死合わせな街路樹

作者:Oh-No


 風に流されて、花粉が空を舞う。落ち着いた先は、立派な枝を広げた街路樹のケヤキ。そんなとくに変わり映えがしない、幾らでもあるだろう光景は、その直後に起きた事象で日常から分岐する。
 通りすがった散歩人がまず目にしたのは、盛り上がる敷石だった。そして重そうな敷石を跳ね除けて、その下から蠢く根が這い出てきた。
 耳障りにざわめく音が気になって上を見れば、大きく広がった枝が不気味に揺らめいていた。それも目の前の一本だけではない。周囲の数本が同調して、揺れる。まるで悪夢のなかにいるような目眩を覚えて、散歩人は後ずさる。
 そんな散歩人をあざ笑うかのように、動き出したケヤキ達は大きく枝を揺らした。すると枝から眩い緑の若葉が、矢のように乱れ飛ぶ。
 ――その葉はありえないほどに鋭利で、葉の洗礼を浴びた散歩人は血の海の中に沈んでいた。


「ケヤキという木は、『際立って目立つ』という『けやけし』という言葉が語源らしいね。その名の通り、美しい木だと思う」
 ユカリ・クリスティ(ヴァルキュリアのヘリオライダー・en0176)は、ゆっくりとした口調で語りはじめた。
「ケヤキはよく街路樹に使われていたりするのだけれど、今回対処してほしい相手もそうした街路樹さ」
 手元の資料に目を落とし、続ける。
「大阪市中心部にある遊歩道の街路樹が、攻性植物化して暴れ出す。爆殖核爆砕戦の結果、攻性植物達は大阪城周辺に抑え込まれていたはずだったんだけれど、どうも彼らが動き出したらしい。似たような事件が大阪市内で頻発していることから考えて、一般人を市内から追い出すことで、拠点拡大を狙っていると思われている」
 そこで面を上げたユカリは、いつもどおりに力強い視線を皆に向けた。
「大規模な侵攻というわけじゃない。だからといって放置すれば、ゲート破壊成功率も漸減してしまうだろう。主導権を握るためにも、何よりまずは敵の浸透を排除することが必要だ。その上で、探り出した隙に、強烈な反撃を叩き込めれば最上さ。
 で、どうやって敵の敵の浸透を排除するかなんだけど」
 と、ユカリは今回の事件の詳細に触れる。
 最初にユカリが言ったように、今回の敵はケヤキの攻性植物である。謎の胞子によって市街地に攻性植物が複数誕生し、その数は4体。遭遇した一般人を殺そうとするため、状況は危険だ。ただ、誕生した攻性植物たちはまとまって動き、逃走なども図らないため対処は難しくないだろうという。
「そうだとしてもね、4体という数は単純に脅威でもある。その上、同時に発生したせいか互いに連携も取れているようだ。あまり甘く見ることは避けるべきだ、と思うよ」
 攻性植物と化すケヤキは道幅の広い遊歩道の両脇に、数メートルの間隔を空けて並んで植わっている。それらのうち、両脇から2本ずつ、都合近くにある4本が攻性植物と化す。
 時間は正午近く。普段であれば人通りも多い頃合いだが、事前に周囲を封鎖できるため、一般人を気にする必要はない。
 攻性植物の攻撃は、若葉を散らし、手裏剣のように周囲を攻撃する。根を振り上げて、叩きつける。広範囲に表出した根を絡ませて、足止めを図る、の3通りだ。
 攻性植物の中にとくにリーダー的存在はいないらしい。同様に指令塔もいないと考えたほうが良さそうだ。
「連携……ね。どれほどのものか、見せてもらうとしようか」
 静かに聞いていた、ギルバート・ハートロック(シャドウエルフのガンスリンガー・en0021)が、帽子の縁を掴んで皮肉げに笑う。
「ああ、その上で皆の力が如何ほどか、是非とも見せつけてきて欲しいな。じゃあ頼んだよ」
 ユカリはギルバートの言葉に頷き、大きく笑い返した。


参加者
エリオット・シャルトリュー(イカロス・e01740)
ファルケ・ファイアストン(黒妖犬・e02079)
フィー・フリューア(赤い救急箱・e05301)
タクティ・ハーロット(重力喰尽晶龍・e06699)
マユ・エンラ(継ぎし祈り・e11555)
マイヤ・マルヴァレフ(オラトリオのブレイズキャリバー・e18289)
レオン・ヴァーミリオン(火の無い灰・e19411)
アレックス・アストライア(煌剣の爽騎士・e25497)

■リプレイ


 封鎖が完了した街路は静かだ。広々とした明るい並木道に人の姿はなく、開放感のある風景のただ中を、初夏の気持ちのいい風が吹き抜けていった。
「今このとき、この道は僕らの貸し切りってわけだねぇ」
 ファルケ・ファイアストン(黒妖犬・e02079)は、風に飛ばされぬようハットを抑えて微笑む。
「十分味わっておくと良いんだぜ。間もなく騒がしくなって、そんな気分は吹き飛んじまう」
 タクティ・ハーロット(重力喰尽晶龍・e06699)が応じると、相棒のミミックが蓋を開閉させた。同意の印だろうか。
 道の左右にならぶケヤキは、いずれも立派な枝振りを示して佇んでいる。フィー・フリューア(赤い救急箱・e05301)は、その姿を見上げて口を開いた。
「ケヤキの花言葉を知っているかい?」
「花らしい花は咲かないはずだが」
 フィーの言葉に、ギルバート・ハートロック(シャドウエルフのガンスリンガー・en0021)が訝しげに応じる。
「それでもあるのさ。なんでも『幸運』もしくは『長寿』らしい」
「ふむ、それは知らなかった」
「見目にも華やかで、古来より親しまれる木には相応しい言葉だと思う。まして、街路樹として人を見守り、愛されてきた木が、人を害することに使われるなんて許せないだろう? ――そんな事させないから」
 押し殺したようなつぶやきに、フィーの深い憤りが籠もっている。

「それにしても最近、攻性植物の動きが活発なのは、やっぱり春だから、かな?」
 と、マイヤ・マルヴァレフ(オラトリオのブレイズキャリバー・e18289)が呟く。
「若芽が芽吹くように攻性植物も、ってかい?」
 シスター風の装束へと衣を変じ、白翼と髪を彩る千日紅を顕にしたマユ・エンラ(継ぎし祈り・e11555)は、肩をすくめてみせる。
「様々な植物が芽吹く季節にしてもだ、こんな危ないものはお呼びじゃないよ」
 エリオット・シャルトリュー(イカロス・e01740)は、吐き捨てるように言った。
「あるいは、芽吹き出した植物を利用してるってことかもしれないが。まあ、どうでもいいな。どうあってもやるこたぁ、一つだ!」
 大斧を肩に担いで準備万端なマユは、蠢き出したケヤキを睨みつけている。
「そうだね、うじゃうじゃ増えるとすごく困るから、しっかり片付けておきたいよ」
 マイヤはドレッドヘアを揺らして、傍らの相棒と頷きあった。
「準備はいいかい? なに、可愛い君たちは俺が必ず守るとも」
 アレックス・アストライア(煌剣の爽騎士・e25497)は、女性陣にとっておきの微笑みを飛ばしてから、天秤の力を宿した愛剣を抜き放つ。
 レオン・ヴァーミリオン(火の無い灰・e19411)は、仲間たちの姿を一瞥して準備万端であることを確かめた。それから気取った仕草で手にした杖の先を肩に乗せ、静かにケヤキに向き直る。
「よろしい、ならば剪定だ。派手にいこうじゃないか、諸君」
 そう言うレオンの口の端は、これから始まる闘争に早くも酔ってか、禍々しく釣り上がっていた。


「物語の結末には、幸いがあるべきだって思わないかい? だからみんな、頼むよ」
 フィーの両手が指揮を執れば、幻想の光景が溢れ出す。楽器を手にした小動物や人形たちが、1体ずつ現れては演奏に加わって、華やかな音楽を奏でた。その調べは、戦う者たちを邪なものからきっと守るだろう。
 フィーが見つめる先では、4体のケヤキたちがついに大きく動き出していた。
 奥に位置する2体が、大きく広がった枝を小刻みに揺らす。すると溢れた数多の若葉が、意志を持つかのように、遥か高くから次第に速度を増して滑り落ちてきた。地面に達すれば、そのまま突き刺さる鋭さの刃だ。
 接近するケルベロスたちを牽制するかのように放たれた刃を前に、
「そんなの効かないんだぜ……!」
 左腕の篭手を突き出したタクティが立ち塞がって、仲間たちの壁となる。
 そして、もうひとり。
「男ばかりの前衛なんてほっときたいけど、今日はサービスだぞ!」
 アレックスは抜き放ったゾディアックソードで飛び交う若葉を切り払い、傷つきながらも道を拓いた。
 密度が薄くなった若葉の下を、ファルケがジグザグに走る。剣呑な刃をくぐり抜けて幹まで迫る間に、トリガーガードに引っ掛けた指先で銃を回し、銃身を軽く握る。
「いっちょ燃やしてみせますか!」
 軽い調子でつぶやき、地獄の炎で包まれた銃把を、手前にいたケヤキの節くれだった幹へと叩きつけた。
 さらに、大斧を担いで飛び込んできたマユが、翻るシスター服の奥に白い肌を覗かせならの回転蹴りを放つ。
「そら、吹き飛びな!」
 スイングする足先が幹に吸い込まれ――、返ってきたのは重い反動。
(「ち、さすがに重いな……!」)
 位置をずらして連携を阻害できればと思ったが、根を張った木相手には些か分が悪いところだ。
「そういうのは、僕に任せておきなよ。――キミはもう何処へも行けない」
 薄く笑ったレオンが、薄暗い呪を唱えながら杖を振り下ろす。
「ここで腐れて沈んでいけ、塵でしかない我が身のように」
 杖が幹へと叩きつけられて、甲高い音を奏でる。その音に誘われるように、周囲を取り囲む影から伸びた鎖が地を這いずって、ケヤキの根を絡みとる。
「足が止まったところで、その枝を頂こう」
 好機と見たエリオットは、捻った身体をバネのようにして斧を鋭く繰りだした。
 しかし、その一撃は地下から跳ね上がった太い根が代わりに受け止める。視線を返せば、足止めを受けたケヤキとは別の1体が近づいてきていた。
「ちっとは連携できるってか? ……油断は出来んか」
 エリオットは不意の一撃に体勢を崩されながらも、追撃を斧の腹で受け流しつつのバックステップで距離を取る。

 ――ドンッ!

 その開いた空間に突如広がった爆風が、指向性を持ってケヤキたちを襲った。マイヤが仕掛けた、『見えない地雷』の爆発だ。
「ラーシュ!」
 そして、小さな天球儀を胸元で抱えたマイヤと、彼女の相棒の視線が交錯する。
「わたし達のコンビネーションもみせてあげる!」
 マイヤの声が響く中、正しく主の意図を汲んだボクスドラゴンは大きく息を吸い込んで、激しいブレスを吐き出した。
 奔ったブレスは主が生み出した爆風に重なり、攻性植物と化したケヤキたちをその場に押し止める力となる。


 戦いは双方が入り乱れる展開となった。一見ケヤキは鈍重そうだが、頻繁に飛んでくる若葉と、時に地面を裂いて繰り出される根の一撃が重い。
 今もまた、狙いすました一撃を放ったファルケと、その一撃を受けながらもなおケヤキが叩き込んできた太い根が相打ちとなり、ファルケが吹き飛んだように見えた。
「おっと、大丈夫かい?」
「なあに、問題ない。自分から飛んだだけさ」
 ギルバートのヒールを受けたファルケは、ハットについた砂を払いつつ、軽い調子で立ち上がる。
「さあ、もうひと頑張りだよ。物語が盛り上がるのは、ここからだろう?」
 赤ずきんの装束を纏ったフィーは変わらず後方から、幻想の楽団を指揮し奏でる音楽で、仲間たちを鼓舞している。
「フィー、ありがとね。うん、まだまだ戦える」
 その力を受けてマイヤは、街路を再び駆け出した。速度が乗ったところで、流星の煌めきとともに高く飛ぶ。ケヤキはそちらに意識が引かれたか、蠢く根を持ち上げて迎撃の構えを見せた。
 その意識の隙をついて、ボクスドラゴンがタックルを仕掛けた。直後に主人の飛び蹴りが、上空からケヤキに着弾する。上下からの二撃を受け、ケヤキは確かに傾いだ。
 マユは追撃を叩き込むべく、距離を詰めにかかった。その動きを牽制するように、別のケヤキから葉刃の嵐が、ケルベロスたちへと浴びせられる。
 飛び交う刃が身を削る。顔面をかばう手が血に染まる。
 けれど、マユは足を止めない。斧を握る手を身体で隠し、傷つくことを恐れず、さらに走る速度を上げる。
「そんなものであたしの足を止められると思ったか? おらよ、地に堕ちやがれ!」
 そして間合いに捉えたケヤキへと、愛用のルーンアックスを振り下ろす。あらん限りの魔力が込められた刃が、風を巻いて幹へと叩き落とされる。
「あたしは木こりってわけじゃあねえ。だが、切り倒す位は出来るってもんだ!」
 振り抜いたルーンアックスの慣性を上手くいなしながら、荒っぽい笑みを浮かべたマユの背後で、ケヤキは真っ二つになって倒れた。

「まずは1体か。俺もいいとこ見せないとな」
 敵を倒したところを横目で見て、アレックスはひとりごちた。
「おう、俺が見ていてやるんだぜ」
「何が悲しくて、男に見せないといけないんだよ」
 タクティと軽口を叩きあいつつ、ゾディアックソードを構え直す。
「いいじゃねえか、誰も見てないよりはよ」
 言いざま、エリオットが一気にケヤキの間合いに踏み込んだ。ケヤキは太い根を横殴りに振るい、エリオットを迎撃しようとしたが、離れた間合いから放たれた雷を受け、動きが鈍る。
「連携が得意らしいが、僕ら番犬としてはだ、負けちゃいられないよ」
 帯電が残る杖をケヤキに向けた姿で、レオンが不敵に笑っていた。
 エリオットは身を沈め、根を躱す。髪が僅かに、根と擦れた気がする。先ほどは割り込みが入った。だが、今度こそ。
 体勢は傾いていたけれど、手にした斧を地面について身を支える。勢いは殺さずに、右足が纏う地獄の炎を地面に叩きつけた。
「黒炎の地獄鳥よ、我が敵を穿て!」
 漆黒の炎が路面を燃やし、燃え上がる。そのただ中から、エリオットの地獄が怪鳥の姿を取って解き放たれる。
 姿の内に地獄を詰め込まれた怪鳥は、翼をはためかせ、一直線にケヤキへと向かった。纏う炎でケヤキを焦がしながら、大きく幹を削り取る。
「もう一発、行くんだぜ」
 間髪入れずに接近したタクティが、残った幹に掌を当てる。送り込まれたオーラが、その幹をまたたく間に晶化させていく――。
 直後に、腰を回して腕を引く。右の手が拳を握る。
「叩き割らせてもらうんだぜ!」
 全身の力を込めて放った直突きが、結晶化したケヤキを砕く。
「まだ動くか? なら、俺が審判を下してやるよ」
 後方では、アレックスが気を高め、機を伺っていた。手にした剣が、淡く燐光を放っている。その光が急速に輝きを増していき――。
「問わん。我が一撃は審判の一撃。汝に義あるか、理あるか」
 振るわれた剣から全てを飲み込む重力が、波濤となって放たれた。光さえも飲み込んで、漆黒の鮮やかさがケヤキを真っ二つに切り裂いた。

 残る2体をアレックスは睥睨してうそぶく。
「しかし、ちょっとばかり単調じゃあないかい? 強烈に抵抗されるよりは、ありがたいけどね」
 楽勝とまでは行かなかったものの、事前に得た情報から組み立てた思惑通りに、おおよそが進んでいた。相手は数を半分に減らし、一方のケルベロスは全員が健在だ。
 こうなってしまえば、流れは変わりようもない。残された攻性植物たちが、ケルベロスの前に倒れ伏したのは、それから程なくのことだった。


 先ほどまでの喧騒が嘘のように静穏を取り戻した街路で、ケルベロスたちは一息ついた。
「お疲れさま、ラーシュも頑張ったね」
 マイヤはぺたんと座り込んだ相棒を胸に抱き上げて、頬を寄せた。それから、急に思いついたように周囲を慌てて見回し始める。
「ねえねえ、胞子とか飛んでない? 大丈夫?」
「死に際に変な胞子をばら撒くって攻性植物の話? さっきのケヤキがそうだったのかどうかは、僕も気になるねぇ。サンプルが取れれば良かったんだけど」
 レオンが心持ち残念そうに言う。攻性植物と化したケヤキの残骸は、すでに溶けるように消え去っていた。
「あー、どうなんだ? あたしには見えねえけど」
 髪に手をやりながら、マユは目を細める。けれど、とくに何かが見えるわけでもない。
「女の子が悲しむ可能性があるなら、それは放っておけないな」
 アレックスは彼らしい心配をしながら、僅かに残った葉を拾い上げるが、何の変哲もないただの葉だった。
「……たぶん、大丈夫なんだぜ。普通の攻性植物と特に差はなかったみたいだしな」
 タクティはそういった可能性を考えて、予め観察をしていたから胞子を撒き散らした可能性を否定した。
「そっか、なら安心だね」
 すこし慌てていたマイヤは、皆の落ち着いたさまを見て胸をなでおろす。
「あとは、暴れて壊しちまった分を直しとかねえとな」
 ケヤキは消え去ってしまったとはいえ、戦いの痕は確実に残っている。とくに路面はあちらこちらで裂け、舗装は裏返りとひどい状況だ。マユは率先して街路を直し始める。
「そうだな。ほとんどはケヤキが暴れまわった跡とはいえ、奴らに片付けさせることも出来んしな」
 エリオットが口にした冗談交じりのつぶやきに笑みを返しつつ、皆で周囲を片付ける。

 そして、片付けが終わった後、フィーはぽっかりと4箇所だけ空いているケヤキが生えていた土を、感慨深げに見下ろしていた。
「ヒールで舗装やら何やらは直っても、ケヤキの木は戻らないねぇ。でもやっぱり、ここの跡にはケヤキを植えてほしいな」
「その新しい木がまた攻性植物とはならないように、事件を解決しておきたいな。そうじゃなきゃ、また繰り返しになってしまうもんな」
 ファルケは大阪城がある方角へ目を向けて、決意を語る。
「まったく、いやだねぇ……、植物が襲ってくるとかB級パニックホラーでもあるまいに。さっさと片付けないといかんよねぇ」
 レオンも、ちらと同じ方向を見て、大仰に天を仰いだ。
「ま、静かに仕掛けの根を伸ばしてくるあたり、植物らしいっちゃあらしいがね。度が過ぎるなら、切るしかあるまい」
 攻性植物側がゲートを守ろうと画策している内容を評しつつも、それを阻止する意志はエリオットも同じだ。
「それに、植物はわたしたちの身近にあって、時にはその姿で癒してくれもする存在だもの。そんな緑に襲われたら……。攻性植物となってしまったものは、わたし達が摘み取っていかないと!」
 倒したケヤキも周囲の市民にとっては、憩いの場だったはず。そんな街路樹が変異した姿は市民に見せたくはないと、マイヤは思う。
 日差しを遮る街路樹が消えた遊歩道の片隅で、燦々と降り注ぐ陽光を浴びながら、ケルベロスたちは思いを新たにしたのだった。

作者:Oh-No 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年5月23日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 6/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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