共食いではない!大正義だ!!

作者:鏡水面

●大好物
 平日のお昼時。午前の仕事を終えて休憩に入った彼女は、昼食を済ませるために最寄りのハンバーガーショップへと向かっていた。
 ハンバーガーはお持ち帰りもできるし、早く食べれるから短い休憩時間にはちょうどいい。それに、あの場所には彼女が愛してやまないものがある。
(「ああ……今日もいつものテリヤキチキンバーガーを頼もうかな」)
 ハンバーガーのお店に行ったときは、8割テリヤキチキンバーガーを頼む。期間限定商品に興味を抱いた場合を除き、注文するハンバーガーは、ほぼテリヤキチキンバーガーだ。それだけテリヤキチキンバーガーを愛しているのだ。
 ハンバーガーショップの前に掛けられた看板を見て、彼女はカッと大きく目を見開いた。
 『期間限定・メガ盛りテリヤキチキンバーガー』。
 期間限定という価値が付加された上に、テリヤキチキンバーガーだとう!? これは素晴らしい……! 私に「食べろ」と言っているようなものじゃない!
 天に舞い上がるような心地に彼女は瞳をキラキラと輝かせる。
 企画してくれた人ありがとう、テリヤキチキンバーガーを生み出してくれた人ありがとう、テリヤキチキンバーガーバンザイ、テリヤキチキンバーガーバンザイ! テリヤキチキンバーガーこそ大正義!
 感情が昂ると同時に、体の奥からエネルギーが急速に膨れ上がる。直後、彼女の体が光に包まれて、瞬く間に鳥と人間を融合させたような姿……ビルシャナへと変貌していた。
「テリヤキチキンバーガーこそ、大正義!!!!!!」

●大正義
「あの鳥っぽい見た目でテリヤキチキンバーガーが大好きとか、色々ツッコミたいところはあるっすけど、とりあえずそのへんは置いておくっす!」
 黒瀬・ダンテ(オラトリオのヘリオライダー・en0004)の話によると、個人的な趣味趣向による『大正義』を目の当たりにした一般人……普通の会社員だった鳩山琴子という女性が、街中でビルシャナ化してしまう事件が起きるらしい。ビルシャナ化するのは、その事柄に強いこだわりを持ち、『大正義』であると信じる、強い心の持ち主だ。
「このまま放置すると、その大正義の心で一般人を信者化して、同じ大正義の心を持つビルシャナを生み出していくっす。皆さんには、そうなる前に撃破して欲しいっす!」
 なお、現場である飲食店街にて張り込むことは可能だが、ビルシャナ化を阻止することはできない。阻止してしまうと別のタイミングでビルシャナ化してしまい、予知できずに被害が拡大する危険性が高いからだ。
「周囲の一般人を信者にしてビルシャナを増やさせないように、戦闘前に一般人を避難させる必要があるっす。なんとか鳩山さんの気を引いて、その間に避難させて欲しいっす!」
 大正義ビルシャナは、ケルベロスが戦闘行動を取らない限り、自分の大正義に対して賛成する意見であろうと反論する意見であろうと、意見を言われれば、それに反応してしまう習性があるようだ。この習性をうまく利用すれば、一般人を安全に避難させられるかもしれない。
 ただし、どんな意見であっても、本気の意見を叩きつけなければ、ケルベロスではなく他の一般人に向かって、大正義を主張し始めてしまうおそれがある。議論を挑む場合は、真剣に挑む必要があるだろう。
 現状で判明しているビルシャナの戦闘能力についての資料を手渡しながら、ダンテは言葉を続ける。
「現場は飲食店街でちょうどお昼時だから、かなり人が多いっす。車が入れない歩行者空間だから、その点ではまだマシかもしれないっすね。避難誘導時は、できるだけグラビティを使わずに避難させて欲しいっす」
 能力を使って避難させようとした場合、鳩山が戦闘行為と判断してしまう危険性がある。そうなれば、一般人を避難させる余裕はなくなってしまうだろう。
 大正義を信じて疑わない鳩山を説得することは不可能であり、戦って撃破するしかない以上、一般人は何としてでも避難させたい。
「大変な仕事になると思うっすけど、無事に事件を解決してほしいっす! よろしくお願いします!」
 ダンテは緊張した面持ちでケルベロスたちを見つめたあと、深々と頭を下げた。


参加者
フェクト・シュローダー(レッツゴッド・e00357)
デフェール・グラッジ(ペネトレイトバレット・e02355)
如月・環(プライドバウト・e29408)
月井・未明(彼誰時・e30287)
空野・紀美(ソラノキミ・e35685)
鮫洲・紗羅沙(ふわふわ銀狐巫女さん・e40779)
四方守・結(精神一到・e44968)
春乃・ツクシ(癒しの風・e56846)

■リプレイ

●テリヤキチキン論
 昼時の飲食店街は、食べ物の香りと人々で賑わっていた。ビルシャナ化してしまった琴子の前へと、ケルベロスたちは姿を現す。
 四方守・結(精神一到・e44968)は琴子の正面に立ち、真剣な面持ちで琴子を見据えた。
「キミとテリヤキンチキンバーガーについて議論を交わしに来た。少々付き合ってもらおうか」
「私と議論したいと? ほう、話を聞きましょう」
 琴子はケルベロスたちに興味を示したようだ。フェクト・シュローダー(レッツゴッド・e00357)は太陽のような笑みを浮かべる。
「君ならそう言ってくれると信じてたよ! 対話してこその神様だもんね! 思う存分語り合おう!」
 かくして議論は幕を開ける。空野・紀美(ソラノキミ・e35685)は瞳をキラキラさせながら、琴子へと話しかけた。
「わたしね、テリヤキチキンとポテトとコーラのセットがいちばんすき! おねえさんは? 単品派? セット派?」
 紀美の問いに、琴子が生き生きと返す。
「単品もいいけど、そのセットも王道感あって最高! オニオンリングもあるとさらにグッド……」
 春乃・ツクシ(癒しの風・e56846)は議論の様子を確認したあと、すぐに周囲の一般人へと目を向ける。
「いい具合に議論を始められたようですね。今のうちに、一般人さんを避難させましょう」
 ツクシの言葉に、如月・環(プライドバウト・e29408)が頷く。
「任せとけ! オラ、シハン! さっさと皆の誘導を手伝いやがれ!」
 環の声に、シハンは道路に座り込んだ。
「ニャオ……」
「腹が減って力がでねぇ!? くっ、依頼が終わったらハンバーガーでも……」
「シューッ」
「あぁっ!? 寿司がいい!? 昨日も食ったろうがコンチクショー!」
 シハンは欠伸をしながらも、渋々立ち上がった。
「オラオラ、ケルベロスのお通りだ! 死にたく無けりゃこっから逃げるんだな!」
 デフェール・グラッジ(ペネトレイトバレット・e02355)は拡声器を片手に、人々へと避難するように伝える。大きな声に、キーンと拡声器が鳴り響いた。
「皆さん、こちらから避難してください。落ち着いて、順番にお願いします!」
 ツクシの声に合わせ、リンゴがぱたぱたと飛びながら一般人を誘導する。
 一般人を誘導する間も、琴子との議論は続く。テリヤキチキンバーガーの素晴らしさを語る琴子に、鮫洲・紗羅沙(ふわふわ銀狐巫女さん・e40779)がふと首を傾げた。
「でも、以前は残りの2割は別の物を選んでいたのですね~? それは何ででしょう~?いつも同じものじゃ飽きるという事ですよね~?」
「それは、い、痛いところを」
 紗羅沙の指摘に、琴子はギクリとする。言葉を詰まらせた琴子に、月井・未明(彼誰時・e30287)が淡々と続けた。
「ファーストフードは手軽さ、多彩さが売りだろう。鶏の気分の日も、豚の気分の日も、牛の気分の日もある。目玉焼き付きやチーズマシマシに心惹かれることもあろう」
 紀美がこくこくと頷いた。
「わかる! いつも同じのだとあきちゃうし、他のも試したくなるんだよねぇ。とくに新商品! 新商品って聞くだけでわくわくしちゃうでしょ? いつも変わらない味は、新しいものにはよわいよねぇ」
 未明は至って真摯な表情で、琴子へと語りかける。
「熟考の末ならテリヤキチキンも良かろう。……しかし、機械的に押しつける今のきみは、ハンバーガーという肥沃な大地を見失なってはいまいか」
「肥沃な大地……ハンバーガーには大いなる可能性があると……」
「そうだよ! テリヤキチキンバーガーも美味しいけど、エビカツバーガーも美味しいよ! プリプリのエビとパンとタルタルソースのハーモニーがゴッチ(ゴッド・マッチの略)するんだ! ……こうやったら、もっと美味しくなると思わない?」
 フェクトはあらかじめ準備しておいたテリヤキチキンバーガーの上に、エビをのせてみせた。新たに誕生したテリエビチキンバーガーに琴子は驚愕する。
「魚介と肉の饗宴とな?! なんと贅沢な……禁忌じみたものを感じるッ」
「ハンバーガーは創造性があってこそです~。テリヤキしかない世界なんて、籠の中のブロイラーのように毎日同じものしか食べられない、つまらない世界だと思いますよ~?」
 優しく諭すように、紗羅沙が言葉を紡いだ。議論を締めくくるように、結がゆっくりと口を開いた。
「好きな物を好きというのは何も悪くない。それを他人に知ってもらい、共感を得ようとするのも悪くはない。だが、今の君にはテリヤキチキンバーガーしかないように見える。君の人生はそれだけなのか? 少しだけ、考えてみるといい」
 琴子はしばし沈黙した後、カッと目を見開く。
「他のバーガーも素晴らしいのは認めましょう。けれど、テリヤキチキンバーガーが一番なのは変わらない! これさえあれば、生きていける!」
 議論が終わりを見せたところで、避難活動を終えた面々が議論組の元へと戻ってきた。
「一般人さんの避難は終わりました。これで被害を出さずに戦えます」
 議論組へとツクシが手短に伝える。デフェールは鋭い瞳で琴子を見据えた。
「さあ、料理の時間だ。そこにちょうどいい鶏がいることだしよォ、こんがり丸焼きにしてやろうぜ」
 デフェールの言葉に、環が同意するように頷く。
「ダブルテリヤキチキンってか? ビルシャナのチキンとか美味しくなさそうッスねぇ」
「私がチキン? チキンではない! ビルシャナである!」
 琴子の主張に、デフェールが銃を構えながらニヤリと笑った。
「チキンみたいなもんだろうがよ、いっちょ前に共食いしやがって。テリヤキチキンバーガーうめぇのはわかるけどよ!」
 戦闘の気配を察知した琴子の纏う空気に殺気が帯びる。

●VSチキン
「かなりヤル気ッスね。こっちだって手加減しねえッスよ!」
 環は銀の猫模様が刻まれた円筒を握り締めた。ニャーッ、とシハンが鳴き声を上げる。同じタイミングで、味方の背後で爆風が吹き上げた。
「力が漲ってくる! 今なら何でもできそう!」
 フェクトは杖をくるりと一回転させて琴子へと構える。
「この力でぶっ飛ばしてやるッス!」
「おっけい! 私に任せといて!」
 環の言葉にフェクトは地面を蹴り、琴子へと急接近した。杖を振り翳し、力のかぎり琴子へと叩き込む。
「そう簡単に倒れるものか!」
 琴子は翼から炎を放った。炎に巻かれる中でも、憶することなくツクシは杖を掲げる。
「これ以上犠牲を出さないためにも、倒させてもらいます」
 圧縮したエネルギーを霊力の弾丸に変え、杖から撃ち放った。翼を前に広げ攻撃を耐える琴子の横側へ、紀美が回り込む。エアシューズから風を吹き上げ、宙へと飛び上がった。
「おねえさんには悪いけど、こうするしかないんだよね!」
 流星の煌めきを宿した蹴りを琴子へと叩き込んだ。衝撃に体を揺らす琴子へと、愛銃を手にデフェールが迫る。
「お前はここで死ぬ運命だ。ならせめて、きっちり調理してやるぜ!!」
 銃に炎を纏わせ、力任せに琴子を殴りつける。琴子は蛙の潰れたような声を上げた。
「グギャッ!」
「鶏肉は叩きゃ柔らかくなるって里桜が言ってたかんな!! 徹底的にぶん殴って柔らかくしてから焼いてやるぜ!!」
 デフェールの言葉に従うように、炎が琴子の羽を焼く。
「だから私はビルシャナであると言っているだろうが!」
 琴子が幾重もの光線を放った。苛烈な攻撃がケルベロスたちを攻撃する。
「激しい攻撃ですね……リンゴ、回復にまわってください」
「ガウッ!」
 ツクシの言葉にリンゴは翼を羽ばたかせ、治癒の力を降り注がせた。
「ビルシャナに転じた経緯がどうであれ、この破壊力……やはり放置できないな」
 至って冷静に紡ぐ未明に、紀美がこくりと頷きながら続ける。
「でも、だいすきなものをだいすきって言っただけで、こんなことになるなんてね」
 紀美の言葉に、結は複雑な表情で琴子を見やった。
「こうやってビルシャナは仲間を増やしていくわけか……残酷な話だ」
「お前たち、いい加減に私の邪魔をするな!」
 琴子が再び光線を放つ。降り注ぐ光線を跳ねるように躱しながら、未明は琴子に接近した。
「ミャア!」
 梅太郎が白い翼を広げて光を未明に注ぐ。未明は手にしたバールを強く握り締め、琴子へと叩き込んだ。
「正義の押しつけは暴力に過ぎないんだ。きみをこのままいかせるわけにはいかない」
「お前らを倒して、私はテリヤキチキンバーガーの素晴らしさを広める!」
 頑なに言うことを聞かない琴子に、紗羅沙が困ったように微笑む。
「テリヤキチキンバーガーを愛する力、恐るべしですね~。でも、そう簡単には負けませんよ~?」
 紗羅沙は花弁が揺れるような舞いを踊る。舞いと共に流れる優しい旋律が仲間たちを癒していく。
 紗羅沙のグラビティとタイミングを合わせるように、結は結界を展開した。四角形の結界が仲間を包囲し、内部を清浄な気で満たしていく。
「皆、疲労や傷は大丈夫か。まだ癒えていないようであれば言ってくれ」
 結の言葉に、フェクトが朗らかに返した。
「的確な回復のおかげでまだまだ元気いっぱいだよ! ありがとうね!」
「それは良かったです~。回復はこちらに任せて、思う存分暴れちゃってください~」
 紗羅沙はふわりと温かな笑みを浮かべる。
「しぶとい奴らね!」
 琴子は苛立ったように声を荒げ、立て続けに光線を発射する。
「本当は貴方も助けたかった。けれど、無理なんです。ごめんなさい」
 ツクシは琴子の光線を鋼の鬼と化した拳で跳ね返し、琴子の懐へと飛び込む。琴子の体へと重い打撃を叩き込み、殴り飛ばした。
「いったあああっ! 何するのよ!!」
 叫ぶ琴子に、ツクシは申し訳なさそうに眉を寄せる。
「そうですよね、痛いですよね……恨んでくださって構いませんから」
 琴子が放った光線が再びツクシへと飛ぶも、間に入ったシハンが受け止める。同時、環がカードを手に取り叫んだ。
「カードオープンッ、俺が選ぶは光の符ッ! 雷煌の輪よ、その光で我が敵を拘束しろぉッ!」
 描かれた雷の輪が具現化し、琴子へと飛んでいく。爆ぜる電流が、琴子の動きを鈍らせた。
「ギエエ! し、痺れる……だけど、まだよ!」
 翼を無理にばたつかせる琴子を眺めつつ、紗羅沙は幻楼燈火を発動する。
「思想だけじゃなく、見た目も自由のない鳥になってしまいましたね~」
 紗羅沙の周囲に生み出された青白い炎が空を駆けた。
「あなたを導く燈火となりましょう」
 紗羅沙の操る炎はデフェールへと舞い降りた。紗羅沙の秘術が、デフェールの命中精度を上げていく。
「テリヤキチキンバーガーの良さを知れ!」
 琴子の炎がデフェールを包むが、その炎を蹴散らしてデフェールは銃口を向けた。
「ピーピーうるせェ鳥は、パンに挟んでやるよ!」
 炎を宿した弾丸が6発、琴子へと撃ち放たれる。うち数発が琴子の体に当たり、琴子の体は激しく燃え上がった。
「ギャアアア!! 熱い、熱い!!!」
 もがく琴子へと、紀美が指鉄砲を構え狙いを定める。
「もう一押しだね、行くよ! 未明ちゃん!」
「ああ、もう終わりにしよう」
 紀美の言葉に、未明は力強く頷いた。
「おねえさん、いろんなお話が聞けてたのしかったよ。……テリヤキチキンに魅せられたハート、撃ち抜いちゃうから!」
 紀美の指の先、射手座のモチーフネイルが輝き、魔力の弓矢を形成する。同時、未明はエアシューズで道路を駆け抜ながら、脚部に炎を纏わせた。
「きみとは気楽にテリヤキチキンバーガーの美味しさを語り合いたかった。残念だよ」
 未明の鋭い一撃が琴子を蹴り飛ばす。さらに琴子が飛ばされた先で、紀美が放った弓矢が琴子の体へと突き刺さった。
 地面に這い蹲る琴子を見据え、フェクトは杖にエネルギーを込める。
「テリヤキチキンバーガーへの熱い想い、絶対に忘れないから!」
 魔力によって生み出された蒼い刃を渦巻かせ、杖を振り下ろした。重たい斬撃が琴子の体を切断する。動けずにいる琴子へと、結は静かに歩み寄った。
「君の人生には、もっと色々な『好き』があっただろうに……惨いものだな」
「……何があっても、私の一番は、変わらない……」
 それはビルシャナ化したからこその言葉か、それとも琴子自身の想いか。結は琴子を見下ろしながら、悲しげに瞳を細めた。
「そうか……」
 結は鞘から刀を抜き、滲み出す呪詛を注ぐように琴子へと突き刺す。凶刃は琴子の体を貫き、命を奪う狂気で満たしていく。琴子は断末魔の叫びを上げ、泥のように溶けて消えていった。

●彼女が好んだ味
 戦闘が終わった飲食店街は、落ち着きを取り戻しつつある。
「よっしゃ、しまいだ、しまい! 動いたら腹が減っちまったぜ」
 デフェールが体を解すように伸びをする。デフェールの言葉に、ツクシは頷いた。
「飲食店街ですし、食べ物のにおいが強いせいで余計にお腹が空きますね」
「おねえさんの代わりにってわけじゃないけど、テリヤキチキン食べていかない?」
 紀美の提案に、フェクトがぱっと表情を輝かせる。
「いいね! せっかくだしメガ盛りテリヤキチキンバーガー食べちゃう?」
 近場のバーガーショップにポスターが掛かっていた。未明はポスターを見上げ、言葉を紡ぐ。
「サイズは大きめだが、戦ったあとだから胃におさまりそうではあるな」
「それでは、みんなで仲良く食べましょうか~。食べ過ぎには注意ですよ~」
 紗羅沙がにっこりと優しい微笑みを浮かべた。
「シハン、お前の分は買わなくてもい……痛っ、いるんかい!」
 言いかけた環の頬に、シハンの猫パンチが炸裂した。寿司ではないが食べたいらしい。わいわいと賑わう仲間たちを眺め、結はぽつりと呟いた。
「……彼女の好きだったもの、か。たまにはファーストフードも良いかもしれないな」
 琴子が食べることのできなかった味を、確かめに行こう。

作者:鏡水面 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年5月17日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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