケルベロスのターンだ。

「封印解放っ!」
 その一声で狙撃特化型魔法少女へと変身したましろは、魔法のステッキ(遠距離狙撃型)から凍結光線をオークどもへと浴びせかける。
 オークの怒りを買っていたガドだったが、それ以上にも怒りを漲らせる彼女は気咬弾を浴びせた相手へ、黄金の槍で叩ききって確実にトドメを刺していく。
 ラインハルトも無数の霊体を憑依させた喰霊刀で、オークの首をことごとく撥ねていった。
 彼が顔を赤くしているのは、オークの触手に含まれる成分の影響もあるが、それ以上に、仲間である女性達の露出がかなり激しくなっていたからだろう。
「大丈夫。何度だって癒してあげる」
 そんな状態の仲間達の癒しの為に、陽葉は自身のグラビティ・チェインを無数の葉に変えて仲間を包み込む。
 水咲も、ボディヒーリングで仲間の強化支援に当たっていた。
 時折、水咲はバスターライフルよりエネルギー光弾を射出し、触手ごとオークの体を吹っ飛ばす。
 そばでは、藍が己の指と蹴りで、弱った相手を確実に地面へと沈めて行く。
 その様子はまさに、鎧袖一触。
「地獄の底でたっぷり反省するにゃ」
 泡を吹いて崩れ落ちるオークに、藍は言い放つ。
 敵の数が減ってくれば、女の子を汚そうとしたオークに対して陽葉も攻勢に出て。
「ここでお前たち全員倒すよ。懺悔は地獄でしてね」
 携えた金烏の弓から陽葉は素早く矢を射て、相手の頭を貫いていた。
 女子高生を巻き込まずに済むと、ユーシスも周囲に構うことなく氷河期の精霊を呼び出して敵陣を氷に閉ざし、幾体かをそのまま絶命させる。
 それでもしぶとく生き残った1体には、晴香が迫って。
「私の投げから逃げられると思ったら、大間違いよ!」
 相手の銃身を崩すように抱えた彼女は鍛え上げた足腰、背筋を活かし、大きく後方へと反り投げる。
 首をへし折るほどの衝撃で、晴香はオークを床へと叩き付けた。
「ブヒィィィ……」
 だらりと垂らす触手が動くことはもうなく、彼女は完全にオークをノックアウトしたのだった。

●再開される身体測定
 ケルベロス達は事後処理に当たる中、ラインハルトは申し訳なさそうに仲間へとバスタオルを差し出す。
「その、お疲れ様でした」
 ただ、この場の女性達は仲間も女子高生達も皆、あられもない姿となってしまっている。
 ふくよかな胸、むっちりとしたヒップ。どこを見ても視線を奪われそうになってしまうと感じたラインハルトは、無理やり目を背けようとしていた。
 その最中も、ユーシスが満月を思わせるエネルギー光球で床に開いた穴を塞ぎ、藍も手作業で修繕の手伝いを行う。
 手早くケルベロス達が作業を終えたことで、身体測定が再開する。
 晴香はそのまま最後まで見学し、見所がありそうな生徒に名刺を渡してスカウトしていたようだ。
「えー、これより、保険体育の授業を行います」
 ガドはなぜか事後処理に当たる先生の代わりに、被害に遭ったクラスの授業を小一時間受け持つことに。
「うちを見てみろ、20代後半でコレやで。うちみたいになるな」
 ――3年B組ぃー金髪せんせーい!
 そんなノリで小一時間語ったガドが授業後に帰ろうとすると、彼女と似た境遇の生徒達が泣きながら花束を手渡す。
 その中には、転校生のまま流れで測定するハメとなったましろの姿も。
 ――去年よりも成長してますように。
 そんな願いも儚く。
 身長も胸もまるで変化のない自身の体に愕然としたましろは、その学生達やガドと共に、悲しみをしばらく分かち合っていたのだった。

作者:なちゅい 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年5月19日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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